JP2001151512A - セメント着色用顔料 - Google Patents

セメント着色用顔料

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JP2001151512A
JP2001151512A JP33680199A JP33680199A JP2001151512A JP 2001151512 A JP2001151512 A JP 2001151512A JP 33680199 A JP33680199 A JP 33680199A JP 33680199 A JP33680199 A JP 33680199A JP 2001151512 A JP2001151512 A JP 2001151512A
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particle powder
cement
carbon black
particles
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Kazuyuki Hayashi
一之 林
Keisuke Iwasaki
敬介 岩崎
Hiroko Morii
弘子 森井
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Toda Kogyo Corp
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    • C04B14/30Oxides other than silica
    • C04B14/308Iron oxide
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な黒色度を有し、且つ、セメント混合材
中での分散性が優れた黒色複合酸化鉄粒子粉末からなる
セメント着色用顔料を提供する。 【解決手段】 十分な黒色度を有し、且つ、セメント混
合材中での分散性が優れた黒色複合酸化鉄粒子粉末から
なるセメント着色用顔料とは、酸化鉄粒子粉末の粒子表
面が有機ケイ素化合物によって被覆されていると共に該
有機ケイ素化合物被覆にカーボンブラックが付着してい
る平均粒子径0.08〜3.0μmの黒色複合酸化鉄粒
子粉末からなり、前記カーボンブラックの付着量が前記
酸化鉄粒子粉末100重量部に対して3〜30重量部で
あり、且つ、該黒色複合酸化鉄粒子粉末の密度が4.9
0g/cm以下であるセメント着色用顔料からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、十分な黒色度を有し、
且つ、セメント混合材中での分散性が優れた黒色複合酸
化鉄粒子粉末からなるセメント着色用顔料を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題が大きく取り上げられる
中、コンクリートあるいはモルタル製人工建造物におい
ても自然環境に配慮した外観、色調が求められている。
【0003】これに対応して、コンクリートあるいはモ
ルタル製の構造物において白または灰色単色では人工的
であって彩度が高く、周囲の景観と適合しないため、黒
色系、茶色系等の顔料を使用して着色し、彩度を下げた
カラーコンクリートあるいはカラーモルタル製の構造物
が要求されている。カラーコンクリートあるいはカラー
モルタル製の構造物は、自然環境との整合性、美観上の
目的から主としてビル、公園の遊歩道、道路等の法面或
いは海や川の護岸壁等の各種構造物に広く施工されてき
ている。
【0004】一般に、カラーコンクリート及びカラーモ
ルタル等の製造方法としては、砕石、砂、水、セメン
ト、AE減水剤等各種添加剤からなるセメント混合材
に、セメント着色用顔料(着色顔料粉体)を5重量%以
下投入して混練しセメント混合材を着色するという方法
が採用されている。
【0005】均一に着色したカラーコンクリート又はカ
ラーモルタルを得るためには、セメント着色用顔料がセ
メント混合材中での分散性に優れている必要がある。そ
こで、セメント混合材中における分散性を考慮して、微
粒子状のものが使用されているが、顔料の飛散を防止し
作業効率を向上させるために、界面活性剤を混合して顆
粒状にすることが試みられている(特開昭59−196
724号公報、特開平2−286754号公報、特開平
2−307847号公報、特開平5−279092号公
報、特開平7−69691号公報等)。
【0006】また、セメント混合材中での分散性が不十
分な場合及びセメント混合材の密度と着色顔料との密度
差が大きい場合には、得られたコンクリート又はモルタ
ル等に色むらが生じたり、コンクリート又はモルタル等
の表面と内部の着色度合が異なるものになるという問題
がある。
【0007】一方、カラーコンクリート又はカラーモル
タル等の色は用いられる着色顔料の種類によって決ま
り、黒色のコンクリート又はモルタル等を得るために
は、着色顔料としてマグネタイト粒子粉末やカーボンブ
ラック微粒子粉末が用いられている。
【0008】一般に、マグネタイト粒子粉末は、無害で
あって適当な粒子サイズを有していることから、安全
性、経済性の点でセメント着色用顔料として優れている
ものである。しかし、黒色度の点では未だ不十分であ
り、得られるコンクリート及びモルタルの黒色度を上げ
ようとすればセメント混合材中に多量のマグネタイト粒
子粉末を添加する必要がある。また、マグネタイト粒子
粉末は磁性を有しているため磁気的な凝集を生じやす
く、セメント混合材中での均一な分散が困難である。更
に、一般的なセメント混合材の密度が3.15g/cm
程度であるのに対して、マグネタイト粒子粉末の密度
は5.20g/cmと高いためにセメント混合材中で
の分散性が悪く、長時間の混練を必要とするとともに、
色分かれや色むらを生じやすいものであった。
【0009】カーボンブラック微粒子粉末は、各種黒色
顔料の中では最も黒色度が優れており、カーボンブラッ
ク微粒子粉末を用いて得られたコンクリート及びモルタ
ルは耐酸性や耐候性にも優れている。しかしながら、粒
子サイズが0.005〜0.05μm程度の微粒子であ
り、また、疎水性であるため、水分散系であるセメント
混合材での分散に適しているとはいえない。また、かさ
密度が0.1g/cm 程度とかさ高い粉末であるた
め、取り扱いが困難で作業性が悪いものであった。更
に、少量の使用によって十分に黒いコンクリート及びモ
ルタル等が得られるために微妙な色の調整が必要とされ
る場合には適していない。また、発ガン性等の安全、衛
生面からの問題も指摘されている。
【0010】近年、着色剤としての黒色粒子粉末の諸特
性向上が望まれており、カーボンブラック微粒子粉末の
有利な特性とマグネタイト粒子粉末の有利な特性とを兼
ね備えた黒色粒子粉末が強く要求されている。
【0011】また、磁性を有するマグネタイト粒子粉末
に代えて、非磁性の酸化鉄粒子粉末であるヘマタイト粒
子粉末も安全性、経済性の点で優れたセメント着色用顔
料となりうるものである。
【0012】そこで、カーボンブラック微粒子粉末と酸
化鉄粒子粉末とを複合化して両者の優れた特徴をあわせ
もつ黒色粒子粉末を得ることが種々試みられており、例
えば、1)水溶液中から析出したマグネタイト粒子を含
む水懸濁液中にカーボンブラック微粒子粉末を含む水性
分散液を添加した後、混合攪拌してマグネタイト粒子粉
末の粒子表面にカーボンブラック微粒子粉末を吸着させ
る方法(特公昭50−13300号公報)、2)糖蜜等
の高分子量有機物質を溶解した鉄含有廃スラッジとカー
ボンブラック微粒子粉末を含む熱ガスとをスプレー反応
器中に温度450〜850℃で導入し、鉄塩からマグネ
タイト粒子を生成すると同時に該マグネタイト粒子表面
に糖蜜を結合促進剤としてカーボンブラック微粒子粉末
を結合させる方法(特開昭49−48725号公報)、
3)鉄塩水溶液にカーボンブラック微粒子粉末を懸濁さ
せた後アルカリを添加してカーボンブラック微粒子粉末
と四三酸化鉄とを共沈させることにより表面がカーボン
ブラックで被覆されている共沈物を得る方法(特公昭5
5−39580号公報)、4)微小板状粒子の粒子表面
にカーボンブラック微粒子粉末等が被着されているとと
もに、該カーボンブラック微粒子粉末等をアニオン性又
はカチオン性の界面活性剤、非イオン性の界面活性剤及
び有機官能性のオルガノシラン化合物で固定化する方法
(特開平6−145556号公報、特開平7−3164
58号公報)等が知られている。
【0013】更に、セメントは硬化する際に水和反応を
生じ、その結果、水酸化カルシウムを生成遊離すること
が知られており、着色用顔料としては耐アルカリ性に優
れていることが要求されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】カーボンブラック微粒
子粉末の有利な特性と酸化鉄粒子粉末の有利な特性を兼
ね備えたセメント着色用顔料は、現在最も要求されてい
るところであるが、前出公知の方法による場合には、こ
れらの諸特性を十分満足するセメント着色用顔料は得ら
れていない。
【0015】即ち、前出特開昭59−196724号公
報、特開平2−286754号公報、特開平2−307
847号公報、特開平5−279092号公報、特開平
7−69691号公報記載の方法は、界面活性剤を混合
し顆粒状にすることによってセメント混合材中での分散
性を向上させることを目的としており、マグネタイト粒
子粉末の密度が高く、また、セメント着色用顔料自体が
十分な黒色度を有しているとは言い難いものである。
【0016】また、前出1)の公知方法による場合に
は、カーボンブラック微粒子粉末の脱離率が高く、セメ
ント混合材中への分散に際してカーボンブラック微粒子
粉末が脱離するため、セメント混合材中での均一な分散
が困難であるとともに、得られるコンクリート及びモル
タル等の黒色度が十分改善できない。
【0017】前出2)の公知方法による場合には、カー
ボンブラック微粒子粉末のみを使用した場合に比べ同等
又は遜色のない黒色度を得るためには、カーボンブラッ
ク微粒子粉末をマグネタイト粒子粉末100重量部に対
し280重量部程度と多量に使用する必要があり、前出
3)の公知方法による場合も、同様にカーボンブラック
微粒子粉末のみを使用した場合に比べ同等又は遜色のな
い黒色度を得るためには、カーボンブラック微粒子粉末
をマグネタイト粒子粉末100重量部に対し100〜4
00重量部程度添加する必要があり、しかも、共沈物の
表面に付着しているカーボンブラック微粒子は脱離しや
すいものである。前出4)の公知方法による粒子粉末
は、黒色度が劣っており、しかも、カーボンブラック微
粒子粉末が脱離しやすいものであり、この方法によって
得られた粒子粉末は黒色粒子粉末とはいえない。
【0018】そこで、本発明は、酸化鉄粒子粉末の粒子
表面にカーボンブラックを強固に付着させることによっ
て、黒色度に優れ、且つ、セメント混合材中での分散性
に優れたセメント着色用顔料を得ることを技術的な課題
とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0020】即ち、本発明は、酸化鉄粒子粉末の粒子表
面が有機ケイ素化合物によって被覆されていると共に該
有機ケイ素化合物被覆にカーボンブラックが付着してい
る平均粒子径0.08〜3.0μmの黒色複合酸化鉄粒
子粉末からなり、前記カーボンブラックの付着量が前記
酸化鉄粒子粉末100重量部に対して3〜30重量部で
あり、且つ、該黒色複合酸化鉄粒子粉末の密度が4.9
0g/cm以下であることを特徴とするセメント着色
用顔料である(本発明1)。
【0021】また、本発明は、本発明1の酸化鉄粒子粉
末の粒子表面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウ
ムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から
選ばれる少なくとも一種からなる表面被覆物によって被
覆されていることを特徴とするセメント着色用顔料であ
る(本発明2)。
【0022】また、本発明は、黒色複合酸化鉄粒子粉末
の粉体pH値が5.0以上である本発明1又は本発明2
記載のセメント着色用顔料である(本発明3)。
【0023】また、本発明は、本発明1乃至本発明3の
黒色複合酸化鉄粒子粉末と該黒色複合酸化鉄粒子粉末に
対して0.01〜10重量%の界面活性剤とを圧縮脱気
処理によって造粒した平均粒径が300〜1500μm
の範囲内にある造粒物からなることを特徴とするセメン
ト着色用顔料である。
【0024】本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通
りである。
【0025】先ず、本発明に係るセメント着色用顔料に
ついて述べる。
【0026】本発明に係るセメント着色用顔料は、酸化
鉄粒子粉末、必要により、該酸化鉄粒子粉末の粒子表面
がアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケ
イ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なく
とも1種からなる表面被覆物によって被覆されている酸
化鉄粒子粉末を芯粒子粉末として、該芯粒子粉末の粒子
表面がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化
合物又はポリシロキサンによって被覆されており、該オ
ルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆にカー
ボンブラックが付着している平均粒子径0.08〜3.
0μmの黒色複合酸化鉄粒子粉末からなる。
【0027】本発明における芯粒子粉末である酸化鉄粒
子粉末は、マグネタイト粒子粉末又はヘマタイト粒子粉
末である。得られる黒色複合酸化鉄粒子粉末の黒色度を
考慮すれば、芯粒子粉末としてはマグネタイト粒子粉末
が好ましい。
【0028】芯粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、八
面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子及び針状、紡
錘状、米粒状等の針状粒子のいずれでもよい。セメント
混合材中での分散性を考慮すれば、球状、粒状、八面体
状、六面体状、多面体状等の粒状粒子が好ましい。
【0029】芯粒子粉末の粒子サイズは、球状、粒状、
八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子の場合、平
均粒子径0.076〜2.92μm、好ましくは、0.
086〜2.42μm、より好ましくは0.096〜
1.92μmであり、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒
子の場合、平均粒子径(長軸径)0.076〜2.92
μm、好ましくは0.086〜2.42μm、より好ま
しくは0.096〜1.92μmであって、軸比(平均
長軸径と平均短軸径との比)(以下、「軸比」という)
は2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜
10である。
【0030】芯粒子粉末の黒色度は、マグネタイト粒子
粉末の場合、通常L値の下限値が19を超え、上限値
は25、好ましくは24である。ヘマタイト粒子粉末の
場合、通常L値の下限値が19を超え、上限値は3
6、好ましくは34である。L 値が前記上限値を超え
る場合には、明度が高すぎるため、本発明の目的とする
黒色度に優れたセメント着色用顔料を得ることが困難と
なる。
【0031】芯粒子粉末の密度は、製造方法や粒子中に
含有される不純物によって若干変化するが、マグネタイ
ト粒子粉末の場合、5.20g/cm前後であり、ヘ
マタイト粒子粉末の場合、5.00〜5.20g/cm
の範囲である。
【0032】芯粒子粉末の粉体pH値は5.0以上であ
ることが好ましい。粉体pH値が5.0未満の場合に
は、粉体pH値の高い黒色複合酸化鉄粒子粉末を得るこ
とが困難となる。得られる黒色複合酸化鉄粒子粉末の粉
体pH値を考慮すれば、芯粒子粉末の粉体pH値は5.
5以上がより好ましく、更により好ましくは6.0であ
り、その上限値は13程度である。
【0033】芯粒子粉末のBET比表面積値は、1〜2
00m/g、好ましくは2〜150m/g、より好
ましくは、2.5〜100m/gであり、粒子径の幾
何標準偏差値は1.8以下、好ましくは1.7以下であ
り、その下限値は1.01である。
【0034】芯粒子粉末の耐アルカリ性は、通常ΔL
値が2を超える値を有している。なお、本発明における
耐アルカリ性は後述する評価方法によって求めた。
【0035】本発明における有機ケイ素化合物は、化1
で表わされるアルコキシシランから乾燥乃至加熱処理を
経て生成するオルガノシラン化合物、化2で表わされる
フルオロアルキルシランから乾燥乃至加熱処理を経て生
成するフッ素含有オルガノシラン化合物又は化3で表わ
されるポリシロキサン、化4で表わされる変成ポリシロ
キサン、化5で表わされる末端変成ポリシロキサン等の
ポリシロキサン又はこれらの混合物である。
【0036】
【化1】RaSiX4-a R:−C65,−(CH32CHCH2,−n−Cm
2m+1 X:−OCH3,−OC25 m:1〜18の整数 a:0〜3の整数
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】アルコキシシランとしては、具体的には、
メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デ
シルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】カーボンブラックの脱離率及び付着効果を
考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから
生成するオルガノシラン化合物が好ましく、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリメトキシシランから生成す
るオルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0043】フルオロアルキルシランとしては、具体的
には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリ
デカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカ
フルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオ
ロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピ
ルエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエト
キシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。
【0044】カーボンブラックの脱離率及び付着効果を
考慮すると、トリフルオロプロピルトリメトキシシラ
ン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシランから生成す
るフッ素含有オルガノシラン化合物が好ましく、トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ
オクチルトリメトキシシランから生成するフッ素含有オ
ルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0045】ポリシロキサンとしては、ポリシロキサ
ン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテ
ル変成ポリシロキサン、ポリエステル変成ポリシロキサ
ン、エポキシ変成ポリシロキサン、末端カルボン酸変成
ポリシロキサン、末端アルコール変成ポリシロキサン及
び末端水酸基変成ポリシロキサンを用いることができ
る。
【0046】カーボンブラックの脱離率及び付着効果を
考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有
するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン
及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成
ポリシロキサンが好ましい。
【0047】有機ケイ素化合物の被覆量は、有機ケイ素
化合物被覆芯粒子粉末に対し、Si換算で0.02〜
5.0重量%であることが好ましい。より好ましくは、
0.03〜4.0重量%、更により好ましくは0.05
〜3.0重量%である。
【0048】0.02重量%未満の場合には、芯粒子粉
末100重量部に対して3重量部以上のカーボンブラッ
クを付着させることが困難である。5.0重量%を超え
る場合には、カーボンブラックを芯粒子粉末100重量
部に対して3〜30重量部付着させることができるた
め、必要以上に添加する意味がない。
【0049】付着処理に用いるカーボンブラック微粒子
粉末は、市販のファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク等を使用することができ、具体的には、#3050、
#3150、#3250、#3750、#3950、M
A100、MA7、#1000、#2400B、#3
0、MA77、MA8、#650、MA11、#50、
#52、#45、#2200B、MA600等(商品
名:三菱化学株式会社(製))シースト9H、シースト
7H、シースト6、シースト3H、シースト300、シ
ーストFM等(商品名、東海カーボン株式会社
(製))、Raven 1250、Raven 86
0、Raven 1000、Raven 1190UL
TRA(商品名:コロンビヤン・ケミカルズ・カンパニ
ー(製))、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラ
ックEC600JD(商品名:ケッチェンブラック・イ
ンターナショナル株式会社(製))、BLACK PE
ARLS−L、BLACK PEARLS 1000、
BLACK PEARLS 4630、VULCAN
XC72、REGAL 660、REGAL 400
(商品名:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・
インク(製))等が使用できる。
【0050】得られる黒色複合酸化鉄粒子粉末の粉体p
H値及び耐アルカリ性を考慮すると、カーボンブラック
微粒子粉末の粉体pH値は5.0以上であることが好ま
しく、より好ましくは6.0以上であり、その上限値は
12程度である。
【0051】付着処理に用いるカーボンブラック微粒子
粉末の平均粒子径は、0.005〜0.05μm程度、
より好ましくは0.01〜0.035μm程度である。
【0052】0.005μm未満の場合には、カーボン
ブラック微粒子粉末があまりに微細となるため、取扱い
が困難となる。0.05μmを超える場合には、カーボ
ンブラック微粒子の粒子サイズが大きいため、有機ケイ
素化合物被覆へ均一に付着させるために非常に大きな機
械的せん断力等が必要となり、工業的に不利となる。
【0053】カーボンブラックの付着量は、芯粒子粉末
100重量部に対し3〜30重量部であり、好ましく
は、5〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部
である。
【0054】3重量部未満の場合には、カーボンブラッ
クの付着量が不十分であり、得られた黒色複合酸化鉄粒
子粉末は十分な黒色度を有しないと共に十分な密度低減
効果が得られない。また、30重量部を超える場合には
得られた黒色複合酸化鉄粒子粉末は十分な黒色度を有し
ているが、カーボンブラックの付着量が多いためカーボ
ンブラックが脱離しやすくなり、その結果、セメント混
合材中への分散性が低下する。
【0055】カーボンブラックの付着厚みは、0.04
μm以下が好ましく、より好ましくは0.03μm以
下、更に好ましくは0.02μm以下である。
【0056】本発明に係るセメント着色用顔料の粒子形
状や粒子サイズは、芯粒子である酸化鉄粒子の粒子形状
や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子にほぼ相似する粒
子形態を有し、芯粒子よりも若干大きい粒子サイズを有
している。
【0057】即ち、本発明における黒色複合酸化鉄粒子
粉末は、粒状の酸化鉄粒子を芯粒子とした場合には、粒
子サイズが平均粒子径0.08〜3.0μm、好ましく
は0.09〜2.5μm、より好ましくは0.1〜2.
0μmであり、針状の酸化鉄粒子を芯粒子とした場合に
は、平均粒子径(平均長軸径)が0.08〜3.0μ
m、好ましくは0.09〜2.5μm、より好ましくは
0.1〜2.0μmであって、軸比が2〜20、好まし
くは3〜15、より好ましくは3〜10である。
【0058】平均粒子径が0.08μm未満の場合に
は、粒子の微細化による分子間力の増大により、セメン
ト混合材中における分散が困難となる。平均粒子径が
3.0μmを超える場合には、大粒子化に伴い着色力が
低下する。
【0059】本発明に係るセメント着色用顔料の黒色度
は、芯粒子粉末としてマグネタイト粒子粉末を用いた場
合、上限値がL値で20であり、好ましくは19であ
る。芯粒子粉末としてヘマタイト粒子粉末を用いた場
合、上限値がL値で21であり、好ましくは20であ
る。L値が21を超える場合には、明度が高くなり、
黒色度が十分とは言えない。下限値はL値が15程度
である。
【0060】本発明に係るセメント着色用顔料の密度
は、4.90g/cm以下であり、好ましくは、4.
85g/cm以下、より好ましくは4.80g/cm
以下である。密度が4.90g/cmを超える場合
には、セメント混合材に分散させた場合にセメント混合
材との密度差があるため分散に要する時間が長くなると
ともに、得られたコンクリート及びモルタル等は、色む
ら、ロット間のばらつき及び表面と内部との色相差が生
じやすくなる。
【0061】本発明に係るセメント着色用顔料のカーボ
ンブラックの脱離率は20%以下が好ましく、より好ま
しくは10%以下である。カーボンブラックの脱離率が
20%を超える場合には、セメント混合材中への分散時
において、脱離したカーボンブラックによりセメント混
合材中での均一な分散が阻害される場合があるととも
に、得られたコンクリート及びモルタル等は、色むら、
ロット間のばらつき及び表面と内部との色相差が生じや
すくなる。
【0062】本発明に係るセメント着色用顔料の粉体p
H値は5.0以上であることが好ましい。粉体pH値が
5.0未満の場合には、セメントが硬化する際の水和反
応によって生成遊離する水酸化カルシウムによって、得
られるコンクリート及びモルタル等が変退色する場合が
ある。得られるコンクリート及びモルタル等の変退色防
止効果を考慮すれば、粉体pH値は5.5以上がより好
ましく、更により好ましくは6.0以上であり、その上
限値は12程度である。
【0063】本発明に係るセメント着色用顔料は、BE
T比表面積値が1〜200m/g、好ましくは2〜1
50m/g、より好ましくは、2.5〜100m
gである。BET比表面積値が1m/g未満の場合に
は、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結
が生じた粒子となっており、セメント混合材中での分散
性に悪影響を与えるので好ましくない。BET比表面積
値が200m/gを超える場合には、粒子の微細化に
よる分子間力の増大により、セメント混合材中における
分散が困難となる。
【0064】また、本発明に係るセメント着色用顔料の
耐アルカリ性は、ΔL値で2.0以下が好ましく、よ
り好ましくは1.5以下である。ΔL値で2.0を超
える場合には、セメントが硬化する際の水和反応によっ
て生成遊離する水酸化カルシウムによって得られたコン
クリート及びモルタル等が変退色する場合がある。
【0065】また、本発明に係るセメント着色用顔料
は、粒子径の幾何標準偏差値が1.8以下であることが
好ましい。幾何標準偏差値が1.8を超える場合には、
存在する粗大粒子のため、セメント混合材中における均
一な分散が困難となる。セメント混合材中における均一
分散を考慮すれば、1.7以下が好ましい。工業的な生
産性を考慮すれば、粒子径の幾何標準偏差値の下限値は
1.01である。
【0066】本発明に係るセメント着色用顔料は、必要
により、芯粒子粉末の粒子表面があらかじめ、アルミニ
ウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸
化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも1種か
らなる表面被覆物(以下、「表面被覆物」という。)に
よって被覆されていてもよく、表面被覆物で被覆しない
場合に比べ、粒子粉末の密度を下げることができるとと
もに、カーボンブラックの脱離率をより低減することが
できるためセメント混合材中への分散性が向上する。
【0067】表面被覆物による被覆量は、芯粒子粉末に
対しAl換算、SiO換算、又はAl換算量とSiO
換算量との総和で0.01〜50重量%が好ましい。
【0068】0.01重量%未満である場合には、セメ
ント混合材中への分散性改良効果が得られない。50重
量%を超える場合には、セメント混合材中への分散性改
良効果が十分に得られ、必要以上に被覆する意味がな
い。
【0069】表面被覆物で被覆されている本発明に係る
セメント着色用顔料は、表面被覆物で被覆されていない
本発明に係るセメント着色用顔料の場合とほぼ同程度の
粒子サイズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、黒色
度値、耐アルカリ性を有している。
【0070】また、カーボンブラックの脱離率及び黒色
複合酸化鉄粒子粉末の密度は表面被覆物で被覆すること
によって低減することができ、カーボンブラックの脱離
率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下
を有しており、黒色複合酸化鉄粒子粉末の密度は、好ま
しくは4.80g/cm以下、より好ましくは4.7
5g/cm以下、更により好ましくは4.70g/c
以下を有している。
【0071】 本発明に係るセメント着色用顔料は、黒
色複合酸化鉄粒子粉末と該黒色複合酸化鉄粒子粉末に対
して0.01〜10重量%の界面活性剤とを圧縮脱気処
理によって造粒した平均粒径が300〜1500μmの
範囲内にある造粒物であることが好ましい。
【0072】界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオ
ン性、非イオン性又は両性の界面活性剤が使用できる。
例えば、陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミ
ン塩系、第四級アンモニウム塩系のものが使用できる。
また、陰イオン性界面活性剤としては、縮合リン酸塩
系、リグニンスルホン酸塩系、カルボン酸型高分子活性
剤、アルキル硫酸エステル系、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩系、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物
系、クレオソート油スルホン酸塩ホルマリン縮合物系、
芳香族スルホン酸塩ホルマリン縮合物系等がある。非イ
オン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル等がある。両性界面活性剤としては、ラウリルベタ
イン系やラウリルジメチルアミンオキサイド系等があ
る。
【0073】セメント混合材中での分散性を考慮すれ
ば、イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは、
陰イオン性界面活性剤である。
【0074】界面活性剤の被覆量は、黒色複合酸化鉄粒
子粉末に対して0.01〜10重量%が好ましい。0.
01重量%未満の場合、適度の強度を有した造粒物の造
粒化が困難となり、得られた造粒物は壊れやすいものと
なりセメント着色用顔料の飛散防止効果の向上が期待で
きない。
【0075】また、10重量%を超える場合には、見掛
け上セメントペーストの流動性は上がるが、実際にはむ
しろセメント混合材中への分散が十分でないため、顔料
本来の色を得ることができず、十分な黒色度を得ること
ができない。
【0076】顆粒状の着色用顔料の平均粒径は300〜
1500μmが好ましい。平均粒径が300μm未満の
場合は、飛散の問題が生じ、作業環境上好ましくない。
1500μmを超える場合は、セメント混合材中への分
散に時間がかかるため経済上好ましくない。
【0077】次に、本発明における黒色複合酸化鉄粒子
粉末の製造法について述べる。
【0078】芯粒子粉末のアルコキシシラン、フルオロ
アルキルシラン又はポリシロキサンによる被覆は、芯粒
子粉末とアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン又
はポリシロキサンとを機械的に混合攪拌したり、芯粒子
粉末にアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン又は
ポリシロキサンを噴霧しながら機械的に混合攪拌すれば
よい。添加したアルコキシシラン、フルオロアルキルシ
ラン又はポリシロキサンは、ほぼ全量が芯粒子粉末の粒
子表面に被覆される。
【0079】アルコキシシラン、フルオロアルキルシラ
ン又はポリシロキサンを均一に粒子表面に被覆するため
には、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解
きほぐしておくことが好ましい。
【0080】芯粒子粉末とアルコキシシラン、フルオロ
アルキルシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌をする
ための機器としては、粉体層にせん断力を加えることの
できる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧
縮が同時に行える装置がより好ましく、例えば、ホイー
ル形混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロー
ル型混練機を用いることができる。
【0081】具体的には、ミックスマラー、シンプソン
ミル、サンドミル、マルチミル、ストッツミル、ウエッ
トパンミル、コナーミル、ヘンシェルミキサー、リング
マラー、回転ミル、振動ミル、加圧ニーダ、エクストル
ーダー及びスクリューミキサーを用いることができる。
好ましくは、ミックスマラー、シンプソンミル、サンド
ミル、マルチミル、ストッツミル、ウエットパンミル、
コナーミル、ヘンシェルミキサーであり、殊に、ミック
スマラー、シンプソンミル、サンドミル、マルチミルが
より好ましい。
【0082】混合攪拌時における条件は、芯粒子粉末の
粒子表面にアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン
又はポリシロキサンができるだけ均一に被覆されるよう
に、線荷重は2〜200kg/cm、好ましくは10〜
150kg/cm、より好ましくは15〜100kg/
cm、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90
分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、攪拌
速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000r
pm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理
条件を適宜調整すればよい。
【0083】アルコキシシラン、フルオロアルキルシラ
ン又はポリシロキサンの添加量は、芯粒子粉末100重
量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.1
5重量部未満の場合には、カーボンブラックを芯粒子粉
末100重量部に対して3重量部以上付着させることが
困難である。0.15〜45重量部の添加量により、カ
ーボンブラックを十分付着させることができるので、4
5重量部を超えて必要以上に添加する意味がない。
【0084】次いで、アルコキシシラン、フルオロアル
キルシラン又はポリシロキサンを被覆した芯粒子粉末
に、カーボンブラック微粒子粉末を添加し、混合攪拌し
てアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン又はポリ
シロキサン被覆の表面にカーボンブラックを付着させた
後、乾燥乃至加熱処理する。
【0085】カーボンブラック微粒子粉末は、少量ずつ
時間をかけながら、殊に5〜60分間程度をかけて添加
するのが好ましい。
【0086】混合攪拌時における条件は、カーボンブラ
ックが均一に付着する様に、線荷重は2〜200kg/
cm、好ましくは10〜150kg/cm、より好まし
くは15〜100kg/cm、処理時間は5〜120
分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調
整すればよい。なお、攪拌速度は2〜2000rpm、
好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜
800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0087】カーボンブラック微粒子粉末の添加量は、
芯粒子粉末100重量部に対して3〜30重量部であ
る。3重量部未満の場合には、カーボンブラックの付着
量が不十分であり、十分な黒色度が得られないととも
に、得られる黒色複合酸化鉄粒子粉末の密度を低減する
ことが困難となる。30重量部を超える場合には、高い
黒色度が得られるとともに、粒子粉末の密度を十分に低
減することができるが、カーボンブラックの付着量が多
くなるため粒子表面からカーボンブラックが脱離しやす
くなり、その結果、セメント混合材中への分散性が低下
する。
【0088】乾燥乃至加熱工程における加熱温度は、通
常40〜200℃が好ましく、より好ましくは60〜1
50℃であり、処理時間は、10分〜12時間が好まし
く、30分〜3時間がより好ましい。この乾燥乃至加熱
工程によりアルコキシシランはオルガノシラン化合物
に、フルオロアルキルシランはフッ素含有オルガノシラ
ン化合物となる。
【0089】芯粒子粉末は、アルコキシシラン、フルオ
ロアルキルシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌に先
立ってあらかじめ、粒子表面をアルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物から選ばれる少なくとも1種又からなる表面
被覆物で被覆しておいてもよい。
【0090】表面被覆物による被覆は、芯粒子粉末を分
散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ
素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌すること
により、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整
することにより、前記芯粒子粉末の粒子表面に、アルミ
ニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水
酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる1種又は2種以
上を被着し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必
要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0091】アルミニウム化合物としては、酢酸アルミ
ニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム等のアルミニウム塩やアルミン酸ナトリウム
等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0092】アルミニウム化合物の添加量は、芯粒子粉
末に対しAl換算で0.01〜50重量%である。0.
01重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量の
アルミニウムの水酸化物等を被覆することが困難であ
り、効果的にカーボンブラックの脱離率を改良できな
い。50重量%を超える場合には、被覆効果が飽和する
ため、必要以上に添加する意味がない。
【0093】ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オ
ルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用
できる。
【0094】ケイ素化合物の添加量は、芯粒子粉末に対
しSiO換算で0.01〜50重量%である。0.0
1重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量のケ
イ素の酸化物等を被覆することが困難であり、効果的に
カーボンブラックの脱離率を改良できない。50重量%
を超える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上
に添加する意味がない。
【0095】アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併
せて使用する場合には、芯粒子粉末に対し、Al換算量
とSiO換算量との総和で0.01〜50重量%が好
ましい。
【0096】次に、黒色複合酸化鉄粒子粉末の顆粒化処
理について述べる。
【0097】本発明に係るセメント着色用顔料は、黒色
複合酸化鉄粒子粉末に対して0.01〜10重量%の界
面活性剤を添加し、一定空間内に束縛された状態で収納
されている黒色複合酸化鉄粒子粉末の全てに50〜3,
000,000g/cmの範囲の線圧が加えられる条件
下で、圧縮脱気処理によって造粒することにより得るこ
とができる。
【0098】本発明における圧縮脱気処理は、一定空間
内に被処理粉末が束縛された状態で収納されている被処
理粉末の全てに圧縮力が加わるような条件下で行わなけ
ればならない。束縛された状態とは、被処理粉末が加え
た圧縮力に対して自由に動いて応力場から逃げることを
拘束し、粉体層に強制的な圧縮力が加わるようにした状
態のことであって、非束縛的な状態での圧縮脱気処理で
は本発明の効果が発現できない。
【0099】前記条件を満たすことができる圧縮脱気処
理装置としては、ロールプレス、ロールコンパクタ、加
圧プレス、歯車連続圧縮機等を使用することができる。
好ましくはロールプレス、ロールコンパクタを使用する
場合である。
【0100】本発明における圧縮脱気処理を行うに際し
て、圧縮するための線圧は、50〜3,000,000
g/cmの範囲である。この範囲内であれば黒色複合酸
化鉄粒子粉末の種類、BET比表面積値及び圧縮脱気処
理装置の種類等により適宜選択して設定することができ
る。好ましくは100〜500,000g/cmの範囲
である。
【0101】線圧が50g/cm未満の場合には、ミク
ロな脱気が十分ではないためセメント混合材中における
分散性向上効果が得られない。線圧が3,000,00
0g/cmを超える場合には、黒色複合酸化鉄粒子粉末
の集合体中に含まれているミクロな空気の脱気は十分で
あるが、一方、粒子間距離が小さくなって分子間力が強
くなるため、セメント混合材中への分散性が悪くなり好
ましくない。
【0102】尚、圧縮脱気処理して得られる造粒物が2
次的な構造として見かけ上やや大きな薄片状のフレーク
を形成することがあるが、適宜破砕整粒し、用途に応じ
た任意の平均粒径の造粒物にすることで流動性が良くな
り、付着性、発塵性においても非常に優れた取扱い易い
セメント着色用顔料とすることができる。
【0103】次に、本発明におけるコンクリート又はモ
ルタル等の製造法について述べる。
【0104】本発明におけるコンクリート又はモルタル
等は、常法により、セメント混合材とセメント着色用顔
料とを混合した後、養生、乾燥させることにより得るこ
とができる。
【0105】尚、セメント混合材とは、砕石、砂、水、
セメント、AE減水剤等各種添加剤からなる周知のもの
である。
【0106】セメントとしては、ポルトランドセメン
ト、高炉セメント、シリカセメント及びフライアッシュ
セメント等、一般に使用されるものを用いることができ
る。
【0107】本発明に係るセメント着色用顔料の添加量
は、目的とするコンクリート又はモルタル等の色調に応
じて適宜選べばよく、セメント混合材に対して0.01
〜10重量%の範囲で添加することができる。
【0108】本発明に係るセメント着色用顔料は、アル
カリ可溶性紙で包装することにより、そのままセメント
混合材へ投入することができ、顔料飛散等がなく取扱い
やすくかつ分散性の改善されたセメント着色用包装体と
することができる。アルカリ可溶性紙は例えば、水不溶
性ないし水難溶性のカルボキシルメチルセルロース(C
MC)またはカルボキシエチルセルロース(CEC)繊
維等からなるもの等、公知のものが使用できる。
【0109】さらに、本発明に係るセメント着色用顔料
はセメント混合材に添加するに当たって、あらかじめ該
セメント着色用顔料を高濃度水懸濁液としておき、これ
をセメント混合材に添加することができる。
【0110】本発明に係るセメント着色用顔料を用いて
着色したコンクリート又はモルタル等は、分散性が後出
の評価法によるA又はB、好ましくはAであり、ロット
間のバラツキを示すΔL値は2.0以下、好ましくは
1.8以下、より好ましくは1.5以下であり、表面と
内部との色相差を示すΔL値は2.0以下、好ましく
は1.8以下、より好ましくは1.5以下である。
【0111】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0112】芯粒子粉末、カーボンブラック微粒子粉末
及び黒色複合酸化鉄粒子粉末の各粒子粉末の平均粒子径
は、電子顕微鏡写真(×20000)を縦方向及び横方
向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約35
0個について定方向径をそれぞれ測定し、その平均値で
示した。
【0113】顆粒状の着色用顔料の粒径は、実体顕微鏡
「OLYMPUS SZH」(オリンパス(株)製)に
より測定した値で示した。
【0114】軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比で
示した。
【0115】粒子径の幾何標準偏差値は下記の方法によ
り求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示される粒
子径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒
子の実際の粒子径と個数から、統計学的手法に従って、
対数正規確率紙上の横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子
径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数( 積算フルイ
下) を百分率でプロットした。そしてこのグラフから粒
子の累積個数が50%及び84.13%のそれぞれに相
当する粒子径の値を読み取り、幾何標準偏差値=(積算
フルイ下84.13%における粒子径)/(積算フルイ
下50%における粒子径(幾何平均径)に従って算出し
た値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒度分
布が優れていることを意味する。
【0116】比表面積値は、BET法により測定した値
で示した。
【0117】芯粒子粉末及び黒色複合酸化鉄粒子粉末の
粒子内部や粒子表面に存在するAl量、及びSi量並び
に有機ケイ素化合物に含有されるSi量のそれぞれは
「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業
(株) 製)を使用し、JIS K0119の「けい光X
線分析通則」に従って測定した。
【0118】黒色複合酸化鉄粒子粉末に付着しているカ
ーボンブラックの付着量及び界面活性剤の被覆量は「堀
場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」
((株)堀場製作所製)を用いてカーボン量を測定する
ことにより求めた。
【0119】粉体の密度は、「マルチボリューム 密度
計 1305型」(マイクロメリティクス社製)を用い
て求めた。
【0120】 粉体pH値は、試料粉体5gを300m
lの三角フラスコに秤り取り、煮沸した純水100ml
を加え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓を
して常温まで放冷し、減量に相当する水を加えて再び栓
をして1分間振り混ぜ、5分間静置した後、得られた上
澄み液のpH値をJIS Z 8802−7に従って測
定し、得られた値を粉体pH値とした。
【0121】黒色複合酸化鉄粒子粉末に付着しているカ
ーボンブラックの脱離率(%)は、下記の方法により求
めた値で示した。カーボンブラックの脱離率(%)が0
に近いほど、粒子表面からのカーボンブラックの脱離量
が少ないことを示す。
【0122】黒色複合酸化鉄粒子粉末3gとエタノール
40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分
散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複
合酸化鉄粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分離し
た。次いで、この黒色複合酸化鉄粒子粉末に再度エタノ
ール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った
後120分静置し、黒色複合酸化鉄粒子粉末と脱離した
カーボンブラックを分離した。この黒色複合酸化鉄粒子
粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭
素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀
場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記式に従って
求めた値をカーボンブラックの脱離率(%)とした。
【0123】カーボンブラックの脱離率(%)={(W
a−We)/Wa}×100 Wa:黒色複合酸化鉄粒子粉末のカーボンブラック付着
量 We:脱離テスト後の黒色複合酸化鉄粒子粉末のカーボ
ンブラック付着量
【0124】芯粒子粉末及び黒色複合酸化鉄粒子粉末の
それぞれの黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.7m
lとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、こ
のペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗
料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)
のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:
約30μm)を作製し、 該塗料片について、「ポータブ
ル分光色彩計 カラーガイド45/0」(ビックケミー
・ジャパン(株)製)を用いてJIS Z 8729に
定めるところに従って表色指数L値を測定した値で示
した。
【0125】芯粒子粉末及び黒色複合酸化鉄粒子粉末の
それぞれの耐アルカリ性は、下記の方法により求めた。
【0126】苛性ソーダ溶液(水酸化ナトリウムの5%
水溶液)と石灰乳(水酸化カルシウムの0.1%水溶
液)との混合溶液10ml中に試料粉体2gを浸漬し、
3日間静置した後、水洗、乾燥する。
【0127】次いで、得られた試料粉体の黒色度を、試
料0.5gとヒマシ油0.7mlとをフーバー式マーラ
ーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッ
カー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート
紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用い
て塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、
該塗料片について、「ポータブル分光色彩計 カラーガ
イド45/0」(ビックケミー・ジャパン(株)製)を
用いてJIS Z 8729に定めるところに従って表
色指数L値を測定した。
【0128】次いで、試料粉体のアルカリ性混合溶液浸
漬前後の黒色度変化(ΔL値)を測定し、これの大小
で耐アルカリ性を評価した。ΔL値が小さいほど耐ア
ルカリ性に優れていることを示す。
【0129】芯粒子粉末に付着しているカーボンブラッ
クの付着厚みは、「透過型電子顕微鏡JEM−201
0」(日本電子株式会社(製))を用いて加速電圧20
0kVの条件下で撮影した電子顕微鏡写真を10倍に拡
大した写真(×5,000,000)に写っている粒子
の表面に付着しているカーボンブラックの平均的な厚み
部分を測定することにより求めた。
【0130】モルタル供試体における黒色複合酸化鉄粒
子粉末の分散性は、下記のようにして求めた。
【0131】まず、JIS R 5201に従って、白
色セメント520g、標準砂1040gに黒色顔料1
5.6g及び水338mlを加え、モルタルミキサーに
て3分間混練後、平滑なガラス板上に固定した一辺の大
きさが4cm×4cm×4cmで10連のアクリル製型
枠に流し込み、十分突き棒で成型し、20℃の室内に1
日放置した。翌日型枠から外した試験片を20℃の水中
で1日養生を行った。養生後乾燥させた試験片の平滑な
面の色むらを目視にて観察し、下記に示すA〜Dの4段
階で分散性を評価した。 A:色むらが認められず、 B:色むら若干有り、 C:色むら有り、 D:ひどい色むら有り。
【0132】黒色顔料によって着色されたモルタル供試
体のロット間のバラツキは、上記で得られた10個の試
験片のL値を、「ポータブル分光色彩計 カラーガイ
ド45/0」(ビックケミー・ジャパン(株)製)を用
いてJIS Z 8729に定めるところに従って測定
し、最大値と最小値との差をΔL値で示した。
【0133】黒色顔料によって着色されたモルタル供試
体の表面と内部の色相差(表面のL 値と内部のL
との差)は、上記で得られた試験片の表面のL値と半
分に割った内部のL値を、「ポータブル分光色彩計
カラーガイド45/0」(ビックケミー・ジャパン
(株)製)を用いてJIS Z 8729に定めるとこ
ろに従って測定し、その差をΔL値で示した。
【0134】<黒色複合酸化鉄粒子粉末の製造>マグネ
タイト粒子粉末(粒子形状:粒状、平均粒子径0.30
μm、幾何標準偏差値1.46、BET比表面積値3.
6m/g、密度5.16g/cm、黒色度L値2
2.6、粉体pH値9.0、ΔL値(耐アルカリ性)
2.1)20kgを、凝集を解きほぐすために、純水1
50lに攪拌機を用いて邂逅し、更に、「TKパイプラ
インホモミクサー」(製品名、特殊機化工業(株) 製)
を3回通してマグネタイト粒子粉末を含むスラリーを得
た。
【0135】続いて、このマグネタイト粒子粉末を含む
スラリーを横形サンドグラインダー「マイティーミルM
HG−1.5L」(製品名、井上製作所(株) 製)を用
いて、軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせ
て、マグネタイト粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0136】得られたマグネタイト粒子粉末を含む分散
スラリーの325mesh(目開き44μm)における
篩残分は0%であった。この分散スラリーを濾別、水洗
して、マグネタイト粒子粉末のケーキを得た。このマグ
ネタイト粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾
燥粉末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2
型」(製品名、(株)松本鋳造鉄工所製)に投入して、
毎分2lの窒素を吹き込みながら30kg/cmで30
分間混合攪拌を行い、粒子の凝集を軽く解きほぐした。
【0137】次に、メチルトリエトキシシラン220g
を200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチ
ルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナーを稼動さ
せながら粒子の凝集を解きほぐした上記マグネタイト粒
子粉末に添加し、60kg/cmの線荷重で30分間混
合攪拌を行った。なお、この時の撹拌速度は22rpm
で行った。
【0138】次に、カーボンブラック微粒子粉末A(粒
子形状:粒状、粒子径0.019μm、幾何標準偏差値
1.75、BET比表面積値128m/g、粉体pH
値9.0、黒色度L値14.8)1320gを、エッ
ジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更
に30kg/cmの線荷重で60分間、混合攪拌を行
い、メチルトリエトキシシラン被覆にカーボンブラック
を付着させて、黒色複合酸化鉄粒子粉末を得た。なお、
このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0139】得られた黒色複合酸化鉄粒子粉末を、乾燥
機を用いて105℃で60分間加熱処理を行い、残留し
ている水分、エタノール等を揮散させた。この黒色複合
酸化鉄粒子粉末は、平均粒子径が0.30μmの粒状粒
子粉末であった。幾何標準偏差値は1.47であり、B
ET比表面積値は6.3m/g、密度は4.73g/
cm、黒色度L値は17.6、粉体pH値は9.
0、耐アルカリ性を示すΔL値は0.6、カーボンブ
ラックの付着量がC換算で10.61重量%(芯粒子粉
末100重量部に対して12重量部に相当する)、カー
ボンブラック脱離率は7.1%であり、メチルトリエト
キシシランから生成したオルガノシラン化合物の被覆量
はSi換算で0.29重量%であった。電子顕微鏡写真
観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められない
ことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルトリエ
トキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆に
付着していることが認められた。
【0140】また、黒色複合酸化鉄粒子粉末の粒子表面
に付着されているカーボンブラックの付着厚みは、0.
0019μmであった。
【0141】<モルタル供試体の製造>JIS R 5
201に従って、白色セメント520g、標準砂104
0gに上記で得られた黒色複合酸化鉄粒子粉末15.6
g及び水338mlを加え、モルタルミキサーにて3分
間混練後、平滑なガラス板上に固定した一辺の大きさが
4cm×4cm×4cmで10連のアクリル製型枠に流
し込み、十分突き棒で成型し、20℃の室内に1日放置
した。翌日型枠から外した試験片を20℃の水中で1日
養生を行い、モルタル供試体を得た。
【0142】得られたモルタル供試体は、分散性がAで
あり、ロット間のバラツキを示すΔL値は1.2であ
り、モルタル供試体の表面と内部の色相差ΔL値は
1.2であった。
【0143】
【作用】本発明における黒色複合酸化鉄粒子粉末の黒色
度が優れている理由について、本発明者は、芯粒子粉末
の粒子表面に均一且つ緻密に付着されているカーボンブ
ラックによって、芯粒子粉末の色が打ち消されてカーボ
ンブラック本来の色が発揮されたことによるものと考え
ている。
【0144】本発明における黒色複合酸化鉄粒子粉末の
セメント混合材中への分散性が優れている理由につい
て、本発明者は、有機ケイ素化合物被覆を介して芯粒子
粉末100重量部に対して3〜30重量部の割合でカー
ボンブラックを付着させて黒色複合酸化鉄粒子粉末の密
度を4.90g/cm以下にできたことにより、通常
5.20g/cm前後である酸化鉄粒子粉末の密度を
セメント混合材の密度に近づけることができたためと考
えている。
【0145】なお、本発明における黒色複合酸化鉄粒子
粉末のpH値を5.0以上とした場合には、耐アルカリ
性を向上させることができ、ひいては、得られるコンク
リート及びモルタル等の変退色を抑制することができる
理由について、本発明者は、芯粒子粉末の粒子表面をp
H値の高いカーボンブラックを付着させ、得られる黒色
複合酸化鉄粒子粉末の粉体pH値を5.0以上とするこ
とによって耐アルカリ性を向上させ、セメントの硬化時
の水和反応によって生成遊離する水酸化カルシウム等の
アルカリの影響を受けにくくすることができたためと考
えている。
【0146】本発明に係るセメント着色用顔料を用いて
得られたコンクリート及びモルタル等の色むらやロット
間のばらつきが生じにくいとともに、コンクリート及び
モルタル等の表面と内部の着色度合いが均一である理由
について、本発明者は、セメント混合材により近い密度
を有するセメント着色用顔料を用いたことにより、セメ
ント混合材中での分散性が向上するとともに、養生中の
色分かれ等が生じにくくなったためと考えている。
【0147】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0148】芯粒子1〜4:公知の製造方法で得られた
各種の酸化鉄粒子粉末を準備し、前記発明の実施の形態
と同様にして凝集が解きほぐされた芯粒子粉末を得た。
【0149】これらの芯粒子粉末の諸特性を表1に示
す。
【0150】
【表1】
【0151】芯粒子5:芯粒子1の凝集が解きほぐされ
たヘマタイト粒子粉末20kgと水150lとを用い
て、発明の実施の形態と同様にしてヘマタイト粒子粉末
を含むスラリーを得た。得られたヘマタイト粒子粉末を
含む再分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶
液を用いて10.5に調整した後、該スラリーに水を加
えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー
150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.
0mol/lのアルミン酸ナトリウム溶液5444ml
(ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%
に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用い
てpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持
した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミ
ニウムの水酸化物により被覆されているヘマタイト粒子
粉末を得た。
【0152】このときの製造条件を表2に、得られた表
面処理済ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0153】尚、表面処理工程における被覆物の種類の
Aはアルミニウムの水酸化物であり、Sはケイ素の酸化
物を表わす。
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】芯粒子6〜8:芯粒子粉末の種類、表面処
理工程における添加物の種類、量を種々変えた以外は、
芯粒子5と同様にして表面処理済芯粒子粉末を得た。
【0157】このときの処理条件を表2に、得られた表
面処理済芯粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0158】実施例1〜11、比較例1〜6:芯粒子粉
末の種類、有機ケイ素化合物による被覆工程における有
機ケイ素化合物添加の有無、種類及び添加量、カーボン
ブラックの付着工程におけるエッジランナー処理条件、
カーボンブラック微粒子粉末の種類及び添加量、エッジ
ランナーによる処理条件を種々変えた以外は、前記発明
の実施の形態と同様にして黒色複合酸化鉄粒子粉末を得
た。実施例1〜11の各実施例で得られた黒色複合酸化
鉄粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラッ
クがほとんど認められないことから、カーボンブラック
のほぼ全量が有機ケイ素化合物被覆に付着していること
が認められた。
【0159】使用したカーボンブラック微粒子粉末A乃
至Eの諸特性を表4に示す。
【0160】
【表4】
【0161】なお、実施例2、4及び8の各実施例で使
用されている添加物は、いずれもポリシロキサンであ
る。「TSF484」(商品名:東芝シリコーン株式会
社(製))はメチルハイドロジェンポリシロキサンであ
り、「BYK−080」(商品名:ビックケミー・ジャ
パン株式会社(製))は変成ポリシロキサンであり、
「TSF4770」(商品名:東芝シリコーン株式会社
(製))は末端カルボキシル変成ポリシロキサンであ
る。
【0162】このときの処理条件を表5に、得られた黒
色複合酸化鉄粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】実施例12 実施例1で得られた黒色複合酸化鉄粒子粉末500gに
リグニンスルホン酸ナトリウム5gを加え、線荷重1,
500g/cm、回転数2rpmの条件下、ロールコン
パクターにより圧縮脱気処理を行った。
【0166】この時の処理条件及び得られた顆粒状顔料
の諸特性を表7に示す。
【0167】実施例13〜19:黒色複合酸化鉄粒子粉
末の種類、界面活性剤処理における界面活性剤の種類及
び添加量、圧縮脱気処理における線荷重及び回転数を種
々変えた以外は、前記実施例12と同様にして顆粒状顔
料を得た。
【0168】このときの処理条件及び得られた顆粒状顔
料の諸特性を表7に示す。
【0169】
【表7】
【0170】<モルタル供試体の作製> 実施例20〜38、比較例7〜21:黒色粒子粉末の種
類及び添加量を種々変化させた以外は、前記本発明の実
施の形態と同様にしてモルタル供試体を得た。
【0171】モルタル供試体の製造条件及び得られたモ
ルタル供試体の諸特性を表8及び表9に示した。
【0172】
【表8】
【0173】
【表9】
【0174】
【発明の効果】本発明に係るセメント着色用顔料は、十
分な黒色度を有し、且つ、密度が低く、セメント混合材
中への分散性に優れているため、セメント着色用顔料と
して好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09C 3/12 C09C 3/12 Fターム(参考) 4G002 AA04 AA12 AB05 AE01 4J037 AA15 CA02 CA12 CA23 CA24 CB23 CC28 DD05 DD24 EE03 EE04 EE08 EE28 FF05 FF15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化鉄粒子粉末の粒子表面が有機ケイ素
    化合物によって被覆されていると共に該有機ケイ素化合
    物被覆にカーボンブラックが付着している平均粒子径
    0.08〜3.0μmの黒色複合酸化鉄粒子粉末からな
    り、前記カーボンブラックの付着量が前記酸化鉄粒子粉
    末100重量部に対して3〜30重量部であり、且つ、
    該黒色複合酸化鉄粒子粉末の密度が4.90g/cm
    以下であることを特徴とするセメント着色用顔料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸化鉄粒子粉末の粒子表
    面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
    物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる
    少なくとも一種からなる表面被覆物によって被覆されて
    いることを特徴とするセメント着色用顔料。
  3. 【請求項3】 黒色複合酸化鉄粒子粉末の粉体pH値が
    5.0以上である請求項1又は請求項2記載のセメント
    着色用顔料。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載の黒色複合酸
    化鉄粒子粉末と該黒色複合酸化鉄粒子粉末に対して0.
    01〜10重量%の界面活性剤とを圧縮脱気処理によっ
    て造粒した平均粒径が300〜1500μmの範囲内に
    ある造粒物からなることを特徴とするセメント着色用顔
    料。
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