JP5455672B2 - マゼンタトナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの機器において、紙やOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)シート等のメディアに転写されたトナー像を、熱により永久定着させる定着プロセスは、特に大きな消費電力を必要とするため、低温定着化による消費電力の低減が望まれている。
定着プロセスとトナーの溶融特性は、画像品質に大きく関わるところであり、特にフルカラー画像形成装置においては、定着画像の溶融混色性や平滑性を高めて、高着色力、高光沢度、豊かな色再現性、OHPの高い透明性を表現できることが求められる。一般に、定着温度を低く設定すると、トナーの溶融熱量が不十分になり、画像光沢度や色再現性が低下傾向を示すと共に、定着画像の耐擦過性や耐剥離性能も劣ってくる。
従って、低温定着プロセスに対応したトナーとしては、低熱量においても瞬時に溶融し、十分な定着性を示す性能が求められる。
これらの要求を満たすために、様々な検討がなされており、種々の機能性材料を添加した重合性単量体組成物を、水系媒体中で造粒し、重合反応を行う懸濁重合法によるトナーが知られている。
懸濁重合法によるトナーは、水系媒体中でトナーの油滴を形成するプロセスを経るため、連続相である水と分散相である油滴の界面特性の違いを利用することで、添加する機能性材料によるコア・シェル構造を形成できることが特徴である。特に、高い界面張力を有する離型剤を添加すると、油滴の中心に離型剤を存在させることができるため、定着性と現像性の両立に有利なトナーが得られる。
この様な特徴を有する懸濁重合法によるトナーにおいて、更に低温定着特性を改良する目的で、結着樹脂を低分子量化、或いは低ガラス転移温度化したものや、定着補助材料を新たに添加したトナーが提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
また、更なる低温定着特性を狙い、結着樹脂のガラス転移温度を下げるために構成モノマーのアクリレート比率を高めた場合、特にマゼンタトナーにおいて、着色力が損なわれるといった問題が生じることが分かった。
この着色力の低下は、トナー粒子中の顔料分散性が劣ることによるものであり、特に複数の顔料を用いたマゼンタトナーにおいて、顕著に目立つことが分かった。
さらに、懸濁重合法によるトナーにおいて、複数の顔料を用い、且つトナー粒子内における顔料分散性を改良したマゼンタトナーも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、これらのトナーは着色力に優れるものの、低温定着特性が満足できるレベルに達しておらず、結着樹脂組成のアクリレート比率を高めて低温定着特性の改良を試みた場
合、前述と同様に顔料の分散性が損なわれるといった問題の解決がまだなされていない。
レンに溶かした溶液の水に対する界面張力をC(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をD(mN/m)としたとき、(
i)A>B、(ii)C>D、(iii)(A−C)≦14.0、(iv)(B−D)≧5.0の関係を満たすことを特徴とするマゼンタトナー。
重合性単量体、マゼンタ顔料a、マゼンタ顔料b、ワックス、カルボキシ基を有する樹脂c及びカルボキシ基を有する樹脂dを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物
の粒子を形成する工程、及び、前記重合性単量体組成物の粒子に含有される前記重合性単量体を重合しトナー粒子を形成する工程を含有するマゼンタトナーの製造方法において、前記カルボキシ基を有する樹脂cの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下であり、前記カルボキシ基を有する樹脂dの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、1質量部以上10質量部以下であり、かつ、前記マゼンタ顔料aをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をA(mN/m)、前記マゼンタ顔料bをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をB(mN/m)、前
記カルボキシ基を有する樹脂cをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をC(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をD(mN/m)としたとき、(i)A>B、(ii)C>D、(iii)(A−C
)≦14.0、(iv)(B−D)≧5.0の関係を満たすことを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
その結果、本発明者らは、懸濁重合法により製造されたトナーにおいて、複数のマゼンタ顔料を特定の界面張力に調整し、水系で油滴を安定化させるカルボキシ基を有する樹脂と、油滴中で顔料の分散状態を安定化させるカルボキシ基を有する樹脂の、異なる機能を
有する2種類を存在させることにより、油滴の重合が完了するまで、複数のマゼンタ顔料の分散状態が維持され、着色力の高いマゼンタトナーが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
前記カルボキシ基を有する樹脂cをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をC(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をD(mN/m)としたとき、A>B、C>D、A−C≦14.0、B−D≧5.
0、を満たすことを特徴とする。
一般に、水系における油の界面張力は、小さい値を示す程、界面が水に馴染みやすい性質を示す。従って、トナー構成材料の界面張力が、上記関係を満たすとき、トナーの構成材料からなるモノマーの油滴中で、カルボキシ基を有する樹脂dが最も最外殻を形成し易い傾向を示すと考えられる。
そして、カルボキシ基を有する樹脂dを含有するシェル層が、油滴内部の顔料などの材料が界面へ偏在することを抑制する効果を有するものと考えている。
しかし、カルボキシ基を有する樹脂cとマゼンタ顔料aが、界面張力差が小さく、相互の親和性が大きい場合、油滴内部でマゼンタ顔料aがカルボキシ基を有する樹脂cで包まれた状態を形成すると考えられる。その結果、マゼンタ顔料aはモノマー組成に対する馴染みが良くなり、マゼンタ顔料aの分散安定性が高まると考えられる。
従って、本発明の構成によると、顔料分散の低下傾向を示すアクリレート等の構成比率が高い系においても、重合が完了するまで安定した顔料分散性を維持できるものと考えている。
A−C ≦ 14.0
上記界面張力差(A−C)が14.0よりも大きくなると、マゼンタ顔料aとカルボキシ基を有する樹脂cとが引き付け合う力が小さくなり、カルボキシ基を有する樹脂cの顔料分散剤としての効果が得られないため、モノマーの油滴中でマゼンタ顔料aが凝集傾向を示し、着色力に劣る。より好ましい界面張力差(A−C)は0.0以上7.0以下(0.0≦A−C≦7.0)である。
また、マゼンタ顔料bの界面張力B(mN/m)とカルボキシ基を有する樹脂dの界面張力D(mN/m)は、下記の関係を満たすことが好ましい。
B−D≧5.0
上記界面張力差(B−D)が5.0よりも小さくなると、マゼンタ顔料bとカルボキシ
基を有する樹脂dとの親和性が大きくなり、マゼンタ顔料bがトナー粒子のシェル層の最表層に存在しやすくなる。その結果、低温定着性が損なわれることになる。より好ましい界面張力差(B−D)は5.0以上9.0以下(5.0≦B−D≦9.0)である。
さらに、極性の大きいカルボキシ基を有する樹脂dで形成されるシェル層は、吸湿性が高く、高温高湿環境下でカブリが発生しやすくなる。そこで、吸湿を抑制するためには、シェル層に適度にマゼンタ顔料bが存在することが好ましい。そこで、マゼンタ顔料bとカルボキシ基を有する樹脂dの界面張力差(B−D)は、下記の関係を満たすことが特に好ましい。
5.0≦B−D≦6.0
好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸と上記スチレン系単量体を共重合体の構成成分として少なくとも含有する共重合体;アクリル酸又はメタクリル酸と上記アクリレート系単量体を共重合体の構成成分として少なくとも含有する共重合体;アクリル酸又はメタクリル酸、上記アクリレート系単量体及び上記スチレン系単量体を共重合体の構成成分として少なくとも含有する共重合体;マレイン酸共重合体が挙げられる。さらに好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸、上記アクリレート系単量体、上記スチレン系単量体及び上記不飽和有機酸ヒドロキシエステル系単量体を共重合体の構成成分として少なくとも含有する、酸価と水酸基価を有するスチレン系の共重合体が挙げられる。
上記カルボキシ基を有する樹脂cのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)は、10,00
0以上30,000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が30,000以下であれば、光沢度がより向上し、また、Mwが10,000以上であれば、定着工程での耐オフセット性が向上し、その結果、画像の光沢度がより向上する。
前記ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)で示されるビスフェノール誘導体、あるいは、上記ビスフェノール誘導体の水添物、さらには、下記式(II)で示されるジオール、あるいは、上記ジオールの水添物、さらには、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール等が挙げられる。
本発明におけるカルボキシ基を有する樹脂dの含有量は、重合性単量体100質量部に
対して、1質量部以上10質量部以下である。カルボキシ基を有する樹脂dの含有量が、1質量部以上である場合、より均一なシェル層を形成することが可能であり、10質量部以下である場合、乳化粒子等の生成が抑えられ、トナーがより安定した現像性を示す。
上記カルボキシ基を有する樹脂dのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)は、7,000以上30,000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が当該範囲である場合、より強固なシェル層が形成されるため好ましい。
本発明におけるカルボキシ基を有する樹脂c及びカルボキシ基を有する樹脂dの界面張力は、カルボキシ基を有する樹脂が付加重合体である場合、アクリル酸やメタクリル酸及びその他極性を示すモノマー成分を、スチレン系単量体やアクリレート系単量体と共重合することによって調整できる。また、上記の樹脂中におけるカルボキシ基やその他極性基の分布状態を変えることにより制御することも可能である。
カルボキシ基を有する樹脂が、ポリエステル樹脂の場合には、界面張力は、酸価の調整や、樹脂の末端に2価以上の多価カルボン酸基を導入することによって調整することができる。また、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分及び酸成分を変えることによっても制御することが可能である。
これらの中でも、上記カルボキシ基を有する樹脂cまたはカルボキシ基を有する樹脂dとの親和性に優れるモノアゾ化合物、キナクリドン化合物が好ましい。また、マゼンタ顔料a、及びマゼンタ顔料bは上記化合物の二種以上の混晶体であっても、固溶体であってもよい。
本発明におけるマゼンタ顔料a、及びマゼンタ顔料bの界面張力は、ロジン、ロジン酸、不均化ロジン、マレイン酸エステル樹脂等で、当該顔料を処理することにより調整できる。また、顔料の結晶構造や一次粒径によっても、界面張力を制御することが可能である。マゼンタ顔料a、及びマゼンタ顔料bの含有量は、それぞれ重合性単量体100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
重合性単量体、マゼンタ顔料a、マゼンタ顔料b、ワックス、カルボキシ基を有する樹脂c、カルボキシ基を有する樹脂d、及び必要に応じて他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機によって、均一に溶解または分散させる。これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、前記重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に分散して粒子を形成(造粒)し、粒子中の重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を製造する。前記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に前記重合性単量体組成物を分散する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体が挙げられる。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、トナーのTHF可溶成分の分子量を制御するために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
上記架橋剤の添加量は、重合性単量体100.00質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上3.00質量部以下、より好ましくは0.10質量部以上1.50質量部以下である。
これらの中でも、炭化水素ワックスが好ましく、現像性を長期にわたり良好に維持した上で、定着部材への耐オフセット性を良好に保ち得る。なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する観点から、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
上記荷電制御剤において、トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が好ましい。その他にも、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤なども好適に例示できる。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独でも、また2種類以上組み合わせて含有することができる。荷電制御剤の配合量は、好ましくは、重合性単量体100.0質量部に
対して、0.1質量部以上20.0質量部以下であり、より好ましくは、0.5質量部以上10.0質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーは、トナー規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を利用することにより、荷電制御剤を含有させなくても構わない。
上記重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部であることが好ましい。重合開始剤の種類は、重合法により異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。
アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。具体的には、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
本発明のトナーに用いられる水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることがより好ましい。
上記の分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のトナーを製造する上で、重合性単量体組成物を分散安定剤が分散された水系媒体に加える前に、高速回転する撹拌羽根と前記撹拌羽根の周囲に前記撹拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンとを具備した撹拌装置を用いて、前記重合性単量体組成物を処理する工程を有することが好ましい。
1、図2、図3、及び図4において、1は高速回転する撹拌羽根、2は撹拌羽根1の周囲に該撹拌羽根1と逆方向に高速回転するスクリーン、3は撹拌羽根1とスクリーン2によって形成される撹拌室、4は分散容器、5はスクリーン2に設けられた吐出口、6はジャケット、7は調整タンク、8は撹拌翼、9は循環ポンプ、10は導入口、11は吸入口、12は排出口、13は熱交換器、14は流量計、15は圧力調整弁、16は下部モーター、17は上部モーター、18は蓋体、19は支持筒、20は上部回転軸、21はメカニカルシール、22は上部ハウジング、23は仕切板、24は下部回転軸、25は圧力計、26は温度計である。
まず、図2の撹拌装置について説明する。重合性単量体組成物は、分散容器4内に投入され、撹拌室3の内部にて、撹拌羽根1が高速回転することにより、スクリーン2の内壁と羽根先との間の微小な間隙においてせん断力を受け、重合性単量体組成物中のピグメントショックにより再凝集した顔料が、再分散される。
そして、撹拌室3が、撹拌羽根1の回転方向と逆方向に回転する為、両者の相対的な回転数を上げることができ、再凝集した顔料にかかるせん断力を高めることができる。これにより、従来の撹拌装置よりも、再凝集した顔料を高度に分散することが可能である。更に、撹拌室3における吐出口5が、撹拌羽根1の回転方向と逆方向に回転する為、その回転に伴い流体の吐出位置が変化し、分散容器4内で重合性単量体組成物が、良好に循環する。また、この流れが、吐出口5と微小隙間を置いて回転する撹拌羽根1の回転による吐出流に加わる為、更に速い吐出流が得られるものであり、より一層、全体の循環が促進される。更に、撹拌室3内部の撹拌羽根1上部に導入口10を設けることにより、重合性単量体組成物が、導入口10より分散容器4内に排出された直後、互いに高速で逆方向に回転する撹拌羽根1とスクリーン2により高速せん断を受け、撹拌室3の内側から吐出口5を通過することが可能となる。すなわち、重合性単量体組成物が、高速せん断処理を受けずに吐出口5を通過することなく、調整タンクに戻ること(ショートパス)を抑制することができ、分散時間の短縮が可能となる。また、ショートパスを抑制できない場合、処理時間が増加してしまうため、顔料の過分散や過粉砕が生じ、結果として、顔料の表面積の増加により、重合性単量体組成物の粘度が上昇してしまう。重合性単量体組成物の粘度上昇は、次工程である造粒工程での造粒性を悪化させ、粒度分布がブロードになる。よって、撹拌室内部の導入口を最適に設計することにより、ショートパスを防止し、造粒性の低下も抑制することができる。 また、分散容器4は、ジャケット構造になっており、ジャ
ケット6内に冷却媒体を流すことにより、分散容器内部のせん断により上昇した重合性単量体組成物の温度を低下させることが可能となる。
熱交換器13は、循環ライン上に必ずしも設ける必要はなく、分散容器4内にコイル式の熱交換ラインを設置しても良い。
また、処理流量は、循環経路中に設置された流量計14にて測定される。更に、圧力調
整弁15により、背圧をかけることが可能である。背圧をかけることで、撹拌羽根1及びスクリーン2の回転によるキャビテーションの発生を抑制することが可能となり、一層、処理液に対してせん断力を付与することができる。これにより重合性単量体組成物中の顔料の再分散が効率良くできる。好ましい背圧は、50kPa以上150kPa以下の範囲である。50kPa未満では、背圧が不十分なため、キャビテーションの発生を抑制することが難しいため好ましくない。また、150kPaを超えると、せん断力が非常に大きくなり、撹拌室3内部における重合性単量体組成物の昇温が激しく、重合性単量体組成物が熱により重合を開始するため、所望のトナーの分子量を得られないため好ましくない。
撹拌羽根1の周速をE(m/s)、スクリーン2の周速をF(m/s)とすると、E及びFは25≦E≦40、(E−10)≦F≦(E+10)の関係を満たすことが好ましい。撹拌羽根1の周速が高いほど、重合性単量体組成物に与えるせん断力が大きくなり、顔料の再分散の効率も良化していく。本発明者らが、鋭意検討した結果、顔料の再分散には、25m/s未満の条件においては、せん断力が不足し、顔料の再分散が不十分であり好ましくない。また、一般的に水系に比べ溶剤系である重合性単量体系では、キャビテーションの発生が少ないものの、40m/sを超えると、キャビテーションの発生が急激に増加し、分散効率の低下及びスクリーン2にエロージョンによる損傷が生じ、運転上好ましくない。以上より、撹拌羽根1の周速E(m/s)は、25≦E≦40の範囲が好ましい。
上述の分散機としては、例えば、クレアミクスWモーション(エム・テクニック社製)を好適に用いることができるが、特に限定されるものではない。
前記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカなどが挙げられる。シリカ微粉体としては、表面及びシリカ
微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
無機微粉体の疎水化処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いても良い。その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が、環境特性に優れるため好ましい。
<界面張力測定>
本発明における界面張力は、以下に述べる懸滴法により測定した。具体的には温度25℃の環境下にて協和界面科学(株)製のFACE 固液界面解析装置 Drop Master700を用い、レンズ部の視野としてWIDE1にて測定した。まず、鉛直方向下向きに内径が0.4mmの細管の先端部分をイオン交換水に入れる。次に、細管はシリンジ部に接続する。シリンジ部には測定するサンプルのスチレン溶液または分散液を脱気した状態で入れる。なお、本発明の測定方法においては、スチレンに溶解または分散させるサンプル濃度は0.99質量%で実施した。
次にシリンジ部を協和界面科学(株)製 AUTO DISPENSER AD−31に接続してスチレン溶液または分散液を細管から押し出すことにより、イオン交換水内で細管先端部に液滴を作成することができる。そして、この液滴の形状から水との界面張力を計算する。液滴を作成する上での制御や計算方法については協和界面科学(株)製の測定解析システムを用いて行った。なお、計算に必要な水とスチレン溶液または分散液の密度差は水とスチレンの密度差である0.1g/cm3として行った。最終的な界面張力の
測定結果は10回の測定値の平均値とした。
樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.5質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量(メインピーク分子量)の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例
えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」(東ソ−社製))を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明における樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA
Instruments社製)を用い、「ASTM D3418−82」に準じて以下のように測定する。
具体的には、上記示差走査熱量計のモジュレーティッドモードを用い、以下の条件にて測定し、昇温1回目のDSC曲線のピーク位置から求める。測定サンプルは3mgを精密に秤量する。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定範囲を20℃から140℃までの間で測定を行う。
(測定条件)
・温度20℃で5分間平衡を保つ。
・1.0℃/minのモジュレーションをかけ、温度140℃まで1℃/minで昇温する。
・温度140℃で5分間平衡を保つ。
・温度20℃まで降温する。
ここで、ガラス転移温度は、日本工業規格(JIS)K7121 9.3項(制定年月日1987年10月01日、確認年月日2006年03月25日)に定める中間点ガラス転移温度である。
本発明における樹脂の酸価は、「JIS K 0070−1992」に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1リットル(l)とする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入
れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、「JIS K 8001−1998」に準じて作成されたものを用いる。
2)操作
(A)本試験
粉砕した測定試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作(A)本試験と同様の滴定を行う。
3)酸価の算出
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
(A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、
C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g))
本発明において、樹脂の水酸基価(JIS水酸基価)は、以下の方法により求める。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の水酸基価は「JIS K 0070−1992」に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1リットル(l)とする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、「JIS K 8001−1998」に準じて作成されたものを用いる。
2)操作
(A)本試験
粉砕した測定試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
測定試料を用いない以外は、上記操作(A)本試験と同様の滴定を行う。
3)水酸基価の算出
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
(A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml
)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結着樹脂の酸価(mgKOH/g))
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer
3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの標準測定方法(SOM)を変更画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトのパルスから粒径への変換設定画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)「Multisizer 3専用」のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/Vol%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
・スチレン(St) 91.65部
・メチルメタクリレート(MMA) 2.50部
・メタクリル酸(MAA) 3.35部
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA) 2.50部
・パーブチルD(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製)) 2.00部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、140℃に昇温させた後、2時間かけて滴下した。更に、キシレン還流下で10時間保持し、重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られたカルボキシ基を有する樹脂1(カルボキシ基含有樹脂1)の物性を表1に示す。
カルボキシ基を有する樹脂1の製造例において、添加するモノマー組成を、表1に示す共重合体組成に変更し、パーブチルDの添加量を変更することを除いては、カルボキシ基を有する樹脂1の製造例と同様にしてカルボキシ基を有する樹脂2乃至9を製造した。得られたカルボキシ基を有する樹脂2乃至9(カルボキシ基含有樹脂2乃至9)の物性を表1に示す。
・テレフタル酸 15.00部
・イソフタル酸 15.00部
・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 70.00部
・シュウ酸チタン酸カリウム 0.03部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレープ中に、上記各成分を仕込み、窒素雰囲気下、220℃で17時間反応を行い、更に10mmHg以上20mmHg以下の減圧下で0.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10部添加して、175℃で2.0時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9,500、ガラス転移温度(Tg)は73℃、酸価(Av)は8.0mgKOH/g、界面張力は26.4mN/mであった。
表2に示すようにマゼンタ顔料1乃至5を調製した。
・スチレン 40.0質量部
・マゼンタ顔料1 5.0質量部
・マゼンタ顔料4 3.0質量部
・荷電制御剤(ボントロンE-88;オリエント化学社製) 1.0質量部
上記材料を、スターミルLMZ2型(アシザワ・ファインテック社製)を用いて3時間分散し、顔料分散組成物を調製した。
また、別容器にて、下記材料をプロペラ式撹拌装置にて溶解して樹脂溶解液を調製した。
・スチレン 30.0質量部
・n−ブチルアクリレート 30.0質量部
・カルボキシ基を有する樹脂2(カルボキシ基含有樹脂2) 15.0質量部
・ポリエステル樹脂 5.0質量部
更に、別容器に60℃に加温したイオン交換水900質量部、リン酸三カルシウム2.5質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
次に、図1に示す装置の調整タンク7に、上記顔料分散組成物、上記樹脂溶解液、ワックス(HNP−10;日本精鑞社製)10.0質量部及びジビニルベンゼン0.2質量部を投入後、60℃に昇温し、30分間分散・混合を行った。なお、撹拌羽根1の周速は35m/sとし、また、スクリーン2の周速は35m/sとした。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温した。5時間反応させた後、更に80℃に昇温し、3時間反応させた。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、3時間撹拌した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、マゼンタトナー粒子1を得た。
マゼンタトナー粒子1(100.0質量部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5質量部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、マゼンタトナー1を得た。マゼンタトナー1の各種物性を表4に示す。
マゼンタトナー1の製造例において、添加するマゼンタ顔料、カルボキシ基を有する樹脂(カルボキシ基含有樹脂)の種類や添加量を、表3に示す組成に変更することを除いて、マゼンタトナーの製造例1と同様にしてマゼンタトナー2乃至21を製造した。得られたトナーの各種物性を表4に示す。
上記マゼンタトナー1について、評価方法を具体的に示す。
評価機として、「LBP7200C」(キヤノン社製)の改造機を使用し、マゼンタカートリッジにマゼンタトナー1を詰め替えた。常温常湿環境下(23℃、55%RH)において着色力、低温定着性、光沢度の評価を行い、高温高湿環境下(30℃、80%RH)においてカブリの評価を行った。なお、カブリの評価は、初期と5%の印字比率の画像
を2,800枚印字後(耐久後)に行った。評価紙にはA4サイズのCLCカラーコピー用紙(キヤノン社製、秤量80g/m2)を用いた。評価結果を表5に示す。
評価紙上のトナーの載り量が0.50mg/cm2であるベタ画像を作成し、その画像
濃度をカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)を用いて測定し、評価した。
A:画像濃度が1.40以上(良好)
B:画像濃度が1.35以上、1.40未満(実用上問題なし)
C:画像濃度が1.20以上、1.35未満(実用限度)
D:画像濃度が1.20未満(実用上問題あり)
評価紙としてBusiness4200(秤量105g/m2、Xerox社製)を用い、トナーの載り量を0.50mg/cm2としたベタ画像を作像し、定着温度を130乃至180℃の範囲で変調して定着を行った。4.9KPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業(株)製)により、得られた定着画像を5往復摺擦し、下式により画像濃度の低下率(%)を算出し、低下率が10%以下となった温度を定着開始温度とした。なお、画像濃度はカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)で測定した。
濃度低下率=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
A: 150℃未満(良好)
B: 150℃以上、160℃未満(実用上問題なし)
C: 160℃以上、170℃未満(実用限度)
D: 170℃以上(実用上問題あり)
評価紙上のトナーの載り量を0.50mg/cm2に設定し、長手方向に対して、先端から5cmのところから縦5cm、幅20cmのベタ画像、それ以降がベタ白という画像を出力させた。「PG−3D」(日本電色工業株式会社製)を用いて、測定光学部角度75°における定着画像の光沢度を測定した。
A:35以上(良好)
B:25以上、35未満(実用上問題なし)
C:20以上、25未満(実用限度)
D:20未満(光沢画像としては不足)
初期及び耐久後に、白地部分を有する画像を出力し、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と記録材の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。フィルターはグリーンフィルターを用いた。
A: 1.0%未満(良好)
B: 1.0%以上2.0%未満(実用上問題なし)
C: 2.0%以上3.0%未満(実用限度)
D: 3.0%以上(実用上問題あり)
マゼンタトナー2乃至21を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。
Claims (6)
- 重合性単量体、マゼンタ顔料a、マゼンタ顔料b、ワックス、カルボキシ基を有する樹脂c及びカルボキシ基を有する樹脂dを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させることにより得られるトナー粒子を含有するマゼンタトナーにおいて、
前記カルボキシ基を有する樹脂cの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下であり、
前記カルボキシ基を有する樹脂dの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、1質量部以上10質量部以下であり、かつ、
前記マゼンタ顔料aをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をA(mN/m)、前記マゼンタ顔料bをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をB(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂cをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面
張力をC(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をD(mN/m)としたとき、
(i)A>B、
(ii)C>D、
(iii)(A−C)≦14.0、
(iv)(B−D)≧5.0
の関係を満たすことを特徴とするマゼンタトナー。 - 前記マゼンタ顔料aをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力A(mN/m)と、前記カルボキシ基を有する樹脂cをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力C(mN/m)が、(A−C)≦7.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のマゼンタトナー。
- 前記カルボキシ基を有する樹脂dが、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のマゼンタトナー。
- 前記カルボキシ基を有する樹脂cのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量(Mw)が、10,000以上30,000以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
マゼンタトナー。 - 前記マゼンタ顔料bをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力B(mN/m)と、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力D(mN/m)が、5.0≦(B−D)≦6.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマゼンタトナー。
- 重合性単量体、マゼンタ顔料a、マゼンタ顔料b、ワックス、カルボキシ基を有する樹脂c及びカルボキシ基を有する樹脂dを少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、及び、前記重合性単量体組成物の粒子に含有される前記重合性単量体を重合しトナー粒子を形成する工程を含有するマゼンタトナーの製造方法において、
前記カルボキシ基を有する樹脂cの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、5質量部以上30質量部以下であり、
前記カルボキシ基を有する樹脂dの含有量が、前記重合性単量体100質量部に対し、1質量部以上10質量部以下であり、かつ、
前記マゼンタ顔料aをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をA(mN/m)、前記マゼンタ顔料bをスチレンに分散させた分散液の水に対する界面張力をB(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂cをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面
張力をC(mN/m)、前記カルボキシ基を有する樹脂dをスチレンに溶かした溶液の水に対する界面張力をD(mN/m)としたとき、
(i)A>B、
(ii)C>D、
(iii)(A−C)≦14.0、
(iv)(B−D)≧5.0
の関係を満たすことを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
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