JP5968015B2 - 疎水化無機酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

疎水化無機酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理した無機酸化物粒子の新規な製造方法に関する。詳しくは、金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法により得られる無機酸化物粒子の分散液に、表面処理剤を添加して疎水化無機酸化物粒子を得る方法において、上記疎水化された無機酸化物粒子を分散液から分離する操作を極めて効率的に行うことを可能とした、疎水化無機酸化物粒子の製造方法である。
シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の製造方法の一つとして、ゾル−ゲル法が知られている。この製造方法は、酸性触媒又は塩基性触媒存在下で、水を含有する有機溶媒中に、テトラメトキシシラン等の金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応によって無機酸化物粒子を得る方法である。このゾル−ゲル法は、粒子径が比較的均一に揃った無機酸化物粒子を得ることができることが特徴である。
このような無機酸化物粒子は、複写機やプリンターの電子写真技術において、トナーの耐久性や用紙への転写性を高める目的で、トナーへの外添剤として使用されている。その用途で使用する場合、無機酸化物粒子を表面処理剤で疎水化し、得られた疎水化無機酸化物粒子を該分散液から固液分離する必要がある。
上記疎水化無機酸化物粒子を含む分散液を対象とする一般的な固液分離方法として、減圧ろ過や遠心ろ過等が挙げられるが、ゾル−ゲル法で製造される1μm以下の小さな粒子は、濾紙や濾布を通過してしまうという問題があった。また、溶媒留去法で固液分離して得られる粒子は乾燥後に疎水化無機酸化物粒子が強く凝集し、再分散が困難であった。そのような粒子をトナー用外添剤として用いた場合、トナー樹脂への分散性や付着性が悪いこと、感光体ドラムを傷つけてしまう可能性があることから使用することができず、解砕等の工程を必要としていた。
この問題を解決する手段として、上記分散液に炭酸塩を凝析剤として添加することにより、ろ過による固液分離が可能なうえ、得られる粒子は流動性、解砕性に優れる表面処理された無機酸化物粒子の製造方法が報告されている(特許文献1)。
特開2012−031045号公報
しかしながら、上述した炭酸塩を凝析剤として用いた場合、特に、ゾル−ゲル反応後の反応液である、無機酸化物粒子を含む分散液に対して、表面処理剤を使用して疎水化処理を行って疎水化無機酸化物粒子を得る場合、得られる表面処理された無機酸化物粒子は流動性、解砕性に優れるものの、該粒子を効果的に凝析させるのに、多量の水が必要となり、多大な容積を必要としてしまうという問題があった。即ち、疎水化無機酸化物粒子を得るための反応溶媒としては、表面処理剤の分散性を上げて均一な疎水化処理をおこなうため、水と有機溶媒との混合溶媒を使用するが、かかる反応に最適な混合溶媒の水濃度は5〜15質量%と低い。そして、上記表面処理後の分散液に炭酸塩等の凝析剤を固体で添加しても、かかる水濃度においては、十分な凝析効果が得られないという問題を有していた。そのため、前記凝析剤を水に溶解させ、水溶液として添加することにより、かかる問題を解決せざるを得ないのが現状であった。
そして、その結果、前記疎水化無機酸化物粒子の凝析には、大容量の反応器を必要とするばかりでなく、廃液の処理設備も大型化し、工業的な実施において不利な面があった。
従って、本発明は、ゾル−ゲル法による上記疎水化無機酸化物粒子を製造する方法における問題を解消する方法に関し、前記表面処理を行って得られる、疎水化無機酸化物粒子を含む分散液より、混合溶媒の水濃度が低い状態で、該疎水化無機酸化物粒子を効果的に凝析させることが可能な疎水化無機酸化物粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、前記ゾル−ゲル法による疎水化無機酸化物粒子を製造する方法において、前記表面処理を行って得られる、混合溶媒に疎水化無機酸化物粒子を含む分散液に対して、特定の化合物からなる凝析剤を添加することで、大量の水の添加を必要とすることなく、凝析を効果的に行うことができ、かかる凝析した粒子は、ろ過性に優れ、これをろ過、乾燥することにより、流動性に優れる疎水化無機酸化物粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法により得られる無機酸化物粒子を、水と有機溶媒との混合溶媒中で表面処理剤と接触させて疎水化無機酸化物粒子を得た後、上記混合溶媒より疎水化無機粒子を分離する疎水化無機酸化物粒子の製造方法において、上記疎水化無機酸化物粒子を含む分散液中に、有機酸又はその塩からなる凝析剤を添加して前記疎水化無機酸化物粒子を凝析せしめる工程を含むことを特徴とする疎水化無機酸化物粒子の製造方法である。
上記方法において、前記凝析剤の添加は、前記分散液を構成する混合溶媒における水濃度が40質量%以下となる条件下に行なうことが、混合溶媒中の水濃度を低く抑えながら、凝析を効率よく行うために好ましい。
また、本発明の製造方法は、前記凝析せしめた疎水化無機酸化物粒子をろ過により分離することが好ましい。
更に、上記分離された疎水化無機酸化物粒子を乾燥する工程を含み、上記乾燥を100℃〜400℃で行なうことが、凝析剤として使用した有機酸又はその塩由来の化合物を、疎水化無機酸化物粒子の疎水性を損なうことなく、効果的に除去することができ好ましい。
本発明の方法によれば、前記疎水化無機酸化物粒子の分散液中の疎水化無機酸化物粒子の凝析を、従来の凝析剤を使用した場合に比べて、極めて少量の水で凝析剤の効果が発現できため、大容量の反応容器を必要とせず、良好な凝析を行うことができ、従来の凝析剤を使用した場合に比べ、ろ過速度が速くなり、生産性も向上する。また、得られる疎水化無機酸化物粒子が、強固に凝集することなく、流動性に優れる表面処理された無機酸化物粒子を得ることができる。
また、これらの凝析剤は沸点が100℃程度であるため、加熱により容易に除去することができる。更に驚くべきことに、前記炭酸塩を使用した場合に比べ、これらの凝析剤は乾燥時の該粒子凝集体中での存在時間が長いことに起因し、粒子間の毛管凝縮を抑制して、乾燥後の無機酸化物粒子の解砕性がより一層優れるという特徴をも有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、先ず、塩基性触媒下に、ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の生成、即ち、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応を実施し、無機酸化物粒子を含む分散液を得る。
ゾル−ゲル法によって無機酸化物粒子を含有する分散液を製造する方法は公知であり、本発明においても、この工程は従来技術と特に変わることなく実施することができる。しかし、後述するように、表面処理剤を使用した疎水化処理を行うため、溶媒として、水と有機溶媒との混合溶媒を使用し、適当な塩基性触媒の存在下で原料である金属アルコキシドを、加水分解及び重縮合させる方法が好適に採用される。
勿論、ゾル−ゲル法に使用する溶媒として、水のみを使用して、無機酸化物粒子を生成せしめることも可能である。この場合、表面処理剤による疎水化処理において、分散液に有機溶媒を添加し、液組成を好適な混合溶媒組成となるように調整すればよい。
<金属アルコキシド>
本発明において用いられる金属アルコキシドは、特に限定されることなく、製造する無機酸化物粒子に応じて、適宜に選択して使用することができる。
具体例としては、チタンアルコキシドとして、例えばチタンテトライソポキシド、チタンテトラn−ブトキシド等を;
ジルコニウムアルコキシドとして、例えばジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド等を;
ホウ素のアルコキシドとして、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等を;
アルミニウムアルコキシドとして、例えばアルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等を;
ケイ素のアルコキシド(アルコキシシラン)として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を;
ケイ素以外の4族元素のアルコキシドとして、例えば、ゲルマニウム(IV)イソプロポキシド、ゲルマニウム(IV)ブトキシド等を、
それぞれ挙げることができる。
上記の金属アルコキシドのうち、チタンテトライソプロポキシキシド、チタンテトラn−ブトキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラブトキシシランが好ましく、上記のうちでもチタンテトライソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランは、工業的に入手が容易に可能であること及び取り扱いが容易であることからより好ましく、特にメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
本発明の製造方法において、上記のような金属アルコキシドは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用しても良い。2種以上を併用する場合は、特に、アルコキシシランと、アルコキシシラン以外の金属アルコキシドとを混合して使用することにより、シリカを含有する複合無機酸化物粒子を得ることができる。
また、アルコキシシランの加水分解及び重縮合により一定径を有するシリカ粒子を得た後、アルコキシシラン以外の金属アルコキシドを添加して更に加水分解及び重縮合を行なうことも可能であり、その場合、シリカからなるコア粒子の表面にその他の金属酸化物が結合した複合無機酸化物粒子を得ることができる。
金属アルコキシドが、常温常圧で固体である場合には、そのまま使用することも可能であるし、後述する有機溶媒で希釈して使用することも可能である。金属アルコキシドが、常温常圧で固体である場合には、有機溶媒中に溶解又は分散して使用することができる。
<塩基性触媒>
ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の製造においては、適当な触媒が好ましく使用される。ゾル−ゲル法においては、酸性触媒が用いられる場合もあるが、粒子径の揃った球状粒子を得ることが容易であるという点で、本発明では塩基性触媒を使用する。ただし、ゾル−ゲル法では先ず酸性触媒下で予備加水分解を行なった後に粒子成長を行なわせることも多いが、本発明では上記のように予備加水分解時に酸性触媒を排除するものではなく、粒子成長時に塩基性触媒を用いる方法であればよい。
本発明において用いられる塩基性触媒としては、ゾル−ゲル法の反応による無機酸化物粒子の製造に用いられる公知の塩基性触媒であれば、これを好適に使用することができる。このような塩基性触媒としては、例えば、アミン化合物、水酸化アルカリ金属等を挙げることができる。特に、目的とする無機酸化物粒子を構成する金属元素以外の金属を含有する不純物量が少なく、高純度の無機酸化物粒子が得られるという観点から、アミン化合物を用いることが好ましい。このようなアミン化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、等を挙げることができる。これらのうち、揮発性が高く除去し易いこと、ゾル−ゲル法の反応速度が速いこと等から、アンモニアを使用することが好ましい。
上記塩基性触媒は、単独で使用することも、或いは2種以上を使用することも可能である。
上記塩基性触媒は、工業的に入手可能なものを、そのまま(市販されている形態のまま)使用することも可能であるし、例えばアンモニア水等のように、溶媒で希釈して使用することも可能である。特に、反応の進行速度を制御し易い点で、塩基性触媒を水に希釈し、必要に応じて濃度を調整した水溶液として使用することが好ましい。塩基性触媒として水溶液を使用する場合の濃度は、工業的に入手が容易であること、濃度調整が容易であること等から、1〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
塩基性触媒の使用割合は、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すれば良い。塩基性触媒の使用割合としては、反応液中における塩基性触媒の存在量が、使用する金属アルコキシドの質量に対して、0.1〜60質量%とするのが好ましく、0.5から40質量%の範囲で使用することがより好ましい。
<溶媒>
本発明において、上記金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応に使用される溶媒としては、水を単独で使用することもできるが、得られる無機酸化物粒子の表面処理剤による疎水化処理を続けて実施する際の処理を均一に行うため、水と有機溶媒との混合溶媒が好適に使用される。
上記有機溶媒は、水に対して相溶性を有するものであれば、特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒が好適である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
そのうち、アルコールは、ゾル−ゲル法の反応時に副生するものであるため、上記のうちメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノ−ル等のアルコールを使用することが、反応後の無機酸化物粒子分散液中への多種の有機成分が存在することを防ぎ、加熱によって容易に除去可能である点等から特に好ましい。
前記ゾル−ゲル法において、混合溶媒を使用する場合、混合溶媒中の水濃度は、目的とする無機酸化物粒子の粒径及びゾル−ゲル法による反応後の無機酸化物粒子を含む分散液における無機酸化物粒子の濃度、更には、後で詳述するが、該分散液への表面処理剤の均一な分散ができる濃度を適宜決定すれば良い。
また、水の使用量は、原料の金属アルコキシドに対して、少なすぎると反応速度が遅くなり、逆に多すぎると乾燥(溶媒除去)の際に長時間を要する。そのため、好適には、金属アルコキシドに対して、24〜55質量%の範囲とすることが好ましく、特に、35〜45質量%の範囲とすることがより好ましい。
本発明において、水は、反応器においてゾル−ゲル反応を行う際に上記水の使用量を満足していればよく、予め反応器に存在させておいてもよいし、その後、原料の金属アルコキシドを連続的に反応器に供給する場合には、その量に合わせて追加供給してもよい。更には、反応器に添加する他の成分、例えば、塩基性触媒と共にその一部を添加してもよい。
<反応条件>
本発明における加水分解及び重縮合反応、即ちゾル−ゲル法は、前記したように塩基性触媒の存在下で行なわれる。反応条件としては公知の条件を採用することができ、金属アルコキシドと塩基性触媒との接触方法も特に制限されず、反応装置の構成や反応スケールを勘案して適宜決定すればよい。ゾル−ゲル法の反応方法の一例を具体的に示すと、以下の如くである。反応器に水又は水と有機溶媒との混合溶媒、及び、塩基性触媒を仕込み、これに金属アルコキシド又は金属アルコキシドを有機溶媒で希釈した溶液と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒子径の揃った球状の無機酸化物粒子を、効率よく且つ再現性よく製造することができ、好ましい。この場合、例えば、先に金属アルコキシドの一部を添加した後に、残りの金属アルコキシドと塩基性触媒とを同時に添加することが可能である。
また、2種以上の金属アルコキシドを併用する場合、各々を混合して同時に添加してもよく、或いは各々を順次に添加することも可能である。特に、シリカを含有する複合無機酸化物粒子の製造を行なう際、先ず1種の金属アルコキシドを用いて予備加水分解、重縮合反応を行ない、その後に他の種類の金属アルコキシドを添加して反応を継続することにより、複合無機酸化物粒子を製造することができる。例えばアルコキシシランをメタノール中において塩酸の存在下に加水分解、重縮合反応を行ない、続いてチタンテトライソプロポキシド等のアルコキシシラン以外の金属アルコキシドを添加して反応を継続することにより、シリカからなるコアとチタニアからなるシェルとを有する複合無機酸化物粒子を製造することができる。
金属アルコキシド及び塩基性触媒の添加は、反応液に液中滴下することが好ましい。ここで、液中滴下とは、上記の原料を反応液中に滴下する際、滴下口の先端が反応液中に浸されていることをいう滴下口先端の位置は、液中にあれば特に制限されないが、攪拌羽根の近傍等の、攪拌が十分に行なわれ、滴下物が反応液に速やかに拡散することのできる位置とすることが望ましい。
金属アルコキシドと塩基性触媒の添加時間(添加開始から添加終了までの時間)は、粒度分布幅の狭い粒子を製造するうえで非常に重要である。この時間が短すぎると粒度分布幅が広くなる傾向にあり、逆に長すぎると安定した粒子成長ができない。従って、粒度分布幅が狭く、粒径が揃った無機酸化物粒子を得るには、粒子が成長するのに適した添加時間を選択する必要がある。このような観点から、上記添加時間としては、所望の粒径が0.1μmの場合、0.2〜8時間の範囲とすることが好ましい。
反応温度は、ゾル−ゲル法の反応が速やかに進行する温度であれば、特に制限されず、目的とする無機酸化物粒子の粒径に応じて適宜選択すればよい。メジアン径0.01〜5μmの無機酸化物粒子を得る場合、反応温度としては、0〜60℃の範囲で適宜選択すればよい。ゾル−ゲル法の反応を確実に進行させるために、金属アルコキシド及び塩基性触媒の滴下が終了した後、熟成を行なってもよい。熟成温度としては反応温度と同程度の温度、0〜60℃とすることが好ましく、熟成時間としては0.25〜5時間とすることが好ましい。所望の粒径の無機酸化物粒子を得るために、熟成後に再度金属アルコキシド及び塩基性触媒を添加し、無機酸化物粒子の粒径を成長させる等の手法を用いてもよい。
<無機酸化物粒子の分散液>
本発明において、上述したゾル−ゲル法によって得られる分散液には、原料として使用した金属アルコキシドの元素に対応する無機酸化物粒子が含有されている。用いた金属アルコキシドの種類、量及び添加順に応じて、如何なる組成の無機酸化物粒子が得られるかは、当業者には自明であろう。
このような無機酸化物のうち、ケイ素、チタン、ジルコニウム又はアルミニウムの酸化物、及びこれらの元素の複数を含有する複合無機酸化物が好ましい。特に、表面処理剤との反応性がよく、トナー用外添剤に適用したときの物性に優れるとの観点から、特にシリカ、又はケイ素と他の金属元素とを含有する複合無機酸化物が好ましく、更にはシリカが特に好ましい。
一般に、ゾル−ゲル法の反応により得られる無機酸化物粒子の粒径は、メジアン径が0.01〜5μmであるが、本発明の製造方法は、無機酸化物粒子の粒径に関わらず適用することができる。メジアン径が例えば1μm以下の、粒径が小さな無機酸化物粒子は、通常、固液分離で採用するろ過による回収は困難である。本発明の方法を、メジアン径が0.01〜1μmと、特に粒径が小さな無機酸化物粒子の製造に適用すると、小粒径の無機酸化物粒子を簡易に回収することができ、好適である。
ゾル−ゲル法の反応により製造される無機酸化物粒子は、粒度分布幅が狭いことが特徴である。前記の製造方法により得られる無機酸化物粒子の粒度分布幅は非常に狭く、例えば粒径分布の広がりを示す指標の1つである変動係数として40%以下とすることができる。
しかしながら、本発明の製造方法は、分散液中に含有される無機酸化物粒子の粒径分布幅に関わらず適用することができる。
<疎水化処理>
本発明において、前記ゾル−ゲル法によって得られた無機酸化物粒子は、表面処理剤と接触せしめて疎水化処理し、疎水化無機酸化物粒子を得る。上記表面処理剤としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の表面処理剤が好適に使用される。
また、上記疎水化処理は、無機酸化物粒子を含む分散液において、表面処理剤を効果的に分散させるため、分散液を構成する溶媒として、水と有機溶媒との混合溶媒が使用される。かかる混合溶媒の組成、即ち、水濃度は、混合溶媒中に表面処理剤を均一に分散せしめ、且つ、疎水化処理を効率的に行うために、混合溶媒における水濃度が3〜20質量%、特に、5〜15質量%の範囲となるように調整することが好ましい。
上記混合溶媒の水濃度の調整は、前記ゾル−ゲル反応により得られる反応液の溶媒組成を調整して実施することが効率的である。即ち、上記反応液を構成する混合溶媒の組成に、水、或いは有機溶媒を添加して水濃度を前記範囲に調整することが好ましい。かかる調整のために使用する有機溶剤は、前記例示した有機溶剤が特に制限無く使用される。
勿論、ゾル−ゲル反応を終了した時点で、混合溶媒の水濃度が前記好適な範囲となっている分散液を使用する場合は、特に上記調整を行う必要は無いが、行っても構わない。
本発明において、前記シリコーンオイルとしては、通常、無機酸化物粒子の表面処理に用いられる公知のシリコーンオイルを、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理無機酸化物粒子の性能に応じて適宜選択して使用すればよい。
シリコーンオイルの具体例としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
上記のうち特に、ジメチルシリコーンオイルを使用することは、無機酸化物粒子の疎水化を効率的に高めることができる点で好ましい。
シリコーンオイルの使用量は特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜80質量部とすることが好ましく、0.1〜60質量部とすることがより好ましい。
上記シランカップリング剤としては、表面処理に通常用いられている公知のシランカップリング剤を、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理無機酸化物粒子の性能に応じて適宜選択して使用すればよい。
シランカップリング剤の具体例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−マタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン又はデシルトリメトキシシランを使用することにより、無機酸化物粒子の疎水化を効率的に高めることができる。
シランカップリング剤の使用量は特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜80質量部が好ましく、0.1〜40質量部とすることがより好ましい。
上記シラザンとしては、表面処理に通常用いられる公知のシラザンを、特に制限なく使用することが可能である。シラザンのうち、反応性の良さ、取り扱いの良さ等から、ヘキサメチルジシラザンの使用が好ましい。
シラザンの使用量は、特に制限されないが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎると後処理が煩雑となるため、使用する無機酸化物粒子100質量部に対して、0.05〜150質量部が好ましく、1〜120質量部とすることがより好ましい。
上記の表面処理剤は、単独で1種のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の表面処理剤のうち、得られる表面処理無機酸化物粒子の流動性がよいことから、シランカップリング剤及びシラザンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましく、シラザンを使用することがより好ましい。
表面処理剤の添加方法は特に制限されず、常温、常圧で液体のものであれば、分散液中に滴下してもよいし、シャワーしてもよい。操作上、簡便であることから滴下が好ましい。
上記表面処理剤の添加後、所定の時間表面処理剤と無機酸化物粒子とを接触させる時間(処理時間)、その際の分散液の温度(処理温度)は、特に制限はなく、使用する表面処理剤の反応性を考慮して決定すればよい。例えば、処理時間は、0.1〜48時間とすることが好ましく、0.5〜30時間とすることがより好ましい。また、疎水化処理における処理時間は、その一部を後述する凝析剤添加後の熟成時間と兼ねることができる。この場合、無機酸化物粒子の疎水化の進行と凝集体の成長を同時に行うことができ、生産性が向上する。
<凝析>
本発明の製造方法は、上述した方法で得られた疎水化無機酸化物粒子を含む分散液に、有機酸、具体的には、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸など、又はその塩、代表的には、アンモニウム塩よりなる凝析剤を添加することを最大の特徴とする。
上記方法を実施することにより、分散液中で、疎水化無機酸化物粒子の弱い凝集体が形成される。この凝集体は、分散液中で凝析剤、又はその誘導体により安定に存在しており、ろ過によって容易に固液分離することができる。
尚、凝析剤は、前記例示したものを一種使用するのが一般的であるが、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
従来、前記表面処理された疎水化無機酸化物粒子を含む分散液中へ炭酸塩を添加して、該粒子の凝集体を形成し、ろ過によって固液分離する技術は公知であるが、凝析剤と共に添加する水の量を多くする必要があり、大容量の反応器を必要とする。それに対して、本発明で使用される上記の凝析剤は、ごく少量の水の使用で、極めて優れた凝析効果を発揮する。
また、前記特定の凝析剤を用いて得られる表面処理された無機酸化物粒子は、炭酸塩を凝析剤として用いて得られる粒子に比べ、解砕性、流動性に優れるという利点がある。
この理由としては、有機酸の沸点は100℃強であり、炭酸塩の分解温度よりも高いことが挙げられる。乾燥時、炭酸塩は約60℃で分解して無くなるが、その時、水がまだ蒸発せずに無機酸化物粒子凝集体中に存在しており、毛管凝縮が生じやすい状況にある。しかし、本発明で使用される上記の凝析剤の場合、沸点が100℃以上であるため、水が蒸発した後も、該粒子凝集体中に存在し、粒子間の強固な凝集を抑制しているものと考えられる。
本発明において、凝析剤の添加量は、疎水化無機酸化物粒子100質量部に対して、0.5〜25質量部、特に、2.5〜10質量部の割合となるような添加量がより好ましい。上記添加量が0.5質量部未満の場合、無機酸化物粒子同士が凝集し難く、ろ過による回収が困難となる傾向がある。また、添加量が25質量部より多いと、一度凝集した無機酸化物粒子が再分散し易くなり、ろ過による回収は困難となる傾向がある。
本発明において、凝析剤の添加は、固体或いは液体状の有機酸又はその塩をそのまま添加してもよいが、水に溶解して添加する態様が、凝析反応を効率的に行うために好ましい。その場合、前記したように、本発明で使用する凝析剤は、少量の水でも十分な効果を発揮するため、上記希釈水の量は、少ないほど好ましい。具体的には、凝析剤の濃度が、20質量%以上の水溶液として添加することが好ましい。
また、凝析剤添加後の分散液において、混合溶媒中の水濃度は、40質量%以下、特に、30質量%以下であることが、凝析後のろ液量を減少し、排水処理等の負担を軽減でき、工業的実施において有利である。本発明においては、前記特定の凝析剤を使用することによって、かかる水濃度が低い場合でも、凝析効果が十分発揮され、良好なろ過が可能である。しかし、水濃度があまりにも低いと、凝析剤の効果が発揮され難くなるので、かかる水濃度の下限は、5質量%、特に、10質量%が好ましい。
無機酸化物粒子分散液中へ凝析剤を添加する際の温度は特に制限されないが、無機酸化物粒子製造時の好ましい温度と同じ温度範囲で実施することができる。
<熟成>
本発明において、凝析剤の添加後熟成を行なうことが、ろ過性を向上させる上で好ましい。即ち、ろ過を行なう前に、撹拌下に暫く間隔をおくことが好ましい。この熟成時間を設けることにより、酸化物粒子凝集体の形成が促進され、ろ過が迅速に実施可能となる。一方、熟成時間が短いと凝集体の成長が不十分となることがある。ここで熟成時間としては、0.5〜48時間が好ましく、特に1〜24時間が好ましい。熟成の際の分散液の温度は特に制限されず、凝析剤の添加を行なった際と同じ温度で実施すればよい。
<ろ過>
本発明の疎水化無機酸化物粒子の製造方法において、上述の熟成を必要に応じて行なった後、ろ過によって無機酸化物粒子凝集体を固液分離することが好ましい。ろ過の方法は特に制限されず、減圧ろ過や遠心ろ過、加圧ろ過等、公知の装置を選択すればよい。
ろ過で使用する濾紙やフィルター、濾布等(以下、濾紙等という)は、工業的に入手可能なものであれば特に制限されることはなく、使用するろ過装置に応じて適宜選択すればよい。また、濾紙等の孔径は一次粒子よりはるかに大きくてよく、例えば、メジアン径0.01〜5μmの無機酸化物粒子であれば、孔径5〜20μm程度のもので十分である。これは無機酸化物粒子凝集体が5〜20μm以上の大きさにまで成長していることを意味しており、有機酸の凝析剤としての効果が大きいことを示している。表面処理された無機酸化物粒子は、ろ過により無機酸化物粒子ケークとして回収される。
<乾燥>
本発明において、表面処理された無機酸化物粒子を乾燥する方法は、凝析剤である有機酸が除去でき、且つ無機酸化物粒子表面と結合した表面処理剤由来の官能基が分解しない温度であれば、特に制限はされず、送風乾燥や減圧乾燥等公知の方法を選択することが可能である。例えば、酢酸等の有機酸は沸点が100℃程度であり、乾燥工程で容易に除去することができるため、乾燥後の無機酸化物粒子中には不純物は存在せず、極めて純度の高い表面処理された無機酸化物粒子が得ることができる。一方、乾燥温度の上限は、無機酸化物粒子表面と結合した表面処理剤由来の官能基が分解しない温度であれば、特に制限されない。従って、本発明において、乾燥温度は、100〜400℃、特に、100〜300℃の範囲より、好適な温度を適宜設定すればよい。
また、前記疎水化無機酸化物粒子の乾燥において、乾燥時間は特に制限されないが、2〜48時間にすることにより、十分乾燥した表面処理された無機酸化物粒子を得ることができる。
本発明で使用する凝析剤は、公知の凝析剤に比べ、沸点が高く、該酸化物粒子凝集体中での存在時間が長いことにより、粒子間の毛管凝縮を抑制し、解砕性に優れる表面処理された無機酸化物粒子を得ることができる。中でも、減圧乾燥は毛管凝縮を抑制し、解砕性の優れた粒子を得るのに好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明における諸物性の測定方法は、以下の通りである。
(1)無機酸化物粒子のメジアン径の測定
無機酸化物粒子のメジアン径の測定は、走査型電子顕微鏡(以下、SEM)を使用し、画像解析法により実施した。ゾル−ゲル反応終了後に得られた分散液を、純水で希釈し、シリコンウェハー上に滴下して乾燥させることで、SEM観察用のサンプルを調整した。SEM観察は、適宜シリカの撮影場所を変更して行なった。画像解析は、メジアン径の値が収束するまで実施し、値は体積基準に換算して記載した。また、変動係数は下記式より算出した。変動係数が小さいほど、粒度分布幅が狭いことを示す。
変動係数(%)=(粒子径の標準偏差(μm)/平均粒子径(μm))×100
(2)疎水度の測定
無機酸化物粒子0.2gを、50mLの水が入った容量250mLのビーカーに加え、マグネチックスターラーにより攪拌した。ここに、ビュレットを使用してメタノールを加え、試料粉末の全量が溶液中に分散するまで滴定した。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量百分率(%)を疎水度とした。
(3)圧壊強度の測定
無機酸化物粒子の解砕性を評価する指標として、圧壊強度測定を実施した。
上述の方法で得られた無機酸化物粒子を目開き1.4mm、続いて0.71mmの篩にかけ、目開き0.71mmの篩に残った無機酸化物粒子を測定に使用した。
無機酸化物粒子を上皿天秤に載せ、金属製のヘラで荷重をかけ、粒子が解砕された時の荷重を測定した。測定は60回実施し、その平均値を圧壊強度値とした。値が小さいほど、解砕性に優れることを示す。
(4)凝集度の測定
無機酸化物粒子の流動性は、凝集度として評価することができる。凝集度の値が低いほど流動性に優れる。この凝集度は、ホソカワミクロン(株)製のパウダテスタPT−Rを使用し、目開き355μm、250μm、150μmの篩をこの順に重ね、最上の篩に無機酸化物粒子5g載せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に15秒間振動させて、各篩に残存した粒子の質量を計測し、下記式に従って求めた。
Figure 0005968015
(5)金属元素成分量の測定
無機酸化物粒子の約2gを精秤して白金皿に移し、濃硝酸10mL及び沸酸10mLをこの順に加えた。これを200℃に設定したホットプレート上に載せて加熱し内容物を乾固した。室温まで冷却後、更に濃硝酸2mLを加え、200℃に設定したホットプレート上に載せて加熱して溶解した。室温まで冷却後、白金皿の内容物である溶液を容量50mLのメスフラスコに移し、超純水で希釈して標線に合わせた。これを試料として、ICP発光分析装置((株)島津製作所製「ICPS−1000V」)により、金属元素成分量を測定した。
(6)ろ過速度
ろ過速度(g/分)は、無機酸化物粒子の分散液を、125mmのろ過器に、捕集粒子径5μmのろ紙を使用し、減圧ろ過(圧力:1.5kPa)の条件でろ過した際に、無機酸化物粒子200g(W)を回収するまでに要した時間(t:分)を測定し、時間あたりの処理量(W/t)として求めた。
実施例1
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール1,040g及び塩基性触媒として15質量%アンモニア水150gを仕込み、35℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、混合溶媒中の水濃度は8.6質量%、分散液中のシリカの含有率は20質量%(シリカ量は766g)である。
滴下終了後、0.5時間熟成させた後、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン230g(シリカ100質量部に対して30質量部)を添加した。添加後、35℃で1時間攪拌を行ない、シリカ粒子の表面処理を行なった。
上記の方法で得られた疎水化シリカ粒子分散液に、水650gを添加し、混合溶媒中の水濃度を25質量%に調整し、酢酸3.8g(シリカ100質量部に対して0.5質量部)を添加して2時間攪拌した。得られた酢酸添加後のシリカ粒子分散液を、125mmのろ過器に捕集粒子径5μmのろ紙を使用し、減圧ろ過によりケークとして回収した。この時のろ過速度は15g/分であった。次いで、このケークを100℃において24時間減圧乾燥を行ない疎水化シリカ粒子よりなるシリカ粉末を得た。
本実施例における分散液及びシリカ粒子について、上記の方法に従って各種の測定を実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例2
酢酸添加後の熟成時間を、24時間とした以外は、実施例1と同様に実施した。ろ過速度は45g/分であり、疎水化度も実施例1より上昇した。このことより、熟成時間を長くすることにより、疎水化が進行していることと凝集体が成長していることが分かる。
各種の測定結果を第1表に示した。
実施例3
シリカケークの乾燥温度を300℃に変更した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果は第1表に示した。
実施例4
シリカケークの乾燥温度を300℃に変更した以外は実施例2と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
実施例5
酢酸に代えてギ酸を使用した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
尚、この時のろ過速度は16g/分であった。
実施例6
酢酸に代えてシュウ酸を使用した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
尚、この時のろ過速度は14g/分であった。
比較例1
酢酸に代えて10質量%炭酸水素アンモニウム水溶液722gを使用した以外は実施例1と同様に実施した(混合溶媒中の水濃度は25質量%である)。
各種の測定結果を第1表に示した。
この時のろ過速度は8g/分であり、実施例1と同じ水濃度の場合、ろ過性に顕著な違いがみられた。また、乾燥後に得られるシリカ粒子の解砕性、流動性も実施例1で得られたシリカより劣ることが理解できる。
尚、上記比較例1の方法において、炭酸水素アンモニウムの効果を、実施例1と同等の程度に発揮するためには、水濃度が40質量%を超え、ろ過後に大量の排水処理を必要とした。
Figure 0005968015

Claims (4)

  1. 金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法により得られる無機酸化物粒子を、水と有機溶媒との混合溶媒中で表面処理剤と接触させて疎水化無機酸化物粒子を得た後、上記混合溶媒より疎水化無機粒子を分離する疎水化無機酸化物粒子の製造方法において、上記疎水化無機酸化物粒子を含む分散液中に、有機酸又はその塩からなる凝析剤を添加して前記疎水化無機酸化物粒子を凝析せしめる工程を含むことを特徴とする疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記凝析剤の添加を、前記分散液を構成する混合溶媒における水濃度が40質量%以下となる条件下に行なう、請求項1に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記凝析せしめた疎水化無機酸化物粒子の分離をろ過により行う、請求項1又は2に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
  4. 分離された疎水化無機酸化物粒子を乾燥する工程を含み、上記乾燥を100℃〜400℃で行なう、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
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