JP2015121661A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 静電荷像現像用トナーは、第1のポリエステル樹脂Aを含有するコア部と、当該コア部を被覆する、第2のポリエステル樹脂Bを含有するシェル層とからなるコア−シェル構造のトナー粒子よりなり、前記第2のポリエステル樹脂Bは、少なくともメタフェニレン骨格を有するものであり、前記第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率をa(質量%)、前記第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率をb(質量%)としたとき、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
関係式(1):0≦a<b
【選択図】 なし
Description
このような要請に対して、低温定着性を発揮するコア部に耐熱保管性を発揮するシェル層を被覆させた、機能分離したコア−シェル構造を有するトナーが提案されている。
このようなトナーによれば、熱定着時におけるポリエステル樹脂のシャープメルト性によって優れた低温定着性が得られる。一方、コア部に含有されたポリエステル樹脂中のイソフタル酸に由来する構造によって当該コア部に含有される離型剤との間に高い相溶性(ミクロな相溶性)が得られるために、当該離型剤のトナー粒子の表面への露出を抑制することができ、さらに、当該イソフタル酸に由来する構造によってコア部とシェル層との界面においても高い相溶性(ミクロな相溶性)を得ることができ、コア部とシェル層との間に高い接着性を得ることができる。この際、コア部とシェル層は材料同士が完全に混ざり合う状態ではないため、非相溶状態でありながら、シェル層がコア部から脱離することなく良好な耐熱保管性が得られる。
すなわち、十分な低温定着性および優れた耐熱保管性に加えて定着画像の光沢度を低く抑制することができるトナーが必要とされているが、結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用しながらこれらの要求を達成することは困難であった。
前記第2のポリエステル樹脂Bは、少なくともメタフェニレン骨格を有するものであり、
前記第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率をa(質量%)、前記第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率をb(質量%)としたとき、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
関係式(1):0≦a<b
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bが非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
そして、第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率a(質量%)と第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率b(質量%)が、関係式(1):0≦a<bを満たすことを特徴とするものである。
また、シェル層を構成するシェル樹脂の一部が、コア部においてドメインなどを形成している形態であってもよい。
これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、まず、コア部におけるメタフェニレン骨格の含有率aがゼロまたはシェル樹脂におけるメタフェニレン骨格の含有率bよりも低いことによって、シャープメルト性を有し、熱定着時に迅速に融解するため、十分な低温定着性が得られる。
一方、シェル樹脂におけるメタフェニレン骨格の含有率bがコア樹脂におけるメタフェニレン骨格の含有率aよりも高いことによってコア部とシェル層との相溶性が低く抑制され、さらに、当該シェル樹脂に含有されたメタフェニレン骨格によってシェル樹脂を構成する主鎖の分子を部分的に屈曲させることができるため、シェル樹脂の分子の占有空間が大きなものとなり、分子間距離が大きくなる。そのため、トナー粒子のシェル層同士が接触した場合でも、その占有空間の大きさからミクロな部分での分子間相互作用を受けにくく、トナー粒子のシェル層同士の融着が抑制され、優れた耐熱保管性が得られるものと推測される。
さらに、コア部とシェル層との相溶性が低く抑制されていることによって定着画像において第1のポリエステル樹脂Aがドメインとして部分的に残存することで、熱定着された際のトナー粒子が凹凸構造を呈すること、および、ミクロな部分での分子間相互作用を受けにくくトナー粒子のシェル層同士の相溶性が低いために定着画像においてトナー粒子の形状に沿った凹凸構造が残存することによって、定着画像の表面の平滑性が低く抑制され、その結果、形成された定着画像の光沢度が低く抑制されるものと推測される。
コア部を形成するコア樹脂には、第1のポリエステル樹脂Aが含有されており、第1のポリエステル樹脂Aと共にスチレンアクリル樹脂が含有されていることが好ましい。スチレンアクリル樹脂はポリエステル樹脂よりも高い弾性を発揮させることができる構成をとりやすい。そして、高弾性のスチレンアクリル樹脂を含有するコア部によれば、熱定着時のコア樹脂全体の弾性低下を抑止することができる。
第1のポリエステル樹脂Aは、結晶性ポリエステル樹脂または非晶性ポリエステル樹脂のいずれかであるが、第1のポリエステル樹脂Aとしては結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また、第1のポリエステル樹脂Aは、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合してなる結晶性のビニル変性ポリエステル樹脂であってもよい。このようなビニル変性ポリエステル樹脂を含有するコア部によれば、当該コア部にスチレンアクリル樹脂が併用されている場合に当該スチレンアクリル樹脂との間に優れた相溶性が得られる。
コア樹脂における第1のポリエステル樹脂Aの含有割合は、コア樹脂中において10〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
コア樹脂における第1のポリエステル樹脂Aの含有割合が10質量%以上であることにより、十分な低温定着性を確実に得られる。第1のポリエステル樹脂Aの含有割合が30質量%以下であることにより、優れた耐熱保管性を確実に得られる。
第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率aは、第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bとの関係において関係式(1):0≦a<bを満たせばよく、具体的には0〜16質量%であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、少なくともジオール成分とジカルボン酸成分とを縮重合したものである。
ジオール成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
直鎖脂肪族ジオールとしては、2つのOH基が炭素鎖の両末端に結合されているものを用いることが好ましい。
ジカルボン酸成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、2つのCOOH基が炭素鎖の両末端に結合されているものを用いることが好ましい。
第1のポリエステル樹脂Aがメタフェニレン骨格を有するものである場合、当該メタフェニレン骨格は、イソフタル酸に由来するものであることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造に使用することのできる触媒としては、例えばチタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタン触媒や、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドなどのスズ触媒などが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が5,000以上であることにより、保管時にも当該結晶性ポリエステル樹脂のブリードアウトが生じることが抑制され、十分な耐熱保管性が得られる。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が100,000以下であることにより、十分な低温定着性が得られる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点が40℃以上であることにより、得られるトナーが熱的強度の高いものとなって十分な耐熱保管性が得られる。また、結晶性ポリエステル樹脂の融点が90℃以下であることにより、熱定着時において、結晶性ポリエステル樹脂が速やかに溶融して転写材への定着を促すことができ、十分な低温定着性が得られる。
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体によって形成されたものである。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
・オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど;
・ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど;
・ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど;
・ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど;
・N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど;
・その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
・カルボキシ基を有するビニル単量体
アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等の(メタ)アクリル酸、およびα−アルキル誘導体あるいはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチレンエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体など。
・リン酸基を有するビニル単量体
アシドホスホオキシエチルメタクリレートなど。
・多官能性ビニル類
エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなど。
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が20,000以上であることにより、十分な耐熱保管性が得られる。スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が60,000以下であることにより、十分な低温定着性が得られる。
スチレンアクリル樹脂のガラス転移点が20℃以上であることにより、得られるトナーが熱的強度の高いものとなって十分な耐熱保管性が得られる。また、スチレンアクリル樹脂のガラス転移点が40℃以下であることにより、十分な低温定着性が得られる。
シェル層を形成するシェル樹脂には、メタフェニレン骨格を有する第2のポリエステル樹脂Bが含有されており、この第2のポリエステル樹脂Bは、非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましく、特に、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合してなる非晶性のビニル変性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
シェル樹脂における第2のポリエステル樹脂Bの含有割合は、シェル樹脂中において70〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは90〜100質量%である。
シェル樹脂における第2のポリエステル樹脂Bの含有割合が70質量%以上であることにより、得られる定着画像における光沢度を抑制する効果が十分に得られる。
第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bが、第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率aよりも大きいことによって、コア部とシェル層との相溶性を確実に低く抑制することができて耐熱保管性および定着画像の光沢度を低く抑制する効果を確実に得ることができる。
第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bが4質量%以上であることにより、得られる定着画像の光沢度を抑制する効果が十分に得られる。一方、第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bが16質量%以下であることにより、コア部とシェル層の接着性を保持しながらシェル層同士の融着を防止することができ、優れた耐熱保管性を得ることができる。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂とは、少なくとも多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮重合したものであって、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められないポリエステル樹脂をいう。
第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格は、アルコールであるメタキシレングリコールに由来するものであるよりも、カルボン酸であるイソフタル酸に由来するものであることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が5,000以上であることにより、製造時や保管時にも当該非晶性ポリエステル樹脂とコア部を構成する結晶性ポリエステル樹脂との相溶が生じずに十分な耐熱保管性が得られる。非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が100,000以下であることにより、十分な低温定着性が得られる。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、得られるトナーが熱的強度の高いものとなって十分な耐熱保管性が得られる。また、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点が90℃以下であることにより、十分な低温定着性が得られる。
ビニル変性ポリエステル樹脂は、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合してなるものであり、ビニル重合セグメントは、ポリエステル重合セグメントの鎖中において分岐鎖として結合されていてもよく、直鎖を構成する状態に結合されていてもよい。直鎖を構成する場合は、直鎖の中間および末端のいずれを構成していてもよい。ただし、ビニル重合セグメントがポリエステル重合セグメントの末端に結合しているビニル変性ポリエステル樹脂の方が、ポリエステル重合セグメントとビニル重合セグメントのそれぞれのドメインを形成しやすい。
本発明において、ビニル変性ポリエステル樹脂とは、ポリエステル重合セグメントの含有割合が50質量%以上であるものをいう。
ビニル重合セグメントは、ビニル単量体により形成されたものであって、スチレン重合体、アクリル重合体、スチレン−アクリル共重合体などからなるものとすることができ、スチレン−アクリル共重合体からなることが好ましい。
ビニル単量体としては、具体的には、上記のスチレンアクリル樹脂を形成するための単量体として挙げたものなどが挙げられる。
ポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸成分および多価アルコール成分により形成される非晶性のものであって、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において明確な吸熱ピークを有さないものをいう。ポリエステル重合セグメントを形成するための単量体(多価カルボン酸成分および多価アルコール成分)としては、具体的には、上記の非晶性ポリエステル樹脂を形成するための単量体として挙げたものが挙げられる。
ビニル重合セグメントの含有割合は、具体的には、ビニル変性ポリエステル樹脂を合成するために用いられる樹脂材料の全質量、すなわち、ポリエステル重合セグメントとなる多価カルボン酸成分および多価アルコール成分と、ビニル重合セグメントとなるビニル単量体と、これらを結合させるための両反応性モノマーとを合計した全質量に対する、ビニル単量体の質量の割合である。
ビニル重合セグメントの含有割合が5質量%以上であることによって、熱定着時に高弾性成分を十分に得ることができて、優れた耐高温オフセット性が得られる。一方、ビニル重合セグメントの含有割合が30質量%以下であることによって、低温定着性に寄与するポリエステル重合セグメントの量を確保することができて確実に十分な低温定着性が得られる。
ビニル変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が10,000以上であることによって、低温定着性が維持されながら、形成された画像の光沢が過度に高くなることを確実に抑制することができる。一方、重量平均分子量(Mw)が100,000以下であることによって、耐熱保管性が維持されながら低温定着性が阻害されることを確実に抑制することができる。
ビニル変性ポリエステル樹脂のガラス転移点が50℃以上であることによって、得られるトナーが熱的強度の高いものとなって十分な耐熱保管性が得られる。一方、ガラス転移点が75℃以下であることによって、十分な低温定着性が得られる。
ビニル変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル重合セグメントとビニル重合セグメントとを両反応性モノマーを介して結合することにより製造することができる。詳細には、ビニル単量体を付加重合させる工程の前、中および後の少なくともいずれかの時点で、多価カルボン酸および多価アルコールを存在させて縮重合反応を行うことによって製造することができる。
具体的には、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、以下の3つが挙げられる。
(1)ビニル重合セグメントを形成するためのビニル単量体の付加重合反応を行った後、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸および多価アルコールの縮重合反応を行い、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(2)ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸および多価アルコールの縮重合反応を行った後、ビニル重合セグメントを形成するためのビニル単量体の付加重合反応を行い、その後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で、縮重合反応をさらに進行させる方法。
(3)付加重合反応に適した温度条件下で、ビニル重合セグメントを形成するためのビニル単量体の付加重合反応、および、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸および多価アルコールの縮重合反応を平行して行い、付加重合反応が終了した後、必要に応じて架橋剤となる3価以上のビニル単量体を反応系に添加し、縮重合反応に適した温度条件下で縮重合反応をさらに進行させる方法。
また、両反応性モノマーとして、多価のビニル系カルボン酸よりも、一価のビニル系カルボン酸を用いることが、トナーの耐久性の観点から好ましい。これは、一価のビニル系カルボン酸とビニル単量体との反応性が高いため、ハイブリッド化し易いためと考えられる。一方、フマル酸などのジカルボン酸を両反応性モノマーとして用いた場合、トナーの耐久性がやや劣るものとなる。これは、ジカルボン酸とビニル単量体との反応性が低く、均一にハイブリッド化しにくいため、ドメイン構造をとるためと考えられる。
トナー粒子を構成するコア樹脂およびシェル樹脂から構成される結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が50質量%以下であることにより、コア部を構成する第1のポリエステル樹脂Aによる低温定着性を十分に得ることができる。一方、結着樹脂におけるシェル樹脂の含有割合が5質量%以上であることにより、優れた耐熱保管性が確実に得られる。
本発明に係るトナー粒子中には、コア部およびシェル層を構成する樹脂(結着樹脂)の他に、必要に応じて着色剤や、離型剤、荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよい。
着色剤や離型剤、荷電制御剤は、それぞれ、コア部に含有されていてもよく、シェル層に含有されていてもよく、両方に含有されていてもよいが、着色剤および離型剤はコア部に含有されていることが好ましい。
着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:2、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量部である。
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができ、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常1〜30質量部とされ、より好ましくは5〜20質量部の範囲とされる。離型剤の含有割合が上記範囲内であることにより、十分な定着分離性が得られる。
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部とされる。
トナーの軟化点は、当該トナーに低温定着性を得る観点から、70〜120℃であることが好ましく、より好ましくは80〜110℃である。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、軟化点とされる。
本発明のトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜9μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成などによって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.940〜0.995である。
具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
本発明のトナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、特に、結着樹脂を構成する樹脂の微粒子を凝集、融着させることによりトナー粒子を得る乳化凝集法を用いることが好ましい。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
本発明のトナーは、一般的な電子写真方式の画像形成方法に用いることができ、このような画像形成方法が行われる画像形成装置としては、例えば静電潜像担持体である感光体と、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体の表面に一様な電位を与える帯電手段と、一様に帯電された感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを感光体の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、当該トナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を加熱定着させる定着手段を有するものを用いることができる。
また、本発明のトナーは、定着温度(定着部材の表面温度)が100〜200℃とされる比較的低温のものにおいて好適に用いることができる。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた1Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシル硫酸ナトリウム1.5質量部をイオン交換水560質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下300rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム1.9質量部をイオン交換水37質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とした後、
・スチレン 113質量部
・n−ブチルアクリレート 32質量部
・メタクリル酸 13.6質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、90℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、これにより樹脂微粒子の分散液〔a〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7.4質量部をイオン交換水970質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した後、樹脂微粒子の分散液〔a〕285質量部と、
・スチレン 284質量部
・n−ブチルアクリレート 92質量部
・メタクリル酸 15.7質量部
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 4.2質量部
・「HNP−0190」(日本精蝋社製) 120質量部
からなる単量体混合液を90℃にて溶解させた溶液とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6.6質量部をイオン交換水126質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、これにより樹脂微粒子の分散液〔b〕を調製した。
さらに、過硫酸カリウム12質量部をイオン交換水290質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
・スチレン 390質量部
・n−ブチルアクリレート 180質量部
・メタクリル酸 30質量部
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.6質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、これにより、スチレンアクリル樹脂によるスチレンアクリル樹脂微粒子の水系分散液〔1〕を得た。
得られたスチレンアクリル樹脂微粒子の水系分散液〔1〕について、スチレンアクリル樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)は50℃、体積基準のメジアン径は220nm、重量平均分子量(Mw)は59,500であった。
(1)結晶性ポリエステル樹脂の合成
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、多価カルボン酸:セバシン酸(分子量202.25)300質量部と、多価アルコール:1,6−へキサンジオール(分子量118.17)170質量部とを仕込み、この系を撹拌しながら1時間かけて内温を190℃にまで昇温させ、均一に撹拌された状態であることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を、多価カルボン酸の仕込み量に対して0.003質量%の量で投入した。その後、生成する水を留去しながら、6時間かけて内温を190℃から240℃まで昇温させ、さらに温度240℃の条件で6時間かけて脱水縮合反応を継続して重合を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕を得た。
この結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕の融点(Tm)は66.8℃であり、数平均分子量(Mn)は6,300であった。
結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕30質量部を溶融させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の結晶性ポリエステル樹脂〔C1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈したも濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2 の条件で運転することにより、体積基準のメジアン径が200nm、固形分量が30質量部の結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔C1〕を調製した。
(1)ビニル変性ポリエステル樹脂の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 288質量部
イソフタル酸 83質量部
トリメリット酸 26質量部
フマル酸 14質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 1.5質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 5質量部
スチレン 75質量部
ブチルアクリレート 26質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 16質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、非晶性のビニル変性ポリエステル樹脂〔A1〕を得た。
このビニル変性ポリエステル樹脂〔A1〕のガラス転移点(Tg)は56℃、軟化点(Tsp)は100℃、重量平均分子量(Mw)は12,300であった。
得られたビニル変性ポリエステル樹脂〔A1〕30質量部を溶融させ、溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態のビニル変性ポリエステル樹脂〔A1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2 の条件で運転することにより、体積基準のメジアン径が200nm、固形分量が30質量%のビニル変性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕を調製した。
ビニル変性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕の調製例において、表1の処方に従ったことの他は同様にして、非晶性のビニル変性ポリエステル樹脂〔A2〕〜〔A6〕によるビニル変性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A2〕〜〔A6〕を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔C1〕の調製例において、表2の処方に従ったことの他は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂〔A7〕〜〔A10〕による非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A7〕〜〔A10〕を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕を調製した。
得られた着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕について、着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は110nmであった。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、イオン交換水2000質量部、および、コア部を形成するための樹脂微粒子として
・スチレンアクリル樹脂微粒子の水系分散液〔1〕(固形分換算) 288質量部
・結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔C〕(固形分換算) 32質量部
を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)を固形分換算で40質量部投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、シェル層を形成するための樹脂微粒子として、
・ビニル変性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A〕(固形分換算) 45質量部
を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム105質量部をイオン交換水420質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、トナー母体粒子〔1〕の分散液を調製した。
(洗浄・乾燥工程)
得られたトナー母体粒子〔1〕の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で漉液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することによりトナー母体粒子〔1〕を得た。
(外添剤処理工程)
上記のトナー母体粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合し、これによりトナー粒子〔1〕を作製した。
実施例1において、表3の処方に従ったことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔18〕を得た。
トナー〔1〕〜〔18〕の各々に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤〔1〕〜〔18〕を製造した。
複写機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)において、定着装置を、加熱ローラの表面温度(定着温度)を120〜200℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「NPI 128g/m2 」(日本製紙社製)上に、トナー付着量8.0g/m2 のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を120℃から5℃刻みで増加させるように変更しながら200℃まで繰り返し行った。
目視で低温オフセットによる画像汚れが観察されない定着実験のうち、最低の定着温度に係る定着実験の当該定着温度を、最低定着温度として評価した。結果を表3に示す。なお、本発明において、最低定着温度が160℃未満であるものを合格と判断する。
上記のトナー〔1〕〜〔18〕について、それぞれ、トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、タップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)を用いて室温で600回振とうした後、蓋を取った状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物が解砕しないよう注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上に残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)により残存トナー量の比率であるトナー凝集率を算出し、これにより耐熱保管性を評価した。
式(1):トナー凝集率(質量%)={残存トナー量(g)/0.5(g)}×100
なお、トナー凝集率が10質量%未満である場合が優良、10質量%以上20質量%以下である場合が良好として判断され、20質量%を超える場合は、実用上、使用することが難しく、不合格と判断される。結果を表3に示す。
画像形成装置として、市販の複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)を用い、この複合機の現像器に現像剤を各々投入し、熱ローラ定着方式による定着装置の加熱部材の表面温度を180℃として、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、転写紙「PODグロスコート(128g/m2 )」(王子製紙社製)上に、転写紙上のトナー量4.0g/m2 に設定したベタ画像を形成した。このベタ画像の光沢度を、光沢度計「Gloss Meter」(村上色彩工学研究所製)を用い、屈折率1.567のガラス表面を基準として入射角75°で測定し、画像光沢性を評価した。本発明においては、光沢度が65%以下である場合を合格とする。結果を表3に示す。
Claims (10)
- 第1のポリエステル樹脂Aを含有するコア部と、当該コア部を被覆する、第2のポリエステル樹脂Bを含有するシェル層とからなるコア−シェル構造のトナー粒子よりなり、
前記第2のポリエステル樹脂Bは、少なくともメタフェニレン骨格を有するものであり、
前記第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率をa(質量%)、前記第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率をb(質量%)としたとき、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
関係式(1):0≦a<b - 前記コア部に含有される第1のポリエステル樹脂Aが結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bが非晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア部に含有される第1のポリエステル樹脂A中のメタフェニレン骨格が、イソフタル酸に由来するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂B中のメタフェニレン骨格が、イソフタル酸に由来するものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア部に含有される第1のポリエステル樹脂Aのメタフェニレン骨格の含有率aと、前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bの差(b−a)が、4質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bが、4〜16質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bのメタフェニレン骨格の含有率bが、8〜16質量%であることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層に含有される第2のポリエステル樹脂Bが、ビニル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合してなる非晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記コア部には、前記第1のポリエステル樹脂Aと共にスチレンアクリル樹脂が含有されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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