JP6968631B2 - 疎水性シリカ粉末及びトナー樹脂粒子 - Google Patents

疎水性シリカ粉末及びトナー樹脂粒子 Download PDF

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Description

本発明は、疎水性シリカ粉末及びトナー樹脂粒子に関する。
従来、無機酸化物微粒子が様々な用途で用いられている。特に、シリカ粒子は化粧品、ゴム、研磨剤等の多様な用途で、強度向上、粉体の流動性向上、帯電特性の付与等を目的として、主成分、又は外添剤等の添加成分として用いられている。
上述のようなシリカ粒子として、屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のコロイダルシリカも優れたシリカ粒子であるが、トナー樹脂粒子の外添剤として用いることができる特性については検討されていない。シリカ粉末等のシリカ粒子は、デジタル複写機やレーザープリンター等に使用される静電荷像現像用トナー樹脂粒子において、その流動性改善や帯電特性の安定化等のために、トナー樹脂粒子の外添剤として用いられる。
トナー樹脂粒子には、熱負荷時の耐熱安定性に優れることが要求される。本発明者等は、外添剤の粒子径が大きいほどスペーサー効果が高くなるので、熱負荷時のトナー樹脂粒子の耐熱安定性が向上することに着目した。
しかしながら、トナー樹脂粒子は、外添剤の粒子径が大きいと帯電性能が低下するという問題がある。トナー樹脂粒子には、高い帯電性能を示すことが要求される。このため、トナー樹脂粒子に耐熱安定性を付与するために粒子径が大きいシリカ粒子を用いると、シリカ粒子の外添量を増やす必要があり、経済性に劣るという問題がある。
従って、粒子径が小さくても、樹脂粒子に十分な耐熱安定性を付与することができ、樹脂粒子に優れた耐熱安定性及び帯電性能を付与することができるシリカ粉末の開発が求められている。
国際公開第2010/035613号
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、粒子径が小さくても、樹脂粒子に十分な耐熱安定性を付与することができ、樹脂粒子に優れた耐熱安定性及び帯電性能を付与することができるシリカ粉末、並びに、耐熱安定性及び帯電性能に優れたトナー樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を特定の範囲の含有量で含有し、特定の範囲の体積平均粒子径及び疎水化度を示す疎水性シリカ粉末によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の疎水性シリカ粉末、及びトナー樹脂粒子に関する。
1.屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有する疎水性シリカ粉末であって、
前記疎水性シリカ粉末は、体積平均粒子径D50vが40nm以上300nm以下であり、且つ、疎水化度が50%以上であり、
前記疎水性シリカ粉末中の前記屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の20%以上である、ことを特徴とする疎水性シリカ粉末。
2.29Si−固体NMRスペクトルにおいて、15〜10ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークを示す、項1に記載の疎水性シリカ粉末。
3.下記針入度測定方法により測定される針入度d(mm)と、前記体積平均粒子径D50v(nm)との比d/D50vが、2.4以上である、項1又は2に記載の疎水性シリカ粉末。
(針入度測定方法)
(1)トナー樹脂粒子100質量部に対して、前記疎水性シリカ粉末を2質量部外添する。
(2)5℃、80%RHの条件下で24時間加熱する。
(3)24℃で2時間放冷し、針入度dを測定する。
4.項1〜3のいずれかに記載の疎水性シリカ粉末が樹脂粒子に外添されている、トナー樹脂粒子。
本発明の疎水性シリカ粉末は、粒子径が小さくても、樹脂粒子に十分な耐熱安定性を付与することができ、樹脂粒子に優れた耐熱安定性及び帯電性能を付与することができる。また、本発明のトナー樹脂粒子は、当該疎水性シリカ粉末が樹脂粒子に外添されているので、耐熱安定性及び帯電性能に優れている。
以下、本発明の疎水性シリカ粉末、及びトナー樹脂粒子について詳細に説明する。
1.疎水性シリカ粉末
本発明の疎水性シリカ粉末は、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有する疎水性シリカ粉末であって、上記疎水性シリカ粉末は、体積平均粒子径D50vが40nm以上300nm以下であり、且つ、疎水化度が50%以上であり、上記疎水性シリカ粉末中の上記屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の20%以上である。
上記特徴を有する疎水性シリカ粉末は、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を上記範囲の含有量で含有しており、体積平均粒子径D50vが上記範囲であるので、樹脂粒子に十分に外添することができる。このため、シリカ粉末の体積平均粒子径が大きくなくても、樹脂粒子に高い耐熱性を付与することができる。また、体積平均粒子径が大きい疎水性シリカ粉末を用いる必要がないため、樹脂粒子の帯電性の低下が抑制されており、樹脂粒子に高い帯電性能を付与することができる。更に、本発明の疎水性シリカ粉末は、疎水化度が上記範囲であるので、樹脂粒子に十分に外添することができることとあいまって、樹脂粒子に高い疎水性を付与することができる。
疎水性シリカ粉末は、体積平均粒子径D50vが40nm以上300nm以下である。体積平均粒子径D50vが40nm未満であると、樹脂粒子に十分な耐熱安定性を付与できない。また、体積平均粒子径D50vが300nmを超えると、樹脂粒子に十分な帯電性能を付与できない。体積平均粒子径D50vは、50nm以上250nm以下が好ましく、60nm以上200nm以下がより好ましい。
なお、本明細書において、上記体積平均粒子径D50vは、走査型電子顕微鏡(SEM 日本電子株式会社製:JSM−6700)により、倍率20万倍の条件で疎水性シリカ粉末中の一次粒子100個以上を観察し、二次粒子の画像解析によって得られた円相当径の累積頻度における50%径(D50v)である。
疎水性シリカ粉末は、疎水化度が50%以上である、疎水化度が50%未満であると、樹脂粒子に十分な帯電性能を付与できない。上記疎水化度は、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。また、上記疎水化度は高い程よく、上限値は特に限定されないが、100%以下が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が更に好ましい。
なお、本明細書において、上記疎水化度は、以下の方法により測定される。すなわち、200mLのビーカーに純水50mLを入れ、疎水性シリカ粉末0.2gを添加し、マグネットスターラーで撹拌して、疎水性シリカ粉末の分散液を調製する。メタノールを入れたビュレットの先端を分散液中に入れ、撹拌下でメタノールを滴下して、疎水性シリカ粉末が完全に水中に分散するまでに要したメタノールの添加量を測定してYmLとし、以下の式に基づいて疎水化度を算出する。
[疎水化度(%)]=[Y/(50+Y)]×100
本発明の疎水性シリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、15〜10ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークを示すことが好ましい。上記範囲内に化学シフトの中心値を有するピークを示すことにより、疎水性シリカ粉末の表面がトリメチルシリル基で修飾されており、疎水性シリカ粉末がより疎水性に優れ、樹脂粒子に、より一層優れた帯電性能を付与することができる。
29Si−固体NMRスペクトルにおいて、上記15〜10ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークは、M構造に由来するピークである。M構造に由来するピーク強度は、Q2構造、Q3構造、及びQ4構造のピーク強度の合計に対して、1%以上のピーク強度をもつことが好ましい。29Si−固体NMRスペクトルにおいて、上記Q2構造、Q3構造、及びQ4構造に由来するピークは、それぞれ順に、−90〜−93ppm、−100〜−102ppm、及び−110〜−112ppmに化学シフトの中心値を有するピークとして、表わすことができる。
なお、本明細書において、上記29Si−固体NMRスペクトルは、4mm HXMASプローブを備えたJNM―ECX400(日本電子株式会社製)を用い、固体NMR試料管 4mm、サンプル量 70μL、測定核種 29Si(79.4MHz)、回転速度 8kHz、温度 21℃、測定モード CPMAX、繰り返し時間 3.10sec、積算回数 2000回、外部標準 シリコンゴム(−22.333ppm)の条件で測定される。
本発明の疎水性シリカ粉末は、下記針入度測定方法により測定される針入度d(mm)と、上記体積平均粒子径D50v(nm)との比d/D50vが2.4以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましい。d/D50vが上記範囲であることにより、本発明の疎水性シリカ粉末が、粒子径が小さくても、樹脂粒子により一層十分な耐熱安定性を付与することができる。また、d/D50vの上限は特に限定されず、4.0程度である。
(針入度測定方法)
(1)樹脂粒子100質量部に対して、疎水性シリカ粉末を2質量部外添する。
(2)55℃、80%RHの条件下で24時間加熱する。
(3)24℃で2時間放冷し、針入度dを測定する。
本発明の疎水性シリカ粉末は、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有する。ここで、屈曲構造とは、3つ以上の粒子が一列に結合してできた粒子で直線ではない構造をいう。また、分岐構造とは、4つ以上の粒子が結合した粒子であって一列ではない(枝を有する)構造をいう。
上記屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子は、ケイ酸アルキルを原料として得られるシリカ二次粒子であることが好ましい。原料のケイ酸アルキルとしては、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)が好ましい。
本発明の疎水性シリカ粉末中の屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の20%以上である。20%未満であると、樹脂粒子に十分な耐熱安定性及び帯電性能を付与することができない。上記含有量は、25%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。また、上記含有量の上限は特に限定されず、50%程度である。なお、上記疎水性シリカ粉末中の屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、より具体的には、疎水性シリカ粉末の二次粒子100個以上を走査型電子顕微鏡(SEM)により20万倍での任意の視野内で観察し、カウントした屈曲・分岐粒子数の全粒子数に対する比率として算出される。
屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の同視野内の粒子のアスペクト比の平均値(平均アスペクト比)は、好ましくは1.5以上5未満である。平均アスペクト比が5を超えると、粘度上昇等により取扱いにくくなり、ゲル化するおそれがある。
上記屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子は、1)ナトリウム、2)カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれるアルカリ土類金属並びに3)鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる重金属類の含有量がそれぞれ1質量ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、ナトリウム、アルカリ土類金属及び重金属類の含有量がそれぞれ1質量ppm以下であることが好ましい。なお、本発明において、重金属類は、密度が4g/cm以上の金属元素を示す。アルカリ土類金属及び重金属類の含有量は、金属元素ごとの含有量を意味する。
本発明の疎水性シリカ粉末の飽和水分量は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。飽和水分量の上限が上記範囲であることにより、疎水性シリカ粉末が、樹脂粒子により一層優れた帯電性能を付与することができる。また、飽和水分量の下限値は特に限定されず、0.01%程度である。
なお、本明細書において、上記飽和水分量は、以下の方法により測定される。すなわち、疎水性シリカ粉末を2時間真空乾燥した後、真空乾燥後の疎水性シリカ粉末2gをシャーレへ精秤し、60℃、80%RHで48時間前処理する。次いで、水分気化装置ADP−611(京都電子工業製)、カールフィッシャー水分計MKV−710(京都電子工業製)を用いて10分間滴定を行い、2回測定した平均値を飽和水分量とする。
2.疎水性シリカ粉末の製造方法
本発明の疎水性シリカ粉末を製造する方法としは特に限定されず、例えば、
(1)屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカを調製する工程I、
(2)上記コロイダルシリカを疎水化して、疎水化コロイダルシリカを調製する工程II、及び、
(3)上記疎水化コロイダルシリカを乾燥、粉砕して粉末化する工程III
を有する製造方法が挙げられる。以下、上記製造方法について説明する。
(工程I)
工程Iは、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカを調製する工程である。
上記屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子は、蒸留精製により高純度に精製可能なケイ酸アルキルをシリカ原料として製造することが好ましい。より好ましくは、シリカ原料として、高純度に精製可能で、かつ反応性が高く、常温で無触媒でも容易に加水分解されるテトラメチルオルトシリケート(TMOS)を用いることができる。
より具体的には、工程Iは、以下の工程を含む。
1)アルカリ触媒及び水を含むアルカリ性の母液を調製する工程i及び
2)ケイ酸アルキルを加水分解して得られる加水分解液を前記母液に添加する工程ii
なお、上記前記加水分解液を前記母液に添加する工程iiは、
A)混合液のpHが7未満となるまで前記加水分解液を添加する工程1
B)混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程2及び
C)混合液のpHを7以上に維持しながら前記加水分解液を添加する工程3
を順に有する。
以下、より詳細に説明する。
工程i(母液調製工程)
母液調製工程では、アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する。例えば、水にアルカリ触媒を添加することにより母液を調製すれば良い。
アルカリ触媒は、公知のアルカリ触媒を用いることができるが、特に金属不純物の混入を回避するという点で金属成分を含まない有機系塩基触媒が好適である。このような有機系塩基触媒としては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラメチルグアニジン等の含窒素有機系塩基触媒が挙げられる。好ましくは、添加工程の温度範囲(加熱)で揮散しない、揮発性の低い有機系塩基触媒が好ましい。揮散する塩基の場合、連続的に添加して系内pHを維持してもよい。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
アルカリ触媒の添加量は、母液のpHが通常7〜14の範囲内になるように適宜設定することが好ましい。pH9〜12がより好ましく、pH9〜11が更に好ましい。
アルカリ触媒量が少ないと、酸性移行時に生成している粒子が小さく、酸性状態で凝集させても、十分な異形化が図れないおそれがある。すなわち、粒径が小さすぎる場合、粒子成長過程で異形状態が緩和されてしまうおそれがある。また、アルカリ触媒量が多いと、酸性移行時に生成している粒径が大きくなり、酸性状態で凝集が起こりにくくなり、十分な異形粒子が得られなくなるおそれがある。
後記のケイ酸アルキルの加水分解液を添加する際に、母液を加熱しておくことが好ましい。特に、母液を加熱することにより水リフラックス(水還流)状態とすることが望ましい。リフラックスは、公知の装置を用いて実施することができる。反応温度は、より高温であるほど緻密粒子が得られる。従って、添加工程は、より高温度でリフラックスできるよう加圧状態で実施しても良い。この場合には、例えばオートクレーブ等の公知の装置を使用することができる。
工程ii(添加工程)
添加工程では、ケイ酸アルキル(好ましくはテトラメチルオルトシリケート)の加水分解液(以下単に「加水分解液」ともいう。)を前記母液に添加する。
加水分解液は、ケイ酸アルキルを純水で加水分解して調製する。具体的には、ケイ酸アルキルとしてテトラメチルオルトシリケートを用いる場合には、メトキシ基に対し1倍当量以上の水を加えて、下記反応を行わせて活性ケイ酸アルキル溶液を調製する。
Si(OMe)+4HO → Si(OH)+4MeOH
(但し、Meは、メチル基を示す。)
ケイ酸アルキルの加水分解液は、公知の方法によって調製することができる。例えば、水にケイ酸アルキルを加え、攪拌すれば良い。このようにして得られた反応液では、1〜2時間程度で加水分解が進行し、所定の加水分解液を得ることができる。
ケイ酸アルキルは、加水分解することで不揮発性のケイ酸オリゴマーとなるため、より高温での粒子成長反応が可能となり、より緻密な粒子を調製する点で有利である。
ケイ酸アルキルの水への添加量は、最終的に得られる加水分解液のシリカ濃度が通常1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜6質量%となるように設定する。これにより、ケイ酸アルキル加水分解液のゲル化を防止しつつ、効率的にシリカ粒子を成長させることが可能となる。
上記製造方法では、必要に応じてケイ酸アルキルと水を相溶させるために、反応液中に相溶化溶媒として一部の水に代えて水溶性有機溶媒を含有させることもできる。水溶性有機溶媒の一例としては、アルコール類が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(特に炭素数1〜3のアルコール)を例示することができる。水溶性有機溶剤の含有量は特に限定的ではないが、通常は反応液中0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%程度とすれば良い。
ケイ酸アルキル加水分解液は保存性が低いので、固形分濃度に応じて2〜10時間毎に調製するか又は連続調製しながら加水分解液の供給を継続すれば良い。保存性は、前記の相溶化溶媒の添加で改善されるので、この面も考慮して相溶化溶媒の添加量を決定する。また、加水分解液は、保存温度が低いほど安定性が増すので、加水分解液調製後、凍結しない範囲で、冷却することも有効である。
上記製造方法では、加水分解は、触媒の存在下であっても良いし、無触媒下で実施しても良い。触媒を使用する場合は、酸触媒として硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等の無機酸又は有機酸、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸を使用すれば良い。特に、本発明では、Cl、NO 、SO 2−等の陰イオン不純物の混入を回避するという見地より、無触媒下で加水分解することが望ましい。特にテトラメチルオルトシリケート(TMOS)は、常温/無触媒でも加水分解され易く、これらの腐食性陰イオン不純物を1ppm未満とすることができる。
上記製造方法では、上記工程ii(添加工程)は、具体的には、
A)混合液のpHが7未満となるまで前記加水分解液を添加する工程1
B)混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程2及び
C)混合液のpHを7以上に維持しながら前記加水分解液を添加する工程3
を順に有する。つまり、アルカリ性の母液に加水分解液を添加して一旦混合液のpHを7未満(酸性領域)とした後、アルカリ水溶液を添加して混合液のpHを7以上に戻し、その後はpHを7以上に維持しながら(即ちアルカリ水溶液を添加しながら)加水分解液の添加を継続する。なお、アルカリ水溶液を添加して混合液のpHを7以上に戻す工程(工程2)では加水分解液の添加を中止するか又は添加を少量とすることが好ましい。以下、工程毎に説明する。
工程1は、混合液のpHが7未満となるまで前記加水分解液を添加する。pHの下限値は限定的ではないが、混合液の過度のゲル化を抑制する点では、pHは6以上とすることが好ましい。つまり、工程1では混合液のpHを6以上7未満に調整することが好ましい。より好ましくは、6.3以上7未満である。pHを低下させ過ぎると、異形の度合は大きくなるが、濾過性の低下や粘度上昇、ゲル化が起こるおそれがある。
上記製造方法では、水とアルカリ触媒からなる母液中で、種粒子が先ず形成され、その後粒子成長が開始すると考えられる。種粒子の形成個数は、初期に添加されるケイ酸アルキルの加水分解液の量(濃度)によって決定されることから、工程1における母液仕込み重量とケイ酸アルキルの加水分解液の添加速度の比がパラメーターとなる。加水分解液の添加速度は、加水分解液の濃度、所望のコロイド粒子の粒径等によって異なるが、緻密なシリカ粒子が形成されるのに十分な速度とすればよい。好ましくは、0.7〜41gシリカ/時/kg母液である。ここで、「gシリカ」はシリカの重量を示し、「kg母液」は母液の重量を示す。添加速度が速い場合は、生成する種粒子数が増加し、より小さい粒径で酸性化する。従って、異形化度合は大きくなるが、一方、pHの制御が難しくなる。粒径が小さすぎる場合、前記したように、粒子成長過程で異形状態が緩和されてしまう。逆に、添加速度が遅いと、生成する種粒子数が減少し、より大きい粒子で酸性化する。従って、異形化度合は低くなるが、一方pH制御は容易となる。工程1での添加速度は、これらを勘案して決定すれば良い。
工程2は、混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程である。アルカリ水溶液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、水の沸点で容易に揮発しない有機アミン等が使用できる。なお、汚染の原因となるNaOH、LiOH等は避けることが望ましく、具体的にはTMAHが好ましい。工程1、2において、混合液のpHが7未満である時間が0.5〜5時間となるように実施することが好ましい。工程2において、加水分解液の添加は行っても行わなくても良い。すなわち、工程1で、加水分解液を添加し、所定のpHまで低下させ、添加を中止して、所定の時間酸性状態のpHを維持させ、種粒子を凝集させる。次に、アルカリ水溶液を添加して、再度アルカリ側とする。アルカリ水溶液の添加は、徐々に行っても、また、一括して添加してもよい。
工程3は、混合液のpHを7以上に維持しながら上記加水分解液を添加する工程である。ここでは、好ましくはアルカリ水溶液を添加しながら加水分解液の添加を再開する。加水分解液の添加速度は、好ましくは、0.7〜41gシリカ/時/kg母液である。ケイ酸アルキルの加水分解液の母液への添加は、所望の粒径のコロイド粒子に成長するまで継続する。粒子成長により、本発明の屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカが得られる。添加速度が速すぎる場合は、シラノール基が残存し、粒子が緻密にならない状態で粒子が成長してしまい、残存シラノール基数が増加する為、29SiCP/MASNMRピーク面積値が増大するおそれがある。また、粒子表面への析出が間に合わず、新しく微粒子が形成され粒度分布が広くなり、下記式(1)によって計算されるCV値が増加するか、全体がゲル化するおそれがある。
CV=(SD/D)×100 (1)
(但し、SDは標準偏差、Dは平均粒子径を示す。)
所定の粒径をもつコロイド粒子が生成すれば、加水分解液の添加を中止する。必要に応じて、反応液内に残存するアルコールを蒸留等により除去しても良い。この場合、連続的に水溶性有機溶媒(アルコール等)を除去することにより、反応温度の低下を回避することができる。また、添加工程における多量の水溶性有機溶媒(アルコール等)の存在は、ケイ酸アルキルを溶解させる等、シリカの析出を妨げる現象が観察されるため、余分な水溶性有機溶媒(アルコール等)は速やかに系外に留去することが好ましい。系外に留去することで、後述する濃縮を同時に進行させることもできる。反応終了時点で、固形分濃度を25%以上に濃縮することが可能である。
次いで、必要に応じて、反応液を濃縮する。濃縮に先立って、必要に応じて、系内に残存する微量の水溶性有機溶媒(アルコール等)を予め除去することもできる。
反応液を濃縮する場合は、温度(系内温度)が100℃に達し、蒸気温度も100℃に達し、水溶性有機溶媒の除去終了を確認したら、そのまま所定の固形分濃度になるまで濃縮する。濃縮方法としては、例えば蒸留濃縮法、膜濃縮法等の公知の濃縮方法を採用することができる。濃縮物は、所定のフィルターでろ過し、粗大粒子、異物等を除去した後、そのまま各種の用途に使用することができる。
以上説明した工程Iにより、屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカが調製される。
(工程II)
工程IIは、上記コロイダルシリカを疎水化して、疎水化コロイダルシリカを調製する工程である。
コロイダルシリカを疎水化する方法としては、工程Iで調製されたコロイダルシリカにオルガノシラザンを添加し、加熱する方法が挙げられる。
オルガノシラザンとしては特に限定されず、公知のオルガノシラザンを用いることができる。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手性の点で、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
上記オルガノシラザンは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
オルガノシラザンの添加量は特に限定されず、工程Iにより得られるコロイダルシリカを100質量部として、5〜15質量部が好ましく、7〜13質量部がより好ましい。
加熱温度は特に限定されず、45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。また、加熱温度の上限は特に限定されず、90℃以下が好ましい。
工程IIでの加熱時間は特に限定されず、10〜300分が好ましく、30〜240分がより好ましい。
以上説明した工程IIにより、コロイダルシリカが疎水化されて、疎水化コロイダルシリカが調製される。
(工程III)
工程IIIは、上記疎水化コロイダルシリカを乾燥、粉砕して粉末化する工程である。
疎水化コロイダルシリカを乾燥させる方法としては特に限定されず、従来公知の乾燥方法により乾燥させればよい。このような乾燥方法としては、例えば、乾燥器を用いて100〜130℃の温度で180〜480分間加熱する乾燥方法が挙げられる。
乾燥されたコロイダルシリカを粉砕する方法としては特に限定されず、従来公知の粉砕方法により粉砕すればよい。このような粉砕方法としては、ジェットミル等が挙げられる。
以上説明した工程IIIにより、上記疎水化コロイダルシリカが乾燥、粉砕されて、粉末化され、疎水性シリカ粉末が製造される。
3.トナー樹脂粒子
本発明のトナー樹脂粒子は、上記疎水性シリカ粉末が樹脂粒子に外添されているトナー樹脂粒子である。
トナー樹脂粒子を形成するための樹脂粒子としては、従来公知のトナー樹脂粒子に用いられる樹脂粒子を用いることができる。このような樹脂粒子としては、例えば、ポリエステル系樹脂粒子、ビニル系樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂粒子が好ましい。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上80℃以下が好ましい。
ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持され易くなる。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量Mwは、5,000以上40,000以下が好ましい。また、ポリエステル系樹脂の数平均分子量Mnは、2,000以上10,000以下が好ましい。
疎水性シリカ粉末を樹脂粒子に外添させる方法としては特に限定されず、従来公知の方法により外添させることができる。このような方法としては、例えば、通常の粉体用混合機であるヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、レディゲミキサー、ハイブリダイザ一等のいわゆる表面改質機を用いた外添方法が挙げられる。なお、上記外添は、樹脂粒子の表面に疎水性シリカ粉末を付着させるようにしてもよいし、疎水性シリカ粉末の一部を樹脂粒子に埋め込むようにしてもよい。
本発明のトナー樹脂粒子の体積平均粒子径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。体積平均粒子径が2μm以上であると、トナーの流動性が良好であり、また、キャリアから十分な帯電能が付与される。また、体積平均粒子径が10μm以下であると、高画質画像が得られる。
本発明のトナー樹脂粒子の帯電量は、18μC/g以上が好ましく、20μC/g以上がより好ましい。帯電量が上記範囲であることにより、本発明のトナー樹脂粒子がより一層帯電性能に優れる。また、上記帯電量の上限は特に限定されず、50μC/g程度である。
なお、本明細書において、帯電量は、以下の測定方法により測定される値である。すなわち、樹脂粒子:疎水性シリカ粉末=100:2の割合(質量比)となるように、樹脂粒子に疎水性シリカ粉末を外添し、トナー樹脂粒子を調製する。トナー樹脂粒子10gをアイボーイ広口びん100mL(容量100mLのポリ瓶)へ量り取り、23℃、53%RHの条件下で24時間前処理を行う。次いで、20〜25℃、50〜60%RHに調節した室内で、吸引式ファラデーゲージ(トレック・ジャパン株式会社製、MODEL 212HS)を用いて帯電量を3回測定し、平均値を帯電量とする。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
(疎水性シリカ粉末の調製)
実施例1
25℃に温度調整した水8106gに、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)2394gを、撹拌しながら8分かけて滴下した。次いで、60分間撹拌を続け、9%ケイ酸水溶液10500gを調製した。
次いで、別途に水2500gを用意し、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.218gを加えて撹拌し、還流するまで加熱した。次いで、還流下で、上述のようにして調製した9%ケイ酸水溶液500gを3時間かけて滴下し、30分間還流した。次いで、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液1.82gを滴下し、30分間還流した。次いで、水1260gを添加し、撹拌し加熱還流した。次いで、9%ケイ酸水溶液500gと25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液1.00gとを2.5時間かけて滴下した。当該9%ケイ酸水溶液と25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液とを2.5時間かけて滴下する操作を20回行うことで、屈曲及び/又は分岐したシリカを含むコロイダルシリカを調製した。
調製したコロイダルシリカを97℃で加熱してシリカ濃度20%に濃縮し、コロイダルシリカ濃縮液を調製した。当該コロイダルシリカ濃縮液1000gに酢酸0.3g、及びHMDS(hexamethyldisilazane)100gを加えて撹拌し、2時間かけて室温から80℃まで昇温し、さらに80℃で1時間加熱することで、疎水性シリカ反応液を調製した。当該疎水性シリカ反応液を130℃で乾燥し、ジェットミルを用いて解砕することによって疎水性シリカ粉末を調製した。得られた疎水性シリカ粉末の物性を表1に示す。疎水性シリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、12ppmに化学シフトの中心値を有していた。
実施例2
実施例1と同様にして、9%ケイ酸水溶液10500gを調製した。
次いで、別途に水1732gを用意し、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液0.151gを加えて撹拌し、還流するまで加熱した。次いで、還流下で、上述のようにして調製した9%ケイ酸水溶液346.5gを3時間かけて滴下し、30分間還流した。次いで、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液1.26gを滴下し、30分間還流した。次いで、水2910gを添加し、撹拌し加熱還流した。次いで、9%ケイ酸水溶液500gと25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液1.21gとを2.5時間かけて滴下しながら、水メタノール混合物を600g抽出した。当該9%ケイ酸水溶液と25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液とを2.5時間かけて滴下しながら、水メタノール混合物を抽出する操作を26回行うことで、屈曲及び/又は分岐したシリカを含むコロイダルシリカを調製した。
調製したコロイダルシリカを用いて、実施例1と同様にして、疎水性シリカ粉末を調製した。得られた疎水性シリカ粉末の物性を表1に示す。疎水性シリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、12ppmに化学シフトの中心値があった。
実施例3
10℃に温度調整した水1598gに、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)472gを、撹拌しながら8分かけて滴下した。次いで、60分間撹拌を続け、9%ケイ酸水溶液2070gを調製した。
次いで、別途に水6440gを用意し、還流するまで加熱した。次いで、還流下で、上述のようにして調製した9%ケイ酸水溶液2070gを3時間かけて滴下し、30分間還流した。次いで、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液7.55gを滴下し、30分間還流した。次いで、水11500gを添加し、撹拌し加熱還流した。次いで、9%ケイ酸水溶液2070gと25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液4.93gとを3時間かけて滴下した。当該9%ケイ酸水溶液と25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液とを2.5時間かけて滴下する操作を8回行うことで、屈曲及び/又は分岐したシリカを含むコロイダルシリカを調製した。
調製したコロイダルシリカを用いて、実施例1と同様にして、疎水性シリカ粉末を調製した。得られた疎水性シリカ粉末の物性を表1に示す。疎水性シリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、12ppmに化学シフトの中心値があった。
比較例1
比較例1の疎水性シリカ粉末として、扶桑化学工業株式会社製HSP−6Aを用意した。比較例1の疎水性シリカ粉末の物性を表1に示す。
(トナー樹脂粒子の調製)
ポリエステル系樹脂の樹脂粒子として、三笠産業株式会社製トナー(体積平均粒子径D50v9.2nm)を100g用意した。当該樹脂粒子及び実施例及び比較例で得られた疎水性シリカ粉末2gを容器に入れ、振とう機(株式会社ヤヨイ製YS−8D)を用いて振とうし、樹脂粒子に疎水性シリカ粉末を外添して、トナー樹脂粒子を調製した。
実施例及び比較例で得られた疎水性シリカ粉末、及びトナー樹脂粒子の特性を、以下の方法により測定した。
<体積平均粒子径D50v>
走査型電子顕微鏡(SEM 日本電子株式会社製:JSM−6700)により、20万倍の条件で疎水性シリカ粉末中の二次粒子100個以上を観察し、二次粒子の画像解析によって得られた円相当径の累積頻度における50%径(D50v)を、体積平均粒子径D50vとした。
<屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ粒子の含有量>
走査型電子顕微鏡(SEM 日本電子株式会社製:JSM−6700)で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中から屈曲構造及び/又は分岐構造を有する粒子を数え、当該粒子の割合を算出し、含有量(%)とした。なお、屈曲構造とは、3つ以上の一次粒子が一列に結合しており、直線ではない二次粒子の構造であり、分岐構造とは、4つ以上の一次粒子が結合ており、一列でない(枝を有する)二次粒子の構造である。
<疎水化度>
200mLのビーカーに純水50mLを入れ、疎水性シリカ粉末0.2gを添加し、マグネットスターラーで撹拌して、疎水性シリカ粉末の分散液を調製した。メタノールを入れたビュレットの先端を分散液中に入れ、撹拌下でメタノールを滴下して、疎水性シリカ粉末が完全に水中に分散するまでに要したメタノールの添加量を測定してYmLとし、以下の式に基づいて疎水化度を算出した。
[疎水化度(%)]=[Y/(50+Y)]×100
29Si−固体NMRスペクトル>
疎水性シリカ粉末の29Si−固体NMRスペクトルを、4mm HXMASプローブを備えたJNM―ECX400(日本電子株式会社製)を用い、固体NMR試料管 4mm、サンプル量 70μL、測定核種 29Si(79.4MHz)、回転速度 8kHz、温度 21℃、測定モード CPMAX、繰り返し時間 3.10sec、積算回数 2000回、外部標準 シリコンゴム(−22.333ppm)の条件で測定した。
<帯電量>
樹脂粒子:疎水性シリカ粉末=100:2の割合(質量比)となるように、樹脂粒子に疎水性シリカ粉末を外添し、トナー樹脂粒子を調製した。トナー樹脂粒子10gをアイボーイ広口びん100mL(容量100mLのポリ瓶)へ量り取り、23℃、53%RHの条件下で24時間前処理した。次いで、20〜25℃、50〜60%RHに調節した室内で、吸引式ファラデーゲージ(トレック・ジャパン株式会社製:MODEL 212HS)を用いて帯電量を3回測定し、平均値を帯電量とした。
<針入度>
樹脂粒子:疎水性シリカ粉末=100:2の割合(質量比)となるように、樹脂粒子に疎水性シリカ粉末を外添し、トナー樹脂粒子を調製した。すなわち、樹脂粒子100質量部に対して、前記疎水性シリカ粉末を2質量部外添した。トナー樹脂粒子10gをアズワン規格瓶No.5(容量50mLのガラス瓶)へ量り取り、55℃、80%RHの条件下で24時間加熱した。次いで、24℃で2時間放冷し、自動針入度測定装置(株式会社離合社製 製品名RPM−201)を用いて針入度を4回測定し、平均値を針入度とした。
<飽和水分量>
疎水性シリカ粉末を2時間真空乾燥した後、真空乾燥後の疎水性シリカ粉末2gをシャーレへ精秤し、60℃、80%RHで48時間前処理した。次いで、水分気化装置ADP−611(京都電子工業製)、カールフィッシャー水分計MKV−710(京都電子工業製)を用いて10分間滴定を行い、2回測定した平均値を飽和水分量とした。
結果を表1に示す。
Figure 0006968631
表1の結果から、実施例1と2の疎水性シリカ粉末は、比較例1の疎水性シリカ粉末より、高いd/D50vおよび帯電量を示した。実施例3の疎水性シリカ粉末は、比較例1の疎水性シリカ粉末と同等のd/D50vを示したが、高い帯電量を示した。実施例の疎水性シリカ粉末の高い性能は、屈曲及び/又は分岐構造をもつシリカ二次粒子の含有量が高いことに起因する。

Claims (4)

  1. 屈曲及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有する疎水性シリカ粉末であって、
    前記疎水性シリカ粉末は、体積平均粒子径D50vが40nm以上300nm以下であり、疎水化度が50%以上であり、且つ、飽和水分量が3%以下であり、
    前記疎水性シリカ粉末中の前記屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の20%以上である、ことを特徴とする疎水性シリカ粉末。
  2. 29Si−固体NMRスペクトルにおいて、15〜10ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークを示す、請求項1に記載の疎水性シリカ粉末。
  3. 下記針入度測定方法により測定される針入度d(mm)と、前記体積平均粒子径D50v(nm)との比d/D50vが、2.4以上である、請求項1又は2に記載の疎水性シリカ粉末。
    (針入度測定方法)
    (1)樹脂粒子100質量部に対して、前記疎水性シリカ粉末を2質量部外添する。
    (2)55℃、80%RHの条件下で24時間加熱する。
    (3)24℃で2時間放冷し、針入度dを測定する。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の疎水性シリカ粉末が樹脂粒子に外添されている、トナー樹脂粒子。
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