JP2022152370A - コロイダルシリカの製造方法及びコロイダルシリカ - Google Patents

コロイダルシリカの製造方法及びコロイダルシリカ Download PDF

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【課題】アミン系の安定化剤を有さずとも、分散安定性が良好で、とくに、化学機械研磨に好適なコロイダルシリカの製造方法を提供する。【解決手段】アミン系安定化剤を実質的に有さずに分散安定性に優れたコロイダルシリカの製造方法であって、第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類から選ばれた1種又は2種以上の混合物からなる加水分解触媒の存在下に易加水分解性オルガノシリケートを反応させたのちに、前記易加水分解性オルガノシリケートから生成したアルコールを除去し、次いで、酸により分散安定化させた反応濃縮物を得た後、当該反応濃縮物を陽イオン交換樹脂と接触させて前記加水分解触媒を除去し、ゼータ電位の絶対値が4mV以上であるコロイダルシリカを製造することを特徴とするコロイダルシリカの製造方法である。【選択図】図1

Description

この発明は、例えば半導体装置の製造工程でシリコンウエハの鏡面研磨、酸化チタン光触媒等のハードコート剤用途において有機溶剤と混合使用されるバインダー、セラミック炉材やセラミックスファイバー等のセラミックス用途において使用されるバインダー、クロム酸系の金属表面処理剤、地盤改良注入剤等の種々の用途に好適なコロイダルシリカを製造する方法に関する。
高純度のコロイダルシリカを工業的に製造する方法として、珪酸ソーダ水溶液をイオン交換する方法、四塩化珪素の熱分解法、オルガノシリケートを酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に水-アルコール混合溶媒中で加水分解する方法等が提案され実施されているが、オルガノシリケートを加水分解する方法は、反応に用いるオルガノシリケート、触媒及び溶媒等として高純度のものを使用することができるために、これら原料等に由来する不純物が極めて少なく、特に金属不純物含有量の少ない高純度コロイダルシリカを製造する方法として適しており、これまでにこのオルガノシリケートの加水分解法に関する幾つかの方法が提案されている。
ここで、種々の用途に用いられるコロイダルシリカ、特に例えば半導体ウエハの研磨剤の分野で用いられるコロイダルシリカについては、今日のLSIの高集積化に伴って様々な種類の金属の配線や酸化膜等が1枚のウエハ上に存在し、また、各々の半導体ウエハについてそれぞれに適した研磨性能が要求されることから、微妙に異なる様々な組成や性状のコロイダルシリカが要求されている。
また、僅かなアルカリ金属不純物の含有も嫌う例えばハードコート剤用途やセラミックス用途等のバインダー、クロム酸系の金属表面処理剤、地盤改良注入剤等の用途に用いるコロイダルシリカについては酸性のコロイダルシリカが要求され、このような酸性コロイダルシリカの製造方法についても幾つかの提案が知られている。
例えば、特許文献1には、先ず、アルミニウム化合物を含有するアルカリ性シリカゾルを調製し、次いでこのアルミニウム化合物含有アルカリ性シリカゾルを陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリすることにより酸性シリカゾルを製造する方法が開示されており、また、特許文献2には、粒子径4~30及びpH2~9のシリカゾルにAl2O3/SiO2モル比0.0006~0.004となるようにアルミン酸アルカリ水溶液を添加し、次いでイオン交換樹脂に接触させてpH2~5及び粒子径4~30の安定な酸性シリカゾルを製造する方法が開示されている。
更に、特許文献3には、加水分解可能な珪素化合物を加水分解・縮合して得られたコロイダルシリカを、シランカップリング剤等の変性剤で変性し、酸性分散媒であっても凝集やゲル化を起こすことがなく、長期間安定分散が可能で金属不純物含有量が極めて少ない高純度の変性コロイダルシリカを製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法においては、一旦アルミニウム化合物含有アルカリ性シリカゾルを調製してからイオン交換樹脂で処理して脱アルカリする必要があり、このために製造コストが嵩むほか、イオン交換樹脂自身による汚染やイオン交換の際のイオン除去の限界という問題もある。また、特許文献3に記載の方法においては、得られるコロイダルシリカの表面が変性剤により変性されていて所望の用途には適さない場合があるほか、変性剤からの汚染という問題もある。
そこで、このような課題を解決するために、本発明者らは、酸処理やイオン交換処理、更には変性処理等の特別な後処理をする必要がなく、また、アルカリ金属を始めとして金属不純物含有量が極めて少なく、しかも、例えば電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径が5~500nmの範囲で、標準偏差が20以下で多分散度指数が0.15以下である球状コロイダルシリカ等の所定の性状を有するコロイダルシリカを容易に製造することができる方法を検討し、その結果、加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートを用い、また、加水分解触媒として特定の加水分解触媒を用い、この加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が所定の値以下となるように、添加して反応させることにより、酸処理やイオン交換処理等の特別な後処理を行うことなく、容易にpH5~8の中性コロイダルシリカを製造できることを提案している(特許文献4)。
ところで、このような特許文献4に記載の方法のように、従来から、コロイダルシリカ分散液中に含まれている加水分解触媒のようなアミン系の化合物(以下、これを「アミン系安定化剤」等ということがある。)は、コロイダルシリカの分散性やその安定性に一部寄与していることが知られており(例えば、特許文献5や非特許文献1を参照)、このようなアミン系化合物を含まない場合には、コロイダルシリカの分散性が不安定になったり、凝集やゲル化を引き起こしたりすることが懸念されていた。他方、このようなアミン系化合物は、一般的にシリコンウエハの研磨促進剤として用いられることもあり(例えば、非特許文献2を参照)、その種類や用途によっては研磨レートやエッチングレートに影響を及ぼすことが知られており、場合によっては、逆に不必要な研磨レートやエッチングによる表面状態の悪化などを引き起こすことが懸念される。また、コロイダルシリカをセラミックス用途のバインダーとして用いる場合、アミン系化合物が含まれると、乾燥や焼成の時やその後に不快なアミン臭や残存カーボンによる黒化が発生することが懸念されていた。
このように、コロイダルシリカ分散液の製造において使用(残存)される加水分解触媒のようなアミン系化合物は、該分散液の安定性に一定に寄与すると考えられているものの、用途等によっては排斥されることが望ましいケースがあることが判明した。
特公平4-55126号公報 特開平6-199515号公報 特開2005-162533号公報 特開2007-153732号公報 特開平08-302394号公報
泉昌宏・宮部慎介、"開発中シリカ製品の紹介"、日本化学工業株式会社技術報告書(CREATIVE)No.8、p62-71(2007) ニッタ・ハース株式会社 松田 修平ら、"シリコンウェーハ研磨におけるスラリー中のアルカリ種と研磨性能との関連調査"、公益社団法人精密工学会 プラナリゼーションCMPとその応用技術専門委員会 第170回研究会(2018/12/21)
そこで、本発明者らは、従来から使用(残存)させていた加水分解触媒のようなアミン系化合物(アミン系安定化剤)を除いたとしても分散安定性を損なうことなく、凝集やゲル化が発生しないようなコロイダルシリカの分散液を製造する方法について鋭意検討した結果、分散安定化させた反応物(反応濃縮物)に対して陽イオン交換樹脂を接触させ、しかも、当該陽イオン交換樹脂との接触させた後の反応濃縮物のゼータ電位を一定の範囲に適正化することにより、前記のような課題を解決することができることを見出して、本発明を完成させた。
したがって、本発明の目的は、アミン系化合物(アミン系安定化剤)を実質的に有さなくても、分散安定性が良好であり凝集やゲル化が無く、例えば、化学機械研磨(CMP)用の研磨剤や、セラミックス用途のバインダー等にも好適に展開可能なコロイダルシリカを製造する方法を提供することである。
すなわち、本発明は、アミン系安定化剤を実質的に有さずに分散安定性に優れたコロイダルシリカの製造方法であって、
第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類から選ばれた1種又は2種以上の混合物からなる加水分解触媒の存在下に易加水分解性オルガノシリケートを反応させたのちに、前記易加水分解性オルガノシリケートから生成したアルコールを除去し、次いで、酸により分散安定化させた反応濃縮物を得た後、当該反応濃縮物を陽イオン交換樹脂と接触させて前記加水分解触媒を除去し、ゼータ電位の絶対値が4ミリボルト(mV)以上であるコロイダルシリカを製造することを特徴とするコロイダルシリカの製造方法である。
本発明のコロイダルシリカの製造方法によれば、アミン系の安定化剤を含有せずとも分散安定性が良好であることから、例えば、CMP用研磨剤やセラミックス用途のバインダー等にも好適に展開可能なコロイダルシリカを製造することができる。
また、本発明のコロイダルシリカの製造方法によれば、SEM平均粒子径が大きい割にはBET比表面積が大きく、また、粒子密度(真比重)が高く、優れた研磨速度を有してCMP用研磨剤に好適であり、しかも、アミン系化合物を実質的に有さないコロイダルシリカを得ることができる。
図1は、実施例1において陽イオン交換樹脂との接触前の反応濃縮物(コロイダルシリカ)のSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図2は、実施例1において陽イオン交換樹脂との接触後のコロイダルシリカのSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図3は、実施例2において陽イオン交換樹脂との接触前の反応濃縮物(コロイダルシリカ)のSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図4は、実施例2において陽イオン交換樹脂との接触後のコロイダルシリカのSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図5は、実施例3において陽イオン交換樹脂との接触前の反応濃縮物(コロイダルシリカ)のSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図6は、実施例3において陽イオン交換樹脂との接触後のコロイダルシリカのSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図7は、実施例4において陽イオン交換樹脂との接触前の反応濃縮物(コロイダルシリカ)のSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図8は、実施例4において陽イオン交換樹脂との接触後のコロイダルシリカのSEM観察写真(30万倍)を示すものである。 図9は、相対質量[50%]粒子径の理解のための一般的模式図である。この図において縦軸は相対質量[50%]、横軸は粒子径[μm]を示す。
前記のとおり本発明の製造方法の要旨は、所定の加水分解触媒の存在下に易加水分解性オルガノシリケートを反応させたのちに、前記易加水分解性オルガノシリケートから生成したアルコールを除去し、次いで、酸により分散安定化させた反応濃縮物を得た後、当該反応濃縮物を陽イオン交換樹脂と接触させて前記加水分解触媒を除去し、ゼータ電位の絶対値が4mV以上であるコロイダルシリカの分散液を製造することを特徴とする。
まず、本発明において使用されるオルガノシリケートは、加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートであり、易加水分解性オルガノシリケートとは、オルガノシリケート10gと不純物0.1ppb以下の純水100gとを攪拌下に25℃で加水分解反応させ、1時間以内にこの加水分解反応が終了するものをいう。このような易加水分解性オルガノシリケートとしては、具体的には、トリメチルシリケート(加水分解反応が終了するまでの加水分解反応時間:3分)、テトラメチルシリケート(加水分解反応時間:5分)、トリエチルシリケート(加水分解反応時間:5分)、メチルトリメチルシリケート(加水分解反応時間:7分)等を挙げることができ、テトラエチルシリケート及びこれより炭素数の多いオルガノシリケートはその加水分解速度が遅くてゲル化し易く(何れも加水分解反応時間:24時間以上)、本発明方法で使用するオルガノシリケートとしては適していない。
また、本発明において、加水分解触媒として使用する第四級アンモニウム類については、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)、水酸化トリエチルエタノールアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化ブチルアンモニウム等の第四級アンモニウムや、これらの炭酸塩、重炭酸塩及びケイ酸塩を挙げることができ、加水分解反応には比較的高いpHが望ましいので、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン、又はテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)である。
また、加水分解触媒として使用するアミノアルコール類については、エタノールアミン誘導体を始めとして種々のアミノアルコールを用いることができるが、好適にはエタノールアミン誘導体であり、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジn-ブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルジエタノールアミン等を挙げることができる。
更に、加水分解触媒として使用するモルホリン類についても、種々のモルホリン誘導体を用いることができるが、好ましくはモルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等を挙げることができる。更にまた、加水分解触媒として使用するピペラジン類についても、種々のピペラジン誘導体を用いることができるが、好ましくはピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン等を挙げることができる。
これら加水分解触媒として使用する第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類は、その1種のみを単独で使用できるほか、必要により2種以上を混合物として使用することもできる。なお、従来この種の加水分解反応で用いられているアンモニアや、モノメチルアミン等の第一級アミン、ジメチルアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン等の第三級アミン等のアミン類はその揮発性が高く、40℃以上の温度で加水分解反応を行う場合に反応系内の組成変動が起こり易く、希望どおりの粒径を有するコロイダルシリカの製造が難しくなるので、加水分解触媒としては通常は適していない。
本発明においては、前記の易加水分解性オルガノシリケートと加水分解触媒との反応後の混合物(以下、これを「反応混合物」ということがある。)や、或いはその後に、後述するようなアルコールの除去や酸による分散安定化の処理を行った反応混合物(以下、これを特に「反応濃縮物」ということがある。)においては、シリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が0.012以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.00035~0.012の範囲内、さらに好ましくは0.0035~0.011の範囲内となるように、加水分解触媒を反応系内に添加して加水分解反応させることが良い。このようにすることにより、上記反応混合物や反応濃縮物のpHを適正化することができること、また、増粘やゲル化を抑えることができるため、好ましい。
このような触媒残存モル比にする方法については、特に制限されるものではないが、例えば、水と加水分解触媒(A)とを仕込んだ反応容器内に最終的に触媒残存モル比(A/B)が前記の範囲内となるように計算されたオルガノシリケートを連続的にあるいは間欠的に導入する方法や、水だけを仕込んだ反応容器内に上記の最終的な触媒残存モル比の範囲内となるように計算された加水分解触媒とオルガノシリケートとを連続的にあるいは間欠的に導入する方法や、水と少量の加水分解触媒(A)とを仕込んだ反応容器内に上記の最終的な触媒残存モル比の範囲内となるように計算された加水分解触媒とオルガノシリケートとを連続的にあるいは間欠的に導入する方法等を挙げることができる。
また、加水分解反応の反応系内にはオルガノシリケートの加水分解反応に先駆けて粒子成長性能を有するコロイダルシリカの種子を仕込み、この反応系内にオルガノシリケート及び加水分解触媒を、触媒残存モル比(A/B)が上記の範囲内となるように、徐々に添加してもよく、これによって均一な粒子のコロイダルシリカを製造することができるため、好ましい。
更に、本発明においては、加水分解反応の原料に用いるオルガノシリケート、加水分解触媒及び水として、金属不純物含有量が1ppm以下、好ましくは0.01ppm以下の高純度のものを用いることにより、容易に金属不純物含有量の少ない高純度のコロイダルシリカの分散液を製造することができるため好ましい。
ここで、本発明においては、前記の易加水分解性オルガノシリケートと加水分解触媒との反応後には、加水分解性オルガノシリケートから生成したアルコールを除去することが好ましい。このようなアルコール除去処理の方法は特に制限されるものではないが、例えば、コンデンサー付留出管を備えた機器を用いて加熱によりアルコールを留出させる方法を挙げることができる。このようなアルコール除去処理を行うことにより、その後の工程で使用される材料のアルコール耐性を考慮しなくて済むことや、揮発性の高いアルコールがなくなることで、コロイダルシリカの濃度の安定化等の点で好ましい。
次いで、前記のようなアルコール除去処理を行った後の反応混合物に対して、酸により分散安定化させることが好ましい。このような分散安定化処理としては、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法又は撹拌下に酸溶液を添加する酸溶液添加方法が行われるが、炭酸ガス吹込み方法又は酸溶液添加方法のいずれかを行ってもよいほか、これらの方法を併用してもよいが、いずれにしても分散安定化処理の際には、炭酸ガスによるバブリングや撹拌等の操作により、反応混合物を撹拌状態に維持することが必要である。
分散安定化処理を炭酸ガス吹込み方法で行う場合、反応混合物に吹き込まれる炭酸ガスとしては、それが100体積%の炭酸ガスであってもよく、また、窒素ガス等の不活性ガスで0.1体積%程度まで希釈された不活性ガス希釈炭酸ガスであってもよく、更には、空気であってもよいが、好ましくは、100体積%の炭酸ガス又は1体積%以上の不活性ガス希釈炭酸ガスであるのがよい。
そして、この炭酸ガス吹込み方法の際の処理条件については、炭酸ガス吹込み自体が攪拌効果を有するので、通常0rpm以上3000rpm以下、好ましくは0rpm以上1000rpm以下の撹拌下に、0℃より高く100℃未満、好ましくは5℃以上80℃以下の温度で、炭酸ガスを好ましくは0mL/分超過100000mL/分以下、より好ましくは1mL/分以上10000mL/分以下の速度で反応混合物中に導入するのがよい。
また、分散安定化処理を酸溶液添加方法で行う場合、使用する酸溶液としては濃度20重量%以下の酸水溶液を用いることが好ましく、炭酸水溶液、濃度20重量%以下の希鉱酸水溶液、及び濃度20重量%以下の希有機酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の混合物であり、好ましくは、濃度10重量%以下の希鉱酸水溶液及び濃度10重量%以下の希有機酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の混合物である。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸のような無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸のような有機酸が挙げられ、用途等に応じて適宜選択される。
この酸水溶液添加方法の際の処理条件については、通常1rpm以上3000rpm以下、好ましくは10rpm以上1000rpm以下の撹拌下に、通常0℃以上100℃以下、好ましくは5℃以上80℃以下の温度で、処理対象の反応混合物中の触媒1モルに対し、酸溶液を酸として通常0.0001モル以上10モル以下、好ましくは0.001モル以上1モル以下の範囲で添加するのがよい。
本発明の方法により分散安定化処理された反応混合物(反応濃縮物)は、そのシリカ濃度が10重量%以上40重量%以下であってpH値がpH6.0以上8.1以下であり、ほとんどその分散安定化処理前のpH値を維持することができるほか、通常1数週間以上、更には数年に亘って優れた分散安定性が発揮され、二層分離現象が発生することがない。
従来は、この段階までで得られた反応混合物(反応濃縮物)をコロイダルシリカの分散液としており、得られたコロイダルシリカについては、後述の図面からも把握されるとおりその粒子表面に多数の不規則な小突起を有して粒子全体としていわば金平糖の如き形状を有しており、SEMにより観察した粒子像の算術平均を測定したSEM平均粒子径が大きい割にはBET比表面積が大きく、また、液相置換法にて測定された粒子密度(真比重)が高い、言い換えると硬度が高いという性質を有しており、優れた研磨速度を有してCMP用研磨剤に好適である。例えば半導体ウエハの研磨剤の分野で用いられるコロイダルシリカである場合、好ましくは、その電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径が5~500nm、より好ましくは5~300nmの範囲である。なお、コロイダルシリカの粒子の形状としては、仕込み組成等により、単分散の球状とすることや(球状品)、粒子どうしが合着して会合したような形状(会合品)などに制御することが可能である。例えば、触媒を多めに、かつ、シリカ原料としてのオルガノシリケートを反応場に比較的緩慢に投入することにより、オルガノシリケートが敏速に、均一に加水分解し、かつマイルドに成長するため、種粒子が球状を維持したまま徐々に成長し、球状品とすることができる。また、例えば、触媒を少なめに、かつ、シリカ原料としてのオルガノシリケートを反応場に比較的敏速に投入することにより、オルガノシリケートが不均一に加水分解するため、粒子同士の接着剤のようにふるまい、その結果、粒子が会合した会合品とすることも可能である。
そして、本発明においては、上記で得られている反応濃縮物に対して、残存する加水分解触媒であるアミン系化合物(アミン系安定化剤)を除去するために、陽イオン交換樹脂に接触(通液)させることを特徴とするが、このような陽イオン交換樹脂との接触を経ても、接触前の反応濃縮物(コロイダルシリカ)の特性(特に、分散安定性)が概ね維持されることが望ましく、そのためには、接触(通液)後においても反応濃縮物たるコロイダルシリカ分散液のゼータ電位が特定の範囲になるようにすることが重要であることが判明した。
具体的には、接触(通液)後のコロイダルシリカ分散液(通常、シリカ濃度が10重量%以上40重量%)のゼータ電位の絶対値が4mV以上、好ましくは5mV以上となるようにすることが望ましい。ゼータ電位の絶対値がより大きい方が、コロイダルシリカ分散液がより安定となるため好ましい。このようなゼータ電位を持つようにすることにより、陽イオン交換によってアミン系安定化剤たる加水分解触媒が除去されていったとしても、コロイダルシリカの分散液は安定で凝集などの発生が抑えられ、陽イオン交換と接触(通液)の際に液が詰まることや、通液に過度な時間を要することや、通液後の粒子径の増大や、或いはゲル化などのような問題の発生を可及的に抑えることができる。
ここで、使用される陽イオン交換樹脂の種類としては、H型陽イオン交換樹脂であれば特に限定されず、高純度、長期間安定、繰り返し再生使用可能性の観点から、好適な種類として高架橋度ポーラス型の陽イオン交換樹脂が使用されることが好ましい。使用形態としては、通常用いられるようなカラムに充填した陽イオン交換樹脂に通液させる方法を採用することができる。
また、通液条件としては、温度条件としては0℃~30℃が好ましく、より好ましくは5℃~25℃とすることが良い。温度が0℃以下の場合は凍結して通液が困難となるおそれがあり、一方で、温度が30℃以上になるとイオン交換中にコロイダルシリカが不安定になり、凝集して通液出来なくなるなどの問題が起こる恐れがあるからである。
通液速度としては、反応濃縮物(コロイダルシリカ)がイオン交換樹脂層を通過する間にイオン交換樹脂と十分な接触が行われるような条件とすることが好ましく、通常行われる条件を適宜採用することができ、かつコロイダルシリカのゲル化等が起こらないような条件の範囲であればよい。通液量としては、樹脂容量に対する1時間当たりのコロイダルシリカ通液量をSVとするとき、SVが5から70の範囲となるようにすることが好ましく、より好ましくは15から40の範囲とすることがよい。反応濃縮物(コロイダルシリカ)の処理量は、樹脂容量に対する反応濃縮物(コロイダルシリカ)の滴下量をBVとするとき、BVが50までであることが好ましく、より好ましくはBVが40までとすることがよい。
また、通液させる際には、好ましくは、反応濃縮物であるコロイダルシリカの粘度が1~100mPa・sとすることが好ましく、より好ましくは1~20mPa・sとすることがよい。
また、その際には、コロイダルシリカのBET法粒子径(nm)が10nm~500nmであることが好ましく、より好ましくは18nm~200nmとすることがよい。このようなBET法粒子径を持つコロイダルシリカを用いることにより、コロイダルシリカがイオン交換樹脂中でゲル化せず、また、樹脂中に残ることがなく製造することができため好ましい。BET法粒子径については後述の方法で求めることができる。
そして、このような陽イオン交換と接触(通液)後に得られるコロイダルシリカの分散液については、加水分解触媒(アミン系安定化剤)が除去されて実質的には含有されないようになるが、好ましくは、残存する加水分解触媒(アミン系安定化剤)の量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下となるようにする。この場合のゼータ電位は上記のとおりその絶対値が4mV以上となるようにすることが必要であり、そのようにすることにより分散安定したコロイダルシリカ分散液を得ることができるが、好ましくは、保管温度を上記の通液の条件と同じように0℃~30℃とすることが好ましく、より好ましくは5℃~25℃とすることが良い。
また、このような陽イオン交換樹脂との接触(通液)の際には、その前後において、酸又はアンモニアを添加することにより、予め、反応濃縮物や、陽イオン交換後のコロイダルシリカ分散液のpHを調整してもよい。具体的には、以下のような方法が挙げられる。
すなわち、陽イオン交換前の反応濃縮物においては、前記のような分散安定化処理としての炭酸ガス吹込み又は酸溶液添加が行われるが、このうち、炭酸ガス吹込みによれば、イオン交換後のコロイダルシリカ以外の不純物は炭酸か或いは炭酸のイオンが残る程度であって、使用用途においてコロイダルシリカが接する材料には比較的影響が少ないため好ましい。ただ、炭酸ガス吹込みでは、通常は液のpHが4~9程度となることから、これに陽イオン交換を施すとpH4~7程度となりゼータ電位の絶対値が小さくなることから、コロイダルシリカの分散性が不安定で凝集やゲル化が起こりやすくなる。そのため、陽イオン交換後においても、酸又はアンモニアを添加して分散安定化を行うことが好ましい。陽イオン交換後の酸としては、前述の分散安定化処理としての酸溶液添加で用いられる酸を用いることができる。とくに、イオン交換後のこのような安定化の処理を行うと、0~50℃好ましくは5~40℃において1年以上安定なコロイダルシリカ分散液を得ることができる。
なお、分散安定性の確認は、凝集やゲル化の発生の有無を目視などで確認する方法のほか、粒度分布の変化を確認する方法が挙げられ、後述に図示するとおり、相対質量[50%]である粒子径分布の高粒子径側ショルダーの粒子径(単位:μm、nmなど)を測定し、イオン交換前後におけるその粒子径の変化(増加)を確認することにより凝集の発生を確認することができる。本発明においては、好ましくは、このようにして求められる相対質量[50%]の粒子径の変化が0.2nm以下(負の値となる場合も含む。)であることがよく、より好ましくは変化が0.1nm以下であることがよい。当該粒子径の変化の下限値については限定されないが、通常、-1.0nm以上であることが良い。なお、変化が負の値となる原因については、必ずしも定かではないが、イオン交換前において粒子径の数値を押し上げていた比較的大きい粒子の一部がイオン交換樹脂に捕捉されたためであると推測される。
他方、陽イオン交換前の分散安定化処理が酸溶液添加の場合には、例えばクエン酸のような比較的強い酸をイオン交換前に添加した場合、イオン交換後にコロイダルシリカ以外の不純物としてクエン酸のような強い酸が残るため、アルカリ性にしても強い酸のイオンが残り、使用用途においてコロイダルシリカが接する材料には比較的影響が大きくなるといった懸念が生じる。ただ、陽イオン交換前にクエン酸のような酸溶液を添加する場合は、通常は液のpHが4未満となることから、これに陽イオン交換を施した後であっても、別途の安定化操作をせずともpHが4未満となり、ゼータ電位の絶対値が大きく分散性が安定である。通液後の酸又はアンモニアのような安定化剤を添加してもしなくてもよく、工程の省略が可能となる点で好ましい。
本発明においては、コロイダルシリカ製造工程中にこのような陽イオン交換を新たに導入して、残存する加水分解触媒であるアミン系の安定化剤を積極的に除去するとともに、その後のコロイダルシリカ分散液のゼータ電位を所定の範囲になるようにすることにより、アミン系安定化剤を実質的に有さずに好ましくは100ppm以下であって、しかも前記のとおり、イオン交換前後で分散安定性などの特性の変化がほとんどないことを確認できている。
そのため、このような本発明の方法によれば、前述したような例えば半導体ウエハの研磨剤用途として好適な物理的特性(突起、粒子径など)をそのまま維持しながらも、アミン系安定化剤を実質的に有さないコロイダルシリカの分散液を得ることができる。得られるコロイダルシリカは、前述のとおり、単分散性の球状品であってもよく、又は、電子顕微鏡観察にて複数の粒子が2次元または3次元に合着して形成されて見える形状をもつ会合品(繭型、鎖状、分岐状)でもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[実施例1]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3368gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)3.60gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1470gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。 反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した。得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ1108gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水2617gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン8.00gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1111gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52~68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32~67℃で留出させ、更に純水833gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2850gまで濃縮した。この反応濃縮物を55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で16分間吹き込み、分散安定化処理を行った後、図1のようにSEM観察で粒子径30nmの突起のある球状粒子であることを確認した。
続いて、得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、陽イオン交換樹脂(三菱ケミカル株式会社製PK228L)を50mL充填したイオン交換カラムに、液温15℃~20℃に維持しながら、流速18.6g/minで通液し、反応に使用したアルカリ安定剤であるトリエタノールアミンを除去した。
陽イオン交換後、コロイダルシリカ濃度が20.20~20.40%となるように純水で希釈し、続けてアンモニア濃度が120ppmとなるようにアンモニア水溶液(28%特級)を添加した。その後、このコロイダルシリカを55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で2分間吹き込み、分散安定化処理を行った。安定化処理品は各種分析を行い、結果を表1~3に示した。また、図2のようにSEM観察することにより、イオン交換前後で粒子の形が変化していないことを確認した。
[実施例2]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3233gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)3.46gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1411gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。 反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した。得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ457gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水2916gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン8.12gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1264gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52~68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32~67℃で留出させ、更に純水833gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2850gまで濃縮した。この反応混合物を55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で16分間吹き込み、分散安定化処理を行った後、図3のようにSEM観察で粒子径50nmの突起のある球状粒子であることを確認した。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理・アンモニア安定化・分散安定化した。安定化処理品は各種分析を行い、結果を表に示した。また、図4のようにSEM観察することにより、イオン交換前後で粒子の形が変化していないことを確認した。
[実施例3]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5Lのガラス製反応容器に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3457gと金属不純物含有量10ppb以下の25wt%-TMAH水溶液7.51gとを仕込み、マントルヒーターを用いて 反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10 ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1134gを攪拌下に1.87時間かけて連続的に供給した。また、テトラメチルシリケートの供給完了10分後にアルカリ安定剤として100%トリエタノールアミンを8.372g添加した。得られたコロイダルシリカは、シリカ濃度10.18重量%、透過率97.2%、動的光散乱法による二次粒子径(DLS径)が30.9nm、比表面積換算粒子径(BET径)が11.0nm であり、会合度(単一球状粒子が何個連結しているかを表す指標:DLS径/BET径)が2.80である会合型コロイダルシリカであった。
上記の反応と同じ反応容器中に、上記反応で得られたコロイダルシリカ1097gと金属不純物含有量0.1 ppb以下の純水2358g、金属不純物含有量10ppb以下の25wt%-TMAH水溶液29.87gを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1115gを攪拌下に6時間かけて連続的に供給した。また、テトラメチルシリケートの供給完了10分後にアルカリ安定剤として100%トリエタノールアミンを6.375g添加した。添加後、反応混合物の液温を40℃以下になるまで水冷した。水冷後、反応容器内の圧力を0.03 MPaまで減圧し、更に反応混合物を50℃~70℃に加熱して生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度50℃~70℃で水と共に留出させ、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダ ルシリカ)を2300gまで濃縮した。
次に、この反応混合物を55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った後、図5のようにSEM観察で粒子の短径30nmの突起の少ない会合粒子であることを確認した。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理・アンモニア安定化・分散安定化した。安定化処理品は各種分析を行い、結果を表に示した。また、図6のようにSEM観察することにより、イオン交換前後で粒子の形が変化していないことを確認した。
[実施例4]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3233gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)3.46gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1411gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した。得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ457gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水2916gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン8.12gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1264gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52~68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32~67℃で留出させ、更に純水833gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2850gまで濃縮した。
この反応混合物にクエン酸粉末(関東化学社 特級)を3g投入し、分散安定化処理を行った後、図7のようにSEM観察で粒子径50nmの突起のある球状粒子であることを確認した。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理を行った。各種分析を行い、結果を表に示した。また、図8のようにSEM観察することにより、イオン交換前後で粒子の形が変化していないことを確認した。
[比較例1]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水37974gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)1.31gを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)681.4gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52~68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32~67℃で留出させ、さらに純水1840gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2600gまで濃縮した。
次に、この反応混合物を55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理したが、ゼータ電位が-1.98mVであって、イオン交換中に徐々に通液時間が遅くなった。
得られたコロイダルシリカはイオン交換後、アルカリ安定剤(アンモニア)を添加前にシリカ凝集が確認された。
[比較例2]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5Lの ガラス製反応容器に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3404gと金属不純物含有量10ppb以下の25wt%-TMAH水溶液2.76gとを仕込み、マントルヒーターを用いて 反応容器内液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1196gを攪拌下に2.25時間かけて連続的に供給した。また、テトラメチルシリケートの供給完了10分後にアルカリ安定剤として100%トリエタノールアミンを8.372g添加した。
得られたコロイダルシリカは、シリカ濃度10.89重量%、透過率89.9%である会合型コロイダルシリカであった。
水冷後、反応容器内の圧力を0.03 MPaまで減圧し、更に反応混合物を50℃~70℃に加熱して生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度50℃~70℃で水と共に留出させ、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2300gまで濃縮した。
次に、この反応混合物を55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理したが、ゼータ電位が-2.53mVであって、イオン交換中に徐々に通液時間が遅くなった。
得られたコロイダルシリカはイオン交換後、アルカリ安定剤(アンモニア)を添加前にシリカ凝集が確認された。
[比較例3]
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた5Lの ガラス製反応容器に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水3404gと金属不純物含有量10ppb以下の25wt%-TMAH水溶液2.76gとを仕込み、マントルヒーターを用いて 反応容器内液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10 ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)1196gを攪拌下に6時間かけて連続的に供給した。また、テトラメチルシリケートの供給完了10分後にアルカリ安定剤として100%トリエタノールアミンを8.372g添加した。
水冷後、反応容器内の圧力を0.03 MPaまで減圧し、更に反応混合物を50℃~70℃に加熱して生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度50℃~70℃で水と共に留出させ、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を2300 gまで濃縮した。
次に、この反応混合物を55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られた反応濃縮物(コロイダルシリカ)の2200gを、実施例1と同様にイオン交換処理したが、ゼータ電位が-3.41mVであって、イオン交換中に徐々に通液時間が遅くなった。
コロイダルシリカはイオン交換後、アルカリ安定剤(アンモニア)を添加前にシリカ凝集が確認された。
なお、得られたコロイダルシリカの物性などについては、以下の方法で評価した。
(1)SEM観察:コロイダルシリカを水で希釈し、シリコンウエハのサンプル台に乗せ乾燥処理後、日立ハイテク社製超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 SU9000を用いて観察した(倍率30万倍)。
(2)BET法粒子径:ユアサアイオニクス社製NOVA4200eを用いて測定した。コロイダルシリカ粒子を構成する球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径を窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積Sm/gから、D=2720/Sの式によって導いた粒子径である。
(3)ゼータ電位:Colloidal Dynamics社製ZetaProbeゼータ電位計を用いて、ESA電気音響現象の理論による高濃度コロイド溶液(表1~3に示すシリカ濃度の溶液)におけるゼータ電位測定方法に従って測定した。
(4)平均粒子径nm:米国CPS Instruments社製ディスク遠心式粒子径分布測定装置を用いて測定される粒度分布の中央値を、平均粒子径[nm]とした。
(5)相対質量[50%]の粒子径nm:凝集の評価で米国CPS Instruments社製ディスク遠心式粒子径分布測定装置にて、相対質量[50%](粒子径分布の高粒子径側ショルダー)の粒子径[nm]を測定した。一般的な模式図を図9に示す。
(6)シリカ濃度:含有水分を蒸発させた残渣分をシリカ濃度とした。
(7)pH、粘度、電気電導度:25℃で測定した。
Figure 2022152370000002
Figure 2022152370000003
Figure 2022152370000004

Claims (10)

  1. アミン系安定化剤を実質的に有さずに分散安定性に優れたコロイダルシリカの製造方法であって、
    第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類から選ばれた1種又は2種以上の混合物からなる加水分解触媒の存在下に易加水分解性オルガノシリケートを反応させたのちに、前記易加水分解性オルガノシリケートから生成したアルコールを除去し、次いで、酸により分散安定化させた反応濃縮物を得た後、当該反応濃縮物を陽イオン交換樹脂と接触させて前記加水分解触媒を除去し、ゼータ電位の絶対値が4ミリボルト(mV)以上であるコロイダルシリカを製造することを特徴とするコロイダルシリカの製造方法。
  2. 易加水分解性オルガノシリケートが、トリメチルシリケート、テトラメチルシリケート、トリエチルシリケート、又はメチルトリメチルシリケートである請求項1に記載のコロイダルシリカの製造方法。
  3. 第四級アンモニウム類が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、並びにこれらの炭酸塩、重炭酸塩及びケイ酸塩から選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2に記載のコロイダルシリカの製造方法。
  4. アミノアルコール類が、エタノールアミン誘導体である請求項1~3のいずれかに記載のコロイダルシリカの製造方法。
  5. 陽イオン交換樹脂と接触させて前記加水分解触媒が100ppm以下のコロイダルシリカを得ることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のコロイダルシリカの製造方法。
  6. 前記反応濃縮物の粘度を1~100mPa・sとしてから陽イオン交換樹脂と接触させることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のコロイダルシリカの製造方法。
  7. 陽イオン交換樹脂との接触前か又は接触後に、前記反応濃縮物に対して酸又はアンモニアを添加することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のコロイダルシリカの製造方法。
  8. 前記反応濃縮物に対して、陽イオン交換樹脂との接触前に酸を添加してpHを4~9とし、陽イオン交換樹脂との接触後には、さらに、酸又はアンモニアを添加することを特徴とする請求項7に記載のコロイダルシリカの製造方法。
  9. 前記反応濃縮物に対して、陽イオン交換樹脂との接触前に酸を添加してpHを4未満とし、陽イオン交換樹脂との接触後には、酸又はアンモニアを含む安定化剤を添加しないことを特徴とする請求項7に記載のコロイダルシリカの製造方法。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の方法によって得られるコロイダルシリカであって、表面には複数の突起を有し、アミン系安定化剤を実質的に有さないことを特徴とするコロイダルシリカ。
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