JP2014214061A5 - - Google Patents

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疎水性無機酸化物粉末及びその製造方法
本発明は、新規な疎水性無機酸化物粉末及びその製造方法に関する。詳しくは、ゾル−ゲル法によって得られる、粒度分布幅が狭く小粒径の一次粒子径を有し、解砕性に極めて優れ、樹脂に添加した際の分散性にも極めて優れるという特徴を有する疎水性無機酸化物 粉末を提供するものである。
シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の製造方法の一つとして、ゾル−ゲル法が知られている。この製造方法は、酸性触媒又は塩基性触媒存在下で、水を含有する有機溶媒中に、テトラメトキシシラン等の金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応によって無機酸化物粒子を得る方法である。ゾル−ゲル法は、球状で且つ粒径が比較的揃った微細な無機酸化物粒子が得られることが特徴である。
ところで近年、複写機やプリンタの電子写真技術において、高速化、高精細化が進んでおり、トナーの耐久性や転写性を高めるような添加剤が必要となってきている。そのような添加剤として、粒度分布幅が狭く、表面が疎水化されたゾル−ゲル法シリカ(疎水性無機酸化物粒子)が効果的であることが報告されている(特許文献1参照)。
このような表面が疎水化されたゾル−ゲル法シリカを製造する方法として、例えばシリカゾルにシラザン化合物を添加して反応させることにより、疎水化処理されたシリカを得る方法が報告されている(特許文献2参照)。この方法における表面処理後のシリカの回収は、表面処理後のシリカを含有するスラリーから溶媒を留去することによって実施される。このような回収方法は、実験室スケールにおいてフラスコ内から取り出す場合には容易に適用できるものの、この方法を現実の大スケールの製造プラントに適用した場合、反応釜の中から疎水化されたゾルーゲル法シリカを掻き出すことは困難であり、実用的ではない。
ここで、ゾル−ゲル法によって製造される粒径1μm以下の小さな粒子は、ろ紙やろ布を通過してしまうため、ろ過による固液分離は非常に困難である。そのため、無機酸化物粒子を該分散液中から固液分離する方法として、上記溶媒留去法や遠心分離により粒子を沈降させ、デカンテーションする方法等が採用されている。そして、これらの方法により得られる無機酸化物粒子の湿体を乾燥することにより、無機酸化物粒子を得ている。
しかしながら、無機酸化物粒子分散液における上記固液分離工程において、無機酸化物粒子同士の強固な凝集体が生じ、更に乾燥工程により、無機酸化物粒子同士の強固な凝集塊が生成する。そのため、このような粒子をトナー用外添剤に用いた場合、トナー樹脂への分散性が悪いために、トナーに効果的な流動性を付与できないことや、感光体ドラムを傷つけてしまう恐れがあることから使用することが困難であり、無機酸化物粒子凝集塊をジェットミル等の解砕装置を用いて、解砕する必要がある。ジェットミル等の解砕工程は一定の効果はあるものの、充分ではなかった。加えて、前工程である固液分離工程を含め、エネルギー的、時間的、及び作業上、非常に生産効率が悪いという問題もあった。
特開2002−108001号公報 特開2006−151764号公報
本発明は、上記の状況を鑑みなされたものである。即ち、本発明の目的は、ゾル−ゲル法により合成された粒度分布幅が狭く小粒径の一次粒子径を有する無機酸化物粒子を、表面処理して得られる疎水性無機酸化物粉末であって、強固に凝集することなく解砕性に優れ、樹脂への分散性が極めて良好な該粒子と、その粒子を簡易に製造する方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、塩基性触媒の存在下、アルコールと水の混合溶媒中で金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により得られる無機酸化物粒子分散液に特定の表面処理剤を添加して、疎水化処理された無機酸化物粒子分散液を調整し、この分散液を特定の条件下で噴霧乾燥して得られる疎水性無機酸化物粉末は、強固に凝集することなく解砕性に優れており、樹脂に添加した際の分散性が極めて良いことを見出した。
即ち本発明は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法における該粒子のメジアン径が0.05〜1.5μmの範囲にあり、且つ変動係数が35%以下であり、且つ下記(1)〜(2)の要件を満たすものであることを特徴とする疎水性無機酸化物粉末である。
(1)疎水化度が40〜70容量%
(2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100
また、上記方法によれば、圧壊強度測定法における該疎水性無機酸化物粉末の解砕強度を0.01N以下とすることができる。樹脂100質量部に対して該粒子を1質量部添加した際の、樹脂への該粒子の被覆率を4%以上とすることもできる。
本発明における疎水性無機酸化物粉末の製造方法は、塩基性触媒の存在下、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により得られる無機酸化物粒子分散液に、表面処理剤を添加して疎水化処理された疎水性無機酸化物粒子を含む分散液を調整し、該分散液から無機酸化物粉末を噴霧乾燥により得る製造方法において、該噴霧乾燥がスプレードライヤーによりなされ、その乾燥条件が入口温度80〜300℃の範囲であり、且つ乾燥室入口と出口温度の差(ΔT)が30〜175℃の範囲であり、且つ分散液噴霧速度が乾燥室容積1m3に対して1.5〜40kg/hの範囲であることを特徴とする。
より顕著に効果が期待できるため、前記疎水性無機酸化物粉末を含む分散液を構成する混合溶媒の組成において、水濃度が20質量%以下であることが好ましい。
更に、前記製造方法の後に、80〜200℃の範囲で二次乾燥を実施してもよいし、第二の疎水化を実施してもよい。
本発明の方法により製造された疎水性無機酸化物粉末は、凝集力が弱いため、例えば、樹脂に添加してトナーを調製する際、分散機のシェアで容易に解砕され、トナー樹脂に均一に分散することができる。
また本発明の方法により、表面が疎水化された疎水性無機酸化物粉末であって、強固に凝集することなく解砕性に優れる該粒子を、簡易に製造することができる。また、該無機酸化物粒子分散液をスプレードライヤーにより直接噴霧乾燥するため、従来技術のような固液分離工程を必要とせず、短時間で、生産的に該疎水性無機酸化物粉末を得ることができる。
本発明の方法によって製造される疎水性無機酸化物粉末は、解砕性に優れ、表面処理により疎水化されているとともに、ゾル−ゲル法の反応に基づくものであるため粒度分布幅が狭いから、特に電子写真用トナーの外添剤として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の疎水性無機酸化物粉末は、ゾル−ゲル法によって得られる、球状の無機酸化物粒子よりなり、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法における該粒子のメジアン径が0.05〜1.5μmの範囲にあり、且つ変動係数が35%以下であり、且つ下記(1)〜(2)の要件を満たすものであることを特徴とする疎水性無機酸化物粉末である。
(1)疎水化度が40〜70容量%
(2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100
本発明の無機酸化物としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの周期表第4族金属、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期表第13族金属、ゲルマニウム、スズなどの周期表第14族金属等の金属酸化物、シリカ(ケイ素の酸化物)、及びこれら元素で構成される複合酸化物等が挙げられる。
上記無機酸化物の中でも、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物、及びこれらの元素で構成される複合酸化物が好ましく、シリカ、及びケイ素を含む複合酸化物、特にシリカが本発明の効果が顕著に現れるため好ましい。
また、本発明の無機酸化物粉末は、メジアン径が0.05〜1.5μmである。一般的に、このような粒径が小さな無機酸化物粒子は、強固な凝集塊を形成しやすいが、本発明によれば、一次粒子と同等なメジアン径を有することができる。より好ましいメジアン径は0.07〜0.80μmである。
なお、疎水性無機酸化物粉末のメジアン径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により実施される。具体的には、乾燥後の疎水性無機酸化物粉末0.1gを、内径4cm、高さ11cmのガラス製容器に入れ、エタノール50gを添加し測定液とする。ここに、プローブ(先端の内径7cm)の先端から4.5cmの部分を浸し、出力20Wで、30秒間超音波を印加して分散させる。得られた分散液のメジアン径及び変動係数を、ベックマン・コールター(株)製、コールターLS230を使用し、偏光散乱強度差計測によって、0.04〜2000μmの範囲で測定する。なお変動係数は、下記式より算出する。
変動係数(%)=粒子径の標準偏差(μm)/粒子径の数平均値(μm)×100
本発明の疎水性無機酸化物粉末における上記変動係数は35%以下であり、好ましくは30%以下であり、更に好ましくは25%以下である。即ち、本発明の疎水性無機酸化物 粉末は、上記超音波分散のような僅かな物理的印加により、容易に微細な粒子に解砕され、凝集粒子が少ないことを第一の特徴とする。
また上記メジアン径及び変動係数はレーザー回折・散乱式粒度分布測定法により算出されるものである必要がある。例えば、電子顕微鏡による画像観察・解析によるメジアン径及び変動係数の測定では、凝集粒子でも独立粒子と判断して測定されたり、その逆があったりして、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法とは著しく異なる値となる場合がある。
また、本発明の無機酸化物粉末は疎水化度が40〜70容量%である。疎水化度が40容量%未満の粒子は、粒子表面のヒドロキシ基同士の水架橋により強固な凝集体を形成する傾向がある。一方、70容量%を超えるような粒子は、本発明のような水溶液中での疎水化反応による製造が困難である。好ましくは45〜65容量%である。
本発明の無機酸化物粉末は、このような疎水性を有しながら前記したような高い分散性を有する点に特徴を有する。従来公知のゾル−ゲル法で製造したシリカなどの無機酸化物粒子のなかには、本発明で規定する範囲内のメジアン径及び変動係数を有するものもあるが、これを疎水化処理すると、その処理過程で強固な凝集を生じ、本発明の如く狭い変動係数と高い分散性を有するものは得られていなかった。
なお、本発明における疎水化度の測定方法は、以下のとおりである。疎水性無機酸化物 粉末0.2gを、50mLの水が入った容量250mLのビーカーに加え、マグネチックスターラーにより攪拌する。ここに、ビュレットを使用してメタノールを滴下し、試料粉末の全量が溶液中に分散し懸濁したところを終点として滴定する。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量百分率(%)を疎水化度とする。
本発明の疎水性無機酸化物粉末の疎水化度は、後述の製造方法において、疎水化工程での表面処理剤の添加量と処理時間によって制御することが可能である。例えば、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンを用い、無機酸化物粒子100質量部に対して50質量部添加し、1時間処理した場合、該疎水性無機酸化物粉末の疎水化度は55容量%である。表面処理剤の使用量が多いほど疎水化度は高くなる傾向にあり、また処理時間が長いほど疎水化度は高くなる傾向にある。
また、本発明の無機酸化物粉末は、目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下である(但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100である)。上好ましくは30質量%以下であり、更に好ましくは25質量%以下である。この値が40質量%以下であることは、強固に凝集した巨大粒子を含有しないことを示している。
本発明の疎水性無機酸化物粉末の解砕性は、圧壊強度測定法により評価することができる。具体的には、該疎水性無機酸化物粉末を、目開き1.4mmの篩いにかけ、続いて0.71mmの篩にかけ、目開き0.71mmの篩に残った疎水性無機酸化物粉末を測定に使用する。この粒子を上皿天秤に載せ、金属製のヘラで荷重をかけ、粉末が解砕された時点での荷重を記録し、下記式により解砕強度を計算する。
解砕強度(N)=荷重(g)×9.80665×10−3
この測定は60回繰り返し実施し、その平均値を解砕強度とする。この解砕強度の値が小さいほど、粒子が解れ易いこと示し、本発明の疎水性無機酸化物粉末の解砕強度は、0.01N以下であることが好ましい。
また、本発明の疎水性無機酸化物粉末は、解砕性、樹脂への分散性が極めて優れるため、トナーの外添剤として好適に使用することができる。例えば、該疎水性無機酸化物粉末をトナー樹脂へ添加した際の、樹脂表面への該無機酸化物粒子の被覆率により、樹脂への該粒子の分散性を評価することができる。つまり、疎水性無機酸化物粉末0.1g、及びメジアン径6.1μmのスチレン−アクリル樹脂粒子20gを100mLのポリエチレン製容器に入れ、振とう機で60分混合した。得られた混合粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番「S−5500」)を用いて倍率10,000倍で50視野観察する。画像解析システム(旭化成(株)製、商品名「IP−1000PC」)を用いて、得られた画像から、下記式により樹脂表面の被覆率の平均値を算出する。表面被覆率が高いほどトナー用の外添剤として好適であることを示しており、本発明の疎水性無機酸化物粉末の場合、この被覆率が高く、通常は4%以上である。
表面被覆率(%)=無機酸化物粒子に覆われている部分の面積/スチレン−アクリル樹脂粒子の面積×100
続いて上記本発明の疎水性無機酸化物粉末の製造方法について述べる。
本発明においては、先ず、塩基性触媒下に、ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の生成、即ち、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応を実施し、無機酸化物粒子を含む分散液を得る。
ゾル−ゲル法によって無機酸化物粒子を含有する分散液を製造する方法は公知であり、本発明においても、この工程は従来技術と特に変わることなく実施することができる。しかし、本発明において、表面処理剤を使用した疎水化処理を行うため、溶媒として、水と有機溶媒との混合溶媒を使用し、適当な塩基性触媒の存在下で原料である金属アルコキシドを、加水分解及び重縮合させる方法が好適に採用される。また、後述するように乾燥に供する分散液に含まれる混合溶媒の水濃度を制御することで、より顕著な効果が期待できるため、ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の製造時に、好適な水濃度範囲とすることが好ましい。
勿論、ゾル−ゲル法に使用する溶媒として、水のみを使用して、無機酸化物粒子を生成せしめることも可能である。この場合、表面処理剤による疎水化処理、及び乾燥時において、分散液に有機溶媒を添加し、液組成を好適な混合溶媒組成となるように調整する必要がある。
<金属アルコキシド>
本発明において用いられる金属アルコキシドは、特に限定されることなく、製造する無機酸化物粒子に応じて、適宜に選択して使用することができる。
具体例としては、チタンアルコキシドとして、例えばチタンテトライソポキシド、チタンテトラn−ブトキシド等を;
ジルコニウムアルコキシドとして、例えばジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド等を;
ホウ素のアルコキシドとして、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等を;
アルミニウムアルコキシドとして、例えばアルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等を;
ケイ素のアルコキシド(アルコキシシラン)として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を;
ケイ素以外の4族元素のアルコキシドとして、例えば、ゲルマニウム(IV)イソプロポキシド、ゲルマニウム(IV)ブトキシド等を、
それぞれ挙げることができる。
上記の金属アルコキシドのうち、チタンテトライソプロポキシキシド、チタンテトラn−ブトキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラブトキシシランが好ましく、上記のうちでもチタンテトライソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランは、工業的に入手が容易に可能であること及び取り扱いが容易であることからより好ましく、特にメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
本発明の製造方法において、上記のような金属アルコキシドは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用しても良い。2種以上を併用する場合は、特に、アルコキシシランと、アルコキシシラン以外の金属アルコキシドとを混合して使用することにより、シリカを含有する複合無機酸化物粒子を得ることができる。
また、アルコキシシランの加水分解及び重縮合により一定径を有するシリカ粒子を得た後、アルコキシシラン以外の金属アルコキシドを添加して更に加水分解及び重縮合を行なうことも可能であり、その場合、シリカからなるコア粒子の表面にその他の金属酸化物が結合した複合無機酸化物粒子を得ることができる。
金属アルコキシドが、常温常圧で固体である場合には、そのまま使用することも可能であるし、後述する有機溶媒で希釈して使用することも可能である。金属アルコキシドが、常温常圧で固体である場合には、有機溶媒中に溶解又は分散して使用することができる。
<塩基性触媒>
上記ゾル−ゲル法で用いられる触媒としては、ゾル−ゲル法の反応による無機酸化物の製造に用いられる公知のものが使用できる。ゾル−ゲル法では酸性触媒が用いられる場合もあるが、粒子径の揃った球状粒子を得ることが容易であるため、塩基性触媒を用いることが好適である。ここで、ゾル−ゲル法では先ず酸性触媒下で予備加水分解を行ない、続いて粒子成長を行なわせることもあるが、その場合は予備加水分解時に酸性触媒を使用し、粒子成長時には塩基性触媒を用いる方法が好適に採用される。
本発明において用いられる塩基性触媒としては、ゾル−ゲル法の反応による無機酸化物粒子の製造に用いられる公知の塩基性触媒であれば、これを好適に使用することができる。このような塩基性触媒としては、例えば、アミン化合物、水酸化アルカリ金属等を挙げることができる。特に、目的とする無機酸化物粒子を構成する金属元素以外の金属を含有する不純物量が少なく、高純度の無機酸化物粒子が得られるという観点から、アミン化合物を用いることが好ましい。このようなアミン化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、等を挙げることができる。これらのうち、揮発性が高く除去し易いこと、ゾル−ゲル法の反応速度が速いこと等から、アンモニアを使用することが好ましい。
上記塩基性触媒は、単独で使用することも、或いは2種以上を使用することも可能である。
上記塩基性触媒は、工業的に入手可能なものを、そのまま(市販されている形態のまま)使用することも可能であるし、例えばアンモニア水等のように、溶媒で希釈して使用することも可能である。特に、反応の進行速度を制御し易い点で、塩基性触媒を水に希釈し、必要に応じて濃度を調整した水溶液として使用することが好ましい。塩基性触媒として水溶液を使用する場合の濃度は、工業的に入手が容易であること、濃度調整が容易であること等から、1〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
塩基性触媒の使用割合は、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すれば良い。塩基性触媒の使用割合としては、反応液中における塩基性触媒の存在量が、使用する金属アルコキシドの質量に対して、0.1〜60質量%とするのが好ましく、0.5から40質量%の範囲で使用することがより好ましい。
<溶媒>
本発明において、上記金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応に使用される溶媒としては、水を単独で使用することもできるが、得られる無機酸化物粒子の表面処理剤による疎水化処理を続けて実施する際の処理を均一に行うため、水と有機溶媒との混合溶媒が好適に使用される。ここで本発明においては、該無機酸化物粒子の分散液を乾燥工程に供する際に、該分散液中に含まれる混合溶媒の水濃度を制御することでより顕著な効果が期待できるため、好適な水濃度範囲で製造することが好ましい。
上記有機溶媒は、水に対して相溶性を有するものであれば、特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒が好適である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
そのうち、アルコールは、ゾル−ゲル法の反応時に副生するものであるため、上記のうちメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノ−ル等のアルコールを使用することが、反応後の無機酸化物粒子分散液中への多種の有機成分が存在することを防ぎ、加熱によって容易に除去可能である点等から特に好ましい。
前記ゾル−ゲル法において、混合溶媒を使用する場合、混合溶媒中の水濃度は、目的とする無機酸化物粒子の粒径及びゾル−ゲル法による反応後の無機酸化物粒子を含む分散液における無機酸化物粒子の濃度、更には、後で詳述するが、該分散液への表面処理剤の均一な分散ができる濃度、及び乾燥時に好適な分散液中の水濃度の観点から適宜決定すれば良い。
また、水の使用量は、原料の金属アルコキシドに対して、少なすぎると反応速度が遅くなり、逆に多すぎると分散液から無機酸化物粒子を取り出すときに、乾燥が不十分となり解砕性が悪化する原因になる。そのため、金属アルコキシドに対して、24〜55質量%の範囲とすることが好ましく、35〜45質量%の範囲とすることがより好ましい。
本発明において、水は、反応器中でゾル−ゲル反応を実施する際に、上記の使用量を満足していればよく、予め反応器に存在させておいてもよいし、その後、原料の金属アルコキシドを連続的に反応器に供給する場合には、その量に合わせて追加供給してもよい。更には、反応器に添加する他の成分、例えば、塩基性触媒と共にその一部を添加してもよい。
<反応条件>
本発明における加水分解及び重縮合反応、即ちゾル−ゲル法は、前記したように好適に塩基性触媒の存在下で行なわれる。反応条件としては公知の条件を採用することができ、金属アルコキシドと塩基性触媒との接触方法も特に制限されず、反応装置の構成や反応スケールを勘案して適宜決定すればよい。ゾル−ゲル法の反応方法の一例を具体的に示すと、以下の如くである。反応器に水又は水と有機溶媒との混合溶媒、及び、塩基性触媒を仕込み、これに金属アルコキシド又は金属アルコキシドを有機溶媒で希釈した溶液と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒子径の揃った球状の無機酸化物粒子を、効率よく且つ再現性よく製造することができ、好ましい。この場合、例えば、先に金属アルコキシドの一部を添加した後に、残りの金属アルコキシドと塩基性触媒とを同時に添加することが可能である。
また、2種以上の金属アルコキシドを併用する場合、各々を混合して同時に添加してもよく、或いは各々を順次に添加することも可能である。特に、シリカを含有する複合無機酸化物粒子の製造を行なう際、先ず1種の金属アルコキシドを用いて予備加水分解、重縮合反応を行ない、その後に他の種類の金属アルコキシドを添加して反応を継続することにより、複合無機酸化物粒子を製造することができる。
金属アルコキシド及び塩基性触媒の添加は、反応液に液中滴下することが好ましい。ここで、液中滴下とは、上記の原料を反応液中に滴下する際、滴下口の先端が反応液中に浸されていることをいう滴下口先端の位置は、液中にあれば特に制限されないが、攪拌羽根の近傍等の、攪拌が十分に行なわれ、滴下物が反応液に速やかに拡散することのできる位置とすることが望ましい。
金属アルコキシドと塩基性触媒の添加時間(添加開始から添加終了までの時間)は、粒度分布幅の狭い粒子を製造するうえで非常に重要である。この時間が短すぎると粒度分布幅が広くなる傾向にあり、逆に長すぎると安定した粒子成長ができない。従って、粒度分布幅が狭く、粒径が揃った無機酸化物粒子を得るには、粒子が成長するのに適した添加時間を選択する必要がある。このような観点から、上記添加時間としては、所望の粒径が0.1μmの場合、0.2〜8時間の範囲とすることが好ましい。
反応温度は、ゾル−ゲル法の反応が速やかに進行する温度であれば、特に制限されず、目的とする無機酸化物粒子の粒径に応じて適宜選択すればよい。メジアン径0.01〜1.5μmの無機酸化物粒子を得る場合、反応温度としては、0〜60℃の範囲で適宜選択すればよい。ゾル−ゲル法の反応を確実に進行させるために、金属アルコキシド及び塩基性触媒の滴下が終了した後、熟成を行なってもよい。熟成温度としては反応温度と同程度の温度、0〜60℃とすることが好ましく、熟成時間としては0.25〜5時間とすることが好ましい。所望の粒径の無機酸化物粒子を得るために、熟成後に再度金属アルコキシド及び塩基性触媒を添加し、無機酸化物粒子の粒径を成長させる等の手法を用いてもよい。
<無機酸化物粒子の分散液>
本発明において、上述したゾル−ゲル法によって得られる分散液には、原料として使用した金属アルコキシドの元素に対応する無機酸化物粒子が含有されている。用いた金属アルコキシドの種類、量及び添加順に応じて、如何なる組成の無機酸化物粒子が得られるかは、当業者には自明であろう。
このような無機酸化物のうち、ケイ素、チタン、ジルコニウム又はアルミニウムの酸化物、及びこれらの元素の複数を含有する複合無機酸化物が好ましい。特に、表面処理剤との反応性がよく、トナー用外添剤に適用したときの物性に優れるとの観点から、特にシリカ、又はケイ素と他の金属元素とを含有する複合無機酸化物が好ましく、更にはシリカが特に好ましい。
一般に、ゾル−ゲル法の反応により得られる無機酸化物粒子の粒径は、メジアン径が0.01〜5μmであるが、本発明の製造方法は、無機酸化物粒子の粒径に関わらず適用することができる。中でも本発明は、一般的に強固な凝集塊が形成され易い、メジアン径1.5μm以下の小さな粒子を乾燥する際に効果的である。
ゾル−ゲル法の反応により製造される無機酸化物粒子は、粒度分布幅が狭いことが特徴である。前記の製造方法により得られる無機酸化物粒子の粒度分布幅は非常に狭く、例えば粒径分布の広がりを示す指標の1つである変動係数として25%以下とすることができる。
<疎水化処理>
本発明において、前記ゾル−ゲル法によって得られた無機酸化物粒子は、乾燥させずに分散液のまま表面処理剤と接触せしめて疎水化処理し、疎水化無機酸化物粒子を得る。一旦固液分離してしまうと強固な凝集が発生しやすく、本発明の疎水化無機酸化物粉末を得ることができない。上記表面処理剤としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の表面処理剤が好適に使用される。
また、上記疎水化処理は、無機酸化物粒子を含む分散液において、表面処理剤を効果的に分散させるため、分散液を構成する溶媒として、水と有機溶媒との混合溶媒が使用される。かかる混合溶媒の組成、即ち、水濃度は、混合溶媒中に表面処理剤を均一に分散せしめ、且つ、疎水化処理を効率的に行うために、混合溶媒における水濃度が20質量%以下となるように調整することが好ましい。
上記混合溶媒の水濃度の調整は、前記ゾル−ゲル反応により得られる反応液の溶媒組成を調整して実施することが効率的である。即ち、上記反応液を構成する混合溶媒の組成に、水、或いは有機溶媒を添加して水濃度を前記範囲に調整することが好ましい。かかる調整のために使用する有機溶剤は、前記例示した有機溶剤が特に制限無く使用される。
勿論、ゾル−ゲル反応を終了した時点で、混合溶媒の水濃度が前記好適な範囲となっている分散液を使用する場合は、特に上記調整を行う必要は無い。
本発明において、前記シリコーンオイルとしては、通常、無機酸化物粒子の表面処理に用いられる公知のシリコーンオイルを、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理無機酸化物粒子の性能に応じて適宜選択して使用すればよい。
シリコーンオイルの具体例としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
上記のうち特に、ジメチルシリコーンオイルを使用することは、無機酸化物粒子の疎水化を効率的に高めることができる点で好ましい。
シリコーンオイルの使用量は特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜80質量部とすることが好ましく、0.1〜60質量部とすることがより好ましい。
上記シランカップリング剤としては、表面処理に通常用いられている公知のシランカップリング剤を、使用することが可能であり、必要とする表面処理無機酸化物粒子の性能に応じて適宜選択して使用すればよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−マタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン又はデシルトリメトキシシランを使用することにより、無機酸化物粒子の疎水化を効率的に高めることができる。
シランカップリング剤の使用量は特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜80質量部が好ましく、0.1〜40質量部とすることがより好ましい。
上記シラザンとしては、表面処理に通常用いられる公知のシラザンを、特に制限なく使用することが可能である。シラザンのうち、反応性の良さ、取り扱いの良さ等から、ヘキサメチルジシラザンの使用が好ましい。
シラザンの使用量は、特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜150質量部が好ましく、1〜120質量部とすることがより好ましい。
上記の表面処理剤は、単独で1種のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の表面処理剤のうち、得られる疎水性無機酸化物粒子粉末の解砕性がよいことから、シリコーンオイル及びシラザンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましく、シラザンを使用することがより好ましい。
表面処理剤の添加方法は特に制限されず、例えば常温、常圧で液体のものであれば、分散液中に滴下してもよいし、噴霧してもよい。操作上、簡便であることから滴下が好ましい。気体状であればバブリングする方法などが考えられる。
上記表面処理剤の添加後、所定の時間表面処理剤と無機酸化物粒子とを接触させる時間(処理時間)、その際の分散液の温度(処理温度)は、特に制限はなく、使用する表面処理剤の反応性を考慮して決定すればよい。例えば、処理時間は、0.1〜48時間とすることが好ましく、0.5〜24時間とすることがより好ましい。処理温度は、無機酸化物粒子の製造温度と同じ0〜60℃が好ましい。
<乾燥>
上記方法によって疎水化された無機酸化物粒子の分散液から本発明の疎水化無機酸化物粉末を得るためには、特定の条件下で噴霧乾燥を行う必要がある。
本発明における噴霧乾燥は、疎水性無機酸化物粒子分散液に含まれる混合溶媒の水濃度、つまり、分散液を構成する混合溶媒の水濃度が20質量%以下で実施することが好ましい。上述したように、ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の製造時に上記水濃度範囲になるように製造するのもよいし、乾燥前に有機溶媒を添加して濃度調節してもよい。
本発明において、噴霧乾燥を行うには、スプレードライヤーが好適に採用される。スプレードライヤー装置は特に限定されず、市販のものを使用できる。本発明において、解砕性のよい疎水性無機酸化物粒子を得るためには、乾燥条件の制御が重要である。
その乾燥条件として、まず第一には乾燥室入口温度を80〜300℃とする必要がある。100〜250℃がより好ましく、120℃〜200℃が特に好ましい。入口温度が300℃を超えると、無機酸化物粒子表面に結合した表面処理剤由来の官能基が分解しやすくなり、疎水化度が低下する。また、入口温度が80℃以下であると、無機酸化物粒子を乾燥させるために必要な熱量が不足し、乾燥が不十分となり凝集粒子量が増え、解砕性が悪化する。
第二の条件としては、乾燥室入口温度と出口温度の差(ΔT)を30〜175℃とする必要がある。30〜125℃がより好ましく、30〜75℃が特に好ましい。ΔTが175℃より大きいと乾燥室内の湿度が高くなるため乾燥が不十分となりやすく、逆にΔTが30℃以下とするのは分散液噴霧速度を遅くする必要があり生産性の面で不利となる。
また、第三に分散液噴霧速度を、乾燥室容積1mに対して1.5〜40kg/hとする必要がある。なお一方で、分散液噴霧速度によってΔTも変化するため、ΔTが上記範囲になるように、且つ分散液噴霧速度が上記範囲になるように、乾燥室内へ送り込む熱風量を調節してもよい。
上記噴霧乾燥による乾燥によって得られた疎水性無機酸化物粉末を二次乾燥してもよい。二次乾燥方法は特に制限されるものではなく、送風乾燥や減圧乾燥等公知の方法を選択することが可能である。乾燥温度は80〜200℃が好ましく、100〜150℃が特に好ましい。これらの乾燥時間は特に制限されないが、0.5〜48時間することにより、十分乾燥した疎水性無機酸化物粉末を得ることができる。
<第二の疎水化処理>
本発明において、上記のようにして得られた疎水性無機酸化物粉末に対して、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンからなる群から選ばれる少なくとも1種の表面処理剤を添加して、該疎水性無機酸化物粒子を更に疎水化する第二の疎水化工程を設けてもよい。この表面処理剤としては、前述した表面処理剤を使用することができる。しかしながら、無機酸化物粒子の表面の官能基と直接的に化学結合できる処理剤を使用した方が、反応性を有さない処理剤を用いた場合と比較して、得られる表面処理無機酸化物粉末の解砕性に優れるため、好ましい。
第二の疎水化処理工程における表面処理剤の使用割合は、その種類に応じて、それぞれ以下のとおりである。
シリコーンオイル:疎水性無機酸化物粉末100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.01〜20質量部;シランカップリング剤:疎水性無機酸化物粉末100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.2〜50質量部;及びシラザン;疎水性無機酸化物粉末100質量部に対して、好ましくは0.10〜150質量部、より好ましくは0.2〜100質量部。
上記第二の疎水化処理工程は、いわゆる乾式工程にて行なうことが好ましい。即ち噴霧乾燥により乾燥した疎水性無機酸化物粉末に対して、上記の表面処理剤を添加し、適当な方法により攪拌する方法である。無機酸化物粉末に対する表面処理剤の添加方法は、使用する表面処理剤の形態により適宜に決定することができる。例えば表面処理剤が工程温度及び工程圧力において低粘度液体である場合は、これを無機酸化物粉末に対して滴下してもよいし、これを無機酸化物粉末に噴霧してもよい。一方、表面処理剤が高粘度液体又は固体の場合には、これを少量の任意の有機溶媒で希釈したうえで、低粘度液体の場合と同様にして添加することができる。更に、表面処理剤が気体の場合は、無機酸化物粉末と表面処理剤とを容器中に密閉した状態で攪拌する方法によることができる。
この第二の表面処理工程において、無機酸化物粒子の表面に、表面処理剤と反応可能なシラノール基の十分な量を確保するとの観点から、水の存在下にて行なうことが好ましい。この場合の水の使用割合としては、無機酸化物粒子100質量部に対して、30質量部以下にすることが好ましく、0.2〜20質量部とすることがより好ましい。
第二の表面処理工程を行なう際の好ましい処理条件は、以下のとおりである。
処理温度:好ましくは100〜500℃、より好ましくは150℃〜350℃;
処理圧力:好ましくは3×10Pa以下、より好ましくは1×10〜2×10Pa;及び処理時間:好ましくは1〜300分、より好ましくは5〜180分。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明における諸物性の測定方法は、以下の通りである。
(1)メジアン径、及び変動係数の測定
疎水性無機酸化物粉末のメジアン径の測定は、レーザー回折散乱法により実施した。
乾燥後の疎水性無機酸化物粉末0.1gを、内径4cm、高さ11cmのガラス製容器に入れ、エタノール50gを注いだ。ここに、プローブ(先端の内径7cm)の先端から4.5cmの部分を浸し、出力20Wで、30秒間超音波を印加して分散させた。
得られた分散液のメジアン径及び変動係数を、ベックマン・コールター(株)製、コールターLS230を使用し、偏光散乱強度差計測によって、0.04〜2000μmの範囲で測定した。変動係数は、下記式より算出した。
変動係数(%)=粒子径の標準偏差(μm)/粒子径の数平均値(μm)×100
この変動係数が狭いほど、粒度分布幅が狭いことを示す。
(2)疎水化度の測定
疎水性無機酸化物粉末0.2gを、50mLの水が入った容量250mLのビーカーに加え、マグネチックスターラーにより攪拌した。ここに、ビュレットを使用してメタノールを滴下し、試料粉末の全量が溶液中に分散し懸濁したところを終点として滴定した。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量百分率(%)を疎水化度とした。
(3)解砕強度の測定
疎水性無機酸化物粉末の解砕性を評価する指標として、圧壊強度測定を実施した。
疎水性無機酸化物粉末を、目開き1.4mmの篩いにかけ、続いて0.71mmの篩にかけ、目開き0.71mmの篩に残った疎水性無機酸化物粒子を測定に使用した。この粒子を上皿天秤に載せ、金属製のヘラで荷重をかけ、粒子が解砕された時点での荷重を記録し、下記式により解砕強度を計算した。
解砕強度(N)=荷重(g)×9.80665×10−3
この測定は60個の粒子に対して繰り返し実施し、その平均値を解砕強度とした。この解砕強度の値が小さいほど、粒子が解れ易いこと示す(解砕性に優れる)。
(4)凝集粒子量の測定
疎水性無機酸化物粉末10gを、目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に載せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した粒子の重量を測定し、下記式より算出した値を凝集粒子量とした。
凝集粒子量(%)=篩残量(g)/10(g)×100
(5)樹脂表面の被覆率の測定
疎水性無機酸化物粉末0.1g、及びメジアン径6.1μmのスチレンーアクリル樹脂粒子20gを100mLのポリエチレン製容器に入れ、振とう機で60分混合した。得られた混合粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番「S−5500」)を用いて倍率10,000倍で50視野観察した。画像解析システム(旭化成(株)製、商品名「IP−1000PC」)を用いて、得られた画像から、下記式により樹脂表面の被覆率の平均値を算出した。表面被覆率が高いほどトナー用の外添剤として好適であることを示す。
表面被覆率(%)=無機酸化物粒子に覆われている部分の面積/スチレン−アクリル樹脂粒子の面積×100
実施例1
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール1,040g及び塩基性触媒として15質量%アンモニア水150gを仕込み、35℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、該分散液における混合溶媒の水濃度は8.6質量%、分散液中のシリカの含有率は20質量%(シリカ量は766g)である。
滴下終了後、続けて表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン230g(シリカ100質量部に対して30質量部相当)を添加した。添加後、35℃で1時間攪拌を行ない、疎水性シリカ粒子分散液を得た。このときの該分散液における混合溶媒中の水濃度は9.2質量%であった。
上記で得られた疎水性シリカ粒子分散液を、スプレードライヤーにより入口温度200℃、ΔT75℃、分散液噴霧速度2.5kg/hの条件にて、噴霧乾燥することにより、疎水性シリカ粒子粉末650gを得た。
本実施例における分散液及びシリカ粒子について、上記の方法に従って各種の測定を実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例2
スプレードライヤーによる乾燥を入口温度140℃、ΔT30℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例3
スプレードライヤーによる乾燥を入口温度300℃、ΔT175℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例4
スプレードライヤーによる乾燥の分散液噴霧速度を40kg/hに変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例5
実施例4で得られた疎水性シリカを120℃、常圧下で24時間二次乾燥を実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例6
実施例1で得られた疎水性シリカ500gを20L圧力容器に入れ、230℃まで昇温した。容器内を窒素雰囲気に置換後、大気圧力下で密閉し粒子を攪拌しながら、水を20g噴霧した。その後、15分間攪拌継続した後、脱圧し、ヘキサメチルジシラザン120gを噴霧した。攪拌を60分間継続した後、脱圧し、窒素パージを15分間実施することで、更に疎水化度を向上させた疎水性シリカ300gを得た。測定結果を第1表に示した。
比較例1
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール677g及び塩基性触媒として4.0質量%アンモニア水381gを仕込み、45℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として2.5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、分散液中のシリカの含有率は実施例1と同様に20質量%(シリカ量は766g)であった。また、このときの分散液を構成する混合溶媒中の水濃度は22.6質量%であった。
滴下終了後、続けて表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン230g(シリカ100質量部に対して30質量部)を添加した。添加後、45℃で1時間攪拌を行ない、疎水性シリカ粒子分散液を得た。このときの該分散液を構成する混合溶媒中の水濃度は21質量%であった。
上記で得られた疎水性シリカ粒子分散液を、実施例1と同様の条件で乾燥した。実施例1で得られた疎水性シリカ粒子に比べて凝集粒子量が増え、解砕強度が高かった。また、測定結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、表面処理後の疎水性シリカ分散液を、ホットプレートを用いて65℃で乾燥させることにより疎水性シリカ750gを得た。実施例1で得られた疎水性シリカに比べて凝集粒子量が増え、解砕強度が高かった。測定結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、表面処理後の疎水性シリカ分散液を、KUBOTA製「テーブルトップ高速冷却遠心機 3K30C」を用いて、回転数13000で10分間遠心分離を実施して得られたシリカ凝集体を120℃常圧下で、24時間乾燥することで疎水性シリカを得た。実施例1で得られたシリカと比較して凝集粒子量が増え、解砕強度が高かった。測定結果を第1表に示す。
比較例4
スプレードライヤーの乾燥条件を乾燥室入口温度75℃、ΔT50℃、分散液噴霧速度を5kg/hで実施した以外は実施例1と同様に実施した。実施例1〜6で得られた疎水性シリカと比較して凝集粒子量が増え、疎水性シリカ粒子の解砕強度が高く、樹脂への分散性も悪かった。結果を第1表に示す。
比較例5
スプレードライヤーの乾燥条件を乾燥室入口温度350℃、ΔT240℃、分散液噴霧速度を40kg/hで実施した以外は実施例1と同様に実施した。実施例1〜6で得られた疎水性シリカと比較して疎水化度が低下し、凝集粒子量が増え、疎水性シリカ粒子の解砕強度が高く、樹脂への分散性も悪かった。結果を第1表に示す。
Figure 2014214061

Claims (10)

  1. レーザー回折・散乱式粒度分布測定法における該粒子のメジアン径が0.05〜1.5μmの範囲にあり、且つ変動係数が35%以下であり、且つ下記(1)〜(2)の要件を満たすものであることを特徴とする疎水性無機酸化物粉末。
    (1)疎水化度が40〜70容量%
    (2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
    但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100
  2. ゾル−ゲル法によって得られる請求項1に記載の疎水性無機酸化物粉末
  3. 圧壊強度測定法における解砕強度が0.01N以下である請求項又は2に記載の疎水性 無機酸化物粉末
  4. 前記疎水性無機酸化物粉末を樹脂100質量部に対して2質量部添加した際の、樹脂への該粒子の被覆率が4%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化 物粉末
  5. 表面処理剤がヘキサメチルジシラザンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の疎水 性無機酸化物粉末
  6. トナー用外添剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化物粉末
  7. 塩基性触媒の存在下、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により得られる無機酸化物粒子分散液に、表面処理剤を添加して疎水化処理された疎水性無機酸化物粒子を含む分散液を調整し、該分散液から無機酸化物粒子を噴霧乾燥により得る製造方法において、噴霧乾燥がスプレードライヤーよりなされ、その乾燥条件が入口温度80〜300℃の範囲であり、且つ乾燥室入口と出口温度の差(ΔT)が30〜175℃の範囲であり、且つ分散液噴霧速度が乾燥室容積1mに対して1.5〜40kg/hの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
  8. 前記疎水性無機酸化物粒子を含む分散液を構成する混合溶媒の組成において、水が20質量%以下である、請求項7記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の該疎水性無機酸化物粉末の製造方法の後に、80〜200℃の範囲で二次乾燥を実施する、疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法の後に、第二の疎水化を実施することを特徴とする疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
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