JP2004279521A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Takuya Kadota
拓也 門田
Tahei Ishiwatari
太平 石渡
秀裕 ▲高▼野
Hidehiro Takano
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Abstract

【課題】本発明は、紙、OHP等の記録媒体への定着強度や耐折れ剥がれ特性を向上させると共に、帯電性、高温オフセット性、透明性に優れ、製造に際して粉砕性に優れるトナーおよびその製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明のトナーは、ポリウレタン樹脂を結着樹脂とし、ポリウレタン樹脂が、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点80〜110℃のポリウレタン樹脂(A)と、ビスフェノールAエーテル化合物と多活性水素化合物との混合多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点115〜160℃のポリウレタン樹脂(B)との(A):(B)=50:50〜90:10(重量比)の混合樹脂であり、また、トナーの数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、ガラス転移温度(Tg)が55〜70℃、フロー軟化点(Tm)が100〜120℃のものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電画像を熱定着により現像するために使用するトナーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トナーとしては、通常、結着樹脂中に離型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させると共に外添粒子を外添させてトナー粒子とされ、また、現像方式により一成分トナー、また、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分トナーとされる。最近、電子写真にあっては、一層の高速化、低温定着化が求められ、トナー粒子を構成する結着樹脂の低温溶融特性化が必須である。
【0003】
そのため、水酸基もしくはアミノ基を少なくとも1個有する化合物とモノイソシアネート化合物もしくはポリイソシアネート化合物との反応生成物をバインダーとするトナーが知られ、その反応生成物が実質上単一の分子量の化合物であり、その分子量が500以下であり、融点が50〜150℃のものであることを開示するが、低融点により定着温度を低下させる効果を有するものの、反面、耐オフセット性やトナーとしての耐久性が低下して転写ローラ等へのフィルミングを生じやすく、さらに、保存性、耐ブロッキング性が悪化するという問題がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、高周波加熱定着用トナーとして、分子量200〜2,000のポリエステルグリコールにジイソシアネートを反応させた変成グリコールを結着樹脂とするトナーも知られているが、リジッドな構造を含まないために、トナーとしての耐久性が低下して、転写ローラ等へのフィルミングを生じやすく、粉砕トナーとしての粉砕性に劣るという問題がある(特許文献2参照)。
【0005】
また、数平均分子量が1,000〜15,000で水酸基価が10〜100のポリエステル樹脂(A)と数平均分子量が1,000〜5,000で酸価と水酸基価の合計が10未満であるポリエステル樹脂(B)の樹脂混合物にイソシアネート化合物を反応させて得られる、ガラス転移温度が40〜75℃であるウレタン変性ポリエステル樹脂を結着樹脂とすることが知られ(特許文献3参照)ているが、ポリエステル樹脂をウレタン変成して結着樹脂とするものであり、ポリウレタン樹脂としての特性を生かすものではなく、高温オフセット不良や画像が紙から剥離する等の折れ剥がれ特性不良といった問題があり、また、ワックス類を含有させることによる透明性の低下によりOHP画像とした際に問題が生じるといった問題がある。
【0006】
本出願人は、先に、トナー用バインダーとして、特定の数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000を有するポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂を用いることにより、その高い分子間凝集力により、架橋性成分を含有させないでも必要な内部凝集力が得られ、実用的な定着温度領域で良好な定着特性(非オフセット領域の確保)が得られること、また、離型剤を全く使用しないかもしくは少量の添加でも良好な定着特性が得られ、ワックスを含有することによる弊害を無くすことが可能であることを示した(特許文献4参照)が、この種のポリウレタン樹脂においてはその帯電特性はニュートラルであり、トナー用結着樹脂として使用するには結着樹脂として帯電特性に優れるものであることが望まれており、また、同時にその定着特性を改良し、定着良好域の拡大を可能とすると共にトナー製造に際しての粉砕性を改良することが求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−66564号公報
【0008】
【特許文献2】
特開昭57−198466号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平2−308175号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2002−258534号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙、OHP等の記録媒体への定着強度や耐折れ剥がれ特性を向上させることができると共に、帯電性に優れ、また、高温オフセット性、透明性に優れるトナーであり、また、製造に際して粉砕性に優れるトナーおよびその製造方法の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のトナーは、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、該イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する多活性水素化合物との重合反応により得られ、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリウレタン樹脂を結着樹脂とするトナーにおいて、該ポリウレタン樹脂が、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点80〜110℃のポリウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と多活性水素化合物との混合多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点115〜160℃のポリウレタン樹脂(B)との(A):(B)=50:50〜90:10(重量比)の混合樹脂であって、かつ、前記トナーのTHF可溶分におけるポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、ガラス転移温度(Tg)が55〜70℃、フロー軟化点(Tm)が100〜120℃であることを特徴とする。
【0013】
【化3】
Figure 2004279521
【0014】
(式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、同一でも相違していてもよく、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜12である。)
上記のポリウレタン樹脂(B)の作製に際して使用される多活性水素化合物が、分子中にカルボキシル基およびスルホン酸基のうち少なくとも1種の酸基またはその塩を有し、かつ、イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する化合物であって、該ポリウレタン樹脂(B)を使用して得られるトナーにおける酸価が5KOHmg/g以上であることを特徴とする。
【0015】
上記のポリウレタン樹脂(B)の作製に際して使用される多活性水素化合物が、芳香族、脂環式、分枝状脂肪族炭化水素鎖から選ばれた炭化水素鎖に活性水素を有する置換基を有する多活性水素化合物であることを特徴とする。
【0016】
上記のトナーにおいて、結着樹脂100重量部に対して離型剤を4重量部以下の割合で含有することを特徴とする。
【0017】
本発明のトナーの製造方法は、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、該イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する多活性水素化合物との重合反応により得られるウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリウレタン樹脂であって、該ポリウレタン樹脂が、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点80〜110℃のポリウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と多活性水素化合物との混合多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点115〜160℃のポリウレタン樹脂(B)との(A):(B)=50:50〜90:10(重量比)の混合ポリウレタン樹脂であり、該混合ポリウレタン樹脂を結着樹脂とするトナーの製造方法であって、該結着樹脂に少なくとも着色剤を溶融混練した後、粉砕、分級し、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、ガラス転移温度(Tg)が55〜70℃、フロー軟化点(Tm)が100〜120℃のトナーとすることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂は、水酸基とイソシアネート基が反応した結果生じるウレタン結合(−A−NHCOO−B−、式中Aはポリイソシアネート残基、Bは多活性水素化合物残基)、またはアミノ基とイソシアネート基とが反応した結果生じるウレア結合(−NHCONH−)を結合要素として含有し、その分子間凝集エネルギーは8.74kcal/molであり、メチン結合(−CH−)の0.68kcal/mol、エーテル結合(−O−)の1.0kcal/mol、ベンゼン結合の3.9kcal/mol、エステル結合における2.9kcal/molに比して格段に大きく、高結晶性のためそのガラス転移点が高い。しかしながら、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000の平均分子量のものを結着樹脂とすると、トナーにおけるフロー軟化点を160℃以下とでき、低分子量化に伴う低温定着性に優れるものとできる。また、その軟化点の低下にもかかわらず、トナーにおけるガラス転移温度は50℃以上とでき、ガラス転移温度の低下や強度低下の程度が小さくできる。そのため、トナー用結着樹脂として要請されるフロー軟化点やガラス転移温度等の熱特性を満たしている範囲で内部凝集力の大きい結着樹脂とでき、耐熱性、保存性等に優れるトナーとできる。
【0019】
ウレタン結合やウレア結合を有する樹脂(以下、単に、ポリウレタン樹脂ともいう)は、ポリイソシアネート類と多活性水素化合物とのバルク重合により得られる。ポリイソシアネート類としては、脂肪族ジイソシアネート類であるエタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、βーメチルブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコール−ジプロピルエーテル−ω,ω′−ジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
また、環状基を有する脂肪族ジイソシアネートとしてはω,ω′−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジエチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルナフタリンジイソシアネート、ω,ω′−1,5−ジメチルナフタリンジイソシアネート、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネート、ω,ω′−n−プロピル−ビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
芳香族ジイソシアネート類としては1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアネート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート等が挙げられる。
【0022】
ナフタリンジイソシアネート類としてはナフタリン−1,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ナフタリン−2,6−ジイソシアネート、ナフタリン−2,7−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
ビフェニルジイソシアネート類としてはビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−ニトロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシアネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5,2′,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジメトキシフェニル−3,3′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−2,4−ジイソシアネート、3−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体が挙げられる。
【0025】
トリイソシアネート類としては1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−1,3,7−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアナトカルバミン酸クロリド等、およびその誘導体等が例示される。
【0026】
また、ポリイソシアネートとして下記式
【0027】
【化4】
Figure 2004279521
【0028】
(式中、Rはメチレン基、エチレン基、−C(CH−基から選ばれるアルキレン基を示し、R及びRは炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンから選ばれる基を示す。)
で示されるジイソシアネート類を使用すると、粉砕性に優れるポリマーとでき、粉砕トナーとする際の生産性を向上できる。上記式で示されるジイソシアネート類としては、具体的には、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′,5,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジクロロジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−4,4′−ジイソシアネート等、またはその誘導体が挙げられ、また、これらのポリイソシアネート類の混合物を使用してもよい。
【0029】
上記式で示されるポリイソシアネート類は、その基本骨格として2つの芳香族環がアルキレン基を介して結合した構造を有しており、本成分をハードセグメントとして使用することで、バインダーポリマーにおける分子鎖のフレキシビィリティを小さくでき、リジッドな構造となるため、粉砕性に優れるものと考えられる。
【0030】
また、ポリイソシアネートとして脂環式ジイソシアネート化合物を使用すると、トナーとする際に、耐光性に優れ、画像の長期保存に際して退色のないものとできる。脂環式ジイソシアネート化合物は環状脂肪族炭化水素構造を有するため、光や熱による劣化が抑えられるものと考えられる。また、得られるポリマーはリジッドな構造で粉砕性に優れるものであり、粉砕トナーとする際の粉砕、分級工程における生産性を向上できる。
【0031】
脂環式ジイソシアネート化合物は、脂肪族炭化水素環、または多環式脂肪族炭化水素環に2個のイソシアネート基が直接またはアルキレン基を介して結合した構造を有し、例えば構造式
【0032】
【化5】
Figure 2004279521
【0033】
で示されるイソホロンジイソシアネート、また、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネートが例示される。
【0034】
また、下記式
【0035】
【化6】
Figure 2004279521
【0036】
(式中、Rは単結合、メチレン基、エチレン基、−C(CH−基から選ばれ、lおよびmは1〜5の整数、nは0〜2の整数を示す。)
で示される多環式脂肪族ジイソシアネートも好ましく、例えば下記構造式
【0037】
【化7】
Figure 2004279521
【0038】
で示されるノルボルナンジイソシアネートが例示される。
【0039】
本発明にあっては、粉砕トナーを製造する際における粉砕性、また、記録媒体への定着強度の観点からジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水素化MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を有するジイソシアネート類が好ましく、更にこれらのポリイソシアネート類の混合物を使用するとよい。これらのジイソシアネート類は、芳香族、脂環式、分枝状炭化水素鎖を有し、ウレタン結合やウレア結合における整列性、結晶性を適度に乱す、自由度が少ないバルキーな成分として機能すると考えられ、好ましい。
【0040】
ポリウレタン樹脂(A)を作製するには、上述したイソシアネート化合物と反応させる多活性水素化合物として、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用する。エステル基を含有する多活性水素化合物としては、分子鎖中にエステル基を有すると共にイソシアネート基との反応性を有する活性水素を2個以上有する化合物であり、分子量が4,000以下、好ましくは500〜1,000であって水酸基価が20〜300KOHmg/gのものであり、例えば下記構造式
【0041】
【化8】
Figure 2004279521
【0042】
(式中Rは有機基、m、nは整数)
で示されるポリカプロラクトンジオール類が例示され、例えばダイセル化学工業(株)製「プラクセル205、205H、205U、いずれも分子量530、水酸基価207〜217KOHmg/g」、「プラクセル208、分子量830、水酸基価130〜140KOHmg/g」、「プラクセル210、分子量1000、水酸基価109〜119KOHmg/g」、「プラクセル210CP、分子量1000、水酸基価111〜120KOHmg/g」、「プラクセル212、212CP、いずれも分子量1250、水酸基価86〜94KOHmg/g」、「プラクセル220、220CPB、220NPI、いずれも分子量2000、水酸基価53〜59KOHmg/g」、「プラクセル230、230CP、いずれも分子量3000、水酸基価36〜39KOHmg/g」、「プラクセル240、分子量4000、水酸基価26〜31KOHmg/g」、「プラクセル240CP、分子量4000、水酸基価25〜28KOHmg/g」等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸のジヒドロキシアルキルエステル、例えばテレフタル酸−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル等が挙げられる。
【0043】
エステル基を含有する多活性水素化合物における分子量が4,000より大きいと、イソシアネート基との反応性が低く、未反応の活性水素が多くなり、得られるトナーにおける帯電性は良好であるが、定着強度が低下し、定着良好域が狭くトナーとしての使用に適さず、また、粉砕性も良くないものとなる。
【0044】
また、多活性水素化合物として、トナーとして適した溶融特性を付与することを目的として、エステル基を含有する多活性水素化合物に加えて、好ましくは上記式(1)で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物を併用するとよい。
【0045】
式(1)で示される化合物としては、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド2〜12モル付加物(以下、EO付加物)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2〜12モル付加物(以下、PO付加物)が例示され、これらを単独で、もしくは両者を混合して使用できる。さらには、EO基あるいはPO基の繰り返し単位数が異なる化合物を2種以上混合して用いてもよい。両者を混合して用いる場合、その混合比率(モル比)は、EO付加物/PO付加物=8:2〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、更に好ましくは7:3〜4:6である。また、Rは同一でも、相違してもよく、一方がエチレン基で他方がプロピレン基でもよい。また、EO基、PO基はその繰り返し単位数により、バインダーポリマーとした際に物性が変化する。x+yの平均値は2〜12、好ましくは2〜4であり、繰り返し単位数がこれより大きいと、ガラス転移温度の低下や粉砕性の悪化を招くので好ましくなく、小さすぎると強度低下を来たし、折れ剥がれ強度が低下する。また、EO成分の組成比を高めると定着強度(折れ剥がれ強度)を向上させることができるが、ガラス転移温度の低下や粉砕性の悪化を招き、反対に、PO成分の組成比を高めると粉砕性は向上する一方、定着強度(折れ剥がれ強度)は低下する。また、ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物における水酸基価は、100〜350KOHmg/g、好ましくは200〜290KOHmg/gである。ポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物は、ビスフェノールAを基本骨格とすることで、ポリイソシアネートとの反応物であるバインダーポリマーとした際に、分子鎖のフレキシビィリティが小さく、リジッドな構造となるものと考えられる。
【0046】
エステル基を含有する分子量4,000以下の多活性水素化合物と、式(1)で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテルとの混合比(モル比)は、(エステル基を含有する分子量4,000以下の多活性水素化合物):(式(1)で示される化合物)=1:99〜20:80、好ましくは5:95〜15:85とするとよい。これにより、帯電性、トナーの製造時における粉砕性、低温定着性、高温での耐オフセット性、定着強度に優れ、また、要求される軟化点(Tm)やガラス転移温度(Tg)等の調整が容易になる。
【0047】
また、ポリウレタン樹脂(A)の性状を損なわない範囲で、他の多活性水素化合物、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等を添加してもよい。
【0048】
ポリイソシアネート類と多活性水素化合物との重合は、(1)無溶剤下でのバルク重合法、(2)溶剤の存在下での重合法のいずれによってもよい。ポリイソシアネート類と多活性水素化合物の反応割合は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する多活性水素化合物における活性水素基数の割合{NCO/活性水素(当量比)}を0.5〜1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲とするとよい。なお、鎖伸長剤を適宜使用してもよく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビス−(β−ヒドロキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0049】
触媒としては、例えばジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、オクチル酸スズ、トリフェニルアンモニウムジクロライド、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズビス(メルカプト酸エステル)等が例示される。
【0050】
ポリウレタン樹脂をバルク重合により製造する場合、上述したイソシアネート基を2個以上含有する化合物、多活性水素化合物、触媒等の反応成分を反応容器中に投入し、温度30℃〜180℃、好ましくは30℃〜140℃で、大気圧下、数分から数時間、重合させるとよく、反応を無溶剤下で行うことができる。重縮合反応のごとく副生物を生じないので効率のよい連続生産が可能である。
【0051】
ポリウレタン樹脂(A)においては、フロー軟化点が80〜110℃、好ましくは90〜110℃、ガラス転移温度は55℃〜70℃であり、また、数平均分子量は3,000〜10,000とするとよい。エステル結合を有するポリウレタン樹脂(A)のフロー軟化点を80〜110℃とすることにより、帯電特性に優れると共に、定着強度や耐折れ剥がれ特性等の定着特性を向上させることができる。
【0052】
次に、ポリウレタン樹脂(B)は、多活性水素化合物として、一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と共に、他の多活性水素化合物、例えば、(a)直鎖状炭化水素鎖の両末端に水酸基等の活性水素を有する置換基を有する多活性水素化合物、(b)芳香族、脂環式、分枝状脂肪族炭化水素鎖から選ばれたバルキーな炭化水素鎖にイソシアネート基と反応可能な活性水素を有する置換基を有する多活性水素化合物、(c)酸性基を有する多活性水素化合物の1種以上を併用した混合多活性水素化合物を使用して得られるものである。
【0053】
(a)としては、テトラメチレングリコール、オクタメチレングリコール等の直鎖状炭化水素鎖を有するものが例示される。(a)を一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と併用することにより、よりバルキーな構造とすることができる。
【0054】
(b)としては、脂肪族環状ポリオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、脂肪族環状ポリアミン、例えば1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が例示される。また、分枝構造を有する脂肪族ポリオール、例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が例示され、また、分枝構造を有する脂肪族ポリアミン、例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ブタンジアミン、2,3−ブタンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−2,4−ペンタンジアミン等が例示される。(b)を一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と併用することにより、ポリウレタン樹脂とした際にその分子鎖における整列性、結晶性を乱すことができ、トナーとして適した溶融特性や粉砕性を付与することができる。
【0055】
(c)としては、分子中にカルボキシル基およびスルホン酸基のうち少なくとも1種の酸基またはその塩を有し、かつ、水酸基やアミノ基等の官能基のごとく前記イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する化合物であり、例えば下記構造式(A)で示される2,2−ジメチロールプロピオン酸、(B)で示される2,2−ジメチロールブタン酸、(C)で示される2,2−ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸、また、(D)で示される2,4−ジアミノ安息香酸、(E)で示される3,4−ジアミノ安息香酸、(F)で示される3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、(G)で示される2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、(H)で示される2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、(I)で示される4,4′−ジアミノスチルベン−2,2′−ジスルホン酸、(J)で示される3,4−ジアミノブタンスルホン酸、(K)で示されるN−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等が例示される。
【0056】
【化9】
Figure 2004279521
【0057】
また、上記構造式(A)〜(K)で示される化合物のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩であってもよく、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩である。酸性基を有する化合物の分子量としては90〜400、好ましくは120〜240である。酸性基を有する多活性水素化合物としては、ジメチロールアルカン酸、特に、2,2−ジメチロールブタン酸が好ましく、一般式(1)で示されるポリオキシアルキレンビスフェノールAエーテル化合物との相溶性に優れ、好ましい。
【0058】
(c)を一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と併用することにより、トナーの定着強度、折れ剥がれ特性、高温オフセット性、粉砕性を向上させることができる。
【0059】
酸性基を有する多活性水素化合物としては、酸性基を有する多活性水素化合物は、その分子中にイソシアネート基との反応可能な少なくとも2個の水酸基またはアミノ基と、また、酸性基としてカルボキシル基またはスルホン酸基を有するが、通常のポリウレタン反応またはポリウレア反応の条件下では、イソシアネート基と水酸基またはアミノ基との反応が先行し、イソシアネート基とカルボキシル基やスルホン酸基との反応は殆ど生じない。そのため、ポリウレタン樹脂やポリウレア樹脂における側鎖に、カルボキシル基またはスルホン酸基等の酸性基を導入することができる。また、トナーの加熱定着に際して、酸性基を介して紙繊維との結合性や空隙への浸透性に優れるものとでき、定着強度が向上するものと考えられる。また、離型剤成分を多量に含有させないでも、十分な非オフセット領域を確保することができ、また、定着強度に優れる定着良好領域を拡げることができる。さらに、ポリウレタン樹脂における酸性基の含有量は、酸性基を有する多活性水素化合物の配合量により、容易に制御することができる。
【0060】
(a)〜(c)の多活性水素化合物と一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物との混合比率(モル比)は、(a)〜(c)の多活性水素化合物:一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物=3:97〜80:20、好ましくは5:95〜60:40、さらに好ましくは10:90〜40:60とするとよい。これにより、トナーの製造時における粉砕性や低温定着性、高温での耐オフセット性、定着強度に優れ、また、要求される軟化点(Tm)やガラス転移温度(Tg)等の調整が容易になる。
【0061】
ポリウレタン樹脂(B)を作製するに際しては、ポリウレタン樹脂(A)で記載の反応比、触媒、重合方法と同様にして重合させるとよく、得られるポリウレタン樹脂(B)におけるフロー軟化点が115〜160℃、好ましくは120〜160℃、ガラス転移温度は65℃〜85℃、また、数平均分子量が5,000〜20,000とするとよい。ポリウレタン樹脂(B)のフロー軟化点を115〜160℃とすることにより、ポリウレタン樹脂(A)を単独で使用する場合に問題となる高温オフセット性を改良することができる。
【0062】
本発明においては、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)をそれぞれ上記の如くに製造した後、ポリウレタン樹脂(A):ポリウレタン樹脂(B)=50:50〜90:10(重量比)、好ましくは60:40〜90:10(重量比)で混合してトナー用結着樹脂とすることにより、トナーの帯電特性、定着強度や耐折れ剥がれ特性の向上と共に、高温オフセット性に優れるトナー用結着樹脂とできる。ポリウレタン樹脂(A)の含有量が全ポリウレタン樹脂中50重量%より少ないと、帯電特性や定着強度、耐折れ剥がれ特性等の定着特性を向上させることができず、また、ポリウレタン樹脂(B)の含有量が全ポリウレタン樹脂中10重量%より少ないと、高温オフセット性を改善することができない。
【0063】
また、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の割合を上述のごとくとすることにより、トナーを製造する際の粉砕工程における粉砕特性に優れ、生産性に優れるトナーとできる。また、ポリウレタン樹脂は内部凝集力が高く、ワックスの添加量を低減することができるので、透明性の高いトナーとでき、OHPシートへの適用に適したトナーとできる。
【0064】
本発明とは相違し、高フロー軟化点を有するポリウレタン樹脂(B)にエステル結合を配置するとトナーの製造に際しての粉砕性が著しく損なわれる。本発明は、低フロー軟化点を有するポリウレタン樹脂(A)中にエステル結合を配置することにより、粉砕性を損なうことなく帯電特性を向上させると共に高フロー軟化点を有するポリウレタン樹脂(B)を配合することにより粉砕性に優れるトナー用結着樹脂とするものである。
【0065】
本発明のトナーにおける結着樹脂としては、ポリウレタン樹脂を主成分とし、結着樹脂中50重量%未満の範囲で、かつ、主成分であるポリウレタン樹脂の性状を損なわない範囲で他の結着樹脂を含有してもよい。ポリウレタン樹脂と併用しうる他の結着樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等を単独又は混合して使用できる。
【0066】
本発明における結着樹脂は、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたゲルパーミエーション(GPC)測定での数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜15,000、更に好ましくは3,000〜12,000のものである。数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなり、結着樹脂として単独では使用できないものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは7,000〜30,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜10、更に好ましくは1.8〜8、最も好ましくは1.8〜5である。
【0067】
耐オフセット性と溶融特性を両立させるために、通常、樹脂のMw/Mnを大きくする、つまりブロードな分子量分布を有するように設計する手法がとられているが、Mw/Mnを大きくするとシャープに溶融しないため透明性が低下し、特にカラー画像の画質が低下するという問題がある。これに対して、本発明における結着樹脂は、分子量分布を狭いものとすることによりシャープな溶融特性を示し、透明性に優れ、高画質のカラー画像を得ることができる。
【0068】
本発明における結着樹脂は、フロー軟化点が80〜160℃であり、ガラス転移温度(Tg)が55〜85℃のものとされるが、分子量を低下させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小さくすることができ、低Tmと高Tgを両立させることができる。
【0069】
また、本発明における結着樹脂においては、酸性基を有する多活性水素化合物を重合材料として使用することにより、酸価が5KOHmg/g以上、好ましくは20〜40KOHmg/gのものとできる。結着樹脂として酸性基を有するポリウレタン樹脂とすると、紙との親和性に優れ、トナーを加熱定着した際の定着強度、折れ剥がれ強度に優れ、環境安定性に優れるトナーとできる。
【0070】
本発明のトナーには、上述した結着剤と共に着色剤、荷電制御剤、必要に応じて離型剤、分散剤、磁性粒子等を含有してもよい。着色剤としては、以下に示すような、有機ないし無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、バンザーイエローG、バンザーイエロー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどがある。赤色系顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。
【0071】
また、透光性カラートナーとして用いる場合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などがある。赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などがある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などがある。
【0072】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
【0073】
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず有機あるいは無機の各種のものを用いることができる。
【0074】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:Colr Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I.NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0075】
また、負荷電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81、同E−84(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
【0076】
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0077】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂は、その分子量範囲により熱溶融特性に優れるが、結着樹脂100重量部に対して離型剤を4重量部以下で含有させるとよい。離型剤は含有させなくてもよいが、好ましくは0.5〜3重量部含有させるとよく、さらに非オフセット性を良好にできる。
【0078】
離型剤としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH(CH11またはCH(CH12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カルボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油製)、パラフィンワックス(日本精蝋製)、マイクロワックス(日本石油製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0079】
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業社製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同Ceridust 3715 (ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業社製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ビスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。必要に応じて添加される離型剤としては、DSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものを使用するとよい。
【0080】
本発明のトナーは、上記の組成物を、溶融混練した後、微粉砕手段により粉砕・分級してトナー母粒子とし、更に流動性を向上させる為の流動性向上剤やまた荷電制御剤等の添加剤により適宜外添処理されることにより製造される。
【0081】
流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理を施した処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0082】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0083】
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
又、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以下、同 200、 300、 380、 TT600、MOX170、 MOX80、 COK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−SiL M−5 」、以下、同 MS−7、MS−75、HS−5、EH−5等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wacker HDK N 20 V15 」、以下、同 N20E、 T30、 T40、ダウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransil社の「Fransol」等が挙げられる。
【0084】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0085】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0086】
その処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、好ましくは0.005〜0.05μmの範囲のものを使用することが好ましい。市販品としては、タラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本アエロジル社)などがある。流動性向上剤の添加量としては、トナー母粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0087】
本発明のトナーは、トナー母粒子、または外添処理されトナー粒子とされた段階で、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたゲルパーミエーション(GPC)測定での数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、好ましくは2,000〜15,000、より好ましくは2,000〜6,500のものである。数平均分子量(Mn)が1,200より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、18,000より大きいと低温定着性に劣るものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜8である。
【0088】
また、フロー軟化温度(Tm)は100℃〜120℃の範囲にある。フロー軟化温度が100℃より低いと高温オフセット性 に劣るものとなり、また、120℃より高いと低温での定着強度に劣るものとなる。
【0089】
また、ガラス転移温度(Tg)は55℃〜70℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)が55℃より低いと保存性に劣るものとなり、また、70℃より高いとそれにともなってTmが上昇し、低温定着性に劣るものとなる。
【0090】
また、本発明のトナーにおいて、酸価が5KOHmg/g以上、好ましくは20〜40KOHmg/gのものである。酸価を5KOHmg/g以上とすると、紙との親和性に優れ、トナーを加熱定着した際の定着強度に優れるものとできる。
【0091】
また、本発明におけるトナーは、50%流出点における溶融粘度が2×10〜1.5×10Pa・sであり、オイルレス定着用トナーとして適したものとできる。
【0092】
本発明のトナーの製造方法について説明する。結着樹脂をバルク重合により調製する場合には、基本的には次の各工程よりなる。
(1)原料の均一混合工程
結着樹脂と着色剤、荷電制御剤等の添加剤を、所定量、ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))等の混合機に投入し、均一混合する。
(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程
均一に混合した後、連続式2本ロール(三井鉱山(株)製「ニーデックス100」)を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては他に「TEM−37」(東芝機械(株))、「KRCニーダー」((株)栗本鉄工所)、二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。
(3)粉砕工程
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機「200AFG」(ホソカワミクロン(株))または「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により、微粉砕し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段としては他に、機械式粉砕機ターボミル(川崎重工(株))、スーパーローター(日清エンジニアリング(株))等が挙げられる。
(4)分級工程
微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「100ATP」(ホソカワミクロン(株))又は「DSX−2」(日本ニューマチック工業(株))又は「エルボージェット」(日鉄鉱業(株))等を使用して行なう。
(5) 外添処理工程
得られた着色樹脂粒子と外添剤を、所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し均一混合し、トナーとする。
【0093】
このようにして得られるトナーとして、平均粒径は3〜10μm、好ましくは5〜8μmとするとよく、これにより高精細化を可能とする。また、例えば熱風処理等により円形度を、0.93〜1.00、好ましくは0.95〜0.99のものとするとよく、流動性、クリーニング性、転写性に優れるものとできる。
【0094】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、明細書や実施例で記載する各種評価手法は下記の通りである。
(1) 定着試験
コニカ株式会社製「カラーレーザープリンタ KL−2010」を使用して画像形成した。但し、定着操作は、プリンタから熱ローラからなる定着器(定着ユニット)を取り外し、外部駆動装置により独立して駆動可能とし、定着ニップ時間を調整できるように改造した定着器を使用した。また、紙上のトナー画像に接する側のローラ(定着ローラ)の表面温度は100℃から200℃まで制御できるように改造した。
【0095】
また、定着ローラ表面にシリコーンオイルを塗布する塗布手段は取り外し、また、印字されていないA4サイズ白紙を1,000枚通紙させ、さらに、定着ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、ローラ表面からシリコーンオイルを除去した。また、以後、定着性評価用画像を定着器に通過通紙する毎に定着ローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、さらに綿布にて乾拭きし、定着ローラ表面にシリコーンオイルの無い状態を維持した。定着ローラ表面からシリコーンオイルを除去した定着器を使用して、定着性評価用画像をニップ幅8mm、通過時間50msecの条件にて定着した。
【0096】
なお、定着評価用画像は、紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製PPC用紙「P紙」)先端から10mmの位置に20mm四方の領域に均一にトナーを付着させたいわゆるベタ画像であり、トナー付着量は0.4mg/cmに調整した。
【0097】
(2) 非オフセット領域
定着ローラの表面温度を段階的に変化させながら、未定着の画像サンプルを通紙し、画像、またはその一部が通紙時に定着ローラに転移した後、後続の紙に移行しているか否かを目視で判定した。紙への移行のあるものをオフセットあり、ないものをオフセットなしとした。
【0098】
評価に際しては、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を、オフセットのない定着良好域の広さにより評価し、下記の(3)と共に判断した。
【0099】
(3) 折れ剥れ強度
上記の非オフセット領域を確認した後、定着サンプルの定着像が内側になるように十字に折り曲げ、この折り曲げサンプルを、加熱していない定着器に一度通過させた。この際、定着ローラの回転速度は740rpmに設定した。
【0100】
折り曲げサンプルを元の状態に広げ、定着像の部分をガーゼを巻き付けた冶具(φ50mmの円筒形、重量500g)にて3回擦り、十字に折り曲げた中心部の画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定した。画像濃度残存率70%以上の温度領域を定着強度良好域とした。
【0101】
そして、上記の(2)非オフセット領域と(3)折れ剥れ強度における定着強度良好域とが重なる領域であって、50℃以上の広い温度域幅でオフセットのない画像が得られたものを ○ 、同50℃より狭い温度域幅でオフセットのない画像が得られたものを × とした。
【0102】
(4) 分子量分布
トナー(バインダー)5mgを5gのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターに通した。こうして得られたTHF可溶分を、GPCを用いて、下記条件にて測定した。
カラム : 昭和電工株式会社製「Shodex(GPC)KF806M+KF802.5」
カラム温度: 30℃
溶媒 : THF
流速 : 1.0ml/min.
検出器 : RI検出器
標準試料 : 単分散ポリスチレン標準試料(重量平均分子量580から390万)。
【0103】
(5) ガラス転移点(Tg)
トナー(バインダー)10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、株式会社島津製作所製「自動示差走査熱量計 DSC−60A」を用いて、下記条件にて測定した。
測定温度:0〜200℃
昇温速度:10℃/min.
Tg :2度目の昇温時のDSC曲線より読み取った。
【0104】
(6) フロー軟化点(Tm)
トナー(バインダー)1.0gを加圧成形したペレット状のサンプルを作製し、株式会社島津製作所製「定荷重押出型細管式レオメータ フローテスタ CFT−500D」を用いて、下記条件にて測定した。
昇温速度 :5℃/min.
シリンダ圧力:2.0MPa
ダイ穴径 :1.0mm
ダイ穴長 :1.0mm
Tm算出法 :1/2法。
【0105】
(7) トナー粒径
「粒径」という場合「平均粒径」を意味し、ベックマンコールター社製「マルチサイザーIII 型」を用い、100μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求めた。なお、シリカ粒子等の外添剤の粒径は、電子顕微鏡法による。
【0106】
(8) 酸価
予想される酸価に応じて、試料を秤量し、JIS K0070に準拠して測定した。
【0107】
(9) 水酸基価
予想される水酸基価に応じて、試料を秤量し、JIS K0070に準拠して測定した。
【0108】
(10) 粉砕性
粉砕性は、粒子相互衝突式粉砕機(「2000AFG」ホソカワミクロン(株)製)により、粉砕圧400kPaで、粒径7.5μmの粉砕品を得る時の速度(1時間あたりで得られる粉砕品の重量)により判断した。
二重丸:5Kg/hより多い。
○ :4〜5kg/h
△ :3〜4kg/h
× :3kg/h未満。
【0109】
(11) 透明性の評価
OHPシート上の定着像について、HAZEメーター{日本電色工業(株)製、ヘーズメーターMODEL1001DP)を使用して、HAZE値を測定する。なお、数値が小さい程、透明性が高いことを示す。
○ :30未満
△ :30〜40
× :40より大きい。
【0110】
(12) 帯電性の評価
LP−3000C(セイコーエプソン社製)を評価機として使用し、白紙を1000枚(1K)通紙後のトナー消費量(g)(カートリッジの減少した重量)をもって、帯電性評価とした。
二重丸:2g/1k未満
○:2〜4g/1k
△:4〜6g/1k
×:6g/1kより多い。
【0111】
(本発明におけるポリウレタン樹脂aの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)とポリカプロラクトン{ダイセル化学工業製「プラクセル205」、分子量530、水酸基価210KOHmg/g)}とを、95:5(モル比)で配合し、120℃にて加熱溶解してポリオール成分とした。
【0112】
次いで、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.33{NCO:活性水素(当量比)}となるように混合すると共に、該混合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.002重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂aを得た。
【0113】
得られたポリウレタン樹脂aの重量平均分子量(Mw)は0.86×10、数平均分子量(Mn)は0.43×10、Mw/Mn=2.0であり、また、Tgは61℃、Tmは106℃であった。
【0114】
(本発明におけるポリウレタン樹脂bの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)とジメチロールブタン酸とを、70:30(モル比)で配合し、120℃にて加熱溶解してポリオール成分とした。
【0115】
次いで、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.14{NCO:活性水素(当量比)}となるように配合すると共に、該配合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.002重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂bを得た。
【0116】
得られたポリウレタン樹脂bの重量平均分子量(Mw)は1.95×10、数平均分子量(Mn)は0.72×10、Mw/Mn=2.7であり、また、Tgは81℃、Tmは135℃であった。
【0117】
(比較用ポリウレタン樹脂cの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)をポリオール成分とした。
【0118】
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.02{NCO:活性水素(当量比)}となるように配合すると共に、該配合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.002重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂cを得た。
【0119】
得られたポリウレタン樹脂cの重量平均分子量(Mw)は3.54×10、数平均分子量(Mn)は1.16×10、Mw/Mn=3.1であり、また、Tgは70℃、Tmは135℃であった。
【0120】
(本発明におけるポリウレタン樹脂dの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)とジメチロールブタン酸とを、70:30(モル比)で配合し、120℃にて加熱溶解してポリオール成分とした。
【0121】
次いで、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.09{NCO:活性水素(当量比)}となるように配合すると共に、該配合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.002重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂dを得た。
【0122】
得られたポリウレタン樹脂dの重量平均分子量(Mw)は3.2×10、数平均分子量(Mn)は1.1×10、Mw/Mn=2.9であり、また、Tgは86℃、Tmは144℃であった。
【0123】
(比較用ポリウレタン樹脂eの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)とポリカプロラクトン{ダイセル化学工業製「プラクセル205」、分子量530、水酸基価210KOHmg/g)}とを、95:5(モル比)で配合し、120℃にて加熱溶解してポリオール成分とした。
【0124】
次いで、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.25{NCO:活性水素(当量比)}となるように配合すると共に、該配合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.02重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂eを得た。
【0125】
得られたポリウレタン樹脂eの重量平均分子量(Mw)は0.6×10、数平均分子量(Mn)は0.29×10、Mw/Mn=2.1であり、また、Tgは49℃、Tmは79℃であった。
【0126】
(本発明におけるポリウレタン樹脂fの作製)
ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂株式会社製ユニオールDA−400:OH基価273KOHmg/g)とシクロヘキサンジメタノールとを、50:50(モル比)で配合し、120℃にて加熱溶解してポリオール成分とした。
【0127】
次いで、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとポリオール成分とを、反応比が1:1.14{NCO:活性水素(当量比)}となるように配合すると共に、該配合物100重量部あたりジオクチル錫ジラウレートを0.002重量部添加し、120℃の加温下で混合した後、速やかに200mm×300mmのトレーに流し込み、大気炉に投入し、120℃で1時間保持した後、さらに130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂fを得た。
【0128】
得られたポリウレタン樹脂fの重量平均分子量(Mw)は2.1×10、数平均分子量(Mn)は0.8×10、Mw/Mn=2.6であり、また、Tgは82℃、Tmは139℃であった。
【0129】
(実施例1)
・ポリウレタン樹脂a ・・・ 70重量部
・ポリウレタン樹脂b ・・・ 30重量部
・顔料(大日精化工業製「ECR−101」) ・・・ 5重量部
・離型剤(日本ワックス製「精製カルナバWAX type#1 )・・ 3重量部
・帯電制御剤(クラリアント社製「 Copy Charge NCA」) ・・ 1重量部
を混合し、さらにこれを三井鉱山(株)製「連続式2本ロール ニーデックス100」により混練し、顔料等をポリウレタン樹脂中に分散させた。
【0130】
得られた混練物をフェザーミルによる粗粉砕、次いで気流衝突型粉砕機による微粉砕を行った後、気流分級機により分級し、分級後の体積平均粒径が7.5μmのトナー母粒子を作製した。粉砕性は、4〜5kg/hであり、良好であった。
【0131】
このトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製RX200、粒径12nm)を1重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合攪拌してマゼンタトナーを得た。
【0132】
得られたマゼンタトナーにおける離型剤の分散状態を透過型電子顕微鏡で観察したところ、離型剤はトナー母粒子中に均一に分散しており、離型剤の分散粒子は、円相当径で、最大径890nm、算術平均径550nmであった。
【0133】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.18×10、数平均分子量(Mn)は0.52×10、Mw/Mn=2.3であり、また、Tgは59.8℃、Tmは104.3℃であり、また、酸価は28KOHmg/gであった。
【0134】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、120℃〜180℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、130℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0135】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を160℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。また、帯電性は初期、1000枚通紙後共に変化なく、良好であった。
【0136】
(実施例2)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを90重量部、ポリウレタン樹脂bを10重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、5kg/h以上であり、非常に良好であった。
【0137】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は0.97×10、数平均分子量(Mn)は0.46×10、Mw/Mn=2.1であり、また、Tgは55.2℃、Tmは100.5℃であり、また、酸価は30KOHmg/gであった。
【0138】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、110℃〜170℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、120℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0139】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を150℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。また、帯電性は初期、1000枚通紙後共に変化なく、非常に良好であった。
【0140】
(実施例3)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを50重量部、ポリウレタン樹脂bを50重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、3〜4kg/hであり、比較的良好であった。
【0141】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.4×10、数平均分子量(Mn)は0.59×10、Mw/Mn=2.3であり、また、Tgは69.0℃、Tmは115.2℃であり、また、酸価は26KOHmg/gであった。
【0142】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、130℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、140℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0143】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を170℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。また、帯電性は初期、1000枚通紙後共に変化なく、ほぼ良好であった。
【0144】
(実施例4)
実施例1において、離型剤として日本ワックス社製「精製カルナバWAX type#1 )を4重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、4〜5kg/hであり、良好であった。
【0145】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.02×10、数平均分子量(Mn)は0.5×10、Mw/Mn=2.0であり、また、Tgは59.0℃、Tmは102.9℃であり、また、酸価は29KOHmg/gであった。
【0146】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、120℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、130℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0147】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を160℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、比較的良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。また、帯電性は初期、1000枚通紙後共に変化なく、良好であった。
【0148】
(比較例1)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを40重量部、ポリウレタン樹脂bを60重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、3kg/h以下であり、不良であった。
【0149】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.51×10、数平均分子量(Mn)は0.61×10、Mw/Mn=2.5であり、また、Tgは73.0℃、Tmは123.4℃であり、また、酸価は27KOHmg/gであった。
【0150】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、140℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、150℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0151】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果より、定着良好域が狭く、使用できないことが判明したが、定着設定温度を170℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、透明性は良好であった。また、帯電性は定着性を考慮せず、耐刷を実施したところ、初期、1000枚通紙後とを比較すると、1000枚後で帯電性の低下が見られ、OPC上カブリが増加した。
【0152】
(比較例2)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを100重量部とし、ポリウレタン樹脂bを使用しなかった以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、4〜5kg/hと、良好であった。
【0153】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は0.85×10、数平均分子量(Mn)は0.41×10、Mw/Mn=2.1であり、また、Tgは52.4℃、Tmは95.9℃であり、また、酸価は32KOHmg/gであった。
【0154】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、110℃〜150℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、120℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0155】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果より、定着良好域が狭く、使用できないことが判明したが、定着設定温度を130℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、透明性は良好であった。また、帯電性は定着特性を考慮せず実施したところ、良好であった。
【0156】
(比較例3)
実施例1において、離型剤として日本ワックス社製「精製カルナバWAX type#1 )を5重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、4〜5kg/hであり、良好であった。
【0157】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.16×10、数平均分子量(Mn)は0.51×10、Mw/Mn=2.3であり、また、Tgは59.1℃、Tmは102.8℃であり、また、酸価は29KOHmg/gであった。
【0158】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、120℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、130℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0159】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を160℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、透明性が悪く、濁りのある画像となった。帯電性は良好であった。
【0160】
(比較例4)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを50重量部とし、ポリウレタン樹脂cを50重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、3kg/h未満と、不良であった。
【0161】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は2.2×10、数平均分子量(Mn)は0.8×10、Mw/Mn=2.8であり、また、Tgは62.2℃、Tmは118.7℃であり、また、酸価は21KOHmg/gであった。
【0162】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、140℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、150℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0163】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果より、定着良好域が狭く、使用できないことが判明したが、定着設定温度を170℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、透明性は良好であった。また、帯電性は定着特性を考慮せず実施したところ、非常に良好であった。
【0164】
(実施例5)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを50重量部、ポリウレタン樹脂fを50重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、3〜4kg/hであり、比較的良好であった。
【0165】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は1.48×10、数平均分子量(Mn)は0.62×10、Mw/Mn=2.4であり、また、Tgは69.8℃、Tmは118.2℃であり、また、酸価は5KOHmg/gであった。
【0166】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、130℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、140℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0167】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果に基づき、定着設定温度を170℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。
【0168】
(比較例5)
実施例1において、ポリウレタン樹脂aを50重量部、ポリウレタン樹脂dを50重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、3kg/h未満であり、不良であった。
【0169】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は2.02×10、数平均分子量(Mn)は0.77×10、Mw/Mn=2.6であり、また、Tgは73.6℃、Tmは125℃であり、また、酸価は27KOHmg/gであった。
【0170】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、140℃〜190℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、150℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0171】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果より定着良好域が狭く、使用できないことが判明したが、定着設定温度を170℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。
【0172】
(比較例6)
実施例1において、ポリウレタン樹脂bを10重量部、ポリウレタン樹脂eを90重量部とした以外は同様にしてマゼンタトナーを作製した。粉砕性は、5kg/h以上であり、非常に良好であった。
【0173】
得られたマゼンタトナーは、重量平均分子量(Mw)は0.74×10、数平均分子量(Mn)は0.33×10、Mw/Mn=2.2であり、また、Tgは52.2℃、Tmは84.6℃であり、また、酸価は32KOHmg/gであった。
【0174】
このトナーについて、100℃から200℃の温度域で30%ハーフトーン画像による定着性を評価したところ、100℃〜130℃の温度域においてオフセットのない画像が得られた。また、110℃以上の温度域において定着強度(折れ剥がれ強度)70%以上の画像が得られた。
【0175】
上記の非オフセット域、定着強度良好域の評価結果より定着良好域が狭く、使用できないことが判明したが、定着設定温度を120℃とし、富士ゼロックス社製「Acolor」用OHPシートにベタ画像を形成し、上記定着設定温度にて画像を定着し、画像の透明性を評価したところ、良好な透明性を示し、濁りのない画像を得ることができた。
【0176】
実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例6の評価結果について、下記の表1にまとめて記載する。
【0177】
【表1】
Figure 2004279521
【0178】
【発明の効果】
本発明のトナーは、紙、OHP等の記録媒体への定着強度や耐折れ剥がれ特性を向上させることができると共に、帯電性に優れ、また、高温オフセット性、透明性に優れるものであり、また、製造に際して粉砕性に優れるものである。

Claims (5)

  1. イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、該イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する多活性水素化合物との重合反応により得られ、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリウレタン樹脂を結着樹脂とするトナーにおいて、該ポリウレタン樹脂が、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点80〜110℃のポリウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と多活性水素化合物との混合多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点115〜160℃のポリウレタン樹脂(B)との(A):(B)=50:50〜90:10(重量比)の混合樹脂であって、かつ、前記トナーのTHF可溶分におけるポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、ガラス転移温度(Tg)が55〜70℃、フロー軟化点(Tm)が100〜120℃であることを特徴とするトナー。
    Figure 2004279521
    (式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、同一でも相違していてもよく、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜12である。)
  2. ポリウレタン樹脂(B)の作製に際して使用される多活性水素化合物が、分子中にカルボキシル基およびスルホン酸基のうち少なくとも1種の酸基またはその塩を有し、かつ、イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する化合物であって、該ポリウレタン樹脂(B)を使用して得られるトナーにおける酸価が5KOHmg/g以上であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
  3. ポリウレタン樹脂(B)の作製に際して使用される多活性水素化合物が、芳香族、脂環式、分枝状脂肪族炭化水素鎖から選ばれた炭化水素鎖に活性水素を有する置換基を有する多活性水素化合物であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
  4. 結着樹脂100重量部に対して離型剤を4重量部以下の割合で含有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つ記載のトナー。
  5. イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、該イソシアネート基と反応可能な活性水素を2個以上含有する多活性水素化合物との重合反応により得られるウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリウレタン樹脂であって、該ポリウレタン樹脂が、エステル基を含有する多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点80〜110℃のポリウレタン樹脂(A)と、下記一般式(1)のビスフェノールAエーテル化合物と多活性水素化合物との混合多活性水素化合物を使用して得られるフロー軟化点115〜160℃のポリウレタン樹脂(B)との(A):(B)=50:50〜90:10(重量比)の混合ポリウレタン樹脂であり、該混合ポリウレタン樹脂を結着樹脂とするトナーの製造方法であって、該結着樹脂に少なくとも着色剤を溶融混練した後、粉砕、分級し、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,200〜18,000、ガラス転移温度(Tg)が55〜70℃、フロー軟化点(Tm)が100〜120℃のトナーとすることを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 2004279521
    (式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、同一でも相違していてもよく、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜12である。)
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