JP4032602B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、電子写真法、静電記録法等によって形成される静電潜像を現像するための重合トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて、感光体上に形成された静電潜像を可視化するための現像剤として、トナーが用いられている。トナーは、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤などを含有する着色粒子である。トナーの製造方法は、粉砕法と重合法に大別される。粉砕法は、結着樹脂や着色剤などの各成分を溶融混練し、次いで、粉砕し、分級してトナー(粉砕法トナー)を製造する方法である。粉砕法では、結着樹脂として粉砕されやすい脆性のある材質のものを使用する必要があるため、粉砕工程で多量の微粉末が発生する。これらの微粉末は、分級により除去しなければならないが、工程が煩雑で、しかも歩留りが低くなる。さらに、粉砕法トナーは、結着樹脂が脆い材質であるため、複写機などの装置内で使用時に微粉化され、その結果、画質が低下する。
【0003】
一方、重合法は、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤などを含有する重合性単量体混合物を懸濁重合することにより、着色剤などを含有する重合体粒子を生成させる方法である。重合法では、得られた重合体粒子をトナー(重合トナー)として使用することができる。このように、重合法では、粉砕工程を必要としないため、重合性単量体として、粉砕され難い重合体を形成し得る材料を選択することができる。重合トナーは、実質的に球形であるため、流動性に優れ、しかも粒径分布が粉砕法トナーと比較して格段にシャープである。
【0004】
重合トナーは、このように優れた特性を有しているものの、重合法に伴う特有の問題点を有している。具体的には、重合法では、重合により生成した重合体粒子を洗浄し、濾過した後、ウエットケーキと呼ばれる湿潤状態にある重合体粒子を乾燥する必要があるが、乾燥工程で、重合体粒子同士の融着や凝集が起こりやすい。また、重合体粒子が乾燥装置内の壁や管壁などに付着して、乾燥効率の低下や乾燥時間の遅延を引き起こし、装置の保守も頻繁に行う必要がある。乾燥工程で、重合トナーが本来有する球形の形状が損なわれることもある。
【0005】
このような乾燥工程に伴う問題点は、近年の高画質化、複写や記録の高速化、省エネルギー化、装置の小型化、画像のフルカラー化などの要求に応えるために開発された重合トナーにおいて、特に顕著である。例えば、高画質化の要求に応えるには、重合トナーの平均粒径を汎用のものよりも小さくして、画像を高精細化する必要がある。複写や記録の高速化、省エネルギー化、装置の小型化、フルカラー化などの要求に応えるには、重合トナーの定着温度を従来よりも低温にする必要がある。重合トナーの定着温度を下げることにより、定着時間を短縮させて、複写や記録の高速化を図ることができる。また、重合トナーの定着温度を下げることにより、定着ロールの温度を下げることができ、省エネルギー化や装置の小型化に寄与することができる。さらに、重合トナーの定着温度を下げると、転写紙などの転写材上で各色のトナーを均一に溶融して定着することができるため、フルカラー化に対応することができる。
【0006】
重合トナーの定着温度を下げる手段としては、結着樹脂となる重合体成分のガラス転移温度(Tg)が低くなるように設計したり、重合トナー中に低軟化点物質を含有させたりする方法が採用されている。ところが、重合トナーの小粒子化や重合体成分の低Tg化、低軟化点物質の含有などの手法を採用すると、乾燥工程での重合体粒子の融着や凝集、装置への付着などの問題が一層ひどくなる。
【0007】
また、重合トナーの重合体成分のTgを低くすると、重合トナーの保存中、あるいは複写機等に配置したトナーボックス中で、重合トナー同士がブロッキングしやすくなる。従来、重合トナーの定着温度を下げ、同時に、耐ブロッキング性を向上させる手法として、重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合して着色重合体粒子を生成させ、次いで、該着色重合体粒子の存在下に、該着色重合体粒子を構成する重合体成分のTgよりも高いTgの重合体を生成することができる重合性単量体を重合させることにより、コア・シェル構造の重合体粒子を生成させる方法が知られている。この手法を採用すると、低Tgの着色重合体粒子(コア)の周囲を高Tgの薄い重合体層(シェル)で被覆した構造の重合体粒子を得ることができる。この重合体粒子を重合トナーとして使用すると、定着温度を下げることができるとともに、重合トナー同士のブロッキングを抑制することができる。しかし、このようなコア・シェル構造の重合トナーであっても、乾燥工程における前記の如き問題点を克服することは、非常に困難であった。
【0008】
従来より、重合トナーの乾燥方法に関し、様々な改良提案がなされている。例えば、特開昭63−124055号公報、特開平7−295295公報、及び特開平9−80803号公報には、重合法により得られた重合トナーの乾燥工程において、湿潤状態の重合トナー粒子を気体により浮遊懸濁させ、流動層を形成しつつ乾燥する方法が提案されている。この乾燥方法によれば、確かに効率良く乾燥することができるものの、乾燥温度を高くする必要があるため、重合トナー同士の融着や凝集を充分に抑制することが困難であった。特に、小粒子化や重合体成分の低Tg化、低軟化点物質の含有などの手法を採用した重合トナーに、この乾燥方法を適用すると、重合トナー同士の融着や凝集が起こりやすくなる。
【0009】
特開平2−259659号公報には、懸濁重合法により得られた重合トナー凝集物を、粒径1.0mm以上の大粒径の個体粒子を充填した筒体内部に導入し、熱風を吹き付けることにより、重合トナーを個体粒子と衝突させて、凝集物の解砕と乾燥とを行う方法が提案されている。この乾燥方法でも、熱風の温度を高くする必要があるため、重合トナーの融着や凝集を充分に抑制することは困難である。
【0010】
特開平8−160662号公報には、懸濁重合後、懸濁液に酸またはアルカリを添加して分散安定剤を可溶化した後、洗浄、脱水し、得られた湿潤状態の重合トナー粒子を真空式乾燥機にて乾燥する方法が提案されている。この方法によれば、比較的低温で乾燥することができるため、重合トナーの融着や凝集を抑制することができる。しかし、この乾燥方法でも、手でほぐれる程度ではあるが、軽い凝集物が生成することがあるので、長時間をかけて充分に乾燥させる必要があり、生産性に難点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重合法により生成した重合トナーの乾燥工程において、重合トナー同士の融着や凝集、重合トナーの乾燥装置への付着を防ぎながら、効率よく乾燥することができる重合トナーの製造方法を提供することにある。特に、本発明の目的は、ガラス転移温度が低い重合体成分を有する重合トナーや、低軟化点物質を含有する重合トナーであっても、乾燥工程において、重合トナー同士の融着や凝集、重合トナーの乾燥装置への付着を防ぎながら、効率よく乾燥することができる重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、重合により生成した重合トナー(着色剤を含有する重合体粒子)を洗浄し、濾過した後、ウエットケーキと呼ばれる湿潤状態にある重合トナーを予備乾燥させて、含水率を60%以下に調整し、次いで、これに有機微粒子及び無機微粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種の固体微粒子を添加し、重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥する方法に想到した。
【0013】
本発明の方法によれば、重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥するため、重合トナー同士の融着や凝集を防ぎながら乾燥させることができる。また、本発明の方法によれば、重合トナーと固体微粒子とを機械的に混合することができる混合装置を用いて、減圧下に混合しながら乾燥することができるため、重合トナー同士の融着や凝集、装置への付着を効果的に抑制し、さらには、乾燥時間を短縮することができる。固体微粒子として、重合トナーの体積平均粒径よりも小さな微粒子を用いることにより、乾燥工程後の分級工程で固体微粒子が重合トナーに付着して残存しても、流動化剤や研磨剤として作用するため、不都合な問題を生じることがない。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、重合トナーの製造方法において、
(1) 重合により生成した重合トナーを洗浄し、濾過した後、湿潤状態にある重合トナーの含水率を10〜60%に調整し、次いで、
(2) 含水率10〜60%の湿潤状態にある重合トナーに、有機微粒子及び無機微粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種の固体微粒子を添加し、重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥する
ことを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.重合トナーとその成分
本発明の重合トナーの製造方法は、重合により重合トナーを製造する如何なる方法にも適用することができる。重合トナーは、通常、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合することにより、着色剤などを含有する重合体粒子(着色重合体粒子)として得ることができる。重合性単量体混合物には、必要に応じて、架橋性単量体、帯電制御剤、離型剤、分子量調整剤、マクロモノマー、重合開始剤、その他の各種添加剤を含有させることができる。
【0016】
コア・シェル構造の重合トナーは、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合して着色重合体粒子を生成させ、次いで、該着色重合体粒子の存在下に、該着色重合体粒子を構成する重合体成分のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の重合体を生成することができる重合性単量体を重合させることにより得ることができる。
【0017】
(1)重合性単量体
重合性単量体としては、モノビニル系単量体が好ましい。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;などが挙げられる。モノビニル系単量体は、それぞれ単独で、あるいは複数の単量体を組み合わせて用いることができる。モノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸の誘導体とを併用するのが好適である。
【0018】
(2)架橋性単量体及び架橋性重合体
重合性単量体と共に架橋性単量体及び/または架橋性重合体を用いると、ホットオフセット改善に有効である。架橋性単量体は、2以上の重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;1,4−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族両末端アルコール由来の(メタ)アクリーレート;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;などを挙げることができる。架橋性重合体としては、分子内に2個以上の水酸基を有するポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステルやポリシロキサン由来の(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの架橋性単量体及び架橋性重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋性単量体及び/または架橋性重合体は、重合性単量体100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部の割合で使用される。
【0019】
(3)マクロモノマー
重合性単量体と共にマクロモノマーを用いると、保存性やオフセット防止性と低温定着性とのバランスを良くすることができる。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な官能基(例えば、炭素−炭素二重結合のような不飽和基)を有する比較的長い線状分子である。マクロモノマーとしては、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーが好ましい。数平均分子量が小さいマクロモノマーを用いると、トナー粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が低下する。逆に、数平均分子量が大きいマクロモノマーを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪く、トナーの定着性が低下する。
【0020】
マクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマーなどが挙げられる。マクロモノマーの中でも、結着樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する重合体が好ましく、特にスチレンとメタクリル酸エステル及び/またはアクリル酸エステルとの共重合体マクロモノマーやポリメタクリル酸エステルマクロモノマーが好適である。マクロモノマーを使用する場合、その配合割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。マクロモノマーの使用割合が大きすぎると、定着性が低下する傾向を示す。
【0021】
(4)着色剤
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナーの分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な画質が得られ、また、トナーの環境への安全性も高まるので好ましい。
【0022】
カラートナー用着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などを使用することができる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、83、90、93、97、120、138、155、180、181;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、C.I.バットイエロー等が挙げられる。
【0023】
マゼンタ着色剤としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等が挙げられ、より具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0024】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が挙げられ、より具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、C.I.アシッドブルーなどが挙げられる。該着色剤は、結着樹脂または結着樹脂を形成する重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0025】
(5)分子量調整剤
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0026】
(6)滑剤・分散助剤
着色剤のトナー粒子中への均一分散等を目的として、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸とNa、K、Ca、Mg、Zn等の金属とからなる脂肪酸金属塩などの滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを使用してもよい。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
【0027】
(7)帯電制御剤
トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を単量体組成物中に含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、例えば、ボントロンN01(オリエント化学社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学社製)、スピロブラックTRH(保土ケ谷化学社製)、T−77(保土ケ谷化学社製)、ボントロンS−34(オリエント化学社製)、ボントロンE−81(オリエント化学社製)、ボントロンE−84(オリエント化学社製)、ボントロンE−89(オリエント化学社製)、ボントロンF−21(オリエント化学社製)、COPY CHRGE NX(クラリアント社製)、COPY CHRGE NEG(クラリアント社製)、TNS−4−1(保土ケ谷化学社製)、TNS−4−2(保土ケ谷化学社製)、LR−147(日本カーリット社製)などの帯電制御剤;特開平11−15192号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報などに記載の4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、特開平3−243954号公報、特開平1−217464号公報、特開平3−15858号公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。帯電制御剤は、結着樹脂または結着樹脂を形成する重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部の割合で用いられる。
【0028】
(8)低軟化点物質
本発明では、重合トナーの定着温度を下げたり、重合トナーの離型性を高めるなどのために、低軟化点物質を用いることが好ましい。低軟化点物質は、重合性単量体混合物中に添加して、生成する重合トナー中に含有させる。重合トナーがコア・シェル構造を有するものである場合には、低軟化点物質は、コアとなる着色重合体粒子中に含有させる。
【0029】
低軟化点物質は、重合性単量体の主成分として汎用のスチレン単量体に室温で可溶性のものであることが好ましい。このような低軟化点物質としては、3官能以上のアルコールとカルボン酸とからなる多官能エステル化合物や、炭素数15以上のアルコールとカルボン酸とからなる芳香族カルボン酸エステル化合物が好ましい。低軟化点物質がスチレン単量体に非可溶性のものである場合には、重合性単量体組成物を調製する工程で、低軟化点物質の溶融温度以上の温度に加熱して分散させる必要があるが、このようにして分散させても、重合工程で生成する重合トナー表面にブリードしやすいので、好ましくない。
【0030】
3官能以上のアルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ペンタグリセロールなどの脂肪族アルコール類;フロログルシトール、クエルシトール、イノシトールなどの脂環式アルコール類;トリス(ヒドロキシメチル)ベンゼンなどの芳香族アルコール類;D−エリトロース、L−アラビノース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ラムノース、サッカロース、マルトース、ラクトースなどの糖類;エリトリット、D−トレイット、L−アラビット、アドニット、キシリットなどの糖アルコール類;などを挙げることができる。これらのうち、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好適である。
【0031】
炭素原子数が15以上のアルコールの具体例としては、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、へプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコールなどが挙げられる。
【0032】
カルボン酸としては、酢酸、酪酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、アラキジン酸、セロチン酸、メリキシン酸、エリカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニル酸、テトロル酸、キシメニン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸などの脂環式カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、トリメリト酸、ヘミメリト酸などの芳香族カルボン酸類;等を挙げることができる。これらの中でも、炭素原子数が通常10〜30個、好ましくは13〜25個のカルボン酸、特に該炭素原子数の脂肪族カルボン酸類や、カルボキシル基が2以上の芳香族カルボン酸が好適である。
【0033】
多官能エステル化合物は、3官能以上のアルコールの各水酸基と結合する複数のカルボン酸が、それぞれ異なるものであっても、同じものであってもよいが、好適には、複数のカルボン酸中の炭素原子数の最大値と最小値との差が9以下、好ましくは5以下のものである。
【0034】
具体的には、 ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートとグリセロールトリアラキン酸などを挙げることができる。
【0035】
低軟化点物質としては、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク温度が通常30〜200℃、好ましくは50〜180℃の範囲内にあるものが望ましい。より具体的に、吸熱ピーク温度が60〜160℃の範囲内にあるペンタエリスリトールエステル、50〜80℃の範囲内にあるジペンタエリスリトールエステルなどの多官能エステル化合物や芳香族カルボン酸エステル化合物が挙げられる。これらの多官能エステル化合物や芳香族カルボン酸エステル化合物は、低温定着性と離型性とのバランスの面で特に好ましい。
【0036】
とりわけ、分子量が600以上で、25℃のスチレン100gに対する溶解量(g/100gST;25℃)が5g以上、より好ましくは10g以上、かつ、酸価が10mg/KOH以下である多官能エステル化合物が好ましい。特にこれらの物性を有するジペンタエリスリトールエステルは、定着温度の低下に著効を示す。吸熱ピーク温度は、ASTM−D−3418−82によって測定した値である。酸価は、JIS−K−1557−1970に準じて測定した値である。
【0037】
芳香族カルボン酸エステル化合物の場合、35℃で測定したスチレン100gに対する溶解量(g/100gST;35℃)は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、特に好ましくは15g以上である。芳香族カルボン酸エステル化合物の酸価は、好ましくは2mgKOH/g以下、より好ましくは1.5mgKOH/g以下、特に好ましくは1.3mgKOH/g以下であり、多くの場合、1.0mgKOH/g以下、0.1mgKOH/g以上である。
低軟化点物質は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部の割合で使用される。
【0038】
(9)離型剤
本発明においては、所望により、オフセット防止などの目的で各種離型剤を含有させることができる。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類;分子末端酸化低分子量ポリプロピレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量末端変性ポリプロピレン、及びこれらと低分子量ポリエチレンのブロックポリマー、分子末端酸化低分子量ポリエチレン、分子末端をエポキシ基に置換した低分子量ポリエチレン、及びこれらと低分子量ポリプロピレンのブロックポリマーなどの末端変性ポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;これらの混合物等が例示される。これらの離型剤は、結着樹脂または結着樹脂を形成する重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部(更には1〜15重量部)用いることが好ましい。
【0039】
(10)重合開始剤
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジ−クロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5′−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジ−カーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジ−カーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジ−カーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジ−カーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジ−カーボネート等のパーオキシジ−カーボネート類;(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の他の過酸化物類などが例示される。これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。
【0040】
これらのうち、重合性単量体に可溶な油溶性ラジカル開始剤が好ましく、必要に応じて、水溶性の開始剤をこれと併用することもできる。重合開始剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この使用割合が小さすぎると重合速度が遅く、大きすぎると分子量が低くなる。重合開始剤は、単量体混合物中に予め添加することができるが、早期重合を避けるなどの目的で、水系分散媒体中での単量体混合物の造粒工程終了後に懸濁液中に添加することもできる。重合開始剤の使用割合は、水系分散媒体基準で、通常0.001〜3重量%程度である。
【0041】
(11)分散安定剤
本発明に用いられる分散安定剤としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤;などを挙げることができる。これらのうち、硫酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物などの金属化合物が好ましく、難水溶性の金属化合物のコロイドがより好ましい。特に、難水溶性の金属水酸化物のコロイドは、トナー粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
【0042】
難水溶性金属化合物のコロイドは、その製法による制限はないが、水溶性多価金属塩化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に、水溶性多価金属塩化合物と水酸化アルカリ金属との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなりすぎると、重合の安定性が崩れ、また、トナーの保存性が低下する。
【0043】
この分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用する。この使用割合が少なすぎると、充分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成しやすくなる。逆に、この使用割合が多すぎると、微粒子の増加によりトナー粒子の粒径分布が広がったり、水溶液粘度が大きくなって重合安定性が低くなる。
【0044】
2.重合トナーの製造方法
(1)着色重合体粒子の製造方法
重合トナーは、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合することにより、着色重合体粒子として得ることができる。より具体的には、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、低軟化点物質などを混合し、ビーズミルなどを用いて均一に分散させて、油性の混合液である重合性単量体混合物を調製する。次いで、この重合性単量体混合物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に投入し、攪拌機で攪拌して、重合性単量体混合物の液滴の粒径が一定になってから、重合開始剤を投入し、重合性単量体組成物の液滴中に移行させる。次に、高剪断力を有する混合装置を用いて、重合性単量体混合物の液滴を更に微細な液滴にまで造粒する。このようにして、生成する重合トナーの粒径にほぼ匹敵する程度の粒径を持つ微細な液滴にまで造粒した後、通常、30〜200℃の温度で重合する。このようにして、着色重合体粒子を生成させる。生成した着色重合体粒子は、重合トナーとして使用される。
【0045】
(2)コア・シェル構造の重合体粒子の製造方法
コア・シェル構造の重合トナーは、スプレドライ法、界面反応法、in situ 重合法、相分離法などの方法により製造することができる。特にin situ 重合法や相分離法は、製造効率がよく好ましい。in situ 重合法では、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合することにより得られた着色重合体粒子をコアとし、該コアの存在下にシェル用重合性単量体を懸濁重合することにより、コア・シェル構造の重合体粒子(重合トナー)を得ることができる。
【0046】
シェル用重合性単量体を重合反応系に添加する際に、水溶性の重合開始剤を添加すると、コア・シェル型の構造を持つ重合体粒子を生成しやすくなる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド等のアゾ系開始剤;クメンパーオキシド等の油溶性開始剤とレドックス触媒の組合せ;などを挙げることができる。水溶性重合開始剤の量は、水系分散媒体基準で、通常、0.001〜3重量%である。
【0047】
シェル用重合性単量体として、コアの着色重合体粒子を構成する重合体成分のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の重合体を生成することができる重合性単量体を使用することにより、重合トナーの耐ブロッキング性、即ち、保存性を高めることができる。コア用重合性単量体としては、ガラス転移温度が、通常60℃以下、好ましくは40〜60℃程度の重合体を生成し得るものが好適である。シェル用重合性単量体としては、コアを形成する重合体成分のガラス転移温度より10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上高いガラス転移温度の重合体を生成し得るものが好適である。シェル用重合性単量体から形成される重合体のガラス転移温度は、通常、50℃超過120℃以下、好ましくは60℃超過110℃以下、より好ましくは80〜105℃である。なお、ガラス転移温度は、各単量体の種類と使用割合から、常法に従って計算により算出される値である。
【0048】
コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体は、通常、80:20〜99.9:0.1の重量比で使用される。シェル用重合性単量体の割合が過小であると、保存性改善効果が小さく、逆に、過大であると、定着温度の低減の改善効果が小さくなる。シェルの厚みは、通常、0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μmである。
【0049】
(3)重合トナー
本発明の製造方法により得られる重合トナー(コア・シェル構造の重合トナーを含む)は、体積平均粒径(dv)が、通常1〜12μm、好ましくは2〜11μm、より好ましくは3〜10μmである。特に高精細な画像を得る用途に使用する場合には、重合トナーの体積平均粒径を好ましくは2〜9μm、より好ましくは3〜8μmにまで小さくすることができる。本発明の製造方法により得られる重合トナーの粒径分布=体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)は、通常、1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。重合トナーの体積平均粒径及び粒径分布を前記範囲内に調整することにより、解像度を高めることができる。
【0050】
3.乾燥工程
本発明の重合トナーの製造方法において、重合工程は前述の通りであるが、重合後の乾燥工程において、特定の含水率に調整した湿潤状態にある重合トナーに固体微粒子を添加し、混合しながら乾燥する点に特徴を有する。即ち、重合により生成した重合トナーを洗浄し、濾過した後、湿潤状態にある重合トナーの含水率を10〜60%に調整し、次いで、含水率が10〜60%の湿潤状態にある重合トナーに、有機微粒子及び無機微粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種の固体微粒子を添加し、重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥する。
【0051】
(1)固体微粒子
固体微粒子としては、各種有機微粒子及び/または無機微粒子を用いることができる。固体微粒子として、重合トナーの体積平均粒径(dv)よりも小さな平均粒径を有する硬質の固体微粒子を使用すると、乾燥工程の後、分級により重合トナーと固体微粒子を分離しやすいので、好ましい。固体微粒子の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0052】
有機微粒子としては、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法等の湿式重合法、気相法等により重合及び/または造粒したスチレン系重合体微粒子、(メタ)アクリレート系重合体微粒子、オレフィン系重合体微粒子、含フッ素系重合体微粒子、含窒素(メタ)アクリレート系重合体微粒子、シリコーン系重合体微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、カーボンブラック、グラファイト等の各種有機微粒子が挙げられる。
【0053】
無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイアモンドカーボンランダム等の各種炭化物;窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物;ホウ化ジルコニウム等のホウ化物;酸化鉄、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化スズ、アルミナ、シリカ等の各種酸化物;二硫化モリブデン等の硫化物;フッ化炭素等のフッ化物;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸;滑石、ベントナイトなどの各種非磁性無機微粒子;などが挙げられる。
【0054】
これら有機微粒子及び無機微粒子の表面をシランカップリング剤やチタンカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルにより表面処理したものが好適である。これらの中でも、疎水化シリカ微粒子などの表面処理シリカ微粒子が特に好ましい。
【0055】
固体微粒子は、湿潤状態にある重合トナー100重量部(固形分基準)に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.03〜0.2重量部の割合で添加する。固体微粒子の添加量が過小であると、乾燥工程における重合トナーの凝集防止効果が小さく、また、乾燥後の重合トナーの流動性向上効果も小さくなる。固体微粒子の添加量が過大であると、乾燥後、分級工程でトナーの過剰流動が発生し、生産工程でラインもれしやすくなる。
【0056】
(2)乾燥処理
重合後、生成した重合体粒子(重合トナー)は、常法に従って、重合反応系から分離され、洗浄され、濾過される。濾過後の重合トナーは、ウエットケーキと呼ばれるように、多量の水を含有する湿潤状態にある。この状態で固体微粒子を添加して、混合しながら乾燥しても、水分が多すぎるため、固体微粒子が水に浮かんで充分に分散しない。このため、ウエットケーキの含水率が高い状態では、満足な凝集防止作用を発揮することができない。したがって、ウエットケーキを予備乾燥して、含水率を10〜60%の湿潤状態に調整する必要がある。この含水率は、好ましくは15〜50%、特に好ましくは20〜45%程度である。含水率が低すぎると、重合トナーの凝集が進み、固体微粒子の分散が不充分となるため好ましくない。
【0057】
固体微粒子は、含水率10〜60%の重合トナーに添加してから、乾燥させることができるが、含水率10〜60%の重合トナーを乾燥させながら固体微粒子を添加してもよい。いずれにしても、乾燥は、湿潤状態にある重合トナーと固体微粒子とを混合させながら乾燥させることが必要である。
【0058】
湿潤状態にある重合トナー(ウェットケーキ)と固体微粒子とを混合しながら乾燥させる方法としては、トンネル型、ベルト型、ロール型、ドラム型等の機械搬送式減圧乾燥機を用いて乾燥させる方法を挙げることができる。特に、減圧乾燥機を用いて、減圧下に、機械的に混合しながら乾燥させる方法が好ましい。このような減圧乾燥機としては、例えば、市販の神鋼パンテェック社製のSVミキサー、日本乾燥機社製のコニカルブレンダードライヤーなどが、固体微粒子との混合性に優れているので特に好ましい。
【0059】
具体的には、乾燥工程(2)において、逆円錐形容器内をスクリューが自転と公転を同時に行う混合装置を用いて、減圧下に、湿潤状態にある重合トナーと固体微粒子とを機械的に混合しながら乾燥することが好ましい。より具体的には、図1に示す混合装置を用いて、減圧下に、湿潤状態にある重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥することが好ましい。
【0060】
図1の混合装置は、逆円錐形容器1内をスクリュー2が自転と公転を同時に行う混合装置であり、モーター6に直結したドライブユニット5により、スクリュー2を駆動させるように構成されている。逆円錐形容器1内は、ジャケット3により温度調整ができるようになっている。逆円錐形容器1は、支持部4により支持されている。
【0061】
図1の混合装置では、逆円錐形容器1内をスクリュー2が自転と公転を同時に行い、内容物に対して、(1)スクリューの自転により内容物を容器内壁面に沿って上部方向に運び、スクリュー終端では、その回転力により、内容物を周辺にまき散らし、(2)スクリューの公転により内容物に水平の円運動を与え、(3)スクリューにより内容物が上部方向に運ばれることにより生じた容器内下部の空間に、スクリューが通過していない部分の内容物が重力により落下するという3つの運動を引き起こすことができる。したがって、重合トナーと固体微粒子とは機械的に混合される。容器内壁に付着した重合トナーは、スクリューにより拡散混合させられる。乾燥後の重合トナーと固体微粒子との混合物は、通常、逆円錐形容器1の下部の出口(図示せず)から排出させることができる。逆円錐形容器1内を減圧にするには、減圧ライン(図示せず)に連結すればよい。
【0062】
乾燥工程により、重合トナーの含水率を通常1%以下、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下にすることができる。充分に乾燥させた後、重合トナーと固体微粒子との混合物を分級して、乾燥重合トナーを回収する。この際、重合トナーの表面に固体微粒子が付着していても構わない。固体微粒子の割合が小さい場合には、分級をすることなく、固体微粒子が表面に付着した重合トナーをそのまま使用することもできる。
【0063】
固体微粒子を用いることにより、固体微粒子を用いない場合に比べて、乾燥工程における重合トナーの凝集や融着を防ぐことができることに加えて、乾燥時間を20%以上、好ましくは30%以上も短縮することが可能であり、さらには、保存性、画質の耐久性などが改善された重合トナーを回収することができる。
【0064】
4.現像剤
本発明の製造方法により得られた重合トナーは、そのままで静電荷像現像用の現像剤として使用することができるが、必要に応じて、流動性や研磨性などの向上を目的として、汎用の外添剤と混合して用いることができる。
【0065】
外添剤としては、無機粒子及び/または有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、コアがメタクリル酸エステル共重合体でシェルがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子などが挙げられる。これらのうち、無機酸化物粒子、特にシリカ粒子が好適である。また、これらの粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、重合トナー100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
【0066】
外添剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。外添剤の付着は、通常、外添剤と重合トナーとをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌して行う。
【0067】
本発明の重合トナー、特にコア・シェル構造の重合トナーを用いると、定着温度を好ましくは80〜160℃、より好ましくは80〜140℃の低い温度にすることができ、しかも乾燥時に凝集せず、乾燥時間の短縮と、続く分級工程での収率が向上する。
【0068】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例における物性の測定方法は、以下のとおりである。
【0069】
(1)粒径及び粒径分布
重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布(体積平均粒径/個数平均粒径)は、マルチサイザー(コールター社製、ベックマン・コールター)により測定した。マルチサイザーによる測定は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子個数=100,000個の条件で行った。
【0070】
(2)シェル厚み
コア・シェル構造の重合トナーのシェルの厚みは、厚ければ、マルチサイザーや電子顕微鏡で測定が可能であるが、実施例及び比較例のように薄い場合には、以下の式を用いて算出する。
x=r(1+s/100ρ)1/3 −r (1)
ただし、
r:シェル用単量体の添加前のコア重合体粒子の平均粒径(マルチサイザーの体積粒径:μm)の半径
x:シェル厚み(μm)
s:シェル用単量体の添加部数(コア用単量体100部に対する部数)
ρ:シェル重合体の密度(g/cm3 );通常ρ=1.0として算定。
【0071】
(3)球形度
重合トナーの球形度は、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)であり、重合トナーの反射型電子顕微鏡写真から100個の値を測定し、その平均値を算出した。
【0072】
(4)定着温度
重合トナーの定着温度は、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=16枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行うことにより評価した。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度での現像剤の定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めることにより行った。定着率は、温度を変化させたとき、定着ロールの温度を安定化させるため5分間以上放置し、その後、改造プリンターで印刷した試験用紙における黒ベタ領域のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、マクベス社製反射式画像濃度測定機を用いて測定した。この定着試験において、定着率80%に該当する定着ロール温度を現像剤の定着温度(℃)とした。
【0073】
(5)保存性
重合トナーの保存性の評価は、重合トナー試料を密閉した容器に入れて、密閉した後、55℃に温度を制御した恒温水槽の中に沈め、一定時間経過した後に取り出して、凝集したトナーの重量を測定することによって行った。容器から取り出した試料を42メッシュの篩いの上にできるだけ構造を破壊しないように注意して移し、粉体測定機(商品名:パウダーテスター、細川ミクロン社製)の振動の強度メモリを4.5に設定して、30秒間振動した後、篩い上に残ったトナーの重量を測定し、凝集したトナーの重量とした。この凝集したトナーの重量と試料の重量とからトナーの凝集率(重量%)を算出した。
【0074】
(6)印字耐久試験
温度23℃、相対湿度50%の条件で、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=16枚/分)を用いて、このプリンターの現像装置に評価する重合トナーを入れ、初期から連続印字を行い、反射濃度計(マクベス製)で印字濃度が1.3以上で、かつ、白色度計(日本電色製)で測定した非画像部の感光体上のカブリが15%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
カブリは、感光体上の非画像部に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を付着させて調べた。具体的には、印字前の感光体の非画像部に粘着テープを付着させてから剥し、これを白紙に貼り付けて、白色度Aを測定する。一方、印字後の感光体の非画像部に粘着テープを付着させてから剥し、これを白紙に貼り付けて、白色度Bを測定する。カブリは、次の式により算出することができる。なお、連続印字は、5%印字濃度で行い、印字濃度及びカブリは、500枚毎に調べた。
カブリ(%)=[(A−B)/A]×100
【0075】
(7)吸熱ピーク温度
ASTM−D−3418−82に準拠して測定した。昇温速度10℃/分で昇温させてDSC曲線を測定し、そのピークトップを吸熱ピークとした。使用した示差走査熱量計は、セイコー電子工業社製「SSC5200」である。
(8)溶解量(g/100gST:25℃)
低軟化点物質のスチレンに対する溶解量は、25℃に保持したスチレン100g中に溶解する低軟化点物質の量(g/100gST)を測定した。
【0076】
(9)酸価(mgKOH/g)
JIS−K−1557−1970に準じて測定した。具体的には、試料約50gを300mlビーカーに正しく秤量し、これにアセトン(80v/v%)128mlを加え、溶解後、この溶液をPH計を用いて、0.1NのNaOH水溶液で電位差滴定を行った。得られた滴定曲線の変曲点を終点にする。酸価は、以下の式から求めた。
A=〔5.61×(B−C)×f〕/S
ここで、
A:酸価(mgKOH/g)
B:試料の滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
C:空試験の滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
f:0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液のファクター
S:試料の量(g)
【0077】
(10)含水率
1gの重合トナー試料を0.1mgまで精秤した(w1)。105℃の乾燥機(各部位での温度誤差1℃以下)に試料を入れて1時間乾燥し、冷却後、再度精秤した(w2)。これらの測定値を用い、以下の式により含水率を算出した。
含水率(%)=[(w1−w2)/w1]×100
(11)乾燥時間
乾燥開始から重合トナーをサンプリングし、その都度、トナーの含水率を測定する。この含水率が0.5%以下になった時間を乾燥時間とした。
【0078】
(12)流動性
目開きが各々150μm、75μm、及び45μmの3種の篩いをこの順に上から重ねて、一番上の篩い上に測定する重合トナー4gを精秤して載せる。次いで、この重ねた3種の篩いを粉体測定機(細川ミクロン社製、商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛り4の条件で15秒間振動した後、各篩い上に残った現像剤の重量を測定する。各測定値を以下の式(1)(2)、及び(3)に入れて、a、b、及びcの値を求め、次に、これらの値を式(4)に入れて、流動性の値を算出する。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を求めた。
(1)a=〔(150μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100
(2)b=〔(75μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100×0.6
(3)c=〔(45μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100×0.2
(4)流動性(%)=100−(a+b+c)
【0079】
[実施例1]
(1) 単量体組成物の調製
スチレン80.5部とn−ブチルアクリレート19.5部からなるコア用重合性単量体(得られる共重合体の計算Tg=55℃)と、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名#25)7部、帯電制御剤(保土ケ谷化学社製、商品名スピロンブラックTRH)1部、ジビニルベンゼン0.3部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、AA6、Tg=94℃)0.3部を通常の攪拌装置で攪拌、混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、低軟化点物質としてジペンタエリスリトールテトラミリステート〔吸熱ピーク温度=63℃、スチレンに対する溶解量20(g/100gST:25℃)、酸価1(mgKOH/g)以下〕15部を添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体混合物(混合液)を得た。
【0080】
(2) 水系分散媒体の調製
室温でイオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.8部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。生成した上記コロイドの粒径分布を粒径分布測定器(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.62μmであった。
【0081】
(3) シェル用重合性単量体の調製
メチルメタクリレート(計算Tg=105℃)3部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。水分散液中のシェル用重合性単量体の液滴の粒径は、粒径分布測定器(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定したで測定したところ、D90が1.6μmであった。
【0082】
(4) 造粒工程
上記(2) で得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記(1) で調製した重合性単量体混合物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤のt−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)5部を添加し、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、分散液中で重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
【0083】
(5) 懸濁重合工程
上記(4) で造粒した重合性単量体混合物の液滴分散液を、攪拌翼を装着した10Lの反応器に入れ、95℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアとなる着色重合体粒子の体積平均粒径を測定した。この結果、着色重合体粒子の体積平均粒径は、6.4μmであった。次に、前記(3) で調製したシェル用重合性単量体の水分散液及び水溶性開始剤〔和光純薬社製、商品名「VA−086」;2,2′アゾビス[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド]〕0.3部を蒸留水65部に溶解し、それを反応器に投入した。3時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5の重合体粒子の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の使用量とコア粒径から算定したシェル厚は0.03μmで、球形度(Sc/Sr)は1.1であり、DSC測定では、63℃付近に低軟化点物質の吸熱ピークが現れた。
【0084】
(6) 洗浄工程
上記(5) により得られたコア・シェル構造の重合体粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを4以下に調整して酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した。次いで、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化して、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した。このようにして、湿潤状態の重合体粒子(ウエットケーキ)を得た。
【0085】
(7) 乾燥工程
上記(6) により得られたウェットケーキを105℃で、1 時間熱風乾燥機により乾燥させた後、含水率を測定したところ、38%であった。この含水率38%のウェットケーキ100部に対して、固体微粒子として疎水化シリカ(日本アエロジル社製、商品名「R972」;平均粒子径16nm)0.1部を添加した。次に、疎水化シリカを添加したウエットケーキを、図1に示す構造の100Lの混合装置(神鋼パンテェック社製、SVミキサー)に40Kg入れ、ジャケット温度50℃、容器内の圧力30torrの減圧下で混合しながら乾燥を行った。乾燥の途中、何度か乾燥状態を確認するために、重合体粒子をサンプリングし、含水率を測定した。この結果、5時間の乾燥により含水率が0.3%以下になったので、乾燥を中止した。混合物を分級して、乾燥した重合トナー粒子を得た。乾燥重合トナーの流動性を測定したところ55%であった。
【0086】
(8) 現像剤
上記(7) で得られたコア・シェル構造の重合体粒子100部に、疎水化処理したコロイダルシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−200」;平均粒子径12nm)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して現像剤(以下、単に「トナー」という)を調製した。上記で得られたトナーを用いて定着温度を測定したところ、130℃であった。また、このトナーの保存性は、4%と非常に良好であった。結果を表1に示した。トナーの画像評価の結果は、画像濃度が高く、カブリやムラの無い解像度の極めて良好な画像が得られた。カブリが15%以上になった耐久印字枚数は、23,000枚であった。
【0087】
[実施例2]
実施例1の「(7) 乾燥工程」において、固体微粒子を疎水化シリカR972から疎水化シリカR974(日本アエロジル社製;平均粒子径12nm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子及びトナーを得た。その結果を表1に示した。トナーの画像評価では、画像濃度が高く、カブリやムラの無い、解像度の極めて良好な画像が得られた。カブリが15%以上になった耐久印字枚数は、21,000枚であった。
【0088】
[実施例3]
実施例1の「(7) 乾燥工程」において、固体微粒子を疎水化シリカR972から疎水化シリカR202(日本アエロジル社製;平均粒子径14nm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子及びトナーを得た。得られた重合体粒子及びトナーの評価結果を表1に示した。トナーの画像評価では、画像濃度が高く、カブリやムラの無い、解像度の極めて良好な画像が得られた。カブリ15%以上になった耐久印字枚数は、24,000枚であった。
【0089】
[実施例4]
実施例1の「(7) 乾燥工程」において、固体微粒子を疎水化シリカR972から疎水化シリカR976(日本アエロジル社製;平均粒子径7nm)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子及びトナーを得た。得られた重合体粒子及びトナーの評価結果を表1に示した。トナーの画像評価では、画像濃度が高く、カブリやムラの無い、解像度の極めて良好な画像が得られた。カブリ15%以上になった耐久印字枚数は、20,000枚であった。
【0090】
[比較例1]
実施例1の「(7) 乾燥工程」において、固体微粒子の疎水化シリカR972を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして重合体粒子及びトナーを得た。得られた重合体粒子及びトナーの評価結果を表1に示した。トナーの画像評価では、画像濃度が高く、カブリやムラの無い、解像度の極めて良好な画像が得られたが、耐久印字枚数は、6,000枚で白筋の発生があったので中止した。
【0091】
【表1】
Figure 0004032602
【0092】
(脚注)
(1) 固体微粒子:疎水化シリカ(日本アエロジル社製、商品名)
(2) 固体微粒子の添加量:重合体粒子(固形物基準)100部に対する部数
(3) 低軟化点物質:ジペンタエリスリトールテトラミリステート(DPETMT)
【発明の効果】
本発明によれば、重合法により生成した重合トナーの乾燥工程において、重合トナー同士の融着や凝集、重合トナーの乾燥装置への付着を防ぎながら、効率よく乾燥することができる重合トナーの製造方法が提供される。本発明によれば、ガラス転移温度が低い重合体成分を有する重合トナーや、低軟化点物質を含有する重合トナーであっても、乾燥工程において、重合トナー同士の融着や凝集、重合トナーの乾燥装置への付着を防ぎながら、効率よく乾燥することができる重合トナーの製造方法が提供される。本発明により得られた重合トナーは、乾燥時に凝集せず、乾燥時間の短縮と、続く分級工程での収率が向上する。また、本発明により得られた重合トナーは、定着温度を低くすることができ、かつ、保存性や画質の耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥工程に好適に使用できる混合装置の一例の断面図である。
【符号の説明】
1:逆円錐形容器
2:スクリュー
3:ジャケット
4:支持部
5:ドライブユニット
6:モーター

Claims (6)

  1. 重合トナーの製造方法において、
    (1) 重合により生成した重合トナーを洗浄し、濾過した後、湿潤状態にある重合トナーの含水率を10〜60%に調整し、次いで、
    (2) 含水率10〜60%の湿潤状態にある重合トナーに、有機微粒子及び無機微粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種の固体微粒子を添加し、重合トナーと固体微粒子とを混合しながら乾燥する
    ことを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 乾燥工程(2) において、逆円錐形容器内をスクリューが自転と公転を同時に行う混合装置内で、減圧下に、湿潤状態にある重合トナーと固体微粒子とを機械的に混合しながら乾燥する請求項1記載の製造方法。
  3. 重合により生成した重合トナーが、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合することにより生成した着色重合体粒子である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 重合により生成した重合トナーが、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体混合物を懸濁重合して着色重合体粒子を生成させ、次いで、該着色重合体粒子の存在下に、該着色重合体粒子を構成する重合体成分のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の重合体を生成することができる重合性単量体を重合させることにより生成したコア・シェル構造の重合体粒子である請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 重合性単量体混合物が、低軟化点物質を更に含有する請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 低軟化点物質が、示差走査熱量計により測定される昇温時の吸熱ピーク温度が30〜200℃の範囲内、分子量が600以上、25℃のスチレン100gに対する溶解量(g/100gST;25℃)が5g以上、かつ、酸価が10mgKOH/g以下の多官能エステル化合物である請求項5記載の製造方法。
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