JP7313916B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば懸濁重合法では、重合性単量体、着色剤、離型剤及び重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤およびその他の添加剤を均一に溶解または分散せしめて着色剤含有組成物とする。これを、分散安定剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散させ、重合性単量体を重合させて、所望の粒径を有するトナー粒子の懸濁液を得る。
このようにして製造されたトナー粒子は、小粒径でシャープな粒度分布であることから、高い現像性を実現できるばかりか、高収率であることから生産性の観点からも優れている。
しかしながら、該重合工程において目的とするトナー粒子の他に、不要な微小粒子が副生されることによりトナーの生産性及び、印字性能に悪影響を及ぼすことが指摘されている。
更に、近年、トナー中の残留有機揮発物質の規制が、世界的に厳しくなっており、該残留有機揮発物質を低減するために重合工程後に蒸留工程を行う場合がある。蒸留工程ではトナー粒子の懸濁液に飽和水蒸気を供給するため、加熱によりトナー粒子の同士が融合し粗大粒子や異形粒子が生成する恐れがある。このような粗大粒子が生じると、収率が大幅に低下する。また、合一によりトナー中における異形粒子の存在割合が大きくなると摩擦帯電性などのトナー特性および画像評価した場合の現像特性に悪影響が現れ、画像特性の低下を招くため好ましくない。特に近年、トナーを静電画像形成装置で使用する場合、定着時の省電力化や環境安全性向上のためにトナーの低温定着性が要求されている。そのため、トナー粒子の熱耐性は一層厳しくなっており、優れた画像特性を維持するためにも、製造工程におけるトナー粒子の熱耐性の向上が重要な課題となっている。
これら、懸濁重合工程中の微小粒子及び粗大粒子の抑制について様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1では、微小粒子を少なくするために、該懸濁液に金属キレート形成剤及び小粒径微粒子抑制剤としてポリフェノール化合物を添加した例が記載されている。
また、特許文献2では、重合工程中と蒸留工程中の分散安定剤である難水溶性微粒子のゼータ電位値を調整することで粗大粒子を抑制する方法が記載されている。
また、特許文献2にあるように、重合工程中と蒸留中の分散安定剤である難水溶性微粒子のゼータ電位を調整することで、ある程度合一による粗大粒子を抑制できるが、より低温定着性を狙ったトナー粒子では、粗大粒子の抑制が十分ではない場合があった。
本発明の目的は、上記問題点を解決した、微小粒子及び粗大粒子が少なく粒度分布がシャープなトナー粒子の製造方法を提供し、良好な現像性を示す重合トナーを得ることである。
即ち、本発明は、重合性単量体を含む重合性単量体組成物の粒子を難水溶性無機微粒子を含む水系媒体の中で形成する造粒工程、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子前駆体を得る重合工程、及び、該トナー粒子前駆体の分散液から有機揮発物質を除去してトナー粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法であって、
該水系媒体中にキレート剤(但し、錯体を形成している場合を除く)を、
i)該重合工程中で該重合性単量体組成物の重合転化率が50%以上であるとき、又は、
ii)該有機揮発物質を除去してトナー粒子を得る工程中
のいずれかで添加することを特徴とする。
重合性単量体および着色剤を含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、その他の組成物と同時、または、その他の組成物を混合した後に分散させてもよい。
分散安定剤として難水溶性無機微粒子を含む水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させることにより造粒し、水系媒体中に重合性単量体組成物の粒子を形成することによって重合性単量体組成物の分散液を得る。造粒工程は例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行うことができる。高剪断力を有する撹拌機としては特に限定するものではないが、ULTRA‐TURRAX(IKA社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、キャビミックス(大平洋機工社製)の如き市販のものを用いることができる。また、撹拌機を縦型撹拌槽内で、撹拌槽下部から一部プロセス液を抜き出し再度撹拌槽へ戻す循環機構を有し、循環機構内にインライン式の高剪断力を有する分散機を用いることも出来る。インライン式の分散機としてはコロイドミル(IKA社製)、キャビトロン(大平洋機工社製)、W・モーション(エム・テクニック社製)の如き市販の分散機を用いることが出来る。
上述のようにして得られた重合性単量体組成物の液滴を重合工程に導入することにより、トナー粒子前駆体を得る。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
未反応の重合性単量体や副生成物等の有機揮発物質を除去するために、重合終了後に一部水系媒体を蒸留工程で留去する。蒸留工程は常圧もしくは減圧下で行うことができるが、残留有機揮発物質を減少させるためにも、常圧下にて行うことが好ましい。しかしながら、低温定着の優れるトナーは、蒸留工程において、熱でトナー前駆体粒子が軟化し、トナー前駆体粒子同士の合一が進行しやすくなる。その結果、粗大粒子や、異形粒子の割合が多くなってしまう。
トナー前駆体粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー前駆体粒子の分散液を酸またはアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法によりトナー前駆体粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー前駆体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
こうして得られたトナー粒子は従来の粉砕法トナーと比較して十分シャープな粒度を有するものであるが、さらにシャープな粒度を要求される場合には風力分級機などで分級を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
本発明のトナーに好適に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性のものまたは多官能性のものを使用することが出来る。
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
本発明により製造されるトナーは荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが利用できる。例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類。さらに、以下のものが挙げられる。尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル-スルホン酸共重合体、スチレン-サリチル酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物などが挙げられる。
本発明で用いられる離型剤としては以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、及びこれらのブロック化合物。これらの離型剤は重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下を添加して用いられる。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤がある。アゾ系重合開始剤としては以下のものが挙げられる。2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
本発明には各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、4,4’-ジビニルビフェニル、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
結着樹脂としては、ビニル系樹脂、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など公知の樹脂を用いることができる。この中でもビニル系樹脂とポリエステル樹脂が製造容易性の観点から好ましく、高温高湿下での保存や使用の観点からスチレン系ビニル樹脂がさらに好ましい。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類;が挙げられる。
難水溶性無機微粒子としては、多価金属塩が使用される。例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛等のリン酸金属塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらは、単独、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらは、水系媒体中に微粒子として存在することにより分散安定剤としての機能を発揮する。
本発明で使用されるキレート剤とは、複数の配位座をもつ配位子で水中の金属イオンと結合して、キレート錯体を形成することができる部位を持つ化合物である。
トナーの画質向上のために、外添剤がトナー粒子に外部添加されていても良い。外添剤としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、チタン酸ストロンチウム微粉末または酸化アルミニウム微粉体のような無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。さらに、トナーは必要に応じて、前述以外の外添剤をトナー粒子に混合してもよい。
重量平均分子量(Mw)並びに数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
装置:高速GPC装置「HLC-8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF-604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
トナー中の重合性単量体の重合転化率の測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
GC:島津製作所社 GC-14A
カラム:J&W Scientific社 DB-WAX(249μm×0.25μm×30m)
キャリアーガス:N2
オーブン:(1)70℃で2分ホールド、(2)5℃/分で220℃まで昇温
注入口:200℃
スプリット比:1:20
検出器:200℃(FID)
トナー粒子の体積基準のメディアン径(Dv50)、および個数基準のメディアン径(Dn50)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積平均メディアン径(Dv50)、および個数平均メディアン径(Dn50)を算出する。
粒度分布は下記の計算式(1)により導かれる数値を指標とした。
体積平均メディアン径(Dv50)÷個数平均メディアン径(Dn50)・・・式(1)
上記指標は数値が1に近いほど粒度分布がシャープなことを表す。以下この指標をDv50/Dn50とする。
トナー粒子の微小粒子率、アスペクト比は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
2,4-ジヒドロキシ安息香酸 78.6gをメタノール400mLに溶解させ、炭酸カリウム152.0gを加えて60℃に加熱した。この反応液に4-(クロロメチル)スチレン87.9gとメタノール100mlに混合溶解させた溶解液を滴下し、60℃にて2.5時間反応させた。得られた反応液を冷却後、濾過し、メタノールで洗浄した。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にトルエン60.0部を仕込み、窒素気流下で還流した。
・スチレン 100.0部
・化合物S1 11.5部
・ステアリルメタクリレート 21.7部
・トルエン 60.0部
この単量体混合液に、さらに重合開始剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(75%炭化水素系溶媒希釈品)を10.0部混合し、前述の反応容器に30分間かけて滴下した。125℃で撹拌し、所望の分子量が得られた時点で室温まで冷却した。得られた重合体含有組成物をメタノール1400部、アセトン10部の混合溶液に、撹拌下、10分間で滴下し、樹脂組成物を沈殿・晶析させた。得られた樹脂組成物をろ過し、メタノール200部で2回リンス洗浄した。得られた樹脂粉末を減圧下、60℃で10時間乾燥し、サリチル酸系樹脂を得た。得られたサリチル酸系樹脂のMnは12000、Mwは22000であった。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、ビスフェノールA-PO2モル付加物50部、テレフタル酸24.0部、イソフタル酸23.0部、トリメリット酸3.0部を混合した混合物100部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)錫0.52部を加え、温度200℃に昇温し所望の分子量になるまで縮重合しポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のMnは3500、Mwは12000であった。
(重合性単量体組成物の調製)
スチレン 39.0部
顔料 C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
(大日精化社製)
サリチル酸系樹脂 0.7部
ジステアリン酸アルミニウム 0.13部
(商品名SA-1500、堺化学工業社製)
これらの材料をアトライタ(三井三池化工機社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
スチレン 33.0部
アクリル酸n-ブチル 28.0部
ポリエステル樹脂 4.0部
炭化水素ワックス(HNP-51;日本精鑞社製) 10.0部
ベヘン酸ベヘニル(融点72℃) 2.0部
を加えた。前述材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンクにイオン交換水203.8部、リン酸ナトリウム12水和物4.0部、10質量%塩酸1.6部を添加しリン酸ナトリウム水溶液を作製し、50℃に加温した。イオン交換水16.3部に塩化カルシウム2水和物2.3部を溶解し塩化カルシウム水溶液を得た。前述のリン酸ナトリウム水溶液に塩化カルシウム水溶液を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。第1の水系分散媒体1のpHを測定したところ、5.2であった。
下記の点を変更した以外は、第1の水系分散媒体の調製と同様の方法により第2の水系分散媒体を調製した。
リン酸ナトリウム水溶液用イオン交換水 51.3部
リン酸ナトリウム12水和物 1.3部
10質量%塩酸 0.3部
塩化カルシウム溶解用イオン交換水 10.4部
塩化カルシウム2水和物 1.5部
エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム0.184部をイオン交換水3.0部に溶解しキレート剤水溶液を得た。
第1の水系分散媒体1に重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて周速20m/sで撹拌した。次いで造粒タンク下部より、造粒タンク内の混合液を連続的に抜き出しタンク上部に混合液を戻し循環させた。循環ライン中に具備したキャビトロン(大平洋機工社製)を用いてローター周速40m/sにて重合性単量体組成物を水系分散媒体中で分散させた。キャビトロンを通過した積算流量が、造粒タンクに仕込んだ液量の5倍となるまで循環させた後、重合開始剤であるパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂社製))9.0部を添加し、重合性単量体組成物の分散液を得た。
重合性単量体組成物の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温した。昇温完了後300分反応させた。その後、更に85℃に昇温し、120分反応させた。
重合工程終了後、重合スラリーに120℃の水蒸気を5kg/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、キレート剤水溶液を添加し、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った。蒸留終了時のサンプルの粒度測定コールターにより行った。重量平均径D4が6.40μm、Dv50/Dn50=1.18であった。
冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌しトナー粒子の分散液を得た。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥しトナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1の微小粒子、アスペクト比をFPIA3000を用いて測定したところ、5.4個数%、0.941であった。
トナー粒子1 100.0部に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.0部(数平均一次粒子径:7nm)をFMミキサ(日本コークス社製)で10分間乾式混合し、トナー1を得た。
トナー1の製造例で、C.I.ピグメントブルー15:3をカーボンブラック(Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製))に変更した以外は同様にしてトナー2を得た。得られたトナー2について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122(Toner Magenta E[クラリアント社製])に変更した以外は同様にしてトナー3を得た。得られたトナー3について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー155(Toner Yellow 3GP[クラリアント社製])に変更した以外は同様にしてトナー4を得た。得られたトナー4について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液の添加のタイミングを重合工程の70℃昇温完了後60分(重合転化率50%)のように変更した以外は同様にしてトナー5を得た。得られたトナー5について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液の添加のタイミングを重合工程の70℃昇温完了後180分(重合転化率75%)のように変更した以外は同様にしてトナー6を得た。得られたトナー6について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液の種類と量を表1のように変更した以外は同様にしてトナー7乃至18を得た。得られたトナー7乃至18について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、第1の水系分散媒体1の調製を下記のように変更する以外は同様にしてトナー19を得た。得られたトナー19について表1、表2に示す。
造粒タンクにイオン交換水203.8部、水酸化ナトリム0.4部、10wt%塩酸0.2部を添加し水酸化ナトリウム水溶液を作成し、65℃に加温した。イオン交換水16.3部に塩化マグネシウム6水和物1.05部を溶解し塩化マグネシウム水溶液を得た。前述の水酸化ナトリウム水溶液に塩化マグネシウム水溶液を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。水系分散媒体のpHを測定したところ、7.6であった。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液を添加しないように変更した以外は同様にして比較トナー1を得た。得られた比較トナー1について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液の添加のタイミングを表1のように変更した以外は同様にして比較トナー2乃至3を得た。得られた比較トナー2乃至3について表1、表2に示す。
トナー1の製造例で、キレート剤水溶液を、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを3.0部、イオン交換水を10部に変更した以外は同様にして比較トナー4を得た。得られた比較トナー4について表1、表2に示す。
トナー19の製造例で、キレート剤水溶液の添加のタイミングを表1のように変更した以外は同様にして比較トナー5を得た。得られた比較トナー5について表1、表2に示す。
比較トナー1の製造例で、重合工程で70℃昇温完了後20分間経過した後、70℃に加温した第2の水系分散媒体63.1部を追加添加し、更に280分反応させて、その後、更に85℃に昇温し、120分反応させたこと以外は同様にして比較トナー6を得た。得られた比較トナー6について表1、表2に示す。
トナー1~19、比較用トナー1~6について、下記のように、トナーの造粒性評価、粗大化度評価、微小粒子率評価、アスペクト比評価、画像の評価を行った。その結果を表3に示す。
トナー粒子の粒度分布のシャープ差を表す指標としては、重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(D1)で除した値、すなわちD4/D1を使用する。すなわちD4/D1が1.0に近いほど粒度分布がシャープなことを意味する。
A:1.00以上1.18未満であると非常に良好な造粒性を示す。
B:1.18以上1.25未満では良好な造粒性を示す。
C:1.25以上1.30未満では若干画像に影響があるものの実用上問題がない造粒性を示す。
D:1.30以上では画像に与える影響がかなり激しく製品上好ましくない造粒性を示す。
トナー粒子の粗大粒子を表す指標としては、蒸留工程前後でのトナー粒子の体積平均メディアン径(Dv50)の変化を使用する。すなわち、蒸留工程後のDv50と蒸留工程前のDv50の差が大きいほど、粒子が合一もしくは、粗大化したことを表す。なお、評価基準は以下の通りである。
A:0.00μm以上0.10μm未満であると非常に良好な粗大化抑制効果を示す。
B:0.10μm以上0.25μm未満では良好な粗大化抑制効果を示す。
C:0.25μm以上0.40μm未満では若干画像に影響があるものの実用上問題がない粗大粒子率を示す。
D:0.4μm以上では画像に与える影響がかなり激しく、収率の低下も問題となるレベルであり、製品上好ましくない粗大粒子率を示す。
トナー粒子中に占める微小粒子の割合が高いと、現像スジ等の画像弊害を引き起こす原因となる。粒子周囲長が6.332μm未満の粒子の存在比率を微小粒子率とした。
A:0%以上10%未満であると非常に良好な微小粒子率を示す。
B:10%以上15%未満では良好な微小粒子率を示す。
C:15%以上20%未満では若干画像に影響があるものの実用上問題がない微小粒子率を示す。
D:20%以上では画像に与える影響がかなり激しく、製品上好ましくない微小粒子率を示す。
トナー粒子の合一の有無を示す指標としては、アスペクト比を使用する。粒子同士の合一が少なく、粒子像がより円形の時にアスペクト比Rは1に近づき、粒子同士の合一が多く、粒子像の針状度が高くなればなるほどアスペクト比Rは小さい値になる。トナー粒子のアスペクト比Rが小さい場合、トナー粒子の真球性が低下するため、現像性や転写性に弊害を生じる場合がある。
A:0.93%以上であると非常に良好なアスペクト比を示す。
B:0.93%未満0.91%以上では良好なアスペクト比を示す。
C:0.91%未満0.88%以上では若干画像に影響があるものの実用上問題がないアスペクト比を示す。
D:0.88%未満では画像に与える影響がかなり激しく、製品上好ましくないアスペクト比を示す。
キヤノン製プリンターLBP9500CをA4サイズで57枚/分のプリントアウト速度になるよう改造し用いた。カートリッジには、試験用トナーを280.0g(±3.0g)充填した。この画像出力用カートリッジをブラックステーションに装着、その他にはダミーカートリッジを装着し、15℃/10%Rh(低温低湿環境)の環境で印字率が1%の画像を連続して出力した。最終的に22,000枚の画像出力を行い、下記項目の画像評価を行った。
22,000枚出力後、XEROX BUSINESS 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)を用いて、白地部分を有する画像を出力した。測定装置は、「REFLECTMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)を用いた。カブリ値は、プリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と画像形成領域の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、カブリ濃度(%)(=Dr(%)-Ds(%))として算出した。なお、白地部分の白色度とは、紙そのままの白色度である。印字する際、一辺50mm程度の付箋を紙に張り付けておき、それにより隠れた紙部分は画像形成に関わらないので、白地部分の白色度として測定できる。フィルターは、アンバーフィルターを用いた。
A:カブリ濃度0.5%未満
B:カブリ濃度0.5%以上1.0%未満
C:カブリ濃度1.0%以上2.0%未満
D:カブリ濃度2.0%以上
22,000枚プリントアウト試験終了後、転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像をプリントアウトし、現像スジの数で評価した。
22,000枚プリントアウト試験終了後、のハーフトーン画像において、ローラ周速の幅を持つ周期的な濃淡ムラが発生していないか目視で評価した。
A:濃淡ムラの発生がない。
B:画像を光にかざすと確認できる僅かな濃淡ムラ発生。
C:画像上に軽度な濃淡ムラ発生。
D:画像上に醜い濃淡ムラ発生。
Claims (5)
- 重合性単量体を含む重合性単量体組成物の粒子を難水溶性無機微粒子を含む水系媒体の中で形成する造粒工程、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合することによりトナー粒子前駆体を得る重合工程、及び、該トナー粒子前駆体の分散液から有機揮発物質を除去してトナー粒子を得る工程、を有するトナーの製造方法であって、
該水系媒体中にキレート剤(但し、錯体を形成している場合を除く)を、
i)該重合工程中で該重合性単量体組成物の重合転化率が50%以上であるとき、又は、
ii)該有機揮発物質を除去してトナー粒子を得る工程中
のいずれかで添加することを特徴とするトナーの製造方法。 - 該難水溶性無機微粒子が多価金属塩であって、該難水溶性無機微粒子の金属塩100モル部に対し、該水系媒体中に該キレート剤を0.4モル部以上35モル部以下添加する請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 該難水溶性無機微粒子がリン酸金属塩である請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 該キレート剤が6座配位子のキレート剤である請求項1~3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 該キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)並びに、これらのナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩である請求項1~4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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