JP5653198B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法、及びトナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関するものである。
近年、複写機やレーザービームプリンターをはじめとする電子写真方式の画像形成装置は、小型化、軽量化等々に加えて高画質、高信頼性の両立が追求されていて、画像形成装置はよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければ、より優れた画像形成装置が成り立たなくなってきている。また、多様なニーズに伴い、更に一層の高画質、高解像度等が望まれているのが実状である。
しかし、特にマゼンタトナーにおいて、着色剤である顔料が分散されにくいため着色力が高まらない、光透過性が不足し、オーバー・ヘッド・プロジェクター(OHP)用シートへのコピー物の良好な透過画像が得られない問題を生じやすかった。特にこの問題は乳化重合法や懸濁重合法によりトナーを製造した際に生じやすい傾向があった(特許文献1,2参照)。
これらの問題点に対して従来公知の方法として着色剤の表面処理を行う方法があり、特にロジンを処理することにより着色剤の再凝集を防止し、トナー粒子中での着色剤の分散性の向上を行う提案がなされている。さらに、ロジンを着色剤に処理することによりトナーの定着性、帯電特性の良化、カブリ抑制も行うことができることが提案されている(特許文献2、3参照)。
一方、プリンターの印字速度の高速化需要も年々高まってきており、トナーに対しては高速化に対応する現像安定性を備えるといった、厳しいスペックが要求されている。しかし、上記の如きロジンで処理した着色剤を用いたトナーでは安定した着色剤の分散性と高速プリントした際のトナーの帯電特性との両立は十分とは言えない。例えば、低温低湿条件下での高速プリントを行った際の、現像ローラーのフィルミング、着色力の両立には改良の余地がある。
特開平06−266160号公報 特開2003−280246号公報 特開2003−202706号公報
本発明が解決しようとする課題は、ロジンを処理した着色剤を用いたトナーの着色力を向上させ、さらには、着色剤のトナー粒子表面近傍における分布を制御し、現像ローラーのフィルミング抑制を達成し得るトナーを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、着色剤及び結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子が、水系媒体中で製造されたトナー粒子であり、
該着色剤が、テトラヒドロアビエチン酸を60質量%以上90質量%以下含有するロジンを該着色剤の表面に有し、
該着色剤が有する該ロジンの量が、該着色剤100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であり、
該ロジンをトルエンに、ロジン濃度が0.99質量%となるように溶解させた溶液の水に対する界面張力をA(mN/m)としたとき、20.0≦A≦28.0、を満足する
ことを特徴とする。
本発明によれば、着色力を向上させ、さらに、低温低湿条件下での現像ローラーのフィルミングを抑制できるトナーを得ることができる。
本発明は、水系媒体中で製造するトナーにおいて、着色剤の表面にロジンを有するだけでなく、ロジンに含有される成分、ロジン量、界面張力を特定の範囲に調整することにより、着色剤の分散性を損なわれることなく着色力の高いトナーと低温低湿環境下でのフィルミングを抑制することができるトナーを得ることができる。
本発明者らは、着色剤の分散性が損なわれることなく、現像ローラーへのフィルミングの抑制が満足できるトナーについて鋭意検討を行った。特に、トナーの流動性の低下によるフィルミング悪化に着目した。この低下に関して、トナー粒子の表面近傍における着色剤の分布状態に起因すると考え、トナー粒子の表面近傍における着色剤の分布を制御する検討を重ねた。
その結果、着色剤の処理剤であるロジンにテトラヒドロアビエチン酸を特定量含有し、かつロジンの界面張力を調整することにより、トナー粒子の表面近傍における着色剤の分布状態を制御できることを見出し、本発明に到った。
本発明のトナーは、着色剤、結着樹脂を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該着色剤が、テトラヒドロアビエチン酸を60質量%以上90質量%以下含有するロジンを表面に有しており、該ロジンの量が該着色剤100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であり、かつ、該ロジンをトルエンに溶解させた溶液の水に対する界面張力をA(mN/m)としたとき、
20.0≦A≦28.0
の関係を満足することを特徴とする。
現像ローラーのフィルミングがさらに良好になるメカニズムは明らかになっていないが、本発明者らは以下のように考えている。
一般に、現像ローラーのフィルミング発生の原因としては例えば、トナーを接触帯電する際の、ブレードとの接触等、トナーに対して物理的なストレスを与えることで、トナーがローラーに対して固着することが挙げられる。また、トナーの流動性が悪化することで、よりトナーが固着しやすいと言うことも確認されている。このトナーの流動性低下の原因となっているのがトナー粒子に対する外添剤の埋め込み、剥離であると考えられる。従って、トナー表面近傍における着色剤の分布状態により、外添剤の埋め込み、剥離が発生し、現像ローラーのフィルミングが生じたと考えられる。
また、ロジンをトルエンに溶解させた溶液の水に対する界面張力は、小さい値を示す程、界面が水に馴染みやすい性質、つまり親水性が高い性質を示す。従って、水系媒体中で製造されるトナー粒子において、ロジンの界面張力が次の関係式を満たすときに、該ロジンで処理された着色剤の表面近傍の分布が適切であると考えられる。
つまり、本発明におけるロジンの界面張力A(mN/m)は以下の関係式を満足することが必須である。
20.0≦A≦28.0
界面張力Aの値が20.0よりも小さくなると着色剤が、よりトナー表面近傍に存在し、外添剤の剥離の原因となりフィルミングが発生しやすくなる。また、界面張力の値が28.0よりも大きくなると着色剤が、よりトナー表面近傍よりもトナー内部に存在するため、外添剤の埋め込みの原因となりフィルミングが発生しやすくなると考えられる。
さらに、上記の界面張力Aの関係式に加えて、テトラヒドロアビエチン酸を60質量%以上90質量%以下含有するロジンを着色剤100質量部に対して5質量部以上30質量部以下の量で処理することにより、上記の現像ローラーのフィルミング抑制が良好なトナー、かつ、着色剤の分散性を損なうことなく、着色力の高いトナーを得ることができる。
テトラヒドロアビエチン酸の量が60質量%より大きいと、フィルミング抑制をする上記界面張力Aの値を満足する様、ロジンを調整した際に、着色剤の分散安定性がさらに向上し、良好な着色力が得られる。またテトラヒドロアビエチン酸の量が90質量%より小さいとトナーの帯電性が向上し、現像ローラーのフィルミング抑制が良好となる。また、着色剤の分散性の観点から着色剤100質量部に処理するロジン量は、5質量部以上30質量部以下が好ましい。5質量部以上30質量部以下のロジン量で処理された着色剤は上記界面張力Aの値を満足するよう調整した際に、安定した分散性が得られるため着色力が向上する。
本発明に係わる着色剤を好ましく処理できるロジンとしては、テトラヒドロアビエチン酸を60質量%以上90質量%以下含有していて、加えて、「デヒドロアビエチン酸、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レポピマル酸、パラストリン酸、サンドラッコピマル酸、セコデヒドロアビエチン酸、アガト酸」からなる群より選ばれる化合物またはこれらのアルカリ金属塩やエステル化合物を含有しているものが挙げられる。また、上記の如きロジンを得る方法としては、天然ロジン(トール油ロジン、ガムロジン、ロッドロジンなど)などに含有されるアビエチン酸類の共役しているアルケニル基をアルキル基にする方法(例えば、水素添加する方法)などがある。
なお、本発明におけるロジンの界面張力は前記したロジンに含まれる成分により調整される。
上記の如きロジンにより、着色剤を処理する方法としては、(1)ロジンと着色剤を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法、(2)着色剤製造時の着色剤の合成溶液中にロジンのアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はマンガン等のレーキ金属塩を添加し、ロジンを不溶化することで着色剤表面に被覆処理を施す湿式処理等が挙げられる。
本発明のトナーは着色剤のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率50%の時のメタノール濃度が30体積%以上45体積%以下にすることが好ましい。上記の値を満足することにより、着色剤とワックスとの親和性が良好になり、トナー中におけるワックスの分散性が向上するため、トナーの低温定着性が良好になる。
なお、上記を満足させる濡れ性は着色剤の種類、着色剤に処理されるロジン量により調整される。
本発明のトナーに用いられるマゼンタ着色剤としてはC.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269及びC.I.ピグメントバイオレット19が好ましい。さらに、透明性の観点からモノアゾ系着色剤が好ましい。このメカニズムに関しては明らかになってはいないが、本発明者らは、該着色剤が上記の如きロジンとの親和性が良好であり、より均一に着色剤を処理することができるため、顔料の凝集が抑制でき、OHPの透過性が向上するからであると考えている。
また、これらの着色剤は単独、もしくは、併用して用いることができる。
さらに、上記のマゼンタ着色剤に関しては、モノアゾ系着色剤の中でもさらに透過性が良好であった、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド238及びC.I.ピグメントレッド269を用いることが特に好ましい。
本発明のトナーに用いられるイエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー180を用いるのが好ましく、その中でも上記マゼンタ着色剤と同様、透過性の観点からモノアゾ着色剤であるC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。
本発明のトナーに用いられるシアン着色剤としては銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、C.Iピグメントブルー1、C.Iピグメントブルー7、C.Iピグメントブルー15、C.Iピグメントブルー15:1、C.Iピグメントブルー15:2、C.Iピグメントブルー15:3及びC.Iピグメントブルー15:4が特に好ましい。
また、本発明のトナーをブラックトナーとする際に、用いられるブラック着色剤は、カーボンブラック、磁性体が好ましい。また、上記のイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものも利用できる。
本発明のトナーを製造する方法として懸濁重合法、乳化重合法が好ましい、特に、懸濁重合法によりトナーを製造することがより好ましい。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法を説明する。重合性単量体、着色剤、ワックス、極性樹脂、荷電制御剤及び必要に応じた他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機に依って均一に溶解または分散させる。これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、前記重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に分散して粒子を形成(造粒)し、粒子中の重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を製造する。前記重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に前記重合性単量体組成物を分散する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
上記の懸濁重合法によりトナーを製造した場合、極性樹脂および荷電制御樹脂がトナー粒子表面付近に均一に移行し、水中の分散剤と引き合うことで該粒子表面を分散剤で均一に覆うことによりトナー粒子の合一を防ぎ、優れた造粒安定性を示し、製造面において好ましい効果をもたらす。さらに、トナー粒子がより真球状に製造できるため、転写性が良好になる。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。上記結着樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
結着樹脂を生成するための重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアクリル酸エステル系単量体或いはメタクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの如きエン系単量体。
本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めために、結着樹脂を合成する時に架橋剤を用いてもよい。
2官能の架橋剤として、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び前記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたもの。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤の添加量は、重合性単量体100.00質量部に対して、好ましくは0.05質量部乃至3.00質量部、より好ましくは0.10質量部乃至1.50質量部である。
本発明のトナーに使用可能なワックスとしては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体(誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる)、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ンワックス。これらワックスは単独で、または2種以上を併せて用いられる。
これらの中でも、炭化水素ワックス及びエステル系ワックスが好ましく、現像性を長期にわたり良好に維持した上で、定着部材への耐オフセット性を良好に保ち得る。なお、これらのワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
更に、前記ワックスは、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時のDSC曲線において、最大吸熱ピーク温度が60℃乃至120℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70℃乃至110℃である。最大吸熱ピーク温度が60℃以上であると耐オフセット性能が良好になる。一方、最大吸熱ピークが120℃以下であるとトナー粒子製造時の粒度分布がシャープになる傾向を示し、現像性が良好になる。
本発明のトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
また、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩の如きによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、重合性単量体100.0質量部に対して0.1質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。しかしながら、本発明のトナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナー規制部材や現像ローラーとの摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含ませる必要はない。
本発明のトナーに用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性単量体100質量部に対して3質量部乃至20質量部である。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。
本発明における、極性樹脂は、スチレン系の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。より好ましくは、飽和及び不飽和のポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、スチレンやアクリレートモノマーを主成分とする分散質の油滴中で、重合が進むにつれて層分離し易い傾向を示すため、安定した最外殻のシェル層が形成される。均一なシェル層の形成は、耐久性に優れる。
前記ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また下記一般式(A)で表されるビスフェノール誘導体、
Figure 0005653198
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2乃至10である。)
あるいは一般式(A)の化合物の水添物、また、下記一般式(B)で示されるジオール、
Figure 0005653198
あるいは式(B)の化合物の水添物のジオール、さらには、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール等、が挙げられる。
2価のカルボン酸としては以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6乃至18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物、さらには、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の如き多価カルボン酸やその無水物。
本発明における、極性樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部であることが好ましい。極性樹脂が1質量部以上含有されると、均一なシェル層を形成することができる。また20質量部以内で含有されると、乳化粒子等の生成が抑えられ、安定した現像性を示すことができる。
本発明において、水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定剤を用いることができる。
具体的には、無機系の分散安定剤の例としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
本発明のトナーに用いられる水系媒体調製時に使用する分散安定剤としては、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の使用量は重合性単量体100.0質量部に対して、0.2質量部乃至20.0質量部であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部乃至3,000質量部の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
上記のような分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、分散安定剤を生成させて水系媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
本発明のトナーは、トナー粒子と、無機微粉体等の外添剤とを有するトナーであることが好ましい。
前記無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。前記無機微粉体の中でもシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が好ましい。また、無機微粉体以外の外添剤として、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらを単独で、あるいは複数を併用して用いることが好ましい。
前記シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカ、ゾル−ゲル法により製造されるゾルゲルシリカなどが挙げられる。無機微粉体としては、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
前記無機微粉体を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成できるので、疎水化処理された無機微粉体を用いることが好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿し難いと、トナーとしての帯電量低下が軽減し、現像性や転写性が向上する傾向にある。
無機微粉体の疎水化処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粉体が、環境特性に優れるため好ましい。
以下、本発明に係る各種測定方法について説明する。
<界面張力測定>
本発明における界面張力は、以下に述べる懸滴法により測定した。具体的には温度25℃の環境下にて協和界面科学(株)製のFACE 固液界面解析装置 Drop Master700を用い、レンズ部の視野としてWIDE1にて測定した。まず、鉛直方向下向きに内径が0.4mmの細管の先端部分をイオン交換水に入れる。次に細管はシリンジ部に接続する。シリンジ部には測定するサンプルのトルエン溶液または分散液を脱気した状態で入れる。なお、本発明の測定方法においては、トルエンに溶解または分散させるサンプル濃度は0.99質量%で実施した。次にシリンジ部を協和界面科学(株)製 AUTO DISPENSER AD−31に接続してトルエン溶液または分散液を細管から押し出すことにより、イオン交換水内で細管先端部に液滴を作成することができる。そして、この液滴の形状から水との界面張力を計算する。液滴を作成する上での制御や計算方法については協和界面科学(株)製の測定解析システムを用いて行った。なお、計算に必要な水とトルエン溶液または分散液の密度差は水とトルエンの密度差である0.13g/cm3として行った。最終的な界面張力の測定結果は10回の測定値の平均値とした。
<着色剤の濡れ性測定>
着色剤の濡れ性、すなわち着色剤の疎水特性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pが挙げられ、具体的な測定操作としては、以下に例示する方法が挙げられる。
まず、水60mlを容器中に入れ、この中に検体である着色剤を0.1g精秤して添加し、着色剤の疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。次に、この測定用サンプル液を撹拌速度300rpm(5回転/秒)の速さ(マグネティックスターラーの回転速度)で攪拌しながら、メタノールを0.8ml/min.の滴下速度で連続的に添加し、波長780nmの光で透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。尚、この測定において、容器としては、底面の直径5cmの円筒形で、厚さ1.75mmのガラス製のビーカーを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありフッ素樹脂でコーティングを施されたものを用いた。
<重量平均粒径(D4)測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの標準測定方法(SOM)を変更画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトのパルスから粒径への変換設定画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中の部は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<着色剤1の製造例>
・イオン交換水 1500部
・C.I.Pigment Red 146 100.0部
上記材料を撹拌・混合し、C.I.Pigment Red 146を水中に懸濁させた。その後、テトラヒドロアビエチン酸15.0部、アビエチン酸5.0部および33%濃度の水酸化ナトリウム水溶液30部を添加した。液温を98℃に昇温した後、温度を保ったまま1時間撹拌した。65℃に降温した後31%濃度の塩酸約60部を添加して樹脂を沈殿させた。沈殿した組成物をろ別し、イオン交換水によって洗浄した後乾燥し、着色剤1を得た。着色剤1の物性を表1に示す。
<着色剤2乃至4、6乃至16および比較例用の着色剤1乃至6の製造例>
ロジンの種類と添加量、着色剤の種類と量を変更する以外は、前記着色剤の製造例1と同様にして着色剤2乃至4、6乃至16および比較例用の着色剤1乃至6を製造した。着色剤2乃至4、6乃至16および比較例用の着色剤1乃至6の物性を表1に示す。
<着色剤5の製造例>
着色剤をピグメントレッド146からピグメントイエロー74に変更する以外は、着色剤の製造例1と同様にして着色剤5を製造した。着色剤5の物性を表1に示す。
Figure 0005653198
〔界面張力は懸滴法で測定した値(mN/m)を表し、着色剤の濡れ性とは780nmの波長の光の透過率が50%の時のメタノール濃度の体積%を表す。〕
<トナーの製造例1>
・スチレン 40.0部
・着色剤1 8.0部
・荷電制御剤(ボントロンE−88;オリエント化学社製) 1.0部
上記材料をアトライター(三井鉱山社製)3時間分散し、顔料分散組成物を調製した。
また、別容器にて、下記材料をプロペラ式撹拌装置にて溶解して樹脂溶解液を調製した。
・スチレン 30.0部
・n−ブチルアクリレート 30.0部
・ポリエステル樹脂
(酸価:8.0mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):9,500) 5.0部
更に、別容器に60℃に加温したイオン交換水900部、リン酸三カルシウム2.5部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
次に、上記顔料分散組成物、上記樹脂溶解液、ワックス(HNP−10;日本精鑞社製)10.0部及びジビニルベンゼン0.2部を投入後、60℃に昇温し、30分間分散・混合を行った。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて10,000rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温した。5時間反応させた後、更に80℃に昇温し、3時間反応させた。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、3時間撹拌した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、トナー粒子Aを得た。
トナー粒子A(100.0部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、トナー(A)を得た。トナー(A)の各種物性を表2に示す。
<トナーの製造例2乃至11、13乃至17、及び比較用トナーの製造例1乃至6>
トナーの製造例1において、添加する着色剤を、表1に示す組成に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にしてトナー(B)乃至(K)、(M)乃至(Q)、及び比較例のトナー(a)乃至(f)を製造した。得られたトナーの各種物性を表2に示す。
<トナーの製造例12>
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 70.0部
・n−ブチルアクリレート 30.0部
・ジビニルベンゼン 0.2部
・アクリル酸 2.0部
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成製:ノニポール400)1.2部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンSC)2.2部をイオン交換水120部に溶解したものに、フラスコ中で分散、乳化した。続いて、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム0.7部を溶解したイオン交換水10部を投入し、窒素置換を行った。その後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、4時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が0.31μmである樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
(離型剤粒子分散液1の調製)
・HNP−10(日本精鑞社製) 50.0部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンSC) 6.0部
・イオン交換水 200部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液を調製した。
(着色剤粒子分散液1の調製)
・C.I.ピグメントレッド146 20.0部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンSC) 2.0部
・イオン交換水 78部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製:LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(混合液調製)
・樹脂粒子分散液1 340.0部
・着色剤粒子分散液1 40.0部
・離型剤粒子分散液1 60.0部
以上を撹拌装置、冷却管、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N水酸化カリウム水溶液を用いてpH=5.2に調整した。
(凝集粒子形成)
この混合液に凝集剤として、10%塩化ナトリウム水溶液150.0部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら50℃まで加熱し、50℃で1時間保持し、コア凝集粒子を作製した。さらに、ここに樹脂粒子分散液1を緩やかに60.0部追加、50℃で30分間保持し、コア/シェル凝集粒子を作製した。
(融着工程)
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンSC)3.0部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら95℃まで加熱し、4時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、45℃で流動層乾燥を行い、トナー粒子Lを得た。
トナー粒子L(100.0部)に対し、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5部(数平均一次粒子径:16nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で10分間乾式混合して、トナー(L)を得た。トナー(L)の各種物性を表2に示す。
Figure 0005653198
〔実施例1〕
上記トナー(A)について、評価方法を具体的に示す。
評価機としてLBP7700C(キヤノン社製)の改造機を使用し、カートリッジにトナー(A)を詰め替えた。常温常湿環境下(23℃、55%RH)において着色力、低温定着性、OHT透明性、転写性の評価を行い、現像ローラーのフィルミングの評価は低温低湿環境下(15℃、10%RH)において評価を行った。なお、転写材としてはA4サイズのCLC用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。評価結果を表3に示す。
評価機の改造点は以下の通りである。
評価機本体のギア及びソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが320mm/secとなるようにした。
評価に用いるカートリッジはマゼンタカートリッジを用いた。すなわち、市販のマゼンタカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを充填して評価を行った。
(1)現像ローラーのフィルミング
低温低湿環境下(15℃、10%RH)において、初期と3%の印字比率の画像を9,000枚印字後を目視で評価した。
A:全く発生せず。
B:極軽微に発生したが実用上問題無し。
C:軽微に発生したが実用上問題無し。
D:発生し、実用上問題あり。
(2)着色力
評価紙上のトナーの載り量が0.50mg/cm2であるベタ画像を作成し、その画像濃度をカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)を用いて測定し、評価した。
A:画像濃度が1.40以上(良好)
B:画像濃度が1.35以上1.40未満(実用上問題なし)
C:画像濃度が1.20以上1.35未満(実用限度)
D:画像濃度が1.20未満(実用上問題あり)
(3)低温定着性
評価紙としてBusiness4200(秤量105g/m2、Xerox社製)を用い、トナーの載り量を0.50mg/cm2としたベタ画像を作像し、定着温度を130乃至180℃の範囲で変調して定着を行った。4.9kPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業(株)製)により、得られた定着画像を5往復摺擦し、下式により画像濃度の低下率(%)を算出し、低下率が10%以下となった温度を定着開始温度とした。なお、画像濃度はカラー反射濃度計(X−RITE 404A:X−Rite Co.製)で測定した。
濃度低下率=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)×100/摺擦前の画像濃度
A:150℃未満(良好)
B:150℃以上160℃未満(実用上問題なし)
C:160℃以上170℃未満(実用限度)
D:170℃以上(実用上問題あり)
(4)OHP透明性
オーバーヘッドプロジェクター(OHP)に投影したOHP画像の透明性については、市販のオーバーヘッドプロジェクターを用いて、トランスペアレンシーフィルムに形成したベタ画像を投影して、投影像を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:透明性に優れ、明暗ムラもなく、色再現性も優れる。
B:若干明暗ムラがあるものの、実用上問題ない。
C:明暗ムラがあり、色再現性に乏しい。
D:透明性、色再現性に乏しく実用上問題あり。
(5)転写性の評価
転写均一性を測定する際には、ハーフトーン全域画像(トナー乗り量0.20mg/cm2)及びベタ全域画像(トナー乗り量0.50mg/cm2)を1枚出力して評価した。以下に判定基準を示す。
A:ハーフトーン及びベタともに1ページ内の均一性は優れており、実使用上全く問題な
いレベル。
B:ハーフトーン画像にて1ページ内の均一性の若干劣るものが認められるものの、実使
用上問題ないレベル。
C:ハーフトーン及びベタともに1ページ内の均一性の若干劣るものが認められるものの
、実使用上問題となる可能性が低いレベル。
D:ハーフトーン及びベタともに1ページ内の均一性が劣るため、実使用上問題となる可
能性が高いレベル。
〔実施例2乃至17、比較例1乃至6〕
トナー(B)乃至(Q)、(a)乃至(f)を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0005653198

Claims (5)

  1. 着色剤及び結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
    該トナー粒子が、水系媒体中で製造されたトナー粒子であり、
    該着色剤が、テトラヒドロアビエチン酸を60質量%以上90質量%以下含有するロジンを該着色剤の表面に有し、
    該着色剤が有する該ロジンの量が、該着色剤100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であり、
    該ロジンをトルエンに、ロジン濃度が0.99質量%となるように溶解させた溶液の水に対する界面張力をA(mN/m)としたとき、20.0≦A≦28.0、を満足する
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記着色剤のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定したとき、該透過率が50%のときの該混合溶媒中のメタノールの濃度が、30体積%以上45体積%以下の範囲内である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記着色剤が、モノアゾ系着色剤である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記モノアゾ系着色剤が、
    C.I.Pigment Red 31、
    C.I.Pigment Red 32、
    C.I.Pigment Red 146、
    C.I.Pigment Red 150、
    C.I.Pigment Red 238、及び、
    C.I.Pigment Red 269
    からなる群より選択されるものである請求項3に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子が、着色剤及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該粒子に含有される該重合性単量体を重合させて得られたトナー粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
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