JP5412881B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用する複写機やプリンタ等の画像形成装置として、感光体表面にトナー像を形成した後、中間転写体表面に転写させ、この中間転写体表面に転写されたトナー像を溶融させて用紙等の記録媒体に定着させるものが知られている。
特許文献1には、(a)感光体から成る静電潜像担持体と、(b)該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を覆うように密着して重ねられたトナー像担持体と、(c)前記静電潜像に対応してトナー像担持体にトナーを吸着させ、トナー像を形成する現像装置と、(d)前記トナー像担持体と記録支持体を重ねて加熱し加圧することによって、トナー像を転写し定着する手段を有するとともに、(e)前記トナーは、JIS K7210に規定された測定方法によって、試験温度を150〔℃〕とし、試験荷重を2.16〔kg〕として10分間の押出量を測定したときに、押出量が4〔g〕以下となるものであることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、静電潜像を担持する感光体と、現像装置、感光体に圧接したロールを有する転写装置と、熱ロール定着装置を備えた画像形成装置を用い、転写工程でトナーと転写紙に熱と圧力をロールを介して与え、転写と一次定着を同時に行い、感光体と分離した一次定着した転写紙を、二次定着にて定着を行う画像形成方法であって、感光体としてアモルファスシリコーン感光体を用い、転写装置と感光体間圧力が10〜100N/cm2であり、転写装置の転写材に加える温度がトナーのガラス転移温度Tgからトナー軟化温度Tmの範囲であり、現像として一成分現像で現像を行い、トナーとして該トナーの軟化温度Tmが100〜160℃の磁性一成分トナーを用いることを特徴とする画像形成方法が開示されている。
特許文献3には、感光体上に形成された静電潜像を乾式トナーにより現像する現像工程と、次いで形成されたトナー像を転写紙に対して圧力のみで転写同時定着する一次定着工程と、さらに一次定着した転写紙上のトナー像を定着ロールを有する加熱加圧定着装置に通すことにより定着する二次定着工程を有する画像形成方法であって、トナーとして、該トナーの体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上、重量平均粒径が3.0〜10.0μmの非磁性トナーを用いることを特徴とする画像形成方法が開示されている。
特許文献4には、感光体上に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を絶縁性現像剤を用いて現像する工程、形成されたトナー画像に転写部材を重ね、バイアス電圧を印加した圧力転写ロールを用いて転写定着する工程を有することを特徴とする画像形成方法が開示されている。
また、近年、圧力による可塑化促進を可能とする樹脂構造の精密設計が可能となり、かかる圧力可塑を示す樹脂をトナーの結着樹脂として利用した発明が開示されている(特許文献5〜特許文献7)。
特開平6−289734号公報 特開2004−54060号公報 特開2004−54053号公報 特開平7−5776号公報 特開2007−114635号公報 特開2007−310064号公報 特開2007−322953号公報
本発明が解決しようとする課題は、ドット形状乱れが抑制された画像形成方法を提供することである。
上記課題は下記の<1>〜<8>に記載の手段により解決された。
<1>1つ又は複数の像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像して前記像保持体表面にトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに中間転写体表面に転写する加圧転写工程、及び、フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法、
<2>前記トナーが式(1)を満たす、前記<1>に記載の画像形成方法、
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1)
式(1)中、T(1MPa)は、フローテスター印加圧力1MPa(10kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスター印加圧力10MPa(100kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表す、
<3>前記加圧転写工程において、トナー像はフローテスター溶融粘度で105Pa・s以下となるように加圧される、前記<1>又は<2>に記載の画像形成方法、
<4>前記トナーが、ガラス転移温度が60〜120℃である高Tg樹脂とガラス転移温度が−70〜20℃である低Tg樹脂とを有するブロック共重合体を含む、前記<1>〜<3>いずれか1つに記載の画像形成方法、
<5>前記トナーが、樹脂粒子及び離型剤粒子を水系媒体中に分散する工程、分散した粒子を凝集し凝集粒子を作製する工程、並びに、凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む製造方法により製造された、前記<1>〜<4>いずれか1つに記載の画像形成方法、
<6>像保持体、前記像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに前記像保持体から中間転写体表面に加圧転写する加圧転写手段、及び、フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写手段を有することを特徴とする画像形成装置、
<7>前記転写手段が、フィルム状のトナー像を被転写体表面に転写すると同時に定着する転写定着手段である、前記<6>に記載の画像形成装置。
前記<1>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、ドット形状の乱れが抑制された画像形成方法を提供することができる。
前記<2>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、転写効率及び画像光沢に優れ、文字周り抜けが抑制された画像形成方法を提供することができる。
前記<3>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、より転写効率及び画像光沢に優れ、文字周り抜けが抑制された画像形成方法を提供することができる。
前記<4>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、数mm直径程度の微小な光沢ムラの発生を防止できる画像形成方法を提供することができる。
前記<5>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、定着工程でのドットの広がりを防止できる画像形成方法を提供することができる。
前記<6>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、像保持体(以下、「感光体」ともいう。)の劣化、現像機内でのトナーの劣化が抑制された画像形成装置を提供することができる。
前記<7>に記載の実施形態によれば、本構成を有していない場合に比べ、よりドット形状の乱れが抑制された画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
従来の静電転写法におけるトナー飛び散りを示す概略図である。 従来の画像形成方法における文字周り抜けを示す概略図である。 本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略図である。 本実施形態の転写定着手段を有する画像形成装置の一例を示す概略図である。
I.画像形成方法
本実施形態の画像形成方法は、1つ又は複数の像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像して前記像保持体表面にトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに中間転写体表面に転写する加圧転写工程、及び、フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写工程を含むことを特徴とする。
また、前記トナーが式(1)を満たすことが好ましい。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1)
式(1)中、T(1MPa)は、フローテスター印加圧力1MPa(10kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスター印加圧力10MPa(100kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表す。
像保持体表面に形成されたトナー像は、中間転写体と加圧転写ロールとの間で加圧され、フィルム化されながら中間転写体表面に転写される。フィルム状のトナー像は、カラーの場合には中間転写体表面において複数色重ねられた後に他の中間転写体や用紙等の被転写体に静電転写又は圧力転写される。その後に定着装置において圧力によりトナー像を用紙に定着させてもよい。
感光体からトナー像を直接用紙に転写する方法は、カラー画像を形成する場合等においては、各色ごとに複数回用紙を加圧する必要があるために用紙の伸びや紙しわ等の用紙変形が発生しやすくなる。しかし、本実施形態の構成では、複数色を定着させる場合であっても用紙への加圧は一工程であるため、用紙へのストレスが小さく用紙の伸びや紙しわ等の用紙変形が軽減でき、画像劣化が抑制される。以下、本実施形態の画像形成方法における各工程について説明する。
(静電潜像形成工程・現像工程)
本実施形態の画像形成方法は、1つ又は複数の像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、及び、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像して前記像保持体表面にトナー像を形成する現像工程を含む。
像保持体表面に現像されたトナー像は、トナーが集合した画素である網点や万線構造により形成されており、その面積率によって画像濃度が調整される。
(加圧転写工程)
本実施形態の画像形成方法は、前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに中間転写体表面に転写する加圧転写工程を含む。当該加圧転写工程により形成されたトナー像はドット形状乱れが抑制されており、転写効率にも優れる。
図1に示すように、像保持体11から中間転写体14への静電転写を行った場合、像保持体11表面に形成されたトナー像12を構成する帯電したトナー13同士が互いに反発し、転写する際に周辺部に飛散し、定着後において、ドット形状乱れが生じる。
本実施形態においては、このトナー像が加圧転写工程においてフィルム化され、転写工程、又は、後述する転写定着工程で被転写体表面上に転写又は転写と同時に定着される。複数色を含むカラー印刷の場合、複数色のトナー像が積層されたフィルム状のトナー像を形成した後、被転写体上に転写又は転写と同時に定着される。
本実施形態における加圧転写工程によれば、画像保持体である中間転写体とトナー像とは一体となって密着されるとともに加圧され、圧力可塑性を示す粉体トナーが溶融状態となり個々のトナーが融着して一つの平滑なフィルム状となる。
ここで「フィルム状」とは、加圧されたトナー粒子が溶融状態となることでトナー粒子同士が結合した状態を指しており、顕微鏡等で拡大観察した際に近接したトナーの個々の粒子形状が変化しているかどうかでフィルム化しているかを見極めることができる。
また、フィルム化したか否かは、加圧後のトナー像(2cm×2cmのソリッドパッチ画像)をピンセットでつまみ、一体化した状態で中間転写体から分離することが可能か否かでも確認できる。
本実施形態によれば、被転写体に対してトナー像を静電的に多重転写することはないため、ドット形状乱れなどの画像の乱れがなく、画像保持体上に鮮明でかつ転写ムラのない画像が得られる。
ここで、トナー像をフィルム化させるための加圧転写圧力は、1×103Pa〜1×1010Paであることが好ましく、1×104Pa〜1×108Paであることがより好ましく、5×104Pa〜1×107Paであることがさらに好ましい。
加圧転写圧力が1×103Pa以上であると、フィルム化が容易であり、中間転写体とフィルム化したトナー像との密着性が良好であるとともに、二次転写効率が良好である。
また、加圧転写圧力が1×1010Pa以下であると、中間転写体への応力が適切な範囲であり、しわの発生が抑制される。さらに、加圧部において必要な耐圧性を得るための機構・装置を複雑化することなく、所望の加圧転写圧力が得られるので好ましい。
加圧転写圧力は、圧力測定フィルム、プレスケール(富士フイルム(株)製)により測定できる。
加圧転写圧力は、トナーのフローテスター溶融粘度が1×105Pa・s以下となるように調整することが好ましく、1×103〜1×105Pa・sとなるように調整することがより好ましく、5×103〜0.5×105Pa・sとなるように調整することがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、トナー画像がフィルム状になりやすく、転写効率に優れる。トナーのフローテスター溶融粘度が上記範囲内となるように加圧すると、転写・定着条件の煩雑な調整を行うことなく、優れた転写画像を形成しうるので好ましい。
ここで、トナーのフローテスター溶融粘度は、以下のように算出する。フローテスター測定装置の開始温度を19℃とし、シリンダー圧力を、中間転写体上での仮想圧力相当の5MPa(50kgf/cm2)とし、昇温速度6℃/minで粘度を測定してゆく。25℃に到達した時の粘度をトナーのフローテスター溶融粘度とする。
本実施形態においては、中間転写体を加熱しない態様が好ましい。これにより、感光体及び中間転写体の加熱による劣化が防止される。前記劣化防止の観点から、中間転写体の温度は、20〜50℃であることが好ましく、25〜35℃であることがより好ましい。
また、本実施形態において、中間転写体を冷却する工程(中間転写体冷却工程)を有しないことが好ましい。中間転写体冷却工程を省略することにより、画像形成装置の小型化が期待され、さらに、冷却エネルギーを必要としない点から、より少ないエネルギーで画像が形成される点でも好ましい。
中間転写体は、環境(温度、湿度)による影響を受けにくく、表面性、抵抗値など物性的に安定したものが好ましく、適切な物性値を与えてやれば、像保持体表面と密着して加圧転写が行え、トナー像の乱れやムラが生じにくい。
本実施形態においては、中間転写体はベルト状の中間転写体が好ましく、フィルム状の基層(ベースフィルム)上に弾性体層を有するものが好ましく、さらにその表面に離型層を有するものがより好ましい。
前記フィルム状の基層(ベースフィルム)としては、PI(ポリイミド)等のフィルムが好ましい。
トナー像の加圧転写位置においては、中間転写体と加圧転写ロール等の加圧材や像保持体との密着性を向上させるために、像保持体表面と密着する側の中間転写体の表面又は離型層等を有する場合にはその下層には弾性体層を設けることが好ましい。弾性体層の硬度はゴム硬度10〜80度が好ましく、20〜75度がより好ましく、30〜70度がさらに好ましい。
中間転写体表面のゴム硬度が10度以上である場合は、中間転写体の耐摩耗性に優れ、またトナー像のフィルム化が容易である。また、80度以下であると、トナーを包みこみやすくなるため、微小な光沢ムラの発生を抑制できる。
なお、ゴム硬度はJIS K 6253に準拠したタイプA型のデュロメータを用いて測定できる。
弾性体層の厚さは10〜300μmが好ましい。弾性体層の厚さが10μm以上であると、トナーを包みこみやすくなるため、微小な光沢ムラの発生を抑制できる。また、300μm以下であると、加圧部においてフィルム化に有効な加圧を行うための圧力が過大とならないため好ましい。
弾性体層は、Siゴム、フッ素ゴム等の層であることが好ましい。
中間転写体は、像保持体表面と密着する側の表面に離型層を有するものが好ましい。転写効率の観点から、離型層は、像保持体表面よりも離型性が低く、かつ、被転写体よりも離型性が高いものが好ましい。
離型層の厚さは5〜100μmが好ましい。上記の数値の範囲内であると、離型性の維持が良好であるため好ましい。
離型層の材質は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等であることが好ましい。
(転写工程)
本実施形態の画像形成方法は、フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写工程を含む。転写工程における転写法としては、静電転写法及び圧力転写法が挙げられるが、本実施形態においては、いずれの転写法でもよい。
静電転写時において中間転写体に要求される重要な因子は、その表面抵抗率Rs(Ω/□)とその体積抵抗率Rv(Ω・cm)であり、Rsは108<Rs<1016の範囲にあることが望ましく、また、Rvは107<Rv<1015の範囲にあることが望ましい。Rs、Rvがこれらの範囲より小さいと電荷が広がってしまい、これらの範囲よりも大きいと電荷がたまりすぎてしまう結果になるからである。
また、トナー像への効率的な圧力伝達を得る目的、及び、被転写体へフィルム状のトナー像を転写させ凹凸のない画像を形成する目的で、トナー像を被転写体表面に転写する際には、中間転写体と被転写体とが密着していることが好ましい。これが実現できず、ところどころに空気が入ったりすると、空気のあるところとないところとで圧力伝達性が変わり、トナー像が均一に転写・定着せず、転写・定着ムラが生じることにより、直径数mm程度の微小な光沢ムラとなる。
被転写体としては、もう1つの中間転写体又は下記の被転写体が挙げられ、本実施形態においてはいずれでもよい。
本実施形態の画像形成方法に用いられる被転写体としては、例えば、普通紙、厚紙、OHPシート、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。また、被記録体としては、厚紙を使用することが好ましい。なお、厚紙とは、90g/m2以上である紙のことをいう。本実施形態の画像形成方法は、厚紙への画像形成に特に優れた方法であり、厚紙を用いた高速定着において、高画質と信頼性とを両立しながら、定着エネルギーの低減が可能であるため好ましい。また、厚紙への優れた画像形成のみならず、90g/m2以下の秤量である普通紙に対しても、問題なく効果的な性能を示し、定着エネルギーの低減、又は同一エネルギーにおける時間あたり画像形成速度が向上する。
(定着工程)
本実施形態の画像形成方法は、記録媒体表面に転写されたフィルム状のトナー像を記録媒体表面に定着する定着工程を含むことが好ましい。
本実施形態において、定着工程は加熱定着、加圧定着又はこれらを併用した加熱加圧定着のいずれでもよいが、好ましくは加熱なしに加圧することによって行われる加圧定着が好ましい。ただし、定着性を向上させるために、加熱手段により補助的に加熱させてもよい。本実施形態においては、加熱定着又は加熱加圧定着により定着する場合においても、定着装置と現像・転写装置とが分離しているため定着装置の熱が伝わって像保持体(感光体)等が劣化することはない。また、現像機内のトナーが熱により劣化することもない。
ここで、定着圧力は、1×104Pa〜1×108Paであることが好ましく、1×105Pa〜5×107Paであることがより好ましく、5×105Pa〜3×107Paであることがさらに好ましい。
定着圧力が1×104Pa以上であると、記録媒体とフィルム化したトナー像との密着性が良好であるとともに、定着部での溶融トナーの記録媒体への浸透が良好であり、光沢ムラの発生が抑制され、十分な定着性が得られる。
また、定着圧力が1×108Pa以下であると、記録媒体への応力が適切な範囲であり、しわの発生、用紙カールの発生が抑制される。さらに、加圧部において必要な耐圧性を得るための機構・装置を複雑化することなく、所望の定着圧力が得られるので好ましい。
定着圧力は、圧力測定フィルム、プレスケール(富士フイルム(株)製)により測定できる。
定着圧力は、トナーのフローテスター溶融粘度が1×105Pa・s以下となるように調整することが好ましく、1×103〜1×105Pa・sとなるように調整することがより好ましく、5×103〜0.5×105Pa・sとなるように調整することがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、転写効率及び定着性に優れる。トナーのフローテスター溶融粘度が上記範囲内となるように加圧すると、転写・定着条件の煩雑な調整を行うことなく、優れた定着画像を形成しうる。
本実施形態によりトナーが溶融状態となり周囲のトナーと凝集結合してフィルム化され、図1のように従来静電転写で起きていたトナーの飛び散りが防止される。
また、図2に示すように、従来の静電転写で形成されたトナー像12内において、濃度が異なる部分には、トナーの段差ができているようなものでも、本実施形態によれば、より平滑なフィルム状で転写できるので文字周り抜け等の画像抜け16も防止される。
(転写定着工程)
前記転写工程が、フィルム状のトナー像を記録媒体表面に転写すると同時に定着する転写定着工程であることも好ましい。記録媒体への転写工程と、定着工程とを別々に設けた場合と比較して、静電転写法と比べて転写工程におけるトナーの飛び散りがないため、ドット形状乱れが抑制された画像が得られる。
転写定着工程における、好ましい定着圧力及びフローテスター溶融粘度は前記定着工程における定着圧力及びフローテスター溶融粘度と同様であり、好ましい範囲も同様である。
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態において、前記静電荷像現像用トナーとしては、式(1)を満たすものを好ましく用いることができる。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1)
式(1)中、T(1MPa)は、フローテスター印加圧力1MPa(10kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスター印加圧力10MPa(100kgf/cm2)においてトナー粘度が104Pa・sになるときの温度を表す。
なお、「20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃」という表記は、「20℃≦{T(1MPa)−T(10MPa)}≦120℃」と同義であり、「{T(1MPa)−T(10MPa)}の値が20℃以上、120℃以下」と同義である。
ガラス転移温度の高い樹脂(以下、「高Tg樹脂」ともいう。)とガラス転移温度の低い樹脂(以下、「低Tg樹脂」ともいう。)とがミクロな相分離状態を形成している場合、その樹脂は、圧力に対して可塑化挙動を示し、一定以上の加圧下においては常温領域でも流動性を示す。このような樹脂はバロプラスチックと呼ばれることがある。さらに若干の加熱下であれば、このような可塑化流動挙動は促進され、より低圧の加圧下でも定着に必要な樹脂流動性が得られる。
バロプラスチックを含むトナーに一定以上の圧力が印加された場合には可塑化流動性を示し、それ未満の圧力が印加された場合には、固体的に振舞わせることができる。このことにより、電子写真プロセスにおける定着工程以外の現像工程、クリーニング工程などにおいては、高い信頼性が確保される。
また、高い信頼性を付与することにより、従来実現しがたかった3μm以下などの小径化したトナーの使用も可能になる。これによりトナー消費量の低減と高精細な画像が実現可能となる。その結果、高画質、信頼性、また、トナー消費量低減による経済性との両立ができるようになる。本実施形態においては、バロプラスチックの圧力可塑化効果を積極的に使用することによって、低温定着性と高信頼性を両立することができる。
また、加圧により可塑化流動挙動が得られるため、中間転写体上で容易にフィルム化が可能になる。これまでは、高速定着が困難であり、定着速度を落とし、高い加熱温度に設定しないと困難であった転写同時定着も、低温度設定で行うことが可能である。
本実施形態において、フローテスター印加圧力1MPaにおいて、前記静電荷像現像用トナーの粘度が104Pa・sとなる温度T(1MPa)が60℃以上であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。T(1MPa)が60℃以上であると、トナーの現像機内での強度に優れる。
フローテスター印加圧力10MPaにおいて、前記静電荷像現像用トナーの粘度が104Pa・sとなる温度T(10MPa)が80℃以下であることが好ましく、30〜60℃であることがより好ましい。T(10MPa)が80℃以上であると、十分な定着性が得られずその定着画像強度において問題となる。
前記T(1MPa)及びT(10MPa)は、30℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃の関係を満たすことが好ましい。
T(1MPa)−T(10MPa)が30℃以上であると、トナーの定着性に優れ、定着画像強度に優れる。また、T(1MPa)−T(10MPa)が120℃以下であると、定着不良を抑制でき、定着画像強度に優れる。
本実施形態においては、30℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦60℃が好ましい。上記の数値の範囲内であると定着性の観点で好ましい。
ここでのフローテスター測定条件は以下とする。
島津製作所(株)製フローテスターCFT−500Aを用い、開始温度19℃〜最大温度170℃、昇温速度3℃/min、予熱時間300sec、シリンダー圧力1MPa(10kgf/cm2)から10MPa(100kgf/cm2)まで可変とし、ダイL×D=1.0mm×1.0mmの条件で等速昇温した時の軟化状態を測定する。試料としては、トナーについてはトナーの樹脂のみを分取するのは困難であるため、トナー自体を秤量して用いる。プランジャー断面積は10cm2とする。測定方法は、等速昇温するに従い、試料は徐々に加熱され流出がはじまる。さらに昇温すると溶融状態となった試料が大きく流出し、プランジャー降下が停止し、1回の測定を終了する。各温度における流出量を19〜170℃まで3℃きざみで測定し、見かけ粘度η’(Pa・s)を得る。この際、フローテスター印加圧力1MPa(10kg/cm2)とフローテスター印加圧力10MPa(100kg/cm2)において、見かけ粘度η’(Pa・s)が1×104Pa・sとなる温度を求め、その差分を算出する。
前記バロプラスチックの例としては、ミクロ相分離構造を有するものが好ましく、特開2007−322953号公報及び特開2007−310064号公報に記載されているようなコアシェル構造を有する樹脂粒子、特開2007−114635号公報に記載されているようなブロック構造を有する共重合体がより好ましい。以下、コアシェル構造を有する樹脂及びブロック構造を有する樹脂について説明する。
本実施形態において、静電荷像現像用トナーに含まれる結着樹脂の80重量%以上が、バロプラスチックであることが好ましく、100重量%がバロプラスチックであることがより好ましい。
(コアシェル構造を有する樹脂粒子)
本実施形態に用いるトナーは、コアシェル構造を有する樹脂粒子(以下、コアシェル粒子ともいう。)を凝集して得られる静電荷像現像用トナーであることが好ましい。
トナー中に含まれるコアシェル構造の樹脂粒子が複数個以上であることを確認する方法は、特に制限はなく、透過型電子顕微鏡にてトナーの断面観察を行う方法や、染色などによりコントラストを明瞭にして断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法等が挙げられる。また、製造時のトナー粒径とコアシェル粒子の比、コアシェル粒子の使用量、製法等からトナー中に含まれるコアシェル粒子が2個以上であることが明らかである場合もある。
コアシェル粒子におけるコアを構成する樹脂とシェルを構成する樹脂とは、どちらが高Tg樹脂であってもよい。本実施形態においては、コア又はシェルのうちガラス転移温度の高い方を高Tg相、低い方を低Tg相ともいう。
高Tg相のガラス転移温度(Tg)は、45〜80℃であることが好ましく、50〜70℃の範囲にあることがより好ましい。高Tg相のガラス転移温度が45℃以上であると、トナーとしての保管性に優れ、輸送時やプリンタなどの機内においてケーキングや、連続プリント時などに感光体へのフィルミングが発生しにくく、画質欠陥も起こりにくいため好ましい。また、高Tg相のガラス転移温度が80℃以下であると、定着時(特に厚紙定着時)の定着温度が適度であり、用紙カールなど記録媒体へのダメージを生じにくい。
コアシェル構造を有する樹脂粒子は、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であるものが好ましく、30℃以上であるものがより好ましい。高Tg相と低Tg相のガラス転移温度差が20℃以上であると、十分な圧力可塑化挙動が得られ、用紙カールを抑制できる。
本実施形態に用いることができるコアシェル構造を有する樹脂粒子としては、特開2007−310064号公報、特開2007−322953号公報に記載された原料及び製造方法を用いて作製した樹脂粒子が挙げられる。
(ブロック構造を有する共重合体)
本実施形態に用いる静電荷像現像用トナーは、ブロック構造を有する共重合体(ブロック共重合体)を含むトナーであることが好ましい。
ブロック構造を有する共重合体は、高いガラス転移温度を有する樹脂(ブロックA)と低いガラス転移温度を有する樹脂(ブロックB)とを有する共重合体であることが好ましい。
前記ブロック共重合体は、ガラス転移温度が50℃以上であるブロックAとガラス転移温度が20℃以下であるブロックBとを有する共重合体であることが好ましい。かかるガラス転移温度を示すブロックA及びブロックBの組合せを採用することにより、常温での定着性が改善され、画像の強度が向上するため好ましい。
ブロックAのガラス転移温度(Tg(A))が50〜120℃であることが好ましく、60〜110℃であることがより好ましい。上記の範囲内であると、中間転写体上で容易にフィルム化する。
また、ブロック(B)のガラス転移温度(Tg(B))が−70〜20℃であることが好ましく、−60〜10℃であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると常温での定着性が改善され、画像の強度が向上するため好ましい。
さらにブロックAのガラス転移温度Tg(A)とブロックBのガラス転移温度Tg(B)との差Tg(A)−Tg(B)が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、十分な圧力定着性を達成するため好ましい。また、定着の為の熱エネルギーを削減できる。
また、ブロックA及びブロックBはホモポリマーであることが好ましい。
ブロックA及びブロックBがブロック共重合体全体の60重量%以上を占めることが好ましく、80〜100重量%を占めることがより好ましく、100重量%であることがさらに好ましい。また、ブロック共重合体がブロックA1つ及びブロックB1つよりなるABジブロック共重合体であることがさらに好ましい。
また、ブロックAとブロックBとの比率は、ブロックA及びブロックBの総量を100重量%として、ブロックAが占める割合が25〜75重量%であることが好ましい。
ブロック共重合体は、その数平均分子量が10,000〜150,000であることが好ましく、20,000〜100,000であることがより好ましく、30,000〜60,000であることがさらに好ましい。上記数値の範囲内にあると十分な定着性による画質特性と現像機内でのトナー強度の両立が可能であるため好ましい。
ブロック共重合体は、いずれの方法により得てもよい。具体的には、リビングラジカル重合、高分子反応、開環重合法などが使用される。
本実施形態のトナーはエチレン性不飽和化合物を重合させたブロックよりなるブロック共重合体を含むことが好ましい。これらブロック共重合体は種々のエチレン性不飽和化合物を重合させることにより得ることができる。本実施形態において、エチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する化合物であればよく、付加重合性の化合物であることが好ましく、アニオン重合性、カチオン重合性、ラジカル重合性、配位重合性のいずれでもよいが中でもラジカル重合性のエチレン性不飽和化合物であることがより好ましい。
Tg(A)が60℃以上であるブロックAの作製に好ましく用いることのできるエチレン性不飽和化合物としては、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレンが挙げられ、中でもスチレンを好ましく用いることができる。
またTg(B)が20℃以下であるブロックBの重合に好ましく用いるエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、アクリル酸エステル類がより好ましく、アルキル基が炭素数1〜8であるアクリル酸アルキルエステル類がさらに好ましく、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が特に好ましい。
これら、エチレン性不飽和化合物のブロック共重合の作製においては、種々のリビング重合法、例えばイオン重合法、リビングラジカル重合法など既存の手法を用いることができるが本実施形態においてはそのモノマーの組み合わせの容易からリビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
ブロック共重合体としては、結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを含むポリエステルブロック共重合体の他に、ビニル系ブロック、他のブロックを有するものが挙げられ、中でも結晶性ポリエステルブロックと非結晶性ポリエステルブロックとを含むポリエステルブロック共重合体が好ましい。
高分子反応によりブロック共重合体を得る方法の具体例としては、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とを混合して、高分子化反応により得る方法や、結晶性ポリエステル樹脂に非結晶性ポリエステル樹脂形成単量体を混合して重合する方法又はその逆の方法などが挙げられる。
本実施形態に使用するポリエステルのブロック、より具体的には、結晶性ポリエステルブロック(結晶性ポリエステル樹脂)及び非結晶性ポリエステルブロック(非結晶性ポリエステル樹脂)は、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸又はそれらのアルキルエステルと、多価アルコール又はそれらのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸などの重縮合単量体を用い、水系媒体中での直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い作製することができる。
本実施形態においては、特開2007−114635号公報の段落0027〜0035に記載されたポリエステル単量体、結晶性ポリエステル、非結晶性ポリエステルを用いることができる。
なお、前記の「結晶性ポリエステル」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味する。一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を越える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
ブロック共重合体における結晶性ポリエステルブロックと非結晶性ポリエステルブロックとの重量比は、結晶性ポリエステルブロック/非結晶性ポリエステルブロック=75/25〜25/75であることが好ましい。結晶性ポリエステルによるトナー帯電性の悪化を抑制できるためにさらに好ましい。
結晶性ポリエステルブロックと非結晶性ポリエステルブロックとの割合が上記範囲内であると、トナーを作製した場合のブロック共重合体としての帯電性及び機械的強度が十分であり、さらに低温定着性に優れるので好ましい。さらに、加圧下における流動挙動に優れるので好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を混合して、高分子化反応によりブロック共重合体を得る場合、結晶性ポリエステル樹脂は、その結晶融点が40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃であることがより好ましく、特に50〜90℃であることが好ましい。用いる結晶性樹脂の結晶融点が上記範囲内であると、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好であり、また低温においても良好な溶融流動性が得られ、定着性が良好であるので好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定できる。具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行ったときのJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
一方、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは50〜80℃であることが好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。Tgが50℃以上であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好で、定着の際にホットオフセットが生じにくく、また、80℃以下であると十分な溶融が得られ、最低定着温度の上昇が起こらないため好ましい。
ここで、非結晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば、「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度を得ることができる。
また、本実施形態において、ブロック共重合体のガラス転移温度は、50〜80℃であることが好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。ブロック共重合体のガラス転移温度が上記範囲内であると、トナーのケーキ化などが発生しにくく保管性が良好であるので好ましい。
また、ブロック共重合体の融点は50〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。ブロック共重合体の融点が上記範囲内であると、厚紙などに対する定着性と帯電性、感光体へのフィルミング耐久性などが両立しやすくなるので好ましい。尚、ブロック共重合体において、融点及びガラス転移温度が明確に観察されない場合がある。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を混合して、高分子化反応によりブロック共重合体を得る場合、混合する結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましく、1,500〜10,000であることがより好ましい。
また、混合する非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましい。
本実施形態において、ブロック共重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。
また、本実施形態に用いることができるブロック共重合体は、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択、架橋剤の添加などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、公知の種々の方法により求めることができ、測定方法の相異によって若干の差異があるが、本実施形態においては下記の測定法によって求めることが好ましい。すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定する。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いることができる。なお、溶媒及び測定温度は上記に記載した条件に限定されるものではなく、適当な条件に変更してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂は上記特開2007−114635号公報に記載の多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って重縮合反応させることによって製造することができる。この重縮合反応は、バルク重合、乳化重合、懸濁重合等の水中重合、溶液重合、界面重合等一般の重縮合法で実施することが可能であるが、好適にはバルク重合が用いられる。また大気圧下で反応が可能であるが、得られるポリエステル分子の高分子量化等を目的とした場合、減圧、窒素気流下等の一般的な条件を用いることができる。
具体的には、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
尚、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂のいずれか一方は、硫黄酸触媒の存在下で、150℃以下にて重合されたものであることが好ましい。
さらに、ブロック共重合体を形成する工程が、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂に、触媒として硫黄酸触媒を添加し、150℃以下にて加熱することにより得られたものであることが好ましい。
反応温度は、70〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃である。反応温度が70℃以上であると、モノマーの溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造することができるので好ましい。また、樹脂の着色や、生成したポリエステルの分解等を生じることがないので好ましい。
<触媒>
〔硫黄酸触媒〕
硫黄酸触媒としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、スルホン化高級脂肪酸、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが使用できるが、これに限定されない。またこれらの触媒は、構造中に官能基を有していてもよい。これらの触媒は必要に応じて複数を組み合わせることもできる。好ましく使用される硫黄酸触媒としては、アルキルベンゼンスルホン酸が例示でき、これらの中でも特にドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等が好ましい。
上記触媒とともに、又は、上記触媒の他に、一般的に使用される他の重縮合触媒を用いることもできる。具体的には、特開2007−114635号公報の段落0045〜段落0049に記載された金属触媒、加水分解酵素型触媒、塩基性触媒、硫黄を含まないブレンステッド酸触媒が例示できる。
触媒の総添加量としては、重縮合成分に対して0.01〜10重量%とすることが好ましく、0.01〜8重量%とすることがより好ましい。触媒は1種類を単独で使用することもできるが、2種以上を併用することもできる。
(静電荷像現像用トナー及びその製造方法)
本実施形態において、静電荷像現像用トナーの製造方法は、前記バロプラスチックを含む樹脂粒子及び離型剤粒子を含む分散液中で前記樹脂粒子及び前記離型剤粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、並びに、前記凝集粒子を加熱して融合合一する工程(以下、「融合合一工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
静電荷像現像用トナーの製造方法において、少なくとも樹脂粒子及び離型剤粒子を含む分散液に、必要に応じて、着色剤粒子を含む粒子(着色剤が重合工程等において樹脂中に予め添加されている場合は、それ自体が着色粒子)や他の樹脂粒子、又は、それらの分散液等を添加してもよい。静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記分散液中の前記樹脂粒子、離型剤粒子及びその他の添加した粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法を用いて凝集(会合)させることにより、トナー粒径及び粒径分布を調整することが可能である。詳細には、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂粒子のガラス転移温度以上、又は、融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合合一し、洗浄、乾燥することにより静電荷像現像用トナーが得られる。この製法は加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御できる。
樹脂粒子分散液を得るために、ブロック共重合体を水系媒体中に分散するいずれの方法を用いてもよく、例えば機械的シェアや超音波などを使用して乳化又は分散することができる。
樹脂粒子分散液は、界面活性剤や、高分子分散剤、無機分散剤などの添加物を含んでいてもよい。上記の乳化分散の際に必要に応じて界面活性剤や高分子分散剤、無機分散剤などを水系媒体中に添加することも可能である。
尚、本実施形態において、水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水が好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体は、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
本実施形態で用いることができる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3’−ジスルホンジフェニル尿素−4,4’−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2’,5,5’−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4’−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
また高分子分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどを例示することができるが、これらはなんら本実施形態を制限するものではない。
さらに、通常、水系媒体中での単量体エマルジョン粒子のOstwald Ripening現象を防ぐためにしばしば、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、ヘキサデカンに代表される高級脂肪族炭化水素類を安定助剤として配合することも可能である。
本実施形態の前記凝集工程においては、ブロック共重合体樹脂粒子分散液以外の樹脂粒子分散液とブロック共重合体樹脂粒子分散液を混合し、凝集以降の工程を実施することも可能である。その際、ブロック共重合体樹脂粒子分散液を予め凝集し第一の凝集粒子形成後、さらにブロック共重合体樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加し第一の粒子表面に第二のシェル層を形成する等、粒子を多層化することも可能である。また、当然前記の一例と逆の順序で多層粒子を作製することも可能である。
また、例えば、凝集工程において、ブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を予め凝集し、第一の凝集粒子形成後、さらにブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加して第一の粒子表面に第二のシェル層を形成することも可能である。この例示においては着色剤分散液を別に調製しているが、当然、本実施形態におけるブロック共重合体に予め着色剤が配合されてもよい。
凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。凝集に用いる金属塩化合物としては、一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂粒子分散液中に溶解して得られるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族(2〜13族)に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上であることが好ましく、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
また、本実施形態において、ブロック共重合体樹脂粒子分散液以外にも、従来から知られる乳化重合などを用いて作製された付加重合系樹脂粒子分散液を併用できる。本実施形態で用いることのできる付加重合系樹脂粒子分散液中の樹脂粒子のメジアン径は、本実施形態の樹脂粒子分散液と同様に0.02〜2.0μmであることが好ましい。
これらの付加重合系樹脂粒子分散液を作製するための付加重合系単量体の例としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類、ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えばN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有する単量体やメタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体及び共重合体など、さらには各種ワックス類もあわせて使用可能である。
付加重合系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に溶かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水系媒体中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
また、付加重合系単量体の重合時に重合開始剤や連鎖移動剤を用いることもできる。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、具体的には、特開2007−310064号公報の段落0037に記載されたラジカル重合開始剤を好ましく用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に制限はなく、具体的には炭素原子と硫黄原子との共有結合を持つものが好ましく、例えば、チオール類が好ましく挙げられる。
本実施形態においては、必要に応じて、本実施形態の結果に影響を与えない範囲で公知の添加剤を、1種又は複数を組み合わせて配合することができる。例えば、難燃剤、難燃助剤、光沢剤、防水剤、撥水剤、磁性体、無機充填剤(表面改質剤)、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、充填剤、体質顔料、結着剤、帯電制御剤等である。これらの添加物は、塗布剤を製造するいずれにおいても配合することができる。なお、本実施形態においてトナーを作製するに当たり、重合樹脂粒子を水系媒体中で重合する際に、予め着色剤やワックスなどの定着助剤、その他帯電助剤など通常トナーに必要な成分を水系媒体中に予め混合し、重合と共に重合樹脂粒子中に配合させることも可能である。
本実施形態に用いることができる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等を挙げることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらの着色剤は単独又は混合して使用される。これらの着色剤は、任意の方法、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等や、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することにより、着色剤粒子の分散液を調製することができる。
また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもでき、また、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
本実施形態の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することができる。
黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加することができる。
前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するために好ましい量である。
また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)を100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。
なお、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。
本実施形態で用いることができる離型剤の具体例としては、例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらのワックス類を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、得られた離型剤粒子分散液の粒径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、若しくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。本実施形態において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
重合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
難燃剤、難燃助剤としては、すでに汎用されている臭素系難燃剤や、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウムを例示できるがこれに限定されるものではない。
凝集粒子の融合合一工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
さらに本実施形態のトナーは、流動性付与やクリーニング性向上等の目的で無機粒子を混合、又は、樹脂粒子表面へ添加して用いることが好ましい。
本実施形態に用いることができる無機粒子としては、好ましくは一次粒径が5nm〜2μmであり、より好ましくは5nm〜500nmである粒子である。またBET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%であり、好ましくは0.01〜2.0重量%である。
このような無機粒子としては例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれも含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上、日本アエロジル(株)製)、タラックス500(タルコ社製)等を挙げることができる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
本実施形態に用いるトナーの累積体積平均粒径D50は3.0〜9.0μmの範囲が適当である。D50が3.0μm以上であると、付着力が適度であり、現像性に優れるため好ましい。また、D50が9.0μm以下であると、画像の解像性が良好であるため好ましい。
また、本実施形態に用いるトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると解像性が良好で、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥が起こりにくいため好ましい。
本実施形態に用いるトナーの累積体積平均粒径D50や平均粒度分布指標GSDvは、例えば、コールターカウンターTA−II(ベックマン・コールター(株)製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)等の測定機器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P1/2として算出される。
本実施形態のトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100〜140の範囲であることが好ましく、110〜135の範囲であることがより好ましい。本実施形態の形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡画像を画像解析装置によって解析することによって数値化でき、例えば、次のような方法で求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて、トナー粒子の絶対最大長、トナー粒子の投影面積を測定し、SF1を下記の式にて求めることができる。
SF1={(ML)2/A}×(π/4)×100
式中、MLはトナー粒子の最大長を示し、Aは粒子の投影面積を表す。
II.画像形成装置
本実施形態の画像形成装置は、像保持体、前記像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに前記像保持体から中間転写体表面に加圧転写する加圧転写手段、及び、フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写手段を有することを特徴とする。前記トナーは前記式(1)を満たすことが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置の好ましい実施態様として、前記転写手段が、フィルム状のトナー像を被転写体表面に転写すると同時に定着する転写定着手段である画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態の画像形成装置について図面を参照しながら説明する。
図3に示すように、本実施形態の画像形成装置10として、いわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置を例示できる。4つの色(図3ではY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック))の画像形成ユニット20(具体的には20Y、20M、20C及び20K)を横方向に配列し、その下方には各画像形成ユニット20Y、20M、20C及び20Kの配列方向に沿って循環搬送される中間転写体14(中間転写ベルト)を配設する。さらに、その下方には用紙等の記録媒体S(被転写体)が収容されるシート供給カセット(不図示)を配設したものである。
図3において、各画像形成ユニット20(20Y〜20K)は、中間転写ベルト14の循環方向上流側から順に、例えばイエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用のトナー像を形成するものである。例えば所定方向に回転する像保持体21(感光体ドラム)(具体的には21Y、21M、21C及び21K)を有し、この像保持体21の周囲には、像保持体21を予め帯電する帯電機(不図示)と、像保持体21上に静電潜像を書き込む露光手段である露光ユニット25(25Y、25M、25C及び25K)と、像保持体21上に書き込まれた静電潜像を所定のトナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像(粉体)50を形成し、可視像化する現像装置27(27Y、27M、27C及び27K)と、前記トナー像(粉体)50を加圧してフィルム状にするとともに前記像保持体から中間転写体表面に加圧転写する加圧転写手段である加圧転写ロール30(30Y、30M、30C及び30K)と、像保持体21上の残留トナーを除去するクリーナ(不図示)とを順次配設したものである。
無端状のベルト部材である中間転写体14は、複数の駆動ロール31、張架ロール(不図示)に掛け渡されており、横長の略三角形の軌道に沿って、図中反時計方向に回転可能に形成されている。そして、中間転写体14は、ギア等を介して不図示の駆動源に接続された駆動ロール31により駆動されて走行する。
さらに、各像保持体21に対応した中間転写体14の裏面には加圧転写ロール30が配設され、この像保持体21と加圧転写ロール30との間において、前記トナー像(粉体)50を加圧してフィルム状にするとともに前記像保持体21から中間転写体14表面に加圧転写する。
さらにまた、中間転写体14の画像形成ユニット20Kの下流側に二次転写ロール41、バックアップロール43、給電ロール45及び二次転写ロールクリーナ47等により形成された二次転写装置40が配設されており、中間転写体14上のフィルム状のトナー像(フィルム状)51を記録媒体S表面に静電転写するようになっている。
図3では、二次転写装置40は、中間転写体14のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール41と、中間転写体14の裏面側に配置されて二次転写ロール41の対向電極をなすバックアップロール43とを備えている。そして、例えば二次転写ロール41が接地されており、また、バックアップロール43(従動ロール34)にはトナー像(フィルム状)51の帯電極性と同極性のバイアスが給電ロール45を介して印加されている。さらに、二次転写ロール41は、二次転写ロールクリーナ47により、残留トナーが除去されるようになっている。
また、中間転写体14の画像形成ユニット20Yの上流側にはベルトクリーナ(不図示)が配設されており、中間転写体14上の残留トナーを除去するようになっている。
また、シート供給カセット(不図示)には記録媒体Sをピックアップするフィードロールが設けられ、このフィードロールの直後には記録媒体Sを搬送する適宜数の搬送ロールが配設されると共に、二次転写部位の直前に位置するシート搬送路には記録媒体Sを所定のタイミングで二次転写部位へ供給するレジストレーションロール(レジストロール)が配設されている。
一方、二次転写部位の下流側に位置するシート搬送路にはシート搬送ベルト60を介して定着装置70が設けられている。
このように構成した画像形成装置によれば、各画像形成ユニット20にて像保持体21上に各色トナー像(粉体)50が形成され、各色トナー像(粉体)50が順次中間転写体14上に加圧転写された後、シート供給カセットから所定のタイミングで供給された記録媒体Sに、二次転写装置によって一括二次転写され、その後、定着装置70の加圧ロールの間を記録媒体Sが通過させられる間に、トナーが記録シートSに定着されて、画像が記録媒体S上に定着形成されるようになっている。
図4は、転写手段(二次転写装置40)が、フィルム状のトナー像(フィルム状)51を記録媒体S表面に転写すると同時に定着する転写定着手段である転写定着装置80を備えた画像形成装置の概略図である。
図4に示す画像形成装置によれば、記録媒体Sへの転写と定着を同時に行うことができるため、装置の簡略化が可能である。
以下、本実施形態を実施例により詳細に説明するが、以下の実施例は本実施形態を何ら限定するものではない。以下、特に断りのない限り「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
<ガラス転移温度、融点の測定>
示差走査熱量計(DSC)によりガラス転移温度、融点の測定を行った。具体的には、(株)島津製作所製DSC50を使用して測定した。
試料:3〜15mg、好ましくは5〜10mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いた。
温度曲線:昇温I(20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温IIで測定される吸熱曲線から、ガラス転移温度を測定する。ここで、ガラス転移温度とは、吸熱ピークの曲線の微分値が極大となる温度の中で、最低の温度における曲線の接線とベースラインとの交点の温度をいう。融点とは、昇温Iにおける融解吸収ピークの最大値を測定する。
<D50及びGSDvの測定>
分散液中の粒子の中心径は、(株)堀場製作所製LA−920を使用して測定した。また、得られたトナーのD50及びGSDvは、コールターカウンターTA−II(ベックマン・コールター(株)製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)等の測定機器で測定した。
尚、本実施例に用いたトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定の割合で混合し、撹拌しながら金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させて凝集粒子を形成した。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度に加熱して融合合一した。融合合一終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得た。以下、それぞれの調製方法を説明する。
(樹脂粒子分散液の調製)
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
イソフタル酸 170部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 310部
ジブチル錫オキサイド 0.5部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下150℃で5時間重縮合を実施したあと、180℃に温度を上げてさらに2時間重合を加え、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は4,500、ガラス転移温度(オンセット)は60℃であった。
1,4−ブタジオール 76部
セバシン酸 85部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下100℃で6時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は5,000、結晶融点は60℃であった。ガラス転移温度(オンセット)は−30℃であった。
さらに、上記樹脂2種を重量比で1:1で120℃にて混合して、撹拌機を備えたリアクターにて5時間加熱することにより、ブロック共重合体を形成した。ブロック共重合体としてのDSCによるガラス転移温度(オンセット)は55℃であり、融点は60℃近傍に小さく観測された。また、GPCによる重量平均分子量は10,000であった。
この樹脂100部に界面活性剤としてソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を加え、さらにイオン交換水300部を加え、80℃に加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら95℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が250nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
(着色剤粒子分散液の調製)
<着色剤粒子分散液(P1)の調製>
シアン顔料(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン C.I.Pigment Blue15:3) 50部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5部
イオン交換水 200部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により5分間分散し、さらに超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%の着色剤粒子分散液(P1)を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
<離型剤粒子分散液(W1)の調製>
ドデシル硫酸 30部
イオン交換水 852部
上記成分を混合し、ドデシル硫酸水溶液を調製した。
パルミチン酸 188部
ペンタエリスリトール 25部
上記成分を混合し、250℃に加熱し融解した後、上記のドデシル硫酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で15分乳化後、乳化物を撹拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。これにより粒子の中心径が200nm、融点が72℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(W1)を得た。
(実施例1)
<トナー粒子(1)の調製>
樹脂粒子分散液(1) 272部(樹脂54.4部)
着色剤粒子分散液(P1) 40部(顔料8.6部)
離型剤粒子分散液(W1) 80部(離型剤17.2部)
ポリ塩化アルミニウム 17.2部
イオン交換水 300部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を105部(樹脂21部)追加して緩やかに撹拌した。その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いシアントナー粒子(1)を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.24であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は135のポテト形状であった。
<外添トナー(1)及び静電荷像現像剤(1)の調製>
上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5部を添加し、サンプルミルで混合してシアン色の静電荷像現像用トナー(1)を得た。
そして、ポリメチルメタクリレート(綜研化学(株)製、Mw75,000)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して静電荷像現像剤(1)を調製した。
<トナーの評価>
静電荷像現像用トナー(1)は、(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、25℃、100℃であり、75℃の温度差が観測された。
マゼンタ、イエロー及びブラックの静電荷像現像用トナー(1)は、シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:2)、イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー97)又はブラック顔料(カーボンブラック R330)を用いた以外は、シアンの静電荷像現像用トナー(1)と同様にして調製した。
マゼンタ、イエロー及びブラックの静電荷像現像用トナー(1)について、(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型を用いて10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度を測定した結果、シアンの静電荷像現像用トナー(1)と同じ結果が得られた。
〔画像の記録〕
図3は、本実施例の画像形成方法に用いた画像形成装置10を示す構成図である。
画像形成装置10において、ベルト状の中間転写体14は、駆動ロール31、バックアップロール41により支持されて図中に示す矢印方向に回転を行う。中間転写体14の周辺にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する4つの像保持体21Y、21M、21C、21Bが配置され、それぞれ帯電機(不図示)により一様に帯電された後、濃度信号に応じて光ビームパルス幅変調装置によってオンオフされる光ビーム走査装置を備えた露光ユニット25により露光され、静電潜像が形成される。各像保持体21上の静電潜像は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック色のトナーが入った現像装置27Y、27M、27C、27Bにより現像され、面積変調により濃度を表すいわゆるデジタル画像の各色トナー像が各像保持体21Y、21M、21C、21B上に形成される。この各色トナー像は、順次、加圧転写ロール30Y、30M、30C、30Bにより、中間転写体14の表面に5MPaの圧力でフィルム化されながら加圧転写され、中間転写体14に複数色のフィルムが重なったトナー像(フィルム状)51が形成される。
その後、記録媒体Sの送紙に伴い、前記トナー像(フィルム状)51は記録媒体Sの表面に静電転写される。その後、前記トナー像(フィルム状)51を保持した記録媒体Sが定着装置70を構成する加圧ロールの間を移動し、加圧される(定着圧力5MPa、温度25℃)。トナー像(フィルム状)51は記録媒体Sに浸透し定着が終了する。
中間転写体14として、ベースフィルム(材質ポリイミド、厚み100μm)、弾性体層(材質シリコーンゴム、厚み10μm)、離型層(材質PFA、厚み30)よりなる、ゴム硬度50度のベルト状の中間転写ベルトを用いた。
加圧ロールとして、金属ロール上にシリコーンゴム等の耐熱弾性層を有したものを用いた。
記録媒体Sとして富士ゼロックス(株)製の厚紙コート紙であるミラーコートプラチナ紙(256g/m2)を使用し、プロセススピードを180mm/secで印刷した。
(評価)
a.感光体劣化
上記画像形成装置を用いて実験室環境(温度25℃、湿度60%)で5万枚の連続プリント試験を行った。感光体の劣化は、全面ベタ画像における白点・黒点のディフェクトを評価することにより測定した。
感光体の劣化を下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に示した。
○:ディフェクトが見られない
△:白点・黒点のディフェクトがわずかに見られるが気にならない
×:白点・黒点のディフェクトが目立つ
b.現像機内トナー劣化
現像機内トナー劣化は、現像機内のトナー粒径を評価することにより測定した。現像機内トナー劣化を下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に示した。
○:トナー粒径分布に変化が見られない
△:凝集して大きくなったトナーがわずかに見られるが画像では見えない
×:凝集して大きくなったトナーが多く画像で確認できる
c.転写効率
中間転写体の転写効率は、転写前後の感光体上のトナー重量比を評価することにより測定した。転写効率を下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に示した。
◎:転写効率90%以上
○:転写効率80〜89%
△:転写効率60〜79%
×:転写効率60%未満
d.ドット形状乱れ
ドット形状乱れは、画像密度40%以下の低濃度領域での画像を顕微鏡観察したときのドット形状を評価することにより測定した。ドット形状乱れを下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に示した。
○:ドット外周が滑らかで円形に近い
△:ドットの凹凸があるが画像では気にならない
×:ドットの凹凸が多く画像でのざらつき感が気になる
e.画像光沢
画像光沢は、BYK社製micro−TRI−glossで60°Glossを測定することにより測定した。画像光沢を下記の基準に基づいて評価した。結果を表1に示した。
○:50%を超える
△:30%以上50%以下
×:30%未満
記録媒体Sに転写・定着されたトナー像の表面及び記録媒体表面は、密着状態で搬送される中間転写体14の表面により平滑化されるため、表面が均一で、且つ、高い光沢を有する画像が形成された。
f.加熱定着
加熱定着が必要であるか、不要であるかの判断は下記の通りである。
必要:定着部にランプヒータ等の加熱源を要する
不要:定着部にランプヒータ等の加熱源を要しない
オイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は25℃で、画像は充分な定着性を示すとともに、光沢の均一性も良好であった。
g.フィルム化
2×2cmのソリッドパッチ画像を作成し、中間転写体上で加圧後の画像をピンセットでつまみ、一体化した状態で分離することが可能か判断した。
○:一体となって分離可能
△:画像が途中で切れ分離困難
×:一体で分離することができない
○を合格とした。
(比較例1)
実施例1で使用した樹脂粒子分散液(1)の代わりに、以下の樹脂粒子分散液(C1)を用いた以外はすべて実施例1と同様にトナーを作製し評価した。
<樹脂粒子分散液(C1)の作製(スチレン−ブチルメタクリレート系、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)>
丸型ガラスフラスコ中に、300部のイオン交換水と1.5部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、(株)シグマ社製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。n−ブチルメタクリレートモノマー40部を加え、さらに20分間撹拌を行った。開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5部を予め、10部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー50部と、n−ブチルアクリレートモノマー25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部及び0.8部のドデカンチオールを0.5部のTTABを溶解したイオン交換水100部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。温度を70℃に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了した。
重量平均分子量Mwは19,000、平均粒径は280nm、固形分量が25重量%の樹脂粒子分散液(C1)を得た。
樹脂を40℃で風乾後、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度を分析すると、25℃付近にポリブチルメタクリレートによるガラス転移が観測され、また42℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体からなると考えられる共重合体によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:17℃)。
実施例1と同様に静電荷像現像用トナー(C1)を作製し、トナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.19であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は129のポテト形状であった。
実施例1と同様に(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、120℃、110℃であり、10℃の温度差が観測された。
静電荷像現像用トナー(1)の代わりに静電荷像現像用トナー(C1)を使用した以外は、実施例1と同様に、トナーの評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、静電転写により中間転写体表面にトナー像を転写した以外は、実施例1と同様にして画像を形成し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005412881
本実施例1と従来提案されている方法とを比較した。静電転写のトナー飛散を防止する方法としては、例えば、特開2004−54060号公報に記載の方法(比較例3〜5)、特開平6−289734号公報に記載の方法(比較例6)及び特開2004−54053号公報に記載の方法(比較例7)等がある。
(比較例3〜5)
特開2004−54060号公報には、転写ロールと感光体間に0.5MPaの圧力を加え、さらに用紙にトナーガラス転移温度からトナー軟化温度の範囲である70〜120℃の温度を加えてトナーを塑性変形させながら用紙に転写させる方法が開示されている。
当該方法を用いて、以下に示す静電荷像現像用トナー(C3)を用いて画像を形成した。静電荷像現像用トナー(C3)の製造方法を以下に示す。
<非結晶性ポリエステル樹脂(C3)の調製>
三口フラスコに、テレフタル酸50部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物26部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物160部、フマル酸19部、ドデセニルコハク酸21部及びジブチル錫オキサイド0.23部を入れ、窒素雰囲気下、180℃で3時間反応させた。反応中、生成された水は系外へ除去した。その後、徐々に減圧しながら、240℃まで温度を上げて、2時間反応させた後、冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂(C3)を得た。非結晶性ポリエステル樹脂(C3)の重量平均分子量は17,200、ガラス転移点(Tg)は60.5℃であった
<非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3)>
三口フラスコに、非結晶性ポリエステル樹脂(C3)を100部、酢酸エチル50部及び2−プロピルアルコール30部を入れ、スリーワンモーターで撹拌させながら、60℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10%アンモニア水溶液25部を加えた。さらに、イオン交換水400部を徐々に加えて転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20重量%に調整し、非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3)を得た。分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は155nm、固形分量が30重量%、体積粒度分布指標(GSDv)は1.28であった
<結晶性ポリエステル樹脂(C3)>
三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100部、エチレングリコール100部及びジブチル錫オキサイド0.08部を入れ、窒素雰囲気下で、180℃で6時間反応させた。反応中、生成された水は系外へ除去した。その後、徐々に減圧しながら、220℃まで温度を上げて、5時間反応させた後、冷却し、結晶性ポリエステル樹脂(C3)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(C3)の重量平均分子量は25,900、融点は70.6℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3)>
非結晶性ポリエステル樹脂(C3)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂(C3)を用いた以外は、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(C3)の作製と同様の条件で結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3)を作製した。分散液中の樹脂粒子の体積平均粒径は203nm、固形分量が28.6重量%、体積粒度分布指標(GSDv)は1.26であった。
<トナー粒子(C3)の調製)>
非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3) 242部(樹脂72.8部)
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3) 35部(樹脂10部)
着色剤粒子分散液(P1) 40部(着色剤8.6部)
離型剤粒子分散液(W3) 40部(離型剤8部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15部
イオン交換水 300部
これらを丸型ステンレス製容器に加えて混合した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液を2.5部加え、44℃まで昇温してコア粒子を形成させた。その後、シェルを形成させるために非結晶性ポリエステル樹脂(C3)を130部加えて、コア粒子表面にシェル粒子を被覆させた後、さらに粒子を合一させるために95℃まで昇温し、95℃において1時間保持した後、冷却、アルカリ、酸及び水で洗浄を行った。次いで、これを乾燥して、体積平均粒径が6.1μm、GSDvが1.28のシアントナー粒子を得た。
実施例1と同様の方法でトナーに外添し、実施例1と同様の方法で現像剤を調製した。
実施例1と同様に(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、132℃、131℃であり、1℃の温度差が観測された。
また、評価機として特開2004−54060号公報に記載されているリコーのImagioMF7070の転写、定着部を改造したものを用い、表2に示す転写温度、転写圧力に設定して印刷し、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。
比較例3〜5に示す方法では、像保持体(感光体)が熱で劣化するよりも低い温度でトナーを加熱するために感光体の劣化を防ぎながらトナーの飛び散りを防止することはできる。しかし、転写効率を低下させないようにトナーをガラス転移温度近傍で扱うと現像機内でトナーが一部溶けてしまう等のトナー劣化が発生した(表2の条件2〜3)。
(比較例6)
特開平6−289734号公報には、感光体ベルトから用紙へ転写する際にトナーを加熱溶融させて、転写と同時に定着させる方法が開示されている。
静電荷像現像用トナーとして、比較例3と同じトナーを使用した。また、評価機として特開平6−289734号公報に記載されているものを用い、表2に示す転写温度、転写圧力に設定して印刷し、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。
この方法によりトナーの飛び散りは防止できるが、トナーを溶融するための熱で感光体も加熱されてしまい感光体表面が劣化してしまう等の熱ストレスが懸念される(表2の条件4)。
(比較例7)
特開2004−54053号公報には、転写ロールと感光体間に3.0MPaの圧力を加え、トナーを加熱せずに圧力だけでトナーを塑性変形させながら用紙に転写させる方法が開示されている。
静電荷像現像用トナーとして、比較例3と同じトナーを使用した。また、評価機として特開2004−54053号公報に記載されている(株)リコーのImagioMF7070の転写、定着部を改造したものを用い、表2に示す転写温度、転写圧力に設定して印刷し、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示した。
この方法では、転写部での加熱がないため感光体や現像機での劣化を防ぎながらトナーの飛び散りを防止することはできるが、トナーが溶けていない状態で強い圧力をかけるためにトナーの破壊・変形によるドット形状の乱れが観察された(表2の条件5)。
Figure 0005412881
本実施例においては、圧力で、フローテスター溶融粘度で105Pa・s以下となる特性の静電荷像現像用トナーを用いているため、転写部での加熱を必要としない。また、加圧時にトナーがフローテスター溶融粘度で105Pa・s以下となるように加圧されることにより、トナーが凝集力で結合し、従来技術のようにトナーを粉体状で破壊・変形させて転写するよりもドット形状の乱れが少なくなった。また、トナーの飛び散り防止に加えて定着部の熱も不要なため、高画質化と低消費電力化が可能となった。
10 画像形成装置
11 像保持体
12 トナー像
13 帯電したトナー
14 中間転写体
15 定着画像
16 画像抜け
20(20Y、20M、20C、20K) 画像形成ユニット
21 像保持体
25 露光ユニット
27 現像装置
30 加圧転写ロール
31 駆動ロール
40 二次転写装置
41 二次転写ロール
43 バックアップロール
45 給電ロール
47 二次転写ロールクリーナ
50 トナー像(粉体)
51 トナー像(フィルム状)
60 シート搬送ベルト
70 定着装置
80 転写定着装置
S 記録媒体

Claims (5)

  1. 1つ又は複数の像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
    トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像して前記像保持体表面にトナー像を形成する現像工程、
    前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに中間転写体表面に転写する加圧転写工程、及び、
    フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写工程を少なくとも含み、
    前記トナーが、ガラス転移温度が60〜120℃である高Tg樹脂とガラス転移温度が−70〜20℃である低Tg樹脂とを有するブロック共重合体を含むことを特徴とする
    画像形成方法。
  2. 前記加圧転写工程において、トナー像はフローテスター溶融粘度で105Pa・s以下となるように加圧される、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーが、樹脂粒子及び離型剤粒子を水系媒体中に分散する工程、分散した粒子を凝集し凝集粒子を作製する工程、並びに、凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む製造方法により製造された、請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 像保持体、
    前記像保持体を帯電させる帯電手段、
    帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、
    トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、
    前記トナー像を加圧してフィルム状にするとともに前記像保持体から中間転写体表面に加圧転写する加圧転写手段、及び、
    フィルム状のトナー像を中間転写体表面から被転写体表面に転写する転写手段を有し、
    前記トナーが、ガラス転移温度が60〜120℃である高Tg樹脂とガラス転移温度が−70〜20℃である低Tg樹脂とを有するブロック共重合体を含むことを特徴とする
    画像形成装置。
  5. 前記転写手段が、フィルム状のトナー像を被転写体表面に転写すると同時に定着する転写定着手段である、請求項に記載の画像形成装置。
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