JP6901853B2 - 親水性乾式シリカ粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な親水性乾式シリカ粉末に関する。
近年、高集積、高密度化を目的とした半導体デバイスの小型化、薄型化に伴い、エポキシ樹脂組成物に代表される半導体封止剤や半導体実装接着剤に添加される充填剤の粒子径が小さくなっていく傾向があり、従来、該充填剤として、BET比表面積が5〜20m/g、1次粒子径換算で、粒子径が0.1〜0.6μm程度の非晶質シリカ粉末が用いられてきた。
しかしながら、上記BET比表面積を有する既存の非晶質シリカ粉末は、一般に凝集性が強いため、分散性が悪く、その結果、分散粒子径が大きく、さらに分散時の粒度分布が広い。斯様な非晶質シリカ粉末を用いた樹脂組成物は、充填剤由来の粗粒が存在し、成型時に隙間へ樹脂が十分に浸透しないという浸透不良を生じることがわかってきた。
上記隙間への浸透不良を解決するために、粒子径が小さい、即ち一次粒子径がさらに小さい非晶質シリカ粉末を充填剤として用いる、換言すれば、BET比表面積がさらに大きい非晶質シリカ粉末を充填剤として用いることが試みられてきた。具体的には、BET比表面積が20〜60m/gの範囲にある親水性乾式シリカ粉末が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、比表面積が上記範囲の如く大きくなると、粗粒による隙間への浸透不良は抑制されるものの、樹脂と充填剤との間の界面面積が大きくなり、樹脂と充填剤との間の摩擦が大きくなる結果、樹脂組成物の粘度が高くなり、高密度実装用途において課題が残されていた。
一方、BET比表面積が従来と同じ5〜20m/gの範囲にありながら、凝集性が著しく弱く、分散性に優れおり、分散粒子径が小さくて、なおかつ分散時の粒度分布が狭い親水性乾式シリカ粉末が提案されている(特許文献3)。この場合、隙間部への樹脂の浸透性は向上するものの、分散粒子径が小さいため、樹脂組成物への増粘効果を誘起し、これを充填した樹脂組成物の粘度が高くなる。加えて、粒度分布が狭すぎることによる高粘度化の影響もあり、特に高密度実装用への適用には限界がある。
特開2008−019157号公報 特開2014−028738号公報 特開2014−152048号公報
従って、本発明の目的は、BET比表面積が5〜20m/gであり、特異な分散性を有する親水性乾式シリカを提供することにある。さらに詳しくは、充填剤として用いた場合に、隙間浸透性に優れ、かつ粘度の低い樹脂組成物を得ることができる、親水性乾式シリカを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、火炎中で珪素化合物を燃焼させて得られる親水性乾式シリカにおいてバーナ、バーナを設置する反応器、さらに火炎条件等を変え、火炎中、および火炎近傍におけるシリカ粒子の成長や粒子の凝集等について、鋭意検討を行った結果、火炎条件のみならず、燃焼熱の系外への除熱量を調整することにより、前記目的を達成した特異な分散性を有する親水性乾式シリカ粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、BET比表面積が5〜20m/gの範囲である親水性乾式シリカ粉末であって、下記式(1)
10 ≦ τ700×S1.4 ≦ 20 ・・・(1)
(上記式中、τ700は親水性乾式シリカ粉末を0.075wt%濃度で含有させた水縣濁液の波長700nmの光に対する吸光度であり、Sは親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積(m/g)である。)
を満足し、かつ、熱水抽出法によって測定される塩化物イオン含有量が1ppm未満であることを特徴とする親水性乾式シリカ粉末である。
上記本発明の親水性乾式シリカ粉末において、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布のメジアン径D50が下記式(2)
1.0 ≦ D50/D 0.8 ≦ 1.2 ・・・(2)
を満足することが好ましい。
上記本発明の親水性乾式シリカ粉末において、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の幾何標準偏差σgが1.35以上、1.45以下の範囲であることが好ましい。
上記本発明の親水性乾式シリカ粉末において、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満であることが好ましい。
上記本発明の親水性乾式シリカ粉末において、熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、各々のイオン含有量が1ppm未満であることが好ましい。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、BET比表面積が5〜20m/gであるにもかかわらず、特異な分散性を有するため、該シリカ粉末を添加した樹脂組成物は優れた粘度特性と優れた隙間浸透性を両立できる。したがって、半導体封止剤や半導体実装接着剤の充填剤として好適である。特に、高密度実装用樹脂の充填剤として好適に用いることができる。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、珪素化合物を燃焼させることで生成し、火炎中および火炎近傍において成長、凝集させるシリカ粉末の製造方法、所謂、「乾式法」により得られる親水性シリカ粉末であり、BET比表面積が5〜20m/gの範囲にありながら、特異な分散性を有する。
特異な分散性とは、該親水性乾式シリカ粉末を0.075wt%濃度で含有させた水縣濁液の波長700nmの光に対する吸光度τ700とBET比表面積S(m/g)との間に、下記式(1)
10 ≦ τ700×S1.4 ≦ 20 ・・・(1)
の関係が成り立つことで特定される。
ここで、0.075wt%濃度の水縣濁液は、親水性乾式シリカ粉末を水に1.5wt%濃度で添加した後、分散機にて、出力20Wで15分間処理して得られる水縣濁液を、さらに水を加えて希釈し、濃度を20分の1とすることで調製される。分散器の例としてはBRANSON社製超音波破砕器Sonifier II Model 250Dが挙げられる。また、吸光度τ700は分光光度計で測定される。
一般に、水縣濁液中の分散粒子の粒子径が大きいほど、吸光度τ700は大きくなる。また、分散粒子のメジアン径が同じであっても、分散粒子の粒度分布が広いほど、吸光度τ700は大きくなる。つまり、吸光度τ700は分散時の分散粒子のメジアン径と粒度分布幅の両者を総合した分散性の総合評価指標になる。
本発明の親水性乾式シリカ粉末が、前記の関係10 ≦ τ700×S1.4 ≦ 20、を満たすということは、該シリカ粉末が特異な分散性、つまり、分散時に粘度を低く維持する粒子径を持ちながら、隙間浸透を阻害する粗大粒子を含まない特異な分散性を有することを意味する。この特異な分散性により、これを充填剤として添加した樹脂組成物は、粘度特性と隙間浸透性の両者で優れた性能を発揮する。
τ700×S1.4が小さいということは、分散粒子の粒子径が小さい、分散粒子の粒度分布が狭い、もしくは、分散粒子の粒子径が小さく粒度分布も狭いのいずれかであって、τ700×S1.4が10未満の場合、これを添加した樹脂組成物の粘度は高く、結果として、成型そのものが困難になる。
一方、 τ700×S1.4が大きいということは、分散粒子の粒子径が大きい、分散粒子の粒度分布が広い、もしくは、分散粒子の粒子径が大きく、さらに粒度分布も広いのいずれかであって、τ700×S1.4が20を超える場合、樹脂の浸透を阻害する粗大粒子を含むため、成型時に隙間へ十分に浸透しないという成形不良が発生する。
なお、高密度実装に伴う半導体デバイスの小型化、薄型化のトレンドを踏まえると、粘度よりも隙間浸透性がより優先され、10 ≦ τ700×S1.4 ≦ 15 の範囲であることが好ましく、11 ≦ τ700×S1.4 ≦ 15 の範囲であることがさらに好ましい形態である。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、前記特性を有するものであれば、その他の特性は特に制限されるものではないが、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布のメジアン径D50が下記式(2)を満足することは、さらに樹脂組成物の粘度特性と隙間浸透性とを両立させる上で好ましい。下記式(2)を満足することは、分散粒子としての粗大粒子が少なく、また、粘度上昇の原因となる粒子径の小さい分散粒子が少ないことを意味する。
1.0 ≦ D50/D 0.8 ≦ 1.2 ・・・(2)
ここで、Dは親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積換算径であり、非晶質シリカの真密度ρ(=2.2g/cm)と該親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積Sから下記式(3)を用いて求められる。
= 6/(ρ×S) ・・・(3)
なお、前記式(2)においては、メジアン径D50とBET比表面積換算径Dの単位は同じにせねばならない。
50/D 0.8 が上記範囲を超えて大きくなると粗粒の量が増加し、小さくなると、分散粒子径が小さい結果、増粘効果が誘起され好ましくない。
さらに、本発明の親水性乾式シリカ粉末は、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の幾何標準偏差σが1.35以上、1.45以下の範囲であることが好ましい。重量基準粒度分布の幾何標準偏差σが上記範囲であることにより、粗粒を含まないこうよう一方で低粘度になる粒度分布幅として好ましい。上記幾何標準偏差σが上記範囲を超えて大きいと粗粒の量が増加し、上記範囲を超えて小さいと粒度分布が狭く、樹脂に添加した際の粘度が高くなる。なお、幾何標準偏差σは遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布を累積頻度10wt%〜90wt%の範囲で対数正規分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出される幾何標準偏差である。
前記遠心沈降法による重量基準粒度分布は、該親水性乾式シリカ粉末を1.5wt%濃度で出力20W、処理時間15分で水中分散させて得られる分散粒子の重量基準粒度分布である。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイス内の金属配線間の短絡を低減できるために好ましい。
また、本発明の親水性乾式シリカ粉末は、熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、各々のイオン含有量が1ppm未満であることが、半導体デバイスの動作不良、半導体デバイス内の金属配線の腐食を低減できるために好ましい。
また、本発明の親水性乾式シリカ粉末は、その用途に応じて、シリル化剤、シリコーンオイル、シロキサン類、脂肪酸からなる群から少なくとも1種類選ばれる処理剤によって処理されなるシリカ粉末の基材、原体としても好適に使用できる。
以下、本発明の親水性乾式シリカ粉末の製造方法について説明する。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、珪素化合物を燃焼させることで生成し、火炎中および火炎近傍において成長、凝集せしめて親水性乾式シリカ粉末を得る乾式シリカの製造方法において、反応器内で発生する燃焼熱を系外への除去する除熱量を調整することで得られる。
本発明の親水性乾式シリカ粉末は、同心円多重管構造を有するバーナを多重管ジャケット構造有する反応器に設置し、火炎条件と冷却条件と除熱量を調整することで得られる。ここで、除熱量はバーナ寸法と反応器寸法の比に大きく依存する。
以下、典型例として、同心円3重管構造を有する外筒付きのバーナを、2重管ジャケット構造を有する円筒型反応器に設置した場合について詳述する。なお、前述の同心円3重管は1本単独でも、複数の同心円3重管を配置した多本式でも、どちらでもよい。多本式の場合、各同心円3重管を同一構造、同一寸法とし、同心円3重管の最近接中心間距離を同一とすることが本発明の親水性乾式シリカ粉末を得るにあたって、均一性の点で好ましい。また、前述の外筒をバーナの4番目の管とみなせば、バーナは全体として4重管構造を有するとみなせる。
前記3重管の中心管に気体状態にある珪素化合物と酸素を予め混合して導入する。この際、窒素等の不活性ガスも合わせて混合してもよい。なお、珪素化合物が常温で液体あるいは固体の場合、該珪素化合物を加熱することで気化して使用する。また、珪素化合物の加水分解反応でシリカを生成させる場合は、酸素と反応すると水蒸気を生成する燃料、例えば水素や炭化水素等を合わせて混合する。
また、前記3重管の中心管に隣接する第1環状管には、補助火炎形成のための燃料、例えば水素や炭化水素を導入する。この際、窒素等の不活性ガスを合わせて混合して導入してよい。さらに、酸素も合わせて混合してもよい。
さらに、前記3重管の第1環状管の外隣接する第2環状管には、酸素を導入する。この酸素は珪素化合物との反応によるシリカ生成ならびに補助火炎形成との2つの役割がある。この際、窒素等の不活性ガスを合わせて混合してもよい。
さらに、前記3重管外壁と前記外筒の内壁が構成する空間、3重管が1本の場合には第4環状管に相当する空間には、酸素と窒素等の不活性ガスの混合ガスを導入する。該混合ガスとして空気を用いるのは、容易であるため、好適な様態である。
2重管ジャケット構造を有する反応器の内側管には乾式シリカを含有する燃焼ガスが存在する。そして、該反応器の外側管には、燃焼熱を系外に除去するための冷媒を導入する。燃焼ガスは水蒸気を含有する場合が大半であるため、水蒸気の結露、それに続く燃焼ガス中の腐食成分が結露した水に吸収されることで引き起こされる反応器の腐食を防止するために、冷媒温度を50℃〜200℃にするのが、好適な様態である。実施の容易性を考えると、冷媒として50℃〜99℃の温水を利用することが、さらに好適な様態である。
本発明の親水性乾式シリカ粉末を得るには、以下に説明するように、燃焼熱の系外への除熱の量を調整することが特に重要である。本発明において、上記燃焼熱の系外への除熱の量は、燃焼熱量と除熱量の比である除熱量/燃焼熱量で特定することができる。上記除熱量/燃焼熱量が小さいということは、系外に熱が逃げず、シリカが生成、成長、凝集する領域、即ち火炎あるいは反応器内部に熱が籠り、生成した粒子の冷却が緩やかに進行することを意味する。本発明の親水性乾式シリカ粉末の特異な分散性はこの蓄熱により獲得される特性である。
上記燃焼熱量は珪素化合物の燃焼反応熱量、珪素化合物の加水分解反応熱量、補助火炎形成のために導入された燃料を含む全ての燃料の燃焼熱量、の合計のことである。従って、燃焼熱量は、バーナに導入する珪素化合物の種類とその導入量、そして燃料の種類とその導入量より算出される。
また、除熱量は、上記燃焼熱が反応容器の壁を伝って外部へ放熱される量であって、前述の2重管ジャケット構造を有する反応器を用いた場合を例に挙げると、反応器に導入した冷媒の種類とその導入量、そして冷媒の反応器出入口温度差から求めることができる。冷媒として温水を用いた場合で説明すると、温水量100kg/h、反応器温水入口温度80℃、反応器出口温度90℃のとき、除熱量は、1kcal/℃/kg×100kg/h×(90℃−80℃)=1000kcal/h=1Mcal/hと求められる。
本発明の親水性乾式シリカ粉末を得るにあたっては、生成した粒子の冷却が緩やかに進行させることが重要であって、除熱量/焼熱量が0.25以下(=25%以下)であることが好ましく、0.2以下(=20%以下)であることがより好ましい。
ところで、前記の除熱量/燃焼熱量は、バーナ寸法と反応器寸法の比に大きく依存する。具体的には、バーナを構成する同心円3重管の中心管の径をdとし、また、反応器内壁に最も近い同心円3重管の中心と反応器内壁との最短距離をDとする。このとき、dとDとの比、D/dが大きいほど、火炎と反応器内壁との距離が離れていることを意味し、該距離が離れているほど、火炎と反応器内壁との間の熱的相互作用が小さく、除熱量/燃焼熱量が小さくなる。
したがって、上記除熱量/焼熱量の調整手段のひとつとして、前記D/dを大きくすることができる。本発明において、D/dが、12以上であることが好ましく、15以上であることがさらに好ましい。
親水性乾式シリカ粉末の原料である珪素化合物としては、常温で気体、液体、固体であるものが特に制限なく使用される。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等の鎖状シロキサン、テトラメトキシシラン等のアルコキシシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン類を珪素化合物して使用することができる。
上記シロキサンおよびアルコキシシラン如く分子式中に塩素を含まない珪素化合物を使用することにより、得られる親水性乾式シリカ粉末に含有される塩化物イオンを著しく低減できるため好ましい。
親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積の調整は、珪素化合物の種類とその導入量、珪素化合物と混合する燃料の種類とその導入量、珪素化合物と混合する酸素の導入量、珪素化合物と混合する不活性ガスの種類とその導入量を調整することでなされる。
珪素化合物としてシロキサンを用い、これと酸素ならびに窒素を混合して同心円3重管の中心管に導入する場合で例示する。酸素濃度を酸素量/(酸素量+窒素量)、ROを、酸素量/シロキサンが完全燃焼するに必要な酸素量、で定義すると、酸素濃度が高いほど、BET比表面積は小さくなり、ROが大きいほどBET比表面積は大きくなる。
なお、バーナを構成する同心円3重管外壁とバーナの外筒の内壁が構成する空間、3重管が1本の場合には第4環状管に相当する空間に、導入するガスの種類とその導入量を調整することでも得られる親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積を調整することができる。実施が容易な空気を使用した場合、空気導入量を増量すれば、BET比表面積は増加する。所望のBET比表面積が得られるよう、実際に用いるバーナや反応器の寸法に応じて、上記要件を調整すればよい。
本発明の親水性乾式シリカ粉末の回収は特に限定されないが、焼結金属フィルター、セラミックフィルター、バックフィルター等によるフィルター分離やサイクロン等による遠心分離で燃焼ガスと分離させて回収することでなされる。
本発明を具体的に説明するために実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例における各種の物性測定は以下の方法による。
BET比表面積
柴田理化学社製比表面積測定装置SA−1000を用い、窒素吸着BET1点法によりBET比表面積S(m/g)を測定した。
さらにBET比表面積換算径Dは非晶質シリカの真密度ρ(=2.2g/cm)とBET比表面積Sから、下記式により算出した。
= 6/(ρ×S)
吸光度τ700
測定サンプルであるシリカ粉末を0.075wt%濃度で含有させた水縣濁液を以下のように調製した。
シリカ粉末0.3gと蒸留水20mlをガラス製のサンプル管瓶(アズワン社製、内容量30ml、外径約28mm)に入れ、超音波細胞破砕器(BRANSON社製Sonifier II Model 250D、プローブ:1.4インチ)のプローブチップ水面下15mmになるように試料入りサンプル管瓶を設置し、出力20W、分散時間15分の条件でシリカ粉末を蒸留水に分散させて、まず、シリカ粉末を1.5wt%濃度で含有する水縣濁液を調製した。続いて、この水縣濁液をさらに蒸留水を加えて希釈し、濃度を20分の1にすることで、測定に供する、シリカ粉末を0.075wt%濃度で含有する水縣濁液を得た。
得られた水懸濁液の波長700nmの光に対する吸光度τ700を日本分光社製分光光度計V−630を用いて測定した。なお、測定に際して、前記水縣濁液の波長460nmの光に対する吸光度τ460も合わせて測定し、n=ln(τ700/τ460)/ln(460/700)で定義した分散性指数nも求めた。
遠心沈降法による重量基準粒度分布
測定サンプルであるシリカ粉末を1.5wt%濃度で含有させた水縣濁液を以下のように調製した。
シリカ粉末0.3gと蒸留水20mlをガラス製のサンプル管瓶(アズワン社製、内容量30ml、外径約28mm)に入れ、超音波細胞破砕器(BRANSON社製Sonifier II Model 250D、プローブ:1.4インチ)のプローブチップ水面下15mmになるように試料入りサンプル管瓶を設置し、出力20W、分散時間15分の条件でシリカ粉末を蒸留水に分散させて、測定に供するシリカ粉末を1.5wt%濃度で含有する水縣濁液を調製した。
この後、CPS Instruments Inc.製のディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いて、重量基準粒度分布を測定した。なお測定条件は、回転数9000rpm、シリカ真密度2.2g/cmとした。
得られた重量基準粒度分布からメジアン径D50を算出した。また、得られた重量基準粒度分布に対し、累積頻度10wt%〜90wt%の範囲で対数正規分布フィッティングし、そのフィッティングから幾何標準偏差σを算出した。
鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムの元素含有量
ICP発光分光光度法により鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムの元素含有量を定量した。
熱水抽出法によるイオン含有量
超純水50gにシリカ粉末5gを添加し、テフロン(登録商標)分解容器を用いて120℃で24時間加熱し、イオンの熱水抽出を行った。なお、超純水およびシリカ粉末は0.1mg単位まで秤量した。続いて、遠心分離器を用いてシリカ固形分を分離し、測定サンプルを得た。なお、超純水のみで前記操作を行い、これを測定に際してのブランク試料とした。
該測定サンプル、及びブランク試料に含まれるナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンの濃度を、日本ダイオネクス社製イオンクロマトグラフィーシステムICS−2100を用いて定量し、得られた各イオン濃度と、測定サンプル調製の際に用いた超純水重量、シリカ粉末重量とからシリカ粉末のナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンの含有量をそれぞれ算出した。
電子顕微鏡観察
シリカ粉末を0.03g秤取し、30mlのエタノールに添加した後、超音波洗浄器を用いて、5分間分散させてエタノール縣濁液を得た。この縣濁液をシリコンウェハ上に滴下した後、乾燥させて、日立ハイテクノロジーズ製電界放射型走査電子顕微鏡S−5500を用いて、シリカのSEM観察を行った。
目開き5μmの電成篩を用いた湿式篩法での篩上残量
目開き5μmの電成篩(飯田製作所製)を用いて湿式篩を行い、篩網上の残分を定量し、5μm電成篩残量を求めた。なお、湿式篩は、事前に、日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−600Tを用いて、電流値250μA、分散時間3分の条件で、シリカを蒸留水に分散させた上で実施した(シリカ濃度3.3質量%水懸濁液)。
実施例1
同一寸法である同心円3重管を3本、前記同心3重管を取り囲む円筒型外筒を取り付けて、円筒型2重管ジャケット構造の反応器に設置した。前記同心円3重管の配置は、それらの中心が正三角形を構成する配置とした。また、前記正三角形の中心が反応器の中心軸上に位置するように、設置した。
前記設定の下、下記のようにオクタメチルシクロテトラシロキサンを燃焼させ、親水性乾式シリカ粉末を製造した。なお、以下、前記オクタメチルシクロテトラシロキサンを単に原料と記す。
気化させた原料と酸素と窒素を混合した後、200℃で同心円3重管の中心管に導入した。また、水素と窒素を混合し、同心円3重管の中心管の最隣接外周管にあたる第1環状管に導入した。さらに、酸素を同心円3重管の第1環状管の最隣接外周管にあたる第2環状管に導入した。くわえて、空気を同心円3重管の第2環状管外壁と同心円3重管を取り囲む外筒の内壁で構成される空間に導入した。
反応器の外管(外周管)に温水を75℃で導入した。
得られた親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積S、吸光度τ460、吸光度τ700、遠心沈降法による重量基準粒度分布、Fe含有量、Ni含有量、Cr含有量、Al含有量、Na含有量、K含有量、Cl含有量を測定した。また、電子顕微鏡観察により、該シリカ粉末を構成する1次粒子の形状を確認した。なお、測定されたBET比表面積SからBET比表面積換算径Dを、吸光度τ460と吸光度τ700とから分散性指数nを、遠心沈降法による重量基準粒度分布からメジアン径D50と幾何標準偏差σを算出した。
表1に製造条件を、表2に得られた親水性乾式シリカ粉末の特性を示す。
表1を同心円3重管の中心管、第1環状管、第2環状管をそれぞれ単に中心管、第1環状管、第2環状管と記して説明する。Δは中心管の中心と別の中心管の中心の距離(前記正三角形の辺の長さ)であり、dは中心管の内径であり、Dは中心管の中心と反応器内壁との間の最短距離である。また、酸素濃度は(中心管に導入した酸素のモル数)/(中心管に導入した酸素のモル数+中心管に導入した窒素のモル数)をパーセント表示したものであり、ROは(中心管に導入した酸素のモル数)/(16×中心管に導入した原料のモル数)である。さらに、RSFLは(第1環状管に導入した水素のモル数)/(32×中心管に導入した原料のモル数)であり、Rcmbtsは(第2環状管に導入した酸素のモル数)/(16×中心管に導入した原料のモル数)である。
くわえて、表1のFは、(同心円3重管の第2環状管外壁と同心円3重管を取り囲む外筒の内壁で構成される空間に導入した空気量)/(原料が燃焼することによって生成するシリカの量)、である。
また、表1の除熱量/燃焼熱量は除熱量を燃焼熱量で除した値である。
ここで、除熱量は、(温水の比熱)×(温水導入量)×(反応器出口温水温度―反応器入口温水温度)で算出される。前記した通り、温水を75℃で導入したため、反応器入口温水温度=75℃、である。また、温水の比熱として1kcal/kgを用いた。
一方、燃焼熱量は、(導入した原料のモル数×原料の燃焼熱量)+(導入した水素のモル数×水素の燃焼熱量)、である。なお、原料の燃焼熱量として1798kcal/molを、水素の燃焼熱量として58kcal/molを用いた。
実施例2〜6
製造条件を除き、実施例1と同一にした。表1に製造条件を、表2に得られた親水性乾式シリカ粉末の特性を示す。
Figure 0006901853
Figure 0006901853

比較例1
反応器の寸法を変えたことを除き、実施例1と同じ構造、寸法、配置とした。表3に製造条件を、表4に得られた親水性乾式シリカ粉末の特性を示す。なお、表3と表4の記号の定義は、それぞれ、表1と表2のそれと同じである。
比較例2〜4
実施例1〜6、比較例1と異なり、同心円3重管を1本のみを外筒付きで反応器に設置した。同心円3重管の中心管の内径は実施例1の同心円3重管の中心管の内径の2倍とした。なお。同心円3重管の中心管の中心が反応器の中心軸上に位置するように設置した。また、反応器は比較例1と同一のものを用いた。表3に製造条件を、表4に得られた親水性乾式シリカ粉末の特性を示す。
なお、比較例3のみ、第2環状管に酸素と窒素の混合ガスを導入した。該混合ガスの酸素濃度は61%であった。
比較例5〜6
市販の焼成した親水性ゾルゲルシリカ粉末(真密度2.2g/cm)について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表4に示す。
比較例7〜8
市販の親水性乾式シリカ粉末について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0006901853
Figure 0006901853

Claims (5)

  1. BET比表面積が5〜20m/gの範囲である親水性乾式シリカ粉末であって、下記式(1)
    10 ≦ τ700×S1.4 ≦ 20 ・・・(1)
    (上記式中、τ700は親水性乾式シリカ粉末を0.075wt%濃度で含有させた水縣濁液の波長700nmの光に対する吸光度であり、Sは親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積(m/g)である。)
    を満足し、かつ、熱水抽出法によって測定される塩化物イオン含有量が1ppm未満であることを特徴とする親水性乾式シリカ粉末。
  2. 遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布のメジアン径D50 (μm)が下記式(2)
    1.0 ≦ D50/D 0.8 ≦ 1.2 ・・・(2)
    (上記式中、DBは親水性乾式シリカ粉末のBET比表面積換算径(μm)である。)
    を満足することを特徴とする請求項1に記載の親水性乾式シリカ粉末。
  3. 遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の幾何標準偏差σgが1.35以上、1.45以下の範囲である請求項1または請求項2記載の親水性乾式シリカ粉末。
  4. 鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、各々の元素含有量が1ppm未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性乾式シリカ粉末。
  5. 熱水抽出法によって測定されるナトリウムイオン、カリウムイオン、各々のイオン含有量が1ppm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の親水性乾式シリカ粉末。
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