JP5968015B2 - 疎水化無機酸化物粒子の製造方法 - Google Patents
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本発明において用いられる金属アルコキシドは、特に限定されることなく、製造する無機酸化物粒子に応じて、適宜に選択して使用することができる。
ジルコニウムアルコキシドとして、例えばジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド等を;
ホウ素のアルコキシドとして、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等を;
アルミニウムアルコキシドとして、例えばアルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等を;
ケイ素のアルコキシド(アルコキシシラン)として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を;
ケイ素以外の4族元素のアルコキシドとして、例えば、ゲルマニウム(IV)イソプロポキシド、ゲルマニウム(IV)ブトキシド等を、
それぞれ挙げることができる。
ゾル−ゲル法による無機酸化物粒子の製造においては、適当な触媒が好ましく使用される。ゾル−ゲル法においては、酸性触媒が用いられる場合もあるが、粒子径の揃った球状粒子を得ることが容易であるという点で、本発明では塩基性触媒を使用する。ただし、ゾル−ゲル法では先ず酸性触媒下で予備加水分解を行なった後に粒子成長を行なわせることも多いが、本発明では上記のように予備加水分解時に酸性触媒を排除するものではなく、粒子成長時に塩基性触媒を用いる方法であればよい。
本発明において、上記金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応に使用される溶媒としては、水を単独で使用することもできるが、得られる無機酸化物粒子の表面処理剤による疎水化処理を続けて実施する際の処理を均一に行うため、水と有機溶媒との混合溶媒が好適に使用される。
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
本発明における加水分解及び重縮合反応、即ちゾル−ゲル法は、前記したように塩基性触媒の存在下で行なわれる。反応条件としては公知の条件を採用することができ、金属アルコキシドと塩基性触媒との接触方法も特に制限されず、反応装置の構成や反応スケールを勘案して適宜決定すればよい。ゾル−ゲル法の反応方法の一例を具体的に示すと、以下の如くである。反応器に水又は水と有機溶媒との混合溶媒、及び、塩基性触媒を仕込み、これに金属アルコキシド又は金属アルコキシドを有機溶媒で希釈した溶液と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒子径の揃った球状の無機酸化物粒子を、効率よく且つ再現性よく製造することができ、好ましい。この場合、例えば、先に金属アルコキシドの一部を添加した後に、残りの金属アルコキシドと塩基性触媒とを同時に添加することが可能である。
本発明において、上述したゾル−ゲル法によって得られる分散液には、原料として使用した金属アルコキシドの元素に対応する無機酸化物粒子が含有されている。用いた金属アルコキシドの種類、量及び添加順に応じて、如何なる組成の無機酸化物粒子が得られるかは、当業者には自明であろう。
本発明において、前記ゾル−ゲル法によって得られた無機酸化物粒子は、表面処理剤と接触せしめて疎水化処理し、疎水化無機酸化物粒子を得る。上記表面処理剤としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の表面処理剤が好適に使用される。
本発明の製造方法は、上述した方法で得られた疎水化無機酸化物粒子を含む分散液に、有機酸、具体的には、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸など、又はその塩、代表的には、アンモニウム塩よりなる凝析剤を添加することを最大の特徴とする。
本発明において、凝析剤の添加後熟成を行なうことが、ろ過性を向上させる上で好ましい。即ち、ろ過を行なう前に、撹拌下に暫く間隔をおくことが好ましい。この熟成時間を設けることにより、酸化物粒子凝集体の形成が促進され、ろ過が迅速に実施可能となる。一方、熟成時間が短いと凝集体の成長が不十分となることがある。ここで熟成時間としては、0.5〜48時間が好ましく、特に1〜24時間が好ましい。熟成の際の分散液の温度は特に制限されず、凝析剤の添加を行なった際と同じ温度で実施すればよい。
本発明の疎水化無機酸化物粒子の製造方法において、上述の熟成を必要に応じて行なった後、ろ過によって無機酸化物粒子凝集体を固液分離することが好ましい。ろ過の方法は特に制限されず、減圧ろ過や遠心ろ過、加圧ろ過等、公知の装置を選択すればよい。
本発明において、表面処理された無機酸化物粒子を乾燥する方法は、凝析剤である有機酸が除去でき、且つ無機酸化物粒子表面と結合した表面処理剤由来の官能基が分解しない温度であれば、特に制限はされず、送風乾燥や減圧乾燥等公知の方法を選択することが可能である。例えば、酢酸等の有機酸は沸点が100℃程度であり、乾燥工程で容易に除去することができるため、乾燥後の無機酸化物粒子中には不純物は存在せず、極めて純度の高い表面処理された無機酸化物粒子が得ることができる。一方、乾燥温度の上限は、無機酸化物粒子表面と結合した表面処理剤由来の官能基が分解しない温度であれば、特に制限されない。従って、本発明において、乾燥温度は、100〜400℃、特に、100〜300℃の範囲より、好適な温度を適宜設定すればよい。
無機酸化物粒子のメジアン径の測定は、走査型電子顕微鏡(以下、SEM)を使用し、画像解析法により実施した。ゾル−ゲル反応終了後に得られた分散液を、純水で希釈し、シリコンウェハー上に滴下して乾燥させることで、SEM観察用のサンプルを調整した。SEM観察は、適宜シリカの撮影場所を変更して行なった。画像解析は、メジアン径の値が収束するまで実施し、値は体積基準に換算して記載した。また、変動係数は下記式より算出した。変動係数が小さいほど、粒度分布幅が狭いことを示す。
(2)疎水度の測定
無機酸化物粒子0.2gを、50mLの水が入った容量250mLのビーカーに加え、マグネチックスターラーにより攪拌した。ここに、ビュレットを使用してメタノールを加え、試料粉末の全量が溶液中に分散するまで滴定した。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量百分率(%)を疎水度とした。
無機酸化物粒子の解砕性を評価する指標として、圧壊強度測定を実施した。
上述の方法で得られた無機酸化物粒子を目開き1.4mm、続いて0.71mmの篩にかけ、目開き0.71mmの篩に残った無機酸化物粒子を測定に使用した。
無機酸化物粒子の流動性は、凝集度として評価することができる。凝集度の値が低いほど流動性に優れる。この凝集度は、ホソカワミクロン(株)製のパウダテスタPT−Rを使用し、目開き355μm、250μm、150μmの篩をこの順に重ね、最上の篩に無機酸化物粒子5g載せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に15秒間振動させて、各篩に残存した粒子の質量を計測し、下記式に従って求めた。
無機酸化物粒子の約2gを精秤して白金皿に移し、濃硝酸10mL及び沸酸10mLをこの順に加えた。これを200℃に設定したホットプレート上に載せて加熱し内容物を乾固した。室温まで冷却後、更に濃硝酸2mLを加え、200℃に設定したホットプレート上に載せて加熱して溶解した。室温まで冷却後、白金皿の内容物である溶液を容量50mLのメスフラスコに移し、超純水で希釈して標線に合わせた。これを試料として、ICP発光分析装置((株)島津製作所製「ICPS−1000V」)により、金属元素成分量を測定した。
ろ過速度(g/分)は、無機酸化物粒子の分散液を、125mmのろ過器に、捕集粒子径5μmのろ紙を使用し、減圧ろ過(圧力:1.5kPa)の条件でろ過した際に、無機酸化物粒子200g(W)を回収するまでに要した時間(t:分)を測定し、時間あたりの処理量(W/t)として求めた。
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール1,040g及び塩基性触媒として15質量%アンモニア水150gを仕込み、35℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、混合溶媒中の水濃度は8.6質量%、分散液中のシリカの含有率は20質量%(シリカ量は766g)である。
酢酸添加後の熟成時間を、24時間とした以外は、実施例1と同様に実施した。ろ過速度は45g/分であり、疎水化度も実施例1より上昇した。このことより、熟成時間を長くすることにより、疎水化が進行していることと凝集体が成長していることが分かる。
各種の測定結果を第1表に示した。
シリカケークの乾燥温度を300℃に変更した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果は第1表に示した。
シリカケークの乾燥温度を300℃に変更した以外は実施例2と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
酢酸に代えてギ酸を使用した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
酢酸に代えてシュウ酸を使用した以外は実施例1と同様に実施し、各種の測定結果を第1表に示した。
酢酸に代えて10質量%炭酸水素アンモニウム水溶液722gを使用した以外は実施例1と同様に実施した(混合溶媒中の水濃度は25質量%である)。
Claims (4)
- 金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法により得られる無機酸化物粒子を、水と有機溶媒との混合溶媒中で表面処理剤と接触させて疎水化無機酸化物粒子を得た後、上記混合溶媒より疎水化無機粒子を分離する疎水化無機酸化物粒子の製造方法において、上記疎水化無機酸化物粒子を含む分散液中に、有機酸又はその塩からなる凝析剤を添加して前記疎水化無機酸化物粒子を凝析せしめる工程を含むことを特徴とする疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記凝析剤の添加を、前記分散液を構成する混合溶媒における水濃度が40質量%以下となる条件下に行なう、請求項1に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
- 前記凝析せしめた疎水化無機酸化物粒子の分離をろ過により行う、請求項1又は2に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
- 分離された疎水化無機酸化物粒子を乾燥する工程を含み、上記乾燥を100℃〜400℃で行なう、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疎水化無機酸化物粒子の製造方法。
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