JP2020142958A - シリカ粉末 - Google Patents

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宗範 河本
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Abstract

【課題】優れた分散性を有するシリカ粉末を提供すること。【解決手段】疎水化度が50%以上、飽和水分量が4質量%以下、窒素含有量が0.05質量%以上であり、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、T構造に由来するピーク及びD構造に由来するピークから選択される少なくとも1つのピーク、並びに、M構造に由来するピークが存在することを特徴とする、シリカ粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ粉末に関する。
無機酸化物粒子は様々な用途に使用される。特に、シリカ粉末は、樹脂等に添加し、当該樹脂等に耐摩耗性等の特性を付与することができる。このような、いわゆるフィラーとしてシリカ粉末を使用するに際し、当該シリカ粉末に求められる性質として、良好な分散性が挙げられる。
従来より、フィラー用のシリカ粉末としては、湿式法の一種であるゾルゲル法により製造したシリカ粉末を使用することが一般的であるが、フィラーとして使用した際のシリカ粉末の分散性に問題がある。そこで、ゾルゲル法の一種であるステーバー法により製造したシリカ粉末をフィラーとして使用することも検討されている。しかし、ステーバー法により製造しても、やはり充分な分散性を有するシリカ粉末を得ることは困難である。
一方で、湿式法により製造したシリカ粉末が分散性に問題を抱えている要因は、シリカ粉末に含まれる水分にあると考えられることから、乾式法により製造したシリカ粉末(一例として、ヒュームドシリカ)をフィラーとして採用することも提案されている(特許文献1、2)。乾式法シリカの製造に際しては、一般的に、約1000℃もの高温で処理してシリカ粉末を得る。このような高温処理を行うことにより、得られるシリカ粉末は低水分なものとなる。
しかしながら、乾式法によりシリカ粉末を製造することにより、シリカ粉末内の水分量を低減することは可能であるが、シリカ粉末の粒子形状を制御することが難しく、その結果、シリカ粉末の分散状態が悪化し、シリカ粉末同士の凝集が発生しやすくなる。
このように、湿式及び乾式の双方の方法によりシリカ粉末を製造し、フィラーとして使用する検討は行われているが、いまだフィラーとして満足できる分散性を有するシリカ粉末を得ることができていない。
特開2011−173779号公報 特開2014−196226号公報
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、優れた分散性を有するシリカ粉末を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の疎水化度、飽和水分量及び窒素含有量を備え、且つ、29Si−固体NMRスペクトルにおいて所定のピークを有するシリカ粉末することで、優れた分散性を得ることができることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のシリカ粉末を提供する。
項1.
疎水化度が50%以上、飽和水分量が4質量%以下、窒素含有量が0.05質量%以上であり、
29Si−固体NMRスペクトルにおいて、T構造に由来するピーク及びD構造に由来するピークから選択される少なくとも1つのピーク、並びに、M構造に由来するピークが存在することを特徴とする、シリカ粉末。
項2.
29Si−固体NMRスペクトルにおけるQ2構造に由来するピーク、Q3構造に由来するピーク及びQ4構造に由来するピークの合計に対し、Q4構造に由来するピークが、ピーク強度比で40%以上存在する、項1に記載のシリカ粉末。
項3.
沸点が100℃以上のアミンを0.1質量%以上含む、項1又は2に記載のシリカ粉末。
項4.
項1〜3の何れかに記載のシリカ粉末を含有する、オルガノゾル。
本発明のシリカ粉末は、優れた分散性を有する。
(1.シリカ粉末)
本発明のシリカ粉末は、疎水化度が50%以上、飽和水分量が4質量%以下、窒素含有量が0.05質量%以上であり、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、T構造に由来するピーク及びD構造に由来するピークから選択される少なくとも1つのピーク、並びに、M構造に由来するピークが存在することを特徴とする。
本発明のシリカ粉末の疎水化度は、50%以上であり、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。疎水化度が50%に満たない場合、シリカ粉末として得られない。疎水化度は高いほどよく、上限値は特に限定されないが、100%以下が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下がさらに好ましい。
本明細書において疎水化度は、以下の方法により測定されるものと定義される。即ち、200mLのビーカーに純水50mLを入れ、シリカ粉末0.2gを添加し、マグネットスターラーで撹拌して、シリカ粉末の分散液を調製する。メタノールを入れたビュレットの先端を分散液中に入れ、撹拌下でメタノールを滴下して、シリカ粉末が完全に水中に分散するまでに要したメタノールの添加量を測定してYmLとし、以下の式に基づいて疎水化度を算出する。
[疎水化度(%)]=[Y/(50+Y)]×100
本発明のシリカ粉末は、飽和水分量が4質量%以下であり、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。飽和水分量が4質量%を超えると、良好な分散性を有するシリカ粉末を得ることができない。一方、飽和水分量の下限値としては特に限定されず、例えば、0.01質量%であることが好ましい。
本明細書において、シリカ粉末の飽和水分量は、以下の方法により測定されるものと定義される。即ち、シリカ粉末を2時間真空乾燥した後、真空乾燥後のシリカ粉末2gをシャーレへ精秤し、60℃、80%RHで48時間前処理する。次いで、水分気化装置ADP-611(京都電子工業製)、カールフィッシャー水分計MKV-710(京都電子工業製)を用いて10分間滴定を行い、2回測定した平均値を飽和水分量とする。
また、本発明のシリカ粉末は、窒素含有量が0.05質量%以上である。本明細書において、シリカ粉末中の窒素含有量が0.05質量%以上であるとは、シリカ粉末の元素分析を行って得られる窒素の含有量が0.05質量%以上であることであると、定義される。シリカ粉末中の窒素含有量が0.05質量%に満たない場合、良好な分散性を有するシリカ粉末を得ることができない。窒素含有量の上限値は、特に限定されないが、例えば、0.5質量%とすることが好ましい。
本明細書においてシリカ粉末の窒素含有量は、以下の方法により測定されるものと定義される。即ち、スミグラフNCH-22F型(住化分析センター製)を用いて、以下の条件にて元素分析測定を行う。
・酸素循環燃焼
・TCD検出方式
・NCH定量装置
・反応温度:850℃
・還元温度:600℃
・分離/検出:ポーラスポリマービーズ充填カラム/TCD
・標準試料:元素定量標準試料アセトアニリド
本発明のシリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、T構造に由来するピーク及びD構造に由来するピークから選択される少なくとも1つのピーク、並びに、M構造に由来するピークが存在する。かかる構成を有しない場合、シリカ粉末の吸湿性が高くなってしまい、その結果、シリカ粉末の分散性が悪くなってしまう。
T構造(三官能性)に由来するピーク、D構造(二官能性)に由来するピーク、及びM構造(一官能性)に由来するピークは、それぞれ順に、下記式(1)、(2)、及び(3)に記載された構造単位に由来する、29Si−固体NMRスペクトル上のピークである。
Figure 2020142958
本明細書において、T構造に由来するピークは、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、−50〜−70ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークであると定義される。また、T構造に由来するピーク強度は、シリカ粉体中に含まれるトリアルコキシ型のシランカップリング剤由来の構造を示すピーク強度であると定義される。
本明細書において、D構造に由来するピークは、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、−15〜−25ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークであると定義される。また、D構造に由来するピーク強度は、シリカ粉体中に含まれるジアルコキシ型のシランカップリング剤由来の構造を示すピーク強度であると定義される。
本明細書において、M構造に由来するピークは、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、15〜10ppmの範囲内に化学シフトの中心値を有するピークであると定義される。また、M構造に由来するピーク強度は、シリカ粉体中に含まれるオルガノシラザンに由来する構造を示すピーク強度であると定義される。
本発明のシリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおけるQ2構造(下記式(4)参照。)に由来するピーク、Q3構造(下記式(5)参照。)に由来するピーク及びQ4構造(下記式(6)参照。)に由来するピークの合計に対し、Q4構造に由来するピークが、ピーク強度比で40%以上存在することが好ましく、50%以上存在することがより好ましい。Q4強度比でQ4構造に由来するピークが40%以上存在することにより、ケイ酸アルキル又はケイ酸アルキルの加水分解液の加水分解反応と縮合反応が充分に進行していることを示しており、緻密な粒子を調製することが可能であり、低吸湿性のシリカ粉末を得ることが可能である。
Figure 2020142958
ここで、本明細書において、29Si−固体NMRスペクトルにおいてQ2構造、Q3構造、及びQ4構造に由来するピークは、それぞれ順に、−90〜−93ppm、−100〜−102ppm、及び−110〜−112ppmに化学シフトの中心値を有するピークであると、定義される。
シリカ粉末は、29Si−固体NMRスペクトルにおいて、Q2構造、Q3構造、及びQ4構造に由来するピーク合計に対し、Q4構造に由来するピークが、ピーク強度比で40%以上存在することが好ましく、50%以上存在することがより好ましい。Q4構造に由来するピークが、ピーク強度比で40%以上存在することにより、シリカの粒子構造が密なものとなり、飽和水分量を低減することができる。一方、Q4構造に由来するピークの強度比の上限値としては、70%であることが好ましく、60%であることがより好ましい。かかる上限値とすることにより、ヒュームドシリカの場合のような約1000℃もの高温での焼成を行わなくとも、低水分のシリカ粉末を得ることができる。その結果、シリカ粉末間の凝集が発生し難いゾルゲルシリカの特徴を持たせつつ、帯電性にも優れたシリカ粉末を得ることが出来る。
シリカ粉末は、沸点が100℃以上のアミンを0.1%以上含むことが好ましい。アミンは沸点が100℃以上のアミン化合物であれば、公知のものを広く採用することができ、特に限定はない。具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3−エトキシプロピルアミン、ビス(2-アミノエチル)アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルグアニジン等を挙げることができる。かかる構成を有することにより、低吸湿性のシリカ粉末を得ることができ、その結果、分散性の良好なシリカ粉末を得ることができる。なお、シリカ粉末に含まれるアミン量は、シリカ溶解後にアミンを溶媒抽出し、イオンクロマトグラフィーなどを用いて分析することにより、定量できる。
(2.オルガノゾル)
本発明は、上記シリカ粉末を含有するオルガノゾルに関する発明を包含する。上記オルガノゾルは、上記シリカ粉末を出荷、保存等する際に、例えば、有機溶媒中に浸漬させて、シリカ粉末の表面を保護している。
有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素、エーテル等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール等のアルカノール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオールが挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン等のジアルキルケトンが挙げられる。エステルとしては、酢酸エチル等の酢酸エステルが挙げられる。炭化水素としては、イソオクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル等の鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルが挙げられる。
上記有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
オルガノゾル中のシリカ粉末の含有量は、オルガノゾル100質量%中に、10〜60質量%とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。シリカ粉末の含有量を上述の範囲とすることにより、オルガノゾル中でシリカ粉末をより良好な分散性を保つことができる。
オルガノゾルは、上記シリカ粉末、及び、有機溶媒の他に、他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤としては、着色防止剤等が挙げられる。
(3.シリカ粉末の製造方法)
本発明のシリカ粉末の製造方法としては特に限定されず、例えば、
(1)シリカ粒子を含有するコロイダルシリカを調製する工程I、
(2)前記コロイダルシリカに、アルコール及びシランカップリング剤を加えて、45℃以上、前記アルコールの沸点以下の温度で加熱する工程II、
(3)前記工程IIにより得られる液にオルカノシラザンを添加し、45℃以上、前記アルコールの沸点以下の温度で加熱する工程III
(4)前記工程IIIで得られる液に、水及び濾過促進剤を添加する工程IV、及び
(5)前記工程IVで得られる液を濾過し、乾燥させる工程V
を有する製造方法が挙げられる。以下、上記製造方法について説明する。
(3.1.工程I)
工程Iは、コロイダルシリカを調製する工程である。
シリカ粒子は、蒸留精製により高純度に精製可能なケイ酸アルキルをシリカ原料として製造することが好ましい。より好ましくは、シリカ原料として、高純度に精製可能で、かつ反応性が高く、常温で無触媒でも容易に加水分解されるテトラメチルオルトシリケート(TMOS)を用いることができる。
より具体的には、工程Iは、以下の工程を含むことが、好ましい。
1)アルカリ触媒及び水を含むアルカリ性の母液を調製する工程i及び
2)ケイ酸アルキル又はケイ酸アルキルを加水分解して得られる加水分解液を前記母液に添加する工程ii
なお、上記前記加水分解液を前記母液に添加する工程iiは、公知の方法で行うことが可能であり、例えば、国際公開第2008/123373号に記載された方法で行うことができる。好ましくは、工程iiが、
A)混合液のpHが7未満となるまでケイ酸アルキル又は前記加水分解液を添加する工程1
B)混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程2及び
C)混合液のpHを7以上に維持しながらケイ酸アルキル又は前記加水分解液を添加する工程3
を順に有していてもよい。
以下、より詳細に説明する。
(3.1.1.工程i<母液調製工程>)
母液調製工程では、アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する。例えば、水にアルカリ触媒を添加することにより母液を調製すれば良い。
アルカリ触媒は、公知のアルカリ触媒を用いることができるが、特に金属不純物の混入を回避するという点で金属成分を含まない有機系塩基触媒が好適である。中でも、窒素含有型の有機系塩基触媒が好ましい。このような有機系塩基触媒としては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラメチルグアニジン等の含窒素有機系塩基触媒が挙げられる。
中でも、添加工程の温度範囲(加熱)で揮散しない、揮発性の低い有機系塩基触媒が好ましい。揮発性の低いアルカリ触媒は、高耐熱性であるため、ケイ酸アルキル又はケイ酸アルキルを加水分解して得られる加水分解液を母液に添加する工程を、高温条件下で実施することが可能となる。これにより、最終的目的物であるシリカ粉末が緻密な構造となり、水分の保持が抑制される。その結果、フィラーとしてシリカ粉末を使用するに際し、良好な分散性を持つシリカ粉末とすることができる。
かかる揮発性の低い有機系塩基触媒の具体例としては、3−エトキシプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ビス(2-アミノエチル)アミン、テトラメチルグアニジン、等のアミン系触媒、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩類を挙げることができる。
一方、揮散する塩基の場合、連続的に添加して系内pHを維持してもよい。
アルカリ触媒は、1種又は2種以上で用いることができる。アルカリ触媒の添加量は、母液のpHが通常7〜14の範囲内になるように適宜設定することが好ましい。pH9〜12がより好ましく、pH9〜11が更に好ましい。
後記のケイ酸アルキル又はケイ酸アルキルの加水分解液を添加する際に、母液を加熱しておくことが好ましい。特に、母液を加熱することにより水リフラックス(水還流)状態とすることが望ましい。リフラックスは、公知の装置を用いて実施することができる。反応温度は、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。かかる温度範囲で反応を行うことにより、緻密な粒子を得ることができる。
また、かかる温度範囲は、本発明シリカ粉末を製造する際に使用するアルカリ触媒、中でも特に窒素含有型の有機系塩基触媒(例えば、3−エトキシプロピルアミンや水酸化テトラメチルアンモニウム等)を使用することにより、達成できる。かかる温度範囲は、常法のゾルゲル法でシリカ粉末を製造する際の反応温度よりも高温であり、その結果、シリカ粉末内の水分量を低減することができる。
また、添加工程は、より高温度でリフラックスできるよう加圧状態で実施しても良い。この場合には、例えばオートクレーブ等の公知の装置を使用することができる。
(3.1.2.工程ii<添加工程>)
添加工程では、ケイ酸アルキル(好ましくはテトラメチルオルトシリケート)又はケイ酸アルキルの加水分解液(以下単に「加水分解液」ともいう。)を前記母液に添加する。
加水分解液は、ケイ酸アルキルを純水で加水分解して調製する。具体的には、ケイ酸アルキルとしてテトラメチルオルトシリケートを用いる場合には、メトキシ基に対し1倍当量以上の水を加えて、下記反応を行わせて活性ケイ酸アルキル溶液を調製する。
Si(OMe)+4HO → Si(OH)+4MeOH
(但し、Meは、メチル基を示す。)
ケイ酸アルキルの加水分解液は、公知の方法によって調製することができる。例えば、水にケイ酸アルキルを加え、攪拌すれば良い。このようにして得られた反応液では、1〜2時間程度で加水分解が進行し、所定の加水分解液を得ることができる。
ケイ酸アルキルは、加水分解することで不揮発性のケイ酸オリゴマーとなるため、より高温での粒子成長反応が可能となり、より緻密な粒子を調製する点で有利である。
ケイ酸アルキルの水への添加量は、最終的に得られる加水分解液のシリカ濃度が通常1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%となるように設定する。これにより、ケイ酸アルキル加水分解液のゲル化を防止しつつ、効率的にシリカ粒子を成長させることが可能となる。
上記製造方法では、必要に応じてケイ酸アルキルと水を相溶させるために、反応液中に相溶化溶媒として一部の水に代えて水溶性有機溶媒を含有させることもできる。水溶性有機溶媒の一例としては、アルコール類が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(特に炭素数1〜3のアルコール)を例示することができる。水溶性有機溶剤の含有量は特に限定的ではないが、通常は反応液中0〜90質量%、好ましくは0〜50質量%程度とすれば良い。
ケイ酸アルキル加水分解液は保存性が低いので、固形分濃度に応じて2〜10時間毎に調製するか又は連続調製しながら加水分解液の供給を継続すれば良い。保存性は、前記の相溶化溶媒の添加で改善されるので、この面も考慮して相溶化溶媒の添加量を決定する。また、加水分解液は、保存温度が低いほど安定性が増すので、加水分解液調製後、凍結しない範囲で、冷却することも有効である。
上記製造方法では、加水分解は、触媒の存在下であっても良いし、無触媒下で実施しても良い。触媒を使用する場合は、酸触媒として硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等の無機酸又は有機酸、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸を使用すれば良い。特に、本発明では、Cl、NO 、及びSO 2−等の陰イオン不純物の混入を回避するという見地より、無触媒下で加水分解することが望ましい。特にテトラメチルオルトシリケート(TMOS)は、常温/無触媒でも加水分解され易く、これらの腐食性陰イオン不純物を1ppm未満とすることができる。
上記製造方法では、上記工程ii(添加工程)は、
A)混合液のpHが7未満となるまでケイ酸アルキル又は前記加水分解液を添加する工程1
B)混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程2及び
C)混合液のpHを7以上に維持しながらケイ酸アルキル又は前記加水分解液を添加する工程3
を順に有してもよい。つまり、アルカリ性の母液に加水分解液を添加して一旦混合液のpHを7未満(酸性領域)とした後、アルカリ水溶液を添加して混合液のpHを7以上に戻し、その後はpHを7以上に維持しながら(即ちアルカリ水溶液を添加しながら)加水分解液の添加を継続してもよい。この際、アルカリ水溶液を添加して混合液のpHを7以上に戻す工程(工程2)では加水分解液の添加を中止するか又は添加を少量とすることが好ましい。以下、工程毎に説明する。
工程1は、混合液のpHが7未満となるまでケイ酸アルキル又は前記加水分解液を添加することが好ましい。pHの下限値は限定的ではないが、混合液の過度のゲル化を抑制する点では、pHは6以上とすることが好ましい。つまり、工程1では混合液のpHを6以上7未満に調整することが好ましい。より好ましくは、6.3以上7未満である。pHを低下させ過ぎると、粒子が異形となりやすく、凝集しやすいシリカ粒子となる恐れがある。
上記製造方法では、水とアルカリ触媒からなる母液中で、種粒子が先ず形成され、その後粒子成長が開始すると考えられる。種粒子の形成個数は、初期に添加されるケイ酸アルキル又はケイ酸アルキルの加水分解液の量(濃度)によって決定されることから、工程1における母液仕込み重量とケイ酸アルキルの加水分解液の添加速度の比がパラメーターとなる。ケイ酸アルキル又は加水分解液の添加速度は、加水分解液の濃度、所望のコロイド粒子の粒径等によって異なるが、緻密なシリカ粒子が形成されるのに十分な速度とすればよい。好ましくは、0.7〜41gシリカ/時/kg母液である。ここで、「gシリカ」はシリカの重量を示し、「kg母液」は母液の重量を示す。
工程2は、混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程である。アルカリ水溶液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、水の沸点で容易に揮発しない有機アミン等が使用できる。なお、汚染の原因となるNaOH、LiOH等は避けることが望ましく、具体的には3−エトキシプロピルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。工程1、2において、混合液のpHが7未満である時間が0.5〜5時間となるように実施することが好ましい。工程2において、ケイ酸アルキル又は加水分解液の添加は行っても行わなくても良い。すなわち、工程1で、ケイ酸アルキル又は加水分解液を添加し、所定のpHまで低下させ、添加を中止して、所定の時間酸性状態のpHを維持させ、種粒子を凝集させる。次に、アルカリ水溶液を添加して、再度アルカリ側とする。アルカリ水溶液の添加は、徐々に行っても、また、一括して添加してもよい。
工程3は、混合液のpHを7以上に維持しながらケイ酸アルキル又は上記加水分解液を添加する工程である。ここでは、好ましくはアルカリ水溶液を添加しながらケイ酸アルキル又は加水分解液の添加を再開する。ケイ酸アルキル又は加水分解液の添加速度は、好ましくは、0.7〜41gシリカ/時/kg母液である。ケイ酸アルキル又は加水分解液の母液への添加は、所望の粒径のコロイド粒子に成長するまで継続する。添加速度が速すぎる場合は、シラノール基が残存し、粒子が緻密にならない状態で粒子が成長してしまい、残存シラノール基数が増加する為、29SiCP/MASNMRピーク面積値が増大するおそれがある。また、粒子表面への析出が間に合わず、新しく微粒子が形成され粒度分布が広くなり、下記式(A)によって計算されるCV値が増加するか、全体がゲル化するおそれがある。
CV=(SD/D)×100 (A)
(但し、SDは標準偏差、Dは平均粒子径を示す。)
所定の粒径をもつコロイド粒子が生成すれば、ケイ酸アルキル又は加水分解液の添加を中止する。必要に応じて、反応液内に残存するアルコールを蒸留等により除去しても良い。この場合、連続的に水溶性有機溶媒(アルコール等)を除去することにより、反応温度の低下を回避することができる。また、添加工程における多量の水溶性有機溶媒(アルコール等)の存在は、ケイ酸アルキルを溶解させる等、シリカの析出を妨げる現象が観察されるため、余分な水溶性有機溶媒(アルコール等)は速やかに系外に留去することが好ましい。系外に留去することで、後述する濃縮を同時に進行させることもできる。反応終了時点で、固形分濃度を25%以上に濃縮することが可能である。
次いで、必要に応じて、反応液を濃縮する。濃縮に先立って、必要に応じて、系内に残存する微量の水溶性有機溶媒(アルコール等)を予め除去することもできる。
反応液を濃縮する場合は、温度(系内温度)が100℃に達し、蒸気温度も100℃に達し、水溶性有機溶媒の除去終了を確認したら、そのまま所定の固形分濃度になるまで濃縮する。濃縮方法としては、例えば蒸留濃縮法、膜濃縮法等の公知の濃縮方法を採用することができる。濃縮物は、所定のフィルターでろ過し、粗大粒子、異物等を除去した後、そのまま各種の用途に使用することができる。
以上説明した工程Iにより、コロイダルシリカが調製される。
(3.2.工程II)
工程IIは、工程Iにより得られたコロイダルシリカに、アルコール及びシランカップリング剤を加えて、45℃以上、上記アルコールの沸点以下の温度で加熱する工程である。
アルコールとしては、ケイ素化合物の加水分解に用いることができるアルコールであれば特に限定されず、公知のアルコールを用いることができる。このようなアルコールとしては、例えば、炭素数10以下のアルコールが挙げられ、炭素数6以下のアルコールが好ましく、炭素数3以下のアルコールがより好ましい。上記アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等を用いることができる。これらの中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましく、イソプロパノールがより好ましい。
工程IIで調製される液中の、上記アルコールの含有量は、工程Iにより得られたコロイダルシリカを100質量部として、10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、製造されるシリカ粒子の表面を十分に修飾することができ、有機溶媒中や樹脂中での分散性が良好なシリカ粉末を調製することができる。
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を広く使用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシランが挙げられ、より好ましい具体例としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを使用することが可能である。これらは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
工程IIで調製される液中のシランカップリング剤の濃度は、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましい。
工程IIで調製される液は、30℃以上で加熱される。加熱温度が30℃未満であると、シリカ粒子とシランカップリング剤との反応が不十分となるため、有機溶媒中や樹脂中での分散性が良好なシリカ粉末を得ることができない。加熱温度の好ましい下限は、35℃であり、より好ましい下限は、40℃である。また、加熱温度の上限は、混合溶液の沸点以下であり、好ましい上限は90℃であり、より好ましい上限は80℃である。
工程IIでの加熱時間は特に限定されず、10分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
(3.3.工程III)
工程IIIは、工程IIで得られた液にオルガノシラザンを添加し、45℃以上、上記アルコールの沸点以下の温度で加熱する工程である。工程IIIでは、工程IIで得られた液に対してオルガノシラザンを添加しており、例えば、工程IIにおいてコロイダルシリカに対して、アルコール、シランカップリング剤及びオルガノシラザンを同時に添加しても、有機溶媒中や樹脂中での分散性が良好なシリカ粉末が得られない。
オルガノシラザンとしては特に限定されず、公知のオルガノシラザンを用いることができる。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手性の点で、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
上記オルガノシラザンは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
オルガノシラザンの添加量は、上記工程IIで用いるコロイダルシリカを100質量部に対して、0.5〜30質量部とすることが好ましい。オルガノシラザンの添加量を上記範囲とすることにより、有機溶媒中や樹脂中での分散性が良好なシリカ粉末を得ることができる。
工程IIIで調製される液は、30℃以上で加熱される。加熱温度が30℃未満であると、シリカ粒子とオルガノシラザンとの反応が不十分となるため、シリカ粉末を疎水化することができない。加熱温度の好ましい下限は、35℃であり、より好ましい下限は、40℃である。また、加熱温度の上限は、混合溶媒の沸点以下であり、好ましい上限は90℃であり、より好ましい上限は80℃である。
工程IIIでの加熱時間は特に限定されず、10分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
(3.4.工程IV)
工程IVは、工程IIIで得られた液に、水及び濾過促進剤を添加する工程である。工程IVにより、工程IIIで得られた液に水を添加することにより、疎水性シリカが析出する。また、濾過促進剤を添加することにより、後述する工程Vによる、析出した疎水性シリカの濾過が容易となる。
水の添加量は、上記工程IIで用いるコロイダルシリカを100質量部として、5〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。水の添加量を上記範囲とすることにより、疎水性シリカがより析出し易くなる。
工程IVでは、水に加え、アルコールを添加してもよい。工程IIIで得られた液にアルコールを添加することで、アルコールが析出剤として作用し、疎水性シリカがより析出し易くなる。
アルコールとしては、特に限定されず、メタノール、エタノール、プロパノール等の水溶性アルコール等が挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカがより析出し易くなる点で、メタノールが好ましい。
アルコールの添加量は、上記工程1で用いるコロイダルシリカを100質量部として、5〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。水の添加量を上記範囲とすることにより、疎水性シリカがより析出し易くなる。
工程IVにおいて水、及び必要に応じてアルコールを添加する際の、上記工程IIIで得られた液の温度は、10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。工程IIIで得られた液の温度を上記範囲とすることにより、疎水性シリカがより析出し易くなる。
濾過促進剤としては特に限定されず、従来公知の濾過促進剤を用いることができる。このような濾過促進剤としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸及びそれらの塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸等の有機酸及びそれらの塩;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、L−(−)−ラクチドなどの環状化合物等が挙げられる。これらの中でも、より濾過促進効果に優れる点で、硫酸が好ましい。
上記濾過促進剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
濾過促進剤の添加量は、上記工程1で用いるコロイダルシリカを100質量部として、0.01〜100質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましい。濾過促進剤の添加量を上記範囲とすることにより、より優れた濾過促進効果を示すことができる。
上記濾過促進剤を添加する際の液の温度は、10〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。濾過促進剤を添加する際の液の温度を上記範囲とすることにより、より優れた濾過促進効果を示すことができる。
工程IVでは、工程IIIで得られた液に、水、濾過促進剤、及び必要に応じてアルコールを添加する際に、これらを同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。これらを別々に添加する場合の添加順序は特に限定されず、例えば、アルコール、水、濾過促進剤をこの順で、順次添加する添加順序;水、アルコール、濾過促進剤をこの順で、順次添加する添加順序;水及びアルコールを先に添加し、濾過促進剤を後で添加する添加順序等が挙げられる。
(3.5.工程V)
工程Vは、工程IVで得られた液を濾過し、乾燥させる工程である。
上記濾過としては特に限定されず、減圧濾過等の従来公知の濾過方法により濾過することができる。
上記乾燥方法としては特に限定されず、従来公知の乾燥方法により乾燥することができる。このような乾燥方法としては、ナウター乾燥機、コニカル乾燥機、棚段乾燥機等を用いる乾燥方法が挙げられる。
工程Vでは、上記濾過方法により濾過を行った後、乾燥前に、純水、又はメタノール水溶液で洗浄することが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
純水7500g及び3−エトキシプロピルアミン1.35gを撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、テトラメチルオルトシリケート2740gを1時間かけて添加した後、15分間撹拌を継続した。その後、3−エトキシプロピルアミン50.13gを添加した。その後、純水23127gを加えて、撹拌しながら80℃まで加熱した。さらにテトラメチルオルトシリケート7363gを3時間かけて添加しコロイダルシリカ1を調整した。
調製したコロイダルシリカ1を98℃で加熱してシリカ濃度20%に濃縮し、コロイダルシリカ濃縮液を調製した。当該コロイダルシリカ濃縮液500gにイソプロパノールを加え、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学製KBM-502)を20.0g加え、80℃に加温し、1時間反応させた。その後、ヘキサメチルジシラザン20.0gを加えて撹拌し、80℃の条件で2時間反応させた。その後、3M硫酸を加え、凝析させ、当該凝析物を濾過により回収し、60℃で水分が1%以下になるまで真空乾燥した。
(実施例2)
純水7500g及び3−エトキシプロピルアミン0.39gを撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、テトラメチルオルトシリケート2740gを2時間かけて添加した後、30分間撹拌を継続した。その後、3−エトキシプロピルアミン50.14gを添加した。その後、純水23126gを加えて、撹拌しながら80℃まで加熱した。さらにテトラメチルオルトシリケート8598gを6時間かけて添加しコロイダルシリカ2を調整した。
調製したコロイダルシリカ2を98℃で加熱してシリカ濃度20%に濃縮し、コロイダルシリカ濃縮液を調製した。当該コロイダルシリカ濃縮液500gにイソプロパノール300gを加え、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学製KBM-573)を4.6g加え、80℃に加温し1時間反応させた。その後、ヘキサメチルジシラザン31.0gを加えて撹拌し、60℃の条件で4時間反応させた。その後、3M硫酸を加え、凝析させ、当該凝析物を濾過により回収し、120℃で水分が1%以下になるまで真空乾燥した。
(実施例3)
純水6250g及び3−エトキシプロピルアミン0.32gを撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、テトラメチルオルトシリケート3729gを100分かけて添加した後、15分間撹拌を継続した。その後、3−エトキシプロピルアミン68.23gを添加した。その後、純水23013gを加えて、撹拌しながら80℃まで加熱した。さらにテトラメチルオルトシリケート11759gを6時間かけて添加しコロイダルシリカ3を調整した。
調製したコロイダルシリカ3を98℃で加熱してシリカ濃度20%に濃縮し、コロイダルシリカ濃縮液を調製した。当該コロイダルシリカ濃縮液500gにイソプロパノール250gを加え、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学製KBM-502)を5.3g加え、80℃に加温し、1時間反応させた。その後、ヘキサメチルジシラザン5.3gを加えて撹拌し、80℃の条件で2時間反応させた。3M硫酸を加え、凝析させ、当該凝析物を濾過により回収し、60℃で水分が1%以下になるまで真空乾燥した。
(比較例1)
純水266g、メタノール2166g及び28%アンモニア水62gを、フラスコ内で撹拌混合して母液を調整した。得られた母液にテトラオルトシリケート2634g及びメタノール715gで調整した液Aと、純水1305g及び28%アンモニア水144gで調整した液Bを別途準備し、20℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、シリカゾル4を得た。
調製したコロイダルシリカ4を98℃で加熱してシリカ濃度20%に濃縮し、コロイダルシリカ濃縮液を調製した。当該コロイダルシリカ濃縮液500gにイソプロパノール250gを加え、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学製KBM-502)を6.5g加え、80℃に加温し、1時間反応させた。その後、ヘキサメチルジシラザン6.5gを加えて撹拌し、80℃の条件で2時間反応させた。3M硫酸を加え、凝析させ、当該凝析物を濾過により回収し、60℃で水分が1%以下になるまで真空乾燥した。
(比較例2)
コロイダルシリカ(扶桑化学株式会社製、クォートロンPL−7、1次粒子径70nm、シリカ濃度23wt%)500g、IPA250g及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン6.5gを混合して撹拌し、80℃で1時間反応した。次いで、ヘキサメチルジシラザン45gを滴下し、2時間反応した。3M硫酸を加え、凝析させ、当該凝析物を濾過により回収し、60℃で水分が1%以下になるまで真空乾燥した。
(体積平均粒径の算出)
得られたシリカ粉末の一次粒子100個以上を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、一次粒子の画像解析によって得られた円相当径の累積頻度における50%径(D50v)を算出した。
(窒素含有量)
スミグラフNCH−22F型(住化分析センター製)を用いて、以下の条件により元素分析測定を行い、シリカ粉末中の窒素含有量を求めた。
・酸素循環燃焼
・TCD検出方式
・NCH定量装置
・反応温度:850℃
・還元温度:600℃
・分離/検出:ポーラスポリマービーズ充填カラム/TCD
・標準試料:元素定量標準試料アセトアニリド
(飽和水分量測定)
シリカ粉末を2時間真空乾燥した後、得られたシリカ粉末2gをシャーレへ精秤し、60℃、80%RHで48時間前処理した。その後、水分気化装置ADP−611(京都電子工業製)、カールフィッシャー水分計MKV−710(京都電子工業製)を用いて10分間滴定を行い、2回測定の平均値を飽和水分量とした。
29Si−固体NMRスペクトル測定)
29Si−固体NMRスペクトルは、JNM−ECA400(日本電子株式会社製)を用い、以下の条件により測定した。
・共鳴周波数:78.65Hz
・測定モード:CP/MAS法
・測定核:29Si
・試料回転数:6kHz
・測定温度:室温
・積算回数:16384回
上記条件で得られたスペクトルから、各Q構造(Q2:−91〜−92ppm、Q3:−101ppm、Q4:−111ppm)のピーク強度比を求めた。また、トリメチルシリル基に由来するM構造の有無を確認した。
下記表1に示すとおり、各実施例のシリカ粉末は、各比較例のシリカ粉末と比較し、平均粒子径D50vが低値を示した。つまり、各実施例のシリカ粉末は、各比較例のシリカ粉末と比較して、分散性に優れていることが確認された。
Figure 2020142958

Claims (4)

  1. 疎水化度が50%以上、飽和水分量が4質量%以下、窒素含有量が0.05質量%以上であり、
    29Si−固体NMRスペクトルにおいて、T構造に由来するピーク及びD構造に由来するピークから選択される少なくとも1つのピーク、並びに、M構造に由来するピークが存在することを特徴とする、シリカ粉末。
  2. 29Si−固体NMRスペクトルにおけるQ2構造に由来するピーク、Q3構造に由来するピーク及びQ4構造に由来するピークの合計に対し、Q4構造に由来するピークが、ピーク強度比で40%以上存在する、請求項1に記載のシリカ粉末。
  3. 沸点が100℃以上のアミンを0.1質量%以上含む、請求項1又は2に記載のシリカ粉末。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のシリカ粉末を含有する、オルガノゾル。
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