JPWO2021215285A5 - - Google Patents

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本発明は、半導体封止材、液晶シール剤及びフィルム用等の充填剤として好適に使用できる新規な表面処理シリカ粉末製造法に関する。詳しくは、粒子径と粒度分布とが制御され、充填性に優れた表面処理シリカ粉末製造法に関する。
近年、高集積、高密度化を目的とした半導体デバイスの小型化、薄型化に伴い、エポキシ樹脂組成物に代表される半導体封止剤や半導体実装接着剤に添加される充填剤の粒子径が小さくなっていく傾向がある。従来、当該充填剤として、BET比表面積が5m/g以上かつ20m/g以下、1次粒子径換算で、粒子径が100nm以上かつ600nm以下程度の非晶質シリカ粉末が用いられてきた。
しかしながら、前記BET比表面積を有する既存の非晶質シリカ粉末は、一般に凝集性が強いため、分散性が悪く、その結果、分散粒子径が大きく、さらに分散時の粒度分布が広い。斯様な非晶質シリカ粉末を用いた樹脂組成物は、充填剤由来の粗粒が存在し、成型時に隙間へ樹脂が十分に浸透しないという浸透不良を生じることがわかってきた。
前記隙間への浸透不良を解決するために、BET比表面積が従来と同じ5m/g以上かつ20m/g以下の範囲にありながら、凝集性が著しく弱く、分散性に優れており、分散粒子径が小さくて、なおかつ分散時の粒度分布が狭い親水性乾式シリカ粉末が提案されている(特許文献1)。また、特許文献2に記載のシリカ粉末も提案されている。
一方、凝集性の高いシリカ粉末を表面処理することで、樹脂への分散性が向上しうることが提案されている(特許文献3)。
日本国特開2014-152048号公報 日本国特開2017-119621号公報 日本国特開2014-201461号公報
しかしながら、特許文献1に記載のシリカ粉末では、隙間部への樹脂の浸透性は向上するものの、分散粒子径が小さいため、樹脂組成物への増粘効果を誘起し、これを充填した樹脂組成物の粘度が高くなる課題が残されていた。
一方、特許文献2では、BET比表面積が前記5m/g以上かつ20m/g以下であるにもかかわらず、分散時に粘度を低く維持する粒子径を持ち、隙間浸透を阻害する粗大粒子を含まない特異な分散性を有するシリカ粉末が提案されている。この特異な分散性により、これを充填剤として添加した樹脂組成物は、粘度特性と隙間浸透性の両者で優れた性能を発揮することが示されたが、低ギャップ化へ対応するために粘度特性と隙間浸透性の更なる性能向上が望まれている。
上記課題を解決すべく、火炎中で珪素化合物を燃焼させて得られるシリカにおいてバーナ、バーナを設置する反応器、さらに火炎条件等を変え、火炎中、および火炎近傍におけるシリカ粒子の成長や粒子の凝集等について、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、火炎条件を調整することにより、前記目的を達成した充填性に優れるシリカ粉末、即ち、以下の条件(1)~(3)を全て満足するシリカ粉末を既に提案している(PCT/JP2020/005618)。
(1)遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50が300nm以上かつ500nm以下である。
(2)ゆるめ嵩密度が250kg/m以上かつ400kg/m以下である。
(3){(D90-D50)/D50}×100が30%以上かつ45%以下である。ここでD90は、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積90質量%径である。
しかしながら、このような特性を有するシリカであっても、さらなる樹脂充填特性などの向上が求められていた。
一方、特許文献3等においても、シリカを表面処理することで樹脂への分散性は向上しうるものの、未だ樹脂への混練時の粘度特性が十分ではなく、さらなる粘度特性の向上が求められていた。
したがって、本発明の目的は、充填性に優れたシリカ粉末の製造方法を提供することにある。さらに詳しくは、樹脂充填剤として用いた場合に、隙間浸透性に優れ、かつ粘度の低い樹脂組成物を得ることができる表面処理シリカ粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行い、前記特定の粒子径と粒度分布をもったシリカ粉末をさらに表面処理することにより、いっそう樹脂に対して充填性に優れ、得られる樹脂混練物の粘度が低く、隙間浸透性に優れるシリカ粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の条件(1)~(3)を全て満足するシリカ粉末を表面処理する表面処理シリカ粉末の製造方法である。
(1)遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50が300nm以上かつ500nm以下である。
(2)ゆるめ嵩密度が250kg/m以上かつ400kg/m以下である。
(3){(D90-D50)/D50}×100が30%以上かつ45%以下である。ここでD90は、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積90質量%径である。
本発明により製造される表面処理シリカ粉末は、粒子径と粒度分布とが制御され、なおかつその表面が表面処理剤にて修飾されているため、当該表面処理シリカ粉末を添加した樹脂組成物は優れた粘度特性と優れた隙間浸透性とを両立できる。したがって、半導体封止剤や半導体実装接着剤の充填剤として好適である。特に、高密度実装用樹脂の充填剤として好適に用いることができる。
原料とする基材シリカ粉末を製造する際に使用する反応装置要部の模式図。
以下に本発明の表面処理シリカ粉末製造方法について実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明において、表面処理する前の基材となるシリカ粉末(以下、「基材シリカ粉末」ともいう)は、珪素化合物を燃焼させることで生成し、火炎中および火炎近傍において成長、凝集させるシリカ粉末の製造方法、所謂、「乾式法(燃焼法などともいう)」により得られるシリカ粉末であり、
(1)遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50が300nm以上かつ500nm以下である。
(2)ゆるめ嵩密度が250kg/m以上かつ400kg/m以下である。
(3){(D90-D50)/D50}×100が30%以上かつ45%以下である。ここでD90は、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積90質量%径である。
という特性を有する。
遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50(以下、「メジアン径D50」ともいう。)が500nmを超える場合、表面処理後のシリカを用いた樹脂組成物の粘度は低いものの、隙間に対してシリカ粒子径が大きすぎる結果、隙間浸透時にボイドが発生し、成型不良の原因となる。つまり、十分な狭ギャップ浸透性が得られない。一方、粒子径が300nm未満の場合、樹脂組成物の粘度が高くなるため好ましくない。より好ましくは330nm以上、400nm以下である。
基材シリカ粉末の特性はゆるめ嵩密度が250kg/m以上、400kg/m以下であることで特定される。ここでゆるめ嵩密度は、定められた容量のカップへシリカ粉末を自然落下させたときの充填密度である。ゆるめ嵩密度が250kg/m未満の場合、表面処理を行っても充填特性が低く、樹脂組成物の粘度が高くなるため好ましくない。
ゆるめ嵩密度が400kg/mを超える場合には、表面処理後のシリカを用いた樹脂組成物の粘度は低いものの、隙間に対してシリカ粒子径が大きすぎる結果、隙間浸透時にボイドが発生し、成型不良の原因となる。つまり、十分な狭ギャップ浸透性が得られない。好ましくは、ゆるめ嵩密度が270kg/m以上、350kg/m以下である。
粒度分布が適度に調節されている特性は、累積50質量%径50と累積90質量%径90との関係で、{(D90-D50)/D50}×100が30%以上かつ45%以下であることで特定される。前記式で示される粒度分布が45%を超える場合、粗粒が多いことを示し、よって表面処理後のシリカにおいても粗粒が多くなりボイドの原因となる。一方粒度分布が30%未満の場合、粒度分布が狭くゆるめ嵩密度の値が小さくなり低粘度化しないため好ましくない。より好ましくは、{(D90-D50)/D50}×100が33%以上かつ42%以下である。
さらに、本発明における基材シリカ粉末は、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の幾何標準偏差σが1.25以上、1.40以下の範囲であることが好ましい。前記幾何標準偏差σが小さいということは、粒度分布が狭いといえ、よって粗粒の量が低減されているといえる。しかしながら、ある程度の範囲の粒度分布が存在した方が、樹脂に添加した際の粘度を低減しやすい。
なお、幾何標準偏差σは遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布を累積頻度10wt%以上かつ90wt%以下の範囲で対数正規分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出される幾何標準偏差である。
前記遠心沈降法による質量基準粒度分布は、当該シリカ粉末を1.5wt%濃度で出力20W、処理時間15分で水中分散させて得られる分散粒子の質量基準粒度分布である。
本発明における基材シリカ粉末は、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイス内の金属配線間の短絡を低減できるために好ましい。
また、本発明における基材シリカ粉末は、熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、各々のイオン含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイスの動作不良、半導体デバイス内の金属配線の腐食を低減できるために好ましい。
また、本発明における基材シリカ粉末を構成する粒子は球状であることが好ましい。当該形状は例えば、電子顕微鏡観察により把握できる。
本発明における基材シリカ粉末は、その0.075wt%水懸濁液の波長700nmの光に対する吸光度τ700が0.60以下であることが好ましい。吸光度τ700の値が小さいということは、分散性が良好であることを示し、したがって分散粒子径が小さく、更に分散時の粒度分布が狭く粗粒の少ないことを示す。そのため表面処理に際して、特に後述する湿式処理に際して溶媒に良好に分散し、そのため均一に表面処理されやすい。
本発明における基材シリカ粉末は、前記のようなメジアン径D50等をもつため、通常はBET(Brunauer-Emmett-Teller)1点法により測定される比表面積が6m/g以上かつ14m/g以下程度である。
上記のような物性を有する基材シリカ粉末は、珪素化合物を燃焼させることで生成し、火炎中および火炎近傍において成長、凝集せしめてシリカ粉末を得る乾式シリカの製造方法において、3重管以上の同心円多重管構造を有するバーナを、その周囲に冷却用のジャケット部を設けた反応器に設置し、火炎の燃焼条件と冷却条件を調整することで得られる。即ち、火炎の燃焼条件としては火炎全体の酸素量が多くなるように制御することであり、冷却条件としては、火炎の冷却速度が遅くなるように制御することにより、基材となるシリカ粉末を効率的に製造することができる。
以下、火炎の燃焼条件や冷却条件の制御方法を含め、具体例を挙げて説明する。
基材シリカ粉末を製造する装置の模式図を図1に示す。図1記載の装置では、同心円3重管構造のバーナ1の周囲をさらに円筒型外筒2で覆っており、円筒型外筒2をバーナ1の4番目の管とみなせば、バーナ1は全体として4重管構造を有するともみなせる。なお以下では、同心円3重管を構成する管を、中心部から外縁に向かって順に、「中心管」、「第1環状管」および「第2環状管」と称す。
バーナ1は、内部で火炎が燃焼し、よってその内部で珪素化合物からシリカが生じることになる反応器3に設置されている。反応器3は強制冷却が可能なように、その外側にジャケット部(図示しない)を設け、そこへ冷媒を流すことが可能な構造とされている。
前記装置においては、前記3重管の中心管に気体状態にある珪素化合物と酸素を予め混合して導入する。この際、窒素等の不活性ガスも合わせて混合してもよい。なお、珪素化合物が常温で液体あるいは固体の場合、当該珪素化合物を加熱することで気化して使用する。また、珪素化合物の加水分解反応でシリカを生成させる場合は、酸素と反応すると水蒸気を生成する燃料、例えば、水素、炭化水素等を合わせて混合する。
また、前記3重管の中心管に隣接する第1環状管には、補助火炎形成のための燃料、例えば水素や炭化水素を導入する。この際、窒素等の不活性ガスを合わせて混合して導入してよい。さらに、酸素も合わせて混合してもよい。
さらに、前記3重管の第1環状管の外に隣接する第2環状管には、酸素を導入する。この酸素は珪素化合物との反応によるシリカ生成ならびに補助火炎形成との2つの役割がある。この際、窒素等の不活性ガスを合わせて混合してもよい。
さらに、前記3重管外壁と円筒型外筒2の内壁が構成する空間には、酸素と窒素等の不活性ガスの混合ガスを導入する。当該混合ガスとして空気を用いるのは、容易であるため、好適な様態である。
前記の通り、反応器3の外側はジャケット部を設け、燃焼熱を系外に除去するための冷媒を流通させる。燃焼ガスは水蒸気を含有する場合が大半であるため、水蒸気の結露、それに続く燃焼ガス中の腐食成分が結露した水に吸収されることで引き起こされる反応器3の腐食を防止するために、燃焼熱吸収前の冷媒温度(具体的には、ジャケットへの冷媒導入温度)を50℃以上かつ200℃以下にするのが、好適な様態である。実施の容易性を考えると、冷媒として50℃以上かつ90℃以下の温水を利用することが、さらに好適な様態である。なお、ジャケット部に冷媒を導入する際の温度(入口温度)とジャケット部から排出された冷媒の温度(出口温度)との差をとり、さらに当該温度差、冷媒の比熱および流した冷媒の量から、当該冷媒が吸収した熱量、即ち、反応器3から冷媒が除去した熱量が把握できる。
前記物性を有する基材シリカ粉末を得るには、以下に説明するように、火炎の燃焼条件と冷却条件を調整することが重要であり、以下の条件を満足することが好ましい。
(A)Rcmbts≧0.5
cmbts:第2環状管に導入した酸素量(mol/h)/{16×中心管に導入した原料ガス量(mol/h)}
(B)NG3/MSi≦1.0
G3:第3環状管導入ガス量(Nm/h)
Si:生成するシリカ質量(kg/h)
さらに、Rcmbtsが0.5未満の場合は火炎全体の酸素量が少ないため反応が完全に進行しないため粒子の成長時間が短くなる。結果として粒子径が数10nmの微小粒子が発生し、メジアン径D50が低下する、およびゆるめ嵩密度の値が小さくなる。
前記NG3/MSiが1.0を超える場合には火炎が急速に冷却される結果、粒子径が数10nmの微小粒子が発生し、また溶融状態のシリカ融液の粘度が高い領域が増え形状転換が困難になる(生じた微小粒子同士が成長し難く小粒子径のままである傾向が強くなる)。そのため、メジアン径D50が300nmを下回ってしまう。
原料である珪素化合物としては、常温で気体、液体、固体であるものが特に制限なく使用される。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等の鎖状シロキサン、テトラメトキシシラン等のアルコキシシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン類を珪素化合物として使用することができる。
前記シロキサンおよびアルコキシシランの如く分子式中に塩素を含まない珪素化合物を使用することにより、得られるシリカ粉末に含有される塩化物イオンを著しく低減できるため好ましい。
また、前記珪素化合物は各種金属不純物の含有量の少ないものが容易に入手できる。そのため、このような金属不純物の含有量の少ない珪素化合物を原料として使用することにより、生成されるシリカ粉末に含有される金属不純物の量を低減できる。また、珪素化合物を蒸留等によって更に精製し、原料として使用することにより、生成されるシリカ粉末に含有される金属不純物の量を更に低減することもできる。
生成したシリカ粉末の回収は特に限定されないが、焼結金属フィルター、セラミックフィルター、バグフィルター等によるフィルター分離やサイクロン等による遠心分離で燃焼ガスと分離させて回収することでなされる。
なお前記説明では、用いる同心円3重管は1本単独の場合であるが、後述する実施例に示すように複数の同心円3重管を配置した多本式で実施してもよい。多本式の場合、各同心円3重管を同一構造、同一寸法とし、同心円3重管の最近接中心間距離を同一とすることが、本発明のシリカ粉末を得るにあたって均一性の点で好ましい。また、円筒型外筒2は、複数の同心円3重管バーナをまとめて被うように設置すればよい。
なお周知の如く珪素化合物を燃焼させてシリカ粉末を製造する方法では、炎中で溶融している液体状のシリカが表面張力により球状化するため、製造される固体のシリカ粉末の粒子も真球に近い球状となる。また前記方法で製造されるシリカ粉末の粒子は、内部気泡を実質的に含まないので、真密度がシリカの理論密度2.2g/cmと略一致する。したがって、上述した、本発明の表面処理シリカ粉末の基材となるシリカ粉末製造方法で製造されるシリカ粉末も、形状が球状となり、真密度が略2.2g/cmとなる。
本発明の製造方法では、上記のようにして得られる基材シリカ粉末を表面処理剤と接触させることで、該シリカ粉末の表面を改質し、表面処理シリカ粉末を得る。
本発明においては、表面処理反応の形式は特に制限されず公知の方法を適宜選択・採用すればよく、いわゆる乾式、湿式のいずれでもよく、またバッチ式、連続式のいずれでもよい。また、反応装置も流動床式、固定床式、あるいは攪拌器、混合器、さらに、静置式であってもよい。なかでも、反応の均一性や促進性を考慮すれば、流動床式、攪拌器、混合器などでシリカ粉末を流動させて反応させることがより好ましい様態である。
ここで、シリカ粉末表面が表面処理剤により改質されるとは、粉末を構成するシリカ粒子の表面が表面処理剤により処理され、その表面処理剤の持つ官能基などにより、表面の形態、化学組成、化学反応性、樹脂への分散性などが変化された状態を言う。好適には、シリカ粉末表面に表面処理剤を導入させることにより、樹脂への分散性を向上させたり、撥水性を付与させた状態が該当する。これにより、シリカ粉末の樹脂への分散性が向上し、樹脂組成物の粘度が低減し、更には樹脂組成物の強度を向上させることも可能となる。また、シリカ粉末に撥水性を付与させることにより、保存中の吸湿が抑制され、保存安定性等が向上するという効果が得られる場合が多い。
前記シリカ粒子表面に炭素原子を導入することによる改質の程度は、代表的にはシリカ粉末の炭素量を測定することにより評価することができる。その炭素量の測定は、燃焼酸化法による微量炭素分析装置を用いて実施すれば良い。具体的には、表面処理シリカ粉末試料を酸素雰囲気中で1350℃に加熱し、得られた炭素量を単位質量当たりに換算して求める。なお、測定に供する表面処理シリカ粉末は、前処理として80℃で加熱し、系内を減圧にすることによって空気中で吸着した水分等を除いた後、前記炭素含有量の測定に供する。一般に、表面処理剤はシリカの表面だけを改質し、連通孔のない内部は改質しない(そもそも接触できない)ので、炭素量の増加量が、表面炭素量と見なしてもよい。
本発明で製造する表面処理シリカ粉末の表面炭素量は、0.01質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上0.8質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法において、基材シリカ粉末と接触させる表面処理剤としては、シリカ表面へ特定の機能を付与するため使用される公知のものであれば特に制限されないが、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シロキサン類やシラザン類から選択される少なくとも1種の表面処理剤であることが好ましい。特には、シランカップリング剤及びシラザン類よりなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤であることが好ましい。
これら表面処理剤は、得られる表面処理シリカ粉末に付与すべき改質性状に応じた官能基を有するものを選択するのが望ましい。
本発明の製造方法において使用できる表面処理剤の具体例を挙げれば、前記シリコーンオイルとして、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
前記シランカップリング剤として、公知のシランカップリング剤が用途に応じて適宜用いられる。
当該シランカップリング剤としては、下記式(1)で示されるものが挙げられる。
-Si-X(4-n) (1)
(上記式(1)中、Rは炭素数1~12の有機基であり、Xは加水分解性の基であり、nは1から3の整数である。)
上記Rとして示される炭素数1~12の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、オクテニル基、4-スチリル基等の炭素数1~12の炭化水素基;3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフッ素置換された炭素数1~12の炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、グリシドキシオクチル基等のエポキシ基を有する炭素数3~12の有機基;3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-フェニル-3-アミノプロピル基、N,N-ジメチル-3-アミノプロピル基、N,N-ジエチル-3-アミノプロピル基等のアミノ基を有する炭素数1~12の有機基;3-(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシオクチル基等の(メタ)アクリロキシ基を有する炭素数3~12の有機基;3-メルカプトプロピル基等のメルカプト基を有する炭素数1~12の有機基;3-イソシアネートプロピル基等のイソシアネート基を有する炭素数3~12の有機基;等を例示できる。これらのなかでも炭素数が10以下の有機基が好ましい。
なおnが2又は3である場合、複数のRは、各々同一でも異なっていてもよい。
上記Xとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1~3のアルコキシ基や塩素原子などのハロゲン原子が挙げられ、なかでもメトキシ基やエトキシ基が好ましい。なおnが1又は2である場合、複数のXは、各々同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
nは1から3の整数であるが、1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
上記式(1)で示されるシランカップリング剤の内、樹脂内部への分散性を上げ、粘度を下げるためには炭素数1~10の炭化水素基をシリカ表面に導入できるシランカップリング剤、即ち、前記式(1)においてRが炭素数1~10の炭化水素基であるものが好ましく用いられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのなかでもRが炭素数1~8の炭化水素基であるものがさらに好ましく、具体的にはn-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランである。特にRが炭素数6~8の芳香族炭化水素基であるシランカップリング剤が好ましく、具体的にはフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、半導体封止材や液晶シール剤等の電子材料用、及びフィルム製造用等として汎用されるエポキシ樹脂をマトリックスとして用いる場合、硬化させる際に樹脂と強固に結合させることができることから、前記式(1)で示されるシランカップリング剤のなかでもエポキシ基あるいはアミノ基をシリカ表面に導入できるシランカップリング剤、即ち、少なくとも一つのRがエポキシ基を有する炭素数3~12の有機基あるいはアミノ基を有する炭素数1~12の有機基であるシランカップリング剤が好ましく用いられる。
具体的には3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する炭素数3~12の有機基を持つシランカップリング剤や、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有する炭素数1~12の有機基を持つシランカップリング剤が挙げられる。
特に好ましくは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランである。
また、同様に半導体封止材や液晶シール剤等の電子材料用、及びフィルム製造用等として汎用される(メタ)アクリル樹脂をマトリックスとして用いる場合、硬化させる際に樹脂と強固に結合させることができることから、末端に炭素―炭素二重結合を有する基をシリカ表面に導入できるシランカップリング剤が好ましく用いられる。即ち、前記式(1)において、Rが末端二重結合を持つ炭素数2~12の炭化水素基であるシランカップリング剤あるいはRが(メタ)アクリロイル基を有する炭素数3~12の有機基であるシランカップリング剤が好ましく用いられる。
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-スチリルトリメトキシシラン等のRが末端二重結合を持つ炭素数2~12の炭化水素基であるシランカップリング剤、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン等のRが(メタ)アクリロイル基を有する炭素数3~12の有機基であるシランカップリング剤が挙げられる。特に好ましくは、nが1で、Rが(メタ)アクリロイル基を有する炭素数6~12の有機基であるシランカップリング剤、具体的には3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン等である。
また前記シロキサン類としては、ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類が挙げられる。
前記シラザン類としては、通常用いられる公知のSi-N(珪素-窒素)結合を有する化合物を、特に制限なく使用することが可能であり、必要とする表面処理シリカ粉末の性能等に応じて適宜選択して、使用すればよい。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、ヘキサ(t-ブチル)ジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサオクチルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3-ジメチルテトラフェニルジシラザン、1,3-ジエチルテトラメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラフェニル-1,3-ジメチルジシラザン、1,3-ジプロピルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラザン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラザン等を挙げることができる。
このうちシリカ表面との反応性の高さ等からアルキルジシラザン類が好ましく、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザンが特に好ましく、ヘキサメチルジシラザンが最も好ましい。
以下では上記のような表面処理剤を用いて前記基材シリカ粉末を処理する方法(以下、単に「表面処理方法」ともいう)について説明する。
当該表面処理方法では、前記基材シリカ粉末と、前記したようなシリコーンオイル、シランカップリング剤、シロキサン類やシラザン類から選択される少なくとも1種の表面処理剤とを接触させることで、基材シリカ粉末表面が改質される。
当該表面処理方法は、大きく分類して乾式処理と、湿式処理に分けられる。乾式処理は基材シリカ粉末を、粉末の状態を維持したまま表面処理剤と接触させる方法で、多量の溶媒を用いない分、一般には低コストで済み、大量生産に適した方法である。一方、湿式処理は基材シリカ粉末を溶媒に分散させて分散液(ペースト状のものも含む)とした状態で表面処理剤と接触させる方法で、シリカ表面を乾式処理よりも均一に改質できるという利点がある。本発明の製造方法において、これら表面処理方法は公知の方法を適宜採用でき、いずれの方法を採用してもよい。以下、各々の方法における代表的な手順等について説明する。
1.乾式処理による表面処理シリカ製造法(第1実施形態)
乾式処理では、一般に以下の手順で表面処理が行われる。即ち、反応容器中に基材シリカ粉末を入れ、該基材シリカ粉末を揺動や撹拌等により流動化させた状態で所定量の表面処理剤を滴下や噴霧等により添加する。この際には表面処理剤のシリカ表面との反応を促進するため熟成するのが通常である。表面処理剤と反応させた後にシリカ粉末を容器から取り出せば、そのまま製品とすることができる。以下、これら手順(工程)について、さらに詳述する。
<表面処理剤および表面処理剤使用量>
前記表面処理剤としては、前記したようなシリコーンオイル、シランカップリング剤、シロキサン類やシラザン類から選択される少なくとも1種のものが使用できる。
表面処理剤の使用量は特に制限されず、所望の物性に応じて公知の範囲から適宜設定すればよいが、少なすぎると表面処理が不十分となり、多すぎるとシリカ粉末表面に対する存在量が過剰になりすぎ、凝集塊が生成する傾向が強くなる。そのため基材シリカ粉末100質量部に対して、シリコーンオイルであれば、0.05~80質量部とすることが好ましく、0.1~60質量部とすることがより好ましく、1~20質量部とすることが最も好ましい。
同じくシランカップリング剤であれば、0.05~80質量部とすることが好ましく、0.1~40質量部とすることがより好ましく、0.5~5質量部とすることが最も好ましい。
同じくシロキサン類であれば、0.1~150質量部とすることが好ましく、1~120質量部とすることがより好ましく、2~60質量部とすることが最も好ましい。
同じくシラザン類であれば、0.1~150質量部とすることが好ましく、1~120質量部とすることがより好ましく、2~60質量部とすることが最も好ましい。
表面処理剤は、一種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<乾式表面処理装置>
本実施形態においては、前記、シリカ粉末と各種表面処理剤を混合してシリカ表面を乾式処理する。このときの前記混合の手段は、特に限定されないが、駆動部を有する回転体に因らない混合手段であることが好ましい。具体的には、容器本体の回転や揺動による混合やエアーによる気相混合などが挙げられる。このような混合手段を有する混合装置として、Vブレンダー、ロッキングミキサーやダブルコーン型の混合装置、または、エアーにより気流混合するエアーブレンダー等が挙げられる。
一方で、駆動部を有する回転体に因る混合手段である場合、シリカ粉末が攪拌・混合羽根に衝突して受ける攪拌エネルギーが通常50J以上と大きいため、前記した基材シリカ粉末のような比較的粒子径の小さい粉末においては凝集粒子が生成しやくなる。具体的な装置としては、攪拌羽根、混合羽根等が設置された混合装置であり、ヘンシェル型混合装置やレーディゲミキサー等が挙げられる。
更に、本実施形態で用いる混合装置(乾式表面処理装置)には、シリカ粉末の表面処理前後の粒子径を同等のものとするための手段として少なくとも1枚の解砕羽根を備えることが好ましい。当該解砕羽根は、解砕手段としての回転軸を有する回転体であって、軸が羽根の重心を通る、もしくは軸を羽根の一端とする、軸に対して垂直方向に伸びる少なくとも1枚の羽根である。同軸上に複数枚の解砕羽根を設置する場合は、混合容器の内壁、及び他の解砕羽根との間隙が十分であれば回転軸上の何れの箇所にでも設置することができ、一箇所に複数枚であっても、複数箇所に複数枚であってもよく、混合装置の内容量、シリカ粉末の処理量、及び下記に示す解砕エネルギーとを勘案して、1本の回転軸に1~4枚設置することが好ましい。
本実施形態において、前記解砕羽根の解砕エネルギーは0.3~10Jが好ましい。0.1J未満では凝集粒子を十分に解砕することができず凝集粒子が残存してしまう。一方、20Jを超えるとシリカ粉末が再凝集しやすくなるという問題が生じる。ここで、前記解砕エネルギーは、前記混合手段として用いられる攪拌・混合羽根の攪拌エネルギーが50J以上であるのに対して格段に小さく、従って、本実施形態における解砕羽根は、混合手段としての駆動部を有する回転体、即ち、攪拌・混合羽根とは明確に区別される。
前記解砕エネルギーの算出方法の例について以下に具体的に述べる。前記解砕エネルギーは、回転軸1本毎に算出され、まず解砕羽根の慣性モーメントを求める。
(軸が羽根の重心を通る場合)
解砕羽根の、回転軸に対して垂直方向となる長辺の長さをa(m)、短辺の長さをb(m)、厚さをt(m)、及び重量をM(kg)とし、同軸上に設置された羽根の枚数をmとすると、軸が羽根の重心を通る羽根の慣性モーメント(Iz)は下式より算出される。
(C)Iz (kg・m) = (a + b)× M/12 × m
(軸を羽根の一端とする場合)
解砕羽根の、回転軸に対して垂直方向となる長辺の長さをa(m)、短辺の長さをb(m)、厚さをt(m)、及び重量をM(kg)とし、同軸上に設置された羽根の枚数をnとすると、軸を羽根の一端とする羽根の慣性モーメント(Iz)は下式より算出される。
(D)Iz(kg・m)=(a + b + 12(a/2))×M/12×n
(軸が重心を通る羽根及び軸を一端とする羽根が混在する場合)
解砕羽根の慣性モーメント(Iz)は下式より算出する。
(E)Iz (kg・m)= Iz +Iz
次に、解砕エネルギーE(J)は、(C)、(D)、(E)より算出された慣性モーメントと解砕羽根の回転数ω(rad/s)を用いて、下式より算出される。
(F)解砕エネルギーE(J)= Iz×ω/2
また前記以外の形状の解砕羽根を有する場合にも、各々、その形状に応じて、公知の数式により解砕エネルギーを求めることができる。
本実施形態における混合装置において、回転軸1本あたりの解砕エネルギーが前記範囲となればよいのであって、解砕羽根のついた回転軸を少なくとも1本設置していればよく、複数本設置することもできその際には、各々の回転軸が有する解砕羽根の解砕エネルギーを、0.3~10Jの範囲とすればよい。
前記回転軸、及び解砕羽根の材質は、特に限定されないが、ステンレススチール等の金属、アルミニウム、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル等の樹脂類が挙げられ、なかでも金属、特にステンレススチールが、耐摩耗性に優れており好ましい。
前記解砕羽根の形状は特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、水平形、L字形、円柱型等が挙げられる。
解砕羽根の大きさは装置内に納まる大きさであって、解砕エネルギーが前記範囲となるのであれば特に制限されないが、回転中に内容物より局所的に負荷がかかった場合であっても、壁面や、他の解砕羽根に衝突しないよう十分な間隙を設けられて設置されればよい。
該解砕羽根の長辺の長さは、短すぎると解砕効果が小さくなる(必要な解砕エネルギーを得るために高回転を要する)が、長すぎると回転するための大きな動力を要する。また、解砕羽根の長辺の長さが長いほど、解砕エネルギーが大きくなって前記範囲を超えてしまい、シリカ粉末が凝集しやすくなるため、解砕羽根の長辺の長さは、300mm以下としてやることが好ましい。
解砕羽根の厚さは特に制限されないが、1~5mmであることが好ましい。
次に、解砕羽根の回転数も前記式の通り解砕エネルギーと直接関係してくる。前記した解砕羽根の大きさにもよるが、50~300(rad/s)であることが好ましい。回転数が遅すぎると解砕効果が小さくなり、逆に310(rad/s)を超えると解砕エネルギーが10Jを超えやすくなる。また回転数を小さい値とすることにより、機械的負荷が抑制される傾向にある。
したがって、前記(C)~(F)等より得られる回転軸1本あたりの解砕エネルギーが0.3~10Jとなるよう、解砕羽根の材質、即ち重量を勘案し、長辺の長さ、短辺の長さ、厚さ、解砕羽根の枚数、及び回転数をそれぞれ前記範囲内で、相対的に選択すればよい。
前記解砕羽根の回転軸の設置箇所は、解砕羽根が装置内の接粉部にあれば特に制限されない。たとえば、Vブレンダー、ロッキングミキサー、またはダブルコーン型の混合装置を用いる場合であれば、混合装置内の空間の何れの箇所にあっても粉末と接することが可能なので、胴部の内側面、および両端部の内壁面であれば何れの箇所にも設置することができる。エアーブレンダーを用いる場合は、気流によるシリカ粉末の流れを考慮し、解砕羽根が効率よく粉末に接触するように設置すればよいのであって、胴部の内側面、および天井部の内壁面の何れの箇所にも設置することができる。
前記混合に用いる混合装置の大きさは特に制限されないが、一般に、内容積が10L~4mのものが好適に使用される。
<表面処理法>
前記表面処理装置を用いて、乾式で表面処理する方法ついて説明する。
本実施形態では、前記表面処理装置に、基材である前記シリカ粉末を供給する。基材シリカ粉末の供給量は、供給された基材が混合可能な範囲であれば特に制限されないが、一般的な処理効率を考慮すれば、混合装置の内容積に対して好ましくは1~6割、更に好ましくは3~5割である。
次に、基材シリカ粉末が供給された前記混合装置に前記表面処理剤を供給する。該表面処理剤の供給量は、それぞれ前述のとおりである。
前記表面処理剤は溶媒で希釈した後にシリカ粉末と混合してもよい。用いる溶媒は、表面処理剤が溶解するものであれば特に限定されない。表面処理剤の官能基に影響を及ぼさないものであれば特に制限されず、公知の溶媒が使用できる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール等のアルコール類が好適に用いられるが、アルコール類以外の有機溶媒を用いることもできる。溶媒で希釈する際の希釈率は特に限定されないが、一般的に2~5倍程度希釈して用いられる。
また必要に応じて、重合禁止剤や重合抑制剤、紫外線吸収剤等の添加剤を用いても良い。これらは特に限定されることなく、公知のものが使用できる。
表面処理剤の添加方法は特に制限されない。1度に全量を添加してもよいし、混合しながら、連続的、あるいは断続的に添加してもよいが、処理される基材シリカ粉末の量が多い場合、若しくは表面処理剤が多い場合には、混合しながら連続的、あるいは断続的に添加することが好ましい。前記表面処理剤の添加は、ポンプ等を用いて滴下若しくは噴霧により行われることが好ましい。前記噴霧に関しては公知のスプレーノズル等が好適に使用できる。
また、表面処理剤が気体状である場合は、反応装置へ吹き込むことで導入することができる。
表面処理剤を連続的、あるいは断続的に添加する場合、表面処理剤の供給速度は特に限定されず、表面処理剤の使用量等を考慮して決定すればよい。好適には、以下のようにして供給速度を決めることができる。即ち、混合装置中で予備的に基材シリカ粉末を撹拌しながら着色剤を供給する実験を行い、基材シリカ粉末が均一に着色される程度の供給速度を求め、得られた着色剤供給速度の2分の1程度を供給速度とする。ここで、供給速度を着色剤供給速度の2分の1程度とするのは、確実に均一な混合を行うためである。
撹拌・流動化方法や混合装置の容量等によっても、上記した均一な着色までに要する時間は変化するが、一般的には、基材シリカ粉末100g当たり0.01~10ml/minで供給されるように各条件を設定することが好ましく、0.03~5ml/minで供給されることが特に好ましい。特に表面処理剤の使用量が多い場合は、供給速度が遅いと処理時間が長くなるため生産性に劣り、表面処理剤を一度に供給もしくは、供給速度が速すぎると表面処理剤の液滴が大きくなり、シリカ粉末中に凝集粒子が生成しやすくなる。
また、混合装置内の雰囲気は、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが好ましく使用される。そうすることにより、水分による加水分解や酸素による酸化分解を抑制することができる。
前記表面処理剤を供給し、基材シリカ粉末と混合して接触させる際の温度は、特に限定されないが、温度が高すぎると表面処理剤が種類によっては重合してしまうことや表面処理剤が急激に気化してしまうため、一般には-10~40℃程度である。
当該混合は、表面処理剤がシリカ粉末と均一に混合されればよく、前記供給速度と供給する表面処理剤の量から、表面処理剤を全量供給するのに必要な時間(即ち、混合に必要な時間)が求められる。
なお通常、基材シリカ粉末と表面処理剤との混合時において、表面処理剤の偏在や強い混合エネルギーにより凝集粒子が生成するが、駆動部を有する回転体に因らない混合手段とした場合、シリカ粉末における凝集粒子の生成が抑制される。更に混合装置内に解砕羽根を設置することにより、生成した凝集粒子は、強固な凝集粒子となる前に該解砕羽根により効率よく解砕されるため、表面処理剤の添加・混合を行った後でもシリカ粉末は凝集粒子が極めて少ない状態を維持する。また、斯様な混合装置を用いた場合には、仮に表面処理剤が過剰に供給された場合であっても、表面処理剤が粒子表面に一様に処理され、かつ、凝集粒子の生成が低減された表面処理シリカ粉末が得られる。
上記した表面処理剤の添加・混合によりシリカ粉末は表面処理されるが、当該操作後にさらに熟成処理することが、シリカ粉末表面に付着している表面処理剤の反応性基とシリカ表面との反応を十分に進行させるために好ましい。当該熟成処理は、加熱しながら、あるいは加熱せずに行う。当該熟成処理は、前記混合装置として加熱手段を有する装置を用いた場合には、当該装置をそのまま用いて撹拌・流動化しながら熱を加え加熱を行うこともできる。もしくは、表面処理剤と十分に混合されたシリカ粉末を取り出し、別の装置にて加熱し、撹拌等を行いながら、あるいは撹拌等を行わずに加熱を行うこともできる。
後者において、別の熟成装置内の雰囲気ガスは特に制限されないが、前記混合装置内と同様に窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
熟成処理を行う温度は、低すぎると反応の進行が遅くなるため生産効率が低下し、高すぎると表面処理剤の分解や急速な重合反応による凝集の生成を促進してしまう。従って、使用する表面処理剤にもよるが、一般に、25~300℃、好ましくは40~250℃で行うのが良い。この温度条件範囲において混合装置内おける表面処理剤の蒸気圧が1kPa以上であることが好ましく、さらには表面処理剤の蒸気圧が10kPa以上となる温度で加熱することが好ましい。このシリカ粉末の表面処理において、混合装置内の圧力は常圧、加圧、負圧のいずれでもよい。
熟成処理時間は使用する表面処理剤の反応性に応じて適宜決定すればよい。通常1時間以上500時間以内で十分な反応率を得ることが可能である。熟成処理完了後、熟成に用いた容器から取り出し、保管用の容器や袋に充填して、保管や出荷等を行えばよい。
2.湿式処理による表面処理シリカ粉末製造法(第2実施形態)
湿式処理では、一般に以下の手順で表面処理が行われる。即ち、基材シリカ粉末と溶媒とを混合して分散液を調製する。反応容器中で撹拌しながら所定量の表面処理剤を加え、所定時間反応させた後、固液分離を行って固形分(表面処理シリカ)を回収、その後、乾燥を行なえば表面処理シリカ粉末を得ることができる。固液分離に際しては、凝集剤を添加して分離能を上げることも好ましい。以下、これら手順(工程)について、さらに詳述する。
<表面処理剤および表面処理量>
前記表面処理剤としては、前記乾式表面処理による表面処理シリカ粉末製造法で示した表面処理剤が好ましく使用できる。すなわち、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シロキサン類やシラザン類から選択される少なくとも1種のものが好ましい。
表面処理剤は、一種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<溶媒>
本実施形態において、湿式表面処理に使用される溶媒としては特に限定されず、水及び公知の有機溶媒が使用できる。使用する表面処理剤の種類に応じて、水及び公知の有機溶媒から選択される少なくとも1種が適宜選択される。
有機溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;ヘキサン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;塩化メチレンやクロロホルム等の塩素化炭化水素類;アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリルなどのニトリル類等を挙げることができる。
前記水及び有機溶媒は、一種のみを単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒の混合物として用いてもよい。使用する表面処理剤の種類に応じて、その溶解性、反応性、官能基の安定性等を考慮して選択すればよい。
水と有機溶媒の混合物を用いるには、水と有機溶媒が一様に混和していることが好ましい。一般に、水と一様に混和する有機溶媒として、前記有機溶媒のうち、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
<湿式表面処理装置>
本実施形態で使用する表面処理装置は、公知の攪拌機あるいは混合器が特に制限無く使用される。
当該攪拌機の撹拌翼としても、公知のものが特に制限無く使用されるが、代表的なものを例示すれば、傾斜パドル翼、タービン翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン翼、ツインスター翼、マックスブレンド翼などが挙げられる。
また、このような攪拌機を有する反応器としては、半球状、または平底あるは丸底の円筒状の一般的な形状の反応器、更にこれら反応器内に邪魔板を設置したものが特に限定されずに使用できる。また、反応器の材質も特に限定されず、ガラス製、ステンレススチールなどの金属製(ガラスコートあるいは樹脂コートされたものを含む)、または樹脂製のものが使用できる。高純度の表面処理シリカ粉末を得るために、耐摩耗性に優れる材質であることが好ましい。
<表面処理法>
前記表面処理装置を用いて、湿式で表面処理する代表的な方法について説明する。
先ず、前記表面処理装置に、前記基材シリカ粉末及び前記したような溶媒を供給し、シリカ分散液とする。この時、供給する溶媒の量は、基材シリカ粉末100質量部に対して、50~2000質量部が好ましく、80~1000質量部がより好ましい。
上記のようなシリカ分散液に表面処理剤を添加する。当該添加方法は特に制限されない。表面処理剤が常温、常圧で低粘度の液体である場合は、これを分散液中に投入すればよい。表面処理剤の投入は一度に全てを投入しても良いし、分割して投入しても良い。投入する方法は特に制限されず、滴下しても良いし、スプレー状に噴霧しても良い。表面処理剤が高粘度液体又は固体である場合には、これを適当な有機溶媒に添加して溶液又は分散液としたうえで、低粘度液体の場合と同様にして添加することができる。
ここで希釈に使用される有機溶媒としては、使用する表面処理剤の官能基に影響を及ぼさない公知の溶媒が使用できる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール等のアルコール類が好適に用いられるが、アルコール類以外の有機溶媒を用いることもできる。溶媒で希釈する際の希釈率は特に限定されないが、一般的に2~5倍程度希釈して用いられる。
また、表面処理剤が気体状である場合は、液中に微細な泡状となるように吹き込むことにより添加することができる。
表面処理を行う際の処理温度は、使用する溶媒の凝固点や沸点などの物性及び表面処理剤の反応性等を勘案して決定すればよいが、処理温度が低すぎると反応の進行が遅く、高すぎると操作が煩雑であるため、10~150℃とすることが好ましく、20~100℃とすることがより好ましい。
表面処理を行う際の処理時間は特に制限はされず、使用する表面処理剤の反応性や処理温度等を勘案して決定すればよい。表面処理反応の十分な進行と、工程時間を短くすることの双方を考慮して、処理時間を0.1~48時間とすることが好ましく、0.5~24時間とすることがより好ましい。なおここで処理時間とは、表面処理剤の添加開始から、後述する凝析剤の添加、あるいは凝析剤を使用しない場合には固液分離までの時間である。
表面処理を行う際には、表面処理剤の種類に応じて公知の触媒を使用することができる。このような触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の酸性触媒やアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物、水酸化アルカリ金属等のアルカリ性触媒を挙げることができる。
触媒の使用量は、表面処理剤の反応性を勘案して適宜決定すれば良い。例えば、反応液中における触媒の存在量が、使用する表面処理剤の質量100質量部に対して、0.01~50質量部とするのが好ましく、0.01~35質量部の範囲で使用することがより好ましい。
本実施形態においては、表面処理剤を添加した後、後述する乾燥前あるいは凝析剤の添加を行う場合にはその実施に先立って、分散液をフィルターにかけることも好ましい。即ち、粒子の癒着による粗大粒子や凝集塊等が含まれる場合があるため、フィルターにより除去することで当該粗大粒子や凝集塊等を低減させてもよい。当該フィルターは、表面処理された一次粒子は通過し、それよりも著しく大きな粗大粒子や凝集塊等は通さない程度の目開きのものを用いる。
表面処理終了後、固液分離により表面処理シリカ粉末を取り出すが、固液分離に先立って分散液に対して公知の凝析剤を添加しても良い。分散液に凝析剤を添加することにより、分散液中で表面処理シリカ粉末の弱い凝集体が形成される。この凝集体は、分散液中に存在する凝析剤又はその誘導体の存在により、分散液中で安定に存在することが可能であり、従ってろ過等により容易に回収することが可能となる。
このような凝析剤としては、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウム等のアンモニウム塩を好適に用いることができる。これらの凝析剤は、わずかの加熱により容易に分解・除去されるため、高純度の表面処理シリカ粉末を容易に製造することができる利点がある。
凝析剤の使用割合及び添加方法は、使用する凝析剤の種類に応じて下記のように設定することができる。凝析剤の使用割合は、分散液中での表面処理シリカ粉末の弱い凝集体の形成の程度と、不当に多量の原料を使用することの無駄とのバランスを勘案することによって設定される。
凝析剤の使用割合は、分散液中に含有される原料とした基材シリカ粉末100質量部に対して、0.001質量部以上とすることが好ましく、0.001~50質量部とすることがより好ましく、0.1~20質量部とすることがとりわけ好ましく、更には0.5~10質量部とすることが特に好ましい。
前記した炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウム等の凝析剤は通常は固体であるが、本実施形態においては、固体の状態で添加してもよく、適当な溶媒に溶解した溶液状態で添加してもよい。溶液状態で添加する場合に使用される溶媒としては、使用する凝析剤を溶解するものであれば特に制限されないが、溶解能力が高く、また固液分離後の除去が容易であるとの観点から、水を使用することが好ましい。溶液状態で用いる場合の凝析剤の濃度は溶解する範囲ならば特に制限されないが、濃度が低すぎると溶液の使用量が多くなり、不経済であるため、0.5~15質量%とすることが好ましく、特に1~12質量%とすることが好ましい。また、凝析剤の効果が得られやすくなるため、凝析剤を添加した後の分散液には5質量%以上の水が含まれていることが好ましい。
当該凝析剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、いわゆる「炭酸アンモニウム」として市販されている、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムとの混合物は、これをそのまま、或いは適当な溶媒に溶解した溶液として使用することができる。この場合における、炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムとの合計の使用割合、これを溶液として添加する場合に使用される溶媒の種類及び溶液の濃度は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムの場合として前記したところと同様である。
凝析剤を添加する際の表面処理シリカ粉末分散液の温度は、凝析剤の添加によって生成する表面処理シリカ粉末の弱い凝集体が安定に存在できる温度を選択して設定することが望まれる。このような観点から、分散液の温度としては、-10~60℃とすることが好ましく、10~50℃とすることがより好ましい。
凝析剤の添加後、熟成を行う、即ち次工程の固液分離までに暫く間隔をおくことが好ましい。凝析剤添加後に熟成を行うことにより、前記した表面処理シリカ粉末の弱い凝集体の形成が促進されることとなり、好ましい。熟成時間は長いほどよいが、長すぎると不経済である。一方、熟成時間が短すぎると、表面処理シリカ粉末の弱い凝集体の形成が不十分となる。そこで熟成時間としては、0.5~72時間とすることが好ましく、特に1~48時間とすることが好ましい。熟成の際の分散液の温度は特に制限されず、凝析剤添加の際の好ましい温度と同じ温度範囲で実施することができ、凝析剤の添加を行った際と同じ温度で実施すれば足りる。
表面処理後の分散液または表面処理後に凝析剤を添加した分散液から表面処理シリカを取り出す固液分離方法は、溶媒留去法や遠心分離法、ろ過法等、公知の方法を特に制限なく使用することができる。乾燥後に解れやすい表面処理シリカ粉末が得られやすい点や、操作上簡便であることからろ過法を選択することが好ましい。ろ過の方法は特に制限されず、減圧ろ過や遠心ろ過、加圧ろ過等、公知の装置を選択すればよい。
当該ろ過法で使用する、ろ紙やフィルター、ろ布等(以下、これらを包括して「ろ紙等」という。)は、工業的に入手可能なものであれば、特に制限なく使用することができ、分離装置(ろ過器)のスケールや回収するシリカの平均粒子径等に応じて適宜選択すればよい。
ろ過法等で固液分離することにより、表面処理シリカがケークとして回収される。得られたケークを、適当な溶媒、例えば水、アルコール等、でリンスすることにより、表面処理工程で使用した溶媒、未反応の表面処理剤の分解乃至除去を行うことができる。
次いで、前記固液分離によって回収した表面処理シリカのケークを乾燥させる。
乾燥温度は特に制限されないが、温度が高すぎるとシリカ表面に導入した官能基が分解するため好ましくない。また、ケークに凝析剤が含まれる場合は、乾燥温度を35℃以上とすることで、凝析剤を熱分解して容易に除去することができるし、表面処理シリカ粉末の解砕性も更に向上することができる。従って、乾燥温度は、35~200℃とすることが好ましく、80~180℃とすることがより好ましく、100~150℃とすることがとりわけ好ましい。
乾燥の方法は特に制限はされず、送風乾燥や減圧乾燥等の公知の方法を採用することが可能である。より解砕され易い傾向にあることから、減圧乾燥を採用することが好ましい。
乾燥時間は、特に制限はされず、乾燥時の条件、例えば乾燥温度や圧力等により適宜選択すれば良いが、一般的に2~48時間程度とすることにより、十分に乾燥した表面処理シリカ粉末を得ることができる。
また乾燥後に得られる表面処理シリカ粉末はかるく凝集している場合があるため、必要に応じて、ジェットミル、ボールミル等で解砕して最終製品としてもよい。なお当該解砕は、前記した乾式処理においても実施できる。
上述した本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末は、レーザー回折散乱法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50(以下、「メジアン径D50」ともいう。)が300nm以上500nm以下であることが好ましい。前記範囲を超えて大きい場合、樹脂組成物の粘度は低いものの、隙間に対してシリカ粒子径が大きすぎる結果、隙間浸透時にボイドが発生し、成型不良の原因となる。つまり、十分な狭ギャップ浸透性が得られない。一方、前記範囲を超えて小さい場合、樹脂組成物の粘度が高くなるため好ましくない。
前記レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布は、該表面処理シリカ粉末0.1gを電子天秤ではかりとり、エタノール約40mLを加え、超音波ホモジナイザーを用いて、出力40W、処理時間2分で分散させて得られる分散粒子の質量基準粒度分布である。
なお前記の通り、基材シリカ粉末の粒度特性は遠心沈降法で測定し、表面処理後のシリカ粉末の粒度特性はレーザー回折散乱法にて測定される。これは、表面処理のされていない基材シリカ粉末は親水性が高いため、水を分散媒として用いる遠心沈降法で測定する方がその粒度特性がより正確に測定でき、一方、表面処理により疎水化の程度があがっている表面処理シリカ粉末は、一般にエタノールなどのアルコール等の有機溶媒を分散媒として用いるレーザー回折散乱法が好適なためである。
粒度分布が適度に調節されている特性は、累積50質量%径50と累積90質量%径90との関係で、{(D90-D50)/D50}×100が25%以上かつ40%以下であることで特定される。なお、当該範囲が基材シリカ粉末の場合と異なるのは、遠心沈降法とレーザー回折散乱法の違いによるものであり、レーザー回折散乱法では粒度分布が相対的に狭く測定されるためである。前記式で示される粒度分布が40%を超える場合、粗粒が多いことを示し、よって樹脂組成物等とした場合のボイドの原因となる。一方、粒度分布が25%未満の場合、粒度分布が狭くなり低粘度化しないため好ましくない。より好ましくは、{(D90-D50)/D50}×100が25%以上かつ35%以下である。
さらに、本発明で得られる表面処理シリカ粉末は、レーザー回折法により得られる体積基準粒度分布の幾何標準偏差σが1.20以上、1.40以下の範囲であることが好ましい。前記幾何標準偏差σが小さいということは、粒度分布が狭いといえ、よって粗粒の量が低減されているといえる。しかしながら、ある程度の範囲の粒度分布が存在した方が、樹脂に添加した際の粘度を低減しやすい。
なお、幾何標準偏差σはレーザー回折散乱法により得られる質量基準粒度分布を累積頻度10wt%以上かつ90wt%以下の範囲で対数正規分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出される幾何標準偏差である。
前述したような方法により表面処理による凝集を生じさせないように処理すれば、前記基材シリカ粉末を用いることにより、上記のような各粒子径特性を有する表面処理シリカ粉末を得ることが可能である。
本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末は、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイス内の金属配線間の短絡を低減できるために好ましい。
また、本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末は、熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、各々のイオン含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイスの動作不良、半導体デバイス内の金属配線の腐食を低減できるために好ましい。
前記のような基材シリカ粉末を用い、表面処理剤として上記のような金属を含むものを用いず、一般的な金属不純物混入に対する注意を払って操作を行えば、上記のような各種金属不純物の少ない表面処理シリカ粉末が得られる。
また本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末を構成する粒子は球状であることが好ましい。当該形状は例えば、電子顕微鏡観察により把握できる。
一般に、表面処理を行うことによって電子顕微鏡観察で把握できる形状に変化を生じることはないため、基材シリカ粉末として球状のシリカ粉末を採用すれば、表面処理シリカにおいても同様に球状となる。
本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末は、前記のようなメジアン径D50等をもつため、通常はBET1点法により測定される比表面積が6m/g以上かつ14m/g以下程度である。
前記のような本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末の用途は特に限定されない。例えば、半導体封止材もしくは半導体実装接着剤の充填材、ダイアタッチフィルムもしくはダイアタッチペーストの充填材、または半導体パッケージ基板の絶縁膜等の樹脂組成物の充填材として使用できる。特に、本発明で得られる表面処理シリカ粉末は、高密度実装用樹脂組成物の充填材として好適に用いることができる。
表面処理シリカ粉末を配合する樹脂の種類は、特に限定されない。樹脂の種類は所望の用途により適宜選択すればよく、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂やオレフィン系樹脂、ポリイミド樹脂やポリエステル系樹脂等を挙げることができる。
樹脂組成物を製造する方法は、公知の方法を適宜採用すればよく、表面処理シリカ粉末と各種樹脂及び必要に応じて配合されるその他成分を混合すればよい。
本発明の製造方法で得られる表面処理シリカ粉末は、これを分散媒中に分散させて分散体とすることができる。分散体は、液体状の分散液であってもよく、このような分散液が固化等した固体状のものであってもよい。表面処理シリカ粉末を分散させるために使用される溶媒は、表面処理シリカ粉末が分散し易い溶媒であれば特に制限はない。
かかる溶媒としては、例えば、水ならびにアルコール類、エーテル類およびケトン類等の有機溶媒が利用できる。前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノールおよび2-プロピルアルコール等が挙げられる。溶媒として、水と、前記有機溶媒のいずれか1つ以上との混合溶媒を使用してもよい。なお、表面処理シリカ粉末の安定性および分散性を向上させるために、界面活性剤等の分散剤、増粘剤、湿潤剤、消泡剤または酸性もしくはアルカリ性のpH調製剤等の各種添加剤を加えてもよい。また分散体のpHは制限されない。
このような分散体を樹脂に混合する場合には、乾燥した状態のシリカ粉末を樹脂に混合する場合よりも、樹脂中でのシリカ粉末の分散状態が良好な樹脂組成物を得ることができる。粒子の分散状態が良好であるということは、樹脂組成物中に凝集粒子が少なくなることを意味する。そのため、本発明のシリカ粉末を充填剤として含む樹脂組成物の粘度特性と隙間浸透性との、両者の性能をさらに向上させることができる。
さらに本発明で得られる表面処理シリカ粉末は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨剤の砥粒、研削等に用いられる砥石用の砥粒、トナー外添剤、液晶シール材の添加剤、歯科充填材またはインクジェットコート剤等として使用することも可能である。
以下、本実施形態における実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
基材シリカ粉末及び表面処理シリカ粉末の各物性の測定・評価方法は以下の通りである。
(1)BET比表面積
柴田理化学社製比表面積測定装置SA-1000を用い、窒素吸着BET1点法によりBET比表面積S(m/g)を測定した。
(2)吸光度τ700
基材シリカ粉末0.3gと蒸留水20mlをガラス製のサンプル管瓶(アズワン社製、内容量30ml、外径約28mm)に入れ、超音波細胞破砕器(BRANSON社製Sonifier II Model 250D、プローブ:1.4インチ)のプローブチップ水面下15mmになるように試料入りサンプル管瓶を設置し、出力20W、分散時間15分の条件でシリカ粉末を蒸留水に分散させて、シリカ濃度1.5wt%水懸濁液を調製した。続いて、この水懸濁液をさらに蒸留水を加えて希釈し、濃度を20分の1にすることで、シリカを0.075wt%濃度で含有する水懸濁液を得た。
得られたシリカ濃度0.075wt%の水懸濁液の波長700nmの光に対する吸光度τ700を日本分光社製分光光度計V-630を用いて測定した。なお、測定に際して、前記水懸濁液の波長460nmの光に対する吸光度τ460も合わせて測定し、ln(τ700/τ460)/ln(460/700)で定義した分散性指数nも求めた。
(3)遠心沈降法による質量基準粒度分布
前記方法で得た、シリカ濃度1.5wt%水懸濁液を、CPS Instruments Inc.製のディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いて、質量基準粒度分布を測定した。なお測定条件は、回転数9000rpm、シリカ真密度2.2g/cmとした。
得られた質量基準粒度分布から累積50質量%径50と累積90質量%径D90を算出した。また、得られた質量基準粒度分布に対し、累積頻度10質量%以上かつ90質量%以下の範囲で対数正規分布フィッティングし、そのフィッティングから幾何標準偏差σを算出した。
(4)レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布
50mLのガラス瓶に表面処理シリカ粉末約0.1gを電子天秤ではかりとり、エタノールを約40ml加え、超音波ホモジナイザー(BRANSON製、Sonifier 250)を用いて、40W・10分の条件で分散させた後、表面処理シリカ粉末の平均粒子径(nm)及び変動係数をレーザー回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、LS 13 320)により測定した。ここで言う平均粒子径(nm)は体積基準累積50%径を意味する。
得られた質量基準粒度分布から累積50質量%径50と累積90質量%径D90を算出した。また、得られた質量基準粒度分布に対し、累積頻度10質量%以上かつ90質量%以下の範囲で対数正規分布フィッティングし、そのフィッティングから幾何標準偏差σを算出した。また、レーザー回折散乱法における5μm以上の粗粒に関し、5μm以上のシグナルの有無を確認した。
(5)嵩密度
ゆるめ嵩密度およびかため嵩密度は、ホソカワミクロン株式会社製の粉体特性評価装置パウダーテスターPT-X型を使用して測定した。本発明における「ゆるめ嵩密度」とは、疎充填の状態の嵩密度をいい、容積100mLの円筒容器(材質:ステンレス)へ試料を円筒容器の18cm上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定される。
一方、「かため嵩密度」とは、これにタッピングを加えて密充填にした場合の嵩密度をいう。ここで、タッピングとは、試料を充填した容器を一定高さから繰り返し落下させて底部に軽い衝撃を与え、試料を密充填にする操作をいう。具体的には、ゆるめ嵩密度を測定するために上面をすり切って秤量した後、さらにこの容器の上にキャップ(下記ホソカワミクロン社製パウダーテスターの備品)をはめ、この上縁まで粉体を加えてタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して容器の上面で粉体をすり切って秤量し、この状態の嵩密度をかため嵩密度とする。
(6)鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムの元素含有量
乾燥後のシリカ粉末または表面処理シリカ粉末2gを精秤して白金皿に移し、濃硝酸10mLおよびフッ酸10mLをこの順で加えた。これを200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して内容物を乾固した。室温まで冷却後、さらに濃硝酸2mLを加え、200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して溶解した。室温まで冷却後、白金皿の内容物である溶液を容量50mLのメスフラスコに移し、超純水で希釈して標線に合わせた。これを試料として、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、型番ICPS-1000IV)により、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムの元素含有量を測定した。
(7)熱水抽出法によるイオン含有量
超純水50gにシリカ粉末または表面処理シリカ粉末5gを添加し、フッ素樹脂製の分解容器を用いて120℃で24時間加熱し、イオンの熱水抽出を行った。なお、超純水およびシリカ粉末または表面処理シリカ粉末は0.1mg単位まで秤量した。続いて、遠心分離器を用いて固形分を分離し、測定サンプルを得た。なお、超純水のみで同じ操作を行い、これを測定に際してのブランク試料とした。
当該測定サンプル、およびブランク試料に含まれるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンの濃度を、日本ダイオネクス社製イオンクロマトグラフィーシステムICS-2100を用いて定量し、下記式を用いて算出した。
Silica=(CSample-CBlank)×MPW/MSilica
Silica:シリカ中のイオン濃度(ppm)
Sample:測定試料中のイオン濃度(ppm)
Blank:ブランク試料中のイオン濃度(ppm)
PW:超純水水量(g)
Silica:シリカ重量(g)
なお、各イオンのCBlankはすべて0ppmであった。
(8)電子顕微鏡観察
シリカ粉末を0.03g秤取し、30mlのエタノールに添加した後、超音波洗浄器を用いて、5分間分散させてエタノール懸濁液を得た。この懸濁液をシリコンウェハ上に滴下した後、乾燥させて、日立ハイテクノロジーズ製電界放射型走査電子顕微鏡S-5500を用いて、シリカのSEM観察を行い粒子形状の確認を行った。
(9)表面炭素量測定
燃焼酸化法(堀場製作所社製、EMIA-511)により表面処理シリカ粉末の炭素量(質量%)を測定した。具体的には、表面処理シリカ粉末試料を酸素雰囲気中で1350℃に加熱し、得られた炭素量を単位質量当たりに換算して求めた。なお、測定に供する表面処理シリカ粉末は、前処理として80℃で加熱し、系内を減圧にすることによって空気中で吸着した水分等を除いた後、前記炭素含有量の測定に供する。
(10)エポキシ樹脂を用いたシリカ粉末の分散性評価
基材シリカ粉末または表面処理シリカ粉末36gをビスフェノールA+F型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル製、ZX-1059)24gに加え、手練りした。手練りした樹脂組成物を自転公転式ミキサー(THINKY製、あわとり練太郎 AR-500)により予備混練した(混練:1000rpm、8分、脱泡:2000rpm、2分)。予備混練後の樹脂組成物を、25℃恒温水槽内にて保管後、三本ロール(アイメックス社製、BR-150HCV ロール径φ63.5)を用いて混練した。混練条件は、混練温度を25℃、ロール間距離を20μm、混練回数を8回として行った。得られた樹脂組成物を、真空ポンプ(佐藤真空製TSW-150)を用いて減圧下、30分間脱泡した。
前記混練樹脂組成物をレオメータ(Thermo Fisher Scientific社製、HAAKE MARS40)を用いてせん断速度1s-1で初期粘度(η)及び1週間後の粘度(η)を測定した。なお、測定温度は25℃および110℃、使用センサーはC35/1(コーンプレート型 直径35mm、角度1°、材質チタン)とした。
樹脂組成物作製時の粘度(η)及び1週間後の粘度(η)を用い、次式から粘度経時変化率を算出した。なお樹脂組成物の保管は25℃での静置とした。
粘度経時変化率[%]=((η-η)/η)×100
(11)熱硬化性樹脂を用いたシリカ粉末の分散性評価
基材シリカ粉末または表面処理シリカ粉末36gをビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル製、YDF-8170C)17gとアミン硬化剤(日本化薬製、KARAHARD A-A)7gの混合物に加え、手練りした。手練りした樹脂組成物を自転公転式ミキサー(THINKY製、あわとり練太郎 AR-500)により予備混練した(混練:1000rpm、8分、脱泡:2000rpm、2分)。予備混練後の樹脂組成物を、25℃恒温水槽内にて保管後、三本ロール(アイメックス社製、BR-150HCV ロール径φ63.5)を用いて混練した。混練条件は、混練温度を25℃、ロール間距離を20μm、混練回数を8回として行った。得られた樹脂組成物を、真空ポンプ(佐藤真空製TSW-150)を用いて減圧下、30分間脱泡した。
前記混練樹脂組成物をレオメータ(Thermo Fisher Scientific社製、HAAKE MARS40)を用いてせん断速度1s-1で初期粘度(η)及び1日後の粘度(η)を測定した。なお、測定温度は25℃、使用センサーはC35/1(コーンプレート型 直径35mm、角度1°、材質チタン)とした。ここで、樹脂組成物は25℃で保管した。
樹脂組成物作製時の粘度(η)及び1日後の粘度(η)を用い、次式から粘度経時変化率を算出した。
粘度経時変化率[%]=((η-η)/η)×100
(12)隙間浸透時のフローマークの有無
予め30μmのギャップになるように2枚のガラスを重ねて、110℃に加熱し、(10)と(11)で作製した混練樹脂組成物(作製時)の高温侵入性試験を行った。外観目視によるフローマークの有無を評価した。
(13)基材シリカ粉末の製造条件
図1に模式図を示した基本構造を有するバーナを用いて行った。ただし、実験例によりバーナの数が3本の場合がある。冷媒としては温水を流通させた。なお前述の定義に加え、表に示した製造条件における定義は以下の通りである。
酸素濃度
(中心管に導入した酸素のモル数)/(中心管に導入した酸素のモル数+中心管に導入した窒素のモル数)×100
RO
(中心管に導入した酸素のモル数)/(16×中心管に導入した原料のモル数)
SFL
(第1環状管に導入した水素のモル数)/(32×中心管に導入した原料のモル数)
除熱量
(温水の比熱)×(温水導入量)×(温水出口温度―温水入口温度)
また全ての実験例で温水を75℃で導入したため、温水入口温度=75℃である。温水の比熱としては1kcal/kgを用いた。なお、出口および入口は、ジャケット部(図示していない)における温水排出口および導入口である。
燃焼熱量
(導入した原料のモル数×原料の燃焼熱量)+(導入した水素のモル数×水素の燃焼熱量)
原料(オクタメチルシクロテトラシロキサン)の燃焼熱量として1798kcal/molを、水素の燃焼熱量として58kcal/molを用いた。
表1について、同心円3重管の中心管、第1環状管および第2環状管をそれぞれ単に中心管、第1環状管および第2環状管と記して説明する。Δは中心管の中心と別の中心管の中心との間の距離(前記正三角形の辺の長さ)であり、dは中心管の内径であり、Dは中心管の中心と反応器内壁との間の最短距離である。D/dが大きいほど、火炎と反応器内壁との間の距離が離れていることを意味する。
製造例1
バーナとして同一寸法である同心円3重管を3本用い、これらの中心が正三角形を構成するように配置し、これを取り囲むように円筒型の外筒を取り付けた。3本のバーナの中心部が反応器の中心に位置するように取り付けて実験を行った。
前記設定の下、下記のようにオクタメチルシクロテトラシロキサンを燃焼させ、基材シリカ粉末を製造した。
気化させたオクタメチルシクロテトラシロキサンと酸素と窒素を混合した後、200℃で同心円3重管の中心管に導入した。また、水素と窒素を混合し、同心円3重管の中心管の最隣接外周管にあたる第1環状管に導入した。さらに、酸素を同心円3重管の第1環状管の最隣接外周管にあたる第2環状管に導入した。くわえて、空気を同心円3重管の第2環状管外壁と同心円3重管を取り囲む外筒の内壁で構成される空間に導入した。反応器のジャケット部には、温水を75℃で導入した。
得られた基材シリカ粉末のBET比表面積、吸光度τ460、吸光度τ700、遠心沈降法による質量基準粒度分布、ゆるめ嵩密度、かため嵩密度、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、吸光度τ460と吸光度τ700とから分散性指数nを、遠心沈降法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表1に製造条件と得られた基材シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
製造例2~12
製造条件を表1に示したように変更し、製造例1と同様に基材シリカ粉末を製造した。表1に得られた基材シリカ粉末の物性を示す。なお、いずれの実施例においても、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、全て1ppm未満であった。
Figure 2021215285000001
(14)表面処理シリカ粉末の製造
実施例1
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(2.97kg)に対して、表面処理剤としてフェニルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-103、14.70g、25μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い2mL/minの速度で供給し、混合しながら室温から40℃まで20分で昇温後、60分間40℃で維持した。その後、150℃まで60分で昇温後、150℃で180分間維持した。熟成・混合を停止し冷却し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例1で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例2
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(2.24kg)に対して、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン(信越シリコーン製 SZ-31、16.76g、46.5μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い2.5mL/minの速度で供給し、混合しながら室温から150℃まで60分で昇温後、120分間150℃で維持した。その後、熟成・混合を停止し冷却し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例2で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例3
攪拌翼を備えた2Lのセパラブルフラスコに水1014gと製造例1で得た基材シリカ粉末424gを仕込み、25℃で撹拌した。ここに表面処理剤としてフェニルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-103、5.0g、60μmol/g)を滴下して混合し、90℃に昇温して6時間攪拌した。攪拌終了後、分散液を25℃に冷却してから減圧ろ過でシリカケークを回収し、120℃で15時間減圧乾燥して表面処理シリカ粉末376gを得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例3で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例4
攪拌翼を備えた5Lのセパラブルフラスコに90質量%のメタノール水溶液800gと製造例1で得た基材シリカ粉末800gを仕込み、25℃で撹拌した。ここに表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン(信越シリコーン製 SZ-31、240g、1.86mmol/g)を滴下して混合し、45℃に昇温して1時間撹拌してシリカ粒子の表面処理を実施した。さらに、凝析材として4質量%の炭酸水素アンモニウム水溶液360gを添加して2時間攪拌して熟成した。攪拌終了後、分散液を25℃に冷却してから減圧ろ過でシリカケークを回収し、120℃で15時間減圧乾燥して表面処理シリカ粉末760gを得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例4で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例5
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(3.00kg)、表面処理剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-403、20.55g、29μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い25℃にて2mL/min供給し、その後、25℃で120分間維持した。混合を停止し、粉末を回収後14日間25℃で熟成後、一晩50℃で真空乾燥し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例5で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例6
攪拌翼を備えた2Lのセパラブルフラスコに90質量%のエタノール水溶液1190gと製造例1で得た基材シリカ粉末510gを仕込み、50℃で撹拌した。ここに表面処理剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-403、34.9g、0.29mmol/g)を滴下して混合し、6時間撹拌してシリカ粒子の表面処理を実施した。攪拌終了後、分散液を25℃に冷却してから遠心分離でシリカケークを回収し、50℃で一晩減圧乾燥して表面処理シリカ粉末510gを得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例6で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例7
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(3.00kg)、表面処理剤としてN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-573、22.21g、29μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い25℃にて2mL/min供給し、その後、25℃で120分間維持した。混合を停止し、粉末を回収後14日間25℃で熟成後、一晩50℃で真空乾燥し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例7で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例8
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(3.00kg)、表面処理剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-503、21.60g、29μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い25℃にて2mL/min供給し、その後、25℃で120分間維持した。混合を停止し、粉末を回収後14日間25℃で熟成後、一晩50℃で真空乾燥し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例8で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
実施例9
表面処理混合器として、ロッキングミキサー(愛知電気製RM-30)を用い、製造例1で得た基材シリカ粉末(3.00kg)、表面処理剤としてビニルトリメトキシシラン(信越シリコーン製 KBM-1003、12.90g、29μmol/g)をペリスタポンプ(ATTA製 SJ-1211 II-H)を用い25℃にて2mL/min供給し、その後、25℃で30分間維持した。混合を停止し、粉末を回収後6時間120℃で熟成後、一晩25℃で真空乾燥し、表面処理シリカ粉末を得た。
得られた表面処理シリカ粉末のBET比表面積、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布、表面炭素量、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、当該表面処理シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、レーザー回折散乱法による質量基準粒度分布からメジアン径D50と累積90質量%径D90、幾何標準偏差σを算出した。
表2に実施例9で得られた表面処理シリカ粉末の特性を示す。また、Fe、Ni、Cr、Al、Na、KおよびClの含有量は、いずれも1ppm未満であった。
比較例1
製造例1で得られたシリカを表面処理せずに基材シリカ粉末として使用した。
Figure 2021215285000002
(エポキシ樹脂を用いたシリカ粉末の分散性評価)
実施例1~4、実施例7~9、比較例1において、樹脂との混練後、粘度測定を行った。得られた粘度測定の結果を表3にまとめた。
Figure 2021215285000003
(熱硬化性樹脂を用いたシリカ粉末の分散性評価)
実施例1、実施例5~7、比較例1において、樹脂との混練後、粘度測定を行った。得られた粘度測定の結果を表4にまとめた。
Figure 2021215285000004
(隙間浸透時のフローマークの有無)
実施例1~9、比較例1について、いずれの場合も顕著なフローマークは確認されなかった。
1.バーナ
2.円筒型外筒
3.反応器

Claims (9)

  1. 以下の条件(1)~(3)を全て満足するシリカ粉末を、表面処理剤と接触させることを特徴とする表面処理シリカ粉末の製造方法。
    (1)遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積50質量%径50が300nm以上、500nm以下であり、
    (2)ゆるめ嵩密度が250kg/m以上、400kg/m以下である。
    (3){(D90-D50)/D50}×100が30%以上かつ45%以下である。ここでD90は、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の累積90質量%径である。
  2. 前記シリカ粉末が、遠心沈降法により得られる質量基準粒度分布の幾何標準偏差σが1.25以上、1.40以下の範囲である、請求項1に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
  3. 前記シリカ粉末が、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満である、請求項1または2に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
  4. 前記シリカ粉末が、熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、各々のイオン含有量が1ppm未満である、請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
  5. 前記表面処理剤が、シランカップリング剤及びシラザン類からなる群から選択される少なくともいずれか1種である請求項1から4のいずれか1項に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
  6. 前記シランカップリング剤が、下記式(1)で示される化合物である請求項5に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
    -Si-X(4-n) (1)
    (上記式(1)中、Rは炭素数1~12の有機基であり、Xは加水分解性の基であり、nは1から3の整数である)
  7. 前記シラザン類が、アルキルシラザン類である請求項5に記載の表面処理シリカ粉末の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法にて製造された表面処理シリカ粉末が樹脂中に分散されてなる樹脂組成物。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法にて製造された表面処理シリカ粉末と、液体状の分散媒とを有するスラリー。
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