JP2017111291A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
トナーの低コスト化及び省エネルギー化を達成するために、ビニル樹脂をメインバインダーとしたマトリクス中に、結晶性ポリエステル樹脂のドメインが内部に分散している非晶性ポリエステル樹脂のドメイン(又はシェル)を含有するトナーが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記トナー粒子が、前記非晶性ビニル樹脂のマトリクス中に、前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインと前記結晶性ポリエステル樹脂のドメインとが接触した構造体ドメインを含有し、
前記トナー粒子の断面において、前記非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、前記構造体ドメインを形成している前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合が、30%以上であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
静電潜像現像用トナー(トナー)は、トナー粒子の集合体である。
本発明に係る静電荷像現像用トナーのトナー粒子は、結着樹脂として非晶性ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有する。また、トナー粒子は、必要に応じて、離型剤、着色剤、荷電制御剤、外添剤等の他のトナー粒子の構成成分を含有してもよい。また、本発明のトナー粒子は、水系媒体中で作製される湿式の製造方法(例えば、乳化凝集法など)により得られるものであることが好ましい。
図1にトナー粒子10の断面の模式図を示すように、非晶性ビニル樹脂を含有するマトリクス11中に、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン12と結晶性ポリエステル樹脂のドメイン13が接触した構造体ドメイン14が存在している。また、図1に示すように、単独で存在する非晶性ポリエステル樹脂のドメイン12、単独で存在する結晶性ポリエステル樹脂のドメイン13、及びその他構成成分の各種ドメインを含有してもよい。
ここで、「ドメイン」とは、トナー粒子を構成する樹脂成分の連続層(マトリクス)中にあって、糸状、縞状又は粒子状に孤立分散して存在している領域をいう。
本発明でいう「構造体ドメイン」とは、トナー粒子の断面において、非晶性ポリエステル樹脂のドメインと、結晶性ポリエステル樹脂のドメインが接触した状態のドメインである。ここで「接触した状態」とは、結晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分の外周への、非晶性ポリエステル樹脂のドメインによる接触率(被覆率)が30〜70%の範囲内であるものと定義する。つまり、結晶性ポリエステル樹脂のドメインが、非晶性ポリエステル樹脂のドメインに完全に覆われたような形態のドメインは、「構造体ドメイン」には含まれない。
また、本発明において、非晶性ポリエステル樹脂のドメインが「表面側に位置する」とは、トナー粒子の断面において、構造体ドメインを形成する結晶性ポリエステル樹脂のドメインと非晶性ポリエステル樹脂のドメインについて、トナー粒子の外周からドメインまでの最短距離を計算したとき、最短距離が小さかった方を表面側に位置すると定義する。なお、最短距離が同一であった場合は、両方ともに表面側には位置しないとする。
トナー粒子の断面の観察は、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡(SPM)等などで観察できる。以下に、その一例をあげるが、同等の観察ができれば、これに限定されるわけではない。
トナーを四酸化ルテニウム(RuO4)蒸気雰囲気下で10分間曝露した後、光硬化性樹脂「D−800」(日本電子株式会社製)中に分散させた後、光硬化させてブロックを形成する。次いで、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、上記のブロックより厚さ60nmから100nm程度の薄片状のサンプルを切り出し、透過電子顕微鏡観察用の支持膜付きグリッドに載せる。直径5cm(5cmφ)のプラスチックシャーレに濾紙を敷き、その上に切片の載ったグリッドを切片の載った面を上にして載せる。
染色条件(時間、温度、染色剤の濃度及び量)は、透過電子顕微鏡観察をする際に各樹脂(主に非晶性樹脂、結晶性樹脂及び離型剤)の区別ができる条件に調整する。例えば、0.5質量%のRuO4の染色液2〜3滴を、シャーレ内の2点に滴下し、蓋をし、10分間後、シャーレの蓋を外し染色液の水分が無くなるまで放置する。
・装置:走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子株式会社製)
・試料:四酸化ルテニウム(RuO4)によって染色したトナー粒子の切片(切片の厚さ100nm程度)
・観察条件:加速電圧30kV、透過像モード、明視野像、倍率10000倍
なお、トナー粒子の断面の直径が5.5〜6.5μmとなるトナー粒子の断面を選択して観察する。
上述した走査型電子顕微鏡を用いた断面観察の際に視野を撮影し、写真画像(トナー粒子の断面画像)をスキャナーにより取り込む。そして、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて、トナーの断面に分散しているドメインの断面積を測定する。ここで、構造体ドメインを形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインと、構造体ドメインを形成していない非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積をそれぞれ測定し、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、構造体ドメインを形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)を算出する。
また、本発明では、少なくともトナー粒子20個の断面についてそれぞれ割合(%)を計算し、その平均値によって割合(%)を算出する。
上記と同様に、トナー粒子の断面画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて解析することによって算出する。具体的には、構造体ドメインの外周の一点と、トナー粒子の外周の一点を結んだ線分の長さ測定し、それぞれの点の位置を外周上でずらして線分の長さを測定した際に、線分の長さが最も短くなるときの当該線分の長さを、「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離」として算出する。
また、本発明では、少なくともトナー粒子20個の断面に存在する構造体ドメインについて最短距離を算出し、その平均値を「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離の平均値」とする。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂のドメインが「表面側に位置する」とは、トナー粒子の断面において、構造体ドメインを形成する結晶性ポリエステル樹脂のドメインと非晶性ポリエステル樹脂のドメインのそれぞれについて、トナー粒子の外周面からドメインまでの最短距離を計算したとき、当該最短距離が小さかった方を表面側に位置すると定義する。以下、表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの割合の算出方法を説明する。
上記と同様に、トナー粒子の断面画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて解析することによって算出する。具体的には、上記「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離の算出」と同様の方法で、構造体ドメイン形成する結晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分及び非晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分について、トナー粒子の外周からそれぞれのドメイン部分までの最短距離を算出する。次に、それらの最短距離を比較して、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分の方が小さいものを、表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインとする。そして、構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、トナー粒子の表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)を算出する。
また、本発明では、少なくともトナー粒子20個の断面についてそれぞれ割合(%)を計算し、その平均値によって割合(%)を算出する。
本発明に係るトナー粒子の平均粒径は、例えば、体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましく、より好ましくは4〜7.5μmである。この平均粒径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂(バインダー樹脂)の組成などによって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することなどができる。
トナーの体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(外添剤粒子を含むトナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
本発明に係るトナー粒子は、帯電特性の安定性、粉体の流動性、更には低温定着性などの観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、0.950〜0.995であることがより好ましい。平均円形度が上記の範囲であることにより、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が抑制されてトナーの帯電性が安定し、また、形成される画像において画質が高いものとなる。
トナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
トナー粒子の円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
トナー粒子は、コア・シェル構造(コア粒子の表面にシェル層を形成する樹脂を凝集、融着させた形態)を有してもよい。コア・シェル構造を有することで、耐熱保管性と低温定着性、更には粉体の流動性をより一層向上させることができる。
なお、コア・シェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆した構造のものに限定されるものではなく、例えば、シェル層がコア粒子を完全に被覆せず、所々コア粒子が露出しているものも含む。
コア・シェル構造の断面構造は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の手段を用いて確認することが可能である。
本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂として、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有する。また、非晶性樹脂として、非晶性ビニル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有し、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有する。
(非晶性ビニル樹脂)
本発明でいう「非晶性ビニル樹脂」とは、少なくともビニル系単量体を用いた重合により得られる樹脂である。非晶性ビニル樹脂として、具体的には、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂などが挙げられる。なかでも、非晶性ビニル樹脂としては、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いて形成されるスチレン−アクリル共重合体樹脂が好ましい。非晶性樹脂として、非晶性ビニル樹脂を用いることで、低コスト化でき、かつ低温定着が可能となるという利点がある。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルエステル類(の単量体)としては、例えば、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。
ビニルエーテル類(の単量体)としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
ビニルケトン類(の単量体)としては、例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
N−ビニル化合物類(の単量体)としては、例えば、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
その他の単量体としては、例えば、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
なお、本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量は、以下のようにして測定される値である。
装置「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料(非晶性樹脂)を室温(25℃)において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得て、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
なお、非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定される値である。測定手順としては、測定試料(非晶性樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点とする。
本発明でいう非晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定法(DSC)において、その吸熱量変化で明確な吸熱ピークを有さないポリエステル樹脂のことをいうものである。
本発明で用いられる非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させる一般的なポリエステルの重合法で製造することができる。また、非晶性ポリエステル樹脂は、1種の非晶性ポリエステル樹脂でもよいが、2種以上の非晶性ポリエステル樹脂の混合であってもよい。
トナー製造時に、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂が相溶して非晶状態となっているとき、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂を結晶化させるためには、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂が速やかに相分離する必要がある。パラフェニレン骨格を有する酸モノマー使用した非晶性ポリエステル樹脂は、屈曲性を有するポリマーになりやすく、結晶性ポリエステル樹脂と相溶している際の樹脂同士の絡まりあいが強くなると考えられる。そのため、相分離が起こりにくくなり、結果として非晶性ポリエステル樹脂のドメインと結晶性ポリエステル樹脂のドメインとが接触した構造体ドメインを形成しづらくなると考えられる。
パラフェニレン骨格を有する酸モノマーとしては、テレフタル酸、p−フェニレン二酢酸、p−フェニレンジオキシ二酢酸、p−フェニレンジアクリル酸などを用いることができる。これらのなかでも、構造体ドメインの形成確率が向上するという観点から、テレフタル酸が好ましい。
トナー粒子には、結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有する。ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
さらにトナーの製造時にトナー粒子(ビニル樹脂マトリクス)中へのスチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂の取り込み性が良好となる点で優れている。
ここで、「層状のラメラ結晶構造」とは、結晶性樹脂の分子鎖の折り畳みによる結晶化で生じた層状構造を意味する。
また、スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂とすることで、層状のラメラ結晶構造のアスペクト比及びラメラ結晶構造の厚さを所定の範囲に制御しやすくなる。これは、スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂に導入されるビニル系重合セグメントは非晶性樹脂との親和性が高いため、スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂が非晶性樹脂となじみやすく(固定化されやすく)なり、その結果、結晶性樹脂の分子鎖が配列しやすくなることによるものと考えられる。
スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するビニル系重合セグメントは、ビニル系単量体を重合して得られた樹脂から構成される。ここで、ビニル系単量体としては、ビニル系樹脂を構成する単量体として上述したものが同様に用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂中におけるビニル系重合セグメントの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、5〜20質量%の範囲内であることがより好ましく、5〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であると、ビニル系非晶性樹脂との親和性(相溶性)及び結晶としての安定性がいう利点がある。
スチレン−アクリル変性樹脂を構成するポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造された結晶性ポリエステル樹脂から構成される。ここで、多価カルボン酸及び多価アルコールの具体的な種類については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
両反応性単量体とは、ポリエステル重合セグメントとビニル系重合セグメントとを結合する単量体で、分子内に、ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基と、ビニル系重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基との双方を有する単量体である。両反応性単量体は、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。さらに好ましくは、カルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。すなわち、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。
スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(iii)ポリエステル重合セグメント及びビニル系重合セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性単量体を反応させることにより、両者を結合させる方法である。
本発明に係るトナーにおいては、トナー粒子の断面に、結晶性樹脂、特にスチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂から構成されるラメラ結晶構造を有しているのが好ましい。スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂は、主鎖となるスチレン−アクリル樹脂ユニット(ビニル系重合セグメント)に、結晶性ポリエステル樹脂ユニット(ポリエステル重合セグメント)が、側鎖として化学的に結合した構造を有している。その結果、スチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂は櫛形状の分子構造を有している。このような櫛形状の分子構造は、結晶性ポリエステル樹脂ユニットが、例えばポリエステル樹脂とは異なる樹脂中で、折りたたまれて結晶化することにより層状のラメラ結晶構造を構成することとなる。
なお、上記の観察において、長径又は短径が40nm未満である層状のラメラ結晶構造については、観察対象外とする。本発明においては、上記の方法でトナー粒子100個の断面を観察した際、その断面において、層状のラメラ結晶構造のアスペクト比(長径/短径)と厚さは上記範囲を満足するトナー粒子が全体の60%(60個)以上存在しているのが好ましく、80%(80個)以上存在していることがより好ましい。層状のラメラ結晶構造のアスペクト比(長径/短径)と厚さが上記範囲を満足するトナー母体粒子が全体の60%以上であれば、低温定着性、粉体の流動性、更には定着分離性、耐熱保存性などといった各種性能の向上が達成される。
離型剤(ワックス)としては、特に低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、又は酸化型のポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックス、及びベヘン酸ベヘネートなどのエステル系ワックスを好適に用いることができる。
本発明に係るトナー粒子には、着色剤を含んでも良い。着色剤としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料等が挙げられる。
黒色酸化鉄としては、例えばマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄などが挙げられる。
本発明に係るトナー粒子には、荷電制御剤を含んでもよい。荷電制御剤の例としては、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やアルミニウムによる金属錯体(サリチル酸金属錯体)、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物、及び含フッ素4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。
本発明に係るトナー粒子には、外添剤粒子を含有してもよい。外添剤粒子としては特に制限されないが、数平均1次粒径が2〜800nm程度の無機微粒子が好ましい。外添剤粒子としては、従来公知の外添剤粒子が用いられうる。かような外添剤粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子などからなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、及びチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。
本発明のトナーのガラス転移点(Tg)は、25〜65℃であることが好ましく、より好ましくは35〜55℃である。本発明のトナーのガラス転移点が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性及び耐熱保管性(更には粉体の流動性)が両立して得られる。トナーのガラス転移点は、測定試料としてトナーを用いたことの他は上記と同様にして測定されるものである。
本発明のトナー粒子を製造する方法としては、例えば、粉砕法、懸濁重合法、ミニエマルション法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法で製造することが好ましい。
なお、本明細書において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
(2)非晶性ポリエステル樹脂(好ましくはスチレン−アクリル変性非晶性ポリエステル樹脂)を有機溶媒に溶解し、水系分散媒中に乳化分散させ、有機溶媒を除去することにより非晶性ポリエステル樹脂微粒子を含む水系分散液(b)を調製する工程を行う。
(3)結晶性ポリエステル樹脂(好ましくはスチレン−アクリル変性結晶性ポリエステル樹脂)を有機溶媒に溶解し、水系分散媒中に乳化分散させ、有機溶媒を除去することにより結晶性ポリエステル樹脂微粒子を含む水系分散液(c)を調製する工程を行う。
(4)着色剤微粒子を含む水系分散液(d)を調製する工程を行う。
(5)上記の、非晶性ビニル樹脂微粒子と離型剤微粒子の分散液(a)、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液(c)と、着色剤微粒子の分散液(d)を混合した分散液を調製し、当該混合液を昇温して、非晶性樹脂微粒子及び結晶性樹脂微粒子を凝集・会合させて、所定の体積基準のメジアン粒径の会合粒子を形成する工程を行う。
(6)(5)の会合粒子に、さらに、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液(b)を添加して、凝集・会合させて、所定の体積基準のメジアン粒径の会合粒子を形成する工程を行う。
(7)会合粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御したトナー粒子を得る熟成工程を行う。
(8)トナー粒子の分散液を冷却する工程を行う。冷却する工程は、冷却速度が1℃/分以下であることが好ましい。さらに、冷却途中に、結晶性ポリエステル樹脂の融点より20℃低い温度(例えば、融点80℃の結晶性ポリエステル樹脂を使用した場合の温度は60℃)にて3時間以上保持する工程(保温工程)を入れてもよい。これにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が促進されやすくなる。
(9)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程を行う。
(10)洗浄されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程を行う。
上述した製造方法によって製造したトナー粒子に、外添剤の添加する方法としては、乾燥されたトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられ、混合装置としては、ヘンシェルミキサー及びコーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。静電荷像現像用トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
本発明に係る静電荷像現像用現像剤は、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの静電荷像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」とも称する。)とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び静電荷像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
下記の付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
・スチレン 35質量部
・ブチルアクリレート 9質量部
・アクリル酸 4質量部
・重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7質量部
・セバシン酸 278質量部
・ドデカンジオール 280質量部
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕30質量部を溶融させて、溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の結晶性ポリエステル樹脂〔1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件で運転することにより、体積基準のメジアン径が200nm、固形分量が30質量部の結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔1〕を調製した。
下記の付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
・アクリル酸 10質量部
・スチレン 25質量部
・n−ブチルアクリレート 5質量部
・重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
・p−フェニレン二酢酸 65質量部
・m−フェニレン二酢酸 195質量部
・エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、200℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa)にて5時間反応を行った。
さらに減圧下(8kPa)にて2時間反応を行うことにより、スチレン−アクリル共重合体セグメントがポリエステル重体セグメントに結合してなる非晶性ポリエステル樹脂(スチレン−アクリル変性非晶性ポリエステル樹脂)〔a1〕を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂〔a1〕は、ガラス転移点(Tg)が60℃、重量平均分子量(Mw)が47000であった。
非晶性ポリエステル樹脂〔a1〕の合成において、重縮合系樹脂の原料モノマーとして添加したp−フェニレン二酢酸65質量部、m−フェニレン二酢酸195質量部を、表1に記載の多価カルボン酸モノマーの種類と添加量に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂〔a2〕〜〔a9〕を合成した。
非晶性ポリエステル樹脂〔a1〕30質量部を溶融させて、溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の非晶性ポリエステル樹脂〔a1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。 そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件で運転することにより、体積基準のメジアン径が250nm、固形分量が30質量部の非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕を調製した。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕の調製において、非晶性ポリエステル樹脂の種類を、〔a1〕から、〔a2〕〜〔a9〕に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A2〕〜〔A9〕を調製した。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8g及びイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、
・スチレン 480g
・n−ブチルアクリレート 250g
・メタクリル酸 68.0g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液〔B1〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水3Lに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、樹脂微粒子の分散液〔B1〕260gと、
・スチレン(St) 284g
・n−ブチルアクリレート 92g
・メタクリル酸(MAA) 13g
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5g
・離型剤:ベヘン酸ベヘネート(融点73℃) 190g
からなる単量体及び離型剤を90℃にて溶解させた溶液と、を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mLに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液〔B2〕を調製した。
さらに、樹脂微粒子の分散液〔B2〕にイオン交換水400mLを添加しよく混合したのち、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
・スチレン(St) 445g
・n−ブチルアクリレート 128g
・メタクリル酸(MAA) 28g
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、非晶性ビニル樹脂微粒子の水系分散液〔B〕を調製した。
得られた非晶性ビニル樹脂微粒子の水系分散液〔B〕について、非晶性ビニル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径が180nm、ガラス転移点(Tg)が55℃、重量平均分子量(Mw)が32000であった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕を調製した。
得られた着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕について、着色剤微粒子の平均粒径(体積基準のメジアン径)は110nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂微粒子の水系分散液〔B〕180質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔1〕30質量部(固形分換算)、イオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、25℃でpHを10に調整した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、ブラックのトナー粒子〔1X〕を得た。
また、トナー〔1〕に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤〔1〕を製造した。
トナー1の製造において、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕を表2に記載の種類に変更し、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液を投入前の会合粒子が表2に記載の粒径(体積中位粒径(D50))となるように撹拌速度の制御条件を変更した以外は同様にして、トナー2〜8、11、12を製造した。
また、トナー2〜8、11、12について、トナー1と同様の方法で、現像剤2〜8、11、12を製造した。
トナー1の製造において、以下に示す方法によって、非晶性ポリエステル樹脂(APEs)と結晶性ポリエステル樹脂(CPEs)の微粒子の水系分散液の投入順を逆にして、トナー8を製造した(表2参照)。以下、具体的な製造方法を示す。
その後、着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕40質量部(固形分換算)を投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積中位粒径(D50)が5.3μmとなるように、撹拌速度を制御した。その後、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A1〕15質量部(固形分換算)を20分間かけて添加後、この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、80℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナー粒子の平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で1℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、ブラックのトナー粒子〔9X〕を得た。
また、トナー〔9〕に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤〔9〕を製造した。
トナー1の製造において、以下に示す方法によって、非晶性ポリエステル樹脂(APEs)と結晶性ポリエステル樹脂(CPEs)の微粒子の水系分散液を同時に投入するように変更して、トナー10を製造した(表2参照)。以下、具体的な製造方法を示す。
結晶性ポリエステル樹脂〔1〕15質量部及び非晶性ポリエステル樹脂〔a7〕15質量部を溶融させて、溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態の非晶性ポリエステル樹脂〔1〕の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈した、濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件で運転することにより、体積基準のメジアン径が260nm、固形分量が30質量部の結晶性ポリエステル樹脂微粒子及び非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A10〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂微粒子の水系分散液〔B〕180質量部(固形分換算)、イオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、25℃でpHを10に調整した。
その後、着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕40質量部(固形分換算)を投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温し、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積中位粒径(D50)が2.0μmとなるように、撹拌速度を制御した。その後、結晶性ポリエステル樹脂微粒子及び非晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液〔A10〕30質量部(固形分換算)を20分間かけて添加後、この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、80℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナー粒子の平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で1℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、ブラックのトナー粒子〔10X〕を得た。
また、トナー〔10〕に対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤〔10〕を製造した。
装置「HLC−8120GPC」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料(ビニル樹脂)を室温(25℃)において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得て、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出した。検量線測定用のポリスチレンとしては、10点用いた。
装置「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定を行った。測定試料(ビニル樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点とした。
装置「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定を行った。測定試料(ビニル樹脂)1.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行い、半値幅15℃以内の明瞭な吸熱ピークに対して、そのピークトップの温度を融点とした。
(1.トナー粒子の切片の作製方法)
トナーを四酸化ルテニウム(RuO4)蒸気雰囲気下で10分間曝露した後、光硬化性樹脂「D−800」(日本電子社製)中に分散させた後、光硬化させてブロックを形成した。次いで、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、上記のブロックより厚さ60nmから100nm程度の薄片状のサンプルを切り出し、透過電子顕微鏡観察用の支持膜付きグリッドに載せた。直径5cm(5cmφ)のプラスチックシャーレに濾紙を敷き、その上に切片の載ったグリッドを切片の載った面を上にして載せた。
染色条件(時間、温度、染色剤の濃度及び量)は、透過電子顕微鏡観察をする際に各樹脂の区別ができる条件に調整した。例えば、0.5%RuO4染色液2〜3滴を、シャーレ内の2点に滴下し、蓋をし、10分間後、シャーレの蓋を外し染色液の水分が無くなるまで放置した。
以下の装置、試料、観察条件によって、トナー粒子の断面を観察した。
装置:走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子社製)
試料:四酸化ルテニウム(RuO4)によって染色したトナー粒子の切片(100nm程度)
観察条件:加速電圧30kV、透過像モード、明視野像、倍率10000倍
なお、トナー粒子20個について、断面の直径が5.5〜6.5μmのトナー粒子の断面を選択して観察した。
上述した走査型電子顕微鏡を用いた断面観察の際に視野を撮影し、写真画像(トナー粒子の断面画像)をスキャナーにより取り込んだ。そして、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて、トナーの断面に分散しているドメインの断面積を測定した。ここで、構造体ドメインを形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインと、構造体ドメインを形成していない非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積をそれぞれ測定し、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、構造体ドメインを形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)を算出した。また、トナー粒子20個の断面についてそれぞれ割合(%)を計算し、その平均値を「非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの割合(%)」として算出した。
上記と同様に、トナー粒子の断面画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて解析することによって算出した。具体的には、構造体ドメインの外周面の一点と、トナー粒子の外周の一点を結んだ線分の長さ測定し、それぞれの点を外周上でずらして線分の長さを測定した際に、線分の長さが最も短くなるときの当該線分の長さを、「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離」として算出した。また、トナー粒子20個の断面に存在する構造体ドメインについて最短距離を算出し、その平均値を「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離の平均値」とした。
上記と同様に、トナー粒子の断面画像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)を用いて解析することによって算出した。具体的には、上記「トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離の算出」と同様の方法で、構造体ドメイン形成する結晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分と、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分について、トナー粒子の外周からそれぞれのドメイン部分までの最短距離を算出した。次に、それらの最短距離を比較して、非晶性ポリエステル樹脂のドメイン部分の方が小さいものを、表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインとした。そして、構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、トナー粒子の表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)を算出した。また、トナー粒子20個の断面に存在する構造体ドメインについてそれぞれ割合(%)を計算し、その平均値を「構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、トナー粒子の表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)」とした。
上記に示す観察方法に従って、作製したトナー1〜トナー12のトナー粒子の断面を観察した。トナー1〜9のトナーにおいては、観察したトナー粒子20個の断面全てにおいて、構造体ドメインが観察できた。
トナー10においては、観察したトナー粒子20個の断面全てにおいて、結晶性ポリエステル樹脂のドメインが、非晶性ポリエステル樹脂のドメインによって外周を80%以上被覆された状態となっており、構造体ドメインは観察できなかった。
トナー11においては、トナー粒子の断面において、構造体を形成しない非晶性ポリエステル樹脂のドメインが多く存在しており、構造体形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合は9%であった。また、トナー12も、トナー粒子の断面において、構造体を形成しない非晶性ポリエステル樹脂のドメインが多く存在しており、構造体形成している非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合は11%であった。
また、トナー1〜9、11、12で観察できた構造体ドメインの、トナー粒子の外周から構造体ドメインまでの最短距離の平均値(μm)、構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、トナー粒子の表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合(%)を算出した。これらの結果を表3に示す。
(低温定着性)
複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)において、定着装置を、加熱ローラの表面温度(定着温度)を120〜200℃の範囲で変更することができるように改造したものに現像剤を装填して用いた。
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ社製)上に、トナー付着量8mg/cm2のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を120℃から2℃刻みで増加させるように変更しながら200℃まで繰り返し行った。
目視で低温オフセットによる画像剥がれが観察されない定着実験のうち、最低の定着温度に係る定着実験の当該定着温度を、最低定着温度として評価した。最低定着温度が150℃未満であるものを合格と判定した。結果は表3に示す。
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めてタップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)で室温(25℃)にて600回振とうした後、蓋を取った状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを、48メッシュ(日開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないよう注意しながら載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定した。次いで、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)によりトナー凝集率を算出し、これにより評価した。
なお、トナー凝集率が10質量%未満である場合が優良、10質量%以上20質量%以下である場合が良好として判断され、20質量%を超える場合は、実用上使用不可であり、不合格と判断される。
また、実施例のトナー7〜9において、構造体ドメインを形成する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、トナー粒子の表面側に位置する非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合が50%以上のトナー7,8の方が、トナー9よりも最低定着温度が低いことが分かった。これは、定着時に非晶性ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂と相溶したとき、溶融した非晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子の表面側に存在することになるため、トナー粒子同士が融け合いやすく、より優れた低温定着性が得られたものと考えられる。
11 マトリクス
12 非晶性ポリエステル樹脂のドメイン
13 結晶性ポリエステル樹脂のドメイン
14 構造体ドメイン
Claims (8)
- 少なくとも非晶性ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を含む静電潜像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、前記非晶性ビニル樹脂のマトリクス中に、前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインと前記結晶性ポリエステル樹脂のドメインとが接触した構造体ドメインを含有し、
前記トナー粒子の断面において、前記非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、前記構造体ドメインを形成している前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合が、30%以上であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。 - 前記非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸モノマーにおいて、パラフェニレン骨格を有するモノマーと、メタフェニレン骨格を有するモノマーのモル比が、30:70〜100:0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸モノマーにおいて、テレフタル酸モノマーとイソフタル酸モノマーのモル比が、30:70〜100:0の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の断面において、前記非晶性ポリエステル樹脂のドメイン全体の断面積のうち、前記構造体ドメインを形成している前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合が、50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸モノマーにおいて、パラフェニレン骨格を有するモノマーと、メタフェニレン骨格を有するモノマーのモル比が、50:50〜100:0の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸モノマーにおいて、テレフタル酸モノマーとイソフタル酸モノマーのモル比が、50:50〜100:0の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子の外周から前記構造体ドメインまでの最短距離の平均値が、1μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の断面において、前記構造体ドメインを形成する前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積のうち、前記トナー粒子の表面側に位置する前記非晶性ポリエステル樹脂のドメインの断面積の割合が、50%以上であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
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- 2015-12-16 JP JP2015245236A patent/JP2017111291A/ja active Pending
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