本発明者らは、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナー粒子と、シリカ微粒子を有するトナーであって、
該シリカ微粒子は、シリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理が施されており、シリカ原体100質量部に対して9.5質量部以上30.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性で、波長780nmの光の透過率が80%の時のメタノール濃度が、72体積%以上であり、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率をA(%)としたときに、A≧40を満たし、
該トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上100℃以下に、少なくとも一つのワックスに由来する吸熱ピークを有するトナーであれば、本発明の目的を達成しうることを見出した。
低融点ワックスを用いたトナーが高温高湿環境で長期間放置されると、トナー中に分散しているワックスが動きやすくなり、トナー粒子表面に染み出しやすくなる。ワックスがトナー粒子表面に染み出すと、帯電性が低下して十分な画像濃度が得られにくくなると共に、流動性が悪化してフェーディングが発生し、耐ブロッキング性が悪化する場合があった。
低融点ワックスを用いたトナーが高温高湿環境で長期間放置された場合でも、ワックスのトナー粒子表面への染み出しを抑制して、これらの弊害を発生させないためには、シリカシリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理を施し、シリカ微粒子の疎水性とシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を、本発明のようにすることが必要である。
低融点ワックスは、低温定着性を向上するためには必須である。ワックスの融点が高くなると、高温高湿環境での長期間放置においても、トナー中のワックスは比較的動きにくい状態にあるが、低温定着性が達成できなくなる。
シリカ微粒子にシリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理を施すことで、高い疎水性のシリカ微粒子が得られる。
トナー粒子の表面に高度に疎水化されたシリカ微粒子を固着させることで、高温高湿環境での長期間放置でもトナーが水分を吸着しにくくなるので、帯電性が低下することなく優れた画像濃度を得ることができ、流動性も維持することができる。
さらに疎水性であるシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を高めることで、シリコーンオイルがシリカ微粒子から遊離してトナー粒子表面へ移行しないので、ワックスの融点が低くても安定してトナー中で分散状態を維持することができる。シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率が低いと、シリコーンオイルがシリカ微粒子から遊離してトナー粒子表面へ移行し、同じ疎水性であるワックスが誘発されてトナー粒子表面に染み出しやすくなり、帯電性や流動性、耐ブロッキング性が低下しやすい。
本発明に用いられるワックスは低温定着性に優れるものであれば特に限定はされないが、
脂肪族炭化水素系ワックスをアルコール転化したものが、低温定着性やワックスの結着樹脂中への安定分散性の点、トナーの帯電性を制御するという点で特に好ましい。
本発明に用いられるワックスは、示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上100℃以下(好ましくは65℃以上80℃以下、さらに好ましくは68℃以上80℃以下)に、ワックスに由来する吸熱ピークを有することが本発明の効果を得るのに必要である。
吸熱ピークが50℃未満の場合、低温定着性は優れるが、トナー中のワックスが非常に動きやすい状態にあるため、本発明のシリカ微粒子を用いても高温高湿環境での長期間放置では、ワックスのトナー粒子表面への染み出しを抑制できなくなり、本発明の効果を得られにくくなる。
吸熱ピークが100℃より大きい場合、トナー中のワックスは安定した分散状態を維持することができるが、低温定着性を達成することが難しくなる。
本発明に用いられるワックスは、DSCにより測定されるDSC曲線において、全体の吸熱量ΔH(J/g)中の40℃以下の割合が3.5%以下(好ましくは2.0%以下)であることが好ましい。
40℃以下の割合が3.5%より大きいと、トナー粒子表面にワックスが染み出すのを促進しやすくなり、さらに40℃以下の成分そのものもトナー粒子表面に均一に染み出す場合がある。よって本発明のシリカ微粒子を用いても、高温高湿環境での長期間放置では、帯電性や流動性、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明に用いられるワックスは、水酸基価(WHv)が5乃至150mgKOH/gであることがトナーの帯電性を制御する上で好ましい。水酸基価(WHv)が5mgKOH/g未満の場合、トナーの帯電性が不十分になり、現像性が悪化しやすい。水酸基価(WHv)が150mgKOH/gより大きい場合、高温高湿環境ではトナーが水分を多く吸着しやすくなるため、トナーの帯電が不安定になりやすい。
本発明では、トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、50℃以上100℃以下(好ましくは65℃以上80℃以下、さらに好ましくは68℃以上80℃以下)に、ワックスに由来する吸熱ピークを有することが好ましい。
吸熱ピークが50℃未満の場合、低温定着性は優れるが、トナー中のワックスが非常に動きやすい状態にあるため、本発明のシリカ微粒子を用いても高温高湿環境での長期間放置では、ワックスのトナー粒子表面への染み出しを抑制できなくなり、本発明の効果を得られにくくなる。
吸熱ピークが100℃より大きい場合、トナー中のワックスは安定した分散状態を維持することができるが、低温定着性を達成することが難しくなる。
本発明で用いられるシリカ微粒子は、シリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理が施されていることが必要である。
シリカ微粒子がシリコーンオイルのみで処理された場合、疎水性が不十分であり、高温高湿環境での長期間放置では帯電性や流動性、耐ブロッキング性が低下し、本発明の効果を得られにくくなる。シリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理を併用することで、高い疎水性が得られ、高温高湿環境での長期間放置でもトナーへの水分の吸着を抑えることで、帯電性や流動性、耐ブロッキング性を維持することができる。
本発明のシリカ微粒子を得るのに用いられるシリカ原体としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び、水ガラス等から製造される湿式シリカの両方が挙げられる。本発明では表面及び内部にあるシラノール基が少なく、製造残渣のない乾式シリカの方が好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、個数基準での粒度分布における平均1次粒径が5乃至25nmであり、個数基準での粒度分布における最大ピーク粒子径が20nm以下であると、トナーに最も高い帯電性と流動性を持たせることができることができるので好ましい。シリカ微粒子の個数基準での粒度分布における平均1次粒径が5nmより小さい場合は、疎水化した際にシリカ微粒子同士の付着力が大きくなりすぎて凝集しやすくなる為、トナー粒子表面に均一に分散させることが難しくなる。シリカ微粒子の個数基準での粒度分布における平均1次粒径が25nmより大きくなるとトナーの帯電性や流動性、耐ブロッキング性が低下してしまう。
本発明に用いられるシリカ微粒子は高度に疎水化処理されている必要があり、疎水化処理するには、シリカ原体と化学吸着あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。本発明の効果を得るには、シリコーンオイルによる処理、及びアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理が必要である。
本発明のシリカ微粒子を得るのに用いられるシリカ原体は、シリコーンオイルでの処理とアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方での処理を同時に行っても良いが、シリコーンオイルで処理した後、アルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方で処理するのが本発明の効果を得るのにはより好ましい。
本発明のシリカ微粒子を得るのに必要なシリコーンオイル処理の方法は、シリカ原体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合しても良いし、シリカ原体へシリコーンオイルを噴射する方法によっても良い。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ原体とを混合し、溶剤を除去して作製しても良い。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が使用できるが、特にジメチルシリコーンオイルが好ましく、且つ、オイルの粘度は25℃において、300mm2/s以下が好ましい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して9.5質量部以上30.0質量部以下(好ましくは10.0質量部以上25.0質量部以下)のシリコーンオイルによって処理されている必要がある。
シリコーンオイルの処理量が9.5質量部未満の場合、疎水性が不十分となり、本発明の効果を得られにくくなる。
シリコーンオイルの処理量が30.0質量部より多い場合、シリコーンオイルの量が過剰となり、シリコーンオイルがシリカ微粒子から遊離してシリコーンオイルがトナー粒子表面に移行しやすくなり、同じ疎水性のワックスがトナー粒子表面に染み出してしまい、本発明の効果が得られにくくなる。
本発明のシリカ微粒子を得るのに必要なアルコキシシランまたはシラザンの少なくとも一方による処理は、シリカ原体を撹拌によりクラウド状としたものに気化したアルコキシシランまたはシラザンを反応させる乾式処理または、シリカ原体を溶媒中に分散させ、アルコキシシランまたはシラザンを滴下反応させる湿式法の如き一般に知られた方法で処理することができる。
アルコキシシランまたはシラザンとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が使用できるが、特にイソブチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。これらアルコキシシランまたはシラザンの好ましい処理量は、シリカ100質量部当り5乃至30質量部である。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性で、波長780nmの光の透過率が80%の時のメタノール濃度が、72体積%以上(好ましくは75体積%以上)である必要がある。
光の透過率が80%の時のメタノール濃度が72体積%未満の場合、シリカ微粒子の疎水性が低いために疎水性が不十分となり、本発明の効果を得られにくくなる。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率をA(%)としたときに、
A≧40(好ましくはA≧60)
であることが必要である。
シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率Aが
A<40
の場合、
シリカ微粒子のシリコーンオイルがトナー粒子表面へ移行しやすくなり、ワックスがトナー粒子表面に染み出しやすくなり、本発明の効果が得られにくくなる。
本発明に用いられるトナーは、トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱ピーク温度をT(℃)、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率をA(%)としたときに、
A≧200−2×T≧40(好ましくはA≧200−2×T≧60)
であるとさらに好ましい。
これはワックスの融点が低くなるにつれワックスが染み出しやすくなるので、本発明の効果を得るためには、よりシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を高くして、ワックスがトナー粒子表面に染み出すのを抑えることが好ましいということである。
本発明において使用されるトナーの構成を以下に詳述する。
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂又は石油系樹脂が挙げられる。
本発明においては、ビニル系樹脂が好ましく用いられ、特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体が、低融点ワックスの安定分散性の点で有利である。
ビニル系樹脂としては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチレンスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アンゲリカ酸等のアクリル酸及びそのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又は無水物等のビニル系モノマーを用いた重合体が挙げられる。上記ビニル系樹脂では、前述したようなビニル系モノマーが単独又は二つ以上で用いられる。これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂は、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイドの1分子内に2つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤から選択される。
これらの内、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よりも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシドの如き有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物が挙げられる。
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合工程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
これらの重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05乃至2質量部で用いるのが好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、架橋性モノマーで架橋されていることも好ましい。
架橋性モノマーとしては主として2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられる。具体例としては、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);更には、ポリエステル型ジアクリレート化合物類(例えば、商品名MANDA(日本化薬))が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.00001乃至1質量部、好ましくは0.001乃至0.05質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、カルボキシル基とエポキシ基とが反応して形成された結合を架橋構造として含有することがより好ましい。本発明におけるエポキシ基とは、酸素原子が同一分子内の異なる炭素原子と結合し、環状エーテル構造を形成している官能基である。
本発明において用いることのできるエポキシ基を有する単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸β−メチルグリシジル、メタクリル酸β−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルβ−メチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
カルボキシル基とエポキシ基とが反応して形成された結合とは、例えば、エポキシ基としてグリシジル基を有する化合物を用いる場合には、
((a)において、R
1、R
2及びR
3は、水素原子、又は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基及びアルコシキカルボニル基からなるグループより選ばれる官能基を示す。)
となり、架橋構造を形成するものである。
本発明では、カルボキシル基とエポキシ基とが反応して形成された結合を架橋構造として有するビニル樹脂を得る手段としては、(1)カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂を溶液状態で混合し、反応釜内で熱を加えることにより架橋反応を起こさせる、また、(2)カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂をそれぞれ反応釜から取り出し、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドを行い、2軸押し出し機等で熱溶融混練することにより、カルボキシル基とエポキシ基の反応を起こし、架橋させても良い。カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂を用いる場合も同様に、2軸押し出し機等で熱溶融混練することにより、カルボキシル基とエポキシ基とを反応させることができる。
エポキシ基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基1当量に対して、エポキシ基を0.03以上1当量以下、好ましくは0.03以上0.5当量以下用いることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂を製造する方法として、溶液重合法により高分子量重合体と低分子量重合体を別々に合成した後にこれらを溶液状態で混合し、次いで脱溶剤する溶液ブレンド法、また、押出機等により溶融混練するドライブレンド法、溶液重合法等により得られた低分子量重合体を溶解した高分子量重合体を構成するモノマーに溶解し、懸濁重合を行い、洗浄・乾燥し、樹脂組成物を得る二段階重合法等が挙げられる。但し、ドライブレンド法では、均一な分散・相溶の点で改善すべき点がある。二段階重合法だと均一な分散性等に利点が多いが、低分子量分を高分子量分以上に増量することができ、分子量の大きい高分子量重合体の合成ができ、不必要な低分子量重合体が副生成するという問題が少ないことから、溶液ブレンド法が最も好適である。また、低分子量重合体成分に所定の酸価を導入する場合には、水系媒体を使用する重合法に比べて酸価の設定が容易である溶液重合が好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂の組成の例を以下に示す。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
式(B)で示されるジオール類;
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸もしくはアルキルコハク酸、又はその無水物、又は低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物、又は低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
また、架橋成分として働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−シカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5乃至30のアルキレン基又はアルケニレン基である。)
で表わされるテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、又は低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
アルコール成分としては40乃至60mol%、好ましくは45乃至55mol%、酸成分としては60乃至40mol%、好ましくは55乃至45mol%であることが好ましい。
また三価以上の多価の成分は、全成分中の5乃至60mol%であることが好ましい。該ポリエステル樹脂も通常一般に知られている縮重合によって得られる。
本発明のトナーは更に磁性体(例えば磁性酸化鉄)を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性体としては、以下のものが挙げられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或はこれらの金属と、アルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物。
これらの磁性体は個数平均粒子径が2.0μm以下、好ましくは0.05乃至0.5μmのものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20乃至200質量部であることが好ましく、特に好ましくは樹脂成分100質量部に対し40乃至150質量部である。
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
非磁性の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。非磁性の着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることが好ましい。トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては下記化合物が挙げられる。
有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類などがある。
その中でも、下記一般式(1)で表わされるアゾ系金属錯体または下記一般式(2)に示した塩基性有機酸金属錯体が好ましい。
上記一般式(1)において、特に配位中心金属MとしてはFeが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基又はアニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
また、上記一般式(2)において、特に配位中心金属MとしてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基又はハロゲンが好ましい。また、カウンターイオンは水素、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムが好ましい。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤として下記の化合物が挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また下記一般式(3)
[式中、R
1はH又はCH
3を示し、R
2及びR
3は置換又は未置換のアルキル基(好ましくはC
1乃至C
4)を示す。]
で表わされるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部又は一部)としての作用をも有する。
特に下記一般式(4)で表わされる化合物が本発明の正荷電制御剤として好ましい。
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子の外部に外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、目安として下記の量であることが好ましい。つまり、荷電制御剤が、結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1乃至5質量部である。
本発明のトナー粒子には、必要に応じてシリカ微粒子以外の添加剤を外添してもよい。
例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤または研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。
樹脂微粒子としては、その平均粒径が0.03乃至1.0μmのものが好ましい。その樹脂微粒子を構成する重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,p−エチルスチレン誘導体;アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸n−プロピル,アクリル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸2−クロルエチル,アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸n−オクチル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ステアリル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル;アクリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド等の単量体。
上記重合性単量体から樹脂微粒子を製造するための重合法としては、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー重合が挙げられる。より好ましくは、ソープフリー重合によって得られる粒子が良い。
その他の微粒子としては、以下のものが挙げられる。ポリ弗化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤(中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);酸化チタン、酸化アルミニウムの如き流動性付与剤(中でも特に疎水性のものが好ましい);ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤。さらに、トナーと逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
本発明のトナーは、公知の方法によって製造することができる。本発明のトナーを製造する方法としては、トナー粒子を構成する材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級後、外添剤を添加混合してトナーを得る方法が好ましい。
本発明のトナーを製造する際に使用される機器としては、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押出機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
粉砕機としては、例えばイノマイザ(ホソカワミクロン社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーロータ(日清エンジニアリング社製)が挙げられる。
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明におけるトナーは、上述したような粉砕法によって製造することも可能であるが、重合法により製造することも可能である。重合によるトナーの製造法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法、伸長反応法等が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。
重合開始剤としては、例えば、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシアセテート、tert−ヘキシルパーオキシラウレート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソブチレート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(tert−ブチルパーオキシ)イソフタレート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシッド、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、tert−アミルパーオキシネオデカノエート、tert−アミルパーオキシピバレート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−アミルパーオキシノルマルオクトエート、tert−アミルパーオキシアセテート、tert−アミルパーオキシイソノナノエート、tert−アミルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類等の有機過酸化物、また2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始を単独または併用して使用することが可能である。
重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は混合して使用し得る。
また、架橋剤を使用することも可能である。架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合ものとして用いられる。添加量としては、使用する開始剤、架橋剤の種類、反応条件で調整が必要であるが、おおむね、重合性単量体100質量部に対して0.01乃至5質量部が適当である。
本発明のトナーを重合法で製造する場合においては、重合性単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有することが、現像性と定着性のバランスの観点で好ましい。
また、本発明のトナーを重合法により製造する場合、一般に上述の着色剤、磁性体、ワックス等のトナー組成物等を重合性単量体に適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散させ、重合性単量体組成物とする。これを、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤の添加時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒中または、造粒直後に加えることも出来る。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
本発明の重合トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
また、これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を単独で使用することが望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
本発明で用いられるトナーは、伸長反応法によって製造することも可能である。この伸長反応法においては、有機溶媒中に少なくとも変性ポリエステル系樹脂からなるプレポリマー及びトナー組成分を含有する材料を溶解又は分散させ、これら成分を溶解又は分散させた分散液を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させて、得られた反応分散液から溶媒を除去してトナー粒子を得るものである。
本発明のトナーに用いられる現像方法としては、磁性トナーを用いた一成分非接触現像が好ましく用いられるが、感光ドラムに対して非接触状態で現像する一成分非接触現像、感光ドラムに対して接触状態で現像する一成分接触現像;トナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、感光ドラムに対して接触状態で現像する二成分接触現像;上記二成分現像剤を感光ドラムに対して非接触状態で現像する二成分非接触現像法もあり、何れも好適に用いることができる。
二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20乃至300μmの粒子が好ましくは使用される。また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き樹脂を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
本発明に係る各種物性の測定について以下に説明する。
<示差熱分析測定装置(DSC)の測定方法>
試料:0.5乃至2mg、好ましくは1mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。
温度曲線:昇温I(20℃乃至180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃乃至10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃乃至180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温IIで測定される吸熱ピーク温度を融点とする。
<ワックスの水酸基価(WHv)の測定方法>
本発明におけるワックスの水酸基価の測定は、下記のように実施することができる。
(装置及び器具)
メスシリンダー(100ml)
全量ピペット(5ml)
平底フラスコ(200ml)
グリセリン浴
(試薬)
アセチル化試薬(無水酢酸25gを全量フラスコ100mlに取り、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振り混ぜる。)
フェノールフタレイン溶液
0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液
(測定法)
(a)炭化水素系ワックスを0.5乃至6.0g平底フラスコに精秤して、これにア セチル化試薬5mlを全量ピペットを用いて加える。
(b)フラスコの口に小さな漏斗を置き、温度95乃至100℃のグリセリン浴中に 底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温 度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の 付け根にかぶせる。
(c)1時間後フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加 えて振り動かして無水酢酸を分解する。
(d)更に、分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱 し、放冷後エタノール(95vol%)5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う 。
(e)フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5kmol/m3水 酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた ときを終点とする。
(f)空試験は、炭化水素系ワックス(a)を入れないで(a)乃至(e)を行う。
(g)試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレン又はトル エンを加えて溶解する。
(計算)
得られた結果から下記の式によって炭化水素系ワックスの水酸基価を求める。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D ・・・ (7)
但し、
A:炭化水素系ワックスの水酸基価(mgKOH/g)
B:空試験に用いた0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液の量(m l)
C:滴定に用いた0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml )
f:0.5kmol/m3水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:炭化水素系ワックスの質量(g)
D:炭化水素系ワックスの酸価(mgKOH/g)
28.05:水酸化カリウムの式量56.11×1/2
<メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性の測定方法>
シリカ微粒子の濡れ性、即ち疎水特性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば、(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。まず、メタノール60体積%と水40体積%とからなる含水メタノール液70mlを容器中に入れ、この中に検体であるシリカ微粒子を0.1g精秤して添加し、シリカ微粒子の疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。次に、この測定用サンプル液中に、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図1に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。
<シリコーンオイル固定化率の測定方法>
(遊離シリコーンオイルの抽出)
1.ビーカーにシリカ微粒子0.5g、クロロホルム40mlを入れ、2時間攪拌する。
2.攪拌を止めて、12時間静置する。
3.サンプルをろ過して、クロロホルム40mlで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下で1100℃で試料を燃焼させ、発生したCO、CO2量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。シリコーンオイルの抽出前後でのカーボン量を比較して、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を計算する。
1.試料2gを円筒金型に入れプレスする。
2.プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMA−11 0で測定する。
3.100−(抽出前の炭素量−抽出後の炭素量)/抽出前の炭素量×100
をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
本実施例で用いたシリカ微粒子の製法を以下に示す。
シリカ原体には、平均1次粒径=15nm、最大ピーク粒子径=13nm、BET比表面積200m2/gのものを使用した。
(シリカ微粒子1の製造例)
シリカ原体100質量部に対し、10.0質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら300℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了した。反応終了後、解砕処理を行った。
続いてシリカ原体100質量部に対し、25質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行なった。この反応を60分間継続した後、反応を終了し本発明で使用したシリカ微粒子1を得た。得られたシリカ微粒子1の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子2の製造例)
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を9.6質量部、反応温度270℃とした以外は、シリカ微粒子の製造例1と同様にしてシリカ微粒子2を得た。得られたシリカ微粒子2の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子3の製造例)
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を21.5質量部、反応温度を200℃とした以外は、シリカ微粒子の製造例1と同様にしてシリカ微粒子3を得た。得られたシリカ微粒子3の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子4の製造例)
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を27.0質量部、反応温度を150℃として、ヘキサメチルジシラザンに変えてイソブチルトリメトキシシランを用いた以外は、シリカ微粒子の製造例1と同様にしてシリカ微粒子4を得た。得られたシリカ微粒子4の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子5の製造例)
シリカ原体100質量部に対し、12.0質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)と、シリカ原体100質量部に対し、25質量部のヘキサメチルジシラザンを同時に噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら150℃まで昇温させてさらに3時間攪拌して反応を終了し、本発明で使用したシリカ微粒子5を得た。得られたシリカ微粒子5の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子6の製造例)
シリカ原体100質量部に対し、9.0質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)を噴霧し、30分間攪拌を続けた後、攪拌しながら130℃まで昇温させてさらに2時間攪拌して、反応を終了し、本発明で使用したシリカ微粒子6を得た。得られたシリカ微粒子6の物性を表1に示す。
(シリカ微粒子7の製造例)
ジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/s)の処理量を32.0質量部、反応温度を100℃とした以外は、シリカ微粒子の製造例6と同様にしてシリカ微粒子7を得た。得られたシリカ微粒子7の物性を表1に示す。
本実施例で用いたワックスの製法を以下に示す。
(ワックス1)
原料物質としてパラフィンワックス(数平均分子量390)1,000質量部をガラス製の円筒反応器に入れ、窒素ガスを少量(3リットル/分)吹き込みながら、140℃まで昇温した。ホウ酸/無水ホウ酸=1.4(モル比)の混合触媒48.24質量部(0.33mol)を加えた後、空気(21リットル/分)と窒素(18リットル/分)を吹き込みながら、180℃で2.5時間反応を行った。反応終了後反応混合物に等量の温水(95℃)を加え、反応混合物を加水分解してアルコールワックス(ワックス1)を得た。ワックス1の物性を表2に示す。
(ワックス2)
原料物質をパラフィンワックス(数平均分子量370)、反応条件を180℃で3.0時間とした以外はワックス1と同様にしてアルコールワックス(ワックス2)を得た。ワックス2の物性を表2に示す。
(ワックス3)
原料物質をパラフィンワックス(数平均分子量460)、反応条件を190℃で3.5時間とした以外はワックス1と同様にしてアルコールワックス(ワックス3)を得た。ワックス3の物性を表2に示す。
(ワックス4)
原料物質をパラフィンワックス(数平均分子量680)、反応条件を190℃で4.5時間とした以外はワックス1と同様にしてアルコールワックス(ワックス4)を得た。ワックス4の物性を表2に示す。
(ワックス5)
ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステル化合物(数平均分子量650)(ワックス5)を使用した。ワックス5の物性を表2に示す。
(ワックス6)
ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステル化合物(数平均分子量490)(ワックス6)を使用した。ワックス6の物性を表2に示す。
(ワックス7)
ステアリン酸ステアリルを主体とするエステル化合物(数平均分子量300)(ワックス7)を使用した。ワックス7の物性を表2に示す。
(ワックス8)
フィッシャートロプシュワックス(数平均分子量820)を使用した。ワックス8の物性を表2に示す。
本実施例で用いた樹脂の特性を表3に示す。
本実施例で用いたトナーの製法を以下に示す。
(トナーの製造例1)
・結着樹脂1: 100質量部
・ワックス1: 5質量部
・マグネタイト(平均粒径0.18μm) 95質量部
・荷電制御剤(T−77 保土谷化学社製): 2質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、130℃、200rpmに設定した二軸混練押し出し機によって混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミル(ターボ工業社製)を用いて、排気温度が47℃になるようエアー温度を調整して微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粉及び粗粉を同時に分級除去してトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.8μm、4μm未満のトナー粒子の個数平均分布の累積値は16.7%であった。
トナー粒子1の100質量部に対し、シリカ微粒子1を1.3質量部添加し、ヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。トナー1の物性を表4に示す。
(トナー2乃至7、9乃至13の製造例)
表4に示したように樹脂、ワックス、シリカの種類を変更する以外はトナーの製造例1と同様にして、トナー2乃至7、9乃至13を得た。トナー2乃至7、9乃至13の物性を表4に示す。
(トナー8の製造例)
・結着樹脂2: 100質量部
・カーボンブラック 5質量部
・ワックス4 6質量部
・荷電制御剤(ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物) 1質量部
原材料を上記とした以外はトナー1と同様にしてトナー粒子8を得た。トナー粒子8の100質量部に対し、シリカ微粒子5を1.3質量部添加し、ヘンシェルミキサーで外添混合しトナー8を得た。トナー8の物性を表4に示す。
<実施例1乃至8、比較例1乃至5>
次に、上記のように調製されたトナー1乃至13を用いて、以下に示すような方法によって評価を行った。評価結果は表5に示す。
(1)画像濃度
各トナーをポリカップに入れ、45℃/湿度95%で一定の温湿度に管理された恒温恒湿層に30日間放置した。その後各トナーを取り出して、常温常湿環境で12時間静置した後、各トナーを用いてHewlett−Packard社製レーザービームプリンターLaser Jet3005を用いて以下の評価を行った。
高温高湿環境下(35.0℃,85%RH)で、印字率2%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計12000枚の画出し試験を実施し、初期及び12000枚での画像濃度を測定した。実施例8では、非磁性一成分現像に対応できるよう現像器を改造して評価を行った。
画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
(2)フェーディング
各トナーをポリカップに入れ、45℃/湿度95%で一定の温湿度に管理された恒温恒湿層に30日間放置した。その後各トナーを取り出して、常温常湿環境で12時間静置した後、各トナーを用いてHewlett−Packard社製レーザービームプリンターLaser Jet3005を用いて以下の評価を行った。
高温高湿環境下(35.0℃,85%RH)で、印字率2%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計10000枚の画出し試験を実施した後、引き続いて、印字率25%のハーフトーンパターンを10枚出力し、フェーディングの発生状況を確認した。実施例8では、非磁性一成分現像に対応できるよう現像器を改造して評価を行った。フェーディングの評価基準を以下に示す。
A:発生なし。
B:わずかに薄い部分がある。
C:明らかに帯状に濃度が薄くなる。
D:完全に帯状に白抜けする。
(3)耐ブロッキング性
10gのトナーを100mlのポリカップに入れ、52℃で3日間放置した時の凝集具合を目視で判断した。
A:凝集物は見られない。
B:凝集物は見られるが、容易に崩れる。
C:凝集物は見られるが、振れば崩れる。
D:凝集物をつかむことができ、容易に崩れない。
(4)低温定着性
低温定着性の評価は、各トナーを用いてHewlett−Packard社製レーザービームプリンターLaser Jet3005を用いて評価を行った。常温常湿環境下にてFOX RIVER BOND 90g紙に画像濃度が0.50乃至0.55となるようにハーフトーン画像を形成し、定着器の温度を変えて画像を定着させた。その後、50g/cm2の荷重をかけて、シルボン紙で定着画像を5往復摺擦して、摺擦前後の濃度を測定することにより濃度低下率10%以下となる温度を定着温度として、下記基準により評価した。
A:濃度低下率10%以下となる温度が、175℃未満
B:濃度低下率10%以下となる温度が、175℃以上180℃未満。
C:濃度低下率10%以下となる温度が、180℃以上。
評価結果は、実施例1のトナーは、画像濃度低下率が5%であり、低温定着性は特に問題はなかった。比較例5のトナーは、画像濃度低下率が20%であり、低温定着性は達成できなかった。