JP6381358B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置に使用される静電荷像現像用のトナーに関する。
近年、環境への配慮から、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置には、省エネルギー化が求められている。省エネルギー化には、特に、定着エネルギーの低減が重要であり、その対策の1つとして、トナーの記録媒体(紙など)上への載り量を減らす研究が行われている。トナーの記録媒体上への載り量を減らすためには、トナーの着色力を向上させることが重要である。
トナーの着色力を向上させる方法として、例えば、トナー粒子中の着色剤の含有量を多くする方法や、トナー粒子中での着色剤の分散性を向上させる方法が挙げられる。ただし、着色剤は一般的に高価であるため、前者の方法では、トナーのコストの上昇を招くおそれがある。また、トナー粒子中の着色剤の含有量が多いと、トナーの帯電性や極性に対する着色剤の影響が大きくなり、トナーの帯電性が低下したり、湿式の方法によってトナー粒子を製造する場合においては、造粒性を低下させたりする場合がある。
懸濁重合法によって製造されるトナー粒子において、顔料分散剤によって顔料の分散性を一時的に向上させることができるが、重合性単量体などの液体中での顔料の分散を安定化するには、まだ改良の余地がある。
また、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合、トナー粒子の表面に極性樹脂を含むシェル層を形成し、耐ストレス性、帯電性を高めることが多い。その場合、分散工程、造粒工程、反応工程(重合工程)などにおいて、顔料分散剤が、顔料ではなく、極性樹脂に作用し、顔料分散効果が十分に得られない場合がある。また、顔料分散剤の極性樹脂への作用により、シェル層の形成が不十分となり、トナーの帯電性を精密に制御することが難しくなる場合がある。また、トナーの耐ストレス性が低下し、長期使用時において、高画質を維持することができない場合がある。
また、定着エネルギーの低減の対策として、低温で速やかに溶融することにより、素早く、かつ、低エネルギーで定着させることのできるトナーの実現も要求されている。
これらの要求を満たすためには、トナーを軟化させる必要があるが、耐熱保存性や耐久性などの観点から、単純にトナーを軟化させることは難しい。
特許文献1および2には、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナー粒子に含有させることで、トナーの低温定着性を向上させたトナーが開示されている。ここで、「シャープメルト性を有する」とは、「熱に対する応答速度に優れる」ことを意味する。結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が知られている。
特開2002−287426号公報 特開2007−093809号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、結晶性ポリエステル樹脂をトナー粒子に含有させる場合、顔料分散性が低下しやすくなる傾向があることがわかった。特に、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合、顔料分散性が低下しやすいことがわかった。
本発明の目的は、懸濁重合法によって得られる、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであっても、顔料分散性が高いトナーを提供することにある。
本発明は、ビニル系共重合体、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
前記製造方法が、水系媒体中で、重合性単量体、前記顔料、前記顔料分散剤および前記結晶性ポリエステル樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る工程を有し
前記重合性単量体が、前記ビニル系共重合体を得るための重合性単量体であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記式(4)で示される脂肪族ジカルボン酸と、下記式(5)で示される脂肪族ジオールと、を反応させることによって得られたポリエステル樹脂であり、
Figure 0006381358
(式(4)中、mは、4以上16以下の整数を示す。)
Figure 0006381358
(式(5)中、nは、4以上16以下の整数を示す。)
前記顔料分散剤が、以下の(i)〜(viii)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法
(i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)の差(A−B)が、−1.5以上+0.8以下であり、
(ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記ビニル系共重合体のSP値(C)の差(A−C)が、−1.1以上+1.2以下であり、
(iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と顔料に吸着する吸着成分とを有し、前記ポリマー成分が、ビニル系重合体であり、
(iv)前記顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000以上20000以下であり、
(v)前記顔料分散剤の前記顔料への吸着率が、30%以上であり、
(vi)前記ポリマー成分が、下記式(6)で示されるユニットを有し、
Figure 0006381358
(式(6)中、R は、水素原子、または、アルキル基を示す。R は、フェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、または、カルボン酸アミド基を示す。)
(vii)前記吸着成分が、下記式(3)で示される部分構造を有し、
Figure 0006381358
(式(3)中、R 、R およびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造である。
は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ポリマー成分と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ポリマー成分と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、−NHCOC(CH −で示される2価の基、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
Arは、アリール基、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アリール基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Arが前記ポリマー成分と結合する構造である場合、Arに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。)
(viii)前記SP値(A)、前記SP値(B)および前記SP値(C)は、濁点滴定測定法により求めたSP値である、ことを特徴とするトナー粒子を有するトナーの製造方法に関する。
さらに本発明は、ビニル系共重合体、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記式(4)で示される脂肪族ジカルボン酸と、下記式(5)で示される脂肪族ジオールと、を反応させることによって得られたポリエステル樹脂であり、
Figure 0006381358
(式(4)中、mは、4以上16以下の整数を示す。)
Figure 0006381358
(式(5)中、nは、4以上16以下の整数を示す。)
前記顔料分散剤が、以下の(i)〜(viii)を満たすことを特徴とするトナー:
(i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−1.5以上+0.8以下であり、
(ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記ビニル系共重合体のSP値(C)との差(A−C)が、−1.1以上+1.2以下であり、
(iii)前記顔料分散剤が、前記ビニル系共重合体と前記顔料に吸着する吸着成分を有し、
(iv)前記顔料分散剤の前記ビニル系共重合体の数平均分子量(Mn)が、3000以上20000以下であり、
(v)前記顔料分散剤の前記顔料への吸着率が、30%以上であり、
(vi)前記ビニル系共重合体が、下記式(6)で示されるユニットを有し、
Figure 0006381358
(式(6)中、R は、水素原子、または、アルキル基を示す。R は、フェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、または、カルボン酸アミド基を示す。)
(vii)前記吸着成分が、下記式(3)で示される部分構造を有し、
Figure 0006381358
(式(3)中、R 、R およびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造である。
は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、−NHCOC(CH −で示される2価の基、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
Arは、アリール基、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アリール基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Arが前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、Arに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。)
(viii)前記SP値(A)、前記SP値(B)および前記SP値(C)は、濁点滴定測定法により求めたSP値である、ことを特徴とするトナー粒子を有するトナーに関する。
本発明によれば、懸濁重合法によって得られる、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであっても、顔料分散性が高いトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、水系媒体中で、重合性単量体、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステル樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させることによって得られたトナー粒子を有するトナーである。すなわち、本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含有する懸濁重合トナーである。また、本発明のトナーが有するトナー粒子の結着樹脂は、懸濁重合法に適したビニル系共重合体である。
本発明者らは、結晶性ポリエステル樹脂を含有する懸濁重合トナーにおいて、顔料分散剤について検討した結果、顔料分散剤を以下に説明する構造および物性にすることで、前述の目的を実現するトナーが得られることを見出した。
本発明に用いられる顔料分散剤は、ポリマー成分と顔料に吸着する吸着成分を有する。吸着成分は、「顔料分散剤のうち、ポリマー成分を除いた、顔料への吸着性が高い吸着成分」であり、以下単に「吸着成分」とも表記する。ポリマー成分は、「結着樹脂および重合性単量体への親和性が高く、顔料同士の凝集を抑制するために立体反発効果を高めたポリマー成分」であり、以下単に「ポリマー成分」とも表記する。
なお、本発明のトナーにおいて、結着樹脂とは、コア部分を形成するビニル系共重合体であり、シェル部分を形成する樹脂は除くこととする。
本発明のトナーが有するトナー粒子の結着樹脂は、前述のとおりビニル系共重合体であり、本発明に用いられる顔料分散剤のポリマー成分は、ビニル系重合体である。
結着樹脂がビニル系共重合体であるトナーにおいて、顔料分散剤のポリマー成分をビニル系重合体にすることにより、結着樹脂と顔料分散剤の親和性が高くなり、結着樹脂中の顔料の分散性が良好になる。
さらに、顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂であるビニル系共重合体のSP値(C)の差(A−C)を、−1.1以上+1.2以下にする。SP値の差(A−C)を前記範囲内にすることによって、顔料分散剤と結着樹脂であるビニル系共重合体の親和性がさらに高くなり、顔料の分散が良好になる。
本発明のトナーが有するトナー粒子は、トナーの低温定着性を向上させるために後述する結晶性ポリエステル樹脂を含有する。顔料分散剤のSP値(A)と結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)の差(A−B)は、−1.5以上+0.8以下であるが、好ましくは−1.3以上+0.5以下である。より好ましくは−1.0以上+0.3以下である。SP値の差(A−B)が前記範囲内であれば、トナーの低温定着性の改善のために多量の結晶性ポリエステル樹脂をトナー粒子に含有させたとしても、顔料分散性の低下を抑制することができる。
SP値の差(A−B)を前記範囲内にすることによって顔料分散性が向上するのは、以下の作用によるものと推定している。
懸濁重合法によってトナー粒子を製造する際、顔料分散剤を添加しないで重合性単量体、顔料および結晶性ポリエステル樹脂を混合した場合、ピグメントショックにより、顔料の凝集が生じ、顔料分散性が低下する。その結果、トナーの着色力が低下する。
また、低温定着性と保存性に優れたトナーを得るために、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子に後述するアニール処理を施し、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める場合がある。その際、結晶性ポリエステル樹脂の結晶成長に伴い、顔料が結晶性ポリエステル樹脂の結晶化部分から排除されやすい。そうすると、低温定着性の向上のために多量の結晶性ポリエステル樹脂を添加した場合、顔料の分散できるスペースが狭くなり、さらに顔料が凝集し、トナーの着色力が低下する。
顔料の分散性を改善する目的で、顔料分散剤を用いた場合でも、SP値の差(A−B)が前記範囲外となると、結晶性ポリエステル樹脂と顔料分散剤の親和性が低下する。そのため、立体反発効果を高めて顔料同士の凝集を抑制するためのポリマー成分の、結着樹脂中あるいは重合性単量体中での三次元的な広がりが乏しくなり、糸毬状になりやすいと考えられる。すると、立体反発効果が得られにくく、十分な顔料分散性を得ることが難しくなる。
特に、重合性単量体中に顔料および顔料分散剤を添加し、重合性単量体中で顔料を分散させたとしても、さらに重合性単量体中に結晶性ポリエステル樹脂を添加した際、顔料から顔料分散剤が脱離しやすく、顔料分散剤が析出しやすくなる。その結果、十分な顔料分散性が得られにくくなる。
また、結晶性ポリエステル樹脂が析出してしまい、十分な低温定着性が得られない場合もある。結晶性ポリエステル樹脂が析出し、結晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子の表面に出てしまう、あるいは、トナー粒子中で部分的に偏って存在してしまうと、十分な低温定着性(可塑性)、保存性、耐久性が得られにくくなる。また、結晶性ポリエステル樹脂は、低抵抗であることが多いため、高温高湿環境でのトナーの帯電性の低下に伴い、画像かぶり(以下単に「かぶり」とも表記する。)が生じたり、画像濃度の安定性が低下したりする。
顔料分散剤の酸価は、10mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましい。前記範囲内であれば、トナーの製造安定性に対する弊害が発現しにくく、結着樹脂中または重合性単量体中に顔料を分散させやすくなる。顔料分散剤の酸価が、10mgKOH/g以下であれば、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する際、水系媒体に用いられる分散安定剤と顔料分散剤が相互作用し、トナー粒子の造粒性を阻害することもない。
顔料分散剤のアミン価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/g以上3mgKOH/g以下であることがより好ましい。アミン価が5mgKOH/g以下であれば、顔料分散剤の正帯電性付与性能が大きくなり過ぎず、負帯電性のトナーにおいて、帯電性を低下させることがない。
ポリマー成分は、顔料分散剤と結着樹脂とのSP値の差、顔料分散剤と結晶性ポリエステル樹脂とのSP値の差が、前記範囲内になるよう構造および物性を設計する必要がある。また、顔料分散剤の酸価やアミン価などが、前記範囲内になるよう、構造および物性を設計することが好ましい。
ポリマー成分は、顔料分散剤と結着樹脂との親和性の点から、結着樹脂と親和性のある骨格にする必要がある。また、懸濁重合トナーの場合には、結着樹脂を得るための重合性単量体と親和性のある骨格を有することが好ましい。
本発明のトナーの結着樹脂はビニル系共重合体であるため、顔料分散剤のポリマー成分をビニル系重合体にする。
顔料分散剤のポリマー成分は、トナーの結着樹脂であるビニル系共重合体が、スチレン−(メタ)アクリル共重合体である場合、下記式(6)で示されるユニット(単量体単位)を有することが好ましい。
Figure 0006381358
(式(6)中、Rは、水素原子、または、アルキル基を示す。Rは、フェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、または、カルボン酸アミド基を示す。)
上記式(6)で示されるユニットは、下記式(1)または(2)で示されるユニット(単量体単位)であることがより好ましい。
Figure 0006381358
(式(1)中、Rは、水素原子、または、アルキル基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)
Figure 0006381358
(式(2)中、Rは、水素原子、または、アルキル基を示す。)
上記式(6)中のRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(6)中のRは、上記式(6)で示されるユニットを形成するための重合性単量体の重合性の観点から、水素原子、メチル基であることが好ましい。
また、上記式(6)中のRのカルボン酸エステル基は、−COORで示される1価の基(Rは、上記式(1)中のRと同義である。)であることが好ましい。
上記式(1)中のRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中のRのアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
上記式(6)中のRのカルボン酸アミド基としては、例えば、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基、N−イソプロピルアミド基、N−tert−ブチルアミド基、N−フェニルアミド基などが挙げられる。
上記式(6)中のRのフェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、上記式(6)で示されるユニットを形成するための重合性単量体の重合性を阻害したり、顔料分散剤の重合性単量体への溶解性を低下させたりしないものが好ましい。置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基や、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基などのアミノ基や、アセチル基などのアシル基や、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
結着樹脂を得るための重合性単量体のうち、スチレンなどの非極性物質が多い場合、ポリマー成分における、
上記式(6)で示され、Rがフェニル基であるユニット
の割合を大きくすることが、分散媒体である非極性物質との親和性の点で好ましい。
一方、アクリル酸エステルなどの極性物質(極性がある程度ある物質)が多い場合、ポリマー成分における、
上記式(6)で示され、Rがカルボキシ基、カルボン酸エステル基またはカルボン酸アミド基で示されるユニット
の割合を大きくすることが、分散媒体である極性物質との親和性の観点から好ましい。
また、ポリマー成分が上記式(1)で示されるユニットを有し、上記式(1)中のRがアルキル基またはアラルキル基である場合、Rのアルキル鎖長を調整することで、SP値の差(A−B)および(A−C)をそれぞれ制御することが好ましい。
また、SP値の差(A−B)を前記範囲内にする観点から、上記式(1)中のRは、炭素原子数が1以上22以下のアルキル基、または、炭素原子数が7以上8以下のアラルキル基が好ましい。
顔料分散剤のポリマー成分が上記式(1)で示され、Rが水素原子であるユニットを有する場合、顔料分散剤の酸価を調整する方法として、ポリマー成分中の当該ユニットの割合を調整する方法が好ましい。
本発明において、顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)は、3000以上20000以下である。この範囲内であれば、顔料同士の凝集を抑制するための、ポリマー成分の立体反発効果を高めることができ、顔料分散性が向上する。数平均分子量(Mn)が3000より小さい場合は、立体反発効果が弱く、十分な顔料分散性が得られない。数平均分子量(Mn)が20000より大きい場合は、顔料分散剤の重合性単量体への溶解性が低下し、十分な顔料分散性を得ることができない。
また、ポリオキシアルキレンカルボニル系の分散剤において、末端に分岐した脂肪族鎖を導入することで分散性を向上させる方法がある。本発明に用いられる顔料分散剤のポリマー成分においても、後述するATRP(Atom Transfer Radial Polymerization)などの方法でテレケリックなポリマー成分を合成すれば、末端に分岐した脂肪族鎖を導入することができる。その結果、顔料の分散性が向上する場合もある。
本発明において、顔料分散剤の吸着成分の顔料への吸着率は、30%以上であるが、好ましくは70%以上である。吸着成分の構造の設計によって、吸着率を前記範囲内に制御することができる。
本発明に用いられる顔料分散剤としては、吸着成分が顔料とが強い相互作用を有し、顔料への吸着率(親和性)が、前記範囲内であれば、様々な構造を採用することができる。
吸着成分と顔料との相互作用は、π−π相互作用、水素結合による相互作用、酸−塩基相互作用のいずれでもよく、顔料が相互作用しやすい吸着成分の構造を採用すればよい。
顔料として、水素結合による相互作用を起こしやすい顔料を用いる場合は、吸着成分の水素結合による相互作用を高めるために、吸着成分がヒドロキシ基やアミド基などの官能基を有していることが好ましい。
酸−塩基相互作用を起こしやすく、酸性官能基を有する顔料を用いる場合は、吸着成分の酸−塩基相互作用を高めるために、吸着成分がアミノ基などの塩基性官能基を有していることが好ましい。酸−塩基相互作用を起こしやすく、塩基性官能基を有する顔料を用いる場合は、吸着成分がカルボキシ基やスルホネート基などの酸性官能基を有していることが好ましい。
π−π相互作用を起こしやすい顔料を用いる場合は、吸着成分のπ−π相互作用を高めるために、吸着成分が芳香族骨格を有していることが好ましい。π−π相互作用とは、有機化合物分子の芳香環の間に働く分散力(ロンドン分散力)である。2つの芳香環がコインを積み重ねたような配置で安定化する傾向があるため、スタッキング(積み重ね)相互作用が生じて、顔料の表面に顔料分散剤を吸着させやすくなる。
また、吸着成分が芳香族骨格を有する場合、芳香族骨格が堅固な平面構造をとり、π電子系によって非局在化した電子が豊富に存在することになるため、ロンドン分散力が強く発現する。ロンドン分散力の発現は、π電子が増えるほど強くなる。
芳香族骨格を吸着成分が有する場合、顔料に含まれる芳香族骨格が有するπ電子雲と、顔料分散剤に含まれる芳香族骨格が有するπ電子雲とが、π−π相互作用による結合を形成する。
π−π相互作用を有する芳香族骨格としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、ヘプタセン環などが挙げられる。
前記芳香族骨格を有する化合物としては、例えば、
ベンゼン環を有する化合物、ナフタレン環を有する化合物、アントラセン環を有する化合物、テトラセン環を有する化合物、ペンタセン環を有する化合物、ヘキサセン環を有する化合物、ヘプタセン環を有する化合物
などが挙げられる。より具体的には、2,6−ナフタレンジスルホン酸ジメチル、2−ナフタレンカルボン酸、安息香酸、4,5−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボン酸などが挙げられる。
本発明に用いられる顔料分散剤の吸着成分を、
π−π相互作用を起こしやすい顔料、
水素結合による相互作用を起こしやすい顔料および
酸−塩基相互作用を起こしやすい顔料
のいずれの顔料にも吸着しやすい吸着成分にするためには、アミノ基などの塩基性官能基、カルボキシ基やスルホネート基などの酸性官能基を有し、芳香族骨格を吸着成分に有させることが好ましい。
本発明に用いられる顔料分散剤の1分子当たりの吸着成分の個数は、1以上6以下であることが好ましい。顔料分散剤中の吸着成分の数が6以下であれば、重合性単量体への相溶性が高くなりやすい。
また、顔料分散剤中の吸着成分は、ポリマー成分に対してランダムに存在していてもよいし、一端に1つもしくは複数のブロックを形成して偏在していてもよい。
本発明に用いられる顔料分散剤の吸着成分は、下記式(3)で示される部分構造(アゾ骨格部分構造)を有することが好ましい。
Figure 0006381358
(式(3)中、R、RおよびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造である。
は、アルキル基、フェニル基、−ORで示される1価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR10で示される1価の基(RおよびR10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−ORで示される1価の基または−NR10で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Rが前記ポリマー成分と結合する構造である場合、Rに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR−で示される2価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CHOH)−で示される2価の基である。
は、アルキル基、フェニル基、−ORで示される1価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR10で示される1価の基(RおよびR10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−ORで示される1価の基または−NR10で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Rが前記ポリマー成分と結合する構造である場合、Rに結合する前記連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR−で示される2価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、−NHCOC(CH−で示される2価の基、または、−NHCH(CHOH)−で示される2価の基である。
Arは、アリール基、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アリール基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Arが前記ポリマー成分と結合する構造である場合、Arに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR−で示される2価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、および、−NHCH(CHOH)−で示される2価の基である。)
本発明に用いられる顔料分散剤の吸着成分が、上記式(3)で示される部分構造などのアゾ骨格部分構造を有する場合、アゾ顔料への吸着性が高い。
上記式(3)の中のRおよびRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)中のRおよびRは、上記式(3)中のアゾ骨格部分構造の、π共役平面を持つ顔料へのπ−π相互作用による吸着性の観点から、−NR1112で示される1価の基であることが好ましい。さらには、−NR1112中のR11が水素原子であり、R12がフェニル基であることがより好ましい。π共役平面を持つ顔料としては、例えば、カーボンブラック、銅フタロシアニン、キナクリドン、カーミンなどが挙げられる。
上記式(3)中のR10〜R12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。
上記式(3)中のR10〜R12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
上記式(3)中のArのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
本発明に用いられる顔料分散剤の吸着成分が上記式(3)で示される部分構造を有する場合、上記式(3)中のArによって、π共役平面を持つ顔料への吸着性が高まる。
上記式(3)中のArは、上述のとおり、アリール基(無置換のアリール基)であってもよいが、顔料分散剤の吸着性分の顔料への水素結合による吸着性を高める観点から、置換基を有するアリール基であってもよい。また、上記式(3)中のArは、アリール基(無置換のアリール基)から水素原子を1つ取り除いた構造であってもよいが、前記観点と同様の観点から、置換基を有するアリール基から水素原子を1つ取り除いた構造であってもよい。ただし、アゾ骨格部分構造が、π共役平面を持つ顔料へのπ−π相互作用による吸着性を著しく阻害しないように置換基を選択することが好ましい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基などが挙げられる。これら置換基は、顔料の官能基への水素結合を形成し、吸着性が高くなるように、選択することが好ましい。
上述のとおり、上記式(3)中のR、RおよびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分と結合する構造である。顔料分散剤の顔料への吸着性の観点から、上記式(3)で示される部分構造は、下記式(7)で示される部分構造(アゾ骨格部分構造)であることが好ましい。
Figure 0006381358
(式(7)中、R、RおよびR21〜R25のいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造である。
およびRは、それぞれ、式(3)中のRおよびRと同義である。
21〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、−COOR26で示される1価の基(R26は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−CONR2728で示される1価の基(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、アラルキル基を示す。)あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、水素原子、−COOR26で示される1価の基または−CONR2728で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。)
上記式(7)中のR21〜R25のうち少なくとも1つは、アゾ骨格部分構造の顔料への水素結合による吸着性の観点から、−COOR26で示される1価の基、または、−CONR2728で示される1価の基であることが好ましい。
−COOR26または−CONR2728中のR26〜R28のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
アゾ骨格部分構造の顔料への吸着性の観点から、−COOR26中のR26は、メチル基であることが好ましい。また、同様の観点から、−CONR2728中のR27は、メチル基であることが好ましく、R28は、水素原子、または、メチル基であることが好ましい。嵩高くない水素原子またはメチル基であれば、立体障害が生じにくく、顔料への水素結合が形成されやすく、π−π相互作用を阻害しにくい。
上述のとおり、上記式(3)中のR、RおよびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造である。顔料分散剤の顔料への吸着性および顔料分散剤の製造の容易性の観点から、上記式(3)中のRは、−NR1112で示される1価の基であり、−NR1112中のR11が水素原子であり、R12がフェニレン基であることが好ましい。R12のフェニレン基は、前記ポリマー成分が結合する構造である。
上記式(3)で示される部分構造は、顔料分散剤の顔料への吸着性の観点から、下記式(8)で示される部分構造、または、下記式(9)で示される部分構造であることがより好ましい。
Figure 0006381358
Figure 0006381358
上記式(8)および(9)中のLは、2価の連結基を示し、上記式(8)で示される部分構造および上記式(9)で示される部分構造は、Lを介して前記ポリマー成分に結合する。
上記式(8)および(9)中のLの2価の連結基としては、例えば、カルボン酸エステル結合、カルボン酸アミド結合、スルホン酸エステル結合などの2価の基が挙げられる。
上記式(8)および(9)中のLのベンゼン環への結合位置(置換位置)は、同ベンゼン環に結合しているアミド基に対して、o−位、m−位、p−位が挙げられる。
前記R〜R28は、本発明に用いられる顔料分散剤と結着樹脂である前記ビニル系共重合体とのゼータ電位差が、前記範囲内になるように選択する必要がある。また、前記R〜R28は、本発明に用いられる顔料分散剤の好適な酸価およびアミン価になるように選択することが好ましい。
顔料分散剤の吸着成分の位置は、ポリマー成分に対して、1つまたは複数のブロックを形成してランダムに結合していてもよいし、ポリマー成分の一端または両端に1つまたは複数のブロックを形成して結合していてもよい。
顔料分散剤中の吸着成分の数は、多いほど顔料への吸着性が高くなる傾向があり、少ないほど重合性単量体への親和性が高くなる傾向がある。顔料分散剤中の吸着成分の数は、ポリマー成分を形成する単量体の数(ポリマー成分を構成するユニットの数)100個に対して0.5個以上15.0個以下であることが好ましい。より好ましくは2.0個以上10.0個以下である。
上記式(3)で示される部分構造は、以下に示すように、下記式(10)で示される部分構造および下記式(11)で示される部分構造などの互変異性体が存在する。本発明に用いられる顔料分散剤の吸着成分は、上記式(3)で示される部分構造だけでなく、その互変異性体であってもよい。上記式(3)で示される部分構造には互変異性体が存在するため、従来の顔料分散剤に比べて、顔料への強固なπ−π相互作用が得られる。強固なπ−π相互作用が得られる理由は、上記式(3)で示される部分構造中のアリル基だけでなく、アリル基に直結するアゾ結合や、アゾ結合に影響を及ぼし、共鳴するように配置されたカルボニル基による共鳴構造にあると考えられる。
Figure 0006381358
(式(10)および(11)中のR、RおよびArは、それぞれ、式(3)中のR、RおよびArと同義である。)
顔料分散剤を合成する方法としては、例えば、以下の方法(i)〜(iv)が挙げられる。
以下に、方法(i)のスキームの一例を示す。
Figure 0006381358
(式(14)および(15)中、RおよびRは、それぞれ、アルキル基、フェニル基、−ORで示される1価の基(Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR10で示される1価の基(RおよびR10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。
式(13)および(15)中、Arは、アリーレン基を示す。Qは、Pと反応して、前記連結基(例えば、式(8)および(9)中のL)を形成するための基を示す。
は、例えば、上記式(6)で示されるユニットを有するポリマー成分を示す。)
方法(i)のスキームでは、工程1および工程2によって、顔料分散剤を合成することができる。
工程1では、上記式(13)で示される化合物(アニリン誘導体)と、上記式(14)で示される化合物と、をジアゾカップリングさせ、上記式(15)で示される化合物を合成する。上記式(15)で示される化合物は、アゾ骨格部分構造の基になる化合物である。
工程2では、上記式(15)で示される化合物とポリマー成分Pとを縮合反応などによって結合させる。
工程1は、例えば、以下の工程が挙げられる。
まず、メタノール溶剤中、上記式(13)で示される化合物を塩酸や硫酸などの無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウムやニトロシル硫酸などのジアゾ化剤と反応させて、対応するジアゾニウム塩を合成する。合成されたジアゾニウム塩を、上記式(14)で示される化合物とカップリングさせて、上記式(15)で示される化合物を合成する。
上記式(13)で示される化合物(アニリン誘導体)は、市販されており、容易に入手可能である。また、公知の方法によって、容易に合成することもできる。
工程1は、無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を抑制するため、溶剤の存在下で行うことが好ましい。
溶剤としては、反応を阻害しないものが好ましく、例えば、
メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル類、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、
ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの含ハロゲン炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの酸類、

などが挙げられる。
前記溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を用いる場合、溶質(基質)の溶解性に応じて、混合比を定めることが好ましい。前記溶剤の使用量は、反応速度の観点から、上記式(13)で示される化合物に対して1.0質量倍以上20質量倍以下であることが好ましい。
工程1は、−50℃以上100℃以下の温度で行われることが好ましい。また、24時間以内に終了することが好ましい。
工程2で用いられるポリマー成分Pの合成方法としては、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられる。これらの中でも、製造容易性の観点から、ラジカル重合が好ましい。
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤の使用、放射線やレーザー光などの照射、光重合開始剤と光の照射との併用、加熱などによって行うことができる。
ラジカル重合開始剤は、ラジカルを発生し、重合反応を開始させることができるものである。ラジカル重合開始剤としては、例えば、熱、光、放射線、酸化還元反応などの作用によってラジカルを発生する化合物などが挙げられる。具体的には、顔料分散剤、有機過酸化物、無機過酸化物、有機金属化合物、光重合開始剤などが挙げられる。
より具体的には、
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、
ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−へキシルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物系重合開始剤、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物系重合開始剤、
過酸化水素−第1鉄系、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリン系、セリウム(IV)塩−アルコール系などのレドックス開始剤
などが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、チオキサントン類などが挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、目標とする分子量分布のポリマー成分が得られるように使用量を調節することが好ましく、具体的には、重合させる単量体100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
前記ポリマー成分Pは、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、塊状重合などの重合方法を用いて製造することも可能である。これらの中でも、製造時に用いられる各成分を溶解させられる溶媒中での溶液重合が好ましい。
前記ポリマー成分Pは、分子量分布や分子構造を制御することができる。分子量分布や分子構造を制御する方法としては、例えば、
付加開裂型の連鎖移動剤を利用する方法、
アミンオキシドラジカルの解離と結合を利用するNMP法(nitroxide mediated polymerization)、
ハロゲン化合物を重合開始剤として重金属およびリガンドを用いて重合させるATRP法(原子移動ラジカル重合法)、
ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物などを重合開始剤とするRAFT法(reversible addition fragmentation chain transfer)、
MADIX法(Macromolecular Design via Interchange of Xanthate)、
DT法(Degenerative transfer)
などが挙げられる。
工程2について、例えば、
カルボキシ基を有するポリマー成分Pと、
上記式(15)で示され、かつQがヒドロキシ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、連結基がカルボン酸エステル結合を有する顔料分散剤を合成することができる。また、
ヒドロキシ基を有するポリマー成分Pと、
上記式(15)で示され、かつQがスルホン酸基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、連結基がスルホン酸エステル結合を有する顔料分散剤を合成することができる。また、
カルボキシ基を有するポリマー成分Pと、
上記式(15)で示され、かつQがアミノ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、連結基がカルボン酸アミド結合を有する顔料分散剤を合成することができる。
工程2には、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤を使用する方法、ショッテン−バウマン法などを利用することができる。
工程2は、無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を抑制するため、溶剤の存在下で行うことが好ましい。
溶剤としては、反応を阻害しないものが好ましく、例えば、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、
ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの含ハロゲン炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類、
アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類
などが挙げられる。
前記溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を用いる場合、溶質(基質)の溶解性に応じて、混合比を定めることが好ましい。前記溶剤の使用量は、反応速度の観点から、上記式(15)で示される化合物に対して1.0質量倍以上20質量倍以下であることが好ましい。
工程2は、0℃以上250℃以下の温度で行われることが好ましい。また、24時間以内に終了することが好ましい。
以下に、方法(ii)のスキームの一例を示す。
Figure 0006381358
(式(15)中、R、R、ArおよびQは、それぞれ、方法(i)のスキーム中の式(15)中のR、R、ArおよびQと同義である。
式(16)中、Qは、式(15)中のQと反応して、式(17)中のQを形成するための基を示す。
式(16)および(17)中、R26は、水素原子、または、アルキル基を示す。Qは、式(15)中のQおよび式(16)中のQが反応して形成された基であり、前記連結基(例えば、式(8)および(9)中のL)に相当する基である。)
方法(ii)のスキームでは、工程3および工程4によって、顔料分散剤を合成することができる。
工程3では、上記式(15)で示される化合物と、上記式(16)で示される化合物(ビニル基含有化合物)と、を反応させ、重合性官能基を有する上記式(17)で示される化合物を合成する。上記式(15)で示される化合物は、アゾ骨格部分構造の基になる化合物である。
工程4は、上記式(17)で示される化合物を、上記式(2)で示されるユニットの基になる単量体と共重合させる。
工程3では、方法(i)における工程2と同様の方法を利用し、重合性官能基を有する上記式(17)で示される化合物を合成することができる。例えば、
カルボキシ基を有する上記式(16)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがヒドロキシ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、上記式(17)で示される化合物を合成することができる。この上記式(17)で示される化合物は、連結基Qがカルボン酸エステル結合であり、重合性官能基を有する。また、
ヒドロキシ基を有する上記式(16)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがスルホン酸基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、上記式(17)で示される化合物を合成することができる。この上記式(17)で示される化合物は、連結基Qがスルホン酸エステル結合であり、前記重合性官能基を有する。また、
カルボキシ基を有する上記式(16)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがアミノ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、上記式(17)で示される化合物を合成することができる。この上記式(17)で示される化合物は、連結基Qがカルボン酸アミド結合である。
上記式(16)で示される化合物は、市販されており、容易に入手可能である。また、公知の方法によって、容易に合成することもできる。
工程4では、方法(i)のポリマー成分Pの合成と同様の方法を利用し、上記式(1)で示されるユニットを有する顔料分散剤を合成することができる。
以下に、方法(iii)のスキームの一例を示す。
Figure 0006381358
(式(15)中、R、R、ArおよびQは、それぞれ、方法(i)のスキーム中の式(15)中のR、R、ArおよびQと同義である。
式(18)中、Qは、式(15)中のQと反応して、式(19)中のQを形成するための基を示す。
式(18)および(19)中、Aは、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子を示す。
式(19)中、R、RおよびArは、それぞれ、式(15)中のR、RおよびArと同義である。Qは、式(15)中のQおよび式(18)中のQが反応して形成された基であり、前記連結基(例えば、式(8)および(9)中のL)に相当する基である。)
方法(iii)のスキームでは、工程5および工程6によって、顔料分散剤を合成することができる。
工程5では、上記式(15)で示される化合物と、上記式(18)で示される化合物(ハロゲン原子含有化合物)とを反応させ、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)を有する上記式(19)で示される化合物を合成する。
工程6では、上記式(19)で示される化合物を重合開始剤として、上記式(2)で示されるユニットの基になる単量体と共重合させる。
工程5では、方法(i)における工程2と同様の方法を利用し、ハロゲン原子を有する上記式(19)で示される化合物を合成することができる。例えば、
カルボキシ基を有する上記式(18)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがヒドロキシ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、ハロゲン原子を有する上記式(19)で示される化合物を合成することができる。また、
ヒドロキシ基を有する上記式(18)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがスルホン酸基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、ハロゲン原子を有する上記式(19)で示される化合物を合成することができる。また、
カルボキシ基を有する上記式(18)で示される化合物と、
上記式(15)で示され、かつQがアミノ基を有する置換基である化合物と、
を使用することで、ハロゲン原子を有する上記式(19)で示される化合物を合成することができる。
前記カルボキシ基を有する上記式(18)で示される化合物としては、例えば、
クロロ酢酸、α−クロロプロピオン酸、α−クロロ酪酸、α−クロロイソ酪酸、α−クロロ吉草酸、α−クロロイソ吉草酸、α−クロロカプロン酸、α−クロロフェニル酢酸、α−クロロジフェニル酢酸、α−クロロ−α−フェニルプロピオン酸、α−クロロ−β−フェニルプロピオン酸、ブロモ酢酸、α−ブロモプロピオン酸、α−ブロモ酪酸、α−ブロモイソ酪酸、α−ブロモ吉草酸、α−ブロモイソ吉草酸、α−ブロモカプロン酸、α−ブロモフェニル酢酸、α−ブロモジフェニル酢酸、α−ブロモ−α−フェニルプロピオン酸、α−ブロモ−β−フェニルプロピオン酸、ヨード酢酸、α−ヨードプロピオン酸、α−ヨード酪酸、α−ヨードイソ酪酸、α−ヨード吉草酸、α−ヨードイソ吉草酸、α−ヨードカプロン酸、α−ヨードフェニル酢酸、α−ヨードジフェニル酢酸、α−ヨード−α−フェニルプロピオン酸、α−ヨード−β−フェニルプロピオン酸、β−クロロ酪酸、β−ブロモイソ酪酸、ヨードジメチルメチル安息香酸、1−クロロエチル安息香酸
などが挙げられる。また、それらの酸のハロゲン化物、酸無水物も挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する上記式(18)で示される化合物としては、例えば、
1−クロロエタノール、1−ブロモエタノール、1−ヨードエタノール、1−クロロプロパノール、2−ブロモプロパノール、2−クロロ−2−プロパノール、2−ブロモ−2−メチルプロパノール、2−フェニル−1−ブロモエタノール、2−フェニル−2−ヨードエタノール
などが挙げられる。
工程6では、前記方法(i)におけるATRP法を利用する。そして、ハロゲン原子を有する上記式(19)で示される化合物を重合開始剤として、金属触媒および配位子の存在下、上記式(2)で示されるユニットの基になる単量体と重合させることで、顔料分散剤を合成することができる。
また、上記式(3)で示され、かつRが−NR1112で示される1価の基であり、R11が水素原子であり、R12がフェニル基である顔料分散剤は、例えば、以下の方法(iv)によって合成することができる。
Figure 0006381358
(式(20)、(22)、(24)および(25)中、Arは、アリーレン基を示す。
式(21)、(22)、(24)および(25)中、Rは、式(3)中のRと同義である。
式(21)中、Qは、式(20)中のアミノ基と反応して、式(22)中のアミド基を形成する際に脱離する基を示す。
は、方法(i)のスキーム中のPと同義である。)
方法(iv)のスキームでは、工程7、工程8、工程9および工程10によって、顔料分散剤を合成することができる。
工程7では、上記式(20)で示される化合物(アニリン誘導体)と上記式(21)で示される化合物をアミド化し、上記式(22)で示される化合物を得る。
工程8では、上記式(22)で示される化合物と上記式(23)で示される化合物(アニリン類縁体)のジアゾ成分とをカップリングさせて、上記式(24)で示される化合物を得る。上記式(24)で示される化合物は、アゾ骨格部分構造の基になる化合物である。
工程9では、上記式(24)で示される化合物のニトロ基を、還元剤にてアミノ基に還元して、上記式(25)で示される化合物を得る。上記式(25)で示される化合物は、アゾ骨格部分構造の基になる化合物である。
工程10では、上記式(25)で示される化合物のアミノ基と、別途合成したポリマー成分Pのカルボキシ基とをアミド化によって結合させる。
工程7では、公知の方法を利用することができる。また、上記式(22)で示され、かつRがメチル基である化合物の場合、上記式(21)で示される化合物の替わりにジケテンを用いた方法によっても合成可能である。上記式(21)で示される化合物は、市販されており、容易に入手可能である。また、公知の方法によって、容易に合成することもできる。
工程7は、無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を抑制するため、溶剤の存在下で行うことが好ましい。
溶剤としては、反応を阻害しないものが好ましく、例えば、トルエン、キシレンなどの溶剤(高沸点溶剤)が挙げられる。
工程8では、方法(i)における工程1と同様の方法を利用し、上記式(24)で示される化合物を合成することができる。
工程9では、例えば、以下のような方法で、ニトロ基の還元反応を行うことができる。
まず、アルコールなどの溶剤に上記式(24)で示される化合物を溶解させ、還元剤の存在下、常温または加熱条件下、上記式(24)で示される化合物のニトロ基をアミノ基に還元し、上記式(25)で示される化合物を得る。還元剤としては、例えば、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、水硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム、鉄、亜鉛、スズ、SnCl、SnCl・2HOなどが挙げられる。還元反応は、ニッケル、白金、パラジウムなどの金属を活性炭などの不溶性担体に担持させた触媒存在下、水素ガスを接触させる方法を用いても進行する。
工程10では、方法(i)における工程2と同様の方法を利用し、上記式(25)で示される化合物のアミノ基と、ポリマー成分Pのカルボキシ基とをアミド化によって結合させることにより、顔料分散剤を合成することができる。
前記合成方法の各工程で得られた化合物は、例えば、有機溶剤を用いた再結晶法や再沈殿法、シリカゲルなどを用いたカラムクロマトグラフィーなどの、有機化合物の単離方法、精製方法を用いて精製することができる。これらの方法を1つのみ用いて、または、2つ以上を組み合わせて用いて精製を行うことにより、高純度の化合物を得ることが可能である。
次に、本発明のトナーおよびトナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以上7.5μm以下であることがより好ましい。
トナーの重量平均粒径が4.0μm以上であれば、チャージアップを引き起こしにくくなり、チャージアップによるかぶりや飛散、画像濃度薄などの弊害を引き起こしにくくなる。また、長期間の画像出力を行っても帯電付与部材などを汚染しにくくなり、安定して高画質な画像を提供しやすくなる。また、電子写真感光体の表面に残る転写残トナーのクリーニングが容易となり、電子写真感光体の表面にトナーが融着しにくくなる。
トナーの重量平均粒径が9.0μm以下であれば、微小文字などの細線再現性の低下および画像飛び散りを引き起こしにくくなり、高画質な画像を提供しやすくなる。
本発明のトナーは、懸濁重合法で製造されたトナーである。
本発明のトナーの製造方法においては、顔料分散剤および顔料をあらかじめ混合し、顔料組成物(マスターバッチ)を調製することで、顔料の分散性を向上させることができる。具体的には、分散媒体中に顔料分散剤および顔料ならびに必要に応じてその他のトナーの原材料を添加し、撹拌しながら十分に分散媒体になじませる。さらに、ニーダー、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル、SCミル、スターミル、超音波分散機などの分散機を用いることにより、顔料を安定的に均一な微粒子状に分散させることができる。
分散媒体としては、顔料分散効果の観点から、ビニル系共重合体を得るための重合性単量体が好ましい。
本発明のトナーが有するトナー粒子は、例えば、以下の方法(いわゆる懸濁重合法)によって製造することができる。
顔料組成物、重合性単量体、離型剤および重合開始剤などを混合して重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させて重合性単量体組成物の粒子を形成する(造粒)。そして、水系媒体中にて重合性単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合させてトナー粒子を得る。
本発明のトナーが有するトナー粒子の結着樹脂は、ビニル系共重合体であるため、重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が2種以上用いられる。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体や、多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン/スチレン誘導体(スチレン系単量体)、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体、
メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル、
ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンなどのビニルケトン
などが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、例えば、
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル
などが挙げられる。
多官能性重合性単量体は、架橋剤として使用することも可能である。
重合性単量体組成物は、顔料組成物を第1の重合性単量体に分散させた分散液を、第2の重合性単量体と混合して調製されたものであることが好ましい。すなわち、顔料組成物を第1の重合性単量体によって十分に分散させた後、他のトナー材料とともに第2の重合性単量体と混合することにより、顔料を良好な分散状態でトナー粒子中に存在させることができる。
重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤および/または水溶性開始剤が用いられる。
油溶性開始剤としては、例えば、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどの顔料分散剤、
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドなどのパーオキサイド系開始剤
などが挙げられる。
水溶性開始剤としては、例えば、
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄、過酸化水素
などが挙げられる。
また、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤や、重合禁止剤などをさらに用いることも可能である。
重合開始剤の濃度は、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
重合性開始剤の種類は、10時間半減温度を参考に選択することが好ましく、1種のみまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、トナー粒子の耐ストレス性を高め、トナー粒子を構成する材料の分子量を制御するために、結着樹脂であるビニル系共重合体の合成時に架橋剤を用いることもできる。
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができ、例えば、
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル、
ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物、
3個以上のビニル基を有する化合物
などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋剤は、トナーの定着性および耐オフセット性の観点から、重合性単量体100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下の範囲で用いることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
重合性単量体や架橋剤は、結着樹脂であるビニル系共重合体の理論ガラス転移温度(Tg)が40℃以上75℃以下になるように、1種のみ、または、2種以上を混合して用いることが好ましい。理論ガラス転移温度が40℃以上であれば、トナーの保存安定性や耐ストレス性の面で問題が生じにくく、75℃以下であれば、特にフルカラー画像を形成の場合において透明性や低温定着性が低下しにくい。
懸濁重合法で用いられる水系媒体には、分散安定剤を含有させることが好ましい。分散安定剤としては、無機系の分散安定剤や有機系の分散安定剤を用いることができる。
無機系の分散安定剤としては、例えば、
リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ
などが挙げられる。
有機系の分散安定剤としては、例えば、
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン
などが挙げられる。
また、分散安定剤として、ノニオン性の界面活性剤、アニオン性の界面活性剤、カチオン性の界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤としては、例えば、
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム
などが挙げられる。
本発明においては、分散安定剤として、酸に対して可溶性のある難水溶性無機分散安定剤を用いることが好ましい。
難水溶性無機分散安定剤を用いる場合、難水溶性無機分散安定剤は、重合性単量体組成物の水系媒体中での液滴安定性の観点から、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上2.0質量部以下の範囲で使用することが好ましい。
また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3000質量部以下の範囲の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
難水溶性無機分散安定剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の難水溶性無機分散安定剤をそのまま用いて分散させてもよい。ただし、細かい均一な粒度を有する分散安定剤の粒子を得るためには、水中にて高速撹拌下に、難水溶性無機分散安定剤を生成させて調製することが好ましい。例えば、リン酸カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの粒子を形成することで、好ましい難水溶性無機分散安定剤を得ることができる。
懸濁重合法においては、重合性単量体組成物に極性樹脂を含有させ、トナー粒子を製造することで、
結着樹脂および離型剤を含有するコアと、
コアを被覆する、極性樹脂を含有するシェルと、
を有するコア−シェル構造を有するトナーを得ることができる。
そのため、懸濁重合トナーは、離型剤をトナー粒子内に良好に内包化させることにより、トナー粒子に比較的多量の離型剤を含有させても、トナー粒子の表面に離型剤が露出しにくい。その結果、長期間の画像出力(連続プリント)を行ってもトナーの劣化を抑制することができる。
極性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルが好ましい。
極性樹脂は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下の範囲で用いることが好ましく、0.5質量部以上10.0質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
本発明のトナーが有するトナー粒子に用いられる着色剤は顔料であるが、必要に応じて、染料を併用してもよい。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。また、以下に例示するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤を混合して、ブラックに調色したものを用いることもできる。
カーボンブラックとしては、例えば、サーマル法、アセチレン法、チャンネル法、ファーネス法、ランプブラック法などの製造方法によって得られたカーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックの一次粒子の平均粒径(平均一次粒径)は、14nm以上80nm以下であることが好ましく、25nm以上50nm以下であることがより好ましい。一次粒子の平均粒径が14nm以上であれば、トナーが赤味を呈しにくく、フルカラー画像形成用のブラック着色剤として好ましい。カーボンブラックの一次粒子の平均粒径が80nm以下であれば、トナー粒子中で良好に分散し、着色力が低くなりすぎず、好ましい。
なお、カーボンブラックの一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定したものである。
カーボンブラックは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
顔料系のイエロー着色剤としては、例えば、縮合顔料、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物などが挙げられる。より具体的には、例えば、C.I.Pigment Yellow 3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199などが挙げられる。
染料系のイエロー着色剤としては、例えば、C.I.Solvent Yellow 33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.disperse Yellow42、64、201、211が挙げられる。
これらの中でも、C.I.Pigment Yellow 155、180などの縮合顔料が、本発明に用いられる顔料分散剤のアゾ骨格部分構造と構造が類似しているため、吸着性が高く、好ましい。また、本発明に用いられる顔料分散剤は、置換基の選択によって顔料との水素結合による相互作用を強くすることができるため、C.I.Pigment Yellow 185などのイソインドリン化合物などにも吸着性が高く、好ましい。
顔料系のマゼンタ着色剤としては、例えば、縮合顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。より具体的には、例えば、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19などが挙げられる。
これらの中でも、C.I.Pigment Red 150などの縮合顔料が、本発明に用いられる顔料分散剤のアゾ骨格部分構造と構造が類似しているため、吸着性が高く、好ましい。また、本発明に用いられる顔料分散剤は、置換基の選択によって顔料との水素結合による相互作用を強くすることができる。そのため、C.I.Pigment Red 122や、C.I.Pigment Violet 19などのキナクリドン化合物などにも吸着性が高く、好ましい。
顔料系のシアン着色剤としては、例えば、フタロシアニン化合物、フタロシアニン化合物の誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。より具体的には、C.I.Pigment Blue 1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
着色剤である顔料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、2種以上を固溶体の状態で用いてもよい。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHT透明性、トナー粒子中での分散性の観点から選択されることが好ましい。
トナー粒子中の着色剤の含有量は、結着樹脂であるビニル系共重合体100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子中の顔料と顔料分散剤との好ましい質量比は、100:0.1〜100:30の範囲であり、さらに好ましくは、100:0.5〜100:15の範囲である。
本発明のトナーは、トナー粒子が1種以上の離型剤を含有していることが好ましい。トナー粒子に含有される離型剤の総量は、トナー粒子の全質量に対して2.5質量%以上25.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、4.0質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは、6.0質量%以上18.0質量%以下である。
離型剤としては、例えば、
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、
酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物、
カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、または、脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの、
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類、
プランジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、
ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類、
ソルビトールなどの多価アルコール類、
リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類、
メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、
エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類、
m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類、
ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に、金属石けんといわれる。)、
脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、
ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、
植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物
などが挙げられる。
本発明のトナーは、低温定着性を高める観点から、トナー粒子が結晶性ポリエステル樹脂を含有する。
本発明において、「結晶性」とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピークを有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない場合は、「非晶性」であることを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]は、55℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。融点が55℃以上の場合は、トナーの耐ブロッキング性(耐トナーブロッキング性)が低下しにくくなり、トナーの保存性が低下しにくい。一方、融点が90℃以下の場合、結晶性ポリエステル樹脂の重合性単量体への溶解性が低下しにくく、重合性単量体中での結晶性ポリエステル樹脂の分散性が低下しにくいため、かぶりが生じたり、画像均一性が低下したりすることが抑制される。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合によって合成することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]は、合成に使用する脂肪族ジカルボン酸や脂肪族ジオールの種類や、重合度などによって調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、または、これらの酸の無水物または低級アルキルエステル
などが挙げられる。
また、前記酸成分の他に、3価以上の多価カルボン酸を用いてもよい。
3価以上の多価カルボン酸としては、例えば、
トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、または、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなどの誘導体
などが挙げられる。
これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられる脂肪族ジオールとしては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタジエングリコール
などが挙げられる。
また、前記アルコール成分の他に、例えば、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの2価のアルコール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール
などを用いてもよい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、下記式(4)で示される脂肪族ジカルボン酸(直鎖型脂肪族ジカルボン酸)と下記式(5)で示される脂肪族ジオール(直鎖型脂肪族ジオール)との重縮合によって合成されたポリエステル樹脂が好ましい。
Figure 0006381358
(式(4)中、mは、4以上16以下の整数を示す。)
Figure 0006381358
(式(5)中、nは、4以上16以下の整数を示す。)
直鎖型であれば、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶性ポリエステル樹脂の融点が適度になるため、トナーの耐ブロッキング性、画像保存性、および、低温定着性に優れる。また、炭素原子数(mやn)が4以上であれば、ポリエステル樹脂の融点が適度になるため、トナーの耐ブロッキング性、画像保存性、および、低温定着性に優れる。また、炭素原子数(mやn)が16以下であれば、材料の入手が容易である。炭素原子数(mやn)は、14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の観点から、ポリエステル樹脂を合成に用いられるポリカルボン酸成分に含まれる脂肪族ジカルボン酸の含有量は、80モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、90モル%以上であり、さらに好ましくは、100モル%である。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の観点から、ポリエステル樹脂を合成に用いられるポリオール成分に含まれる脂肪族ジオール成の含有量は、80モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、90モル%以上であり、さらに好ましくは、100モル%である。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の合成の際には、結晶性ポリエステル樹脂の酸価や水酸基価の調整などの観点から、酢酸、安息香酸などの1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどの1価のアルコールを用いることもできる。
結晶性ポリエステル樹脂は、飽和ポリエステルであることが好ましい。これは、結晶性ポリエステル樹脂が不飽和部分を有する場合と比較して、過酸化物系重合開始剤との反応で架橋反応が起こらないため、重合性単量体中の結晶性ポリエステル樹脂の溶解性の点で有利なためである。本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、まず、ジカルボン酸成分とジアルコール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させる。その後、減圧下で、または、窒素ガスを導入して、常法に従って重縮合反応させることによって合成することができる。
エステル化またはエステル交換反応のときには、例えば、硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどのエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどの重合触媒を用いることができる。
重合触媒としては、チタン触媒(チタンを含む触媒)を用いることが好ましく、キレート型のチタン触媒を用いることがより好ましい。これは、チタン触媒の反応性が適切であり、好適な分子量分布のポリエステル樹脂が得られるためである。また、チタン触媒を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂は、合成中にポリエステル樹脂の内部にチタンまたはチタン触媒が取り込まれ、トナーの帯電性が優れる。特に、キレート型のチタン触媒である場合にそれらの効果が大きい。キレート型のチタン触媒が反応中に加水分解されたものがポリエステル樹脂中に取り込まれることによって、過酸化物系重合開始剤からの水素引き抜き反応が適切に制御される。さらに、トナーの耐久性も向上する。
また、ポリマー末端のカルボキシ基を封止することで、結晶性ポリエステル樹脂の酸価を制御することもできる。末端封止には、例えば、モノカルボン酸や、モノアルコールを用いることができる。
モノカルボン酸としては、例えば、
安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸
などのモノカルボン酸が挙げられる。
モノアルコールとしては、例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、高級アルコール
などのモノアルコールが挙げられる。
また、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂には、結晶性ポリエステル部位に結晶性ポリエステル部位以外の部位(共重合部位)を結合させたもの(結晶性ポリエステル樹脂を変性したもの)も含まれる。共重合部位は、結晶性ポリエステル樹脂を変性したものの全質量に対して60質量%以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は、ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂とも呼ばれる。
本発明のトナーが有するトナー粒子の結着樹脂はビニル系共重合体であるため、結晶性ポリエステル樹脂が共重合部位も有する場合、共重合部位は、非晶性ビニル系重合体部位であることが好ましい。
共重合部位が非晶性ビニル系重合体部位であることにより、結晶性ポリエステル樹脂が結着樹脂であるビニル系共重合体との相溶性が向上し、トナー粒子中で結晶性ポリエステル樹脂を微分散させることが可能となる。それにより、より優れた低温定着性とトナーの耐久性を得ることが可能となる。
また、定着工程において結晶性ポリエステル樹脂が溶融した際、同じビニル系共重合体である結着樹脂とすぐに相溶することができ、結着樹脂を十分に可塑させることができる。そのため、低温定着性をより向上させることができる。
結晶性ポリエステル樹脂中の非晶性ビニル系重合体部位の質量比が60質量%以下の場合、結晶性ポリエステル樹脂と結着樹脂との相溶が過度に進行しにくく、トナーの耐ブロッキング性が低下しにくい。また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が低下しにくく、定着工程において高いシャープメルト性を発揮することができる。
また、本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂において、結着樹脂であるビニル系共重合体との相溶性を高めるため、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基の濃度を調整することもできる。すなわち、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基の濃度を高めることにより、ビニル系共重合体である結着樹脂との相溶性を高めることができる。
エステル基の濃度を高めることにより、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]が低くなり、トナーの耐ブロッキング性、画像保存性が低下する場合があるので、ガラス転移温度(Tg)を考慮し、エステル基の濃度を調整する必要がある。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上80000以下であることが好ましく、13000以上40000以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上80000以下であることで、トナーの製造工程においては、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を高く保持することができる。また、定着工程においては、速やかに結晶性ポリエステル樹脂による可塑効果を得ることができる。そのため、優れた耐熱保存性と、低温条件や高速条件における優れた定着性を両立することが可能となる。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステル樹脂の種々の製造条件によって制御することができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法に関しては後述する。
結晶性ポリエステル樹脂が非晶性ビニル系重合体部位を有する場合、非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量(Mw)は、2000以上12000以下であることが好ましい。非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量(Mw)が2000以上12000以下であることで、結晶性ポリエステル樹脂が、結着樹脂であるビニル系共重合体中にさらに均一に分散しやすくなる。その結果、結晶性ポリエステル樹脂と結着樹脂との相溶性がさらに向上し、低温定着性がさらに向上する。非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステル樹脂の製造時の両反応性モノマーの添加量など、ポリエステルの種々の製造条件によって制御することができる。なお、非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量(Mw)の測定方法に関しては後述する。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、5.0mgKOH/g以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以下であることにより、結着樹脂中での結晶性ポリエステル樹脂の分布状態に偏りが出にくくなり、結晶性ポリエステル樹脂の適度な分散状態が得られる。そのため、結晶性ポリエステル樹脂による結着樹脂に対する十分な可塑効果を得ることができ、優れた低温定着性を得ることができる。また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を高めることができ、トナーの耐熱性が向上する。
また、結晶性ポリエステル樹脂の酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性が向上する。
また、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する際、結晶性ポリエステル樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以下であれば、トナー粒子同士の凝集が起こりにくくなる。その結果、得られるトナーの帯電安定性および耐久安定性が向上する。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分の比率、単量体の種類、結晶性ポリエステル樹脂の末端基処理などによって制御することができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の酸価の測定方法に関しては後述する。
トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂であるビニル系共重合体100質量部に対して3質量部以上50質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3質量部以上であれば、低温定着性がより良好になる。また、結晶性ポリエステル樹脂は吸湿しやすい傾向にあるが、その含有量が50質量部以下であれば、トナーの帯電均一性が低下しにくく、かぶりが生じにくくなる。また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量部以下であれば、過剰な結晶性ポリエステル樹脂の存在による溶融粘度の低下が起こりにくいため、オフセットが発生しにくくなる。さらに、懸濁重合トナーでは、トナー粒子の表面形状の平滑性が低下しにくく、トナーの帯電特性の低下や画像濃度の低下が生じにくい。
トナー粒子は、トナーの製造時の重合工程(重合性単量体を重合させる工程)において、下記式(26)で示される温度T1(℃)にて加熱保持されることがさらに好ましい。
T1[℃]≧Tm(C)[℃]+5[℃] (26)
(式(26)中、Tmは、結晶性ポリエステル樹脂の融点[℃]を示す。)
トナーの製造時の重合工程において、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]以上の温度でトナー粒子が保持(加熱保持)されることによって、結晶性ポリエステル樹脂が十分に溶融し、結着樹脂であるビニル系共重合体との相溶が進行する。その結果、結着樹脂中での結晶性ポリエステル樹脂の微分散性が向上し、低温定着性が向上する。T1は、Tm(C)[℃]より10℃以上高いことがより好ましい。
また、トナー粒子は、トナーの製造時の重合工程を経た後、下記式(27)で示される温度T2(℃)にて60分間以上保持(加熱保持・アニール処理)されることが好ましい。
Tm(C)[℃]−30[℃]≦T2[℃]≦Tm(C)[℃]−5[℃] (27)
結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの製造中に一部非晶化し、結晶化度が下がる傾向にある。非晶化した結晶性ポリエステル樹脂は、結着樹脂であるビニル系共重合体と相溶し、結着樹脂を軟化させる場合がある。トナーの製造時の重合工程後、上記式(27)で示される温度T2でトナー粒子が60分間以上保持(加熱保持)されることによって、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度が向上する。つまり、結晶性ポリエステル樹脂が結着樹脂中に微分散された状態であっても結晶性が十分に維持され、トナーの耐熱保存性や耐久性を十分に維持しつつ、優れた定着性を得ることができる。
また、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の分散状態は、結晶性ポリエステル樹脂の酸価、分子量などの物性や、結晶性ポリエステル樹脂の融点や重合温度の条件で制御することができる。
結晶性ポリエステル部位および非晶性ビニル系重合体部位を有するハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、非晶性ビニル系重合体部位を作製する際に加圧環境下で重合反応を進行させる方法が挙げられる。具体的には、非晶性ビニル系重合体が(メタ)アクリル酸エステルの重合体である場合、ポリエステルに含有されるヒドロキシ基(水酸基)と非晶性ビニル系重合体に含有される(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応が挙げられる。また、非晶性ビニル系重合体がカルボキシ基を有する場合、ポリエステルに含有されるヒドロキシ基と非晶性ビニル系重合体に含有されるカルボキシ基とのエステル化反応が挙げられる。また、非晶性ビニル系重合体がヒドロキシ基を有する場合、ポリエステルに含有されるカルボキシ基と非晶性ビニル系重合体に含有されるヒドロキシ基とのエステル化反応が挙げられる。また、水素引き抜き反応によってポリエステル中にラジカルを発生させ、ビニル系単量体を添加し、加圧環境下において、重合させる方法が挙げられる。その際、加圧の程度としては、0.20MPa以上0.45MPa以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル部位および非晶性ビニル系重合体部位を有するハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂を製造する際に用いられるビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体や多官能性重合性単量体が挙げられる。
単官能性重合性単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのスチレン/スチレン誘導体(スチレン系単量体)、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体
などが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、例えば、
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのアクリル系多官能性重合性単量体、
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートなどのメタクリル系多官能性重合性単量体、
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル
などが挙げられる。
ビニル系単量体としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基を有するものが好ましい。また、ビニル系単量体として、少なくとも1種は(メタ)アクリル酸エステル類を用いることが好ましい。カルボキシ基といった強い極性を持った官能基が前記ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂の非晶性ビニル系重合体部位中に存在すると、非晶性ビニル系重合体部位が適度な極性を有することになる。その結果、水系媒体中でのトナーの製造時にトナー粒子を安定化させることができる。
また、前記ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂の非晶性ビニル系重合体部位がアクリル酸との共重合体であれば、アクリル酸の持つカルボキシ基による水素結合により、トナー粒子の表面が強固になり、トナーの耐久性が向上する。ただし、高温高湿環境下においてトナーの吸湿性の高まりによるトナーの摩擦帯電性の低下を抑制するため、アクリル酸の前記ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂中の含有量は3.0質量%以下であることが好ましい。
前記ハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂を製造する際、重合性単量体を重合するために用いられる重合開始剤としては、例えば、油溶性開始剤、水溶性開始剤などが挙げられる。
油溶性開始剤としては、例えば、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、
t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジt−ブチルパーオキシイソフタレート、ジt−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物
などが挙げられる。
水溶性開始剤としては、例えば、
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、塩酸塩硫酸第一鉄、過酸化水素
などが挙げられる。
これら重合開始剤の中でも、過酸化物が好ましい。
ポリエステル樹脂を水素引き抜き反応によってビニル変性させてハイブリッド型の結晶性ポリエステル樹脂を製造する場合は、重合開始剤の10時間半減期温度は、70℃以上170℃以下であることが好ましい。より好ましくは、75℃以上130℃以下である。
トナーの帯電性の環境依存性を低下させ、トナーの帯電性を安定に保つ観点から、トナー粒子に荷電制御剤を含有させることが好ましい。
負荷電性の荷電制御剤としては、例えば、
モノアゾ金属化合物、
アセチルアセトン金属化合物、
芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸、ダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノもしくはポリカルボン酸、
上記酸の金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類、尿素誘導体、
含金属サリチル酸系化合物、
含金属ナフトエ酸系化合物、
ホウ素化合物、
4級アンモニウム塩、
カリックスアレーン、
樹脂系帯電制御剤
などが挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、例えば、
ニグロシン、または、脂肪酸金属塩などによるニグロシン変性物、
グアニジン化合物、
イミダゾール化合物、
トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、または、これらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩もしくはこれらのレーキ顔料、
トリフェニルメタン染料、または、これらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物などが挙げられる。)、
高級脂肪酸の金属塩、
ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド、
ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類、
樹脂系帯電制御剤
などが挙げられる。
これら荷電制御剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら荷電制御剤の中でも、樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、含まれる金属がアルミニウムまたはジルコニウムであるものがより好ましい。それらの中でも、サリチル酸アルミニウム化合物がより好ましい。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基、または、スルホン酸エステル基を有する重合体もしくは共重合体が好ましい。
トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は、結着樹脂であるビニル系共重合体またはそれを得るための重合性単量体100.00質量部に対して0.01質量部以上20.00質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量部以上10.00質量部以下である。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に無機微粒子(無機微粉体)を有することが好ましい。無機微粒子は、トナーの流動性の改良および帯電均一化のためにトナー粒子に混合され、混合された無機微粒子の多くは、トナー粒子の表面に付着した状態で存在する。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は、4nm以上500nm以下であることが好ましい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニアや、それらの複合酸化物などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミニウム微粒子やチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子は、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。
さらに、トナーには、他の添加剤を用いてもよい。
他の添加剤としては、例えば、
ポリテトラフルオロエチレン粒子(例えば、テフロン(登録商標))、ステアリン酸亜鉛粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子などの滑剤粒子、
酸化セリウム粒子、炭化ケイ素粒子、チタン酸ストロンチウム粒子などの研磨剤、
酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子などの流動性付与剤、
ケーキング防止剤、
逆極性の有機微粒子、無機微粒子などの現像性向上剤
などが挙げられる。
これらの添加剤も、表面を疎水化処理して用いることができる。
本発明のトナーは、一成分現像方式の画像形成装置や、二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
(顔料分散剤の顔料への吸着率の測定方法)
顔料分散剤の顔料への吸着率は、以下のようにして測定した。
・検量線の作成
(A)測定用のトナーと同じ処方(顔料分散剤は除く)の重合性単量体組成物に、顔料に対して10質量%に相当する顔料分散剤を添加する。そして、重合性単量体組成物中の重合性単量体(分散媒体)と顔料分散剤の比率と同じ比率で調製した重合性単量体と顔料分散剤の溶液を5mL調製する(溶液1)。さらに、溶液1に重合性単量体を加えて、1/5、1/10に希釈した溶液を調製する(溶液2、溶液3)。
(B)25℃で24時間静置した溶液1、2および3を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過したものをサンプル溶液とする。そして、以下の条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて顔料分散剤の濃度を測定する。測定結果に基づいて、重合性単量体(分散媒体)中の顔料分散剤の濃度(g/mL)の検量線を作成する。
装置:高速GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー(株)製)
カラム:LF−804の2連
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.025mL
・吸着率の測定
(A)顔料に対して10.0質量%に相当する顔料分散剤を添加した、測定用のトナーと同じ処方(顔料分散剤は除く)の重合性単量体組成物を調製した後、25℃で24時間静置する。その後、以下の条件で遠心分離する。
装置:高速遠心機(商品名:H−9R、コクサン(株)製)
遠沈チューブ:PPT−010
サンプル:遠沈チューブの容積に対して、約8割に当たる組成物を投入
遠心条件:10000rpmで3分(25℃)
(B)遠心分離された組成物の上澄みを採取し、フィルター(日本ミリポア社製・マイレクスLH 孔径0.45μm 直径13mm)にて濾過し、検量線と同じ条件でGPCを用いて上澄み液中の顔料分散剤の濃度を測定した。
(C)前記測定結果から、以下の式によって吸着率を算出した。
吸着率(%)=(1−((溶液1の顔料分散剤濃度(g/mL))−(組成物の上澄み液の顔料分散剤濃度(g/mL)))/(溶液1の顔料分散剤濃度(g/mL)))×100
(顔料分散剤の酸価の測定方法)
顔料分散剤の酸価は、以下のようにして測定した。
試料1g中に含有されている樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
結着樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定される。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1mol/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1mol/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて調製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解させる。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする。)以外は、前記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、Aは、酸価(mgKOH/g)を示し、Bは、空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)を示し、Cは、本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)を示し、fは、水酸化カリウム溶液のファクターを示し、Sは、試料の質量(g)を示す。
(顔料分散剤のアミン価の測定方法)
アミン価は、試料1gに含まれる全アミンを中和するために必要な過塩素酸と、当量の水酸化カリウムのmg数である。
顔料分散剤のアミン価は、JIS K 7237−1995に準じて測定される。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1)試薬の準備
クリスタルバイオレット0.1gを酢酸100mLに溶解させ、クリスタルバイオレット溶液を得る。過塩素酸8.5mLをあらかじめ酢酸500mLと無水酢酸200mLとを混合した溶液中にゆっくりと加えて、混合する。これに、酢酸を加え、全量を1Lとした後、3日間放置して過塩素酸酢酸溶液を得る。
前記過塩素酸酢酸溶液のファクターは次の手順で求める。
まず、フタル酸水素カリウムを1mgまで量りとり、酢酸20mLに溶解させた後、o−ニトロトルエン90mLを加え、前記クリスタルバイオレット溶液を数滴加える。これを、前記過塩素酸酢酸溶液を用いて滴定して求める。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLのビーカーに精秤し、o−ニトロトルエン/酢酸(9:2)の混合溶液を100mL加え、3時間かけて溶解する。次いで、前記クリスタルバイオレット溶液を数滴加え、前記過塩素酸酢酸溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の青が緑色に変色し、緑色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわち、o−ニトロトルエン/酢酸(9:2)の混合溶液のみとする。)以外は、前記操作と同様の試験を行う。
(3)全アミン価の算出
得られた結果を下記式に代入して、アミン価AmVを算出する。
AmV=[(D−C)×f×5.61]/S
ここで、AmVは、アミン価(mgKOH/g)を示し、Cは、空試験の過塩素酸酢酸溶液の添加量(mL)を示し、Dは、本試験の過塩素酸酢酸溶液の添加量(mL)を示し、fは、過塩素酸酢酸溶液のファクターを示し、Sは、試料の質量(g)を示す。
(ポリマー成分および顔料分散剤の数平均分子量の測定方法)
本発明に係る各種の高分子部位、および、アゾ骨格部分構造を有する化合物の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、ポリスチレン換算で算出される。SECによる分子量の測定は、以下に示すように行った。
サンプル濃度が1.0%になるようにサンプルを下記溶離液に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過したものをサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー(株)製)
カラム:LF−804の2連
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.025mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー(株)製の、TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)によって作成した分子量校正曲線を使用した。
(トナーの平均粒径および粒度分布測定)
トナーの平均粒径および粒度分布は、コールター・カウンターTA−III型(コールター社製)を用い、個数分布および重量分布を算出する。トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解させて濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)を使用することができる。
なお、測定および解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液を「ISOTON II」に設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤および有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液。和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispension System Tetora150、日科機バイオス(株)製)を準備する。この超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。また、トナー粒子の造粒性を確認する際には、重合反応終了後のトナー粒子懸濁液を少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散させた前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/重量統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
造粒工程(重合性単量体組成物の粒子を形成する工程)における造粒性については、コールター・カウンターで測定されたD50重量%/D50個数%によって調べた。D50体積%/D50個数%とは、重量分布基準の50%粒径/個数分布基準の50%粒径である。
(結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量)
結晶性ポリエステル樹脂0.03gをo−ジクロロベンゼン10mLに分散させて溶解させた後、135℃において24時間振とう機で振とうさせ、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用い、下記の条件にて分析を行う。
(分析条件)
分離カラム:Shodex(TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0mL/分
試料濃度:約0.3%
注入量:300μL
検出器:示差屈折率検出器 Shodex RI−71
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー(株)製の、TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)によって作成した分子量校正曲線を使用する。
(結晶性ポリエステル樹脂中の非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量)
結晶性ポリエステル樹脂中の非晶性ビニル系重合体部位の分子量の測定は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性ポリエステル部位を加水分解させて測定を行う。
具体的な方法は、結晶性ポリエステル樹脂30mgにジオキサン5mL、10質量%の水酸化カリウム水溶液1mLを加え、温度70℃で6時間振とうさせて結晶性ポリエステル部位を加水分解させる。その後、溶液を乾燥させて、非晶性ビニル系重合体部位の分子量の測定用の試料を調製した。
測定用試料0.03gをo−ジクロロベンゼン10mLに分散させて溶解させた後、135℃において24時間振とう機で振とうさせ、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用い、下記の条件にて分析を行う。
(分析条件)
分離カラム:Shodex(TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0mL/分
試料濃度:約0.3%
注入量:300μL
検出器:示差屈折率検出器 Shodex RI−71
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー(株)製の、TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)によって作成した分子量校正曲線を使用する。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]など)
トナーのガラス転移温度Tgおよび結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]、吸熱量、結晶化度は、示差走査熱量分析装置(商品名:Q1000、TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー5mgまたは結晶性ポリエステル樹脂1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃の間で、下記の設定でモジュレーション測定を行う。
昇温速度:1℃/分
振幅温度幅:±0.318℃/分
この昇温過程で、温度20℃から140℃の範囲において比熱変化が得られる。トナーのガラス転移温度Tgは、可逆比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点とする。また、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]は、比熱変化曲線における最大吸熱ピーク温度とする。
(結晶性ポリエステル樹脂の酸価Av(C))
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K1557−1970に準じて測定される。具体的な測定方法を以下に示す。
試料の粉砕品2gを精秤する(W(g))。200mLの三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解させる。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。0.1mol/LのKOHのアルコール溶液(KOH溶液)を用い、ビュレットを用いて前記溶液を滴定する。このときのKOH溶液の量をS(mL)とする。ブランクテストをし、このときのKOH溶液の量をB(mL)とする。
下記式によって酸価を計算する。
酸価={(S−B)×f×5.61}/W
(fは、KOH溶液のファクターを示す。)
(極性ポリエステルのガラス転移温度Tg(H)[℃])
極性ポリエステルのガラス転移温度Tg(H)[℃]は、示差走査熱量分析装置(商品名:Q1000、TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、極性ポリエステル約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30℃から200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、極性ポリエステルのガラス転移温度Tg(H)とする。
(SP値の測定)
結着樹脂であるビニル系共重合体、結晶性ポリエステル樹脂、および、顔料分散剤のSP値は、濁点滴定測定法により、以下のように行った。
50mLサンプル管瓶に、約10.00gの精秤したクロロホルムに約1.48gの精秤したビニル系共重合体、結晶性ポリエステル樹脂、または、顔料分散剤を溶解させる。次に、メタノールをパスツールピペットにて1滴(約200mg)添加し、蓋を閉め、質量を測定し、マグネットスターラー用のマイクロ回転子(全長3mm×直径3mm)にて1分間撹拌する。撹拌した後、溶液が白濁しているか目視にて確認する。白濁していない場合は、前記手順を白濁するまで繰り返す。
また、メタノールをヘプタンに変更して、以上と同様の操作を行う。
白濁した時点でのクロロホルムとメタノールまたはヘプタンの各質量より、以下の式より、ビニル系共重合体、結晶性ポリエステル樹脂、顔料分散剤のSP値を算出した。
ビニル系共重合体、結晶性ポリエステル樹脂、顔料分散剤のSP値=(SPα+SPβ)/2
SPα=(Vm1/2×SPm+V /2×SPc)/(Vm1/2+Vc1/2
SPβ(Vc1/2×SPc+Vh1/2×SPh)/(Vc1/2+Vh1/2)Vm(cm):白濁した時点でのメタノールの体積(メタノールの比重:0.792)
Vc(cm):白濁した時点でのクロロホルムの体積(クロロホルムの比重:1.490)
Vh(cm):白濁した時点でのヘプタンの体積(ヘプタンの比重:0.684)SPm:メタノールのSP値(14.5cal/cm
SPc:クロロホルムのSP値(9.3cal/cm
SPh:ヘプタンのSP値(7.4cal/cm
SPm、SPc、SPhは、以下の文献より引用した。
文献:Solubility Parameters:ALLAN F.M.BARTON Chemistry Department,Victoria University of Wellington,private Bag, Wellington,New Zealand
Received June 7,1974(Revised ManuscriptReceived October 29,1974)
なお、結着樹脂であるビニル系共重合体のSP値に関しては、次のとおりとした。すなわち、後述する各実施例および比較例のトナー粒子において、各処方におけるビニル系重合性単量体と開始剤のみで、トナー粒子と同じ反応条件(温度および時間)でバルク重合を行って合成した樹脂のSP値を結着樹脂のSP値とした。
(顔料分散剤の組成分析)
本発明に用いられる、ポリマー成分および吸着成分を有する顔料分散剤の構造決定は、以下の装置を用いて行った。
H−NMRおよび13C−NMR
日本電子(株)製のECA−400(商品名)(使用溶剤:重クロロホルム)
ブルカー社製のFT−NMR AVANCE−600(商品名)(使用溶剤:重クロロホルム)
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
(顔料分散剤のポリマー成分(P−1)の製造例)
プロピレングリコールモノメチルエーテル100質量部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させ、そこへ以下の材料を混合したものを3時間かけて滴下した。
Figure 0006381358
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温170℃まで昇温しながら常圧蒸留した。液温が170℃に到達した後は、減圧(1hPa)下、1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。この樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解させ、n−ヘキサンで再沈殿させて析出した固体を濾別することでポリマー成分(P−1)を得た。ポリマー成分(P−1)の数平均分子量Mnは14400であった。
(顔料分散剤のポリマー成分(P−2)〜(P−21)の製造例)
ポリマー成分(P−2)〜(P−21)に関しては、表2に示すように重合性単量体および重合性単量体の組成比を変更し、開始剤の使用量を調整し、後述する顔料分散剤の分子量になるようにポリマー成分の分子量を調整した。それら以外は、ポリマー成分(P−1)と同様にして製造した。
Figure 0006381358
(顔料分散剤A1の製造例)
上記式(3)で示されるアゾ骨格部分構造である化合物(B−1)を、下記スキームに従って製造した。
Figure 0006381358
まず、クロロホルム30質量部に4−ニトロアニリン(東京化成工業(株)製)3.11質量部を加え、10℃以下に氷冷し、ジケテン(東京化成工業(株)製)1.89質量部を加えた。その後、65℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルムで抽出し、濃縮して化合物(27)を得た。
次に、2−アミノテレフタル酸ジメチル(メルク(株)製)4.25質量部に、メタノール40.00質量部、濃塩酸5.29質量部を加えて10℃以下に氷冷した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム2.10質量部を水6.00質量部に溶解させたもの加えて同温度で1時間反応させた。
次いでスルファミン酸0.990質量部を加えてさらに20分間撹拌した(ジアゾニウム塩溶液)。メタノール70.00質量部に、化合物(27)4.51質量部を加えて、10℃以下に氷冷し、前記ジアゾニウム塩溶液を加えた。
その後、酢酸ナトリウム5.83質量部を水7.00質量部に溶解させたものを加えて、10℃以下で2時間反応させた。反応終了後、水300.00質量部を加えて30分間撹拌した後、固体を濾別し、N,N−ジメチルホルムアミドからの再結晶法によって精製することで化合物(28)を得た。
次に、N,N−ジメチルホルムアミド150.00質量部に化合物(28)8.58質量部およびパラジウム−活性炭素(パラジウム5%)0.40質量部を加えて、水素ガス雰囲気下(反応圧力0.1〜0.4MPa)、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を濾別し、濃縮して化合物(B−1)を得た。
次に、アゾ骨格部分構造である化合物(B−1)のアミノ基とポリマー成分(P−1)のカルボキシ基をアミド化によって結合させて顔料分散剤A1を下記スキームに従って製造した。
Figure 0006381358
(上記構造式中で、「co」とは、共重合体を構成する各ユニットの配列がランダム(無秩序)であることを示す記号である。)
まず、テトラヒドロフラン500.00質量部に化合物(B−1)を1.98質量部加えて、80℃まで加熱し、溶解させた。溶解させた後、50℃に温度を下げ、ポリマー成分(P−1)37.50質量部を加えて溶解させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(EDC・HCl)1.96質量部を加えて50℃で5時間撹拌した。
その後、液温を徐々に室温に戻し、一晩撹拌することによって反応を終了させた。反応終了後、溶液を濾過して濃縮し、メタノールで再沈殿させることによって精製し、顔料分散剤A1を得た。顔料分散剤の物性を表5に示す。
(顔料分散剤A2の製造例)
顔料分散剤A1の製造において、化合物(B−1)を、下記化合物(B−2)に変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤A2を得た。顔料分散剤A2の物性値を表5に示す。
Figure 0006381358
(顔料分散剤A3の製造例)
顔料分散剤A3を下記スキームに従って製造した。
Figure 0006381358
(スキーム中、「co」とは、共重合体を構成する各ユニットの配列が無秩序であることを示す記号である。)
まず、4−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)5.00質量部に水30.0質量部、および、濃塩酸11.0質量部を加えて10℃以下に氷冷した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム3.46質量部を水8.10質量部に溶解させたものを加え、同温度で1時間反応させた。次いで、スルファミン酸0.657質量部を加え、さらに20分間撹拌した(ジアゾニウム塩溶液)。水48.0質量部に、アセトアセトアニリド(東京化成工業(株)製)8.13質量部を加えて、10℃以下に氷冷し、前記ジアゾニウム塩溶液を加えた。その後、炭酸ナトリウム14.30質量部を水80.00質量部に溶解させたものを加え、10℃以下で2時間反応させた。反応終了後、水50.00質量部を加え、30分間撹拌した後、固体を濾別し、N,N−ジメチルホルムアミドからの再結晶法によって精製することで化合物(30)を得た。
次に、クロロホルム30.00質量部に3.00質量部の化合物(30)、および、トリエチルアミン1.20質量部を加えて10℃以下に氷冷した。この溶液に、アクリロイルクロリド(東京化成工業(株)製)1.03質量部を加え、同温度で20分反応させた。これをクロロホルムで抽出し、濃縮および精製することで、化合物(31)を得た。
次に、下記材料Aに下記材料Bを加え、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。
Figure 0006381358
反応終了後、N,N−ジメチルホルムアミドからの再結晶法によって精製することで顔料分散剤A3を得た。顔料分散剤の物性を表5に示す。
(顔料分散剤A4の製造例)
顔料分散剤A3の各置換基を表4の(B−4)のように変更した以外は、顔料分散剤A3と同様に製造し、顔料分散剤A4を得た。顔料分散剤A4の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A5の製造例)
顔料分散剤A1の各置換基を表4の(B−5)のように変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤A5を得た。顔料分散剤A5の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A6、A8〜A12、B3およびB5の製造例)
顔料分散剤A1のポリマー成分をそれぞれ表5のように変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤A6、A8〜A12、B3およびB5を得た。顔料分散剤A6、A8〜A12、B3およびB5の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A13、A14、B6およびB7の製造例)
顔料分散剤A1の製造例において、ポリマー成分をそれぞれ表5のように変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤A13、A14、B6およびB7を得た。顔料分散剤A13、A14、B6およびB7の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A15およびA16の製造例)
顔料分散剤A1の各置換基を表4のようにそれぞれ(B−6)および(B−7)に変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤A15およびA16を得た。顔料分散剤A15およびA16の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤B8の製造例)
顔料分散剤A1の製造において、化合物(B−1)を化合物(B−8)に変更した以外は、顔料分散剤A1と同様に製造し、顔料分散剤B8を得た。顔料分散剤B8の物性値を表5に示す。
Figure 0006381358
(顔料分散剤A17、A18およびA19の製造例)
顔料分散剤A6において、化合物(B−1)の添加量を減らし、顔料分散剤の酸価が表5に示す値になるように変更した以外は、顔料分散剤A6と同様に製造し、顔料分散剤A17、A18およびA19を得た。顔料分散剤A17、A18およびA19の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A20、A21およびA22の製造例)
ポリマー成分(P−1)のアクリル酸ブチルの一部をアクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルに変更し、顔料分散剤のアミン価が、表5になるようにした以外は、顔料分散剤A2と同様に製造し、顔料分散剤A20、A21およびA22を得た。顔料分散剤A20、A21およびA22の物性値を表5に示す。
(顔料分散剤A23、A24およびA25の製造例)
ポリマー成分(P−1)のアクリル酸組成比量を調整し、また、顔料分散剤A2において、アクリル酸組成比に合わせて、(B−1)の添加量を調整することで、顔料分散剤の1分子当たりの個数を表5になるように変更した。このように変更した以外は顔料分散剤A2と同様に製造し、顔料分散剤A23、A24およびA25を得た。顔料分散剤A23、A24およびA25の物性値を表5に示す。
Figure 0006381358
(表4中の「Ar−1」、「R−1」および「R−2」は、ポリマー成分と結合した際の構造として、それぞれ、下記式(Ar−1)で示される構造、下記式(R−1)で示される構造および下記式(R−2)で示される構造を示す。また、「ph」は、「フェニル基」を示す。)
Figure 0006381358
上記式(Ar−1)、(R−1)および(R−2)中の「*」は、ポリマー成分中に化学結合によって組み込まれていることを示す。また、「**」、「***」は、それぞれ、下記式中の「**」、「***」と結合していることを示す。)
Figure 0006381358
(上記式中、R、RおよびR21〜R25は、式(7)中のR、RおよびR21〜R25と同義である。)
Figure 0006381358
(結晶性ポリエステル樹脂1の製造例)
攪拌機、温度計および流出用冷却機を備えた反応装置に、セバシン酸175.0質量部、1,9−ノナンジオール166.5質量部、および、テトラブチルチタネート0.3質量部を入れ、180℃で6時間反応させた。その後、200℃に昇温するとともに系内を徐々に減圧し、減圧下にて5時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1の物性を表6に示す。
(結晶性ポリエステル樹脂2の製造例)
攪拌機、温度計および流出用冷却機を備えた反応装置に、セバシン酸175.0質量部、1,12−ドデカンジオール210.1質量部、および、テトラブチルチタネート0.2部を入れ、180℃で6時間反応させた。その後、200℃に昇温するとともに系内を徐々に減圧し、減圧下にて5時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂2を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂2の物性を表6に示す。
(結晶性ポリエステル樹脂3の製造例)
窒素雰囲気下で、滴下ロート、リービッヒ冷却管および撹拌機を備えた耐圧反応機に、キシレン50部、セバシン酸175.0質量部、および、1,12−ドデカンジオール210.1部を入れ、210℃まで昇温した。このときの圧力は0.32MPaであった。
スチレン29.7部、アクリル酸3.09部、および、重合開始剤であるジ−tert−ブチルパーオキサイド(商品名:パーブチルD、日本油脂(株)製)2.09部をキシレン10部に溶解させて混合物を得た。得られた混合物を滴下ロートに仕込み、2時間かけ、加圧下(0.31MPa)で、上記耐圧反応機内に滴下した。滴下した後、さらに210℃で3時間反応させ、溶液重合を完了した。
その後、テトラブトキシチタネート0.80部を加え、窒素雰囲気下、常圧下210℃で3時間縮重合反応させた。その後、テトラブトキシチタネートを0.010部追加し、210℃で2時間反応させた。その後、常圧に戻し、安息香酸37.0部とトリメリット酸4.00部を添加し、さらに220℃で5時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂3を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂3の物性を表6に示す。
(結晶性ポリエステル樹脂4の製造例)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管および減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0質量部、および、1,10−デカンジオール93.5質量部を入れ、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7質量部を加えた後、温度160℃に昇温し、5時間かけて縮重合させた。その後、温度180℃に昇温し、減圧しながら所定の分子量となるまで反応させて、ポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の重量平均分子量(Mw)は19000であり、融点(Tm)は83℃であった。
次いで、撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、ポリエステル(1)100.0質量部、脱水クロロホルム440.0質量部を入れ、完全に溶解させた。その後、トリエチルアミン5.0質量部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0質量部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0質量部を入れた容器に、前記樹脂溶解液を徐々に滴下して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製および乾燥させてポリエステル(2)を得た。
次いで、撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、ポリエステル(2)100.0質量部、スチレン300.0質量部、臭化銅(I)3.5質量部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン8.5質量部を入れた。その後、撹拌しながら、温度110℃で重合反応させた。所定の分子量となったところで反応を停止させて、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過および精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。
その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥させて、結晶性ポリエステル部位および非晶性ビニル系重合体部位を有する結晶性ポリエステル樹脂4を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂4の物性を表6に示す。
(結晶性ポリエステル樹脂5および6の製造例)
結晶性ポリエステル樹脂4の製造例において、1,10−デカンジオール93.5質量部を1,9−ノナンジオール83質量部に変更し、スチレンの添加量をそれぞれ400.0質量部、450質量部に変更した。それら以外は、結晶性ポリエステル樹脂4と同様に製造し、結晶性ポリエステル樹脂5および6を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂5および6の物性を表6に示す。
Figure 0006381358
※1:結晶性ポリエステル部位の単量体(縮合系樹脂成分のモノマー)の合計量/非晶性ビニル系重合体部位の単量体(ビニル系樹脂成分モノマー)の合計量(質量比)
※2:結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)[℃]
※3:非晶性ビニル系重合体部位の重量平均分子量(Mw)
(ブラックトナーKA1の製造例)
スチレン単量体100質量部に対して、表7に示す材料を用意した。
Figure 0006381358
これら材料を、アトライター(三井鉱山社製)に入れ、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140質量部)を用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
一方、イオン交換水710質量部に0.1mol/LのNaPO水溶液450質量部を加え、60℃に加温した後、1.0mol/LのCaCl水溶液67.7質量部を徐々に添加して、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
Figure 0006381358
Mw:重量平均分子量
表8に示す材料を65℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて、6,000rpmにて均一に溶解させ、分散させた。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液8.2質量部を溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、温度65℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて18000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物の粒子を形成した(造粒)。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度67℃に昇温した。そして、重合性ビニル系単量体(スチレン単量体およびn−ブチルアクリレート単量体)の重合転化率が90%に達したところで、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。さらに、昇温速度40℃/hで80℃に昇温し、4時間反応させた。その際のトナーの重量平均粒径は5.8μmであり、D50体積/D50個数は1.1であった。
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去した。その際のトナーの重量平均粒径は5.8μmであり、D50体積/D50個数は1.25であった。
その後、水系媒体を冷却し、塩酸を加え、pHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム化合物を溶解させた。
トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥した。得られた乾燥品を、多分割分級装置(日鉄鉱業社製のエルボジェット分級機)で、重量平均粒径が12.7μm以上の量を0.5質量%、個数平均粒径が4.0μm以上の量が20.0個数%になるよう分級した。このようにして、重量平均粒径(D4)が5.8μmのブラックトナー粒子KA1を得た。
表9に示す材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、ブラックトナーKA1を得た。
Figure 0006381358
(ブラックトナーKA2〜KA25の製造例)
ブラックトナーK1の製造例において、顔料分散剤A1をそれぞれ顔料分散剤A2〜A26に変更した。また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した。それら以外は、ブラックトナーK1と同様に製造し、ブラックトナーKA2〜KA25を得た。
(ブラックトナーKA26〜KA30の製造例)
ブラックトナーK1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂1をそれぞれ結晶性ポリエステル樹脂2〜6に変更し、それぞれの添加量を11.8質量部、18.2質量部、25.0質量部、28.5質量部に変更した。また、スチレン単量体31質量部を29.2質量部、27.8質量部、16.0質量部、12.5質量に変更した。また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した。それら以外は、ブラックトナーK1と同様に製造し、ブラックトナーKA26〜KA30を得た。
(イエロートナーY1の製造例)
ブラックトナー粒子KA1の製造において、カーボンブラック20.0質量部をピグメントイエロー(C.I.Pigment Yellow)155(商品名:Toner Yellow 3GP、クラリアント社製)12.5質量部に変更した。また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した。それら以外は、ブラックトナー粒子KA1と同様に製造し、重量平均粒径(D4)が5.8μmのイエロートナー粒子Y1を得た。
表10に示す材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、イエロートナーY1を得た。
Figure 0006381358
(マゼンタトナーM1の製造例)
ブラックトナー粒子KA1の製造において、カーボンブラック20.0質量部をピグメントレッド(C.I.Pigment Red)122 16.5質量部に変更した。また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した。それら以外は、ブラックトナー粒子KA1と同様に製造し、重量平均粒径(D4)が5.8μmのマゼンタトナー粒子M1を得た。
表11に示す材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、マゼンタトナーM1を得た。
Figure 0006381358
(マゼンタトナーM2の製造例)
ブラックトナー粒子KA1の製造において、カーボンブラック20.0質量部をピグメントレッド(C.I.Pigment Red)150 16.5質量部に変更した。また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した。それら以外はブラックトナー粒子KA1と同様に製造し、重量平均粒径(D4)5.8μmのマゼンタトナー粒子M2を得た。
表12材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、マゼンタトナーM2を得た。
Figure 0006381358
(ブラックトナーKB1の製造例)
ブラックトナーKA1の製造例において、顔料分散剤A1を添加せず、また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した以外は同様に製造し、ブラックトナーKB1を得た。
(ブラックトナーKB2の製造例)
ブラックトナーKA1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂1を添加せず、また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウム化合物の量を調整した以外は同様に製造し、ブラックトナーKB2を得た。
(ブラックトナーKB3、KB5〜KB8の製造例)
ブラックトナーKA1の製造例において、顔料分散剤A1をそれぞれ顔料分散剤B3、B5〜B8に変更し、また、重合反応終了後のトナー粒子の重量平均粒径が5.8μmになるようにリン酸カルシウムの量を調整した。それら以外はブラックトナーKA1の製造例と同様に製造し、ブラックトナーKB3、KB5〜KB8を得た。
〔実施例1〕
ブラックトナーKA1を現像剤とし、温度23℃、相対湿度50%環境下でA4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン(株)製、80g/m)を用いて画像評価を行った。画像形成装置としては、市販のレーザービームプリンターであるLBP−5400(商品名)(キヤノン(株)製)の改造機を用いた。評価機(改造機)の改造点は以下のとおりである。
評価機本体のギアおよびソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが360mm/秒となるようにした。
シアンカートリッジを評価に用いた。すなわち、市販のシアンカートリッジから製品のトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、ブラックトナーKA1を150g充填して評価を行った。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションからはそれぞれ製品のトナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックカートリッジを挿入して評価を行った。なお、後述する実施例31では、シアンカートリッジではなくイエローカートリッジを用いて評価を行った。また、実施例32および33では、シアンカートリッジではなくマゼンタカートリッジを用いて評価を行った。
(1)画像濃度1.40のときの紙上のトナーの載り量
定着時の温度中心値が160℃になるように前記レーザービームプリンターを改造し、A4の普通紙(商品名:GF−C081A4、キヤノンマーケティングジャパン(株)製)の紙中心に濃度測定用の10mm×10mmのベタ画像を出力した。濃度測定用の10mm×10mmのベタ画像の、マクベス反射濃度計RD918(マクベス社製)にて測定される画像濃度が、1.40になるように現像コントラストを調整した。
前記設定における紙上の未定着トナーの載り量(mg/cm)を測定し、以下のようにランク付けを行った。
Figure 0006381358
(2)高速定着時の低温定着性
前記評価機(改造機)を使用し、坪量105g/mのbusiness4200(Xerox社製)を評価紙として用いて、130℃から220℃までの温度域で設定温調を5℃おきに変化させながら、各温度においてオリジナル画像を出力した。
オリジナル画像とは、10mm四方のベタパッチ画像(トナー載り量0.90mg/cm)を、紙面を9分割したときのそれぞれ中央に配置した画像である。
続いて、各温度において出力した定着画像の耐摺擦試験を行うことで、最低定着可能温度を判断した。
最低定着可能温度とは、各パッチにおいて、定着画像濃度と定着画像を50g/cmの荷重をかけたシルボン紙で5回摺擦した後の画像濃度を測定し、求めた濃度低下率の平均値が10%以下を満たす定着状態と定義する。
なお、濃度の測定には、マクベス反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いた。
以下のようにランク付けを行った。
Figure 0006381358
(3)かぶり
前記評価機(改造機)を用い、耐久試験(定着設定温度:160℃)を行うことによってトナーの耐久性を評価した。
耐久試験では、高温高湿環境(30℃,80%RH)、常温常湿環境(23℃,50%RH)、低温低湿環境(15℃,10%RH)の各環境下において、印字比率が2%の前記オリジナル画像を1日に3000枚出力した。4日間で合計12000枚の出力を行った。なお、評価のタイミングは1000枚おきと、各評価日の最初の1枚目においてベタ白画像を出力して、下記評価基準によって行った。紙は、A4の普通紙(商品名:GF−C081A4、キヤノンマーケティングジャパン(株)製)を用いた。
REFLECTMETER MODEL TC−6DS(商品名)(東京電色社製)を用いて、標準紙とプリントアウト画像の白地部分の反射率を測定して、下記式によってかぶり(反射率[%])を算出した。フィルターは、ブルーフィルターを装着して測定した。
なお、評価基準は耐久を通しての最悪値を以下の基準によって判断した。
Figure 0006381358
(4)画像濃度の安定性
画像濃度は、カラー反射濃度計(X−RITE 404A manufactured by X−Rite Co.)で測定した。前記の高温高湿環境での画像出力試験において、1週間放置前後に、毎回、ベタ画像を1枚ずつ出力し、各画像の濃度を測定した。得られた画像濃度の内、濃度が最大のものと最小のものとの差を求め、以下の評価基準に基づいて示した。
Figure 0006381358
(5)保存安定性
保存安定性を評価するために、トナーの耐ブロッキング性の評価を実施した。約10gのトナーを100mLのポリカップに入れ、55℃で3日放置した後、以下の評価基準に基づいて目視で評価した。
Figure 0006381358
前記条件でトナー1を評価したところ、トナー1は、高速出力時の低温定着性において良好な結果を示した。また、耐ホットオフセット性、帯電均一性、かぶり、保存安定性も良好であった。結果を表18および19に示す。
〔実施例2〜33ならびに比較例1〜3および5〜8〕
実施例1において、ブラックトナーKA1を、表18および19に記載のトナーに変更し、評価した。評価結果を表18および19に示す。
Figure 0006381358
Figure 0006381358

Claims (9)

  1. ビニル系共重合体、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    前記製造方法が、水系媒体中で、重合性単量体、前記顔料、前記顔料分散剤および前記結晶性ポリエステル樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を形成し、前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る工程を有し
    前記重合性単量体が、前記ビニル系共重合体を得るための重合性単量体であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記式(4)で示される脂肪族ジカルボン酸と、下記式(5)で示される脂肪族ジオールと、を反応させることによって得られたポリエステル樹脂であり、
    Figure 0006381358
    (式(4)中、mは、4以上16以下の整数を示す。)
    Figure 0006381358
    (式(5)中、nは、4以上16以下の整数を示す。)
    前記顔料分散剤が、以下の(i)〜(viii)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法
    (i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−1.5以上+0.8以下であり、
    (ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記ビニル系共重合体のSP値(C)との差(A−C)が、−1.1以上+1.2以下であり、
    (iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と前記顔料に吸着する吸着成分とを有し、前記ポリマー成分が、ビニル系重合体であり、
    (iv)前記顔料分散剤の前記ポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000以上20000以下であり、
    (v)前記顔料分散剤の前記顔料への吸着率が、30%以上であ
    (vi)前記ポリマー成分が、下記式(6)で示されるユニットを有し、
    Figure 0006381358
    (式(6)中、R は、水素原子、または、アルキル基を示す。R は、フェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、または、カルボン酸アミド基を示す。)
    (vii)前記吸着成分が、下記式(3)で示される部分構造を有し、
    Figure 0006381358
    (式(3)中、R 、R およびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造である。
    は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ポリマー成分と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
    は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ポリマー成分と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、−NHCOC(CH −で示される2価の基、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
    Arは、アリール基、あるいは、単結合または連結基を介して前記ポリマー成分が結合する構造(この場合、アリール基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Arが前記ポリマー成分と結合する構造である場合、Arに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。)
    (viii)前記SP値(A)、前記SP値(B)および前記SP値(C)は、濁点滴定測定法により求めたSP値である。
  2. 記ポリマー成分が、下記式(1)で示されるユニットを有する請求項1に記載のトナーの製造方法。
    Figure 0006381358
    (式(1)中、Rは、水素原子、または、アルキル基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、フェニル基、アラルキル基、または、アミド基を示す。)
  3. 記ポリマー成分が、下記式(2)で示されるユニットを有する請求項1に記載のトナーの製造方法。
    Figure 0006381358
    (式(2)中、Rは、水素原子、または、アルキル基を示す。)
  4. 前記顔料分散剤の1分子当たりの前記吸着成分の個数が、1以上6以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記顔料分散剤の酸価が、10mgKOH/g以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記顔料分散剤のアミン価が、5mgKOH/g以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記顔料が、π共役平面を持つ顔料である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記顔料が、カーボンブラック、ピグメントイエロー155、ピグメントレッド122およびピグメントレッド150からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  9. ビニル系共重合体、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記式(4)で示される脂肪族ジカルボン酸と、下記式(5)で示される脂肪族ジオールと、を反応させることによって得られたポリエステル樹脂であり、
    Figure 0006381358
    (式(4)中、mは、4以上16以下の整数を示す。)
    Figure 0006381358
    (式(5)中、nは、4以上16以下の整数を示す。)
    前記顔料分散剤が、以下の(i)〜(viii)を満たすことを特徴とするトナー:
    (i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−1.5以上+0.8以下であり、
    (ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記ビニル系共重合体のSP値(C)との差(A−C)が、−1.1以上+1.2以下であり、
    (iii)前記顔料分散剤が、前記ビニル系共重合体と前記顔料に吸着する吸着成分とを有し、
    (iv)前記顔料分散剤の前記ビニル系共重合体の数平均分子量(Mn)が、3000以上20000以下であり、
    (v)前記顔料分散剤の前記顔料への吸着率が、30%以上であり、
    (vi)前記ビニル系共重合体が、下記式(6)で示されるユニットを有し、
    Figure 0006381358
    (式(6)中、R は、水素原子、または、アルキル基を示す。R は、フェニル基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、または、カルボン酸アミド基を示す。)
    (vii)前記吸着成分が、下記式(3)で示される部分構造を有し、
    Figure 0006381358
    (式(3)中、R 、R およびArのいずれかは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造である。
    は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
    は、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NR 10 で示される1価の基(R およびR 10 は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アルキル基、フェニル基、−OR で示される1価の基または−NR 10 で示される1価の基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。R が前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、R に結合する前記連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、−NHCOC(CH −で示される2価の基、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。
    Arは、アリール基、あるいは、単結合または連結基を介して前記ビニル系共重合体が結合する構造(この場合、アリール基から水素原子を1つ取り除いた構造である。)を示す。Arが前記ビニル系共重合体と結合する構造である場合、Arに結合する前記連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−で示される2価の基、−NR −で示される2価の基(R は、水素原子、アルキル基、フェニル基、または、アラルキル基を示す。)、または、−NHCH(CH OH)−で示される2価の基である。)
    (viii)前記SP値(A)、前記SP値(B)および前記SP値(C)は、濁点滴定測定法により求めたSP値である。
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