JP6147554B2 - 疎水性無機酸化物粉末及びその製造方法 - Google Patents
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(1)疎水化度が40〜70容量%
(2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100
また、上記方法によれば、圧壊強度測定法における該疎水性無機酸化物粉末の解砕強度を0.01N以下とすることができる。メジアン径6.1μmのスチレン−アクリル樹脂粒子20gに前記疎水性無機酸化物粉末を0.1g添加した際の、上記スチレン−アクリル樹脂粒子への前記無機酸化物粒子の被覆率を4%以上とすることもできる。
(1)疎水化度が40〜70容量%
(2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100
本発明の無機酸化物としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの周期表第4族金属、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの周期表第13族金属、ゲルマニウム、スズなどの周期表第14族金属等の金属酸化物、シリカ(ケイ素の酸化物)、及びこれら元素で構成される複合酸化物等が挙げられる。
本発明の疎水性無機酸化物粉末における上記変動係数は35%以下であり、好ましくは30%以下であり、更に好ましくは25%以下である。即ち、本発明の疎水性無機酸化物 粉末は、上記超音波分散のような僅かな物理的印加により、容易に微細な粒子に解砕され、凝集粒子が少ないことを第一の特徴とする。
この測定は60回繰り返し実施し、その平均値を解砕強度とする。この解砕強度の値が小さいほど、粒子が解れ易いこと示し、本発明の疎水性無機酸化物粉末の解砕強度は、0.01N以下であることが好ましい。
続いて上記本発明の疎水性無機酸化物粉末の製造方法について述べる。
本発明において用いられる金属アルコキシドは、特に限定されることなく、製造する無機酸化物粒子に応じて、適宜に選択して使用することができる。
ジルコニウムアルコキシドとして、例えばジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド等を;
ホウ素のアルコキシドとして、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等を;
アルミニウムアルコキシドとして、例えばアルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等を;
ケイ素のアルコキシド(アルコキシシラン)として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を;
ケイ素以外の4族元素のアルコキシドとして、例えば、ゲルマニウム(IV)イソプロポキシド、ゲルマニウム(IV)ブトキシド等を、
それぞれ挙げることができる。
上記ゾル−ゲル法で用いられる触媒としては、ゾル−ゲル法の反応による無機酸化物の製造に用いられる公知のものが使用できる。ゾル−ゲル法では酸性触媒が用いられる場合もあるが、粒子径の揃った球状粒子を得ることが容易であるため、塩基性触媒を用いることが好適である。ここで、ゾル−ゲル法では先ず酸性触媒下で予備加水分解を行ない、続いて粒子成長を行なわせることもあるが、その場合は予備加水分解時に酸性触媒を使用し、粒子成長時には塩基性触媒を用いる方法が好適に採用される。
本発明において、上記金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応に使用される溶媒としては、水を単独で使用することもできるが、得られる無機酸化物粒子の表面処理剤による疎水化処理を続けて実施する際の処理を均一に行うため、水と有機溶媒との混合溶媒が好適に使用される。ここで本発明においては、該無機酸化物粒子の分散液を乾燥工程に供する際に、該分散液中に含まれる混合溶媒の水濃度を制御することでより顕著な効果が期待できるため、好適な水濃度範囲で製造することが好ましい。
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
本発明における加水分解及び重縮合反応、即ちゾル−ゲル法は、前記したように好適に塩基性触媒の存在下で行なわれる。反応条件としては公知の条件を採用することができ、金属アルコキシドと塩基性触媒との接触方法も特に制限されず、反応装置の構成や反応スケールを勘案して適宜決定すればよい。ゾル−ゲル法の反応方法の一例を具体的に示すと、以下の如くである。反応器に水又は水と有機溶媒との混合溶媒、及び、塩基性触媒を仕込み、これに金属アルコキシド又は金属アルコキシドを有機溶媒で希釈した溶液と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒子径の揃った球状の無機酸化物粒子を、効率よく且つ再現性よく製造することができ、好ましい。この場合、例えば、先に金属アルコキシドの一部を添加した後に、残りの金属アルコキシドと塩基性触媒とを同時に添加することが可能である。
本発明において、上述したゾル−ゲル法によって得られる分散液には、原料として使用した金属アルコキシドの元素に対応する無機酸化物粒子が含有されている。用いた金属アルコキシドの種類、量及び添加順に応じて、如何なる組成の無機酸化物粒子が得られるかは、当業者には自明であろう。
本発明において、前記ゾル−ゲル法によって得られた無機酸化物粒子は、乾燥させずに分散液のまま表面処理剤と接触せしめて疎水化処理し、疎水化無機酸化物粒子を得る。一旦固液分離してしまうと強固な凝集が発生しやすく、本発明の疎水化無機酸化物粉末を得ることができない。上記表面処理剤としては、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の表面処理剤が好適に使用される。
上記方法によって疎水化された無機酸化物粒子の分散液から本発明の疎水化無機酸化物粉末を得るためには、特定の条件下で噴霧乾燥を行う必要がある。
本発明において、上記のようにして得られた疎水性無機酸化物粉末に対して、シリコーンオイル、シランカップリング剤及びシラザンからなる群から選ばれる少なくとも1種の表面処理剤を添加して、該疎水性無機酸化物粒子を更に疎水化する第二の疎水化工程を設けてもよい。この表面処理剤としては、前述した表面処理剤を使用することができる。しかしながら、無機酸化物粒子の表面の官能基と直接的に化学結合できる処理剤を使用した方が、反応性を有さない処理剤を用いた場合と比較して、得られる表面処理無機酸化物粉末の解砕性に優れるため、好ましい。
処理温度:好ましくは100〜500℃、より好ましくは150℃〜350℃;
処理圧力:好ましくは3×105Pa以下、より好ましくは1×104〜2×105Pa;及び処理時間:好ましくは1〜300分、より好ましくは5〜180分。
(1)メジアン径、及び変動係数の測定
疎水性無機酸化物粉末のメジアン径の測定は、レーザー回折散乱法により実施した。
乾燥後の疎水性無機酸化物粉末0.1gを、内径4cm、高さ11cmのガラス製容器に入れ、エタノール50gを注いだ。ここに、プローブ(先端の内径7cm)の先端から4.5cmの部分を浸し、出力20Wで、30秒間超音波を印加して分散させた。
変動係数(%)=粒子径の標準偏差(μm)/粒子径の数平均値(μm)×100
この変動係数が狭いほど、粒度分布幅が狭いことを示す。
疎水性無機酸化物粉末0.2gを、50mLの水が入った容量250mLのビーカーに加え、マグネチックスターラーにより攪拌した。ここに、ビュレットを使用してメタノールを滴下し、試料粉末の全量が溶液中に分散し懸濁したところを終点として滴定した。終点におけるメタノール−水混合溶媒中のメタノールの容量百分率(%)を疎水化度とした。
疎水性無機酸化物粉末の解砕性を評価する指標として、圧壊強度測定を実施した。
疎水性無機酸化物粉末を、目開き1.4mmの篩いにかけ、続いて0.71mmの篩にかけ、目開き0.71mmの篩に残った疎水性無機酸化物粒子を測定に使用した。この粒子を上皿天秤に載せ、金属製のヘラで荷重をかけ、粒子が解砕された時点での荷重を記録し、下記式により解砕強度を計算した。
解砕強度(N)=荷重(g)×9.80665×10−3
この測定は60個の粒子に対して繰り返し実施し、その平均値を解砕強度とした。この解砕強度の値が小さいほど、粒子が解れ易いこと示す(解砕性に優れる)。
疎水性無機酸化物粉末10gを、目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に載せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した粒子の重量を測定し、下記式より算出した値を凝集粒子量とした。
(5)樹脂表面の被覆率の測定
疎水性無機酸化物粉末0.1g、及びメジアン径6.1μmのスチレンーアクリル樹脂粒子20gを100mLのポリエチレン製容器に入れ、振とう機で60分混合した。得られた混合粒子を、電界放射型走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番「S−5500」)を用いて倍率10,000倍で50視野観察した。画像解析システム(旭化成(株)製、商品名「IP−1000PC」)を用いて、得られた画像から、下記式により樹脂表面の被覆率の平均値を算出した。表面被覆率が高いほどトナー用の外添剤として好適であることを示す。
実施例1
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール1,040g及び塩基性触媒として15質量%アンモニア水150gを仕込み、35℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、該分散液における混合溶媒の水濃度は8.6質量%、分散液中のシリカの含有率は20質量%(シリカ量は766g)である。
スプレードライヤーによる乾燥を入口温度140℃、ΔT30℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
スプレードライヤーによる乾燥を入口温度300℃、ΔT175℃に変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
スプレードライヤーによる乾燥の分散液噴霧速度を40kg/hに変更した以外は実施例1と同様に実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例4で得られた疎水性シリカを120℃、常圧下で24時間二次乾燥を実施した。測定結果を第1表に示した。
実施例1で得られた疎水性シリカ500gを20L圧力容器に入れ、230℃まで昇温した。容器内を窒素雰囲気に置換後、大気圧力下で密閉し粒子を攪拌しながら、水を20g噴霧した。その後、15分間攪拌継続した後、脱圧し、ヘキサメチルジシラザン120gを噴霧した。攪拌を60分間継続した後、脱圧し、窒素パージを15分間実施することで、更に疎水化度を向上させた疎水性シリカ300gを得た。測定結果を第1表に示した。
5Lセパラブルフラスコに有機溶媒としてメタノール677g及び塩基性触媒として4.0質量%アンモニア水381gを仕込み、45℃で攪拌した。ここに金属アルコキシドとしてテトラメトキシシラン1940gと塩基性触媒として2.5質量%アンモニア水700gをそれぞれ液中滴下した。滴下は5時間で終了するように速度を調節して実施した。滴下終了後、0.5時間の熟成を実施した。この反応によって得られるシリカ粒子分散液の質量は3830gであり、分散液中のシリカの含有率は実施例1と同様に20質量%(シリカ量は766g)であった。また、このときの分散液を構成する混合溶媒中の水濃度は22.6質量%であった。
実施例1において、表面処理後の疎水性シリカ分散液を、ホットプレートを用いて65℃で乾燥させることにより疎水性シリカ750gを得た。実施例1で得られた疎水性シリカに比べて凝集粒子量が増え、解砕強度が高かった。測定結果を第1表に示す。
実施例1において、表面処理後の疎水性シリカ分散液を、KUBOTA製「テーブルトップ高速冷却遠心機 3K30C」を用いて、回転数13000で10分間遠心分離を実施して得られたシリカ凝集体を120℃常圧下で、24時間乾燥することで疎水性シリカを得た。実施例1で得られたシリカと比較して凝集粒子量が増え、解砕強度が高かった。測定結果を第1表に示す。
スプレードライヤーの乾燥条件を乾燥室入口温度75℃、ΔT50℃、分散液噴霧速度を5kg/hで実施した以外は実施例1と同様に実施した。実施例1〜6で得られた疎水性シリカと比較して凝集粒子量が増え、疎水性シリカ粒子の解砕強度が高く、樹脂への分散性も悪かった。結果を第1表に示す。
スプレードライヤーの乾燥条件を乾燥室入口温度350℃、ΔT240℃、分散液噴霧速度を40kg/hで実施した以外は実施例1と同様に実施した。実施例1〜6で得られた疎水性シリカと比較して疎水化度が低下し、凝集粒子量が増え、疎水性シリカ粒子の解砕強度が高く、樹脂への分散性も悪かった。結果を第1表に示す。
Claims (9)
- 球状の無機酸化物粒子よりなる粉末であって、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法におけるメジアン径が0.05〜1.5μmの範囲にあり、且つ変動係数が35%以下であり、且つ下記(1)〜(2)の要件を満たすものであることを特徴とする疎水性無機酸化物粉末。
(1)疎水化度が40〜70容量%
(2)目開き45μmの篩(直径75mmの、JIS Z8801準拠の篩である。)に、該疎水性無機酸化物粉末10gを乗せ、振幅1mm及び振動数60Hzで上下に60秒間振動を行った後に、篩上に残存した凝集粒子量が40質量%以下
但し、凝集粒子量(%)=篩残存粒子量(g)/10(g)×100 - 圧壊強度測定法における解砕強度が0.01N以下である請求項1に記載の疎水性無機酸化物粉末。
- メジアン径6.1μmのスチレン−アクリル樹脂粒子20gに前記疎水性無機酸化物粉末を0.1g添加した際の、上記スチレン−アクリル樹脂粒子への前記無機酸化物粒子の被覆率が4%以上である請求項1又は2に記載の疎水性無機酸化物粉末。
- 粒子の表面がヘキサメチルジシラザンにより表面処理された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化物粉末。
- トナー用外添剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化物粉末。
- 塩基性触媒の存在下、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により得られる無機酸化物粒子分散液に、表面処理剤を添加して疎水化処理された疎水性無機酸化物粒子を含む分散液を調整し、該分散液から無機酸化物粒子を噴霧乾燥により得る製造方法において、噴霧乾燥がスプレードライヤーよりなされ、その噴霧乾燥条件が入口温度80〜300℃の範囲であり、且つ乾燥室入口と出口温度の差(ΔT)が30〜175℃の範囲であり、且つ分散液噴霧速度が乾燥室容積1m3に対して1.5〜40kg/hの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
- 前記疎水性無機酸化物粒子を含む分散液を構成する混合溶媒の組成において、水が20質量%以下である、請求項6記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
- 請求項6又は7に記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法の後に、80〜200℃の範囲で二次乾燥を実施する、疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれか1項に記載の疎水性無機酸化物粉末の製造方法の後に、第二の疎水化を実施することを特徴とする疎水性無機酸化物粉末の製造方法。
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