JP5232494B2 - シリカ粒子、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
−OR1 (1)
(一般式(1)において、R1は炭素数4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OSiR2 3 (2)
(一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。)
一次粒子径の変動係数(%)=一次粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
高分散粒子径の変動係数(%)=高分散粒子径の標準偏差/高分散粒子径平均値×100
R3 LSiR4 (4-L) (A)
(一般式(A)において、R3は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、R4は水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、Lは0〜3の整数を表す。)
R5 mSiR6 (4-m) (A1)
(一般式(A1)において、R5は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種の基を表し、R6はメトキシ基、およびエトキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
H−OR1 (B)
(一般式(B)において、−OR1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OR1 (1)
(一般式(1)において、R1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OSiR2 3 (2)
(一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。)
R7 nSiR8 (4-n) (A2)
(一般式(A2)において、R7は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、R8は水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、nは1〜3の整数を表す(好ましくは1又は2、より好ましくは1である。)。)
本発明に係る粒子は、シロキサン結合の三次元ネットワーク体であるシリカを主要構成とし、当該粒子の表面には、複数種のアルコキシ基と、一種または二種以上のオルガノシロキシ基とが表面に結合している。また、本発明に係るシリカ粒子表面は、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表面に有し、当該選択された一種または二種以上の基が、2原子または3原子の酸素原子と単結合しているSi原子に結合しているものが好適である。
上記アルコキシ基は、下記一般式(1)で表される一種または二種以上のアルコキシ基と、メトキシ基および/またはエトキシ基とである。表面に結合するアルコキシ基がメトキシ基および/またはエトキシ基だけのシリカ粒子は、その表面にオルガノシロキシ基が結合していても疎水性が不十分であり、オルガノシロキシ基と一般式(1)で表されるアルコキシ基だけが表面に結合しているシリカ粒子も同様である。本発明に係るシリカ粒子は、メトキシ基および/またはエトキシ基と一般式(1)で表されるアルコキシとの相乗効果により、優れた疎水性を発揮する。
一般式(1)において、R1は鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。この一般式(1)で表されるアルコキシ基は、炭素数が4〜18であり、6〜16であると好ましく、8〜14であると更に好ましい。アルコキシ基の炭素数が3以下であると、乾燥後のシリカ粒子の凝集力が強くなって、高分散粒子径平均値が大きくなる傾向がある。一方、アルコキシ基の炭素数が19以上であると、そのアルコキシ基を有するアルコールがシリカ粒子表面に残留することがあり、また、当該アルコールの沸点が比較的高いために乾燥除去し難い。
本発明に係るシリカ粒子の表面に結合しているオルガノシロキシ基は、下記一般式(2)で表されるオルガノシロキシ基である。
−OSiR2 3 (2)
一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。
上記の通り、本発明に係る粒子は、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表面に有し、当該選択された一種または二種以上の基が、2原子または3原子の酸素原子(好適には、3原子)と単結合しているSi原子に結合しているものが好ましい。その選択された基は、メチル基および/またはエチル基が好適である。また、シリカ粒子における当該基の量は、特に限定されないが、多いほど好ましい。
シリカ粒子の形状は、特に限定されないが、通常、真球形ないし略球形である。この粒子の最長直径に対する最短直径の比は、0.90以上が良く、0.92以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.98以上が更に好ましい。
高分散粒子径の変動係数(%)=高分散粒子径の標準偏差/高分散粒子径平均値×100
本発明に係るシリカ粒子は、所定のケイ素化合物を加水分解縮合させ、この加水分解縮合で得られた前駆体粒子と所定のアルコールとを接触させて、当該前駆体粒子の表面に所定のアルコキシ基を結合させ、更に、その粒子表面に所定のオルガノシロキシ基を結合させる方法により得られる。
縮合工程では、所定のケイ素化合物を加水分解縮合させることにより、メトキシ基および/またはエトキシ基が表面に結合している本発明に係るシリカ粒子の前駆体粒子(以下、当該前駆体粒子を「前駆体粒子(I)」と称することがある。)を調製する。なお、本縮合工程で得られる前駆体粒子(I)は、本発明に係るシリカ粒子とは異なり、上記一般式(1)で表される炭素数4〜18のアルコキシ基が表面に結合しているものではない。
R3 LSiR4 (4-L) (A)
一般式(A)において、R3は、置換基を有していても良いアルキル基(例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基)、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、炭素数が1〜10のアルキル基が選択されていることが好ましく、メチル基が特に好ましい。R4は、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表す。Lは、0〜3の整数を表す。
R5 mSiR6 (4-m) (A1)
一般式(A1)において、R5は、置換基を有していても良いアルキル基(例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基)、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種の基を表し、炭素数が1〜10のアルキル基が選択されていることが好ましく、メチル基が特に好ましい。R6は、メトキシ基、およびエトキシ基から選択された一種または二種以上の基を表す。mは、0〜2の整数であり、0または1が好ましく、0がより好ましい。
R7 nSiR8 (4-n) (A2)
一般式(A2)において、R7は、置換基を有していても良いアルキル基(例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基)、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、炭素数が1〜10のアルキル基が選択されていることが好ましく、メチル基が特に好ましい。R8は、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表す。nは、1〜3の整数を表し、1または2が好ましく、1がより好ましい。
H−OR1 (B)
一般式(B)において、R1は、上記一般式(1)と同じく、鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表し、この一般式(B)におけるR1は、炭素数が4〜18である。
上記一般式(C)において、R2は、上記一般式(2)におけるR2と同じであり、アルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R9は、アルコキシ基、水酸基、アシロキシ基、ハロゲン原子、または水素原子を表す。
本実施形態は、濃縮工程ではなく、濃縮工程と乾燥工程の間の濃縮された分散液にアルコールを混合することにおいてのみ第一実施形態の製造方法と異なる。つまり、第一実施形態では濃縮工程で実行される前駆体粒子(I)への−OR1基結合が、第二実施形態では乾燥工程において行われる。
シリカ粒子を必要とする広範な用途に本発明に係るシリカ粒子を適用できる。トナーの流動性を高める外添材として使用した場合、トナーの帯電量変化を抑えることができる。
シリカ粒子1gと、0.05N−NaOH水溶液50mlとを混合後、室温で10時間攪拌し、懸濁液を得た。この懸濁液を、1×105G以上、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を分取した。この上澄み液中のアルコキシ基を、水素炎イオン化検出器を備えるガスクロマトグラフを使用して定量分析し、その結果からシリカ粒子1gの表面に存在するアルコキシ基量を算出した。
SEM(日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S−3500N」)を使用し、50〜100個程度のシリカ粒子を確認できる1万倍率程度でこの試料観察像を無作為に5枚撮影し、全撮影像から確認できる一次粒子の直径を無作為に測定した。この測定値から、個数を基準にした平均粒子径を算出した。また、平均粒子径と、一次粒子径の標準偏差とを次式に当てはめ、一次粒子径の変動係数を求めた。
一次粒子径の変動係数(%)=シリカ粒子の一次粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
底部に攪拌子を置いた200ccのガラスビーカーに水50ccを投入し、その水面にシリカ粒子0.2gを置いた後、攪拌子を緩やかに回転させた。その後、ビーカー内の水中にビュレットの先端部を挿入し、このビュレットから水中にメタノールを徐々に導入した。この導入を、水面のシリカ粒子が完全に沈んだことを目視確認できるまで行なった。そして、疎水化度を次式に基づき求めた。
シリカ粒子1質量部と、キャリア粒子である平均粒子径100μmの鉄粉100質量部の混合物を、メノウ鉢内で5分間分散させた。この粉砕物2mgのブローオフ帯電量を、帯電量測定装置(京セラケミカル社製「TB200」)を使用して測定した。ここでの測定条件は、金網の目数を500メッシュ、ブロー圧を0.06kg、ブロー時間を30秒、とした。
シリカ粒子2質量部とメタノール100質量部の混合液を20分間攪拌した。この攪拌により得られた分散液について、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)を用いて計測した。得られた体積基準の粒度分布(単分散モード)の算術平均値をもって低分散粒子径平均値とした。
低分散粒子径平均値の算出と同様にして調製した分散液を超音波分散機で10分間以上処理することにより、分散液におけるシリカ粒子を高分散させた。その後、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920)を用いて得られた体積基準の粒度分布(単分散モード)の算術平均値をもって高分散粒子径平均値とした。また、高分散粒子径平均値と、高分散粒子径の標準偏差とを次式に当てはめて、高分散粒子径の変動係数を求めた。
高分散粒子径の変動係数(%)=高分散粒子径の標準偏差/高分散粒子径平均値×100
シリカ粒子におけるNa、K、Li、F、Clの各含有量を測定した。Na、K、Liの各元素の含有量は、JIS K 0121の原子吸光分析により分析を行った。F、Clの各元素の含有量は、JIS K 0127のイオンクロマトグラフにより分析を行った。
以下の縮合工程、濃縮工程、乾燥工程、表面処理工程、解砕・分級工程に従って、実施例1の粒子を調製した。
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量50Lの反応器に、メタノール17.6kgと25質量%アンモニア水(塩基性触媒の水溶液)3.55kgとを仕込み、反応器内の液温を40±0.5℃に調整しながら1時間攪拌した。このとき、テトラメトキシシラン11.2kgおよび水2.65kgの夫々を、攪拌開始から4時間掛けて反応器内に滴下した。以上の操作により、テトラメトキシシランの加水分解縮合で粒子状シリカ(前駆体粒子(I))が生じ、メタノールに前駆体粒子(I)が分散する液を調製した。この分散液から少量のシリカを採取し、これを乾燥後、SEM観察に基づき、前駆体粒子(I)の平均粒子径およびこの一次粒子径の変動係数を算出した(算出値は、後記表1参照)。なお、前駆体粒子(I)の平均粒子径、一次粒子径の変動係数は、後記表面処理工程を経て得られたシリカ粒子の平均粒子径、一次粒子径の変動係数と見て差し支えない。
攪拌機、滴下口、温度計、および熱媒加熱機能を備えた容量30Lの蒸発釜と、この蒸発釜からの蒸気を凝縮する凝縮器とを有する蒸発装置を使用し、次の手順で、上記縮合工程で得られた分散液の濃縮を行なうことにより、前駆体粒子(II)の分散液を得た。先ず、内部圧が常圧の蒸発釜にn−ブタノール18kgを仕込み、このブタノールを攪拌しながら熱媒温度を120℃に保持させつつ、蒸発釜の滴下口から上記分散液の全量を4時間掛けて蒸発釜内に送り込んだ。次に、蒸発釜内のメタノールと水とアンモニアを留出させた後、熱媒温度を160℃に設定し、蒸発釜からの全留出量が35.3kg、分散液中の固形分濃度が25質量%となった時点で、熱媒の冷却を開始した。
上記濃縮した分散液を、噴霧乾燥装置(ホソカワミクロン社製「CRUXシステム8B型」)を使用して気流乾燥させることにより、乾燥した前駆体粒子(II)を得た。使用した乾燥装置は、加熱水蒸気が供給されるジャケットで覆われた内径8mm,長さ8mのステンレス鋼管と、当該鋼管の一端部に濃縮された前駆体粒子(II)の分散液を供給する供給ポンプと、鋼管の他端部に接続され、かつ、前駆体粒子(II)および分散液の分散媒蒸気を分離するバグフィルタが設けられた内部減圧化可能な粉体捕集室と、を備えている。この乾燥装置の鋼管内では分散液が間接的に加熱されて分散媒が蒸発するとともに、その鋼管内の粉体捕集室側が減圧化して生じる気流により、鋼管内における分散液の拡散と凝縮した前駆体粒子(II)の解砕が促進される。鋼管を通過した前駆体粒子(II)は、バグフィルタにより捕集され、他方の分散媒蒸気は、バグフィルタ通過後凝縮され、そして乾燥装置外に排出される。この乾燥装置を使用した本実施例では、分散液の乾燥条件を、操作圧50torr、加熱管ジャケット温度170℃、粉体捕集室内温度150℃として、上記濃縮した分散液の全量17.7kgを乾燥した。得られた前駆体粒子(II)については、その表面の−OR基を定量した(当該定量値は、後記表1参照)。
加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製FM20J型)内で、乾燥した前駆体粒子(II)の表面をシリル化剤である信越シリコーン社製ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と称することがある)で処理した。ここで使用したヘンシェルミキサーは、前駆体粒子(II)等が仕込まれる容器と、当該容器内を攪拌するための回転攪拌羽と、前記容器内壁に沿って周回して該内壁の付着物を掻き落とすための付着物除去板と、を備える装置である。HMDSによる前駆体粒子(II)の表面処理は、次の手順で行なった。先ず、前駆体粒子(II)4kgをヘンシェルミキサーの常温の容器内に投入し、窒素ガスを1L/minで連続して吹き込みつつ、HMDS0.8kgを30分掛けて前駆体粒子(II)に向けて噴霧した。なお、ヘンシェルミキサーの回転攪拌羽の回転方向と、付着物除去板の周回方向とは逆方向とした。次に、1時間後に150℃になるように温度を徐々に昇温させた後、当該温度を3時間保持した。その後、HMDSで表面処理された前駆体粒子(II)(本実施例のシリカ粒子)を40℃にまで自然冷却させた後、このシリカ粒子をヘンシェルミキサーから取り出した。
HMDSで表面処理された上記シリカ粒子を、カウンタージェット粉砕分級機(ホソカワミクロン社製「Type:100型」、解砕圧:6g/cm3)を使用して解砕・分級した。
反応器に、メタノール11.75kgと28質量%アンモニア水3.40kgとを仕込み、反応器内の液温を25±0.5℃に調整すると共に攪拌を行ないながら、テトラメトキシシラン2.7kgを60分掛けて滴下した。次に、攪拌を1時間継続した後、反応器内に28質量%アンモニア水1.25kgを一括して添加し、更に1時間攪拌した。その後、テトラメトキシシラン11.4kgとメチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」と称することがある)0.6kgとの混合液を240分掛けて反応器内に滴下した。なお、MTMSには、信越シリコーン社製「KBM−13」を使用した。前記テトラメトキシシラン等の混合液の滴下と同時に、28質量%アンモニア水溶液1.1kgと水0.5kgとの混合液の滴下も行なった。これら滴下後、攪拌を2時間行うことで、前駆体粒子(I)の分散液を得た。その後、濃縮工程においてn−ブタノールを1−オクタノールに変更した以外は、実施例1と同様にして本実施例の粒子を得た。
濃縮工程を以下の通り行い、当該濃縮工程後の分散液に後記の通りアルコールを添加・攪拌したものを乾燥工程における処理対象とした以外は、実施例1と同様にして、本実施例の粒子を得た。
縮合工程を次の通り行った以外は、実施例1と同様にして本実施例の粒子を得た。攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量150Lの反応器に、エタノール73.84kg、25質量%アンモニア水28.75kg、および水2.5kgを仕込み、反応器内の液温を30±0.5℃に調整しながら1時間攪拌した。このとき、テトラエトキシシラン14kgを、攪拌開始から4時間掛けて反応器内に滴下した。
濃縮工程においてブタノールに替えて1−オクタノールを使用した以外は、実施例1と同様にして本実施例の粒子を得た。
表面処理工程を省き、かつ、濃縮工程を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして本比較例の粒子を得た。本比較例の濃縮工程では、先ず、蒸発釜に分散液の一部(20kg)を仕込み、この分散液を攪拌しながら熱媒温度を120℃に設定し、メタノールと水とアンモニアを蒸発させた。次に、3時間掛けて分散液の残りを蒸発釜内に送り込んだ後、蒸発釜からの全留出量が17.3kg、分散液中の固形分濃度が25質量%となった時点で、熱媒の冷却を開始した。
濃縮工程を以下の通りとした以外は、実施例1と同様にして本比較例の粒子を得た。本比較例における濃縮工程では、先ず、蒸発釜に分散液の一部(20kg)を仕込み、この分散液を攪拌しながら熱媒温度を120℃に設定し、メタノールと水とアンモニアを蒸発させた。次に、3時間掛けて分散液の残りを蒸発釜内に送り込んだ後、蒸発釜からの全留出量が17.3kg、分散液中の固形分濃度が25質量%となった時点で、熱媒の冷却を開始した。
縮合工程を次の通り行った以外は、実施例1と同様にして本比較例の粒子を得た。攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量50Lの反応器に、n−ブタノール17.2kg、25質量%アンモニア水11.0kg、および水1.0kgを仕込み、反応器内の液温を40±0.5℃に調整しながら5時間攪拌した。このとき、テトラブトキシシラン10.8kgを、攪拌開始から3時間掛けて反応器内に滴下した。
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量2Lの反応器に、メタノール395.5g、水23.7gおよび25質量%アンモニア水35.2gを仕込み、反応器内の液温を35±0.5℃に調整しながら8時間攪拌した。このとき、テトラメトキシシラン700.7gおよびテトラブトキシシラン77.1gからなる混合液と、5.4質量%アンモニア水265.1gとを攪拌開始から6時間掛けて反応器内に滴下した。以上の操作により、粒子状シリカが分散する液を調製した。この分散液を濃縮、乾燥して本比較例の粒子を得た。
(1)例えば、比較例2よりもアルコキシ基の全量が少ない実施例3、4の疎水化度が、比較例2の疎水化度よりも高いことから分かるように、本発明に係るシリカ粒子(実施例1〜4の粒子)は、疎水性に優れることを確認することができる。
(2)メチル基(置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された基であって、当該選択された一種または二種以上の基が、2原子または3原子の酸素原子と単結合しているSi原子に結合しているもの)が表面に結合しているシリカ粒子は、特に疎水化度が高いことを確認することができる(実施例2と、実施例1、3および4との対比)。
(3)テトラメトキシシランとテトラブトキシシランを同時に加水分解縮合させて得られたメトキシ基とブトキシ基とが表面に結合した比較例4の粒子では、その一次粒子径の変動係数が10.0%を超えていた。その一方で、上記ケイ素化合物(A1)を使用して前駆体粒子(I)を調製した後に上記一般式(B)で表されるアルコールを使用して前駆体粒子(II)を調製する工程を経ることにより得られた実施例のシリカ粒子は、一次粒子径の変動係数が10.0%以下であった。
Claims (9)
- メトキシ基および/またはエトキシ基と、下記一般式(1)で表されるアルコキシ基と、下記一般式(2)で表されるオルガノシロキシ基とが表面に結合し、一次粒子径の変動係数が10.0%以下であるシリカ粒子。
−OR1 (1)
(一般式(1)において、R1は炭素数4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OSiR2 3 (2)
(一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。) - 前記メトキシ基およびエトキシ基の量に対する前記一般式(1)で表されるアルコキシ基の量のモル比が、0.05以上、2.00以下である請求項1に記載のシリカ粒子。
- 置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表面に有し、当該選択された一種または二種以上の基が、2原子または3原子の酸素原子と単結合しているSi原子に結合している請求項1または2に記載のシリカ粒子。
- 平均粒子径が、0.01μm以上、2.00μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ粒子。
- 高分散粒子径の変動係数が、20.0%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ粒子。
- 下記一般式(A)で表されるケイ素化合物(A)を含み、かつ、該ケイ素化合物(A)に属する下記一般式(A1)で表されるケイ素化合物(A1)を少なくとも含む溶媒中で前記ケイ素化合物(A)を加水分解縮合させることにより、メトキシ基および/またはエトキシ基が表面に結合している前駆体粒子(I)を調製し、
前駆体粒子(I)と下記一般式(B)で表されるアルコールとを接触させて、前駆体粒子(I)の表面に下記一般式(1)で表わされるアルコキシ基を結合させることにより前駆体粒子(II)を調製し、
前駆体粒子(II)の表面に下記一般式(2)で表されるオルガノシロキシ基を結合させる請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
R3 LSiR4 (4-L) (A)
(一般式(A)において、R3は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、R4は水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、Lは0〜3の整数を表す。)
R5 mSiR6 (4-m) (A1)
(一般式(A1)において、R5は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種の基を表し、R6はメトキシ基、およびエトキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
H−OR1 (B)
(一般式(B)において、−OR1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OR1 (1)
(一般式(1)において、R1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OSiR2 3 (2)
(一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。) - 下記一般式(A)で表されるケイ素化合物(A)を含み、かつ、該ケイ素化合物(A)に属する下記一般式(A1)で表されるケイ素化合物(A1)を少なくとも含む溶媒中で前記ケイ素化合物(A)を加水分解縮合させる縮合工程と、
前記縮合により得られたメトキシ基および/またはエトキシ基が表面に結合している前駆体粒子(I)の分散液を濃縮する濃縮工程と、
濃縮した前記分散液を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥後に得られた前駆体粒子(II)の表面をシリル化剤で処理して、前駆体粒子(II)の表面に下記一般式(2)で表されるオルガノシロキシ基を結合させる表面処理工程とを有し、
前記縮合工程後から乾燥工程終了までに前記前駆体粒子(I)と下記一般式(B)で表されるアルコールとを混合し、前駆体粒子(I)の表面に下記一般式(1)で表されるアルコキシ基を結合させることにより前記前駆体粒子(II)を調製することを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
R3 LSiR4 (4-L) (A)
(一般式(A)において、R3は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、R4は水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、Lは0〜3の整数を表す。)
R5 mSiR6 (4-m) (A1)
(一般式(A1)において、R5は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種の基を表し、R6はメトキシ基、およびエトキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、mは0〜2の整数を表す。)
H−OR1 (B)
(一般式(B)において、−OR1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OR1 (1)
(一般式(1)において、R1は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基、環状アルキル基、またはアラルキル基を表す。)
−OSiR2 3 (2)
(一般式(2)において、R2はアルキル基、アリール基、およびアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表す。) - 前記縮合工程における溶媒中に塩基性触媒が含まれ、(塩基性触媒)/(ケイ素化合物(A))で算出されるモル比が0.5以上である請求項7に記載のシリカ粒子の製造方法。
- 前記縮合工程において、前記ケイ素化合物(A)に属する下記一般式(A2)で表されるケイ素化合物(A2)の一種または二種以上が溶媒に含まれている請求項7または8に記載のシリカ粒子の製造方法。
R7 nSiR8 (4-n) (A2)
(一般式(A2)において、R7は置換基を有していても良いアルキル基、アリール基、および置換基を有していても良いアルケニル基から選択された一種または二種以上の基を表し、R8は水酸基、メトキシ基、エトキシ基、およびアシロキシ基から選択された一種または二種以上の基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
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