JP5657280B2 - 被覆マグネタイト粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シラン化合物で被覆されたマグネタイト粒子及びその製造方法に関する。
特許文献1においては、平均粒径が小さい磁性トナー用の疎水性磁性体が提案されている。この磁性体は、水系媒体中でカップリング剤を用いた処理で疎水化が施されている。この磁性体の体積平均粒径は0.1〜0.3μmであり、かつ0.03〜0.1μmの粒子の個数%が40%以下になっている。この磁性体は、カップリング剤を用いた疎水化処理の時点では、ほぼ一次粒子の状態でその表面が疎水化される。しかし、水系媒体中での処理に起因して、乾燥時に毛管凝縮による凝集粒子が発生しやすい。このような凝集粒子を含む磁性体を重合法トナーの原料として用いると、凝集粒子の存在に起因して重合反応系内での分散性が低下する傾向にある。
重合反応系内での分散性や分散安定性を高めることを目的として、特許文献2においては、シラン化合物を被覆した疎水性磁性酸化鉄粒子であって、スチレン・n−ブチルアクリルレート分散媒中での粒度分布において、体積基準における体積平均粒子径D50が0.5〜1.5μmであり、SD=〔(d84%−d16%)/2〕の値が0.5μm以下であるものが提案されている。この疎水性磁性酸化鉄粒子は、トルエン中へのシラン化合物の溶出の程度が小さいと、同文献には記載されている。しかし、この疎水性磁性酸化鉄粒子も、先に述べた特許文献1に記載の磁性体と同様に、水系媒体中でシラン化合物をカップリングさせているので、凝集粒子が発生しやすいという不都合がある。
特許文献3には、シランカップリング剤で疎水化された磁性トナー用磁性体において、スチレン中のストークス径/一次粒子径の値を1.0〜3.5にすることが提案されている。同文献によれば、この磁性体は、スチレン中の磁性体の分散粒径が小さいので、トナー中での分散性が良いとされている。しかし、この磁性体は、水系媒体中でシランカップリング剤のカップリング処理を行って得られたものなので、磁性体の表面に吸着した多量の水の存在に起因して、カップリング剤と磁性体との結合強度が弱くなる傾向にある。したがって、この磁性体を用いて磁性トナーを製造する場合には、その製造条件によってはシランカップリング剤の剥がれが発生し、有機溶媒中での分散粒径が安定しないおそれがある。
特開2001−235897号公報 特開2005−263619号公報 特開2002−148852号公報
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る疎水性のマグネタイト粒子を提供することにある。
本発明は、マグネタイトのコア粒子と、炭素数3〜6のアルキル基を有する有機シランとを乾式処理して得られ、該コア粒子の表面が疎水化剤によって被覆されてなる被覆マグネタイト粒子であって、
前記有機シランは、R 1 x Si(OR 2 4-x (式中R 1 は、同一の又は異なる炭素数3〜6のアルキル基を表し、R 2 は、R 1 と同じ鎖長であるか又はそれよりも短鎖のアルキル基を表す。xは1〜3の整数を表す。xが2又は3である場合、R 1 は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。)で表される化合物から生成したものであり、
レーザー式粒度分布測定装置によって測定された凝集粒子の平均粒径が、走査型顕微鏡観察によって測定された一次粒子の平均粒径に対して1超3未満であることを特徴とする被覆マグネタイト粒子を提供するものである。
また本発明は、前記の被覆マグネタイト粒子の好適な製造方法として、
アルカリを用いた第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に、酸化性ガスを吹き込んでマグネタイトのコア粒子を生成させ、
前記コア粒子炭素数3〜6のアルキル基を有する有機シランを、液媒体の実質的な不存在下に添加し
前記コア粒子への前記有機シランの添加が完了した後、V型攪拌機、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ロッキングミキサー、モルタルミキサー、万能混合機、リボコーン、W型混合機及びパン型混合機から選ばれる攪拌装置を用い、攪拌動力Pvを50kW/m 3 以下にして、前記コア粒子と前記有機シランとを液媒体の実質的な不存在下に攪拌しながら熟成し、次いで
大気雰囲気下、100〜160℃で熱処理し、前記有機シランの脱水縮合を生じさせ、それによって生成したシラン化合物でコア粒子の表面を被覆する工程を有し、
前記有機シランは、 1 x Si(OR 2 4-x (式中R 1 は、同一の又は異なる炭素数3〜6のアルキル基を表し、R 2 は、R 1 と同じ鎖長であるか又はそれよりも短鎖のアルキル基を表す。xは1〜3の整数を表す。xが2又は3である場合、R 1 は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。)で表される化合物を予め加水分解したものであることを特徴とする被覆マグネタイト粒子の製造方法を提供するものである。
本発明の被覆マグネタイト粒子は、これを例えば重合法トナーの原料として用いた場合、該トナーの製造過程で分散させやすく、かつトナー中での分散性が高いものとなる。また本発明の被覆マグネタイト粒子は、シラン化合物とマグネタイトのコア粒子との密着性が高く、過酷な環境での使用に耐え得るものである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の被覆マグネタイト粒子は、マグネタイトのコア粒子の表面が疎水化剤によって被覆されている構造を有するものである。そして、本発明の被覆マグネタイト粒子は、一次粒子の凝集の程度が制御されたものである点に特徴の一つを有する。詳細には、本発明の被覆マグネタイト粒子においては、凝集粒子の平均粒径が、一次粒子の平均粒径に対して1超3未満に制御されている。一次粒子の平均粒径に対する凝集粒子の平均粒径の比率は、粒子の凝集の程度の尺度となるものであり、この値が1に近づくほど凝集の程度が低く、逆に大きくなるほど凝集が甚だしくなることを意味する。したがって前記の比率が1超3未満である本発明の被覆マグネタイト粒子は、凝集の程度が低いものである。前記の比率が3以上になると、有機溶媒中における被覆マグネタイト粒子の分散性が低下し、該被覆マグネタイト粒子を原料として重合法トナーを製造する場合に、均一なトナーが得られにくくなる。この観点から、凝集粒子の平均粒径Bは、一次粒子の平均粒径Aに対して3.0以下、特に2.7以下であることが好ましい。一次粒子の平均粒径Aに対する凝集粒子の平均粒径Bの比率(B/A)は小さければ小さいほど好ましいと言えるが、一次粒子の平均粒径Aが小さい場合には、この比率が1に近づくと、被覆マグネタイト粒子の粉末が発塵しやすくなり、取り扱いにくくなる傾向にある。この観点から、一次粒子の平均粒径Aに対する凝集粒子の平均粒径Bの比率の下限値は、1.2以上、特に1.5以上であることが好ましい。
凝集粒子の平均粒径Bは、レーザー式粒度分布測定装置によって測定される。この平均粒径は、累積体積50容量%における体積累積粒径D50のことである。測定試料の調製のしかたは、次のとおりである。被覆マグネタイト粒子0.1gを秤量する。この操作とは別に、スチレンとn−ブチルアクリレートを7:3の質量比で混合した溶媒100ccを100ccビーカーに入れる。先に秤量した被覆マグネタイト粒子を、ビーカーの中に投入後、棒などでかき混ぜる。引き続き超音波バス(アズワン社製USK−3RA)で3分間分散処理を行う。この分散液を日機装社製マイクロトラックMT−3300で測定する。
一方、一次粒子の平均粒径Aは、被覆マグネタイト粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定される。観察の倍率は40,000倍程度とする。SE観察して撮影された粒子の粒径を同軸方向に200個以上計測し、その個数平均値を一次粒子の平均粒径とする。
上述の方法によって測定された一次粒子の平均粒径Aは0.1〜0.3μm、特に0.15〜0.25μmであることが、トナー中での着色力や色味が良好となる観点から好ましい。一方、凝集粒子の平均粒径Bは、一次粒子の平均粒径Aに対する凝集粒子の平均粒径Bの比率(B/A)が前記の範囲内であることを条件として、0.22〜0.9μm、特に0.25〜0.8μmであることが好ましい。
本発明の被覆マグネタイト粒子においては、先に述べたとおり、マグネタイトのコア粒子の表面が疎水化剤によって被覆されている。この疎水化剤は、有機シランの脱水縮合によって生じたシラン化合物からなる。シラン化合物をマグネタイトのコア粒子の表面に被覆する方法としては、湿式処理法と乾式処理法が当該技術分野においてよく知られている。湿式処理法では、水を媒体とし、コア粒子を含み、pHが所定の範囲に設定されたスラリーに有機シランやそれから生じた低重合度のシラン化合物を添加してコア粒子の表面を被覆する。乾式処理法では、コア粒子と有機シランやそれから生じた低重合度のシラン化合物とを、液媒体の実質的な非存在下(例えば、反応によって生じた水やアルコール等の液体成分の割合が5質量%以下)に混合して該コア粒子の表面を被覆する。これら2つの方法のうち、本発明においては乾式処理法を採用している。この理由は次のとおりである。
湿式処理法では、マグネタイトのコア粒子が水等の水性媒体中に分散された状態で、その表面に有機シランやその加水分解生成物が被覆される。したがって、個々の一次粒子の表面に有機シラン等を比較的均一に被覆させやすい。しかし、被覆後に粒子を固液分離して乾燥させるときに粒子どうしの凝集が起こりやすくなり、凝集粒子の粒径が大きくなる傾向にある。したがって、湿式処理法では粒子の凝集の程度を小さくするのには限りがある。これに対して乾式処理法では、水等の液媒体が実質的に存在しない条件下に処理を行うので、湿式処理法で行ったような固液分離及び乾燥工程が必要ない。したがって乾式処理法によれば粒子どうしの凝集が起こりにくい。しかし、乾式処理法では、マグネタイトコア粒子と有機シラン等とを混合させることが容易ではなく、被覆にむらが生じやすい傾向にある。そこで本発明においては、被覆マグネタイト粒子の製造において、後述する特殊な条件下での熟成工程を採用することで、コア粒子の表面にシラン化合物を均一に付着させづらいという乾式処理法の欠点を克服しつつ、かつ凝集が起こりにくいという乾式処理法の利点を最大限生かしている。
本発明の被覆マグネタイト粒子において、マグネタイトのコア粒子の表面を被覆するシラン化合物は、例えばSiの原子に直接結合したアルキル基を1個又は2個以上有する有機シランから生成する化合物である。「有機シランから生成する化合物」には、例えば有機シランの加水分解生成物や脱水縮合生成物等が包含される。シラン化合物は炭素数2〜10のアルキル基を有している。このようなシラン化合物を生成させるための有機シランとしては、例えばアルコキシシランや、シランカップリング剤として知られる化合物が挙げられる。例えば有機シランとしてR1 xSi(OR24-xで表されるものを用いることができる。式中R1は、同一の又は異なる炭素数2〜10のアルキル基を表し、R2は、R1と同じ鎖長であるか又はそれよりも短鎖のアルキル基を表す。xは好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2、一層好ましくは1を表す。xが2又は3である場合、R1は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。
マグネタイトのコア粒子の表面を被覆する前記のシラン化合物において、アルキル基の炭素数を2〜10に設定した理由は、長鎖アルキル基による疎水性相互作用に起因する粒子どうしの凝集を効果的に防止するためである。また、マグネタイトのコア粒子の表面にシラン化合物を均一に被覆させ、かつ被覆マグネタイト粒子の有機溶媒中での分散安定性を高めるためである。これらの効果を一層顕著なものとする観点から、前記のシラン化合物におけるアルキル基の炭素数は好ましくは3〜8であり、更に好ましくは3〜6である。
前記のシラン化合物を生成する有機シランの具体例としては、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、iso−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、iso−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、iso−デシルトリメトキシシラン、tert−デシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、iso−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、iso−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、iso−デシルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。これらの有機シランは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の被覆マグネタイト粒子中に含まれる前記のシラン化合物の量は、Si換算で、被覆マグネタイト粒子の質量に対して0.01〜1.5質量%、特に0.05〜0.5質量%であることが好ましい。シラン化合物の含有量がこの範囲内であることによって、水蒸気吸着量が少なく、粒子の凝集が抑制されるという有利な効果が奏される。被覆マグネタイト粒子中に含まれる前記のシラン化合物の量は、例えば株式会社リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いて測定される。
前記のシラン化合物によって被覆されるコア粒子としては、X線回折測定したときに主ピークがマグネタイトのピークと一致するものが用いられる。この場合、マグネタイトのピークのみが観察されてもよく、あるいはマグネタイトの主ピークの他に、一部マグヘマイト等のピークが観察されてもよい。
マグネタイトのコア粒子には、その表面域、中心域、あるいは表面域から中心域の全域にわたり、例えばケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム等を始めとする異種元素(鉄以外の金属元素、半金属元素、並びに酸素及び水素以外の非金属元素)を、例えばその酸化物やFeとの複合酸化物等の状態で含有させてもよい。このような異種元素を含有させることで、コア粒子の各種特性を向上させることができる。特に、コア粒子中にケイ素を含有させることが好ましい。
コア粒子はその形状が球状、多面体状(例えば六面体状、八面体状)等であり得る。コア粒子の形状について本発明者らが検討したところ、コア粒子が球状であると、上述のシラン化合物による被覆が極めて良好に行えることが判明した。したがってコア粒子として、多面体状のものよりも、球状のものを用いることが好ましい。コア粒子の形状は、後述する被覆マグネタイト粒子の製造方法において、酸化性ガスを吹き込みながらの鉄の湿式酸化における液のpHを制御することで、コントロールすることができる。
被覆マグネタイト粒子においては、上述のシラン化合物は、コア粒子の表面を薄く被覆している。したがって、被覆マグネタイト粒子の形状はコア粒子の形状を引き継いだものとなる。上述したとおり、コア粒子は球状であることが好ましいので、被覆マグネタイト粒子も球状であることが好ましい。また、上述のシラン化合物による被覆が薄いことに起因して、被覆マグネタイト粒子の平均粒径は、コア粒子の平均粒径と実質的に大差はない。したがって、コア粒子の平均粒径については、被覆マグネタイト粒子の平均粒径に関して上述した説明が適宜適用される。コア粒子の平均粒径の測定方法についても同様である。
上述の構成を有する本発明の被覆マグネタイト粒子によれば、コア粒子の表面にシラン化合物が均一に、かつ強固に結合しているので、被覆マグネタイト粒子を有機溶媒で洗浄した後であっても、シラン化合物による被覆が十分に維持されている。その結果、一次粒子の平均粒径Aに対する凝集粒子の平均粒径の比率は、有機溶媒による洗浄後であっても、洗浄前に比べて大きな変化はない。つまり過酷な環境下での使用に耐え得るものである。詳細には、有機溶媒としては、テトラフドロフランを用い、以下の条件で強制分散、洗浄、再乾燥した後の凝集粒子の平均粒径Cは、洗浄前に測定された一次粒子の平均粒径Aに対して好ましくは1超4未満であり、更に好ましくは1.2〜3.5であり、一層好ましくは1.5〜3である。
〔有機溶媒による洗浄条件〕
被覆マグネタイト粒子2gに対して有機溶媒(テトラヒドロフラン)10mLを加え、超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450、超音波出力90W)を用い、超音波照射時間1分とする。再乾燥は、磁気によって被覆マグネタイト粒子を分離した後、50℃・120分の条件で行う。解砕は、サンプルミルで30秒行う。
コア粒子とシラン化合物との結合が強固になっている本発明の被覆マグネタイト粒子は、先に述べたとおり過酷な環境下での使用に耐え得るものである。その結果、有機溶媒による洗浄後であっても、被覆マグネタイト粒子の凝集の程度の変化は小さく、粒度分布は洗浄前と比べて大きな変化はない。詳細には、以下の式(1)で表される、レーザー式粒度分布測定装置によって測定された粒度分布の安定性が、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、一層好ましくは7%以下になっている。
粒度分布安定性(%)=〔(有機溶媒で洗浄した後の凝集粒子の平均粒径C−有機溶媒で洗浄する前の凝集粒子の平均粒径B)/有機溶媒で洗浄した後の凝集粒子の平均粒径C)〕×100 (1)
前記の式(1)中、有機溶媒による洗浄の条件は、先に述べた条件と同じである。
また本発明の被覆マグネタイト粒子は、コア粒子とシラン化合物との結合が強固なものになっていることに起因して、被覆マグネタイト粒子を有機溶媒で洗浄しても、シラン化合物層の溶出が起こりづらくなっている。その結果、有機溶媒へのシラン化合物の溶出率が、被覆マグネタイト粒子全体の質量に対して好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下という低い値に抑えられる。シラン化合物の溶出率の測定方法は以下のとおりである。
〔シラン化合物の溶出率の測定方法〕
被覆マグタイト粒子3gを30mLのガラス容器に取り、ここにテトラヒドロフラン(THF)を20mL投入する。超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450)を用いて30秒間超音波を照射して洗浄を行う。次いで、磁石でマグネタイト粒子を沈降させ、上澄み液を除去する。その後50℃で3時間乾燥してから、被覆マグネタイト粒子中に含まれるカーボンの量を、炭素分析装置(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定する。シラン化合物の溶出率は、次式から求める。
溶出率(%)=((a−b)/a)×100
式中、aはTHF洗浄前の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの質量であり、bはTHF洗浄後の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの質量である。
次に、本発明の被覆マグネタイト粒子の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、(1)マグネタイトのコア粒子の製造工程、(2)シラン化合物によるコア粒子の表面の被覆工程の2つに大別される。以下、それぞれの工程について説明する。
(1)のマグネタイトのコア粒子の製造工程においては、マグネタイトのコア粒子は、当該技術分野で公知の方法に従い製造することができる。例えば、アルカリ(塩基性物質)を用いた第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に、空気や酸素を始めとする酸化性ガスを吹き込む湿式酸化法によってマグネタイトのコア粒子を製造できる。この場合、必要に応じ、Si、Ti、Al、Zr、Mn、Zn、Mg等の1種又は2種以上を含む水溶性化合物を、反応用溶液に投入してもよく(反応前、反応開始時、又は反応途中のいずれでも可)、あるいはコア粒子の生成完了後に投入してもよい。第一鉄塩の中和反応には、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物や炭酸ナトリウム等の炭酸塩を始めとするアルカリ(塩基性物質)が用いられる。
(1)の工程における液の温度は80〜95℃に設定することが好ましい。また、液に吹き込む酸化性ガスの量は、該酸化性ガスとして空気を用いる場合には、液1リットルに対して10〜30リットル/分、特に15〜25リットル/分とすることが好ましい。また、球状のコア粒子を得る場合には、酸化性ガスの吹き込み中、液のpHを5〜7に維持することが好ましい。多面体、例えば八面体のコア粒子を得る場合には、酸化性ガスの吹き込み中、液のpHを8〜14に維持することが好ましい。
(1)の工程によって得られたコア粒子は、次いで(2)の工程に付される。(2)の工程においては、コア粒子の表面を、炭素数2〜10のアルキル基を有するシラン化合物で被覆する。この被覆のために、本工程においては、上述した有機シランを用い、この有機シランから前記のシラン化合物を生成させる。
本製造方法は、シラン化合物の原料である有機シランをコア粒子の表面に付着させるときの工程に特徴の一つを有する。詳細には、炭素数2〜10のアルキル基を有する有機シランとコア粒子を液媒体の実質的な不存在下に混合した後であって、かつ有機シランの脱水縮合によってシラン化合物を生成させる前に、穏和な条件下に、つまり有機シランの脱水縮合反応が進行しない条件下に、混合された有機シランとコア粒子との熟成を行い、有機シランをコア粒子の表面に均一に付着させる。この目的のために、攪拌動力Pvの小さな攪拌装置を用いた攪拌を行う。
攪拌動力Pvの小さな攪拌装置を用いる理由は、熟成工程における攪拌によって生じる熱によって有機シランの脱水縮合が起こらないようにするためである。また、コア粒子の表面に均一に有機シランを付着させるためである。具体的な攪拌動力Pvは、50kW/m3以下であることが好ましく、30kW/m3以下であることが更に好ましい。また、攪拌動力Pvの下限値は、コア粒子と有機シランとの攪拌の効率の点から5kW/m3以上とすることが好ましく、10kW/m3以上とすることが更に好ましい。
前記の攪拌動力Pvを有する攪拌装置としては、低速及び/又は低剪断力の攪拌が可能である装置を用いることが好ましい。そのような装置として好適なものは、例えばV型攪拌機、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ロッキングミキサー、モルタルミキサー、万能混合機、リボコーン、W型混合機、パン型混合機などが挙げられる。なお、これらのタイプの装置は、前記の攪拌動力Pvを達成しやすいだけであり、これらのタイプの装置のすべてが前記の攪拌動力Pvを有するわけではない。
攪拌装置の攪拌動力Pvは、装置の撹拌モーターの動力(出力)〔kW〕を装置の有効体積〔m3〕で除すことで算出される。
なお、熟成工程に先立つ混合工程における混合の攪拌動力Pvに特に制限はなく、熟成工程と同様に50kW/m3以下に設定しても良く、あるいは50kW/m3超にしてもよい。混合工程における有機シランとコア粒子との混合時間は攪拌動力Pvに応じて適切に設定すればよい。本発明において熟成工程とは、有機シランの添加完了後に行われる撹拌工程のことである。混合工程とは、有機シランの添加開始から添加完了までの撹拌工程のことである。
コア粒子と有機シランとの攪拌による熟成工程は大気雰囲気下に行うことができる。有機シランがコア粒子の表面に均一に付着する前に、その脱水縮合が起こらないようにするために、混合物の温度は20〜40℃に維持しておくことが好ましい。攪拌時間は、1〜24時間、特に1〜10時間とすることが、コア粒子と有機シランとの均一な混合の点から好ましい。攪拌は一般に大気雰囲気で行うことができる。
熟成工程は液媒体の実質的な不存在下に行われる。すなわちコア粒子と有機シランとは乾式処理される。「液媒体の実質的な不存在下」とは、コア粒子と有機シランとの攪拌混合に際して意図的に液体を混合することは排除されるが、不可避的に混入する液体は許容される趣旨である。例えば熟成工程における反応によって水やアルコール等の液体成分が不可避的に生じるところ、それらの液体成分の割合が5質量%以下である場合には「液媒体の実質的な不存在下」には当たらない。
熟成工程を液媒体の存在下で行うと、その後に行われる乾燥時にコア粒子の表面が露出して、露出したコア粒子どうしが強固に結合しやすくなってしまうという不都合がある。乾燥時にコア粒子の表面が露出する理由は、乾燥によって水等の液体成分が揮発するときに、有機シランが水に随伴して除去される傾向にあるからである。
コア粒子と有機シランとの配合の割合は、コア粒子100質量部に対して、有機シランを0.1〜10質量部、特に0.3〜3質量部とすることが、得られる被覆マグネタイト粒子に含まれるシラン化合物の量が適切になり、被覆マグネタイト粒子の疎水性が十分に高くなる点から好ましい。またコア粒子と有機シランとの混合物中に不可避的に液体成分が含まれる場合、該液体成分の含有量は、5質量%以下に抑えることが好ましい。
なお、コア粒子と有機シランとの乾式処理による混合工程及びそれに引き続く熟成工程においては、有機シランの脱水縮合反応が生じないようにするが、有機シランの部分的な加水分解によってその多量体(例えば二量体や三量体等)が生成することは許容される。
乾式処理による熟成工程が完了したら、有機シランやその部分的な加水分解物の脱水縮合が生じる温度にまで混合物を加熱して該有機シランやその加水分解物の脱水縮合を生じさせる。有機シランの種類にもよるが、加熱温度は100〜160℃、特に105〜150℃という比較的低温とすることが好ましい。加熱をこの温度範囲で行うことで、コア粒子の過度の凝集を防止しつつ、有機シランの脱水縮合を行うことができる。加熱時の雰囲気に特に制限はない。一般的には大気下で加熱を行えばよい。この熱処理による脱水縮合も、液媒体の実質的な不存在下に行うことが好ましい。
このようにして、目的とする被覆マグネタイト粒子が得られる。この粒子においては、その表面が上述のシラン化合物で被覆されているので、疎水性が極めて高くなっている。得られた被覆マグネタイト粒子は、重合法トナーの原料として特に有用である。例えば懸濁重合法を行う場合、本発明の被覆マグネタイト粒子を、バインダのモノマー成分や電荷制御剤、ワックス等とともに混合し、次いでこれを、懸濁安定化剤を含む水と混合して懸濁させ、得られた懸濁液を加熱してモノマーを重合させることでトナーが得られる。この方法によれば粒径のそろったトナーを一段階で得ることができる。また、本発明の被覆マグネタイト粒子を、粉砕法トナーの原料として用いても何ら差し支えない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔製造例1(マグネタイトのコア粒子の製造)〕
Fe2+を1.8mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液70リットルと、水酸化ナトリウム10.6kgとを混合して全量を140リットルとした。この液を90℃に維持した状態下に、空気を20リットル/分の量で吹き込んだ。この間、水酸化ナトリウム水溶液を添加することで、液のpHを6.5に維持した。液中に存在する鉄(II)イオンが75%消費された時点で、空気の吹き込み量を10リットル/分に下げた。そして、そのまま空気の吹き込みを継続した。この湿式酸化は、液中に鉄(II)イオンが実質的に存在しなくなるまで行った。その後、コア粒子を、ハレルホモジナイザを用いて水洗し、次いで乾燥及び粉砕を常法に従い行った。このようにして、球状のコア粒子を得た。得られたコア粒子の一次粒子の平均粒径(SEM観察径)を以下の表1に示す。
〔製造例2(マグネタイトのコア粒子の製造)〕
製造例1において、温度を80℃、空気の吹き込み量を30リットル/分とする以外は製造例1と同様にしてマグネタイトのコア粒子を得た。得られたコア粒子の一次粒子の平均粒径(SEM観察径)及び形状を以下の表1に示す。
〔製造例3(マグネタイトのコア粒子の製造)〕
製造例1において、pHを12とする以外は製造例1と同様にしてマグネタイトのコア粒子を得た。得られたコア粒子の一次粒子の平均粒径(SEM観察径)及び形状を以下の表1に示す。
Figure 0005657280
〔実施例1ないし4〕
ハイスピードミキサー(LFS−2型)に、各製造例で得られたマグネタイト粒子1kgをそれぞれ投入して、30℃、2000rpmにて攪拌しながら、予め加水分解を行った有機シラン(シランカップリング剤)20gを含む液を5分間滴下して、5分間混合した(混合工程)。このようにして得られた混合粉をV型混合機(V−5型)へ投入し、大気雰囲気下に30℃、30rpmで12時間攪拌して熟成を行った(熟成工程)。混合機の攪拌動力は表2に示すとおりである。また使用した有機シランは、表2に示すとおりである。熟成後、110℃に昇温した後、1時間静置で熱処理を行い(加熱工程)、被覆マグネタイト粒子の粉末を得た。
〔実施例5〕
V型混合機(V−5型)に、製造例1で得られたマグネタイト粒子1kgを投入して、表2に示す撹拌動力で撹拌した。ここに、予め加水分解を行った表2に示す有機シラン(シランカップリング剤)20gを含む液を5回に分けて添加した(混合工程)。各回の添加のインターバルは1分とした。また、添加時にはV型混合機を停止して、マグネタイト粒子の上から有機シランを添加した。このようにして混合工程が完了したら、大気雰囲気下に30℃、30rpmで12時間攪拌して熟成を行った(熟成工程)。V型混合機の攪拌動力は表2に示すとおりである。熟成後、110℃に昇温した後、1時間静置で熱処理を行い(加熱工程)、被覆マグネタイト粒子の粉末を得た。
〔比較例1〕
実施例1において熟成工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例2〕
本比較例においては、特許文献1の段落〔0380〕に記載の方法に従い湿式処理法によってマグネタイトのコア粒子と有機シランとを攪拌混合した。具体的には、製造例1で得られたマグネタイトのコア粒子を水に分散させ、その分散液のpHを約6に調整した。この分散液を十分に攪拌しながら、表2に示す有機シランを、コア粒子に対して1.2質量部添加して湿式処理によるシラン化合物層の形成を行った。次いで、沈殿分離を用いた湿式分級法で分級を行うことにより微粒子成分を取り除き、得られた疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、引き続き若干凝集している粒子を解砕処理して、被覆マグネタイト粒子を得た。
〔比較例3〕
本比較例においては、実施例1において行った熟成工程に代えて、混合工程で用いたハイスピードミキサーを引き続き用いて熟成工程を行った。熟成の上限は表2に示すとおりである。それ以外は実施例1と同様にして被覆マグネタイト粒子を得た。
Figure 0005657280
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた被覆マグネタイト粒子について、シラン化合物の被覆量、一次粒子の平均粒径A及び凝集粒子の平均粒径Bを上述の方法で測定した。また上述の方法によって、有機溶媒で洗浄した後の被覆マグネタイト粒子の凝集粒径Cを測定した。更に、粒度分布安定性及びシラン化合物の有機溶媒への溶出率を上述の方法で測定した。これらの結果を以下の表3に示す。
Figure 0005657280
表3に示す結果から明らかなように、各実施例の被覆マグネタイト粒子は、凝集の程度が低く、かつ有機溶媒による洗浄後であっても凝集しづらいものであることが判る。また、有機溶媒へのシラン化合物の溶出の程度も低いことが判る。これに対して、熟成工程を行わなかった比較例1の被覆マグネタイト粒子では、シラン化合物の付着が均一でないことに起因して、マグネタイトのコア粒子の未被覆部が露出し、それによって一次粒子の凝集が進み、かつ有機溶媒による洗浄後は凝集が一層甚だしくなることが判る。また、有機溶媒へのシラン化合物の溶出の程度も高いことが判る。湿式処理法を採用した比較例2では、乾燥工程における一次粒子の凝集が起こり、かつ有機溶媒による洗浄後は凝集が一層進行することが判る。熟成を穏和な条件下で行わなかった比較例3は、熟成を全く行わなかった比較例1よりは凝集の程度は低いものの、各実施例に比べれば凝集が起こっていることが判る。

Claims (5)

  1. マグネタイトのコア粒子と、炭素数3〜6のアルキル基を有する有機シランとを乾式処理して得られ、該コア粒子の表面が疎水化剤によって被覆されてなる被覆マグネタイト粒子であって、
    前記疎水化剤は、R 1 x Si(OR 2 4-x (式中R 1 は、同一の又は異なる炭素数3〜6のアルキル基を表し、R 2 は、R 1 と同じ鎖長であるか又はそれよりも短鎖のアルキル基を表す。xは1〜3の整数を表す。xが2又は3である場合、R 1 は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。)で表される前記有機シランから生成したものであり、
    レーザー式粒度分布測定装置によって測定された凝集粒子の平均粒径が、走査型顕微鏡観察によって測定された一次粒子の平均粒径に対して1超3未満であることを特徴とする被覆マグネタイト粒子。
  2. 有機溶媒としてテトラヒドロフランを用い、以下の条件で洗浄した後にレーザー式粒度分布測定装置によって測定された凝集粒子の平均粒径が、前記の一次粒子の平均粒径に対して1超4未満である請求項1記載の被覆マグネタイト粒子。
    〔有機溶媒による洗浄条件〕
    被覆マグネタイト粒子2gに対して有機溶媒(テトラヒドロフラン)10mLを加え、超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450、超音波出力90W)を用い、超音波を1分間照射する。次いで、磁気によって被覆マグネタイト粒子を分離した後、50℃・120分の条件で再乾燥を行う。
  3. 以下の式(1)で表される、レーザー式粒度分布測定装置によって測定された粒度分布の安定性が、15%以下である請求項1又は2記載の被覆マグネタイト粒子。
    粒度分布安定性(%)=〔(有機溶媒で洗浄した後の凝集粒子の平均粒径−有機溶媒で洗浄する前の凝集粒子の平均粒径)/有機溶媒で洗浄した後の凝集粒子の平均粒径)〕×100 (1)
    (式中、有機溶媒による洗浄の条件は前記のとおりである。)
  4. 以下の方法で測定されるシラン化合物の溶出率が、被覆マグネタイト粒子全体の質量に対して15%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の被覆マグネタイト粒子。
    〔シラン化合物の溶出率の測定方法〕
    被覆マグタイト粒子3gを30mLのガラス容器に取り、ここにテトラヒドロフラン(THF)を20mL投入する。超音波ホモジナイザ(BRANSON社製SONIFIER450)を用いて30秒間超音波を照射して洗浄を行う。次いで、磁石でマグネタイト粒子を沈降させ、上澄み液を除去する。その後50℃で3時間乾燥してから、被覆マグネタイト粒子中に含まれるカーボンの量を、炭素分析装置(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて測定する。シラン化合物の溶出率は、次式から求める。
    溶出率(%)=((A−B)/A)×100
    式中、AはTHF洗浄前の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの質量であり、BはTHF洗浄後の被覆マグネタイト粒子に含まれるカーボンの質量である。
  5. 請求項1記載の被覆マグネタイト粒子の製造方法であって、
    アルカリを用いた第一鉄塩の中和反応によって生じた水酸化第一鉄コロイド溶液に、酸化性ガスを吹き込んでマグネタイトのコア粒子を生成させ、
    前記コア粒子炭素数3〜6のアルキル基を有する有機シランを、液媒体の実質的な不存在下に添加し
    前記コア粒子への前記有機シランの添加が完了した後、V型攪拌機、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ロッキングミキサー、モルタルミキサー、万能混合機、リボコーン、W型混合機及びパン型混合機から選ばれる攪拌装置を用い、攪拌動力Pvを50kW/m 3 以下にして、前記コア粒子と前記有機シランとを液媒体の実質的な不存在下に攪拌しながら熟成し、次いで
    大気雰囲気下、100〜160℃で熱処理し、前記有機シランの脱水縮合を生じさせ、それによって生成したシラン化合物でコア粒子の表面を被覆する工程を有し、
    前記有機シランは、 1 x Si(OR 2 4-x (式中R 1 は、同一の又は異なる炭素数3〜6のアルキル基を表し、R 2 は、R 1 と同じ鎖長であるか又はそれよりも短鎖のアルキル基を表す。xは1〜3の整数を表す。xが2又は3である場合、R 1 は、その炭素数が上述の範囲であることを条件として、同種のアルキル基でもよく、あるいは異種のアルキル基でもよい。)で表される化合物を予め加水分解したものであることを特徴とする被覆マグネタイト粒子の製造方法。
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