JP5715329B2 - 被覆マグネタイト粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネタイト粒子の表面がシラン化合物で被覆された被覆マグネタイト粒子に関する。この被覆マグネタイト粒子は、例えばプリンターや電子複写機のトナー用材料として特に好適に用いられる。
従来、静電複写磁性トナーの製造においては、トナーの原料となる磁性粉やバインダ等を混合して溶融混練した後に、粉砕・分級する、いわゆる粉砕法(乾式法)が主流であった。しかしながら、粒子径の微小化、更なる低温定着性などの機能付与において粉砕法で得られたトナーでは限界に近づいている。特にフルカラーなどの高画質化に向けて、粉砕分級工程が不要であるか、あるいは粉砕分級工程を大幅に軽減できる重合法(湿式法)が脚光を浴びてきた。
重合法で直接トナーを製造する方法としては、懸濁重合法が知られている。懸濁重合法によってトナーを製造する場合、表面が親水性である磁性粉を用いると、トナーの帯電特性及び画像特性が低下する傾向にある。この理由は、磁性粉の表面が親水性であることに起因して、磁性粉が非水系溶媒中で十分に分散できず、その結果、トナー中での磁性粉の分散性が低下して、トナー中において磁性粉が偏在する等の不都合が生じるからである。
そこで、重合法トナーの原料となる磁性粉の表面を疎水化することで、非水系溶媒中での磁性粉の分散性を高める試みが提案されている。例えば、磁性粉の表面を疎水性にするために、例えばシラン化合物を用いる技術(特許文献1参照)や、磁性粉の表面をSi及びTiを含む化合物で被覆し、更にその上をシラン化合物で処理する技術(特許文献2参照)などが知られている。
しかし従来行われてきた処理では、シラン化合物は磁性粉の表面に主として物理吸着していたので、懸濁工程で生じる剪断力や重合工程で加わる熱によってシラン化合物が磁性粉の表面から脱離しやすい傾向があった。また、シラン化合物が磁性粉の表面に化学結合している場合であっても、その結合力が弱い場合には、加熱等の外因によってシラン化合物の脱離が起こりやすいこともある。
特開平7−72654号公報 特開平6−230603号公報
発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る被覆マグネタイト粒子を提供することにある。
本発明は、マグネタイトのコア粒子の表面がシラン化合物によって被覆されてなる被覆マグネタイト粒子において、
シラン化合物は、炭素数3〜6のアルキル鎖を有する、アルコキシシラン又はシランカップリング剤から生成したものであり、
吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)を用い、全電子収量法(TEY)に基づき得られたSiのスペクトルが、1844.4〜1844.8eVの範囲にピークAを有するとともに1846.1〜1846.6eVの範囲にピークBを有し、
ピークAの面積をIA、ピークBの面積をIBとし、被覆マグネタイト粒子1g当たりに含まれるシラン化合物に由来するSiのモル数をMSiとしたとき、IA/(IA+IB)/MSiが、25〜45を満たすことを特徴とする被覆マグネタイト粒子を提供するものである。
本発明によれば、シラン化合物がマグネタイト粒子の表面に強固に結合し、疎水性が高められ、有機溶媒中での分散性が向上した被覆マグネタイト粒子が提供される。
図1は、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)を用いて測定された被覆マグネタイト粒子におけるSiの吸収スペクトルの一例である。 図2(a)ないし(c)は、マグネタイトのコア粒子とシラン化合物との結合状態の例を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の被覆マグネタイト粒子においては、マグネタイトのコア粒子の表面がシラン化合物によって被覆されている。そして本発明の被覆マグネタイト粒子は、コア粒子の表面を被覆するシラン化合物の被覆状態に特徴の一つを有している。一般に、マグネタイトのコア粒子の表面を被覆するシラン化合物の量は微量であることから、従来、該シラン化合物の被覆状態、すなわち化学結合の状態を正確に把握することは容易ではなかった。このような状況下、本発明者らは、軟X線を用いた分光分析法である吸収端近傍X線吸収微細構造(以下、NEXAFSともいう)を被覆マグネタイト粒子に適用することで、マグネタイトのコア粒子の表面に結合しているシラン化合物の結合状態を把握できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
軟X線のエネルギーはSiの内殻電子1sを励起することができるレベルのものである。したがって、軟X線のエネルギーを走査していくと内殻電子1sが励起されるエネルギーで大きな吸収が観察される。吸収スペクトルは、吸収端付近の微細構造とその後の波打ち構造に分けられる。そして前者が吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)と呼ばれる。吸収スペクトルの形状は、測定対象となる試料における非占有軌道の電子状態を反映するものなので、吸収スペクトルの形状には、吸収原子の配位数や価数などの化学結合状態の情報が含まれる。したがってSiを対象とした吸収スペクトルの形状を観察することで、シラン化合物とマグネタイトのコア粒子との化学結合状態を知ることができる。また、NEXAFSを用いれば、試料の表面におけるシラン化合物の化学結合状態を非常に敏感に観察することができる。この理由は、軟X線は、測定対象となる試料の表面から約50nmの深さまで侵入するが、試料の表面から抜け出せる光電子やオージェ電子などNEXAFSで検出対象となる電子は、深さ5nm程度までに限られるからである。
軟X線の照射によって試料から発生する電子の量を測定することで軟X線吸収スペクトルを求める方法は、電子収量法と呼ばれる。電子収量法のうち、特定のエネルギーを持つ電子を選別する方法は部分電子収量法(PEY)と呼ばれ、エネルギーを選別しない方法は全電子収量法(TEY)と呼ばれる。また、試料から放出される蛍光X線を捉える蛍光収量法(FY)も知られている。これらの方法のうち、より表面状態に敏感で、かつ試料に流れる電流を測るだけで比較的簡単に全電子収量が得られるので、本発明においては全電子収量法(TEY)を採用している。
マグネタイトのコア粒子の表面をシラン化合物で被覆した被覆マグネタイト粒子を測定試料として用い、NEXAFSによって得られたSiのTEYスペクトルの一例を図1に示す。このTEYスペクトルの測定に用いたNEXAFS測定装置における主なビームライン構成は、蓄積リング側から10μm厚Beフィルター、Ni/Siトロイダルミラー、二結晶分光器、Ioモニタ及び測定室である。測定モードは全電子収量である。試料上での光のサイズは5mm×2mmであり、入射光の方向に対し、シリコンドリフト検出器は90度真横の位置、サンプルホルダーは入射光−シリコンドリフト検出器の面内で50度回転である。エネルギー較正は、石英のホワイトラインを1846.8eVとなるように行う。本明細書において、特に断らない限り、NEXAFSによるSiの吸収スペクトルの測定はこの装置及び条件を用いて行った。
図1に示すようにSiの吸収スペクトルは、1840〜1850eVの範囲において、A及びBの2つのピークを有している。ピークAは低エネルギー側に現れ、ピークBは高エネルギー側に現れる。具体的には、ピークAのピーク位置は1844.4〜1844.8eVの範囲内に現れ、ピークBは1846.1〜1846.6eVの範囲内に現れる。ピーク位置について本発明者らが検討した結果、ピークA及びピークBの位置は、測定対象である本発明の被覆マグネタイト粒子の種類によらず概ね一定であることが確認されている。
ピークA及びピークBはそれぞれ、マグネタイトのコア粒子におけるFe原子と結合しているシラン化合物の状態を反映している。その理由は、ピークAには、コア粒子の表面と結合を形成してないSiも含まれると考えているからである。シラン化合物の結合状態に関し、シラン化合物中のSi原子がO原子を介してFe原子と結合している結合数が少なくなるほど、Siの吸収スペクトルは低エネルギー側にシフトすることが本発明者らの検討の結果判明した。
本発明者らによる以上の知見は、第一原理に基づく吸収スペクトルのシミュレーションにより裏付けられている。シミュレーション条件は次に示すとおりである。NEXAFSスペクトルシミュレーションは、マグネタイトを基板とし、その表面にシラン化合物を結合させたモデルを用いて実施した。初めにマグネタイト/シラン化合物表面モデルの安定構造を求めた。使用したソフトウェアはアクセルリス株式会社製Dmol3であり、Geometry Optimization計算を実施した。得られた安定構造について、次に同社製CASTEPを用いてCore level spectroscopy計算を実施した。着目するSi原子の1s軌道にcore holeを導入し、Si K−edge NEXAFSスペクトルを算出した。その結果によるとSi原子とFe原子がO原子を介して結合しているSi原子はピークBに対応し、Si原子とFe原子がO原子のみを介して結合していないSi原子はピークAに対応することが確認された。このことを、図2を参照しながら説明する。
図2(a)に示すシラン化合物におけるSi原子であるSiIIに注目すると、SiIIがO原子を介して結合している他の原子は別のSi原子であるSiIのみである。つまり、SiIIはO原子を介してFe原子と結合していない。このような状態を結合数0と呼ぶ。結合数0の結合状態にあるシラン化合物で被覆された被覆マグネタイト粒子のNEXAFSによるSiの吸収スペクトルは低エネルギー側にシフトして、ピークAを呈する要因となる。したがって、結合数0のシラン化合物が多い場合には、ピークAの強度が大きくなる。
一方、図2(c)に示すシラン化合物におけるSi原子であるSiIに注目すると、SiIはO原子を介してFe原子と結合している。しかもSiIは、2個のO原子を介して2個のFe原子と結合している。このような状態を結合数2と呼ぶ。結合数2の結合状態にあるシラン化合物で被覆された被覆マグネタイト粒子のNEXAFSによるSiの吸収スペクトルは、高エネルギー側にシフトして、ピークBを呈する要因となる。したがって、結合数2のシラン化合物が多い場合には、ピークBの強度が大きくなる。
図2(b)は、図2(a)と図2(c)の中間の状態であり、同図におけるSi原子であるSiIに注目すると、SiIは1個のO原子を介して1個のFe原子と結合している。このような状態を結合数1と呼ぶ。結合数1の結合状態にあるシラン化合物で被覆された被覆マグネタイト粒子のNEXAFSによるSiの吸収スペクトルは、結合数0の場合よりも高エネルギー側にシフトするが、結合数2の場合よりは低エネルギー側にシフトする。結合数1の場合には、ピークA及びピークBの双方に寄与する。
このように、NEXAFSによれば、マグネタイトのコア粒子におけるFe原子と結合しているシラン化合物の状態についての情報を得ることができる。そして、Siの吸収スペクトルにおけるピークAが大きいほど、マグネタイトのコア粒子の表面と弱く結合しているシラン化合物が多いと判断でき、逆にピークBが大きいほど、マグネタイトのコア粒子の表面と強固に結合しているシラン化合物が多いと判断できる。
ところで、懸濁重合トナー用のマグネタイト粉の表面処理剤としてはシラン化合物が広く用いられている。この場合、シラン化合物はマグネタイトのコア粒子の表面と強固に結合していることが重要であり、シラン化合物がコア粒子の表面に化学的に結合していないと所望の効果が発揮されない。シラン化合物とコア粒子との結合の強さを評価する手法として、従来、被覆マグネタイト粒子を溶媒で洗浄してどの程度のシラン化合物が溶出するかを測定していた(溶出試験)。溶出試験によれば、弱い結合状態を推測することは可能である。しかし強固な結合を評価する手法とは言い難い。これに対して、上述したNEXAFSを用いてSiの吸収スペクトルを測定すれば、弱い結合状態から強固な結合状態までを広く、かつ再現性よく評価することができる。
懸濁重合トナーを作製する工程の中で、シラン化合物が所望の機能を発揮するためには、シラン化合物がマグネタイトのコア粒子の表面と強固に結合していることが重要であり、そのためには以下の式(1)を満たすことが重要であることが判明した。
A/(IA+IB)/MSi=25〜45 (1)
式中、IAはピークAの面積を表し、IBはピークBの面積を表し、MSiは被覆マグネタイト粒子1g当たりに含まれるシラン化合物に由来するSiのモル数を表す。
すなわち、結合の弱い不安定なピークAの比が、ピークAとピークBの和に対して相対的に低く、これを被覆されたシラン化合物に由来するSiのモル数で割った値が前記の範囲にあることが重要である。式(1)の値が45超になると、結合状態の弱いシラン化合物の割合が多くなるので、シランが効果的に機能を発揮できない。逆に式(1)の値が25未満である場合は、結合しているシラン化合物は強固であると言えるが、マグネタイトのコア粒子の表面に未被覆部が存在している場合があるので好ましくない。これらの観点から、式(1)の値の好ましい範囲は25〜45であり、更に好ましい範囲は28〜40である。なお、式(1)においてIA/(IA+IB)の値をMSiの値で除す理由は、規格化のためである。
先に説明した図1に示すように、ピークAとピークBは近接しているので、両者の裾野は重なっている場合が多い。そのような場合には、図1に示す吸収スペクトルから直ちにピークA及びピークBの面積IA及びIBを求めることはできない。そこで、それぞれのピークをガウス分布型の対称ピークと仮定してピーク分離を行い、分離されたそれぞれのピーク面積値を式(1)の計算に用いる。具体的には、WaveMetrics社のソフトウェアIgor Pro 5.03Jを用いてピーク分離を行う。NEXAFSスペクトルから1840〜1850eVの範囲を選択し(この範囲内に2つのピークがあることを前提としている)、Multipeak Fitting機能によって、ベースラインの補正及びガウス分布型の対称ピークと仮定したピーク分離を行い、それぞれのピーク面積値を求める。
また、式(1)の計算において、MSiは、例えば株式会社リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いて測定される。
被覆マグネタイト粒子が式(1)の範囲を満たすようにするためには、例えば、被覆マグネタイト粒子の製造方法として後述する方法を採用すればよい。
被覆マグネタイト粒子におけるコア粒子としては、XRD測定したときに主ピークがマグネタイトのピークと一致するものが用いられる。この場合、マグネタイトのピークのみが観察されてもよく、あるいはマグネタイトの主ピークの他に、マグヘマイト等のピークが観察されてもよい。コア粒子は、被覆マグネタイト粒子の具体的な用途に応じ、例えばSi、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上の元素を、例えばその酸化物やFeとの複合酸化物等の状態で、粒子内に含んでいてもよい。尤も、コア粒子はその表面に、ケイ素、アルミニウムから選ばれる1種又は複合の酸化物、水酸化物、含水酸化物、鉄との複合酸化物又はこれらの混合物のいずれをも有していないことが被覆マグネタイト粒子の疎水性を向上させる観点から好ましい。特にコア粒子はその表面に、ケイ素の酸化物、水酸化物、含水酸化物、鉄との複合酸化物又はこれらの混合物のいずれをも有していないことが、シラン化合物のコア粒子の表面への結合力を高める観点から好ましい。この理由は、ケイ素の酸化物等が、コア粒子の表面に過度に露出した状態になっていると、コア粒子から剥がれやすいだけでなく、コア粒子の表面を荒らしてしまうため、立体的な障害が発生してシラン化合物が細部にまで行きわたらず、強固な結合を形成することができないからである。
コア粒子はその形状が球状、多面体状(例えば六面体状、八面体状)等であり得る。コア粒子の形状について本発明者らが検討したところ、コア粒子が球状であると、上述のシラン化合物による被覆が極めて良好に行えることが判明した。したがってコア粒子として、多面体状のものよりも、球状のものを用いることが好ましい。
コア粒子はその平均粒径が0.1〜0.3μm、特に0.15〜0.25μmであることが、被覆マグネタイト粒子を、プリンターや電子複写機のトナー用材料として用いる場合に好ましい。コア粒子の平均粒径がこの範囲内であれば、トナー中での着色力や色味が良好となるからである。コア粒子の平均粒径は、次の方法で測定される。
〔コア粒子の平均粒径の測定方法〕
コア粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して撮影された像から測定する。具体的には、SEM写真(倍率40,000倍)を用い、写真上の粒径を同軸方向に200個以上計測し、その個数平均から求める。
被覆マグネタイト粒子においては、上述のシラン化合物は、コア粒子の表面を薄く被覆している。したがって、被覆マグネタイト粒子の形状はコア粒子の形状を引き継いだものとなる。上述したとおり、コア粒子は球状であることが好ましいので、被覆マグネタイト粒子も球状であることが好ましい。また、上述のシラン化合物による被覆が薄いことに起因して、被覆マグネタイト粒子の平均粒径は、コア粒子の平均粒径と実質的に大差はない。したがって、被覆マグネタイト粒子の平均粒径については、コア粒子の平均粒径に関して詳述した説明が適宜適用される。被覆マグネタイト粒子の平均粒径の測定方法についても同様である。
被覆マグネタイト粒子において、コア粒子の表面を被覆するシラン化合物は、例えばSiの原子に直接結合したアルキル鎖を有する有機シランから生成する化合物である。「有機シランから生成する化合物」には、例えば有機シランの加水分解生成物や脱水縮合生成物等が包含される。シラン化合物は炭素数3〜6のアルキル鎖を有していることが好ましい。このようなシラン化合物を生成させるための有機シランとしては、例えばアルコキシシランや、シランカップリング剤として知られる化合物が挙げられる。例えば有機シランとしてR1 xSi(OR24-xで表されるものを用いることができる。式中R1は、同一の又は異なる炭素数3〜6のアルキル基を表し、R2は短鎖アルキル基を表す。xは好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2、一層好ましくは1を表す。xが2又は3である場合、R1は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。
前記のシラン化合物において、アルキル鎖の炭素数の上限を6に制限した理由は、アルキル鎖が長すぎると、立体障害に起因してコア粒子と均一にかつ高密度に反応することができなくなるからである。一方、炭素数の下限を3に制限した理由は、アルキル鎖が短かすぎると十分な疎水性を発揮することができず、またアルキル鎖の立体障害性が低いことに起因して、シラン化合物がコア粒子の表面で過度に重縮合してしまい、それが粒子同士の凝集を引き起こすためである。したがって、前記の範囲のアルキル鎖の炭素数のシラン化合物を用いることが好ましい。
前記のシラン化合物を生成する有機シランの具体例としては、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、iso−ヘキシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、iso−ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
被覆マグネタイト粒子中に含まれる前記のシラン化合物の量は、Si換算で、被覆マグネタイト粒子の1g当たり0.002〜0.025mol%、特に0.005〜0.017mol%であることが好ましい。シラン化合物の含有量がこの範囲内であることによって、水蒸気吸着量が少なく、粒子の凝集が抑制されるという有利な効果が奏される。被覆マグネタイト粒子中に含まれる前記のシラン化合物の量は、例えば株式会社リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いて測定される。
次に、本発明の被覆マグネタイト粒子の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、(1)マグネタイトのコア粒子の製造工程及び(2)シラン化合物によるコア粒子の表面の被覆工程の2つに大別される。以下、それぞれの工程について説明する。
マグネタイトのコア粒子は、当該技術分野で公知の方法に従い製造することができる。例えば、第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に酸化性ガスを吹き込む湿式酸化法によってマグネタイトのコア粒子を製造できる。この場合、必要に応じ、Si、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上を含む水溶性化合物を、反応用溶液に投入してもよく(反応前、反応開始時、又は反応途中のいずれでも可)、あるいはコア粒子の生成完了後に投入してもよい。第一鉄塩の中和反応には、例えば水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等のNaを含むアルカリが用いられる。
(1)の工程においては、湿式酸化法を行うときの液のpHを適切に調節することが好ましい。例えば液のpHを好ましくは7以下、更に好ましくは5.5〜7.0に保ちつつ、該液に空気等の酸化性ガスを吹き込み、湿式酸化を行うことが好ましい。このpHの調節によって、得られるコア粒子を球状のものとすることができる。液のpHがアルカリ側、例えばpHを好ましくは9以上にして湿式酸化を行うと、球状ではなく、多面体状のコア粒子が生成する。
なお、湿式酸化における空気等の酸化性ガスの吹き込み条件は、本製造方法において特に臨界的でなく、公知の条件を適宜採用することができる。
本発明者らの検討の結果、マグネタイトのコア粒子は、その表面に存在するNaの量を特定の量に制限することが好ましいことが判明した。この制限によって、シラン化合物がコア粒子の表面を一層高い結合力で被覆し、被覆マグネタイト粒子の疎水性が極めて高くなる。その結果、被覆マグネタイト粒子は、水蒸気吸着量が極めて少なく、誘電率の低い、例えばスチレン、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル、キシレン等の有機溶媒中への分散安定性が非常に高くなる。
コア粒子の表面に存在するNaの具体的な量は、被覆マグネタイト粒子全体の重量に対して好ましくは50ppm以下、更に好ましくは0.1〜50mmである。Naの量をこの範囲内に設定することで、シラン化合物がコア粒子の表面を首尾良く被覆して、コア粒子の表面に対するシラン化合物の結合力が向上する。コア粒子の表面に存在するNaの量は少なければ少ないほど、疎水性を高めることに有利に作用するが、Naの極限にまで減らすことは、当該技術分野で知られている現在のコア粒子の製造技術では極めて困難であり、またNaの量を0.1ppmまで低減すれば、満足すべき疎水性が得られることが本発明者らの検討の結果判明したので、本発明においては、Naの量の下限値を0.1ppmに設定してある。Naの量を少なくすると、上述のシラン化合物がコア粒子の表面を首尾良く被覆する理由は、コア粒子表面付近でのシラン化合物の自己重合が抑制され、シラン化合物の立体障害が小さくなり、かつコア粒子の表面に存在する化学種がNaイオンよりも水素イオンである方が、シラン化合物の水酸基との水素結合に有利に働くためであると、本発明者らは推測している。この観点から、Naの量の更に好ましい範囲は0.1〜20ppmであり、一層好ましい範囲は0.1〜15ppmの範囲である。
なお、コア粒子は、その表面のみならず、内部にもNaを含んでいることがある。そして、コア粒子の内部に含まれているNaの量は、表面に存在するNaの量よりも非常に多い。しかし、コア粒子の内部に含まれるNaの量は、本発明において臨界的なものではない。上述したシラン化合物によるコア粒子の被覆状態は、主として該コア粒子の表面性状に左右されるものだからである。コア粒子の表面に存在するNaの量は、以下の方法で測定される。
〔Naの量の測定方法〕
試料25gを正確に秤量し、純水250ml中に分散させた後、5分間沸騰させ、常温(25℃)まで冷却する。蒸発によって減じた液量を、純水を加えて再び250mlとする。次いで、JIS P3801に準ずる5種Cの濾紙にて濾過を行う。濾過を開始して最初の50mlを捨て、残りの濾液を採取する。採取した濾液について、ICPを用い、濾液中のナトリウムイオン濃度を測定する。測定されたナトリウムイオン濃度から、試料中でのナトリウム割合に換算する。
コア粒子の表面に存在するNaの量を低減させるには、例えばコア粒子を水洗してNaを除去すればよい。Naの除去には、メディアレス型分散機を用いた水洗が好適に用いられる。水洗にメディアレス型分散機を用いることで、凝集塊をほぐして効率的なNaの除去ができるという有利な効果が奏される。この観点から、メディアレス型分散機としては、例えばホモジナイザを用いることができる。ホモジナイザには、高速攪拌式、超音波式、高圧式等のタイプがあるところ、本発明においてはいずれの方式のホモジナイザも用いることができる。これらの方式のうち、特に高速攪拌式のホモジナイザを用いることが、一層効率的なNaの除去の観点から好ましい。高速攪拌式のホモジナイザとしては、例えば国産精工株式会社製のハレルホモジナイザや、プライミクス株式会社製パイプラインホモミクサー等が挙げられる。メディアレスの分散機の運転条件は、本製造方法において臨界的でなく、コア粒子の表面に存在するNaの量が上述の範囲にまで低減するように運転条件を適宜調整すればよい。例えば、コア粒子を水洗したときの液の電導度を測定することで、Naの量を調整することができる。なお、この水洗によっては、コア粒子内部に存在するNaの量はほとんど変化しない。
(1)の工程によって得られたマグネタイトのコア粒子は、次いで(2)の工程に付される。(2)の工程においては、コア粒子の表面をシラン化合物で被覆する。この被覆のために、本工程においては、有機シランを用い、この有機シランからシラン化合物を生成させる。有機シランからシラン化合物を生成させるときの条件を適切に制御することで、式(1)の範囲を満たす被覆マグネタイト粒子を首尾良く得ることができる。なお有機シランの詳細については後述する。
具体的には、有機シランを予め加水分解させ、生成したシラン化合物をコア粒子の表面に被覆する。このときの加水分解の程度が重要であり、本発明者らが検討したところ、加水分解による脱水縮合によって有機シランの二量体及び三量体が生成するような程度に、該有機シランを加水分解することが好ましいことが判明した。この場合、脱水縮合物はそのすべてが二量体及び三量体であることを要せず、主たる脱水縮合物が二量体及び三量体であればよい。二量体及び三量体が生成するような程度に有機シランの加水分解を生じさせるための条件は、有機シランの加水分解や脱水縮合の反応速度が、疎水基やアルコキシ基の種類に応じて異なるので一概には言えないが、例えば有機シランとしてヘキシルトリメトキシシランを用いる場合には、このシラン25.8gに、pH4.0の酢酸水溶液5.4gを加え、20℃で6時間程度撹拌すればよい。なおpHの調整には、酢酸以外に、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の任意の酸を選択できる。また、所望の脱水縮合物が得られるのであれば、pHや温度は任意に選択できる。なお、有機シランからその二量体及び三量体が生成したか否かは、例えば脱水縮合物を対象とした29SiのNMR測定によって確認することができる。
生成した脱水縮合物(この脱水縮合物はシラン化合物の前駆体である)をコア粒子の表面に被覆して更に脱水縮合を進め、コア粒子の表面をシラン化合物で被覆する。この脱水縮合物中には、加水分解が生じていない未反応の有機シラン及び四量体以上の脱水縮合物が副成分として含まれていても差し支えない。以下の説明においては、「脱水縮合物等」という用語を、二量体及び三量体の脱水縮合物、加水分解が生じていない未反応の有機シラン及び四量体以上の脱水縮合物の総称として使用する。脱水縮合物等の被覆の方法には、湿式法と乾式法がある。湿式法では、水を媒体とし、コア粒子を含み、pHが所定の範囲に設定されたスラリーに脱水縮合物等を添加してコア粒子の表面を被覆する。乾式法では、コア粒子と脱水縮合物等とを、液媒体の実質的な非存在下に混合して該コア粒子の表面を被覆する。これら2つの方法のうち、混合処理中に脱水縮合物等の過度の縮合反応を抑制する観点や、コア粒子の表面への脱水縮合物等の歩留まりの観点から、乾式法を用いることが好ましい。
乾式法において、コア粒子と脱水縮合物等との混合には、公知の混合攪拌装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサ、ハイスピードミキサ、エッジランナー、リボンブレンダー等を用いることができる。これらの装置の運転条件としては、混合攪拌時の温度を10〜50℃、特に10〜40℃に設定することが好ましい。これによって、両者が十分に混合される前に、意図せず脱水縮合物等の更なる脱水縮合が進行してしまうことを効果的に防止できる。コア粒子と脱水縮合物等との配合の割合は、コア粒子100重量部に対して、脱水縮合物等を0.1〜10重量部、特に0.3〜3重量部とすることが、得られる被覆マグネタイト粒子に含まれるシラン化合物の量が適切になり、被覆マグネタイト粒子の疎水性が十分に高くなる点から好ましい。
乾式混合が完了したら、脱水縮合物等の更なる脱水縮合が生じる温度にまで混合物を加熱して該脱水縮合物等の脱水縮合を生じさせる。脱水縮合物等の種類にもよるが、加熱温度は100〜160℃、特に105〜150℃という比較的低温とすることが好ましい。加熱をこの温度範囲で行うことで、コア粒子の過度の凝集を防止しつつ、脱水縮合物等の脱水縮合を行うことができる。加熱時の雰囲気に特に制限はない。一般的には大気下で加熱を行えばよい。
このようにして、目的とする被覆マグネタイト粒子が得られる。この粒子においては、マグネタイトのコア粒子の表面にシラン化合物が強固に結合しており、また疎水性が極めて高くなっている。
本発明の被覆マグネタイト粒子は、重合法トナーの原料として特に有用である。例えば懸濁重合法を行う場合、本発明の被覆マグネタイト粒子を、バインダのモノマー成分や電荷制御剤とともに混合し、次いで水を添加し、更に懸濁安定化剤を加えて懸濁させ、懸濁液をモノマーの重合工程に付して重合することでトナーが得られる。上述のとおり本発明の被覆マグネタイト粒子は、マグネタイトのコア粒子の表面にシラン化合物が強固に結合しているので、懸濁重合法を行っている最中にシラン化合物が液相中に溶出しづらい。したがって、高い疎水性を保った状態で重合を行うことができ、粒径の揃ったトナーを一段階で得ることができる。また、本発明の被覆マグネタイト粒子を、粉砕法トナーの原料として用いても何ら差し支えない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔製造例1(マグネタイトのコア粒子の製造)〕
Fe2+を1.8mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50リットルと、4.7mol/Lの水酸化ナトリウム溶液55リットルとを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この液の温度を90℃に保ちながら、15L/minで空気を通気し、水酸化第一鉄の湿式酸化を行い、マグネタイトのコア粒子を得た。この間、水酸化ナトリウム水溶液を添加することで、液のpHを6に維持した。コア粒子を、ハレルホモジナイザを用いて水洗し、その後、乾燥及び粉砕を常法に従い行った。このようにして、球状のコア粒子(平均粒径0.23μm)を得た。コア粒子の表面に存在するNaの量は10ppmであった。
〔製造例2(マグネタイトのコア粒子の製造)〕
Fe2+を1.8mol/L及びケイ酸ナトリウムを0.0053mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50リットルを用いる以外は製造例1と同様にして球状のコア粒子(平均粒径0.23μm)を得た。コア粒子の表面に存在するNaの量は11ppmであった。またコア粒子に含まれるSiの量は0.1重量%であった。
〔実施例1〕
有機シランとしてn−プロピルトリエトキシシランを用いた。n−プロピルトリエトキシシラン20.6g中にpH4.0の酢酸水溶液5.4gを添加し、20℃に保持しながら4時間撹拌し、脱水縮合物等を得た。29Si−NMRによって測定された脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。
製造例1で得たコア粒子1kgをハイスピードミキサ(深江パウテック社製LFS−2型)に投入し、回転数2000rpmにて撹拌しながら、前記の脱水縮合物等を3分間かけて滴下し5分間撹拌した。次いで120℃で1時間熱処理を行い、目的とする被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例2〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、17.8gのn−ブチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例3〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、17.8gのiso−ブチルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例4〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、15.5gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、pH4.0の酢酸水溶液の使用量を4.1gとし、6時間撹拌した以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例5〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、20.6gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、撹拌を6時間とした以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例6〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、25.8gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、pH4.0の酢酸水溶液の使用量を6.8gとし、6時間撹拌した以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔実施例7〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、20.6gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、撹拌を6時間とした以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。更に、マグネタイトのコア粒子として製造例2で得たものを用いた。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例1〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、13.6gのメチルトリメトキシシランを用いた。また、撹拌を2時間とした以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例2〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、27.7gのn−オクチルトリエトキシシランを用いた。また、撹拌を10時間とした以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例3〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、20.6gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、5℃で1時間撹拌した以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例4〕
実施例1で用いたn−プロピルトリエトキシシランに代えて、20.6gのn−ヘキシルトリメトキシシランを用いた。また、60℃で10時間撹拌した以外は実施例1と同様にして脱水縮合物等を得た。この脱水縮合物等の組成は、以下の表1に示すとおりであった。これら以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
Figure 0005715329
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた被覆マグネタイト粒子について、上述した方法でシラン化合物の被覆量を測定した。また、NEXFASを用い、Siの吸収スペクトルを測定し、前記の式(1)の値を求めた。更に、更に、加速劣化後の水蒸気吸着量を以下の方法で測定した。これらの結果を以下の表2に示す。
〔加速劣化試験〕
被覆マグネタイト粒子5gを時計皿に取り、60℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿機(TABAI ESPEC社製 EX−111)で168時間加熱して、加速劣化処理を行った。加速劣化処理後、ベルソープで水蒸気吸着量を測定した。
Figure 0005715329
表2に示す結果から明らかなように、実施例で得られた被覆マグネタイト粒子は、比較例で得られた被覆マグネタイト粒子に比べて加熱劣化試験後でも水蒸気吸着量が低いことが判る。このことは、実施例で得られた被覆マグネタイト粒子は、シラン化合物がマグネタイトのコア粒子に強固に結合していることを意味している。

Claims (3)

  1. マグネタイトのコア粒子の表面がシラン化合物によって被覆されてなる被覆マグネタイト粒子において、
    シラン化合物は、炭素数3〜6のアルキル鎖を有する、アルコキシシラン又はシランカップリング剤から生成したものであり、
    吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)を用い、全電子収量法(TEY)に基づき得られたSiのスペクトルが、1844.4〜1844.8eVの範囲にピークAを有するとともに1846.1〜1846.6eVの範囲にピークBを有し、
    ピークAの面積をIA、ピークBの面積をIBとし、被覆マグネタイト粒子1g当たりに含まれるシラン化合物に由来するSiのモル数をMSiとしたとき、IA/(IA+IB)/MSiが、25〜45を満たすことを特徴とする被覆マグネタイト粒子。
  2. 被覆マグネタイト粒子1g当たりに含まれるシラン化合物の被覆量が、Si換算で0.002〜0.025mol%である請求項1記載の被覆マグネタイト粒子。
  3. コア粒子を対象とした純水煮沸試験によるNaの溶出量が、粒子全体の重量に対して50ppm以下である請求項1又は2記載の被覆マグネタイト粒子。
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