JP2020173306A - 電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムを提供することである。【解決手段】本発明の電子写真画像形成方法は、静電荷像現像用トナーとして結晶性樹脂を含有するトナー粒子を用い、定着工程において、静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラー10と第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、未定着画像を記録材に定着させる工程を有し、第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムに関し、より詳しくは、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善した電子写真画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、近年プリントスピードの高速化、環境負荷低減等を目的とした一層の省エネルギー化を図るために、トナーの低温定着化への要求がますます高まっている。
このようなトナーにおいては、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要とされ、結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性樹脂を添加することによって低温定着性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、結晶性樹脂を添加したトナーでは、低温定着性を向上させることができるものの、連続プリント時の光沢変動が大きく、光沢安定性に問題があった。
また、省エネルギー化に対しては、従来の画像形成装置の定着装置において、定着ローラー又は加圧ローラーに気泡を有する断熱発泡体を用いることで低熱容量化させ、ウォームアップタイムの短縮による省エネルギー効果を出す技術がある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、さらなる省エネルギー化の実現に向けては定着ローラーの低熱容量化、及びトナーによる一段の低温定着化が必須であり、上記問題の解決が強く望まれている。
特開2012−168265号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、定着工程が、第1及び第2の加圧ローラーにより形成される定着ニップ部によって、未定着画像を記録材に定着させる工程を有し、前記第1加圧ローラーが発泡体を有するローラーであり、前記発泡体が、特定のセル径の気泡を含有することにより、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善した電子写真画像形成方法が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を有する電子写真画像形成方法であって、
前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、
前記定着工程が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程を有し、
前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、
前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする電子写真画像形成方法。
2.前記発泡体が、セル径が10〜40μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真画像形成方法。
3.前記発泡体の気孔率が30〜80%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真画像形成方法。
4.前記定着ニップ部のピーク面圧が、80〜400kPaの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
5.前記トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量が、3〜25質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
6.前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
7.前記トナー粒子が、さらに非晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂がビニル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
8.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程部、露光工程部、現像工程部、転写工程部及び定着工程部を有する電子写真画像形成システムであって、
前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、
前記定着工程部が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程部を有し、
前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、
前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする電子写真画像形成システム。
本発明の上記手段により、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善した電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
低温定着性の観点から、トナーは少なくとも定着助剤として結晶性樹脂を含有する。結晶性樹脂を含有したトナーは、加熱による溶融特性が向上するために低温定着性に優れる一方、温度に対する感度が高くなるため、定着温度が変動しやすい連続プリント時においては得られる画像の光沢はバラツキが生じやすく、画像品質として光沢安定性が問題となる。
本発明の電子写真画像形成方法における定着工程は、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を有する構成であり、前記第1加圧ローラーを未定着画像面側に配置し、かつ、芯金と前記芯金を覆う特定のセル径を有する気泡を含有する発泡体によって構成されるローラーを定着部材として使用する。本発明では、前記第1加圧ローラーとして、前記発泡体によって構成されるローラーを用いることによって、低温定着性を目的に結晶性樹脂を添加したトナーが抱える連続プリント時の光沢安定性の問題を解決することができる。
その理由は、発泡体を有するローラーは熱容量が低いため、連続プリント時の温度低下に対する回復挙動が早く、定着温度の変動を抑制することができるためである。さらに、結晶性樹脂を添加したトナーの定着工程に、定着部材として発泡体を有するローラーを用いると、光沢の面内均一性も良好となる上、優れたドキュメントオフセット性を発現できることを新たに見出した。これは、前記発泡体を有するローラーを用いることは結晶性樹脂の結晶形状に対する凹凸追従性に優れるためであるとともに、画像出力時の結晶溶融と画像出力後の再結晶化が促進され得る結晶分子状態に制御できるためであると推察される。なお、本発明者らは、上記作用を発現させるには、発泡体を有するローラーに含有される気泡のセル径が、1〜50μmの範囲内という微小サイズの気泡によって達成できることを見出した。
本発明に係る第1加圧ローラーの断面図 画像形成装置の一例を示す全体図
本発明の画像形成方法は、トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を経て画像を形成する電子写真画像形成方法であって、前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、前記定着工程が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過することにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程を有し、前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記発泡体が、10〜40μmの範囲内である気泡を含有することが、光沢均一性(面内均一性)とドキュメントオフセット性を向上する観点から、好ましい。上記範囲内であれば、結晶性樹脂の結晶形状に対する凹凸追従性が更に良好となるために光沢均一性(面内均一性)が優れると共に、画像出力後でも結晶性樹脂が再結晶化しやすい結晶分子状態に制御できるためドキュメントオフセット性も良好となる。
さらに前記第1加圧ローラーにおいて、前記発泡体の気孔率が30〜80%の範囲内であると、同様に低熱容量化と凹凸追従性のバランスの観点から、好ましい。より好ましくは50〜70%の範囲内である。
前記定着ニップ部のピーク面圧が、80〜400kPaの範囲内であることが、凹凸追従性によって、連続プリント時における光沢安定性を満足させ、さらには、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性をも両立させる観点から、好ましい。
すなわち、低温定着性と光沢均一性(面内均一性)とドキュメントオフセット性の観点から、ピーク面圧が80kPa以上であれば、結晶性樹脂の結晶形状に対する凹凸追従性が良化して結晶溶融が進みやすくなり低温定着性や光沢安定性(面内均一性)が改善される。また、400kPa以下であれば、結晶性樹脂の加圧溶融が過剰とならず画像出力後の再結晶化がしやすく、ドキュメントオフセット性が改善される。より好ましくは150〜300kPaの範囲内である。
前記トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量が、3〜25質量%の範囲内であることが、低温定着性/光沢安定性(連続プリント時)の観点から上、好ましい。上記範囲以上の場合、結晶性樹脂の可塑化作用が発現することで低温定着性が十分になり、上記範囲以下の場合には低温定着性と連続印字時の光沢安定性の改善が両立できる。
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であることが低温定着性の観点から好ましく、さらに、非晶性樹脂を含むことが好ましく、前記非晶性樹脂としてビニル樹脂であることが好ましい。
本発明の電子写真画像形成システムは、トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程部、露光工程部、現像工程部、転写工程部及び定着工程部を有し、前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、前記定着工程部が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程部を有し、前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする。当該電子写真画像形成システムによって、優れた低温定着性と共に、連続プリント時における光沢安定性を向上し、加えて、光沢の面内均一性やドキュメントオフセット性を改善することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の画像形成方法の概要≫
本発明の画像形成方法は、トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を経て画像を形成する電子写真画像形成方法であって、前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、前記定着工程が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過することにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程を有し、前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする。
前記セル径は、1μm未満では微細過ぎてローラーの低熱容量化による定着温度変動の抑制や結晶性樹脂の結晶形状に対する凹凸追従性の向上が困難であり、50μmを超えると、ローラーの機械的強度が低下し、前記結晶形状に対する凹凸追従性が低下する。好ましくは、10〜40μmの範囲内である。
前記第1加圧ローラーと第2加圧ローラーは、一般に「定着部材」又は「定着ローラー」と呼称されるものであり、本発明では記録材(転写材)に対向して静電荷像現像用トナーに接する側の部材を第1加圧ローラーという。当該第1加圧ローラーは加熱手段を有しており、所望の表面温度に設定することができ、記録材上のトナーを熱溶融して固定化する。また、第1加圧ローラーに対向する「定着部材」を第2加圧ローラーといい、記録材を前記第1加圧ローラーに押圧する部材をいう。本発明では、前記第1加圧ローラーが、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーである。
ここで「発泡体」とは、発泡性組成物によって製造過程において発泡によって発生した気泡を含有した樹脂形成物をいう。
「発泡体を有するローラー」とは、前記気泡を有し、スポンジ状のゴム層を有するローラーをいう。スポンジゴム層は無数の気泡を含有する軟質な層である。
「セル」とは発泡体を構成している気泡又は気孔構造の単位のことであり、セル径はサンプル断面をマイクロスコープで観察して求めたものである。前記「セル径」とは、(セルの縦長さ)×(横長さ)の平方根をとったものであり、観察視野におけるセル50個の中央値をセル径とした。前記マイクロスコープとして、例えば、形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X100」(株式会社キーエンス製)などを用いることができる。
本発明において「気孔率」とは、発泡体における気孔の占める割合のことをいう。前記「気孔率」は、発泡体についてJIS−K−6885の規定に準じて測定される「見掛け密度」と、本発明において発泡体の構成成分に用いる素材の「比重」として一般に公知である値(例:シリコーンゴム0.95〜0.98)を参照し、下記式1によって求められる値である。
式1 気孔率(%)=(比重−見掛け密度)/比重×100
定着ニップ部の「ピーク面圧」は、例えば、ニッタ株式会社製 ローラー間圧力分布測定システム PINCH A3−40を用いて測定できる。当該測定器で測定した面圧のうち、最も高い値(すなわちピーク値)をピーク面圧とする。
〔1〕電子写真画像形成方法
本発明の電子写真画像形成方法は、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を経て画像を形成する。
すなわち、本発明の電子写真画像形成方法は以下の各工程を有する。
1)静電荷像担持体の表面を帯電する帯電工程と、
2)当該静電荷像担持体の表面を露光することにより、静電潜像を静電荷像担持体上に形成する露光工程と、
3)当該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤により顕像化しトナー像を形成する現像工程と、
4)当該トナー像を中間転写体上に転写する中間転写工程及び画像形成支持体に転写する転写工程と、
5)当該画像形成支持体上に形成されたトナー像を固定化する定着工程と、を有し、
6)残存静電荷像現像用トナーをクリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程、を有することが好ましい。
静電荷像担持体(電子写真感光体、単に感光体ともいう。)は、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
本発明の電子写真画像形成方法としては、具体的には、感光体上に帯電装置にて帯電(帯電工程)し、像露光(露光工程)することにより形成された静電潜像を、現像装置を用いて現像(現像工程)することにより顕像化させてトナー画像を得る。このトナー画像をコピー用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写(転写工程)し、その後、除電工程を経て、次の画像形成のサイクルが行われる。転写ベルト又は中間転写ベルト等の転写媒体上に転写されたトナー画像は、画像形成支持体であるコピー用紙上に転写され、コピー用紙上に転写されたトナー画像を定着部材である定着ローラーによって、接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着(定着工程)させることにより、可視画像を得る。なお、本発明に係る定着方式はローラー定着方式のものが好ましいが、後述する定着ローラーから構成されればベルト定着方式であってもよい。転写工程の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード(ゴムブレード)等により除去(クリーニング工程)される。このクリーニング工程は、除電工程の前でも後であってもよいが、除電工程が光照射による除電の場合は、クリー ニング工程の後の方が、感光体上に残留するトナーが除電光の吸収を妨げることがないので、効果的に除電が行えるので好ましい。
定着ローラーは、加熱される第1加圧ローラー及び第2加圧ローラーを有し、当該第1加圧ローラー及び第2加圧ローラーの間に定着ニップ部が形成され、第1加圧ローラー及び第2加圧ローラーは同期して回転し、用紙を通過させて、用紙にトナー画像を定着させる。前記定着ニップ部のピーク面圧が、80〜400kPaの範囲内に調整されることが、好ましい。
第1加圧ローラーは、内部にヒーターを有し、ヒーターは、定着ニップ部の付近に設けられている温度センサーによって検知された温度が適正温度となるように制御部によって制御される。前記第1加圧ローラーの温度は、好ましくは140〜200℃の範囲、より好ましくは150〜160℃の範囲の定着温度に制御される。
定着ローラーは、電子写真画像形成装置において、トナーを用紙に定着させるゴムローラーであり、芯金の外層にゴム組成物である弾性層を用いて成形されたものであることが好ましい。定着ローラーとしては、例えば、前記弾性層としてシリコーンゴム(以下、単にゴム部材ともいう。)を有する円筒状のローラーが挙げられる。本発明に係る第1加圧ローラーは、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有する弾性ローラーであり、前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする。
図1は、本発明に係る第1加圧ローラーの一例を示す断面図である。
図1(a)は、芯金1と前記芯金を覆う本発明に係る発泡体であるスポンジゴム層3を有する2層構成の第1加圧ローラー10である。
また、図1(b)は、芯金1の外周面を覆うように設けられたソリッドゴム層2と、当該ソリッドゴム層2の外周面を覆うように設けられた本発明に係る発泡体であるスポンジゴム層3との3層構造を有している第1加圧ローラー10である。
第1加圧ローラー10はさらに適宜他の機能層を設けていてもよい。例えば、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)又はPTFA(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂によって構成される離型層を表面に形成することで、トナー樹脂やトナー粒子に含まれる離型剤に対する加圧ローラーの離型性を高めることができる。
前記発泡体は、シリコーンゴムを成形又は加硫過程で発泡させた成形体であることが好ましく、耐熱性に優れており低熱容量化を実現できる。この発泡体は、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有し、当該セル径の調整はそのスポンジ製法によって任意に調整することができる。
本発明の好ましいセル径である1〜50μmの範囲は、例えば、一般製法である化学発泡法では当該セル径が微細過ぎて調整することが不可能であり、エマルジョン発泡法を製法とすることによって達成することができる。エマルジョン発泡法とは、ゴムと界面活性剤を混ぜた水を撹拌して作製されるW/O型エマルションから水を抜くことによって発泡体を作製する製法であり、発泡剤によるガス化によってゴム中に気泡を構成して発泡体を作製する化学発泡法より微細な発泡形状に調整することが可能である。
前記発泡体であるスポンジゴム層への気泡の含有量は、前記「気孔率」で調整されることが好ましく、前記発泡体の気孔率は30〜80%の範囲内であることが、熱容量と凹凸追従性のバランスの観点から、好ましい範囲である。「気孔率」は、前述のように発泡体の見掛け密度と発泡体構成成分の比重から算出することができる。
また、発泡体の厚さ(芯金と発泡体の界面から発泡体表面までの半径方向の距離)は、10〜30mmであることが好ましく、また、第1加圧ローラーの外形は50〜70mmであることが好ましい。
第2加圧ローラーは、軸の周りに金属の回転体と、回転体の周りを覆う弾性体を有する。弾性体は、例えば非発泡のシリコーンゴムである。第2加圧ローラーの外径も、第1加圧ローラーと同様に50〜70mmが好ましい。
定着ローラーのゴム部材のゴム硬度は、20〜60°の範囲内であることが好ましい。また、ゴム硬度は、例えば、成型又は加硫における加熱温度及び加熱時間によって、調整することができる。
軸上でのゴム硬度は、JIS−S−6050に準じて、定着ローラーの表面硬度を測定したものである。具体的には、高分子計器株式会社製ASKER−C型ゴム硬度計により、荷重600gで測定している。また、軸上でのゴム硬度の観測を行うために、押圧圧子の真下にローラー円周方向鉛直部が位置する位置決め部材を用いて測定を行う。測定は、芯材の直径が22mm、ゴム厚が4mmで、ローラーとして外径30mmとなるローラーを作製して、ゴム硬度の測定を行っている。また、ゴム硬度の測定では、芯材の表面上にゴムを設置した状態での硬度測定を行っている。
定着ローラーにおいて、芯金はアルミニウム、鉄、及びSUSなどの金属材料から構成されていることが好ましい。芯金の厚さは、0.1〜5mm程度であるが、軽量化及びウォームアップ時間を考慮すると、0.1〜1.5mm程度であることがより好ましい。芯金の直径は、10〜50mm程度であることが好ましい。
ソリッドゴム層及びスポンジゴム層は、上記のとおりシリコーンゴムから構成されていることが好ましい。
シリコーンゴムは、上記定着温度に対する耐熱性と、用紙が圧接される領域の寸法(ニップ部の長さ)を確保するための弾性とを、有している。
ソリッドゴム層は固体状の硬質な層である。ソリッドゴム層の厚さは5〜10mmの範囲内であることが好ましく、7〜8mmの範囲内であることがより好ましい。
他方、スポンジゴム層は無数の気泡を含むスポンジ状の軟質な層である。スポンジゴム層の厚さは、5〜100μmの範囲内であることが好ましく、80〜90μmの範囲内であることがより好ましい。
具体的な定着ローラーの製造方法を説明する。
以下に、図1(b)で示した定着ローラーについて、定着部材のゴム部材となるシリコーンゴムの前駆体の形成方法までについて説明する。
まず、低分子量の単量体などで成形されるゴム原料に、硬化剤(例えば、CAT−1602,信越化学工業社製)を加え、撹拌機で十分に混合し、第1の混合物を得る。
次に、この第1の混合物に界面活性剤を混ぜた水を加え、撹拌機で混合し第2の混合物を得る。
次に、例えば、アルミニウム製の芯金と、当該芯金よりも太い紙管を芯金が中心となるようにして被せ、この紙管と芯金との間に、第1の混合物を注ぎ込み、加熱させて硬化を完了させた後、紙管を外し、ソリッドゴム層を形成する。
その後、このソリッドゴム層に、第2の混合物(ゴムと界面活性剤と水を含む。)を塗布し、シリコーンゴムの前駆体とする。
次に、このシリコーンゴムの前駆体は、加熱する工程を経て水を蒸発させ、本発明に係る発泡体であるスポンジゴム層を構成するシリコーンゴムとなる。
用いられる界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。また、界面活性作用を有するシリコーンオイル剤を用いてもよい。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドなどの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。
シリコーンオイル剤としては、環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、が含まれる。
また、上記シリコーンオイル剤の例には、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノ、及びエーテルなどが含まれる。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記シリコーンゴムの前駆体の形成方法は上記に限定されず、例えば、芯金上に直接ゴム原料を含有する塗布液を塗布し、シリコーンゴムの前駆体としてもよい(図1(a))。
[成型又は加硫において加熱する工程]
加熱する工程は、前記シリコーンゴムの前駆体(ゴムと界面活性剤と水を含む。)を加熱しつつ、加熱装置で加熱する際に外部から当該加熱装置内に気体を導入することによりシリコーンゴムの前駆体に残存する水の量を低減する。
加熱は、定着部材を構成するゴム部材の成型又は加硫する際の加熱時に行ってもよいし、成型又は加硫後において別途加熱する工程を有することとしてその加熱時に行ってもよい。加熱する工程における温度は、160〜280℃の範囲内であることが好ましい。また、加熱時間としては、30〜300分の範囲内が好ましく、35〜60分の範囲内がより好ましい。上記の温度範囲内で加熱処理することにより、耐久性が優れ低分子量成分が少ない定着部材を得ることができる。
成型又は加硫において加熱する工程としては、特に限定されないが、以下の二つの態様を具体的な例として挙げることができる。
まず、加熱する工程の態様の具体的な例としては、加熱チャンバーにてシリコーンゴムの前駆体を加熱した後、当該加熱チャンバーに、外部から前記気体を導入及び排出することが挙げられる。
加熱する工程の態様の具体的な他の例としては、加熱する工程が、加熱チャンバーにてシリコーンゴムの前駆体を加熱した後、加熱されたシリコーンゴムの前駆体を、当該加熱チャンバーから気体導入チャンバーに移動させた後、当該気体導入チャンバーに、外部から気体を導入及び排出することが挙げられる。
このように、加熱チャンバーと、外部から気体の導入及び排出する気体導入チャンバーとを分けることで、より高い効果を発現することができると考える。
なお、上記二つの態様のように、シリコーンゴムが含有する水や低分子量化合物を揮発させ気泡を含有する発泡体(スポンジゴム層)とするためには、まず、シリコーンゴムの前駆体全体を均一に加熱して架橋させた後、外部から気体を導入及び排出することが好ましい。これにより、加熱により、シリコーンゴムの硬化(加硫)を行い、その後に、大気の交換により大気中に含まれる水を系外に排出でき、水をより多く除去できる。
また、外部から気体を導入及び排出する際は、シリコーンゴムの前駆体を加熱しながらであると、よりシリコーンゴムに残留する水や低分子量化合物の量を低減できるため好ましい。
また、シリコーンゴムの前駆体全体を均一に加熱して架橋させた後、エージングとして、シリコーンゴムの前駆体を更に一定時間加熱してもよい。本発明に係る加熱する工程は、このエージングを経た後、外部から気体を導入及び排出することとしてもよい。このようにエージングをすることで、シリコーンゴム中に残っていた水や低分子量化合物をより揮発させることができ、この結果、シリコーンゴムに残留する水や低分子量化合物の量をより低減でき、ひいては、製品として使用した際に揮発する水や低分子量化合物の量を低減できる。
気体の導入及び排出は、加熱されて揮発した水や低分子量化合物を除去するために行われる。したがって、シリコーンゴムの前駆体を加熱した後に気体の導入及び排出が行われることが、熱効率の観点から好ましい。
なお、外部から導入する気体は、不活性なガスであり、かつ、シロキサンの濃度が5質量%以下であることが好ましい。これにより、より効率的にシリコーンゴムに残留する水や低分子量化合物の量を低減でき、ひいては、製品として使用した際に揮発する水や低分子量化合物の量をより低減できる定着部材の製造方法を提供できる。
また、外部から導入される気体は、上述のように特に限定されず、様々なものを使用できるが、特に、下記のような理由から、水分含有量が5質量%以下である圧縮空気(以下、「圧縮乾燥空気」ともいう。)又は乾燥窒素が好ましい。中でも、コストを考えると圧縮乾燥空気を適用することが好適である。なお、このような気体の供給方法は、特に限定されず、公知の方法でよく、例えば、水分除去する機構を取り付けた装置で作製される圧縮空気や、窒素ボンベからの供給することができる。
外部から導入される気体の水分含有量が低い方が、水分との接触に伴うシリコーンゴムの加水分解も防ぐことができるため好ましい。すなわち、導入する気体はできるだけ乾燥していることが好ましく、特に水分含有量が5質量%以下であることが好ましくい。
なお、気体の水分含有量を測定する方法は、露点を観測することで測定でき、例えば、三菱化学アナリテック社製 XPDM型などが適用できる。
外部から導入された気体は、チャンバー内の温度分布を均一化する観点でも好ましく、シリコーンゴムの前駆体の長手方向に対して45度以上の角度で吹き付けることが好まし く、70度以上の角度で吹き付けることが更に好ましい。これにより、シリコーンゴムの前駆体から揮発した水や低分子量化合物を効果的に除去でき、この結果、シリコーンゴムに残留する水や低分子量化合物の量がより低減し、ひいては、製品として使用した際に揮発する低分子量化合物の量を更に低減できる。これは、上記のような角度で吹き付けることで、シリコーンゴムの前駆体の表面近傍に滞留している低分子量化合物を除去した上で、表面近傍の気体が水や低分子量化合物を含有しない気体に入れ替わることを促進できるためであると考えられる。
また、シリコーンゴムの前駆体の内部に存在する水や低分子量化合物を揮発させる際にも、チャンバー内の気体が流動していることが重要であり、シリコーンゴムの前駆体の長手方向に対し、鉛直方向の流れがあることが好ましい。チャンバー内部の気流は層流であることが、大気の均一性を好適に保つことができ、気体の導入及び排出による、水や低分子量化合物の量をより効果的に低減することができ、気泡が均一に存在する発泡体を形成することができる。
〔2〕電子写真画像形成装置
本発明の定着部材を備えたカラータンデム方式の画像形成装置100の概略構成の一例を、図2を用いて説明する。この画像形成装置は、スキャナー、コピー、プリンターなどの機能を備えた複合機であって、MFP(Multi Function Peripheral又はMulti Function Printer)と呼ばれるものである。
図2に示すとおり、画像形成装置100は、本体ケーシング101内の略中央に、2個のローラー102、106に巻回された周方向に移動する環状の中間転写ベルト108を備えている。
2個のローラー102、106のうち、一方のローラー102は図において左側に配置され、他方のローラー106は図において右側に配置されている。中間転写ベルト108は、これらのローラー102、106によって支持されて矢印X方向に回転駆動される。
中間転写ベルト108の下方には、図において左側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応する画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kが並べて配置されている。
各画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kは、それらが取り扱うトナー色の違いを除いて互いに同様に構成されている。
例えば、イエローの画像形成ユニット110Yは、感光体ドラム190と、帯電装置191と、露光装置192と、トナーを用いて現像を行う現像装置193と、クリーナー装置195とを一体にして構成されている。
中間転写ベルト108を挟んで感光体ドラム190と対向する位置に、一次転写ローラー194が設けられている。
画像形成時には、まず帯電装置191によって感光体ドラム190の表面が一様に帯電され、続いて、露光装置192によって感光体ドラム190の表面が露光されて、そこに潜像が形成される。次に、現像装置193によって、感光体ドラム190の表面上の潜像が現像されてトナー画像となる。このトナー画像は、感光体ドラム190と一次転写ローラー194との間の電圧印加によって、中間転写ベルト108に転写される。感光体ドラム190の表面上の転写残トナーは、クリーナー装置195によってクリーニングされる。
中間転写ベルト108が矢印X方向に移動するに伴って、各画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に出力画像として4色のトナー画像が重ねて形成される。
中間転写ベルト108の左側には、中間転写ベルト108の表面から残留トナーを取り除くクリーニング装置125と、クリーニング装置125によって取り除かれたトナーを回収するトナー回収ボックス126とが設けられている。
中間転写ベルト108の右側には、用紙のための搬送路124を挟んで二次転写ローラー112が設けられている。搬送路124のうち二次転写ローラー112の上流側に相当する位置に、搬送ローラー120が設けられている。中間転写ベルト108上のトナーパターンを検出するための光学式濃度センサー115が設けられている。
本体ケーシング101内の右上部には、トナーを用紙に定着させる定着装置130が設けられている。
定着装置130は、図2において紙面に対して垂直に延在する一対の、本発明の第1加圧ローラー132及び第2加圧ローラー131である定着ローラーを備えている。第1加圧ローラーは加熱ローラーを兼ねている。
第1加圧ローラー132は、ヒーター133によって所定の目標温度(例えば、140〜200℃、好ましくは150〜160℃の範囲内の定着温度)に加熱される。第2加圧ローラー131は、図示しない、ばねによって第1加圧ローラー132へ向かって付勢されている。これにより、第2加圧ローラー131と第1加圧ローラー132とは定着のためのニップ部を形成している。
トナー像が転写された用紙90がこのニップ部を通ることにより、その用紙90にトナー画像が定着される。第2加圧ローラー131と第1加圧ローラー132の温度は、それぞれ温度センサー135、136によって検出される。
本体ケーシング101の下部には、用紙90を収容するための給紙カセット116A、116Bが2段に設けられている。図2では、給紙カセット116Aにのみ用紙90が収容された状態を示している。
給紙カセット116A、116Bにはそれぞれ、用紙を送り出すための給紙ローラー118と、送り出された用紙を検出する給紙センサー117とが設けられている。
本体ケーシング101内には、この画像形成装置全体の動作を制御するCPU(中央演算処理装置)からなる制御部200が設けられている。
画像形成時には、制御部200による制御によって、用紙90は給紙ローラー118によって給紙カセット116Aから搬送路124へ1枚ずつ送り出される。搬送路124に送り出された用紙90は、レジストセンサー114によってタイミングをとって、搬送ローラー120によって中間転写ベルト108と二次転写ローラー112との間のトナー転写位置へ送り込まれる。
一方、上記のように、各画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kによって中間転写ベルト108上に4色のトナー画像が重ねて形成されており、トナー転写位置に送り込まれた用紙90に、中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が二次転写ローラー112によって転写される。
トナー像が転写された用紙90は、定着装置130の第2加圧ローラー131と第1加圧ローラー132とが作るニップ部を通して搬送され加熱及び加圧を受ける。これにより、その用紙90にトナー画像が定着される。
最終的に、トナー画像が定着された用紙90は、排紙ローラー121によって排紙路127を通して本体ケーシング101の上面に設けられた排紙トレイ部122へ排出される。
なお、画像形成装置100では、両面印刷の場合に用紙90を再びトナー転写位置へ送り込むためのスイッチバック搬送路128が設けられている。
上記のとおり、第1加圧ローラー132は定着ローラーの一方を構成しており、ここでは発泡体を有するシリコーンゴム製ローラーとなっている。
〔3〕静電荷像現像用トナー
なお、本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結着樹脂を含有するトナー母体粒子と外添剤と着色剤とからなることが好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂のほか、必要に応じて離型剤、帯電制御剤、界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
また、トナーは、通常、外添剤が添加されたものとして使用されることが好ましいが、当該外添剤は添加されていなくてもよい。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上述のトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
〔3.1〕結着樹脂
本発明に係るトナーが含有する結着樹脂は、少なくとも結晶性樹脂を含有し、当該結晶性樹脂として、例えば、結晶性ポリエステル樹脂を低温定着性の観点から含有することが好ましい。また、非晶性樹脂を含有することも好ましく、当該非晶性樹脂としては、非晶性ビニル樹脂や非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。なお、特に区別の必要がない場合、非晶性ビニル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂をまとめて単に「非晶性樹脂」ともいう。
また、本発明において「結着樹脂が結晶性樹脂を含有する」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。また本発明において、「結着樹脂が非晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂など非晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における非晶性樹脂セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。
(結晶性樹脂)
上記結晶性樹脂は、トナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナー母体粒子を構成する樹脂(すなわち、結着樹脂と離型剤。)に対して3〜25質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱保管性の低下を抑制することができる。
上記結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアセタール樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリブチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリフェニレンサルファイド樹脂、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂、結晶性ポリテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
中でも、結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂が融解して非晶性樹脂の可塑化剤として働くために低温定着性をより向上させることができるため好ましい。当該結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合反応による公知の合成法により得ることができる。上記結晶性ポリエステル樹脂は、1種でもそれ以上の種類を用いてもよい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーは、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することが好ましい。芳香族モノマーを用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いものとなることが多く、分岐型の脂肪族モノマーを用いた場合には結晶性が低くなることが多いことから直鎖脂肪族モノマーを用いることが好ましい。また、直鎖脂肪族モノマーが50質量%以上とすることで、トナー中において結晶性を維持することができる。80質量%以上にすることで十分な結晶性を維持することが可能になる。
上記多価カルボン酸の例には、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;それらの酸無水物;及びそれらの炭素数1〜3のアルキルエステル;が含まれる。上記多価カルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
上記多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;及びグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上のアルコール;が含まれる。上記多価アルコールは、脂肪族ジオールであることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、上述の多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒下で反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができ、例えば直接重縮合やエステル交換法を、単量体の種類によって使い分けて製造することが好ましい。
また、直鎖脂肪族ヒドロキシカルボン酸を、前記多価カルボン酸及び/又は多価アルコールと組み合わせて用いることができる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための直鎖脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、7−ヒドロキシペンタン酸、8−ヒドロキシオクタン酸、9−ヒドロキシノナン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、14−ヒドロキシテトラデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸:及びこれらのヒドロキシカルボン酸が環化したラクトン化合物、又は炭素数1〜3のアルコールとのアルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、結晶性ポリエステル樹脂を形成する際に、多価カルボン酸と多価アルコール成分とを用いることで反応を制御することが容易になり、目的の分子量の樹脂を得ることができるため好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造に使用することのできる触媒としては、例えばチタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタン触媒や、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドなどのスズ触媒などが挙げられる。
上記結晶性ポリエステル樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル重合セグメントと、他種構造の重合セグメントとが化学結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。すなわち、他種構造の樹脂(例えば、スチレン・アクリル樹脂、以下、「St・Ac樹脂」ともいう。)により変性されたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド結晶性樹脂」ともいう)であることが好ましい。ハイブリッド結晶性樹脂は、例えば、他種構造の樹脂がスチレン・アクリル樹脂であれば、当該スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。また、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナー母体粒子に含有される結着樹脂や離型剤の相溶及び非相溶並びに結晶化の調整を好適にでき、ひいては、本発明の効果をより好適に発現できる。さらには、トナー母体粒子が後述のコア・シェル構造を有し、シェルがハイブリッド結晶性樹脂を含有する場合、スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、コア粒子の表面全体を被覆しやすくなる。
なお、ここで、他種構造の樹脂とは、樹脂種が異なるものを異なる種類の樹脂と定義し、単量体組成比が異なるもの、後述のスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂などの変性の有無のみの違いは異なる種類の樹脂とは呼ばない。
また、上述のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポエリステル樹脂に由来の構造を有する樹脂部分を「結晶性ポリエステル重合セグメント」といい、他種構造の樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を「他種構造の重合」セグメントという。
他種構造の樹脂としては、例えば、スチレン・アクリル樹脂などのビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などがあげられる。他種構造の重合セグメントとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記スチレン・アクリル樹脂は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合体である。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、これらの誘導体等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体を使用することもできる。使用できる他の単量体としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
上記スチレン・アクリル樹脂は、上述した単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物などの通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法などの公知の重合手法により重合することにより得ることができる。重合時、分子量を調整することを目的として、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどの通常用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
上記ハイブリッド結晶性樹脂中の他種構造の重合セグメントの含有量は、10質量%以下であることが低温定着性の観点から好ましい。
以下に、ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の具体例として、他種構造の重合セグメントとして、スチレン・アクリル重合セグメントを有する(すなわち、スチレン・アクリル樹脂により変性された)ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の製造方法について述べる。
上記ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の例としては、まず、それぞれ個別に用意した結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル樹脂とを反応させて化学結合させることにより得る製造方法があげられる。結合を容易にする観点からは、結晶性ポリエステル樹脂かスチレン・アクリル樹脂に、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を組み込むことが好ましい。例えば、スチレン・アクリル樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体とともに、結晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基[COOH]又はヒドロキシ基[OH]と反応可能な置換基と、スチレン・アクリル樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、結晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基又はヒドロキシ基と反応可能な置換基を有するスチレン・アクリル樹脂を得ることができる。
また、上記ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の、その他の例としては、あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン・アクリル樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン・アクリル樹脂の存在下で結晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応を行うことによって得る方法があげられる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。なお、このような化合物としては、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸などが挙げられる。
なお、上記ハイブリッド結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、8500〜12500であることが好ましく。9000〜11000の範囲内であることが更に好ましい。この範囲内にあることが、低温定着性の観点からより好ましい。
結晶性樹脂の融点(T℃)は、55〜80℃の範囲内にあることが、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできるため好ましい。
上記結晶性樹脂の融点は、結晶性樹脂を試料とするほかは、上述の結晶性樹脂由来の融点(T)の測定と同様にして計測できる。
上記結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は5〜50質量%であることが好ましい。結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量が5質量%以上であると、低温定着の効果を十分に発揮でき、50質量%以下であれば耐熱保管性をより好適にできる。また、トナー母体粒子中の結晶性樹脂の含有量は、3〜25質量%が好ましく、7〜15質量%がより好ましい。3質量%以上であれば十分な可塑化効果を得られ、より好適な低温定着性を得られる。また、25質量%以下であれば、トナーとしての耐熱保管性や物理的なストレスに対する安定性をより良好にできる。また、7〜15質量%の範囲内であれば、非晶性樹脂の構成や適切な製造法を選択することにより、好ましい貯蔵弾性率に制御することが容易になる。
また、非晶性樹脂と前記結晶性樹脂との合計量に占める当該結晶性樹脂の割合が、40質量%より大きく60質量%以下であることが好ましい。
この範囲内であれば、非晶性樹脂と結晶性樹脂とが相溶しやすく低温定着性に優れる。また、結晶性樹脂が40質量%より大きいと、完全に非晶性樹脂に相溶することを回避でき、アニーリングにより好適に結晶化させることができるため、ひいては良好な耐熱性をえることができる。また、60質量%以下であれば、十分に相溶できるため、良好な低温定着性をえることができる。
本発明に係る結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000〜50000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は2000〜15000の範囲内にあることが、低温定着性及び光沢度安定性の観点から好ましい。
本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)及びカラムTSKguardcolum+TSKgelSuperHZ−33連(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
(非晶性樹脂)
本発明に係るトナー母体粒子は、非晶性樹脂として、非晶性ビニル樹脂を含むことが好ましく、非晶性ポリエステル樹脂又はその一部が変性された変性ポリエステル樹脂(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)を含むこともできる。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められないものをいう。つまり、通常は融点(示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピーク)を有さず、比較的高いガラス転移点(Tg)を有するものである。より具体的には、非晶性樹脂の示差走査熱量測定装置によるTgは、35〜70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃の範囲内である。非晶性樹脂のTgが35℃以上であることにより、トナーに十分な熱的強度を与えることができ、十分な耐熱保管性が得られる。また、非晶性樹脂のTgが70℃以下であることにより、十分な低温定着性が確実に得られる。
上記非晶性樹脂は、上記結晶性樹脂とともに結着樹脂として用いられ、上記トナー母体粒子を構成する。なお、非晶性樹脂は、非晶性ビニル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂のほか、ウレタン系樹脂やウレア系樹脂を含んでいてもよい。上記非晶性樹脂は、例えば公知の合成法によって入手可能である。
(非晶性ビニル樹脂)
上記非晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合した非晶性ビニル樹脂であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。
上記非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量は、20000〜150000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は、5000〜20000の範囲内にあることが、定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量は、上記結晶性樹脂の場合と同様に測定することができる。
上記非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)は、定着性と耐熱保管性の両立の観点から、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)に従って測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)などを用いることができる。
上記非晶性ビニル樹脂は、単量体のみの重合体であってもよいし、当該単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、スチレン、スチレンの誘導体などのスチレン系単量体などを使用できる。
前記結着樹脂における前記非晶性ビニル樹脂の含有量が、50質量%以上であることが好ましい。結着樹脂において、非晶性ビニル樹脂が主成分である(結着樹脂における非晶性ビニル樹脂の含有量が50質量%以上である。)ことにより、結晶性樹脂との相溶・非相溶の調整がしやすくなる。特に、結着樹脂と非晶性ビニル樹脂との構造が互いに異なるために非相溶化させることが容易であるため、より低温のアニーリングで結晶化を飽和させることができる。このため、前記結着樹脂における前記非晶性ビニル樹脂の含有量が、50質量%以上であると、高温で長期間保管した場合の低温定着性の変動及び結晶性材料のブリードアウトを好適に抑えることができるため好ましい。
(非晶性ポリエステル樹脂)
上記非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すポリエステル樹脂である。コア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェルの材料として非晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
上記多価カルボン酸及び多価アルコールとしては、上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様の材料を使用することができるほか、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類及びこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物なども使用できる。これらの中でも、特にトナーの帯電均一性を向上させるという観点から、多価アルコール成分としてはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。これらの多価アルコール成分は1種単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基と多価カルボン酸のカルボキシ基との当量比[OH]/[COOH]が、1.5/1〜1/1.5の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
上記非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000〜10000の範囲内にあることが好ましい。数平均分子量は、上記非晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点は、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点は、上記非晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、上述の結晶性ポリエステル樹脂と同様、スチレン・アクリル樹脂により変性されたハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド非晶性樹脂」ともいう)であることができる。
上記ハイブリッド非晶性樹脂は、スチレン・アクリル樹脂部分が非晶性ビニル樹脂との相溶性が高く、トナー母体粒子中に非晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。トナー母体粒子がコア・シェル構造を有し、シェルが非晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、非晶性ビニル樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、表面全体を被覆しやすくなる。
本発明において「非晶性ポリエステル樹脂がスチレン・アクリル樹脂により変性された」とは、非晶性ポリエステル重合セグメントとスチレン・アクリル重合セグメントが化学結合していることをいう。非晶性ポリエステル重合セグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、非晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち非晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。スチレン・アクリル重合セグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、スチレン・アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン・アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。上記スチレン・アクリル樹脂は、上述のハイブリッド結晶性樹脂と同様の材料を用いて同様に製造することができる。
上記ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は2000〜10000の範囲内にあることが、定着性の観点からより好ましい。
トナー母体粒子中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、定着性と帯電の環境安定性の観点から、1〜50質量%の範囲内にあることが好ましい。
〔3.2〕離型剤
本発明に係るトナー粒子は、離型剤を含有する。離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。
具体的には、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤としては、結着樹脂を構成する樹脂と相溶するなどの相互作用を有さないものを用いることが好ましい。
これらのうちでも、低温定着時の離型性の観点から、融点の低いもの、具体的には、融点が60〜100℃の範囲内のものを用いることが好ましい。また、離型剤としては、結着樹脂を構成する結晶性ポリエステル樹脂の融点Mp1に対して、(Mp1−10)℃〜(Mp1+20)℃程度の融点を有するものを用いることが好ましい。
離型剤の含有割合は、トナー中に1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。トナーにおける離型剤の含有割合が上記範囲であることにより、分離性及び定着性が確実に両立して得られる。
離型剤のトナーへの導入方法としては、後述のトナーの製造方法の凝集、融着工程において、離型剤のみよりなる粒子を非晶性樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂粒子などとともに水系媒体中で凝集、融着する方法が挙げられる。離型剤粒子は、離型剤を水系媒体に分散させた分散液として得ることができる。離型剤粒子の分散液は、界面活性剤を含有する水系媒体を離型剤の融点より高い温度に加熱し、溶融した離型剤溶液を加えて機械的撹拌などの機械的エネルギーや超音波エネルギーなどを付与して微分散させた後、冷却することによって調製することができる。
また、非晶性樹脂が例えばスチレン・アクリル樹脂である場合には、凝集、融着工程に供される非晶性樹脂粒子(スチレン・アクリル樹脂粒子)に離型剤をあらかじめ混合させておくことによって、当該離型剤をトナーへ導入することもできる。
具体的には、スチレン・アクリル樹脂を形成するための重合性単量体の溶液に離型剤を溶解させる。この溶液を、界面活性剤を含有する水系媒体中に加え、上記と同様に機械的撹拌などの機械的エネルギーや超音波エネルギーなどを付与して微分散させた後、重合開始剤を加えて所望の重合温度で重合を行う、いわゆるミニエマルション重合法によって、離型剤を含有する非晶性樹脂粒子の分散液を調製することができる。
〔3.3〕着色剤
上記着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機又は有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料が含まれる。上記着色剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びランプブラックが含まれる。上記磁性体の例には、鉄やニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金及びフェライトやマグネタイトなどの強磁性金属の化合物、が含まれる。
上記顔料の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60及び中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料、が含まれる。
上記染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93及び同95が含まれる。
〔3.4〕その他の添加剤
[帯電制御剤]
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体及びサリチル酸金属塩又はその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
[界面活性剤]
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系などのアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、1種でもそれ以上でもよい。
上記アニオン系界面活性剤の具体例には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。上記カチオン系界面活性剤の具体例には、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドが含まれる。非イオン系界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
〔3.5〕外添剤
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子表面に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加する。
本発明に係る外添剤は、1種でもそれ以上でもよい。当該外添剤としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子を使用できる。
上記外添剤は、ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子を含むことがより好ましい。ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子は、粒子径分布が狭いという特徴を有しているので、トナー母体粒子に対する外添剤の付着強度のバラツキを抑制する観点から好ましい。
また、上記シリカ粒子の個数平均一次粒子径は、70〜200nmであることが好ましい。個数平均一次粒子径が上記範囲内にあるシリカ粒子は、他の外添剤に比べて大きい。したがって、二成分現像剤においてスペーサーとしての役割を有する。よって、二成分現像剤が現像装置中で撹拌されているときに、より小さな他の外添剤がトナー母体粒子に埋め込まれることを防止する観点から好ましい。また、トナー母体粒子同士の融着を防止する観点からも好ましい。
上記外添剤の個数平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の画像処理によって求めることが可能であり、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸が含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシランが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、が含まれる。
また、上記シリコーンオイルの例には、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル及びアミノが含まれる。
上記外添剤の添加量は、トナー粒子全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
〔3.6〕トナー粒子の物性
[トナー粒子の構造]
本発明に係るトナー母体粒子は、トナー粒子のみの単層構造であってもよいが、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子とは、コア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェルとを備える多層構造を有するトナー母体粒子をいう。シェルは、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェルでガラス転移点、融点、硬度などの特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などを含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェルを形成することができる。シェルには、上述したように非晶性ポリエステル樹脂を使用することができ、中でもスチレン・アクリル樹脂により変性された非晶性ポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。
[トナー粒子の平均粒径]
本発明に係るトナー粒子においては、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、平均粒径が、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。
この平均粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成などによって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメジアン径とされる。
[トナー粒子の平均円形度]
本発明に係るトナー粒子の平均円形度は、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.945〜0.985の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
上記平均円形度は、次のようにして測定することができる。メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもシスメックス株式会社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。下記式(y)中、L1は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長(μm)を表し、L2は、粒子投影像の周囲長(μm)を表す。
式(y)円形度=L1/L2
[トナー粒子の軟化点]
本発明に係るトナー粒子の軟化点は、定着部材による画像の光沢度を制御する観点から、80〜120℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは90〜110℃の範囲内である。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、軟化点とされる。
〔3.7〕静電荷像現像用トナーの製造方法
本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、特に、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液に貧溶媒を滴下して転相乳化を行ったのちに脱溶媒することで、樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法として、乳化凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)着色剤を水系媒体中に分散させ、着色剤粒子分散液を調製する着色剤粒子分散液調製工程;
(2)結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させ、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製する結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程;
(3)必要に応じて離型剤及び荷電制御剤などのトナー構成成分が含有された非晶性樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂)を水系媒体中に分散させ、非晶性樹脂粒子分散液(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、非晶性ビニル樹脂粒子分散液)を調製する非晶性樹脂粒子分散液調製工程;
(4)上記(1)〜(3)で得られた各分散液を用いて、非晶性樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂粒子及び着色剤粒子を、水系媒体中で凝集、融着させて凝集粒子を形成する凝集、融着工程;
(5)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状調整を行い、トナー母体粒子分散液を作製する熟成工程;
(6)トナー母体粒子分散液を冷却する冷却工程;
(7)冷却したトナー母体粒子分散液より当該トナー母体粒子を固液分離し、トナー母体粒子表面より界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程;
(8)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程;
(9)乾燥処理されたトナー母体粒子に外添剤を添加する外添処理工程;
から構成される。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒を使用することが好ましい。
(1)着色剤粒子分散液調製工程
着色剤粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(n)アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
この着色剤粒子分散液調製工程において調製される着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で10〜300nmの範囲内とされることが好ましい。この着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定されるものである。
着色剤は、後述の非晶性樹脂粒子分散液調製工程においてミニエマルション法を用いてあらかじめ非晶性樹脂を形成するための単量体溶液に溶解又は分散させることによってトナー中に導入してもよい。
(2)結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程
結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、結晶性ポリエステル樹脂を界面活性剤が添加された水系媒体中に超音波分散法やビーズミル分散法などにより分散させる水系直接分散法、結晶性ポリエステル樹脂を溶剤中に溶解させ、これを水系媒体中に分散させて乳化粒子(油滴)を形成した後、溶剤を除去する溶解乳化脱溶法、転相乳化法などが挙げられる。
この結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程において得られる結晶性ポリエステル樹脂粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmの範囲にあることが好ましい。なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−EX150」(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定したものである。
(3)非晶性樹脂粒子分散液調製工程
非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である場合は、合成した非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させることによって、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製することができる。非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、上述の結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法と同様の方法を用いることができる。
非晶性樹脂が非晶性ビニル樹脂である場合、臨界ミセル形成濃度(CMC)以上の濃度の界面活性剤を含有した水系媒体中に、非晶性ビニル樹脂を形成するための重合性単量体を加え、撹拌を行いつつ所望の重合温度で水溶性重合開始剤を加え、重合を行うことにより、非晶性ビニル樹脂粒子分散液を調製することができる。
また、同様に非晶性樹脂が非晶性ビニル樹脂である場合、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、非晶性ビニル樹脂を形成するための重合性単量体に対して、必要に応じて離型剤や荷電制御剤などのトナー構成成分を溶解又は分散させた液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して、液滴中において重合反応を進行させることにより、非晶性樹脂粒子分散液を調製することもできる。なお、前記液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。このような非晶性樹脂粒子分散液調製工程においては、機械的エネルギーを付与して乳化(液滴の形成)する処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この非晶性樹脂粒子分散液調製工程において形成させる非晶性樹脂粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成のものとすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合、第3段重合)する方法を採用することができる。
この工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述の界面活性剤と同様のものを用いることができる。
(重合開始剤)
使用される重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を使用することができる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルなどの過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物などが挙げられる。これらの中でも、水溶性重合開始剤、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸を好ましく用いることができる。
また、重合開始剤としては、過硫酸塩とメタ重亜硫酸塩、過酸化水素とアスコルビン酸のようなレドックス重合開始剤を用いることもできる。
(連鎖移動剤)
非晶性樹脂(特には非晶性ビニル樹脂)粒子分散液調製工程においては、非晶性樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
この非晶性樹脂粒子分散液調製工程において得られる非晶性樹脂粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で例えば50〜500nmの範囲にあることが好ましい。なお、体積基準のメジアン径は、「UPA−EX150」(マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定したものである。
(4)凝集、融着工程
この工程は、上記の工程で形成した分散液に含まれる着色剤粒子、非晶性樹脂粒子及び結晶性ポリエステル樹脂粒子を、水系媒体中で凝集、融着させるものである。この工程では、水系媒体中に非晶性樹脂粒子分散液、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液を添加して、これらの粒子を凝集、融着させる。
着色剤粒子、非晶性樹脂粒子及び結晶性ポリエステル樹脂粒子を凝集、融着する具体的な方法としては、水系媒体中に凝集剤を臨界凝集濃度以上となるよう添加し、次いで、非晶性樹脂粒子のガラス転移点以上であって、かつ、離型剤及び結晶性ポリエステル樹脂の融解ピーク温度以上の温度に加熱することによって、着色剤粒子、非晶性樹脂粒子及び結晶性ポリエステル樹脂粒子などの粒子の塩析を進行させると同時に融着を並行して進め、所望の粒径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するために加熱を継続して行う方法である。
この方法においては、凝集剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くして速やかに結着樹脂に係る非晶性樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱することが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後の放置時間によっては粒子の凝集状態が変動して粒径分布が不安定になったり、融着させた粒子の表面性が変動したりする問題が発生することが懸念されるためである。この昇温までの時間としては通常30分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましい。
また、昇温速度としては1℃/分以上であることが好ましい。昇温速度の上限は特に規定されるものではないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から、15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、反応系がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該反応系の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、トナーの成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上させることができる。
(凝集剤)
使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、少量で凝集を進めることが可能であり、凝集性の制御も容易であることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この工程において界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤として、例えば上述の界面活性剤と同様のものを用いることができる。
(5)熟成工程
この工程は、具体的には、凝集粒子を含む系を加熱撹拌することにより、凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間を制御して、トナー母体粒子を形成する工程である。この工程においては、熱エネルギー(加熱)によりトナー母体粒子の形状制御を行うことが好ましい。
(6)冷却工程〜(8)乾燥工程
冷却工程、濾過、洗浄工程及び乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
(9)外添処理工程
この外添処理工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に、外添剤を添加、混合する工程である。
外添剤の添加方法としては、乾燥されたトナー母体粒子に粉体状の外添剤を添加して混合する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を用いることができる。
〔3.8〕静電荷像現像用現像剤
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子及びキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子の例には、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子及び樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子、が含まれる。上記キャリア粒子は、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。当該磁性体は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、鉄、ニッケル及びコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物及び熱処理することにより強磁性を示す合金、が含まれる。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物の例には、鉄、下記式(a)で表されるフェライト及び下記式(b)で表されるマグネタイト、が含まれる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金又は金属酸化物の例には、マンガン−銅−アルミニウム及びマンガン−銅−スズなどのホイスラー合金及び二酸化クロム、が含まれる。
上記芯材粒子は、上記フェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像装置内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
上記被覆材は、1種でもそれ以上でもよい。被覆材には、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であることが、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点及び被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点、から好ましい。当該シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が含まれる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、被覆層とフェライト粒子との密着性の観点からシクロヘキシル基がより好ましい。
上記シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば10000〜8000
00であり、より好ましくは100000〜750000である。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば10〜90質量%である。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、P−GC/MSやH−NMRなどの公知の機器分析法を利用して求めることが可能である。
上記二成分現像剤は、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。当該混合に用いられる混合装置の例には、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機が含まれる。
また、上記キャリア粒子の大きさ及び形状も、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。例えば、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、15〜100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜60μmの範囲内である。当該キャリア粒子の体積平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(Sympatec社製)を用いて湿式にて測定することができる。また、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合などによって調整することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
≪定着ローラーの作製≫
[第1加圧ローラー1の作製]
二液型室温硬化型シリコーンゴム(商品名:KE−1602、信越化学工業社製)100質量部に、硬化剤(商品名:CAT−1602、信越化学工業社製)を10質量部加え、撹拌機で充分に混合しシリコーンゴム混合物Aを得た。
シリコーンゴム混合物Aに、界面活性作用を有するシリコーンオイル剤(商品名:KF−6020、信越化学工業社製)を3質量部及び水を50質量部加えて十分に撹拌し、スポンジゴム前駆体Bを得た。
シリコーンゴム混合物A及びスポンジンゴム前駆体Bの調製とは別に、アルミニウム製の芯金(長さ370mm、直径22mm)に接着剤を塗布し、芯金よりも直径で15mm太い紙管を芯金が中心となるようにして被せ、底蓋を設置した。
その後、紙管と芯金との間に、シリコーンゴム混合物Aを注ぎ込み、室温で一昼夜放置し、硬化を完了させた。その後、紙管を外し、ソリッドゴム層を形成した。
その後、このソリッドゴム層に、スポンジゴム前駆体B(界面活性剤及び水を含む。)を100μmの厚さに塗布し、一昼夜放置させた後、研磨機で表面を研磨し、スポンジゴム前駆体を形成した。
このような処理により、外層がスポンジゴム前駆体で、内層がソリッドゴムの2層構造を有するシリコーンゴム層(複写機用ロール、ゴム層の面長340mm、図2参照)を得た。
上記で作製した、芯金上に形成したシリコーンゴム層及びスポンジゴム前駆体が形成されたローラーを、気体導入チャンバーに移送した。次に、気体導入チャンバーにおいて、179℃で1時間加熱した。また、加熱しながら、気体導入チャンバー内に圧縮空気を導入し、かつ、チャンバー内の気体の排出も行った。ここで、圧縮空気は、コンプレッサーによって、通常の大気を高圧で圧縮して水分含有量を5質量%としたものを用いた。また、外部から導入された圧縮空気は、シリコーンゴム前駆体の長手方向に対して80°となるようにして、シリコーンゴム前駆体に吹き付けた。また、気体の導入及び排出する速度は、9×V(m/min)とした。ここで、Vは、シリコーンゴムの前駆体が形成されたローラーの体積、すなわち定着ローラーの体積を示している。
上記のようにして、スポンジゴム層から、水及び低分子量化合物を揮発させる処理を実施した後に、チャンバーからローラーを取り出し、シリコーンゴム層及び無数の気泡を含有する発泡体であるスポンジゴム層を有する第1加圧ローラー1を得た。
上記硬化(加硫)後の定着ローラー1の直径(外径)は、30mmであり、シリコーンゴムの厚さが4mmであった。
また、以下の測定を行うことによって、第1加圧ローラーのスポンジゴム層の気泡セル径は30μmであり、気孔率は50%であることを測定により求めた。
<セル径の測定>
セル径はサンプル断面をマイクロスコープで観察して求めたものである。「セル径」とは、(セルの縦長さ)×(横長さ)の平方根をとったものであり、観察視野におけるセル50個の中央値をセル径とした。前記マイクロスコープとして、例えば、形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X100」(株式会社キーエンス製)などを用いた。
<気孔率の測定>
JIS−K−6885の規定に準じて測定される発泡体の「見掛け密度」と、本発明において発泡体の構成成分に用いる素材の「比重」として一般に公知である値(例:シリコーンゴム0.95〜0.98)を参照し、下記式1によって気孔率を求めた。
式1 気孔率(%)=(比重−見掛け密度)/比重×100
[第1加圧ローラー2〜9の作製]
第1加圧ローラーの作製において、スポンジゴム前駆体B中の界面活性作用を有するシリコーンオイル剤及び水の含有量等を任意に変更することにより、セル径と気孔率を表IIに記載の通りに調整した第1加圧ローラー2〜8を作製した。
また、第1加圧ローラー9は、スポンジゴム層を設けずに、シリコーンゴムの厚さが4mmのソリッドゴム層のみのローラーとした。
[第2加圧ローラー1の作製]
第1加圧ローラー9と同様にして、シリコーンゴムの厚さが4mmのソリッドゴム層のみのローラーとして第2加圧ローラー1を作製した。
以上作製した第1加圧ローラー1〜9と第2加圧ローラー1を図2で示す画像形成装置100の定着装置130として、第1加圧ローラー132及び第2加圧ローラー131として、表IIの組み合わせで装着した。また、ローラーの押圧を変化させることで、第1加圧ローラー及び第2加圧ローラーのニップ部のピーク面圧を表II記載のように変化させた。定着ニップ部の「ピーク面圧」は、ニッタ株式会社製 ローラー間圧力分布測定システム PINCH A3−40を用いて測定した。当該測定器で測定した面圧のうち、最も高い値(すなわちピーク値)をピーク面圧とした。
≪トナー及び現像剤の作製≫
[結晶性ポリエステル樹脂の合成及びその分散液C1の調製]
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
両反応性単量体を含む、下記のスチレン・アクリル重合セグメント(StAc)の原料単量体及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 36.0質量部
n−ブチルアクリレート 13.0質量部
アクリル酸 2.0質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7.0質量部
また、下記の結晶性ポリエステル重合セグメント(CPEs)の原料単量体を、窒素ガス導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
テトラデカン二酸 440質量部
1,4−ブタンジオール 153質量部
次いで、撹拌下で、上記滴下ロートに入れたスチレン・アクリル重合セグメント(StAc)の原料単量体を、上記四つ口フラスコ内に90分間かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の原料単量体を除去した。なお、このとき除去された原料単量体の量は、上記の仕込みの原料単量体に対してごく微量であった。その後、エステル化触媒としてチタンテトラブトキサイド(Ti(O−n−Bu)4)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次いで、200℃まで冷却した後、減圧下(20kPa)にて1時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂は、酸価20.5(mgKOH/g)、重量平均分子量(Mw)が25800、融点(Tm)が74.9℃、再結晶化温度(Rc)が69.6℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液C1の調製)
上記で得られた、結晶性ポリエステル樹脂72質量部を、メチルエチルケトン72質量部に、70℃で30分撹拌して溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.0質量部を添加した。この溶解液を、撹拌器を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水252質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化状の状態を得た。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することでメチルエチルケトンを蒸留除去し、結晶性ポリエステル樹脂の水系分散液C1を調製した。粒度分布測定器にて測定した結果、上記分散液に含まれる粒子は、体積平均粒径(メジアン径)が117nmであった。なお、体積平均粒径(メジアン径)は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定される体積基準のメジアン径の値である。
[コア粒子用ビニル樹脂粒子分散液1の調製]
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ラウリル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部を、イオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
上記混合液の滴下後、80℃にて2時間、加熱しながら撹拌することにより単量体の重合を行い、ビニル樹脂粒子分散液(1−a)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製したビニル樹脂粒子分散液(1−a)を固形分換算で80質量部と、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を90℃にて溶解させた混合液とを添加した。
スチレン(St) 285.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 20.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤)
1.5質量部
ベヘニルベヘネート(離型剤、融点73℃) 190.0質量部
循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(登録商標)(エム・テクニック社製)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、ビニル樹脂粒子分散液(1−b)を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られたビニル樹脂粒子分散液(1−b)にさらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン(St) 454.8質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 143.2質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、コア粒子用ビニル樹脂粒子分散液1を調製した。当該分散液中のビニル樹脂1の重量平均分子量(Mw)は30800であり、ガラス転移点(Tg)は49℃であった。また、分散液中のビニル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が217nmであった。
[シェル層用非晶性ポリエステル樹脂の合成及びその分散液S1の調製]
(シェル層用非晶性ポリエステル樹脂の合成)
両反応性単量体を含む、下記のスチレン・アクリル重合セグメント(StAc)の原料単量体及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記の非晶性ポリエステル重合セグメント(APEs)の原料単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
200.0質量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物
85.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
撹拌下で、上記滴下ロートに入れた混合液を上記四つ口フラスコ内へ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてチタンテトラブトキサイド(Ti(O−n−Bu)4)を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、シェル層用非晶性ポリエステル樹脂s1(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)を得た。得られたシェル層用非晶性ポリエステル樹脂は、酸価18.9(mgKOH/g)、重量平均分子量(Mw)が25000であり、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。
(シェル層用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液S1の調製)
上記で得られた、シェル層用非晶性ポリエステル樹脂72質量部をメチルエチルケトン72質量部に、70℃で30分撹拌して溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.0質量部を添加した。この溶解液を、撹拌器を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水252質量部を70分間にわたって滴下混合した。その滴下の途中で、上記反応容器内の液は白濁化し、水の全量滴下後に均一に乳化した状態となった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することでメチルエチルケトンを蒸留除去し、非晶性ポリエステル樹脂の水系分散液S1を調製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、上記分散液に含まれる粒子は、体積平均粒径が96nmであった。
[着色剤粒子分散液の調製]
ラウリル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(登録商標)(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。当該分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が114nmであった。
[トナー1の作製]
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、コア粒子用ビニル樹脂粒子分散液1を285質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液C1を40質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)及びイオン交換水2000質量部を投入した。次いで、室温(25℃)下、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、液温が80℃に到達した後、粒径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整し、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメジアン径が5.7μmになるまで成長させた。
次いで、シェル層用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液S1の37質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、分散液(反応液)の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒径の成長を停止させた。
さらに、80℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて平均円形度が0.970になった時点で2.5℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾル・ゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。なお、当該トナー1の体積基準のメジアン径は、5.6μmであった。
[トナー2〜4の作製]
トナー1の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液C1とコア粒子用ビニル樹脂粒子分散液1の種添加量(固形分換算)を表1に記載のように変更したこと以外はトナー1と同様にして、トナー2〜4を作製した。
Figure 2020173306
[現像剤1〜4の作製]
上記で作製したトナー1〜4に対し、シリコーン樹脂を被覆したキャリア(体積基準のメジアン径=60μmのフェライトキャリア)が、二成分現像剤におけるトナー含有量(トナー濃度)が6質量%となるよう添加して混合することにより、現像剤1〜4を作製した。
≪評価方法≫
[低温定着性]
市販の複合機「bizhub PRESS(登録商標) C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を、定着用ヒートローラーの表面温度を100〜210℃の範囲内で変更できるように改造し、上記第1加圧ローラーを用いて、上記各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
各現像剤について、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの普通紙mondi Color Copy 90g/m(mondi社製)上に対し、トナー付着量が11.3g/mのベタ画像を出力する定着実験を行った。このとき、設定する定着温度は、100℃から200℃まで5℃間隔で変更しながら上記定着実験を繰り返し行った。
各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、上記ベタ画像に荷重をかけるように折り機で折り、0.35MPaの圧縮空気を吹き付けた。折り目部分を、下記評価基準にしたがってランク評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
ランク5:全く折れ目なし
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:折れ目に従った大きな剥離あり
ランク3以上の定着実験のうち、最も定着温度の低い定着実験における定着温度を定着下限温度とし、この定着下限温度が160℃以下を合格とした。
[光沢安定性(ページ間)]
上記複写機を用いて、評価紙として光沢紙「PODグロスコート128(128g/m2)(王子製紙社製)」を使用した。アンダーオフセットが発生しない温度(U.O.回避温度)を基準として25℃上昇させた温度(U.O.回避温度+25℃)を定着温度とし、定着ローラーを当該定着温度とした。また、加圧ローラーを90℃に設定し、転写紙上のトナー量を4.0g/mに設定したベタ画像を連続10枚出力し、得られた画像の画像光沢を通紙方向に5点測定し、評価した。なお、光沢度は、光沢度計「Gloss Meter」(村上色彩工学研究所製)を用い、屈折率1.567のガラス表面を基準として入射角75°で測定した。ここで、測定した全光沢度のうち、最大の値と最小の値の差を光沢度差の値として算出し、光沢度差の値を下記評価基準にしたがってランク評価し、△〜◎であれば実用可であるとして合格とした。
(評価基準)
◎:入射角75°での光沢度差が5未満
○:入射角75°での光沢度差が5以上、8未満
△:入射角75°での光沢度差が8以上、12未満
×:入射角75°での光沢度差が12以上
[光沢均一性(ページ内)]
上記複写機を用いて、定着用ヒートローラーの表面温度をアンダーオフセットの発生した温度よりも20℃高い温度水準にして得られた転写紙「PODグロスコート」(128g/m)」(王子製紙株式会社製)での定着画像を用い、光沢均一性を評価した。具体的には、目視およびルーペを用いた観察にて光沢ムラの有無を観察し、下記評価基準により画像の光沢均一性の評価を行った。ランク3以上であれば実用上問題ないため、合格と判定する。
(評価基準)
ランク5:顕微鏡にて、100倍の倍率で観察しても光沢のムラが全く検知できない
ランク4:20倍のルーペで拡大して観察しても、光沢のムラがまったく検知できない
ランク3:20倍のルーペで拡大するとわずかに光沢ムラが検知できるが、目視では全く検知できず、画像品質に問題がないレベル
ランク2:目視観察でわずかに光沢ムラが検知できる
ランク1:目視で光沢ムラを明瞭に検知できる
[ドキュメントオフセット性]
上記複写機を用いて、定着用ヒートローラーの表面温度をアンダーオフセットの発生した温度よりも20℃高い温度水準にして得られた転写紙「PODグロスコート」(128g/m)」(王子製紙株式会社製)での定着画像を用い、ドキュメントオフセット性を評価した。具体的には、大理石テーブル上に、出力した10枚のプリント物をそのまま揃えて置き、重ねた部分に対して19.6kPa(200g/cm)の圧力が加わるようにおもりを載せた。この状態で温度50℃、相対湿度50%RHの環境下に3日間放置した後、重ね合わせたプリント物を剥離し、トナー画像上における画像欠損、紙裏の非画像部への裏移りの度合いを以下に示す基準にしたがって評価した。ランク3以上を合格とした。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
ランク5:画像部、非画像部ともに全く画像欠損や画像移行が見られない
ランク4:画像部の画像欠損はないが、紙裏の非画像部にわずかに画像移行が見られる
ランク3:画像部の画像欠損は殆どなく許容できるレベルであるが、紙裏の非画像部に若干の移行が見られる
ランク2:画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生し、また紙裏の非画像部への移行もところどころ見られる
ランク1:画像部の定着画像が剥がれて、画像欠損が激しく、また紙裏の非画像部へ明らかな画像の移行が見られる
以上の評価結果を表IIに示す。
Figure 2020173306
表IIから、本発明の定着ローラー(第1加圧ローラーと第2加圧ローラー)及び静電荷像現像用トナーの組み合わせの構成は、比較例に対して、低温定着性、光沢安定性、光沢均一性及びドキュメントオフセット性において、総合的に優れた評価結果を示すことが分かる。
1 芯金
2 ソリッドゴム層
3 スポンジゴム層
10 定着ローラー
100 画像形成装置
108 中間転写ベルト
110Y、110M、110C、110K 画像形成ユニット
130 定着装置
131 第2加圧ローラー
132 第1加圧(加熱)ローラー
190 感光体ドラム
191 帯電装置
192 露光装置
193 現像装置
195 クリーナー装置

Claims (8)

  1. トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を有する電子写真画像形成方法であって、
    前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、
    前記定着工程が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程を有し、
    前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、
    前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする電子写真画像形成方法。
  2. 前記発泡体が、セル径が10〜40μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成方法。
  3. 前記発泡体の気孔率が、30〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成方法。
  4. 前記定着ニップ部のピーク面圧が、80〜400kPaの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  5. 前記トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量が、3〜25質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  6. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  7. 前記トナー粒子が、さらに非晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂がビニル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成方法。
  8. トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーを使用し、少なくとも帯電工程部、露光工程部、現像工程部、転写工程部及び定着工程部を有する電子写真画像形成システムであって、
    前記トナー粒子が、少なくとも結晶性樹脂を含有し、
    前記定着工程部が、前記静電荷像現像用トナーを用いて形成された未定着画像が転写された記録材を、加熱された第1加圧ローラーと第2加圧ローラーとの間で形成される定着ニップ部を通過させることにより、前記未定着画像を前記記録材に定着させる工程部を有し、
    前記第1加圧ローラーが、未定着画像面側に配置され、かつ、芯金と前記芯金を覆う発泡体を有するローラーであり、
    前記発泡体が、セル径が1〜50μmの範囲内の気泡を含有することを特徴とする電子写真画像形成システム。
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