JP2004177866A - トナー - Google Patents

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宮崎理絵
Takuya Kadota
門田拓也
Tahei Ishiwatari
石渡太平
▲高▼野秀裕
Hidehiro Takano
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Abstract

【課題】定着特性におけるトナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制し、かつ画像表面の平滑性を向上し、光沢性の高いトナーを提供する。
【解決手段】トナーに用いられる結着樹脂は、THF不溶分が含まれているとともにそのTHF不溶分含有量が5重量%以下であり、応力緩和測定において、応力緩和の測定開始時間である緩和時間0.01[sec]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]と定着器のニップ通過時間Δt[sec]における緩和弾性率G(t)[Pa]との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下である。これにより、高温オフセットを防止できるとともに、画像表面の平滑性を向上し、光沢性の高いトナーを得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電画像を加熱定着により現像するために使用するトナーの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法として、光導電性物質からなる感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像を現像ローラ上に担持したトナーを用いて現像し、感光体上に現像されたトナー画像を、直接、または中間転写体を介して紙等の記録媒体上に転写し、更に、記録媒体上のトナー画像を加熱ローラー等の定着ローラにより紙等の記録媒体に圧着加熱して定着する方法が知られている。
【0003】
この方法に使用されるトナーとしては加熱ローラに溶融トナーが付着する、いわゆる低温または高温オフセット現象を生じないこと、また、記録媒体上に定着されたトナー画像の定着強度に大きいこと等の優れた定着性が要求される。
加熱ローラを使用した定着にあっては、トナーの定着性、耐オフセット性を制御する要因として、トナーの動的粘弾性特性における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″が影響することは良く知られている。貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″は、一般的な粘弾性を有する物質の振動実験において複素弾性率で定義される粘弾性特性であり、複素弾性率の実数部分を貯蔵弾性率G′、虚数部分を損失弾性率G″といい、具体的には貯蔵弾性率はトナーの弾性の度合を示す指標とされ、また、損失弾性率は粘性の度合を示す指標とされている。
【0004】
また、一般に、ポリマーからなる結着樹脂を含有するトナーは、一定歪みを与えた場合、発生する応力が指数的に減衰する応力緩和挙動を示す。そこで、定着ローラへのトナーのオフセットや紙等の記録媒体上のトナーの定着強度等のトナー画像の定着性の改良や着色剤の分散性の改良を目的として、従来、これらのトナーの特性を定量的に確認するために、前述の動的粘弾性測定から求められるトナーの緩和弾性率および緩和時間が用いられている。
【0005】
このようなトナーの応力緩和挙動は、結着樹脂の粘弾性や樹脂内に分散された離型剤等の構造、大きさ、量等の影響を大きく受けるため、トナーの溶融状態を応力緩和挙動、つまり緩和弾性率Gおよび緩和時間を用いて表すことができる。そこで、トナー定着時のトナーの溶融状態を粘弾性特性である緩和弾性率Gおよび緩和時間を用いて表すことで、トナー画像の定着性および離型剤等の分散性やOHP透明性をそれぞれ改良することが提案されている。
すなわち、この提案のトナーでは、定着時の加熱時間を考慮して動的粘弾性率測定により求めた緩和時間t=10×Dt(Dt:定着時の加熱時間)における緩和弾性率G(t)を2.0×10〜2.0×10Paの範囲に設定するか、あるいは、動的粘弾性率測定により求めた緩和時間0.01secにおける緩和弾性率G(t=0.01)が2.0×10〜3.0×10Paの範囲で、かつこの緩和弾性率G(t=0.01)と緩和時間0.1secにおける緩和弾性率G(t=0.1)との比{G(t=0.01)/G(t=0.1)}を1.0〜18.0の範囲に設定することで、トナー画像の定着性および離型剤等の分散性や表面光沢性を改良している(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
また、貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″を用いてトナーの定着性および耐オフセット性を向上させる方法の例として、加熱加圧定着において、トナーの分子量分布を規定するとともに、結着樹脂の動的粘弾性特性における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を用い、温度依存性モードによる貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比を規定し、更に、トナーにテトラヒドロフラン(THF)不溶成分を樹脂組成物基準で5%以下の実質的に含有させないことで、加熱加圧定着時の定着性と耐オフセット性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
一方、加熱定着時においてトナーの高温オフセットを防止する方法の1つとして、従来、トナーにTHF不溶分を多く含有させる方法がある。この方法は、THF不溶分には高分子量体が多く含まれているため、このTHF不溶分の含有量が多いほどトナーとしては溶け難い傾向にあるという特性を利用することで、トナーの溶け過ぎによって発生する高温オフセットを防止している。
このようなTHF不溶分を多く含有させる方法の例として、加熱加圧定着において、結着樹脂の動的粘弾性特性における貯蔵弾性率G′を用い、温度依存性モードによる異なる温度における貯蔵弾性率G′の比を規定するとともに、トナーにテトラヒドロフラン(THF)成分を5〜50重量%含有させることで、加熱加圧定着時の耐オフセット性を向上させ、定着画像のグロス値(光沢度)の変化を少なくすることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】
特開2000−81721号公報(段落番号[0016]〜[0020]、[0141]〜[0150]、[要約])
【特許文献2】
特開平7−92737号公報(段落番号[0030]、[0034]、[0035]、[0038]、[0064]、[0065])
【特許文献3】
特開平10−282822号公報(段落番号[0035]、[0041]、[0042])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1に提案されているトナーでは、トナー定着時のトナーの溶融状態を、緩和弾性率Gおよび緩和時間を用いて表すことで、トナー画像の定着性および離型剤等の分散性を改良するとともに、表面光沢性を比較的良好にすることが開示されているものの、トナーの高温オフセットについては考慮されていない。
しかも、定着時の加熱時間Dtが考慮された緩和弾性率Gが用いられているものの、1点での緩和時間t=10×Dtにおける緩和弾性率G(t=10×Dt)のみが規定されているだけであるため、トナー画像が定着器のニップ部を通過する間に変化する緩和弾性率Gについて考慮されていない。また、緩和時間0.01secおよび緩和時間0.1secにおけるそれぞれの緩和弾性率の比{G(t=0.01)/G(t=0.1)}が用いられているものの、定着時の加熱加圧時間に関係なく予め設定された緩和時間における緩和弾性率の比が規定されているだけであるため、定着器の加熱加圧時間に変化する緩和弾性率Gの比(緩和弾性率Gの変化量)について考慮されていない。
このように、特許文献1に提案されているトナーでは、トナー画像が定着器のニップ部を実際に通過する状況について考慮されておらず、トナーの定着性および耐オフセット性について、十分にかつ効果的に改良が行われているとはいえない。
【0009】
また、前述の特許文献2に提案されているトナーも、加熱加圧定着において、トナーの分子量分布を規定するとともに、温度依存性モードによる結着樹脂の貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比を規定し、更に、トナーにTHF不溶成分を実質的に含有させないことで、加熱加圧定着時の定着性と耐オフセット性を単に向上させているが、トナー画像が定着器のニップ部を実際に通過する状況について考慮されておらず、トナーの定着性および耐オフセット性の改良では十分にかつ効果的に改良が行われているとはいえない。
【0010】
更に、前述の特許文献3に提案されているトナーは、加熱加圧定着において、加熱加圧定着において、温度依存性モードによる異なる温度における結着樹脂の貯蔵弾性率G′の比を規定し、かつトナーにTHF不溶成分を比較的多く含有させることで、加熱加圧定着時の耐オフセット性を向上させ、定着画像のグロス値(光沢度)の変化を少なくしている。しかし、THF不溶分が多量に含まれるトナーを用いた画像では、画像表面の平滑性は粗くなるばかりでなく、光沢性や彩度が低下するという問題がある。特に、フルカラーの画像は、このような多量のTHF不溶分による画像表面の平滑性、光沢性(グロス)や彩度の低下の影響を顕著に受け、その画質が大きく低下してしまう。
【0011】
このように、従来のトナーの定着特性の改良では十分にかつ効果的に改良が行われているとはいえず、トナーの定着特性を更に改良する余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、定着特性におけるトナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制しつつ、画像表面の平滑性を向上し光沢性の高いトナーを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のトナーは、結着樹脂からなり、テトラヒドロフラン(THF)不溶分が含まれているとともにそのTHF不溶分含有量が5重量%以下であり、応力緩和測定において、応力緩和の測定開始時間である緩和時間0.01[秒(sec)]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]と定着器のニップ通過時間Δt[sec]における緩和弾性率G(t)[Pa]との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下であることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明は、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する化合物(活性水素含有成分)との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有することを特徴としている。
【0014】
【発明の作用および効果】
このように構成された本発明のトナーにおいては、応力緩和測定において、応力をかけた後、応力緩和の測定開始時間である緩和時間0.01[秒(sec)]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]と定着器のニップ通過時間Δt[sec]における緩和弾性率G(t)[Pa]との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下に設定されるので、ニップ通過時間Δt[sec]で規定される一定時間後の弾性緩和率G[Pa]が初期の緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]から比較的大きく変化しない。したがって、応力緩和測定において応力が緩和し難い特性が得られ、本発明のトナーは結着樹脂の内部凝集力が強く、加熱溶融時にはトナーどうしの結び付きが大きくなる。
【0015】
この特性を持つトナーは、定着時に紙が剥離する際、トナーの泣き別れが原因となる定着ローラへのトナー付着(オフセット)が発生し難くなる。しかも、定着器のニップを通過している間の緩和弾性率の低下が少ないので、ニップ出口での弾性率低下による高温オフセットも防止できる。
【0016】
これにより、従来のトナーよりTHF不溶分量が少なくても良好な定着特性を確保することができるが、本発明のトナーでは、5重量%以下の比較的少ないTHF不溶分を含有させることで、トナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制することができる。
また、THF不溶分量が少ないことからTHF不溶分が原因で起こる画像表面の平滑性低下も防止できるので、光沢度や彩度が向上する。
【0017】
このようにして、本発明のトナーによれば、緩和時間0.01[sec]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]とニップ通過時間Δt[sec]における緩和弾性率G(t)[Pa]との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}、つまり、ニップ通過時間Δt[sec]における弾性緩和率G(t=Δt)[Pa]を規定することとTHF不溶分量を少量に規定することとを有機的に組み合わせることで、トナーの定着特性を十分にかつ効果的に向上させつつ、画像表面の平滑性低下も防止できるようになる。
【0018】
特に、本発明のトナーによれば、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する化合物(活性水素含有成分)との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有することにより、前述の比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}をより確実に95以下に規定することができ、高温オフセットを効果的に防止できるトナーをより確実に作成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるトナーは定着領域における粘弾性特性を制御できる結着樹脂が用いられる。すなわち、本発明のトナーの結着樹脂はTHF不溶分が含有されるとともに、そのTHF不溶分含有量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。また、後述するトナーの応力緩和測定において、緩和時間0.01[sec]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]と、この緩和時間0.01[sec]から定着器のニップ通過時間Δt[sec]後における緩和弾性率G(t=Δt)[Pa]との比:G(t=0.01)/G(t=Δt)が95以下、好ましくは90以下である。
【0020】
ここで、緩和時間0.01[sec]とは、後述する応力緩和測定において、トナーに応力をかけた後、定常状態となって応力緩和の測定が可能となる時間、つまり応力緩和測定開始時間である。また、定着器のニップ通過時間Δt[sec]とは定着時の加熱加圧時間であり、このニップ通過時間Δt[sec]の求め方は後述する。
【0021】
また、本発明のトナーに用いられ、定着領域における粘弾性特性を制御できる結着樹脂としては、結着樹脂が結晶領域と非晶質領域の双方を有するものがよく、例えば、ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂、結晶ポリエステル樹脂と非晶質ポリエステル樹脂とをブレンドした樹脂、結晶性部分と非晶質部分とをブロック重合したポリエステル樹脂等がある。特に、結着樹脂として、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する化合物(活性水素含有成分)との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを用いるのが好ましい。
【0022】
また、予め結着樹脂の重合を制御すると共に定着時に所定以上の熱エネルギーが加えられた際に機能発現する重合開始剤や架橋開始剤を配合しておくことにより、定着温度領域での熱エネルギーの付与によりトナー中の結着樹脂がさらに重合し、結着樹脂が架橋したり分子量が増大するように設計した組成物においても同様に定着領域における粘弾性特性を制御できる。
【0023】
このように構成された本発明のトナーにおいては、前述のように定着時に紙が剥離する際のトナーの泣き別れによるのトナーのオフセットを防止でき、また、ニップ出口での弾性率低下による高温オフセットも防止できる。
これにより、従来のトナーよりTHF不溶分量が少なくても良好な定着特性を確保することができる。これに加えて、本発明のトナーでは、5重量%以下の比較的少ないTHF不溶分を含有させることで、トナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制することができるようにしている。
また、THF不溶分量を少なくすることで、THF不溶分による画像表面の平滑性低下が防止できるので、光沢度や彩度を向上できる。
【0024】
特に、本発明のトナーによれば、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する化合物(活性水素含有成分)との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有することにより、高温オフセットを効果的に防止できるトナーをより確実に作成することができる。
【0025】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は高分子ポリマーからなるが、一般に、高分子ポリマーの性状はトナーの溶融状態において粘弾性特性を有する。図1に示すように、この粘弾性特性の1つである緩和弾性率G(t)[Pa]は、後述する応力緩和測定において、ある歪みを与えたとき、トナーの応力が時間t[sec]とともに緩和されていくことから、この緩和時間t[sec]とともに小さくなっていく特性を呈する。
【0026】
以下に、このような粘弾性特性を示すトナーにおける結着樹脂として、従来から知られているウレタン結合やウレア結合を有する樹脂を用いた結着樹脂を例として、本発明のトナーを説明する。
この例のトナーは、ウレタン結合やウレア結合を有する結着樹脂中に着色剤や荷電制御剤とを混練・微粉砕してトナー粒子とされている。そして、この結着樹脂は着色剤粒子等をトナー粒子中に保持し、定着に際しては定着ローラーでの熱と圧力で軟化し、紙等の転写材にトナー粒子を付着させる機能を有するが、低温定着を目的として、結着樹脂の分子量を低くし軟化温度を下げると、ガラス転移温度の低下や強度低下が生じ、着色剤の保持性や耐オフセット性、定着像強度、さらには保存性等が低下する。
【0027】
ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂は、水酸基とイソシアネート基が反応した結果生じるウレタン結合(−A−NHCOO−B−、式中Aはポリイソシアネート残基、Bは多活性水素化合物残基)、またはアミノ基とイソシアネート基とが反応した結果生じるウレア結合(−NHCONH−)を結合要素として含有し、その分子間凝集エネルギーは8.74kcal/molであり、メチン結合(−CH−)の0.68kcal/mol、エーテル結合(−O−)の1.0kcal/mol、ベンゼン結合の3.9kcal/mol、エステル結合における2.9kcal/molに比して格段に大きく、高結晶性のためそのガラス転移点が高い。しかしながら、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000の平均分子量のものは、そのフロー軟化点は140℃以下とすることができ、低分子量化に伴う低温定着性に優れるものとできること、また、その軟化点の低下にもかかわらず、ガラス転移温度は55℃以上とでき、ガラス転移温度の低下や強度低下の程度が小さく、トナーにおける結着樹脂として着色剤の保持性、耐熱性、保存性等に優れる結着樹脂とできるが、高温での耐オフセット性、定着像強度に、より優れることが求められている。
【0028】
ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂は、ポリイソシアネート類と多活性水素化合物とのバルク重合により得られる。ポリイソシアネート類としては、脂肪族ジイソシアネート類であるエタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、βーメチルブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコール−ジプロピルエーテル−ω,ω′−ジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
また、環状基を有する脂肪族ジイソシアネートとしてはω,ω′−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジエチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルナフタリンジイソシアネート、ω,ω′−1,5−ジメチルナフタリンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネート、ω,ω′−n−プロピル−ビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0030】
芳香族ジイソシアネート類としては1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアネート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート等が挙げられる。
【0031】
ナフタリンジイソシアネート類としてはナフタリン−1,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ナフタリン−2,6−ジイソシアネート、ナフタリン−2,7−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート等が挙げられる。
ビフェニルジイソシアネート類としてはビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−ニトロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシアネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5,2′,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジメトキシフェニル−3,3′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−2,4−ジイソシアネート、3−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体が挙げられる。
【0033】
トリイソシアネート類としては1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−1,3,7−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアナトカルバミン酸クロリド等、およびその誘導体等が例示される。
また、ポリイソシアネートとして下記式
【0034】
【化1】
Figure 2004177866
【0035】
(式中、Rはメチレン基、エチレン基、−C(CH−基から選ばれるアルキレン基を示し、R及びRは炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンから選ばれる基を示す。)で示されるジイソシアネート類を使用すると、粉砕性に優れるポリマーとでき、トナーとする際の粉砕工程における生産性を向上できる。上記式で示されるジイソシアネート類としては、具体的には、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′,5,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジクロロジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−4,4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体が挙げられ、また、これらのポリイソシアネート類の混合物を使用するのが好ましい。
【0036】
上記式で示されるポリイソシアネート類は、その基本骨格として2つの芳香族環がアルキレン基を介して結合した構造を有しており、本成分をハードセグメントとして使用することで、バインダーポリマーにおける分子鎖のフレキシビィリティを小さくでき、リジッドな構造となるため、粉砕性に優れるものと考えられる。また、基本骨格として2つの芳香族環がアルキレン基を介して結合した構造を有することにより分子間凝集力を高めることができるものと考えられ、高温オフセット性を抑えることが可能である。
【0037】
また、ポリイソシアネートとして脂環式ジイソシアネート化合物を使用すると、トナーとする際に、耐光性に優れ、画像の長期保存に際して退色のないものとできる。脂環式ジイソシアネート化合物は環状脂肪族炭化水素構造を有するため、光や熱による劣化が抑えられるものと考えられる。また、得られるバインダーポリマーはリジッドな構造で粉砕性に優れるものであり、トナーとする際の粉砕、分級工程における生産性を向上できる。
【0038】
脂環式ジイソシアネート化合物は、環式脂肪族炭化水素、または多環式脂肪族炭化水素に2個のイソシアネート基が直接またはアルキレン基を介して結合した構造を有し、例えば構造式
【0039】
【化2】
Figure 2004177866
【0040】
で示されるイソホロンジイソシアネート、また、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネートが例示される。
また、下記式
【0041】
【化3】
Figure 2004177866
【0042】
(式中、Rは単結合、メチレン基、エチレン基、−C(CH−基から選ばれ、lおよびmは1〜5の整数、nは0〜2の整数を示す。)
で示される多環式脂肪族ジイソシアネートも好ましく、例えば下記構造式
【0043】
【化4】
Figure 2004177866
【0044】
で示されるノルボルナンジイソシアネートが例示される。
本発明にあっては、特に、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水素化MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を有するジイソシアネート類が好ましく、更にこれらのポリイソシアネート類の混合物を使用するのが好ましい。
【0045】
一般に、ポリウレタン合成や後述するポリエステル合成は、逐次反応のため、分子量分布の狭いポリマーが得られるが、多活性水素化合物とのウレタン反応において、例えばイソホロンジイソシアネートの場合には分子量分布をさらに狭くすることができるので、加熱時の溶融が非常に短時間で起こり、そのためシャープメルト性を実現でき、バインダーポリマーの樹脂設計に際して自由度を増すことができる。その詳細な理由は不明であるが、イソホロンジイソシアネートは第1級のイソシアネート基と第2級のイソシアネート基をもち、それぞれのイソシアネート基の反応性が異なることにより、反応に際して選択性を生じることによるものと考えられる。
【0046】
脂環式ジイソシアネート化合物は、他のポリイソシアネート類を併用できる。他のポリイソシアネートとしては、上述した脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、芳香族ジイソシアネート類、ナフタリンジイソシアネート類、ビフェニルジイソシアネート類、ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシアネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイソシアネート、トリイソシアネート類が例示され、その配合割合は、全イソシアネート成分中60重量%以下とするとよい。他のポリイソシアネートが多すぎると耐光性、シャープメルト性等の効果が低下する。
【0047】
次に、ポリイソシアネート類と反応させるポリオール類やポリアミン類について説明する。本発明のトナーにおいては、その定着温度領域において所期の粘弾性とするには、上述したポリイソシアネート類としてウレタン結合やウレア結合を有する樹脂においてその結晶性を乱す、自由度が少ないバルキーな成分とすると共に、多活性水素化合物として同様にその結晶性を乱す、自由度が少ないバルキーな成分として、下記(1)〜(3)の化合物を多活性水素化合物とするとよい。
【0048】
(1) ジオキシカルボン酸、ジアミノカルボン酸、ジオキシスルホン酸、ジアミノスルホン酸、またはそれらの塩、例えば、下記構造式(A)で示される2,2−ジメチロールプロピオン酸、(B)で示される2,2−ジメチロールブタン酸、(C)で示される2,2−ジメチロール吉草酸、(D)で示される2,4−ジアミノ安息香酸、(E)で示される3,4−ジアミノ安息香酸、(F)で示される3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、(G)で示される2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、(H)で示される2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、(I)で示される4,4′−ジアミノスチルベン−2,2′−ジスルホン酸、(J)で示される3,4−ジアミノブタンスルホン酸、(K)で示されるN−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等が例示される。
【0049】
【化5】
Figure 2004177866
【0050】
これらの化合物は、その分子中に少なくとも2個の水酸基またはアミノ基と、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するが、ウレタン反応やウレア反応に際してはイソシアネート基と水酸基またはアミノ基との反応が先行し、カルボキシル基やスルホン酸基との反応は殆ど生じない。また、これらの化合物を使用すると酸性基をウレタン樹脂やウレア樹脂における側鎖に存在させることができるので、トナーの定着に際して、紙等の記録媒体への濡れ性・結合性に優れ、定着強度に優れるものとできる。
【0051】
(2) 脂肪族環状ポリオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、脂肪族環状ポリアミン、例えば1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が例示される。(3) 分枝構造を有する脂肪族ポリオール、例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が例示され、また、分枝構造を有する脂肪族ポリアミン、例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ブタンジアミン、2,3−ブタンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−2,4−ペンタンジアミン等が例示される。
【0052】
また、(1)〜(3)の多活性水素化合物は、トナーとして適した溶融特性を付与することを目的として、例えば、下記式で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物を併用するのが好ましい。なお、併用されるにあたっては、(1)〜(3)の多活性水素化合物の分子量としては、下記式で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルの分子量より小さくするとよく、分子量が90〜400、好ましくは120〜380のものとするとよい。
ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルとしては、
【0053】
【化6】
Figure 2004177866
【0054】
(式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、同一でも相違していてもよく、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜12である。)
【0055】
で示され、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド2〜12モル付加物(以下、EO付加物)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2〜12モル付加物(以下、PO付加物)が例示され、これらを単独で、もしくは両者を混合して使用できる。さらには、EO基あるいはPO基の繰り返し単位数が異なる化合物を2種以上混合して用いてもよい。両者を混合して用いる場合、その混合比率(モル比)は、EO付加物/PO付加物=8:2〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、更に好ましくは7:3〜4:6である。また、Rは同一でも、相違してもよく、一方がエチレン基で他方がプロピレン基でもよい。また、EO基、PO基はその繰り返し単位数により、バインダーポリマーとした際に物性が変化する。x+yの平均値は2〜12、好ましくは2〜4であり、繰り返し単位数がこれより大きいと、ガラス転移温度の低下や粉砕性の悪化を招くので好ましくなく、小さすぎると強度低下を来たし、折れ剥がれ強度が低下する。また、EO成分の組成比を高めると定着強度(折れ剥がれ強度)を向上させることができるが、ガラス転移温度の低下や粉砕性の悪化を招き、反対に、PO成分の組成比を高めると粉砕性は向上するが、定着強度(折れ剥がれ強度)は低下する。また、ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物における水酸基価は、100〜350KOHmg/g、好ましくは200〜290KOHmg/gである。ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物は、ビスフェノールAを基本骨格とすることで、ポリイソシアネートとの反応物であるバインダーポリマーとした際に、分子鎖のフレキシビィリティが小さく、リジッドな構造となるものと考えられる。
【0056】
(1)〜(3)の多活性水素化合物は、上記式で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル100モルに対して1モル〜900モル、好ましくは5モル〜100モル、さらに好ましくは10モル〜60モルとするとよく、これにより、トナーの製造時における粉砕性や低温定着性、高温での耐オフセット性、定着強度に優れ、また、要求される軟化点(Tm)やガラス転移温度(Tg)等の調整が容易になる。
【0057】
また、上述した多活性水素化合物によるトナーとしての性状を損なわない範囲で、多活性水素化合物として、他のポリオール類、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(カプロラクトンポリオール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等を添加してもよい。
【0058】
ポリイソシアネート類と多活性水素化合物の反応割合は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する多活性水素化合物における活性水素基数の割合{NCO/活性水素(当量比)}が0.5〜1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲で反応させるとよい。反応にあたっては、多活性水素化合物中に、ポリイソシアネート類を、温度30℃〜180℃、好ましくは30℃〜140℃で、大気圧下、無溶剤下で、数分から数時間、バルク重合させるとよい。
【0059】
着色剤としては、以下に示すような、有機ないし無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、バンザーイエローG、バンザーイエロー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどがある。赤色系顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。
【0060】
また、透光性カラートナーとして用いる場合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などがある。赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などがある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などがある。
【0061】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
【0062】
本発明の結着樹脂およびトナーは、ポリスチレンを基準としたゲルパーミエーション(GPC)測定での数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、更に好ましくは3,000〜8,000のものである。数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなり、結着樹脂として単独では使用できないものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは8,000〜20,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜10、更に好ましくは1.8〜8、最も好ましくは1.8〜5である。
【0063】
結着樹脂における分子量を制御するには、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する多活性水素化合物における活性水素基数の割合(NCO/活性水素)を小さくすれば低分子量化でき、また、等量に近づけると高分子量化できるので、適宜、ポリイソシアネートの反応モル数を制御することにより容易に制御できる。なお、本発明の結着樹脂の物性に影響を与えない範囲で鎖伸長剤を適宜使用してもよい。鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビス−(β−ヒドロキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0064】
耐オフセット性と溶融特性を両立させるために、通常は樹脂のMw/Mnを大きくする、つまりブロードな分子量分布を有するように設計するか、または、低分子量体と高分子量体とを別途作製しブレンドする手法がとられているが、Mw/Mnを大きくしたり、ブレンド物とすると、シャープに溶融しないため透明性が低下し、特にカラー画像の画質が低下するという問題がある。これに対して、本発明における結着樹脂は、分子量分布を狭いものとすることによりシャープな溶融特性を示し、透明性に優れ、高画質のカラー画像を得ることができるものである。また、そのウレタン結合やウレア結合の分子間凝集エネルギーが適度に抑制されると共に、その定着時における粘弾性特性を特定のものとすることにより、低温定着性に優れると共に、高温での耐オフセット性に優れ、また、定着強度に優れるトナー画像を与える。
【0065】
本発明のトナーは、フロー軟化点(Tm)が90℃〜140℃、好ましくは95℃〜130℃、さらに好ましくは100℃〜125℃の範囲にある。フロー軟化点(Tm)が95℃より低いと耐フィルミング性に劣るものとなり、また、130℃より高いと低温定着性に劣るものとなる。
また、ガラス転移温度(Tg)は40℃〜80℃、好ましくは50℃〜70℃、さらに好ましくは55℃〜65℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)が50℃より低いと保存性に劣るものとなり、また、70℃より高いとそれにともなってTmが上昇し、低温定着性に劣るものとなる。
【0066】
本発明における結着樹脂は、分子間結合力が大きく、高結晶性ポリマーであるため、分子量を低下させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小さくすることができ、低Tmと高Tgを両立させることができ、また、50%流出点における溶融粘度が2×10 〜2×10 Pa・sとでき、オイルレス定着用トナーとして適したものとできる。
【0067】
本発明のトナーにおいて、ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂からなる結着樹脂としては、ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂を主成分とし、結着樹脂中50重量%未満の範囲で、かつ、主成分の性状を損なわない範囲で他の結着樹脂を含有してもよい。他の結着樹脂としては、結着樹脂を製造する際に共存させてもよいが、製造後に混練してもよい。
【0068】
本発明の結着樹脂を製造する際に共存させる場合には、ポリイソシアネート類との反応性基を含有しない樹脂が好ましい。他の結着樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等を単独又は混合して使用できる。
更に、ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂を用いずに、他の結着樹脂として、従来から知られているスチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が使用できる。
【0069】
本発明のトナーは、荷電制御剤、必要に応じて離型剤、分散剤、磁性粒子等を含有してもよく、原料であるポリオール類に分散してもよく、また、樹脂を形成した後適宜混練により配合してもよい。
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず有機あるいは無機の各種のものを用いることができる。
【0070】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX{オリエント化学工業(株)製}、第4級アンモニウム塩P−51{オリエント化学工業(株)製}、ニグロシン ボントロンN−01{オリエント化学工業(株)製}、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3: Color Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I. NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0071】
また、負荷電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY{オリエント化学工業(株)製}、ボントロンS−22{オリエント化学工業(株)製}、サリチル酸金属錯体E−81{オリエント化学工業(株)製}、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH{保土谷化学工業(株)製}、ボントロンS−34{オリエント化学工業(株)製}、ニグロシンSO[オリエント化学工業(株)製]、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社製)、クロモーゲンシュバルツET00(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0072】
また、本発明のトナーに用いられるウレタン結合やウレア結合を有する樹脂およびポリエステル樹脂はそれらの分子量範囲により熱溶融特性に優れ、また、定着温度領域での粘弾性特性により離型剤を不要とするが、添加する場合には、結着樹脂100重量部に対して4重量部(4重量%)以下であり、好ましくは0〜3重量部程度である。
【0073】
離型剤としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH(CH11またはCH(CH12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カルボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油社製)、パラフィンワックス(日本精蝋社製)、マイクロワックス(日本石油社製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋社製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋社製)、PE−130(ヘキスト社製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学社製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0074】
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst wax PE520、Hoechst wax PE130、Hoechstwax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業社製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst wax PED121、Hoechst wax PED153、Hoechst wax PED521、Hoechst wax PED522、同Ceridust 3620、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同Ceridust 3715(ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業社製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ビスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。必要に応じて添加される離型剤としては、セイコーインストルメント(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものを使用するとよい。
【0075】
本発明におけるトナー母粒子は、上記で得た組成物を、混練・溶融した後、微粉砕手段により粉砕・分級して得られるが、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤を外添してもよい。
流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0076】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl + 2H + O → SiO + 4HCl
【0077】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以下、同 200、同300、同 380、TT600、MOX170、MOX80、COK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−SiL M−5」、以下、同 MS−7、同 MS−75、同 HS−5、同 EH−5等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wacker HDK N 20V15」、以下、同 N20E、同 T30、同 T40、ダウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransill社の「Fransol」等が挙げられる。
【0078】
更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0079】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0080】
その処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、0.005〜0.05μmの範囲のものを使用することが好ましい。市販品としては、タラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本アエロジル社)などがある。
流動性向上剤の添加量としては、該樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0081】
本発明のトナーの製造方法は、バインダーポリマー(結着樹脂)の製造に際して上述したが、基本的には次の各工程よりなる。
(1)原料の均一混合工程
結着樹脂、荷電制御剤等の添加剤を所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一混合する。
(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程
均一に混合した後、二軸混練押出機{池貝化成(株)製PCM−30}を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、他に「TEM−37」{東芝機械(株)}、「KRCニーダー」{(株)栗本鉄工所}等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。
【0082】
(3)粉砕工程
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機「200AFG」{ホソカワミクロン(株)}または「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により、微粉砕し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段としては他に、機械式粉砕機ターボミル{川崎重工(株)}、スーパーローター{日清エンジニアリング(株)}等が挙げられる。
(4)分級工程
微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「100ATP」{ホソカワミクロン(株)}又は「DSX−2」{日本ニューマチック工業(株)}又は「エルボージェット」{日鉄鉱業(株)}等を使用して行なう。
(5)外添処理工程
得られた着色樹脂粒子と流動化剤を、所定量ヘンシェルミキサー20B{三井鉱山(株)}に投入し均一混合し、トナーとする。
【0083】
このようにして得られるトナーとして、平均粒径は、3〜10μm、好ましくは5〜8μmとするとよく、これにより高精細化を可能とする。また、例えば熱風処理等により円形度を、0.93〜0.99、好ましくは0.94〜0.98のものとするとよく、これにより、流動性、クリーニング性に優れるものにできる。
【0084】
次に、本発明のトナーが適用される定着装置を図2により説明する。図中、1は定着ローラ、2はバックアップローラ、3は分離爪、4は紙等の記録媒体である。
定着ローラ1は、単層タイプ、多層タイプのいずれでもよい。単層タイプにあっては、加熱手段を内蔵した15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20mm、好ましくは0.5〜3mm厚のシリコンゴム層、またはフッ素ゴム層を積層したものである。また、多層タイプにあっては、加熱手段を内蔵した15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20mm、好ましくは0.5〜3mm厚の弾性層、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm厚のコート層を順次積層したもので、弾性層とコート層の組み合わせとしては、例えば、
(1)シリコン樹脂からなる弾性層、フッ素樹脂からなるコート層としたもの、
(2)シリコンゴムからなる弾性層、フッ素ゴムからなるコート層としたもの、
(3)シリコンゴムからなる弾性層、シリコンゴムとフッ素ゴムからなるコート層としたもの
等が挙げられる。そして、単層タイプにおけるゴム層、また、多層タイプにおける弾性層は、JISA硬度で30度以下、好ましくは15度以下のゴム硬度を有するものである。
【0085】
また、バックアップローラ2は、単層タイプ、多層タイプのいずれでもよい。単層タイプにあっては15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20mm、好ましくは0.5〜3mm厚のシリコンゴム層、またはフッ素ゴム層を積層したものである。また、多層タイプにあっては15〜50mm径の芯金の周面に0.1〜20mm、好ましくは0.5〜3mm厚の弾性層、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm厚のコート層を順次積層したもので、弾性層とコート層の組み合わせとしては、例えば、
(1)シリコンスポンジからなる弾性層、高離型性シリコンからなるコート層を順次積層したもの、
(2)シリコンゴムからなる弾性層、フッ素ゴムからなるコート層を順次積層したもの、
(3)シリコンゴムからなる弾性層、フッ素ゴムラテックス、フッ素樹脂コートからなるコート層を順次積層したもの、
(4)シリコンスポンジゴムからなる弾性層、フッ素樹脂(PFAチューブ)被覆層を順次積層したもの
等が挙げられる。そして、単層タイプにおけるゴム層、また、多層タイプにおける弾性層は、JISA硬度で30度以下、好ましくは15度以下のゴム硬度を有するものである。
【0086】
定着ローラ1とバックアップローラ2との加圧力(線圧)は、0.2〜2kgf/cm、好ましくは0.3〜1kgf/cmであり、ニップ幅は1〜20mm、好ましくは4〜10mmである。また、速度は適宜設定されるが、ニップ通過時間が10〜150msec、好ましくは30〜100msecとなるように設定される。なお、定着ローラ、またはバックアップローラの少なくとも一方がベルトであるベルト定着器としてもよい。
【0087】
上述したように、本発明のトナーは、加熱体との接触に際しているにも係わらず、その弾性や粘性の増加により加熱体に付着(オフセット)することなく記録媒体に定着され、高温における耐オフセット性に優れるので、定着ローラ表面にはシリコンオイル等の離型剤塗布を不要とすることができる。
【0088】
本発明のトナーの、軟化点(Tm)、ガラス転移点(Tg)、分子量、粒径,貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″、緩和弾性率G(t)、THF不溶分、光沢度等のトナーの物性値の測定方法および定着時のトナーのオフセット良好域および光沢度の評価方法はそれぞれ公知の方法が採用できるが、それらの一例を後述する実施例および比較例の説明において説明する。
【0089】
(本発明の実施例および比較例)
次に、本発明のトナーを実施例および比較例により、具体的に説明する。
まず、本発明のトナーの実施例および比較例の各トナーの物性値の測定、定着ニップ通過時間の測定および定着時のトナーのオフセット良好域の評価および光沢度の評価について説明する。
【0090】
(1)軟化点(Tm;融点)[℃]の測定
(株)島津製作所製「定荷重押出型細管式レオメータ フローテスタ CFD−500D」を用いて、下記条件にて測定する。
測定試料の調製 : 測定試料としてトナー約1gを圧縮成型し、フローテスタのシリンダの内径に合わせた円柱状試料とする。
測定条件 : 荷重 20kgf、ダイ穴 1mm、ダイ長さ 1mm
測定方法 : 1/2法
【0091】
(2)ガラス転移点(Tg)[℃]の測定
トナー10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」を用いて下記の条件で測定する。
測定温度 : 20℃(測定開始温度)〜200 ℃(測定終了温度))
昇温速度 : 10 ℃/min
Tg : ガラス転移点に相当する吸熱が生じたI(吸熱カーブのショルダー位置)の温度とする。
【0092】
(3)分子量分布の測定
5mgのトナーを5gのTHFに溶解し、樹脂成分以外のTHF不溶分およびコンタミ物質を除去するため、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターを通して、GPC用サンプルを調製する。こうして調製したサンプルを、GPCを用いて、下記の条件にて測定する。
カラム : 昭和電工(株)製「Shodex(GPC)KF806M+KF802.5」
カラム温度 : 30 ℃
溶媒 : テトラヒドロフラン(THF)
流速 : 1.0 ml/min
検出器 : UV検出器(検出波長254 nm)
標準試料 : 単分散ポリスチレン標準試料(重量平均分子量580から390万)
【0093】
(4)粒径の測定
本明細書では、粒径という場合「平均粒径」を意味する。
コールターマルチサイザーIII 型(コールター社製)を用い、100μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求める。また、シリカ粒子等の外添剤の粒径は、電子顕微鏡法による。
【0094】
(5)緩和弾性率G(t)[Pa]の測定
本発明のトナーの緩和弾性率G(t)Paは、図3(a)に示す下記の粘弾性測定装置を用い応力緩和測定モード(つまり、応力緩和測定)により下記の条件で粘弾性測定を行うことで求める。ここで、応力緩和測定モードは、予め設定した量の歪を測定用トナーサンプルに急激に加えて、その後に時間経過によってその歪を維持するために必要な応力を測定する方法である。また、このような時間経過によって変化する応力を一定歪みで除算した価が、緩和弾性率G(t)[Pa]である。
【0095】
そして、本発明では、前述のように応力緩和の測定開始時の緩和時間0.01secにおける初期緩和弾性率G(t=0.01)Paおよび定着器のニップ通過時間Δt(sec)における緩和弾性率G(t=Δt)Paを求める。そして、求めた緩和弾性率G(t=0.01)Paと緩和弾性率G(t=Δt)Paとの比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}を算出する。
【0096】
粘弾性測定装置: 粘弾性測定装置は、アレス粘弾性測定システム (ARES粘弾性測定装置;レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)である。
測定温度 : 測定温度、つまり定着設定温度(加熱ローラの表面温度の制御中心値)は、150℃に設定した。
ジオメトリー : 上下2枚のパラレルプレート(φ25mm径)。
測定試料の調製: 測定試料は、圧縮成型したトナー約1gをパラレルプレートの下プレートに載せ、ヒーターにより測定温度に加熱し少し柔らかくなってきたところで、このトナーをパラレルプレートの上プレートで挟んで加圧する。図3(b)に示すようにパラレルプレートからはみ出したトナーはトリミングして取り除き、同図(a)に示すようにパラレルプレートの外周形状(つまり、パラレルプレートの直径)に合わせ、かつ試料の高さ(上下プレート間のギャップ)を1.0〜2.0mmに調製して円柱状試料とする。なお、図3(c)に示すように上下プレート全面にトナーが密着していない場合は不良(NG)として、測定試料とはしない。
歪み印加量 : パラレルプレートの上プレートは回転させずに、パラレルプレートの下プレートのみを回転して歪を与える。このとき、測定温度を一定にし、歪み依存(Strain Sweep)モードで、測定試料に徐々に大きな歪み{周波数1[rad/sec](1rad/sec=(1/6.28)Hz、歪み0.1〜200%}を与える。そして、与えた歪みに対し動的粘弾性の貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″が線形領域における最大歪みを緩和弾性率測定時の測定歪みとする。
測定モード : 応力緩和(Stress Relax)モードで測定を行う。
【0097】
(6)THF不溶分の求め方
トナーサンプル約0.5gをTHF50gに温度25℃で一昼夜溶解させる。その溶液を遠心分離することにより上澄み液を分離し、残った残留物を乾燥後、その重量を測定する。更に、トナー中の樹脂含有量を求め、THF不溶分を算出する。
【0098】
(7)定着ニップ通過時間Δtの求め方
定着器のニップ通過時間Δt[sec]とは、前述のように定着時の加熱加圧時間であり、式
定着ニップ幅N[mm]/周速度v[mm/sec]
から求められる。定着ニップ幅N[mm]は定着器固有の値であり、ニップ通過時間Δt[sec]は定着器の定着ローラの周速度v[mm/sec]を適宜変えることで調節される。なお、後述する各実施例および各比較例に用いた定着器の定着ニップ幅N[mm]は8mmである。
【0099】
(8)定着時のオフセット良好域の評価
セイコーエプソン社製LP3000Cより定着部を外したもので、PPC用普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製J(坪量82g/m)の先端から10mmの位置に2cm×2cmの四方領域にトナーを均一に付着させて未定着パッチ(トナー付着量0.4mg/cm)を作製した。これを、コニカ社製カラーレーザープリンタ KL−2010から定着器(定着ユニット)を取り外し、この定着器を外部駆動装置により独立して駆動可能にするとともに、その定着ニップ通過時間を調整できるようにし、更に、PPC用普通紙上のトナーの未定着パッチに接する側の加熱ローラ(定着ローラ)の表面温度を100℃から200℃に制御できるように改造した。更に、定着ローラ表面にシリコーンオイルを塗布する塗布手段を取り外し(オイルパッド非装着状態)、また、印字されていないA4サイズの白紙を1,000枚通紙させ、更に定着ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、更に綿布で乾拭きし、定着ローラの表面にシリコーンオイルのない状態に維持した。
【0100】
このように定着ローラの表面からシリコーンオイルを除去した定着器に、PPC用普通紙をニップ幅8mmで、各実施例のトナーに対してそれぞれ表1に示す定着ニップ通過時間Δt[msec]で、また各比較例のトナーに対してそれぞれ表2に示す定着ニップ通過時間Δt[msec]で通過させた。その場合、温度を前述の温度領域で変化させて通紙し、パッチ定着器位置から定着ローラ円周分下の紙上に、目視により、低温または高温オフセット痕が生じていないと判断された温度領域をオフセット良好領域とした。
【0101】
(10)光沢度の測定および評価
セイコーエプソン社製LP3000Cより定着部を外したもので、PPC用普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製J(坪量82g/m)の先端から10mmの位置に2cm×2cmの四方領域にトナーを均一に付着させて未定着パッチ(トナー付着量0.4mg/cm)を作製した。これを、コニカ社製カラーレーザープリンタ KL−2010から定着器(定着ユニット)を取り外し、この定着器を外部駆動装置により独立して駆動可能にするとともに、その定着ニップ通過時間を調整できるようにし、更に、PPC用普通紙上のトナーの未定着パッチに接する側の加熱ローラ(定着ローラ)の表面温度を100℃から200℃に制御できるように改造した。更に、定着ローラ表面にシリコーンオイルを塗布する塗布手段を取り外し(オイルパッド非装着状態)、また、印字されていないA4サイズの白紙を1,000枚通紙させ、更に定着ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、更に綿布で乾拭きし、定着ローラの表面にシリコーンオイルのない状態に維持した。
【0102】
このように定着ローラの表面からシリコーンオイルを除去した定着器に、PPC用普通紙をニップ幅8mmで、各実施例のトナーに対してそれぞれ表1に示す定着ニップ通過時間Δt[msec]で、また各比較例のトナーに対してそれぞれ表2に示す定着ニップ通過時間Δt[msec]で通過させた。このとき、定着温度は150℃に設定した。定着後のパッチを光沢度計(GM−26D for 75°村上色彩技術研究所製)で測定した。その場合、測定した数値が大きいほど光沢度が高く、本実施例では、光沢度が25%以上を良好であるとした。
【0103】
(本発明のトナーの実施例および比較例)
次に、本発明のトナーの実施例および比較例について説明する。
〈トナー用樹脂の製造方法〉
まず、本発明のトナーの実施例および比較例に用いた樹脂の製造例について説明する。
(樹脂1)
樹脂1は、ポリオール(PO1)として、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル{日本油脂(株)製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g}と、ポリオール(PO2)として、ジメチロールブタン酸を120℃にて加温溶解させ、ポリオール(PO1)とポリオール(PO2)との配合比{(PO1)/(PO2)}が(PO1)/(PO2)=90/10(モル比)となるようにして、ポリオール原料であるポリオール(PO3)を調製した。
【0104】
このポリオール(PO3)とイソシアネート成分であるジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとを、配合比がイソシアネート成分/(PO3)=1/1.16{イソシアネート基数/イソシアネートと反応可能な活性水素を持つ官能基数}となるように配合し、この配合物の100重量部に、触媒としてジオクチル錫ジラウレート20ppmを添加して120℃の加温下で混合溶解し、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、これを大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂を得た。
得られたポリウレタン樹脂のポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が20,200であり、数平均分子量(Mn)が7,900であり、Mw/Mn=2.6であり、またTgが70℃、更にTmが119℃であった。
【0105】
(樹脂2)
樹脂2は、ポリオール(PO1)として、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル{日本油脂(株)製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g}と、ポリオール(PO2)として、ジメチロールブタン酸を120℃にて加温溶解させ、ポリオール(PO1)とポリオール(PO2)との配合比{(PO1)/(PO2)}が(PO1)/(PO2)=70/30(モル比)となるようにして、ポリオール(PO3)を調製した。
【0106】
次に、このポリオール(PO3)とイソシアネート成分であるジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートとを、配合比がイソシアネート成分/(PO3)=1/1.05{イソシアネート基数/イソシアネートと反応可能な活性水素を持つ官能基数}となるように配合し、この配合物の100重量部に、触媒としてジオクチル錫ジラウレート20ppmを添加して120℃の加温下で混合溶解し、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、これを大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂である樹脂2を得た。
得られたポリウレタン樹脂のポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が54,400であり、数平均分子量(Mn)が16,100であり、Mw/Mn=3.4であり、またTgが90℃、更にTmが171℃であった。
【0107】
〈トナーの製造方法〉
(実施例1)
前述の樹脂1の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、連続式2本ロール混練機{三井鉱山(株)社製}で混練した。この混練物を粉砕機{ホソカワミクロン(株)社製}で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂1を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、2軸押出機{東芝機械(株)社製}で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機{ホソカワミクロン(株)社製}で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例1のトナーを得た。
【0108】
(実施例2)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂1を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例2のトナーを得た。
【0109】
(実施例3)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの40重量部に、前述の樹脂1を68重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例3のトナーを得た。
【0110】
(実施例4)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を10重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの60重量部に、前述の樹脂1を46重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例4のトナーを得た。
【0111】
(実施例5)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂2を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例5のトナーを得た。
【0112】
(比較例1)
線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例1のトナーを得た。
【0113】
(比較例2)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例2のトナーを得た。
【0114】
(比較例3)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの40重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を68重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例3のトナーを得た。
【0115】
(比較例4)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を10重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの60重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を46重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例4のトナーを得た。
【0116】
(比較例5)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例5のトナーを得た。
【0117】
これらの実施例1ないし5および比較例1ないし5の各トナーを用いて、THF不溶分[wt%]、定着ニップ通過時間Δt[sec]、初期緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]、初期緩和弾性率G(t=0.01)と定着ニップ通過時間Δt後の緩和弾性率G(t=Δt)との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}、オフセット良好域における温度[℃]領域、および光沢度[%]を前述の方法で測定した。その測定結果を、実施例1ないし5の各トナーについては表1に、また、比較例1ないし5の各トナーについては表2に示す。
【0118】
【表1】
Figure 2004177866
【0119】
【表2】
Figure 2004177866
【0120】
表1から明らかなように、実施例1ないし5の各トナーは、いずれも、THF不溶分が5重量(wt)%以下であり、応力緩和測定において、定着器のニップ通過時間(Δt)における緩和弾性率G(t)の変化量{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下である。
そして、これらの実施例1ないし5の各トナーは、いずれも、オフセット良好域の温度領域が50℃以上であり、比較的広い温度領域を有することが認められた。また、実施例1ないし5の各トナーは、いずれも光沢度が25%より大きく、良好な光沢度を有することが認められた。
【0121】
これに対して、表2から明らかなように、比較例1および2の各トナーは、いずれも、THF不溶分が5重量%以下であり、本発明のトナーに規定されるTHF不溶分の領域に入っているが、定着器のニップ通過時間(Δt)における緩和弾性率G(t)の変化量{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95より大きく、本発明のトナーに規定される{G(t=0.01)/G(t=Δt)}の領域から外れている。また、比較例3ないし5の各トナーは、いずれも、定着器のニップ通過時間(Δt)における緩和弾性率G(t)の変化量{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下であり、本発明のトナーに規定される{G(t=0.01)/G(t=Δt)}の領域に入っているが、THF不溶分が5重量%より大きく、本発明のトナーに規定されるTHF不溶分の領域から外れている。
【0122】
そして、これらの比較例1ないし5の各トナーは、いずれも、オフセット良好域の温度領域が40℃以下であり、前述の実施例1ないし5のトナーに比べて狭い温度領域を有することが認められた。また、比較例1ないし5の各トナーは、いずれも光沢度が25%より小さく、光沢度が良好でないことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な高分子ポリマーの結着樹脂からなるトナーの緩和弾性率Gの一例を示す図である。
【図2】本発明のトナーが適用される定着装置を模式的に示す図である。
【図3】トナーの粘弾性測定装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…定着ローラ、2…バックアップローラ、3…分離爪、4…紙等の記録媒体

Claims (2)

  1. 結着樹脂からなり、テトラヒドロフラン(THF)不溶分が含まれているとともにそのTHF不溶分含有量が5重量%以下であり、
    応力緩和測定において、応力緩和の測定開始時間である緩和時間0.01[sec]における緩和弾性率G(t=0.01)[Pa]と定着器のニップ通過時間Δt[sec]における緩和弾性率G(t)[Pa]との比{G(t=0.01)/G(t=Δt)}が95以下であることを特徴とするトナー。
  2. イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する化合物(活性水素含有成分)との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有することを特徴とする請求項1記載のトナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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