JP6501613B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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前記製造方法が、
重合性単量体と、前記着色剤と、前記結晶性樹脂とを有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物分散液を調製する重合性単量体組成物分散液調製工程、
前記重合性単量体を重合させて前記結着樹脂を含有する樹脂組成物分散液を調製する樹脂組成物分散液調製工程、及び、
前記樹脂組成物分散液中に含まれる有機溶媒を除去して前記水系媒体中に樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を調製する樹脂粒子分散液調製工程
をこの順に有し、
前記樹脂組成物分散液中に含まれる前記有機溶媒が、残留した前記重合性単量体を含有し、
前記樹脂粒子分散液調製工程において、工程開始時における前記樹脂組成物分散液に含まれる前記有機溶媒が半減するまでの時間t1/2(分)について、下記式(A)の関係が成り立つことを特徴とする。
(i)重合性単量体と、着色剤と、結晶性樹脂とを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物分散液を調製する工程(重合性単量体組成物調製工程)
(ii)重合性単量体を重合して結着樹脂を含む樹脂組成物分散液を調製する工程(樹脂組成物分散液調製工程)
(iii)樹脂組成物分散液中に含まれる有機溶媒を除去して水系媒体中に樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を調製する工程(樹脂粒子分散液調製工程)
(ia)有機溶媒と、結着樹脂と、着色剤と、結晶性樹脂とを混合して混合液を調製し、上記混合液を水系媒体中に分散させて樹脂組成物分散液を調製する樹脂組成物分散液調製工程
本発明の製造方法の第一の実施形態は、懸濁重合法を利用する方法、具体的には、重合性単量体含む組成物を水系媒体中で造粒した上で当該重合性単量体を重合させてトナー粒子を有するトナーを製造する方法である。以下、懸濁重合法を利用したトナーの製造方法を工程ごとに説明する。
まず少なくとも重合性単量体、結晶性樹脂及び着色剤を有する重合性単量体組成物を調製する。尚、調製される重合性単量体組成物の粘度を調整するために有機溶媒を適宜投入してよい。このとき投入される有機溶媒は、後述する有機溶媒除去工程(樹脂粒子分散液調製工程)にて除去できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、残留した(未反応の)重合性単量体そのものであってもよいし、重合性単量体以外の有機溶媒であってもよい。
次に、分散安定剤を含む水系分散媒を調製する。そして、高剪断力を有する撹拌機を設置した撹拌槽に当該水系分散媒を投入する。次に、この撹拌槽に重合性単量体組成物を添加し、撹拌することにより重合性単量体組成物を水系分散媒中に分散させる。以上の工程を経て、重合性単量体組成物分散液が調製される。
次に、得られた重合性単量体組成物分散液に含まれる重合性単量体を重合させることにより、樹脂組成物分散液を得ることができる。尚、重合性単量体を重合する際は、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いて行うことができる。
重合工程が終了した時点で、樹脂組成物分散液には有機溶媒が含まれている。樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒としては、未反応の重量性単量体、重合性単量体組成物の粘度を調整するために用いられた重量性単量体以外の有機溶媒が挙げられる。そこで、樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒を除去する工程を行う。樹脂組成物分散液から有機溶媒を除去することで、樹脂粒子分散液が調製される。
次に、樹脂粒子中の結晶性樹脂の結晶化度を向上させるために、樹脂粒子分散液の温度を一定に保つことによってアニール工程を行う。アニールを行うことで、結晶性樹脂の結晶化度が上がるため、結晶性樹脂の結着樹脂への相溶分が減少すると共に結着樹脂のガラス転移温度が上がることによって、得られるトナー粒子の耐熱性が向上する。
アニール工程の後、トナー粒子の表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子分散液を酸又はアルカリで処理をする。このようにしてトナー粒子から分散安定剤を除去した後は、一般的な固液分離法によりトナー粒子を水系媒体と分離するが、トナー粒子から酸又はアルカリ及びそれらに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄することが好ましい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離することでトナー粒子が得られる。尚、得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥させてもよい。
以上の工程を経て得られたトナー粒子において、例えば、シャープな粒度分布が要求される場合は、風力分級機等を利用して分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れるトナー粒子を分別して取り除くことができる。
本発明の製造方法の第二の実施形態は、溶解懸濁法を利用する方法、具体的には、有機溶媒と結着樹脂等とを混合することで得られる混合液を水系媒体中で造粒する工程を経てトナー粒子を製造する方法である。以下、本実施形態、即ち、溶解懸濁法を利用したトナー粒子の製造方法を工程ごとに説明する。
まず少なくとも有機溶媒と、結着樹脂と、着色剤と、結晶性樹脂とを混合して混合液を調製する。混合液を調製する際は、着色剤の分散性向上の目的で、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機を用いてもよい。また予めこれらの分散機のいずれかを用いて有機溶媒中に顔料を分散させたものを用いてもよい。上記混合液中には、必要に応じて離型剤、極性樹脂、顔料分散剤、荷電制御剤等を適宜加えてもよい。尚、本実施形態において、用いられる有機溶媒としては、通常用いられる有機溶媒であるならば特に限定されない。また有機溶媒には、結着樹脂を合成する際に用いられた重合性単量体の未反応分が含まれていてもよい。
次いで、上記混合液を、分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌機もしくは超音波分散機といった高剪断力分散機を用いて懸濁させ、造粒を行うことにより樹脂組成物分散液を調製する。
次いで、樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒を蒸発除去することによって、樹脂組成物分散液に含まれる樹脂を析出させ、樹脂粒子とすることにより、樹脂粒子分散液を得る。尚、有機溶媒を除去する際に課される条件は、第一の実施形態と同様とすることができる。例えば、工程開始時に樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒が半減するまでの時間t1/2について、下記式(A)の関係が満たされるようにする。
次に、得られた樹脂粒子分散液に対してアニール工程を行う。尚、アニールの条件は第一の実施形態と同様とすることができる。
次に、得られた樹脂粒子分散液に対して、固液分離工程、洗浄工程及、乾燥工程及び分級工程を順次行う。尚、各工程を行う際の条件は、第一の実施形態と同様とすることができる。
次に、本発明のトナー粒子の製造方法に使用される材料を具体的に例示するが、本発明において使用が可能な材料は以下の説明にて示されたものに限定されるものではない。
結着樹脂となるスチレンアクリル系樹脂を合成する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。またビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。
(1a)スチレン誘導体類及びアクリル系重合性単量体類
(1b)スチレン誘導体類及びメタクリル系重合性単量体類
(1a)スチレン誘導体類及びアクリル骨格を有する多官能性重合性単量体類
(1b)スチレン誘導体類及びメタクリル骨格を有する多官能性重合性単量体類
(1e)スチレン骨格を有する多官能性重合性単量体類及びアクリル系重合性単量体類
(1f)スチレン骨格を有する多官能性重合性単量体類及びメタクリル系重合性単量体類
ポリエステル部位を有する結晶性樹脂としては、低温定着性と耐熱性との両立、及びアニール効率という観点から、ポリエステル部位が、下記式(2a)で示されるジカルボン酸と、下記式(2b)で示されるジオールとを重縮合させて得られる結晶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
HOOC−(CH2)m−COOH (2a)
(式(2a)において、mは、6乃至14の整数を示す。)
HO−(CH2)n−OH (2b)
(式(2b)において、nは、6乃至16の整数を示す。)
(2−1)下記一般式(2c)で表されるビスフェノール誘導体である2価アルコールモノマー成分
(2−2)2価以上のカルボン酸、その酸無水物及びその低級アルキルエステルから選択されるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)である酸モノマー成分
本発明のトナー粒子は、着色剤を含有しており、着色剤としては従来知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を用いることができる。
本発明のトナー粒子には離型剤を含めてもよいが、離型剤としては特に制限はなく公知のものが利用できる。例えば、以下の化合物が挙げられる。具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、エステルワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレン、アクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
また、本発明のトナー粒子は、荷電制御剤が含まれていても良い。中でも、トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤が含まれることが好ましい。ここで荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。具体的には、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体等が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、あるいはスルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂も好ましく用いることができる。
上述の通り、本発明の第一の実施形態で行われる重合性単量体組成物の粘度調整において、重合性単量体以外の有機溶媒が用いられることがある。また第二の実施形態で行われる樹脂を含む混合液の調製においては、重合性単量体以外の有機溶媒が用いられる。重合性単量体以外の有機溶媒は、重合性単量体、結晶性樹脂、離型剤等のトナー粒子に含まれる材料と相溶するものであれば特に限定されない。樹脂粒子分散液調製工程で行われる有機溶媒の除去の観点から水の沸点以下でもある程度の蒸気圧がある有機溶媒が好ましい。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。尚、本発明においては、上述したように、結着樹脂を合成する際に生じ得る未反応の重合性単量体も有機溶媒に含まれる。
また、水系媒体中に添加する分散安定剤としては、公知の界面活性剤、有機分散剤又は無機分散剤を使用することができる。これらの中でも無機分散剤は重合温度や時間経過によっても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナー粒子に悪影響を与えにくいため、好適に使用することができる。無機分散剤としては、以下のものが挙げられる。具体的には、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物等が挙げられる。尚、これらの無機分散剤は、重合性単量体を重合し終えた後に酸あるいはアルカリを加えると水に溶解するため、トナー粒子からほぼ完全に取り除くことができる。
尚、本発明の製造方法で製造されるトナー粒子を、外添剤と混合することによってトナーが得られる。外添剤としては、シリカ微粒子等が挙げられる。
以下に、本発明で規定するトナー粒子の各物性値の測定方法を記載する。
Tg、Tm及びTmAは、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定することができる。尚、装置検出部の温度補正はインジウム及び亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
樹脂粒子及び結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、例えば、以下のようにして測定する。
装置 :高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム :LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液 :THF
流速 :0.6ml/min
オーブン温度 :40℃
試料注入量 :0.020ml
トナーの重量平均粒子径(D4)及び個数平均粒子径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
樹脂粒子分散液調製工程を行う際に、樹脂組成物分散中の有機溶媒がどのくらい除去されたかを示す除去率については、ガスクロマトグラフィー(GC)により、例えば、以下のようにして測定する。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管及び減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部及び1,12−ドデカンジオール106.5部を添加した後、反応溶液を撹拌しながら温度130℃まで加熱した。次に、エステル化触媒であるチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、反応溶液を温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合反応を行った。その後、反応溶液を温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させることで結晶性ポリエステル1を得た。このとき、結晶性ポリエステル1の重量平均分子量(Mw)は19000、融点(Tm)は83℃であった。
撹拌機、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル1(100.0部)と、脱水クロロホルム440.0部とを添加して結晶性ポリエステル1を完全に溶解させた。次に、トリエチルアミン5.0部を加えた後、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜反応溶液を撹拌した。
結晶性ポリエステル1−2:100.0部
スチレン:155.0部
臭化銅(I):3.5部
ペンタメチルジエチレントリアミン:8.5部
(1)樹脂粒子分散液1の製造
(1−1)樹脂組成物分散液の調製工程
まず下記に示される試薬、溶媒を混合して混合物を調製した。
・スチレン 64.0部
・n−ブチルアクリレート 16.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 0.7部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・極性樹脂 4.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(質量比95:2:2:3)、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)=80℃、重量平均分子量(Mw)=15000)
・離型剤 パラフィンワックス 9.0部
(HNP−51:日本精鑞製:融点77℃)
・ブロックポリマー1 20.0部
イオン交換水:1152.0質量部
0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(Na3PO4)水溶液:390.0質量部
次に、樹脂組成物分散液1を90℃に昇温して45分間加熱、次いで95℃に昇温して45分間加熱、次いで100℃へと段階的に昇温撹拌を行うことによって有機溶媒の除去を行った。尚、本工程では、適宜重合性単量体組成物1のサンプリングを行い、樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒の除去率の測定を行った。本実施例では、樹脂粒子分散液調製工程が開始されてから樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒が工程開始時の50%になるまでの時間は125分であったため、50/t1/2は0.40であった。そして樹脂組成物分散液に含まれる有機溶媒が完全に除去された(有機溶媒除去率が100%となった)時点で樹脂粒子分散液調製工程を終了させた。これにより樹脂粒子分散液1を得た。尚、樹脂粒子分散液1中の樹脂粒子のガラス転移温度Tgは54℃であり、樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークのオンセット温度TmAは70℃であった。
本実施例では、樹脂粒子分散液1を撹拌しながら50℃に加熱した上でこの温度(50℃)で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは11.9(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子1を得た。尚、得られたトナー粒子1の重量平均粒径は5.6μmであった。
(トナー粒子2の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら50℃で60分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは10.6(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子2を得た。得られたトナー粒子2の重量平均粒径は5.5μmであった。
(トナー粒子3の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら40℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは10.2(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子3を得た。得られたトナー粒子3の重量平均粒径は5.2μmであった。
(トナー粒子4の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら65℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは9.7(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子4を得た。得られたトナー粒子4の重量平均粒径は5.8μmであった。
(トナー粒子5の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら50℃で50分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは8.3(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子5を得た。得られたトナー粒子5の重量平均粒径は6.0μmであった。
(トナー粒子6の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら35℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは7.5(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子6を得た。得られたトナー粒子6の重量平均粒径は5.7μmであった。
(トナー粒子7の製造)
実施例1(1)と同様の方法で調製した樹脂粒子分散液1を撹拌しながら72℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは7.3(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得られた粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子7を得た。得られたトナー粒子7の重量平均粒径は5.9μmであった。
(1)樹脂粒子分散液2の製造
実施例1(1−2)において、樹脂組成物分散液1を80℃に昇温して30分間加熱、次いで83℃へと段階的に昇温し、加熱撹拌を行うことによって有機溶媒を除去して樹脂粒子分散液を調製した。これを除いては、実施例1(1)と同様の方法により樹脂粒子分散液2を調製した。尚、樹脂粒子分散液調製工程において減圧手段により容器内の圧力を53.4kPaに保持した。
樹脂粒子分散液2を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは9.9(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることでトナー粒子8を得た。得られたトナー粒子8の重量平均粒径は5.6μmであった。
(1)樹脂粒子分散液3の製造
実施例1(1−2)において、樹脂組成物分散液1を77℃に昇温して加熱撹拌を行うことによって有機溶媒除去工程を行った他は、実施例1(1)と同様の方法により樹脂粒子分散液3を調製した。尚、樹脂粒子分散液調製工程において減圧手段により容器内の圧力を41.9kPaに保持した。
樹脂粒子分散液3を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは8.9(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることでトナー粒子9を得た。得られたトナー粒子9の重量平均粒径は5.5μmであった。
(1)樹脂粒子分散液4の製造
実施例1(1−2)において、樹脂組成物分散液1を95℃に昇温して60分間加熱撹拌を行い、次いで100℃へと段階的に昇温し、さらに加熱撹拌を行うことによって有機溶媒を除去した。これを除いては、実施例1(1)と同様の方法により樹脂粒子分散液4を調製した。
樹脂粒子分散液4を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは9.3(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることでトナー粒子10と得た。得られたトナー粒子10の重量平均粒径は5.9μmであった。
(1)樹脂粒子分散液5の製造
実施例1(1−1)において、ブロックポリマー1を結晶性ポリエステル1に置き換えた他は実施例1(1)と同様の方法により樹脂粒子分散液5を調製した。尚、樹脂粒子分散液5中の樹脂粒子のガラス転移温度Tgは55℃であり、樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークのオンセット温度TmAは74℃であった。
樹脂粒子分散液5を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは12.3(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることでトナー粒子11を得た。得られたトナー粒子11における重量平均粒径は5.4μmであった。
(1)樹脂粒子分散液6の製造
(1−1)樹脂組成物分散液の調製
還流冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内を窒素雰囲気にした後、この反応容器内に下記材料を入れた。
・トルエン 100.0部
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・t−ブチルパーオキシピバレート 3.0部
・結着樹脂溶解液1 160.0部
・ブロックポリマー1 20.0部
・離型剤 パラフィンワックス 7.0部
(HNP−51:日本精鑞製 融点77℃)
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・トルエン 120.0部
イオン交換水:1152.0質量部
0.1モル/リットル−リン酸ナトリウム(Na3PO4)水溶液:390.0質量部
樹脂組成物分散液Aを90℃に昇温して60分間加熱した後、次いで95℃に昇温して60分間加熱し、次いで100℃へと段階的に昇温撹拌を行うことによって有機溶媒の除去(樹脂粒子組成物調製工程)を行った。このとき樹脂組成物分散液Aを適宜サンプリングして樹脂組成物分散液Aに含まれる有機溶媒の除去率の測定を行った。本実施例では、工程を開始してから有機溶媒が半減するまでの時間は156分であり、50/t1/2は0.32であった。樹脂組成物分散液Aに含まれる有機溶媒が100%除去された時点で本工程を終了させることで、樹脂粒子分散液6を得た。尚、樹脂粒子分散液6中の樹脂粒子のガラス転移温度Tgは54℃であり、樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークのオンセット温度TmAは70℃であった。
樹脂粒子分散液6を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは11.9(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液6にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることによりトナー粒子12を得た。得られたトナー粒子12の重量平均粒径は5.6μmであった。
(1)樹脂粒子分散液7の製造
実施例1(1−2)において、樹脂組成物分散液1を95℃に昇温して30分間加熱し、次いで100℃へと段階的に昇温しながら、加熱撹拌を行うことによって有機溶媒を除去した。これを除いては、実施例1(1)と同様の方法により、樹脂粒子分散液7を調製した。
樹脂粒子分散液7を撹拌しながら50℃で180分保持することによって、アニール工程を行った。ここでアニール工程前後における樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークの吸熱量の増加分ΔHは6.5(J/g)であった。次に、アニール工程終了後の樹脂粒子分散液にpH1.5以下となるまで塩酸を加えることで得た粒子を洗浄・乾燥させることでトナー粒子13を得た。尚、得られたトナー粒子13の重量平均粒径は6.1μmであった。
実施例1乃至12及び比較例1で得られた各トナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサー(日本コークス工業製)を用いて混合することによりトナーを得た。
得られた各トナーについて、以下の方法に従って性能の評価を行った。
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.6mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
A:低温側定着開始点が115℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が120℃以上125℃以下(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が130℃以上135℃以下(低温定着性に問題はない)
D:低温側定着開始点が140℃以上145℃以下(低温定着性にやや劣り、使用上問題がある)
E:低温側定着開始点が150℃以上(低温定着性に劣り、使用上問題がある)
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度50℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記評価基準に基づいて評価した。
A:凝集塊発生せず(耐熱性に特に優れる)
B:軽微な凝集塊が発生、軽い振とうで解れる(耐熱性に優れる)
C:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと解れる(耐熱性に問題はない)
D:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない(耐熱性にやや劣り、使用上問題がある)
E:完全に凝集(耐熱性に劣り、使用上問題がある)
市販のカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンターに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりに評価するトナー(300g)を充填した。常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙として、キヤノン製オフィスプランナー(64g/m2)を用い、ベタ画像を出力した。ここでこのベタ画像について反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製、SPIフィルターを使用)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対的な反射濃度を測定した。尚、現像性の評価基準は以下に示す通りである。
A:反射濃度が1.40以上である(現像性に特に優れる)
B:反射濃度が1.30以上1.40未満である(現像性に優れる)
C:反射濃度が1.25以上1.30未満である(現像性に問題はない)
D:反射濃度が1.20以上1.25未満である(現像性にやや劣り、使用上問題がある)
E:反射濃度が1.20未満である(現像性に劣り、使用上問題がある)
A:反射濃度が1.40以上である(経時変化特性に特に優れる)
B:反射濃度が1.30以上1.40未満である(経時変化特性に優れる)
C:反射濃度が1.25以上1.30未満である(経時変化特性に問題はない)
D:反射濃度が1.20以上1.25未満である(経時変化特性にやや劣り、使用上問題がある)
E:反射濃度が1.20未満である(経時変化特性に劣り、使用上問題がある)
Claims (5)
- スチレンアクリル系樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤と、ポリエステル部位を有する結晶性樹脂とを有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
前記製造方法が、
重合性単量体と、前記着色剤と、前記結晶性樹脂とを有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物分散液を調製する重合性単量体組成物分散液調製工程、
前記重合性単量体を重合させて前記結着樹脂を含有する樹脂組成物分散液を調製する樹脂組成物分散液調製工程、及び、
前記樹脂組成物分散液中に含まれる有機溶媒を除去して前記水系媒体中に樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を調製する樹脂粒子分散液調製工程
をこの順に有し、
前記樹脂組成物分散液中に含まれる前記有機溶媒が、残留した前記重合性単量体を含有し、
前記樹脂粒子分散液調製工程において、工程開始時における前記樹脂組成物分散液に含まれる前記有機溶媒が半減するまでの時間t1/2(分)について、下記式(A)の関係が成り立つことを特徴とするトナーの製造方法。
0<(50/t1/2)≦0.65 (A) - 前記樹脂粒子分散液調製工程における前記樹脂組成物分散液の温度の最大値T1が、前記トナー粒子のガラス転移温度Tg以上であり、かつ、前記結晶性樹脂の融点Tm以上である請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記Tmが、55℃以上100℃以下である請求項2に記載のトナーの製造方法。
- 前記製造方法が、
前記樹脂粒子分散液調製工程の後、前記樹脂粒子分散液の温度T2を、下記式(B)の関係が成り立つように設定し、前記T2を60分以上維持する工程
をさらに有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
TgA−15(℃)≦T2≦TmA(℃) (B)
(式(B)において、TgAは、樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子のガラス転移点を表し、TmAは、樹脂粒子に含まれる結晶性樹脂由来の吸熱ピークのオンセット温度を表す。) - 前記重合性単量体が、スチレン及びn−ブチルアクリレートを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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