JP2017138481A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、非晶性ビニル樹脂を含む非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子が、C.I.Pigment Yellow74を含む着色剤と、前記トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内にあるアルコキシアニリンと、を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
例えば、結晶性ポリエステル樹脂を糸状の結晶構造として含有することにより、結晶性ポリエステル樹脂のシャープメルト性、ひいては低温定着性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これら顔料は単独では着色力が十分でないため、目的の着色力を得るためには添加量を増やさなくてはならない。
また、顔料の含有量が多すぎるトナーは、フィラー効果によりトナーの弾性が低下しにくくなり、低温定着性を阻害する。
1.少なくとも、非晶性ビニル樹脂を含む非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、
C.I.Pigment Yellow74を含む着色剤と、
前記トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内にあるアルコキシアニリンと、
を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、5〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
着色剤としてC.I.Pigment Yellow74を用いることにより、少ない添加量でも優れた着色力を得ることができる。着色剤の添加量を増やす必要がないため、着色剤の取り込み性が良化し、トナーの飛散を抑えることができたと推察される。添加量を抑えたことでフィラー効果も抑えて、低温定着性の低下を防ぐことができたと推察される。
また、トナー粒子が上記特定範囲の含有量のアルコキシアニリンを含有することにより、トナー粒子中に結晶性樹脂を均一に微分散させてその結晶化度を小さく調整することができたことから、結晶性ポリエステル樹脂がもたらす優れた低温定着性が得られたと推察される。
非晶性樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂の分散性を高めて、より優れた低温定着性を得る観点からは、前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂であることが好ましい。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂として非晶性ビニル樹脂を含む非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子からなる。
トナーの耐熱保管性と低温定着性を両立する観点から、トナー粒子は、耐熱性に優れた非晶性樹脂をマトリクス相として、このマトリクス相中に結晶性樹脂がドメイン相として分散する、ドメイン・マトリクス構造を有することが好ましい。ドメイン・マトリクス構造とは、連続したマトリクス相中に、閉じた界面(相と相の境界)を有するドメイン相が存在する構造をいう。
本発明において、トナー粒子は、C.I.Pigment Yellow74を含む着色剤と、トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内にあるアルコキシアニリンと、を含有している。
非晶性樹脂は結着樹脂の一つであり、非晶性を示す樹脂であれば特に制限なく、従来公知の非晶性樹脂を使用できる。非晶性を示すとは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点(Tg)を有するが、融点すなわち昇温時の明確な吸熱ピークがないことをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内の吸熱ピークをいう。
熱定着時の可塑性に優れたトナーを得る観点からは、非晶性樹脂として、非晶性ビニル樹脂を含むことが好ましい。非晶性ビニル樹脂は、アルコキシアニリンの溶解性の観点からも好ましい。
非晶性ビニル樹脂は、ビニル基を有する単量体(以下、ビニル単量体という。)の重合体のうち、非晶性を示すものをいう。
使用できる非晶性ビニル樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、なかでも耐熱性に優れるスチレン−アクリル樹脂が好ましい。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体等のスチレン構造を有する単量体
(2)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体等の(メタ)アクリル基を有する単量体
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(7)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸、メタクリル酸誘導体等
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有する単量体としては、アシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
トナー粒子は、非晶性樹脂として、上記非晶性ビニル樹脂以外に非晶性ポリエステル樹脂等を含有することもできる。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示す樹脂である。公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体を重合する(エステル化する)ことにより、非晶性ポリエステル樹脂を形成することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸、イソフタル酸ジメチル、フマル酸、ドデセニルコハク酸、1,10−ドデカンジカルボン酸等を挙げることができる。これらのなかでは、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価アルコール単量体としては、例えば、2価又は3価のアルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BPA−EO)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(BPA−PO)、グリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、トリメチロールプロパン等を挙げることができる。これらのなかではビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成する。
非晶性樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に記載の方法(電位差滴定法)に準拠して測定することができる。測定において、溶剤はテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールを体積比1:1で混合したものを使用する。
結晶性樹脂は結着樹脂の一つであり、結晶性を示す樹脂であれば制限なく、公知の結晶性樹脂を使用できる。結晶性を示すとは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
含有量が、5質量%以上であれば十分な低温定着性が得られ、30質量%以下であれば帯電性の低下によるトナーの飛散を抑えることができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示す樹脂をいう。
結晶性ポリエステル樹脂は、上述した非晶性ポリエステル樹脂と同様にして形成することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂であることが好ましい。
このようなハイブリッド樹脂は、非晶性樹脂中に結晶性樹脂が均一に微分散するように、非晶性樹脂との親和性を調整することができる。
ハイブリッド樹脂は、非晶性樹脂セグメントがマトリクス相である非晶性樹脂との親和性が高いため、結晶性樹脂セグメントの分子鎖が配列しやすくなり、十分な結晶性を示すことができる。
ハイブリッド樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂セグメント等の各セグメントの構成成分及び含有量は、例えばNMR分析、メチル化反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py−GC/MS:Pyrolysis Gas Chromatography Mass Spectrometry)等により測定することができる。
ハイブリッド樹脂中の非晶性樹脂セグメントの含有量は、40〜60質量%の範囲内とすることができ、45〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
(1)あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂に両反応性の単量体を反応させた後、非晶性樹脂の原料である単量体を反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂セグメントに非晶性樹脂セグメントを化学結合させる方法
(2)あらかじめ用意した非晶性樹脂に両反応性の単量体を反応させた後、結晶性ポリエステル樹脂の原料である多価カルボン酸単量体と多価アルコール単量体を反応させて、非晶性樹脂セグメントに結晶性ポリエステル樹脂セグメントを化学結合させる方法
(3)あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性樹脂に両反応性の単量体を反応させて、それぞれをセグメントとして化学結合させる方法
両反応性の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等を使用でき、これらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1〜3個)のエステルを使用してもよい。反応性の観点からは、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸が好ましい。
酸価が、15mgKOH/g以上であると、アルコキシアニリンが結晶性ポリエステル樹脂を取り囲みやすくなり、結晶性ポリエステル樹脂の分散性を高めて低温定着性を向上させることができる。また、30mgKOH/g以下であると、親水性化がすすみ、結晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子の表層に偏在することを抑えることができ、偏在による帯電性の低下を抑えることができる。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶解し、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を調製する。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mlに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとする。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製する。標定はJIS K0070−1966の記載に従う。
粉砕した試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として調製したフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、調製した水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた時とする。
(空試験)
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様の操作を行う。
式(1) A=〔(B−C)×f×5.6〕/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:空試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)
C:本試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)
f:0.1mol/リットルの水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。
具体的には、試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目の加熱時には室温(25℃)から、2回目の加熱時には0℃から、10℃/minの昇温速度でそれぞれ150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点として測定する。
本発明において、トナー粒子は、着色剤として、少なくとも顔料であるC.I.Pigment Yellow74を含有している。
C.I.Pigment Yellow74を着色剤として使用することにより、少ない添加量でイエローの着色力が高いイエロートナー等を製造することができる。着色剤の添加量を増やす必要がないため、トナーへの取り込み性が良化し、トナーの飛散を抑えることができると推察される。また、添加量を抑えることでフィラー効果も抑えられ、高い低温定着性を維持できると推察される。
上記トナー粒子は、トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内にあるアルコキシアニリンを含有している。
プラスの電荷を帯びたアルコキシアニリンが、マイナスの電荷を帯びた結晶性樹脂を取り囲み、互いに反発させて結晶性樹脂の合一を抑制するため、トナー粒子中に結晶性樹脂を均一に微分散させることができると推察される。結晶性樹脂の分散性の良化により、結晶性樹脂の結晶化度を小さくすることができ、結晶性樹脂がもたらす優れた低温定着性が得られたと推察される。
アルコキシアニリンの含有量が0.1質量ppm以上であれば、結晶性樹脂の分散性、ひいてはトナーの低温定着性が向上し、50.0質量ppm以下であれば、トナーの帯電性が低下しないようにトナー粒子中のプラスの電荷量を調整することができ、帯電性の低下によるトナーの飛散を抑えることができる。
上述したC.I.Pigment Yellow74は、もともとアルコキシアニリンを含有していることがある。この場合は、顔料中の含有量をあらかじめ特定しておいて、トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内となるように、加熱する、真空脱気する等の前処理を顔料に施すか、アルコキシアニリンを添加して過不足分のアルコキシアニリンを増減すればよい。
2種以上のアルコキシアニリンを併用することもできる。
アウトガス補修装置HM−04(日本分析工業社製)の容器(容積160mL)に測定試料5mgを入れ、窒素ガスを流速200mL/minで通気しながら、室温から120℃まで10分かけて昇温し、120℃において50分間保持する。試料から放出されたアウトガスを1次吸着管Tenax−GR(ジーエルサイエンス社製)で捕集する。次に、JTD505(日本分析工業社製)を使用して、1次吸着管を250℃まで加熱し、脱着したガスを−40℃で冷却されている2次吸着管に濃縮して捕集する。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができる。使用できる離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、3〜15質量%の範囲内にあることが好ましい。
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤により、帯電特性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部の範囲内とすることができる。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するため、流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤で処理されていてもよい。
これら無機粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理が行われていることが好ましい。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、当該トナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
トナー粒子の平均粒径としては、体積基準のメジアン径(d50)が3〜10μmの範囲内にあることが好ましく、5〜8μmの範囲内にあることがより好ましい。
上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像であっても高い再現性が得られる。
なお、トナー粒子の平均粒径は、製造時に使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
具体的には、測定試料(トナー)を、界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を行い、トナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(d50)として得る。
トナー粒子は、帯電特性の安定性及び低温定着性を高める観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内にあることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内にあることがより好ましい。
平均円形度が上記範囲内にあれば、個々のトナー粒子が破砕しにくくなる。これにより、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができるとともに、形成される画像の画質を高めることができる。
具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にて馴染ませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。その後、FPIA−2100(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行う。HPF検出数が上記の範囲内であれば、再現性のある測定値を得ることができる。撮影した粒子像から、個々のトナー粒子の円形度を下記式(I)に従って算出し、各トナー粒子の円形度を加算して全トナー粒子数で除することにより、平均円形度を得る。
式(I)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)としては、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、例えば湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)により測定することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、例えば懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法等を挙げることができるが、なかでも乳化凝集法を用いることが好ましい。乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
以下、乳化凝集法によるトナーの製造方法の工程の一例を説明する。
工程(1)では、非晶性樹脂の分散液として、少なくとも非晶性ビニル樹脂粒子の水系分散液を調製する。
非晶性ビニル樹脂粒子の水系分散液の調製には、ミニエマルション重合法を用いることができる。例えば、界面活性剤を含有する水系媒体中にビニル単量体と水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成する。ラジカル重合開始剤からのラジカルにより、液滴中において重合反応が進行する。なお、液滴中に油溶性の重合開始剤が含有されていてもよい。
水系媒体中の水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。なかでも、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が好ましい。
水系媒体中には、油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤等が添加されていてもよい。
界面活性剤としては、例えばドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等のカチオン性界面活性剤、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等のアニオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のノニオン性界面活性剤等の公知の界面活性剤を使用できる。
重合開始剤としては、従来公知の種々のものを用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)を好ましく使用できるが、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等のアゾ系化合物、パーオキシド化合物、アゾビスイソブチロニトリル等を用いてもよい。
非晶性ビニル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を水系媒体中に添加することができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等のメルカプタンや、スチレンダイマー等を挙げることができる。
このように、添加剤をあらかじめ非晶性ビニル樹脂粒子と分散させておくことが好ましいが、非晶性ビニル樹脂とは別に添加剤粒子の分散液を調製し、非晶性ビニル樹脂粒子や着色剤粒子等とともに当該添加剤粒子を凝集させることにより、トナー粒子中に導入することもできる。
非晶性ビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて測定することができる。
具体的には、非晶性ポリエステル樹脂を合成し、有機溶媒中に溶解又は分散させて油相液を調製し、この油相液を転相乳化して水系媒体中に非晶性ポリエステル樹脂粒子を分散させる。油滴の粒径を所望の粒径に制御した後、有機溶媒を除去することにより、非晶性ポリエステル樹脂の水系分散液を得ることができる。
有機溶媒の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、通常1〜300質量部の範囲内である。
油相液の乳化分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。
工程(2)では、結晶性樹脂粒子の水系分散液を調製する。
結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を使用する場合、結晶性ポリエステル樹脂粒子の水系分散液は、上記非晶性ポリエステル樹脂の水系分散液と同様にして調製することができる。
結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて測定することができる。
工程(3)では、少なくともC.I.Pigment Yellow74を着色剤として水系媒体中に微粒子状に分散させて、着色剤粒子の水系分散液を調製する。他の顔料を併用する場合は、他の顔料もこの分散液中に分散させて調製すればよい。
トナー粒子中のアルコキシアニリンの含有量が、0.1〜50.0質量ppmの範囲内となるように、アルコキシアニリンを添加する場合は、顔料(C.I.Pigment Yellow74)に添加すればよい。また、着色剤として用いる顔料がすでに含有しているアルコキシアニリンを減らす調整を行う場合は、加熱する、真空脱気する等の前処理を顔料に施す。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、使用する分散機としては、特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
着色剤粒子の体積基準のメジアン径(d50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて測定することができる。
工程(4)では、非晶性樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂粒子、着色剤粒子及びその他のトナー構成成分の粒子を凝集させて、トナー粒子を形成する。
具体的には、水系媒体と各粒子の水系分散液を混合した系に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え、非晶性樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度にすることによって、凝集させる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属塩、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の2価の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(5)では、工程(4)により形成したトナー粒子の熟成処理を行い、所望の形状に制御する。工程(5)は、必要に応じて行うことができる。
具体的には、工程(4)において得られたトナー粒子の分散液を加熱撹拌し、トナー粒子が所望の円形度になるように、加熱温度、撹拌速度、加熱時間等を調整する。
工程(4B)では、工程(4)又は(5)で得られたトナー粒子をコア粒子として、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するシェル層を形成する。工程(4B)は、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する場合に行えばよい。
コア粒子にシェル層の樹脂粒子をより強固に凝集、融着させるため、シェル化工程に続いて加熱処理を行うことができる。加熱処理は、目的の円形度のトナー粒子が得られるまで行えばよい。
工程(6)では、トナー粒子の分散液を冷却処理する。冷却処理の条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理の具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法等を例示することができる。
工程(7)では、冷却したトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離し、固液分離によって得られたトナーケーキ(ケーキ状に成形されたウェット状態にあるトナー粒子)から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去して洗浄する。
固液分離は、特に限定されず、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法等を用いることができる。また、洗浄においては、濾液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水洗浄することが好ましい。
工程(8)では、洗浄後のトナーケーキを乾燥する。
トナーケーキの乾燥には、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することが好ましい。
乾燥後のトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
なお、乾燥後のトナー粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、その凝集体を解砕処理してもよい。解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
工程(9)では、トナー粒子に対して外添剤を添加する。工程(9)は、必要に応じて行うことができる。
外添剤の添加には、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、テトラデカン二酸281質量部及び1,6−ヘキサンジオール206質量部を仕込み、この系を撹拌しながら1時間かけて内温を190℃まで昇温させた。均一に撹拌された状態であることを確認した後、触媒としてのTi(OBu)4を、テトラデカン二酸の仕込み量100質量%に対して0.003質量%の量で投入した。その後、生成する水を留去しながら、6時間かけて内温を190℃から240℃まで昇温させ、さらに温度240℃の条件で6時間かけて脱水縮合反応を継続することによって重合を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は4400であり、酸価は20mgKOH/gであった。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出した。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成した。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶解し、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を調製した。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mlに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとした。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製した。標定はJIS K0070−1966の記載に従った。
また、試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様にして空試験の操作を行った。
式(1) A=〔(B−C)×f×5.6〕/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:空試験での水酸化カリウム溶液の添加量(ml)
C:本試験での水酸化カリウム溶液の添加量(ml)
f:0.1mol/リットルの水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
原料モノマーの組成を、ドデカン二酸267質量部及び1,9−ノナンジオール160質量部に変更したこと以外は、上記結晶性ポリエステル(1)と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(2)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(2)の数平均分子量(Mn)は7500であった。
両反応性モノマーを含む、下記組成のスチレン−アクリル樹脂セグメントの原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 34質量部
n−ブチルアクリレート 12質量部
アクリル酸 2質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 7質量部
テトラデカン二酸 271質量部
1,6−ヘキサンジオール 118質量部
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
原料モノマーの組成を、ドデカン二酸241.5質量部及びエチレングリコール62.1質量部に変更したこと以外は、上記結晶性ポリエステル(1)と同様にして結晶性ポリエステル樹脂(4)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(4)の数平均分子量(Mn)は3600であった。
上記結晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を形成した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入し、樹脂溶液を撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液400質量部を30分かけて滴下混合した。上記ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を滴下する途中、反応容器内の液は白濁した。さらに、上記ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下し、固形分20%の結晶性ポリエステル樹脂粒子が均一に分散した乳化分散液を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂(2)〜(4)についても同様にして、固形分20%の乳化分散液を得た。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、非晶性ビニル樹脂粒子の分散液〔1H〕を調製した。
スチレン(St) 480質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 250質量部
メタクリル酸(MAA) 68質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16質量部
下記単量体混合液を撹拌しながら90℃に加熱し、この混合液に離型剤としてペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル192質量部を溶解させ、離型剤含有単量体混合液を調製した。
スチレン 246.4質量部
n−ブチルアクリレート 118.6質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.44質量部
さらに、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、下記組成の単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して非晶性ビニル樹脂粒子の分散液(1)を得た。
スチレン 428.1質量部
n−ブチルアクリレート 129.9質量部
メタクリル酸 32.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
非晶性樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に記載の方法(電位差滴定法)に準拠して測定した。測定において、溶剤はテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールを体積比1:1で混合したものを使用した。
上記非晶性ビニル樹脂粒子の分散液(1)の第2段重合及び第3段重合における単量体の組成を下記組成にしたこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂粒子の分散液(2)を得た。
(第2段重合の組成)
スチレン 232.6質量部
n−ブチルアクリレート 90.8質量部
メタクリル酸 19.4質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.44質量部
(第3段重合の組成)
スチレン 432.1質量部
n−ブチルアクリレート 121.9質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、フマル酸34質量部及び重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで、13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
上記結晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして、固形分20%の非晶性ポリエステル樹脂(1)の乳化分散液を得た。
着色剤として顔料であるC.I.Pigment Yellow74を用意し、この顔料に前処理として、温度100℃、真空度13.3Pa(0.1torr)の条件で真空加熱処理を施した。
アウトガス補修装置HM−04(日本分析工業社製)の容器(容積160mL)に測定試料5mgを入れ、窒素ガスを流速200mL/minで通気しながら、室温から120℃まで10分かけて昇温し、120℃において50分間保持した。試料から放出されたアウトガスを1次吸着管Tenax−GR(ジーエルサイエンス社製)で捕集した。次に、JTD505(日本分析工業社製)を使用して、1次吸着管を250℃まで加熱し、脱着したガスを−40℃で冷却されている2次吸着管に濃縮して捕集した。
顔料に2−エトキシアニリンを100質量ppm添加したこと以外は、上記着色剤粒子の分散液(1)と同様にして着色剤粒子の分散液(2)とした。
前処理無しのC.I.Pigment Yellow74を使用したこと以外は着色剤粒子の分散液(1)と同様にして、着色剤粒子の分散液(3)を得た。
温度170℃、真空度13.3Pa(0.1torr)の条件で前処理したC.I.Pigment Yellow74及びC.I.Pigment Yellow155を、7:3の重量比で添加したこと以外は、着色剤粒子の分散液(1)と同様にして、着色剤粒子の分散液(4)を得た。
C.I.Pigment Yellow74に代えて、前処理無しのC.I.Pigment Yellow155を使用したこと以外は、着色剤粒子の分散液(1)と同様にして、着色剤粒子の分散液(5)を得た。
顔料に2−メトキシアニリンを300質量ppm添加し、前処理無しのC.I.Pigment Yellow155の添加量を増やしたこと以外は、着色剤粒子の分散液(5)と同様にして着色剤粒子の分散液(6)とした。
着色剤粒子の分散液(1)において前処理無しのC.I.Pigment Yellow74を用い、この顔料に2−メトキシアニリンを200質量ppm添加して、着色剤粒子の分散液(7)とした。
前処理無しのC.I.Pigment Yellow74を用い、この顔料に2−メトキシアニリンを60質量ppm添加したこと以外は、着色剤粒子の分散液(1)と同様にして着色剤粒子の分散液(8)とした。
温度200℃、真空度13.3Pa(0.1torr)の条件で前処理したC.I.Pigment Yellow74及びC.I.Pigment Yellow155を、4:6の重量比で添加したこと以外は、着色剤粒子の分散液(1)と同様にして、着色剤粒子の分散液(9)を得た。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂粒子の分散液(1)180質量部(固形分換算)とイオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して溶液のpHを10に調整した。
さらに、着色剤粒子の分散液(1)6.2質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置し、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の水系分散液(1)20質量部(固形分換算)を10分間かけて添加した後、60分間かけて82℃まで昇温し、82℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態でコールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。74℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置FPIA−2100(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.957になった時点で、2.5℃/minの冷却速度で30℃に冷却した。
得られたトナー母体粒子100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)により回転翼周速35mm/secで、32℃にて20分間混合した後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施すことにより、トナー(1)を得た。
下記表1に示す組成としたこと以外は、トナー(1)と同様にして、各トナー(2)〜(4)及び(6)〜(11)を製造した。表1において、PY74は、C.I.Pigment Yellow74を表し、PY155は、C.I.Pigment Yellow155を表している。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂粒子の分散液(2)160質量部(固形分換算)とイオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して溶液のpHを10に調整した。
さらに、着色剤粒子の分散液(1)12.4質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置し、結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液(1)20質量部(固形分換算)を10分間かけて添加した後に、60分間かけて82℃まで昇温し、82℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
なお、上記表1中のトナー(5)の非晶性樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に準拠して、それぞれ測定した非晶性樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の酸価を、各樹脂の含有量の比率に応じて足し合わせた酸価を表している。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メジアン径35μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メジアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS)(シンパティック社製)により測定した。上記キャリアにトナー1〜10をそれぞれトナー濃度が6質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し、現像剤(1)〜(11)を製造した。
(低温定着性)
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下で、画像形成装置により、記録材上に、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を形成する試験を、100〜200℃のなかで定着温度を5℃刻みで変更しながら、コールドオフセットが発生するまで繰り返し行った。なお、定着温度とは定着上ベルトの表面温度をいう。
画像形成装置としては、市販のフルカラー複合機bizhubC754(コニカミノルタ社製)の定着上ベルト及び定着下ローラーの表面温度を変更可能にした改造機を用いた。改造機の定着時のニップ幅は11.2mm、定着時間は34msec、定着圧力は133kPaであった。記録材は、mondi Color Copy A4 90g/m2(mondi社製)を用いた。
市販の画像形成装置bizhub C452(コニカミノルタ社製)の改造機により10万枚の用紙に画像を形成した後、現像器を取り出し、空回転機にセットした。現像器の現像スリーブの真下を中心にA4の白紙を置き、60分間の空回転を行い、白紙上に落ちたトナーの質量(mg)を測定した。現像スリーブの回転周速は620mm/秒とした。測定したトナーの質量をトナー飛散量として評価し、トナー飛散量が9mg以下である場合を合格と判断した。
上記bizhubC754の改造機により、低温定着性の評価試験と同じ条件で、反射濃度測定用のテストチャートを形成した。テストチャートは、用紙上のトナーの付着量が3.0gとなるように形成した。定着温度は、低温定着性の評価試験において求めた定着下限温度+10℃とした。得られたテストチャートのニュートラル反射濃度を、PDA−65濃度計(コニカミノルタ社製)により測定した。測定した濃度が高いほど、着色力に優れると評価し、反射濃度が1.0以上である場合を合格と判断した。
Claims (7)
- 少なくとも、非晶性ビニル樹脂を含む非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、
C.I.Pigment Yellow74を含む着色剤と、
前記トナー粒子中の含有量が0.1〜50.0質量ppmの範囲内にあるアルコキシアニリンと、
を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記着色剤が、前記C.I.Pigment Yellow74とともに、C.I.Pigment Yellow93、C.I.Pigment Yellow155、C.I.Pigment Yellow180、C.I.Pigment Yellow185、C.I.Solvent Yellow93及びC.I.Solvent Yellow163のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、5〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価が、15〜30mgKOH/gの範囲内にあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記アルコキシアニリンとして、2−メトキシアニリンを含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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