JP7475907B2 - トナー - Google Patents

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Description

本開示は、電子写真法による画像形成に使用される静電荷像現像用のトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置に対する品質要求は厳しく、トナーに要求される性能も高度なものとなっている。特に、フルカラー複写機又はフルカラープリンタなどにおいては、小型化、軽量化、省エネルギー化、高画質化及び環境対応への要求が強く求められており、耐久性や低温定着性の更なる向上が求められている。トナーとしても、より良好な耐久性や低温定着性、トナーの小粒径化、帯電性の環境差低減が求められている。
その要求に対して、重合によってトナーを製造する方法において、コア-シェル構造を有するトナーで、トナーの粒子径、平均円形度及びトナーの硬度を適正な範囲にすることで、良好な保存性と定着性が得られ、高画質で耐久性に優れたトナーの製造方法が開示されている(特許文献1)。
また、特定の一次粒径でかつ、特定の樹脂を含有する外添剤を外添することで長期間の使用において優れた現像性を示すトナーが開示されている(特許文献2)。
また、シリコーンオイルを含有するエラストマー粒子と特定の元素を含有するチタン酸化物を外添することで放置後のカブリや画像濃度低下を抑制するトナーが開示されている(特許文献3)。
また、特定の粒径かつ粒径分布のシリコーン樹脂粒子と特定の粒径の正帯電性無機微粒子を特定の部数外添することで帯電性の環境安定性が優れ、印字耐久性の優れたトナーが開示されている(特許文献4)。
特開2007-171272号公報 特開2018-54961号公報 特開2017-62316号公報 特開2013-140235号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、上記特許文献1は、高温高湿環境下や低温低湿環境下においては、耐久性に関して課題が存在している。
また、上記特許文献2は、高温高湿環境下や低温低湿環境下においては、耐久性に関して課題が存在し、定着性に関しても課題が存在している。
また、上記特許文献3及び4は、低温低湿環境下においては、耐久性に関して課題が存在し、定着性に関しても課題が存在している。
また、上記特許文献のいずれにおいても、定着画像の長期保存安定性に関しては言及されていない。
本開示は、耐久性、定着性及び得られた定着画像の長期保存安定性に優れたトナーを提供することにある。
すなわち、本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子、及び該トナー粒子表面の有機ケイ素重合体粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、
該結着樹脂中の該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、2.0質量%以上55.0質量%以下であり、
該有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)と該結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)の差の絶対値|SPcpes-SPsi|が、2.00(cal/cm1/2以下であり、
該有機ケイ素重合体粒子の温度30℃、湿度80%RHにおける、吸着水分量が、20mg/g以下であるトナーに関する。
本開示によれば、耐久性、定着性及び得られた定着画像の長期保存安定性に優れたトナーを提供できる。
混合処理装置の一例 混合処理装置に使用される撹拌部材の構成の一例 メタノール濃度に対する透過率を示したグラフ
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
結着樹脂を含有するトナー粒子、及び該トナー粒子表面の有機ケイ素重合体粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、
該有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)と該結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)の差の絶対値|SPcpes-SPsi|が、2.00(cal/cm1/2以下であり、
該有機ケイ素重合体粒子の温度30℃、湿度80%RHにおける、吸着水分量が、20mg/g以下であるトナーにより上記効果が得られる。
上記効果が発現する理由について、本発明者らは次のように考えている。
トナー粒子中に結晶性ポリエステル樹脂が含有されていると、定着性と保存性に優れるが、得られた定着画像を長期保管しておくと、定着画像の表面に結晶性ポリエステル樹脂が再結晶化しやすい。そのため、定着画像表面が荒れ、平滑性が低下するため、光沢性が低下するという課題が発生することがわかった。
そこで、結晶性ポリエステル樹脂を含有したトナー粒子の表面に、上記特定のSP値差及び吸着水分量を有する有機ケイ素重合体粒子を存在させることで、得られる定着画像表面にも有機ケイ素重合体粒子が存在し、定着画像表面において結晶性ポリエステル樹脂同士の再結晶化を抑制できることを見出した。
有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)は、結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)と近いことから、これらは馴染みやすい。さらに、有機ケイ素重合体粒子の表面が水分子と馴染みにくいことで、定着画像中の結晶性ポリエステル樹脂が有機ケイ素重合体粒子に接するように分布した上で、表面エネルギーを低下させて結晶性ポリエステル樹脂同士の再結晶化を抑制する。
特に、定着画像内部の有機ケイ素重合体粒子表面だけでなく、定着画像表面に露出している有機ケイ素重合体粒子表面も大気中の水分などに阻害されることなく、有効に結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化の抑制に作用するため上記効果が十分に得られる。
結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)と有機ケイ素重合体粒子のSP値(
SPsi)との差の絶対値|SPcpes-SPsi|は2.00(cal/cm1/2以下である。該SP値差が2.00を超えると、結晶性ポリエステル樹脂と有機ケイ素重合体粒子が馴染みにくいため、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化の抑制効果が低い。
|SPcpes-SPsi|は、好ましくは1.90(cal/cm1/2以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0.05(cal/cm1/2以上であり、より好ましくは0.10(cal/cm1/2以上である。
また、有機ケイ素重合体粒子の温度30℃、湿度80%RHにおける、吸着水分量は、20mg/g以下である。該吸着水分量が20mg/gを超えると、定着画像表面に露出している有機ケイ素重合体粒子表面が大気中の水分により有効活用されないため、上記効果が小さくなる。
該吸着水分量は、好ましくは15mg/g以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは3mg/g以上であり、より好ましくは5mg/g以上である。該吸着水分量は、有機ケイ素重合体粒子の製造条件により制御できる。
有機ケイ素重合体粒子の疎水化度
有機ケイ素重合体粒子のメタノール/水混合溶媒を用いた濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度は、45体積%~80体積%であることが好ましく、50体積%~70体積%であることがより好ましい。
有機ケイ素重合体粒子の疎水化度は、有機ケイ素重合体粒子の疎水化処理の条件を含め有機ケイ素重合体粒子の製造条件により制御できる。
有機ケイ素重合体粒子が水分を吸着しにくいことで結晶性ポリエステル樹脂の定着画像表面での再結晶化を抑制することに効果があるだけでなく、適度に疎水性であることから帯電性に優れる。これは、トナー表面に上記疎水化度の有機ケイ素重合体粒子が存在する場合、有機ケイ素重合体粒子表面が、大気中の水分を介して適度に分極されるためである。
有機ケイ素重合体粒子の含有量
有機ケイ素重合体粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.3質量部~10.0質量部であることが好ましく、0.7質量部~8.0質量部であることがより好ましい。当該範囲であると、上記効果を発現するのに十分な量の有機ケイ素重合体粒子が存在し、かつ定着性も優れる。
有機ケイ素重合体粒子の粒径
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径は、10nm以上500nm以下であることが好ましく、30nm以上300nm以下であることがより好ましい。
該個数平均粒径が上記範囲であると、長期使用においても有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子表面に埋没しにくいため耐久性に優れる。さらに、定着画像表面にも有機ケイ素重合体粒子が存在するため、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化を抑制する効果が大きい。
また、定着画像表面付近に存在する有機ケイ素重合体粒子の表面積が十分に大きいため、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化を抑制する効果が大きい。
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径は、有機ケイ素重合体粒子の製造条件を変更することで制御することができる。
有機ケイ素重合体粒子の組成
有機ケイ素重合体粒子は、好ましくはケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、好ましくは下記式(1)で表されるT3単位構造を有している
-SiO3/2 ・・・(1)
(式(1)中、Rは炭素数が1~6(好ましくは1~4、より好ましくは1又は2)の
アルキル基又はフェニル基を表す。)
有機ケイ素重合体粒子の29Si-NMR測定において、有機ケイ素重合体粒子に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.50~1.00であることが好ましい。より好ましくは0.70~1.00である。
上記範囲であると、有機ケイ素重合体粒子の架橋密度や式(1)中のR部分の疎水基のバランスが良い。そのため、有機ケイ素重合体粒子が十分な硬度と弾性を有するために耐久性に優れ、かつ結晶性ポリエステル樹脂との馴染みも良いために、定着画像中の結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化を抑制する効果が大きい。
また、トナー粒子がワックスを含有する場合は、特に式(1)中のR部分の疎水基の効果により、定着時にワックスの染み出しを促進することになるため定着性にも優れる。
有機ケイ素重合体粒子がポリアルキルシルセスキオキサン粒子であることが好ましい。有機ケイ素重合体粒子がポリアルキルシルセスキオキサン粒子であると、アルキル基と結晶性ポリエステル樹脂の脂肪族部分である炭化水素部分との親和性が適切であるため、定着性が良好になる。
特にアルキル基の炭素数が1以上4以下であると結晶性ポリエステル樹脂との親和性が適度であるため、上記効果を発現しやすい。
有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)(cal/cm1/2は7.80以上11.50以下が好ましく、8.40以上10.00以下がより好ましい。
有機ケイ素重合体のSP値が大きいほど、T3単位構造を含む下記式(B)及び(A)の割合が多くなり、SP値が小さいほど下記式(C)及び(D)の割合が多くなる。
従って、有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)(cal/cm1/2が7.80以上11.50以下であると、T3単位構造が適正な割合含まれるだけでなく、下記式(A)、(C)、(D)の単位構造の割合が適正であるため、有機ケイ素重合体の架橋密度が適正な範囲となる。そのため、有機ケイ素重合体粒子が耐久性に優れた硬度及び弾性を有する。さらにトナー粒子がワックスを含有する場合、ワックスが定着時に染み出す際に、有機ケイ素重合体粒子の内部にワックス分子が浸透しやすいため、長期耐久性と定着性を両立しやすい。
Figure 0007475907000001
(式(A)~(D)中のR、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、
炭素数が1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、炭素数が1以上6以下のアルコキシ基を表す。R、R及びRのうち少なくとも1つは炭素数が1以上6以下のアルキル基を表す。)
有機ケイ素重合体粒子は、下記式(2)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 0007475907000002
(式(2)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6(好ましくは1~4、より好ましくは1又は2)のアルキル基、フェニル基、又は反応基(例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基)を表す。)
有機ケイ素重合体粒子を得るには、
式(2)の一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、
式(2)中のRがアルキル基又はフェニル基であり、3つの反応基(R、R、R)を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、
式(2)中のR、Rがアルキル基又はフェニル基であり、2つの反応基(R、R)を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)、
式(2)中のR、R、Rがアルキル基又はフェニル基であり、1つの反応基(R)を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を用いることができる。
T3単位構造に由来するピークの面積の割合を、0.50~1.00とするためには、有機ケイ素化合物として三官能性シランを50モル%以上使用することが好ましい。
式(2)のRは、炭素数1~6(好ましくは1~4、より好ましくは1又は2)のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立して、反応基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基であることが好ましい。
これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、有機ケイ素重合体粒子を得ることができる。R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
三官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチル
メトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、ペンチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
二官能性シランとしては、ジ-tert-ブチルジクロロシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一官能性シランとしては、t-ブチルジメチルクロロシラン、t-ブチルジメチルメトキシシラン、t-ブチルジメチルエトキシシラン、t-ブチルジフェニルクロロシラン、t-ブチルジフェニルメトキシシラン、t-ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
有機ケイ素重合体粒子のシラノール比率
有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合が40.0mol%以下であると好ましい。2.0mol%以上40.0mol%以下であるとより好ましい。
有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合が40.0mol%以下であると、有機ケイ素重合体粒子と結晶性ポリエステル樹脂との馴染みが良く、結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化を抑制する効果が大きい。
有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合が2.0mol%以上40.0mol%以下であると、有機ケイ素重合体粒子中に適度に該酸素原子が存在するため、適度に分極しやすく帯電性に優れる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂が、下記構造(a)及び(b)の少なくとも一方又は両方を有することが好ましい。
(a)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造
(b)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造。
結晶性ポリエステル樹脂のエステル結合部位の間隔が短い部分が存在する場合、有機ケイ素重合体粒子中のシラノール基が少ない方が特に高温高湿環境下において電荷をリークしにくいため、帯電性が良好になる。
有機ケイ素重合体粒子の固着指数
下記式(I)で計算されるポリカーボネート膜に対する有機ケイ素重合体粒子の固着指数が、4.5以下であることが好ましい。より好ましくは4.3以下である。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.5以上である。
上記範囲であると、トナーが現像され定着される過程で有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子に強固に固着していることを示す。すなわち、有機ケイ素重合体粒子が、脱離しにくく、定着画像中に効率良く存在することになるため、上記効果が大きくなる。
有機ケイ素重合体粒子の固着指数は、有機ケイ素重合体粒子を添加するときの製造条件を変更することで制御することができる。
固着指数=ポリカーボネート膜に移行した有機ケイ素重合体粒子の面積率A/トナー粒子表面における有機ケイ素重合体粒子の被覆率B×100 ・・・(I)
トナー粒子表面における有機ケイ素重合体粒子の被覆率は、15面積%以上であると好ましい。より好ましくは25面積%以上である。上限は特に制限されないが、65面積%以下であることが好ましく、55面積%以下であることがより好ましい。
該被覆率が30面積%以上であると定着画像表面及びその近傍に有機ケイ素重合体粒子が十分存在することになるため、上記効果が十分に発現される。
有機ケイ素重合体粒子の被覆率は、有機ケイ素重合体粒子の添加量や外添時に用いる製造装置や外添条件により制御できる。
有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数
有機ケイ素重合体粒子のトナー表面における分散度評価指数が、0.5以上2.0以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以上1.5以下である。
上記範囲であると、有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子表面において適度に凝集しながらも、均一気味に分散していることになる。そのため、長期使用においても有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子に埋没しにくい状態でトナー粒子表面にほぼ均一に分布していることになる。そのため、定着画像表面においても、有機ケイ素重合体粒子がほぼ均一に分散して存在する。そのため、長期使用においても上記効果を幅広い範囲で均一発揮できる。
有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数は、有機ケイ素重合体粒子を添加するときの製造条件を変更することで制御することができる。
有機ケイ素重合体粒子の形状係数SF-1は、120以下であることが好ましい。より好ましくは115以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは103以上であり、より好ましくは107以上である。
形状係数SF-1が120以下であると、トナー粒子に付着した有機ケイ素重合体粒子に対して外力が掛かっても力が均一に掛かり、トナー粒子表面への有機ケイ素重合体粒子の接触面の分布が均一となる。そのため、耐久性の点でも、ワックスの染み出しの点でも効果がより一層大きくなる。また、帯電性の点でも優れる。
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径をDsiとし、トナー粒子の個数平均粒径(D1)をDtとしたとき、Dtに対するDsiの比(Dsi/Dt)が、0.0040以上0.0750以下であることが好ましく、0.0100以上0.0500以下であることがより好ましく、0.0125以上0.0250以下であることがさらに好ましい。
該比が上記範囲であると、有機ケイ素重合体粒子がトナー粒子表面から脱離しにくく、かつ埋め込まれにくい。そのため、トナー粒子がワックスを含む場合、長期使用においてワックスの染み出しが適度になる。また、この範囲であると定着性と耐久性を両立しやすい。
有機ケイ素重合体粒子の製法は特に限定されず、例えば水に有機ケイ素化合物を滴下し
、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られた懸濁液を濾過、乾燥し得ることができる。触媒の種類、配合比、反応開始温度、滴下時間などにより、有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径をコントロールすることができる。
触媒として酸性触媒は塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒はアンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
有機ケイ素重合体粒子は、次の方法により製造することが好ましい。
(i)有機ケイ素化合物を加水分解し、加水分解物を得る工程、
(ii)得られた加水分解物に、必要に応じてアルカリ性水系媒体を混合して、加水分解物を重縮合反応させ、有機ケイ素重合体粒子を分散させた分散液を得る工程
を有することが好ましい。
場合によっては、さらに、有機ケイ素重合体粒子分散液に疎水化剤を配合してその表面を疎水化処理してもよい。
第1の工程は、例えば、水に触媒となる酸性又はアルカリ性の物質を溶解させた水溶液中において、有機ケイ素化合物と触媒とを、撹拌、混合等の方法で接触させることにより行う。
触媒としては公知の触媒を好適に使用することができる。具体的には、触媒として酸性触媒は塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒はアンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
触媒の使用量は、有機ケイ素化合物及び触媒の種類によって適宜調整すればよいが、有機ケイ素化合物を加水分解する場合に用いる水の量100質量部に対して、好ましくは1×10-3質量部~1質量部の範囲で選ばれる。水の使用量は、有機ケイ素化合物1モルに対して2モル~15モルが好ましい。
反応温度はとくに制限されず、常温又は加熱状態で行ってもよいが、短時間で加水分解物が得られ、かつ生成した加水分解物の部分縮合反応を抑制できることから、10℃~60℃に保持した状態で反応を行うことが好ましい。
反応時間はとくに制限されず、用いる有機ケイ素化合物の反応性や、有機ケイ素化合物と酸と水とを調合した反応液の組成、生産性を考慮して適宜選択すればよい。
有機ケイ素重合体粒子の製造方法では、第2の工程として、上記第一工程で得られた原料溶液と、(必要に応じ有機溶媒を含有する)アルカリ性水系媒体とを混合して、加水分解物を重縮合反応させる。これにより重縮合反応液を得る。アルカリ性水系媒体は、アルカリ成分と、水と、必要に応じて有機溶媒とを混合して得られる。
アルカリ性水系媒体に使用されるアルカリ成分は、その水溶液が塩基性を示すものであり、第1の工程で用いられた触媒の中和剤として、また第2の工程の重縮合反応の触媒として作用するものである。
アルカリ成分としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;アンモニア;及びモノメチルアミン、ジメチルアミンのような有機アミン類を例示することができる。
アルカリ成分の使用量は、酸を中和し、重縮合反応の触媒として有効に作用する量であり、例えばアルカリ成分としてアンモニアを用いた場合には水と有機溶媒との混合物100質量部に対して、通常は0.01質量部以上12.5質量部以下の範囲で選ばれる。
第2の工程においては、アルカリ性水系媒体を調製するために、アルカリ成分及び水に加えて、さらに有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒は水に対して相溶性を有するものであれば、特に制限されないが、常温、常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する
有機溶媒が好適である。
具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物等が挙げられる。
以上に挙げた有機溶媒の中でも、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。さらには、加水分解、脱水縮合反応の観点から、脱離生成するアルコールと同一のアルコールを有機溶媒として選択するのがより好ましい。
得られた重縮合反応液から有機ケイ素重合体粒子を回収する方法は、公知の方法を特に制限なく使用することができる。例えば浮遊する粉体をすくい取ることもできるし濾過法を採用してもよいが、操作が簡便であることから濾過法が好ましい。濾過の方法は特に制限されず、減圧濾過や遠心濾過、加圧濾過等、公知の装置を選択すればよい。濾過で使用する濾紙やフィルター、濾布等は、工業的に入手可能なものであれば特に制限されることはなく、使用する装置に応じて適宜選択すればよい。
回収した有機ケイ素重合体粒子の粉体はそのまま使用することもできるが、不純物の少ない有機ケイ素重合体粒子が得られるために、粉体を乾燥して使用することが好ましい。粉体の乾燥方法は特に制限されず、送風乾燥や減圧乾燥等公知の方法から選択できる。その中でも特に減圧乾燥は、解れ易い乾燥粉末が得られるためより好ましい。
乾燥温度は、有機ケイ素重合体粒子に含まれるアルキル基などの官能基が分解しない温度であれば、特に制限されず、好ましくは65℃~350℃の範囲、より好ましくは80℃~250℃の範囲より、好適な温度を適宜設定すればよい。
また、乾燥時間は特に制限されないが、2時間~48時間にすることにより、十分乾燥した疎水化球状有機ケイ素重合体粒子を得ることができる。
有機ケイ素重合体粒子はシランカップリング剤やシリコーンオイルなど公知の手段により表面処理を行い、疎水化度の調整を行ってもよい。
[結着樹脂]
結着樹脂は結晶性ポリエステル樹脂以外に非晶性樹脂を含む。非晶性樹脂は、特に限定されず、例えば、下記の重合体などを用いることが可能である。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
特に、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエステル樹脂が好ましい。
〔重合性単量体〕
スチレン系共重合体に使用する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることができる。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用する。
スチレン以外に用いる重合性単量体としてはスチレン誘導体、n-ブチルアクリレートや2-エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体、又はn-ブチルメタクリレートや2-エチルヘキシルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体が好ましい。これは重合性単量体を重合して得られる結着樹脂の強度や柔軟性の点で優れているためである。
非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン系共重合体からなる群から選択される少なくとも一を含むことが好ましく、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン系共重合体からなる群から選択される少なくとも一であることがより好ましい。また、非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、非晶性ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
スチレン系共重合体は、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体からなる群から選択される少なくとも一、並びにスチレンの重合体であることが好ましい。
結着樹脂中の非晶性樹脂の含有量は、好ましくは、50.0質量%以上96.0質量%以下が好ましく、65.0質量%以上92.0質量%以下がより好ましい。
非晶性樹脂のSP(SPapes)(cal/cm1/2は、9.50~11.00であることが好ましく、9.80~10.60であることがより好ましい。
SPcpesとSPapesの差の絶対値(|SPcpes-SPapes|)は、0.05~1.10であることが好ましく、0.10~0.60であることがより好ましい。
上記SP値差の絶対値を満たすことで、定着時にはこれらの樹脂がトナー表面で迅速に相溶し、定着時以外では適度に相分離しているため、低温定着性と保存性が両立できる。
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000~100,000であることが好ましく、6,500~85,000であることがより好ましく、6,500~45,000であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が6,000以上であると、連続画像出力においてトナー表面の有機ケイ素重合体粒子が耐久使用によって埋没しにくく、転写性の低下を抑えられる。
重量平均分子量が100,000以下であれば、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナーが得やすくなる。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、カルボン酸成分とアルコール成分からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
好ましい製造方法は、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸成分とアルコール成分の脱水縮合反応である。
非晶性ポリエステル樹脂は、全成分中43mol%~57mol%がアルコール成分であり、43mol%~57mol%が酸成分であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂を製造する上で、公知のアルコール成分を用いることができる。アルコール成分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(A)で示されるビスフェノー誘導体、又は下記式(B)で示されるジオールのようなジオール類が挙げられる。
Figure 0007475907000003
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ0以上の整数を示し、かつx+yの平均値は0以上10以下を示す。)
Figure 0007475907000004
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル-P・P’-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸,ジフェニルメタン-P・P’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸,1,2-ジフェノキシエタン-P・P’-ジカルボン酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
特に好ましいアルコール成分としては前記(A)式で示されるビスフェノール誘導体、エチレングリコールである。好ましい酸成分としては、テレフタル酸、又はその無水物、こはく酸、n-ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸のようなジカルボン酸が挙げられる。特にテレフタル酸、フマル酸が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを使用してもよい。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4-メタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
3価以上のポリカルボン酸は全酸モノマーユニットを基準として、10.00mol%以下であると好ましい。また同様に、3価以上のポリオールは全アルコールモノマーユニットを基準として、10.00mol%以下であると好ましい。当該範囲であると、架橋による不溶分が少ないため顔料分散性の点で好ましい。また、分岐型のポリエステル樹脂の割合が少なく、強度に優れるため耐久性の点で好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は芳香族系飽和ポリエステルであると好ましい。トナーの帯電性、耐久性、定着性に優れ、トナー及びポリエステルの物性の制御が容易であるためである。特に芳香族の有するπ電子の相互作用により帯電性に優れる。また、架橋しにくいことで定着性が良好になる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量
結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、4.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以上35.0質量%以下がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有比率がこの範囲であると、定着性と保存性が両立できるだけでなく、帯電性も良好になる。
結晶性ポリエステル樹脂のSP値
結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)が9.25以上10.80以下であると好ましく、9.60以上10.80以下であることがより好ましく、9.70以上10.55以下であることがより一層好ましい。
SPcpesが小さいほど結晶性ポリエステル樹脂の極性が小さく、大きいほど極性が大きいことを示す。そのため、SPcpesが上記範囲であると、結晶性ポリエステル樹脂の極性が適切なため帯電性の点で好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、好ましくは2価以上の多価カルボン酸と2価以上のアルコールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。結晶性ポリエステルは、1種類のみを用いても、複数種を併用してもよい。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n-ドデシルコハク酸、n-デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられる。
また、上記の成分の他に三価以上の多価カルボン酸を用いてもよい。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。
これらは1種単独、又は、2種以上併用してもよい。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタジエングリコールその他が挙げられる。
また、上記成分の他に、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の二価のアルコール、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトール
、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価のアルコール等を用いてもよい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらは1種単独、又は、2種以上併用してもよい。
脂肪族ジカルボン酸は、下記式(4)で示される直鎖型脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。脂肪族ジオールは、下記式(5)で示される直鎖型脂肪族ジオールであることが好ましい。
HOOC-(CH-COOH (4)
[式中、mは、2~16の整数を示す]
HO-(CH-OH (5)
[式中、nは、2~16の整数を示す]
直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び低温定着性に優れる。また、炭素数が2以上であると、融点(Tm)が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び低温定着性に優れる。炭素数が16以下であると、実用上の材料の入手が容易である。上記ジカルボン酸及びジオールにおける炭素数としては14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの組成
結晶性ポリエステル樹脂は、下記構造(a)及び(b)の少なくとも一方又は両方を有することが好ましい。
(a)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造
(b)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジオールが縮重合した構造を有することがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジオール及び炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一、炭素数2以上12以下(好ましくは4以上10以下)のα,ω-直鎖脂肪族ジオール、並びに炭素数2以上12以下(好ましくは4以上10以下)のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸の縮重合体であることがより好ましい。
これは、定着時のシャープメルト性と溶融粘度が低いことから低温定着性と保存性の両立の点で望ましいためである。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の点で、カルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の点で、アルコール成分のうち、脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることがさらに好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得る
ことができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
また、ポリマー末端のカルボキシル基を封止することで結晶性ポリエステルの酸価を制御することもできる。末端封止にはモノカルボン酸、モノアルコールを用いる事ができる。
モノカルボン酸としては例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
また、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び、高級アルコールが使用可能である。
また、結晶性ポリエステル部位に対して、他成分を60質量%以下(好ましくは40質量%以下)の割合で共重合(変性)した共重合体も結晶性ポリエステル(ハイブリッド結晶性ポリエステル)樹脂とする。
結晶性ポリエステルが他成分を重合した共重合体部位を有する場合、共重合体部位が非晶性ビニル系共重合体であることが好ましい。ビニル系重合性単量体は上述のものを使用しうる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC吸熱ピーク)は、50.0℃以上90.0℃以下であることが好ましい。上記範囲であると、トナー粒子が凝集しにくく、トナー粒子の保存性、定着性が維持でき、かつ重合法によりトナー粒子を製造する場合に重合性単量体への溶解性が高くなる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点(DSC吸熱ピーク)は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。また結晶性ポリエステル樹脂の融点は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,000以上35,000以下であることが好ましく、10,000以上35,000以下であるとより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)を有する結晶性ポリエステルによれば、得られるトナー粒子において、結晶性ポリエステル樹脂の分散性が向上され、耐久安定性が向上する。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が5,000以上の場合では、結晶性ポリエステルの密度が高くなり、耐久安定性が向上する。一方、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が35,000以下の場合には、結晶性ポリエステル樹脂の溶融が迅速に行われ、分散状態が均一になるために、現像安定性が向上する。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、使用するアルコール単量体やカルボン酸単量体の種類、重合時間や重合温度等によって調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(AV)は0.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.0mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下であるとより好ましく、0.0mgKOH/g以上5.0mgKOH/g以下であるとさらに好ましい。
酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性は向上する。また
重合法によりトナー粒子を製造する場合、結晶性ポリエステル樹脂の酸価(AV)が20.0mgKOH/g以下であると、トナー粒子同士の凝集が起こりにくくなる傾向にある。また、トナー中における該結晶性ポリエステル樹脂の分布状態に偏りが出にくくなるため、帯電安定性及び耐久安定性が向上する。
[ワックス]
トナーには、ワックスを用いてもよい。ワックスは特に制限されず、公知のワックスを使用することができる。
例えばパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素ワックス、ポリメチレンワックス、アミドワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びキャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物のような誘導体など公知のワックスを用いることが可能である。
これらは単独又は併せて用いることができる。好ましくは炭化水素ワックスである。トナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
ワックスの少なくとも1つは、融点が65℃以上120℃以下であることが好ましく、65℃以上90℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体のワックスであることが好ましく、特に、融点が65℃以上90℃以下の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性及び耐オフセット性の点から好ましい。
トナー中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下が好ましい。ワックスの含有量が上記下限値以上であるとオフセット防止効果が低くならない。含有量が上記上限値以下の場合は耐ブロッキング効果が低下せず、耐オフセット効果が得られやすく、トナーのドラム融着やトナーの現像スリーブ融着を抑制できる。
なお、上記物性を求めるにあたって、ワックスをトナーから抽出することを必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法を用いることができる。例えば、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、示差走査熱量計(DSC)などにより定量分析を行う。具体的には、TAインスツルメンツジャパン社製DSC-2920を用いて測定を行う。測定時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得る。
(荷電制御剤)
トナーには、公知の荷電制御剤を使用することができる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(顔料)
トナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤として例えば顔料及び染料が挙げられる。
シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、並びに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下
のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3及び15:4。
マゼンタ系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド31、32、122、150、254、264及び269。
イエロー系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー74、93、120、139、151、155、180及び185。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、並びに、上記イエロー系、マゼンタ系及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
顔料がカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122、150、32、269、C.I.ピグメントイエロー155、93、74、180及び185であると上記効果が得られやすい。特に望ましくはカーボンブラック、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントレッド122である。カーボンブラックの場合は、pHが6以上で吸油量(DBP)が30(ml/100g)以上120(ml/100g)以下であると好ましい。
これら着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
トナーには、上記効果を阻害しない範囲で各種特性付与を目的として公知の様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の3/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
これら添加剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。これらの添加剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
また、これらの添加剤は疎水化処理されていてもよい。疎水化処理の方法としては、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることが好ましい。高湿下での無機微粉体の水分吸着を抑制することができ、さらには、規制部材や帯電部材などの汚染が抑制することができるため、高品位の画像が得られるためである。
有機ケイ素重合体粒子のトナー粒子表面への固着状態、分散状態を制御するための製造方法について説明する。
好ましくはトナー粒子表面に有機ケイ素重合体粒子を一定以上埋め込まずに強固着させる。外添剤をトナー粒子に固着させる際、その固着力は、外添剤とトナー粒子との接触面積と、外添剤とトナー粒子の種類によって決まる、単位面積当たりの固着力によって決定される。
有機ケイ素重合体粒子は表面自由エネルギーが低く、離形性が高いため、単位面積当たりの固着力は低い。そのため、固着力を上げるには、接触面積を大きくする必要があるが、有機ケイ素重合体粒子のもつ弾性回復力のため、衝撃を与えてもトナー粒子の変形が進まず、接触面積はあまり増加しない。
一度の衝撃力を上げ、かつ連続的に衝撃を加えれば、固着力を上げることができるが、有機ケイ素重合体粒子が埋め込まれてしまう。そこで、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体粒子を一定以上埋め込まずに強固着させるためには、熱により固着率を高めることが好ましい。熱をかけることで、トナー粒子表面をわずかに変形させ、有機ケイ素重合体粒子とトナー粒子表面の微小な空隙を埋めることができ、トナー粒子表面に埋没させず接触面積が増加し、固着力を上げることができる。
さらに、有機ケイ素重合体粒子を適度に親水化した後に、熱により固着率を高めることがより好ましい。ここでの親水化とは、シラノール基由来などの水酸基の存在量を適正化することで、表面を親水化することである。
親水化することで、有機ケイ素重合体粒子の機械的性質を変化させずに、トナー粒子と有機ケイ素重合体粒子との単位面積当たりの固着力を上げることができる。表面改質後に熱をかけることで、単位面積当たりの固着力が高い状態で、有機ケイ素重合体粒子とトナー粒子の微小な空隙を埋め、有機ケイ素重合体粒子を一定以上埋め込むことなく接触面積を増加させることができる。
そのため、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体粒子を一定以上埋没させずに、より固着率を上げることができる。熱と衝撃力を同時に加えることで、有機ケイ素重合体粒子の埋め込み深さを有機ケイ素重合体粒子の粒径に応じて制御することもできる。
該加温工程の温度をT(℃)、該トナー粒子のガラス転移温度をTg(℃)とした時、加温工程の温度Tは、Tg-10(℃)≦T≦Tg+5(℃)を満たすことが好ましく、Tg-5(℃)≦T≦Tg+5(℃)を満たすことがより好ましい。当該範囲であると、有機ケイ素重合体粒子のトナー粒子に対する分散状態及び固着状態を最適に制御しやすい。
加温時間は特に限定されないが、好ましくは、3分~30分であり、より好ましくは、3分~10分である。また、トナー粒子のガラス転移温度Tgは、保存性の観点から、40℃~70℃が好ましく、より好ましくは50℃~65℃である。
加温工程に用いる装置としては、混合機能を有している装置が好ましく、公知の混合処理装置を用いることができるが、図1に示すような混合処理装置1が特に好ましい。
図1は、加温工程で用いることができる混合処理装置1の一例を示す模式図である。
一方、図2は、混合処理装置1に使用される攪拌部材の構成の例を示す模式図である。
混合処理装置1は、複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31とを有する。
本体ケーシング31の内周部と、撹拌部材33との間隙(クリアランス)では、トナー粒子に効率的に熱を加えるとともに、トナー粒子に均一にシェアを与え、有機ケイ素重合体粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子の表面に固着させることができる。
また、この混合処理装置は、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下である。図1は、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径(回転体32から攪拌部材33を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下であると、トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっている有機ケイ素重合体粒子を十分に分散させることが可能となる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが好適である。クリアランスのサイズは、本体ケーシング31の内周部の径の1%~5%にするこ
とが、トナー粒子に効率的に熱を加えるという点で好適である。具体的には、本体ケーシング31の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm~5mm程度とし、本体ケーシング31の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm~30mm程度とすればよい。
図2に示すように、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、回転体32の回転に伴ってトナー粒子を回転体の軸方向の一方向に送る、送り用攪拌部材33aとして形成される。また、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、回転体32の回転に伴ってトナー粒子を回転体の軸方向の他方向に戻す、戻し用攪拌部材33bとして形成されている。ここで、図1のように、原料投入口35と製品排出口36が本体ケーシング31の両端部に設けられている場合には、原料投入口35から製品排出口36へ向かう方向(図1で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図2に示すように、送り用攪拌部材33aの板面は送り方向43にトナー粒子を送るように傾斜している。一方、攪拌部材33bの板面は、戻り方向42にトナー粒子を送るように傾斜している。
これにより、送り方向43への送りと、戻り方向42への送りとを繰り返し行いながら、加温処理を行う。また、攪拌部材33aと33bは、回転体32の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図2に示す例では、攪拌部材33a、33bが回転体32に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120°の間隔で3枚、あるいは90°の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図2に示す撹拌部材の例では、攪拌部材33aと33bは等間隔で、計12枚形成されている。
図2において、Dは攪拌部材の幅を示し、dは攪拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナー粒子を送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、Dは、回転体32の長さに対して20%~30%程度であることが好ましい。図2は、回転体32の長さに対するDが23%である例を示す。攪拌部材33aと攪拌部材33bは、攪拌部材33aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、攪拌部材33bと攪拌部材33aの重なり部分dをある程度有することが好ましい。
これにより、トナー粒子の表面に有機ケイ素重合体粒子を効率的に分散させることができる。Dに対するd((d/D)×100)は、10%~30%であることが、適切なシェアをかける点で好ましい。
羽根の形状に関しては、図2に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、例えば、曲面を有する形状や、先端羽根部分が棒状アームで回転体32に結合されたパドル構造の形状であってもよい。
以下、図1及び図2に示す装置の模式図に従って、さらに詳細に説明する。
図1に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体32を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31を有する。さらに、本体ケーシング31の内側にあり、かつ回転体端部側面310に隣接している、冷熱媒体を流すことのできるジャケット34を有している。
また、図1に示す混合処理装置は、さらに、本体ケーシング31の上部に形成された原料投入口35と、本体ケーシング31の下部に形成された製品排出口36とを有している。原料投入口35は、トナー粒子及び有機ケイ素重合体粒子を導入するために使用される。製品排出口36は外添混合処理されたトナーを本体ケーシング31から外に排出するた
めに使用される。
図1に示す混合処理装置は、原料投入口35の内部に、原料投入口用インナーピース316が挿入されており、製品排出口36の内部に、製品排出口用インナーピース317が挿入されている。
まず、原料投入口35から原料投入口用インナーピース316を取り出し、トナー粒子及び有機ケイ素重合体粒子を原料投入口35より処理空間39に投入し、原料投入口用インナーピース316を挿入する。次に、駆動部38により回転体32を回転させ(41は回転方向を示す)、投入した処理物を、回転体32の表面に複数設けられた攪拌部材33により攪拌し、混合しながら加温混合処理する。
さらに、ジャケット34に所望の温度の温水を通すことで、加温を行うことができる。温水の温度は、原料投入口用インナーピース316の内部に設置した熱電対でモニターする。
トナーを安定的に得るためには、原料投入口用インナーピース316の内部の温度T(熱電対温度;℃)は、トナー粒子のガラス転移温度をTg(℃)として、Tg-10(℃)≦T≦Tg+5(℃)の条件が好ましく、さらにはTg-5℃≦T≦Tg+5℃がより好ましい。
加温工程で達成した有機ケイ素重合体粒子の埋め込み状態から、さらに埋め込むことなく、熱により表面のわずかな溶融を促進させることが好ましい。よって、トナーに機械的衝撃力を与えない方が好ましい。一方で有機ケイ素重合体粒子の被覆状態を均一にする為には、最低限の動力は必要であり、
駆動部38の動力は、トナー粒子投入時の動力(W)から、トナー粒子を投入していない時に運転した空動力(W)を差し引き、トナー粒子投入量(g)で割った値を示す。
処理時間は、加温する温度にもよるため、特に限定されないが、好ましくは、3分~30分であり、より好ましくは、3分~10分である。上記範囲に制御することで、トナー強度と固着を両立しやすくなる。
攪拌部材の回転数は、上記動力と連動するため、上記動力が1.0×10-4W/g~1.0×10-1W/gの範囲内であれば特に限定されない。図1に示す装置の処理空間39の容積が2.0×10-3の装置において、攪拌部材33の形状を図2のものとしたときの攪拌部材の回転数としては、有機ケイ素重合体粒子の被覆状態を均一にする為には、50rpm~500rpmであることが好ましい。より好ましくは、100rpm~300rpmである。
混合処理終了後、製品排出口36内の、製品排出口用インナーピース317を取り出し、駆動部38により回転体32を回転させ、製品排出口36からトナーを排出する。必要に応じて円形振動篩機などの篩機でトナーの粗粒などを分離してもよい。
混合処理装置1の装置を用いて加温工程により有機ケイ素重合体粒子を固着する場合は、事前に外添工程で有機ケイ素重合体粒子を外添することが好ましい。
外添工程では、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)などの公知の混合機を用いて、トナー粒子に有機ケイ素重合体粒子を外添したトナーを得ることができる。
トナーは、外添工程において加温することで、外添と固着を一つの工程で行うこともでき、外添工程で外添と固着を一つの工程で行う場合には公知の混合処理装置を用いることができる。
外添工程で外添と固着を一つの工程で行う場合、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)などの公知の混合機のジャケットに所望の温度の温水を通すことで、加温を行いつつ運転すればよい。
トナー粒子の製造方法について説明する。
トナー粒子の製造方法は、特に限定されない。例えば、懸濁重合法・界面重合法・分散重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの、親水性媒体中で直接トナー粒子を製造する方法(以下、重合法とも称する)が挙げられる。また、粉砕法を用いてもよく、粉砕法により得られたトナー粒子を熱球形化してもよい。
その中でも、個々の粒子がほぼ球形に揃っていて、帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法で製造するトナー粒子が好ましい。
また粉砕法でトナー粒子を製造するための製造方法としては、以下の例が挙げられる。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、必要に応じて着色剤、その他の添加剤等を、所定量秤量して配合し、混合することができる。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、FMミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させることができる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できることから、1軸又は2軸押出機が好ましい。
例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機(池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕されてもよい。粉砕工程では、粉砕機で粗粉砕した後、更に、微粉砕機で微粉砕することができる。粉砕機としては、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルが挙げられる。微粉砕機としては、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機が挙げられる。
その後、必要に応じて下記のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得ることができる。分級には、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株))、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)などを用いることができる。
また、トナー粒子を球形化してもよい。粉砕後に球形化するために使用可能なシステム等としては例えば以下のものが挙げられる。ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株))、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)。
製造方法として乳化凝集法について説明する。
乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい樹脂微粒子を前もって準備し、その樹脂微粒子を水系媒体中で凝集することによりコア粒子を製造する製造方法である。乳化凝集法では、樹脂微粒子の乳化工程、凝集工程、融合工程、冷却工程、洗浄工程を経てトナー粒子が製造される。また必要に応じて、冷却工程後にシェル化工程を加え、コアシェルトナーにすることもできる。
・樹脂微粒子の乳化工程
非晶性ポリエステル樹脂などの樹脂を主成分とする樹脂微粒子は公知の方法で調製できる。例えば、前記樹脂を有機溶剤に溶かして水系媒体に添加し、界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水系媒体に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。溶解させるために使用する有機溶剤としては、前記樹脂を溶解させるものであればどのようなものでも使用可能であるが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムなどが高い溶解性を有するという観点から好ましい。
また、水系媒体中に前記樹脂と界面活性剤、塩基等を加え、クレアミックス、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの高速剪断力をかける分散機により実質的に有機溶媒を含まない水系媒体で乳化分散することが環境負荷の点からこの好ましい。
特に、沸点が100℃以下の有機溶剤の含有量が、100μg/g以下であることが好ましい。上記の範囲内の場合、トナーを製造する際、有機溶剤を除去、回収する工程が新たに必要になったりせず、廃水処理対策に負荷がかからない。なお水系媒体中の有機溶剤含有量はガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定することができる。
乳化時に使用する界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、以下のものが挙げられる。硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤。当該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子の体積分布基準のメジアン径は0.05~1.0μmが好ましく、0.05~0.4μmがより好ましい。1.0μm以下であればトナー粒子として適切な体積分布基準のメジアン径である4.0~7.0μmのトナー粒子を得ることが容易になる。なお体積分布基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装(株)製)を使用することによって測定可能である。
・凝集工程
凝集工程とは、上述の樹脂微粒子、必要に応じて着色剤微粒子、ワックス微粒子などを混合し混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体を形成させる工程である。当該凝集体を形成させる方法としては、例えば凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度、機械的動力等を適宜加える方法が好適に例示できる。
上記凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩があげられる。
前記凝集剤の添加・混合は、混合液中に含まれる樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。
ここで形成される凝集体の重量平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようと
するトナー粒子の重量平均粒径と同じ程度になるよう4.0μm~7.0μmに制御するとよい。制御は、例えば、上記凝集剤等の添加・混合時の温度と上記撹拌混合の条件を適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。なお、トナー粒子の粒度分布はコールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:ベックマン・コールター(株)製)にて測定できる。
・融合工程
融合工程とは、上記凝集体を、樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に加熱し融合することで、凝集体表面を平滑化させた粒子を製造する工程である。一次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、以下のものが挙げられる。エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩等のアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、ニトロトリアセテート(NTA)塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)。
上記加熱の温度としては、凝集体に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)から、樹脂が熱分解する温度の間であればよい。加熱・融合の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、加熱・融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分~10時間である。
・冷却工程
冷却工程とは、上記粒子を含む水系媒体の温度を、使用する樹脂のガラス転移温度(Tg)より低い温度まで冷却する工程である。冷却をTgより低い温度まで行わないと、粗大粒子が発生してしまう場合がある。具体的な冷却速度は0.1~50℃/分である。
・シェル化工程
また、必要に応じて、下記の洗浄乾燥工程の前にシェル化工程を入れることができる。シェル化工程はこれまでの工程で作製した粒子に、樹脂微粒子を新たに添加し付着させて、シェル化させる工程である。
ここで添加する樹脂微粒子はコアに使用した結着樹脂微粒子と同一の構造でもよいし、異なる構造でもよい。
このようなシェル層を構成する樹脂としては、特に限定はなく、トナーに用いられる公知の樹脂が挙げられる。
例えばポリエステル樹脂、スチレン-アクリル共重合体などのビニル系重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等が使用できる。なかでも、ポリエステル樹脂又はスチレン-アクリル共重合体が好ましく、定着性及び耐久性が高いという観点から、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂は、主鎖中に剛直な芳香環を有する場合、スチレン-アクリル共重合体のようなビニル系重合体にくらべ可撓性を有するため、ビニル系重合体より低分子量のものであっても同等の機械的強度を付与できる。そのため、低温定着性に適した樹脂としてもポリエステル樹脂が好ましい。
シェル層を構成する樹脂は単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
・洗浄乾燥工程
上記工程を経て作製した粒子を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムでpHを調整されたイオン交換水で洗浄濾過を行い、続いて、イオン交換水で洗浄、濾過を複数回行う。その後、乾燥し、乳化凝集トナー粒子を得ることができる。
懸濁重合の場合、以下のような製造方法によって直接的にトナーを製造することが可能である。
懸濁重合法は、造粒工程と重合工程とを経ることによりトナー粒子を製造する方法である。造粒工程においては、結着樹脂を生成する重合性単量体、必要に応じて着色剤、ワックス等の添加剤を有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、重合性単量体組成物の液滴を製造することができる。重合工程においては、液滴中の該重合性単量体を重合することができる。
結着樹脂を生成するために使用できる重合性単量体として、前述のようなビニル系重合性単量体を好適に挙げることができる。
重合性単量体中に、必要に応じてポリエステル樹脂などの極性樹脂、ワックス、着色剤、架橋剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散させ、重合性単量体組成物を得る。
得られた重合性単量体組成物を、分散安定剤を有する水系媒体中に通常の撹拌機又はホモミクサー、ホモジナイザーなどにより分散させる。その際、重合性単量体組成物の液滴が所望のトナーのサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する。
その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。必要に応じて重合開始剤を添加し、重合反応を行う。重合温度は、通常40℃以上、好ましくは50~120℃の温度に設定する。重合温度が95℃以上の場合は重合反応を行う容器を加圧して水系媒体が蒸発するのを抑制してもよい。
重合反応後半に昇温してもよく、必要に応じpHを変更してもよい。さらに、定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半に反応温度を上げる、もしくは反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子前駆体分散液を得る。次に該トナー粒子前駆体分散液を濃縮、冷却、洗浄、ろ過により収集し、乾燥する。
造粒中の水系媒体中のpHは特に制約は受けないが、好ましくはpH3.0~13.0、より好ましくは3.0~7.0、さらに好ましくは3.0~6.0である。造粒を酸性領域で行った場合には、分散安定剤に由来する金属のトナー中における含有量が過剰となるのを抑制することができる。
また、トナー粒子の洗浄をpH2.5以下、より好ましくはpH1.5以下の酸を用いて行うことが好ましい。トナー粒子の洗浄を酸で行うことにより、トナー粒子表面に存在する分散安定剤を低減することができる。洗浄に用いる酸としては、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸のような無機酸を用いることができる。これによりトナー粒子の帯電性を所望の範囲に調整することも可能である。
分散安定剤としての難水溶性無機微粒子以外に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用してもよい。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.01質量部以上2.0質量部以下を使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001質量%以上0.1質量%以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。
例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナト
リウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
以下、その他の製造装置について説明する。公知のものが使用できるが、造粒工程における撹拌手段の一例としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi-Fミキサー(綜研化学社製)等の撹拌翼を有するものを用いることができる。
他にも、高剪断力を付与できる撹拌機がより好ましい。高剪断撹拌機としては、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられたスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものが好ましく用いられる。
具体的には、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)、Wモーション(エムテクニック社製)、キャビトロン(キャビトロン社製)、シャープフローミル(太平洋機工社製)等が用いられる。
トナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上12.0μm以下であると好ましく、4.0μm以上9.0μm以下であるとより好ましい。重量平均粒径が4.0μm以上であると長期使用において耐久性や耐熱性に良好であり、重量平均粒径が12.0μm以下であるとトナーの着色力及び画像の解像度の点で良好となる。
トナー粒子のガラス転移温度は、保存性と定着性の観点から52℃以上75℃以下が好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、0.950以上が好ましく、0.960以上であるとより好ましい。上記範囲であると、トナー粒子間で、あるいはトナー粒子がトナー担持体又はトナー層規制部材と均一に摩擦帯電する確率が高く、トナー粒子が受けるストレスも均一化され、帯電性や、トナー層規制部材への融着を抑制する観点で好ましい。
<有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。有機ケイ素重合体粒子が添加されたトナーを観察して、最大5万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径を求める。観察倍率は、有機ケイ素重合体粒子の大きさによって適宜調整する。
なお、有機ケイ素重合体粒子を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体粒子を単独で測定することもできる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナー観察において、外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子が有機ケイ素重合体粒子であるか否かを判断する。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子とシリカ微粒子の両方が含まれている場合には、Si、Oの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで有機ケイ素重合体粒子の同定を行う。有機ケイ素重合体粒子、シリカ微粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si、Oそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。有機ケイ素重合体粒子のSi/O比をAとし、シリカ微粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A,Bそれぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。
判別対象の微粒子のSi/O比が[(A+B)/2]よりもA側にある場合に当該微粒子を有機ケイ素重合体粒子と判断する。
有機ケイ素重合体粒子の標品として、トスパール120A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を、シリカ微粒子の標品として、HDK V15(旭化成)を用いる。
<有機ケイ素重合体粒子及び無機微粒子の疎水化度の算出方法>
下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
まず、水70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、有機ケイ素重合体粒子又は無機微粒子0.1gを精秤して、上記水を入れた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET-101P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s-1(400rpm)の速度で攪拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図4に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。
透過率が、滴下開始時の50%となったときのメタノール濃度(体積%)を疎水化度とする。
<有機ケイ素重合体粒子の同定及びT3単位構造の確認>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物や外添剤が含まれる場合、トナーをクロロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体粒子を分離する。その方法は以下の通りである。
まずトナー1gをバイアル瓶に入れたクロロホルム31gに添加して分散し、有機ケイ素重合体粒子や他の外添剤をトナーから分離させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。処理条件は以下の通りである。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内では、比重により有機ケイ素重合体粒子を主として含む画分を分離できる。得られた画分を真空条件下(40℃/24時間)で乾燥し、サンプルを得る。
なお、有機ケイ素重合体粒子を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体粒子を単独で測定することもできる。
上記サンプル又は有機ケイ素重合体粒子を用いて有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比及び、有機ケイ素重合体粒子中のT3単位構造の割合を、固体29Si-NMRで測定・算出する。
有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。
有機ケイ素重合体粒子を550℃~700℃程度で熱分解させた際に生じる、有機ケイ
素重合体粒子由来の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
[熱分解GC/MSの測定条件]
熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45-650
続いて同定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比を、固体29Si-NMRで測定・算出する。
固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。
各ピークの官能基の構造は標準サンプルを用いて特定する。また得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することができる。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることができる。
固体29Si-NMRの測定条件は、下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002 (JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay:180s
Scan:2000
該測定後に、有機ケイ素重合体粒子のクロロホルム不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
なお、下記X3構造がT3単位構造である。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (A1)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 (A2)
X3構造:RmSi(O1/2 (A3)
X4構造:Si(O1/2 (A4)
Figure 0007475907000005
該式(A1)、(A2)及び(A3)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。
また、上記Rで表される炭化水素基は、13C-NMRにより確認する。
13C-NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)またはフェニル基(Si-C)などに起因するシグナルの有無により、上記Rで表される炭化水素基を確認する。
なお、構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共にH-NMRの測定結果によって同定してもよい。
<トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の定量方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の含有量は、蛍光X線を用いて測定する。
蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.5.0L」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。測定は、Omnianのメソッドを用いて元素FからUまでの
範囲を測定し、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
また、X線発生装置の加速電圧、電流値は、出力2.4kWとなるように設定する。測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
前述条件で成形したペレットにX線を照射して、発生する特性X線(蛍光X線)を分光素子にて分光する。次に、サンプルに含まれる各元素固有の波長に対応する角度に分光された蛍光X線の強度を、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)により分析し、トナーに含まれる各元素の含有比率を分析結果として得て、トナー中のケイ素原子の含有量を求める。
蛍光X線で求めたトナー中のケイ素の含有量と、固体29SiNMR及び熱分解GC/MSなどを用いて構造を特定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物中のケイ素の含有量比の関係から、計算によってトナー中の有機ケイ素重合体粒子の含有量を求めることができる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、上記と同様の方法で、トナーから有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物を除去したサンプルを得て、トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子を定量することができる。
<溶解度パラメータ(SP値)の計算方法>
有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)、非晶性樹脂のSP値(SPapes)及び結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)は、有機ケイ素重合体粒子、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の構造分析の結果に基づき、下記Fedorsの式を用いて求める。
下記Δei、及び、Δviの値は、「コーティングの基礎科学、54~57頁、1986年(槇書店)の表3-9に記載された、原子及び原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参考にする。
なお、SP値の単位は、(cal/cm1/2であるが、1(cal/cm1/2=2.046×10(J/m1/2によって(J/m1/2の単位に換算することができる。
δi=(Ev/V)1/2=(Δei/Δvi)1/2
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子又は原子団のモル体積
<有機ケイ素重合体粒子の吸着水分量の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子の吸着水分量は、「高精度蒸気吸着量測定装置BELSORP-aqua3」(日本ベル(株))を用いて測定する。「高精度蒸気吸着量測定装置BELSORP-aqua3」は、対象とする気体(本開示の場合は水)のみが存在する条件下で固-気平衡に到達させ、このときの固体質量と蒸気圧を測定する。
まず、サンプル約1gを試料セルに導入し、室温下100Pa以下で24時間脱気する。脱気完了後、サンプル重量を精秤し、装置本体にセットし、下記条件で測定する。
・空気恒温槽温度:80.0℃
・吸着温度:30.0℃
・吸着質名称:H
・平衡時間:500sec
・温度待ち:60min
・飽和蒸気圧:4.245kPa
・サンプル管排気速度:普通
・導入圧力 初期導入量:0.20cm(STP)・g-1
・測定相対圧 P/P0(吸着過程→脱着過程を測定):0.05、0.15、0.25
、0.35、0.45、0.55、0.65、0.75、0.85、0.90、0.95
上記条件で測定し、温度30℃における水分吸・脱着等温線を描き、吸着過程における湿度80%RHにおける吸着水分量(mg/g)を算出する。
<シラノール基由来の酸素原子の割合の測定>
有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は以下のとおりである。
窒素雰囲気下において、昇温速度25℃/分で、50℃から900℃まで有機ケイ素重合体粒子を加熱する。150℃から400℃まで間の減少質量%を有機ケイ素重合体粒子中のシラノール基同士の脱水縮合による質量減少の割合とする。上記有機ケイ素重合体粒子の同定結果と合わせて、有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合を算出する。
<有機ケイ素重合体粒子の固着指数及び被覆率の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子の固着状態を指数化する手法としては、基板にトナーを接触させた際の有機ケイ素重合体粒子の移行量を評価する。基板の表層の材料として、感光体の表面層を模擬する基板として、ポリカーボネート樹脂を表層材料に用いた基板を用いる。具体的には、まず、ビスフェノールZ型のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)、粘度平均分子量(Mv):40000)をトルエンに10質量%の濃度となるように溶解させて塗工液とする。
この塗工液を、50番手のマイヤーバーを用いて、50μmの厚みのアルミニウムシートに塗工し、塗膜を形成する。そして、この塗膜を100℃で10分間乾燥させることで、上記アルミニウムシート上にポリカーボネート樹脂の層(膜厚が10μm)を有するシートを作製する。このシートを基板ホルダーで保持する。基板は、一辺が3mmの正方形とする。
以下に、測定工程を、トナーを基板に配置する工程、基板からトナーを除去する工程、基板に供給された有機ケイ素重合体粒子の付着量を定量化する工程に分けて説明する。
・トナーを基板に配置する工程
トナーは、多孔質な柔軟材料(以下「トナー保持体」と表記する。)に含有させ、トナー保持体を基板に接触させる。トナー保持体にトナーを含侵する方法は、トナーが十分に入っている容器中にトナー保持体を浸して取り出す工程を5回繰り返し、トナー保持体の表面がトナーで覆われて見えなくなっているのを目視で確認する。トナー保持体としては、丸三産業(株)製のスポンジ(商品名:ホワイトワイパー)を用いる。
トナーを含侵したトナー保持体は、基板の接触面に対して垂直方向に移動するステージに固定した荷重計の先端に固定し、トナーを含侵したトナー保持体と基板が荷重を測定しつつ接触できるようにする。トナーを含侵したトナー保持体と基板との接触は、ステージを移動させ、荷重計が10Nを示すまで、トナーを含侵したトナー保持体を基板に押し付け、その後、離間する工程を1工程とし、この工程を5回繰り返す。
・基板からトナーを除去する工程
トナーを含侵したトナー保持体を接触させた後の基板に、掃除機のノズル先端に接続した内径約5mmのエラストマー製の吸引口をトナーの配置面と垂直となるように近づけ、基板に付着したトナーを除去する。この際、トナーの残留程度を目視で確認しながら除去する。吸引口の端部と基板の距離を1mmとし、吸引時間を3秒とし、吸引圧力を6kPaとする。
・基板に供給された有機ケイ素重合体粒子の付着量を定量化する工程
トナーを除去した後に基板に残留する有機ケイ素重合体粒子の量と形状を数値化する際には、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いる。
まず、トナーを除去した後の基板に、白金を電流20mAおよび60秒間の条件でスパッタし、観察用試料とする。
走査型電子顕微鏡による観察においては、有機ケイ素重合体粒子を観察できる観察倍率を任意に選択する。走査型電子顕微鏡としては、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ)を用い、S-4800(商品名)の反射電子像にて観察を行う。観察倍率は50000倍とし、加速電圧は10kVとし、作動距離は3mmとする。
観察により得られた画像は、有機ケイ素重合体粒子が高輝度に、基板が低輝度に表されるので、二値化により、視野内の有機ケイ素重合体粒子の量を定量化することができる。二値化の条件は、観察装置やスパッタ条件により適切に選択する。二値化に、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いる。
Image Jで有機ケイ素重合体粒子の面積のみを積算し、観察視野全体の面積で除算することで観察視野内の有機ケイ素重合体粒子の面積率を求める。上記測定を二値化した画像100枚について行い、その平均値を基板上の有機ケイ素重合体粒子の面積率[A](単位:面積%)とする。
次に、トナー粒子への有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B](単位:面積%)を算出する。
有機ケイ素重合体粒子の被覆率は、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いて測定する。走査型電子顕微鏡による観察において、有機ケイ素重合体粒子を観察する観察倍率は、基板上の有機ケイ素重合体粒子を観察した倍率と同じ倍率を採用する。走査型電子顕微鏡としては、上記の日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S-4800(商品名)を用いる。
なお、面積率A及び被覆率Bの測定に関し、トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外の微粒子が含まれる場合、トナー観察において、外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析する粒子が有機ケイ素重合体粒子であるか否かを判断する。具体的には、有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径と同様の操作を行う。
画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]の算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べてチャージアップが少ないため、有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]を精度良く測定することができる。
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し実行する。フラッシングによるエ
ミッション電流が20μA~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、視野内全体にある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
次に対象のトナーについて、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー100粒子以上について画像を得る。
観察した画像を、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いて二値化する。二値化した後、[Analayze]―[Analyze Particles]より、EDS分析に基づき有機ケイ素重合体粒子のみを抽出し、トナー粒子上における、有機ケイ素重合体粒子の被覆率(単位:面積%)を求める。
上記測定を二値化した画像100枚について行い、有機ケイ素重合体粒子の被覆率(単
位:面積%)の平均値を有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]とする。基板上の有機ケイ素重合体粒子の面積率[A]および有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]から下記式(I)を用いて、有機ケイ素重合体粒子の固着指数を算出する。
固着指数=ポリカーボネート膜に移行した有機ケイ素重合体粒子の面積率[A]/トナー粒子表面における有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]×100 ・・・(I)
<有機ケイ素重合体粒子の被覆率の測定方法>
トナー粒子の表面の有機ケイ素重合体粒子による被覆率は、上記有機ケイ素重合体粒子の固着指数の測定方法におけるトナー粒子への有機ケイ素重合体粒子の被覆率[B]の値を用いる(単位は面積%)。
<有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数>
トナー表面における有機ケイ素重合体粒子の分散度評価指数の算出は、走査型電子顕微鏡「S-4800」を用いて行う。1万倍に拡大した視野で、有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナーを、同一視野で加速電圧1.0kVで観察する。観察した画像から、画像処理ソフト「Image-Pro Plus5.1J」(MediaCybernetics社製)を使用し、以下のように算出する。
有機ケイ素重合体粒子のみが抽出されるように2値化し、有機ケイ素重合体粒子の個数n、全有機ケイ素重合体粒子に対し重心座標を算出し、各有機ケイ素重合体粒子に対する最近接の有機ケイ素重合体粒子との距離dn minを算出する。画像内の有機ケイ素重合体粒子間の最近接距離の平均値をdaveとすると、分散度は下記式で示される。
ランダムに観察した50個のトナーについて上記の手順にて分散度を求め、その平均値を分散度評価指数とする。分散度評価指数の小さい方が、分散性が良いことを示す。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外の微粒子が含まれる場合、有機ケイ素重合体粒子は前述したEDS分析により区別できる。
Figure 0007475907000006
<有機ケイ素重合体粒子の形状係数SF-1の測定方法>
有機ケイ素重合体粒子のSF-1は、走査型電子顕微鏡(SEM)「S-4800」(日立製作所製)でトナー表面の有機ケイ素重合体粒子を観察し、測定する。10万倍~20万倍に拡大した視野において、100個の有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の最大長、周囲長を画像処理ソフトImage-Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を使用して測定する。
SF-1は下記の式にて算出し、その算術平均値を採用する。
SF-1=(1次粒子の最大長)/1次粒子の面積×π/4×100
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂やスチレン-アクリル樹脂の分子量及び分子量分布>
試料の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出する。酸基を有する樹脂の分子量を測定する場合は、カラム溶出速度が酸基の量にも依存してしまうため、予め酸基をキャッピングした試料を用意する。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
GPCによる分子量の測定は、以下のようにして行う。
まず、室温で24時間かけて、測定サンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
測定サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<非晶性樹脂、トナー粒子などのガラス転移温度>
樹脂などの試料のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA
Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料3mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。これらを、測定温度範囲30℃~200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温速度10℃/minで昇温させ、続いて30℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度、昇温速度10℃/minで昇温を行う。
この2度目の昇温過程において得られたDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線とDSC曲線との交点を、ガラス転移温度Tg(℃)とする。
<非晶性樹脂、結晶性ポリエステル樹脂の構造分析>
非晶性樹脂、結晶性ポリエステル樹脂の構造決定は、核磁気共鳴装置(H-NMR、13C-NMR)並びにFT-IRスペクトルを用いて行うことができる。以下に用いる装置について記す。
各樹脂サンプルはトナー中から分取することで採取し、分析してもよい。
(i)H-NMR、13C-NMR
日本電子製FT-NMR JNM-EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
(ii)FT-IRスペクトル
Thermo Fisher Scientific Inc.製 AVATAR360FT-IR
<トナーからの非晶性樹脂、結晶性ポリエステル樹脂の分取>
以下の方法でトナーから分取した非晶性樹脂、結晶性ポリエステル樹脂などの材料を用いて、各物性を測定することもできる。
トナーをTHFなどの有機溶媒に溶解させ、公知の分取法(分取GPCなど)により分取し、トナー中に含有される化合物を単離する。
<結晶性ポリエステル樹脂の含有量の測定>
結晶性ポリエステル樹脂の含有量の測定手段には下記のような分析方法があるため、例として述べる。
まず、トナーをクロロホルムに溶解し、例えばマイショリディスクH-25-2(東ソー社製)などを使用して不溶分を除去する。次に、分取HPLC(例えば、日本分析工業社製 LC-9130 NEXT 分取カラム[60cm])に可溶分を導入し、分子量5
000未満とそれ5000以上に分取する。上記操作は、一般に離型剤は分子量が低く、結晶性ポリエステル樹脂はそれよりも高いことを利用して両者を分けることが目的である。その後、上記分取成分に対して、H-NMR測定することで、結着樹脂に対する結晶性ポリエステル樹脂の量を算出することができる。
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性樹脂などの樹脂の酸価の測定>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求めることができる。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター及び制御パラメーターは下記のように行う。
(滴定パラメーター)
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
(制御パラメーター)
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以
外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。)
<結晶性ポリエステル樹脂、非晶性樹脂などの樹脂の水酸基価の測定>
水酸基価は、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25.0gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスなどに触れないように、褐色びんにて保存する。
1.0モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子株式会社製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求める。具体的には、1.00mol/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。1.00mol/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
以下に、水酸基価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター及び制御パラメーターは下記のように行う。
(滴定パラメーター)
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:80mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
(制御パラメーター)
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.5mL
<本試験>
測定サンプル2.00gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに上記アセチル化試薬5.00mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸
い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1.00mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5.00mLで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
得られたサンプルを250mLのトールビーカーに移し、トルエンとエタノール(3:1)の混合溶液100mLを加え、1時間かけて溶解する。電位差滴定装置を用い、水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
<空試験>
試料を用いない(すなわち、トルエンとエタノール(3:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料の質量(g)、D:試料の酸価(mgKOH/g)である。
<トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下までに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電
気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
(樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50))
樹脂粒子分散液などの樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒径分布測定装置を用いて測定する。具体的にはJIS Z8825-1(200
1年)に準じて測定される。測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA-920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、LA-920に付属の専用ソフト「HORIBA LA-920 for Window
s(登録商標) WET(LA-920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。測定手順は、以下の通りである。
バッチ式セルホルダーをLA-920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、相対屈折率を樹脂粒子に対応した値に設定する。(5)「表示条件設定」画面において、粒径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)ガラス製の100.0ml平底ビーカーに樹脂粒子の分散液を3ml入れる。さらに57mlのイオン交換水を入れて樹脂粒子の分散液を希釈する。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽
内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2.0ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)60秒間超音波分散処理を継続する。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した樹脂粒子の分散液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%~95%となるように調整する。そして、樹脂粒子の粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、D50を算出する。
以下、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は、特に断りのない限り全て質量基準である。
〔結晶性ポリエステル樹脂(CPES)の製造例1〕
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、
・セバシン酸:175部
・1、6-ヘキサンジオール:170部
・エチレングリコール:50部
・シュウ酸チタン酸カリウム:0.40部
上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下、200℃で6時間反応を行い、その後更に10~20mmHgの減圧下、220℃で1.5時間反応して結晶性ポ
リエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂1の物性は酸価=1.3mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=21000、DSC吸熱ピーク=79.8℃であった。
〔結晶性ポリエステル樹脂(CPES)の製造例2~20〕
セバシン酸、1、6-ヘキサンジオール、エチレングリコールなどの原料の種類や量、及びシュウ酸チタン酸カリウムの量などを表1に記載のように変更した以外は結晶性ポリエステル樹脂の製造例1と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂2~20を得た。物性を表1に示す。
Figure 0007475907000007
〔非晶性ポリエステル樹脂(APES)1の製造〕
テレフタル酸:75部
ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物:100部
テトラブトキシチタネート:0.125部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下、200℃で5時間反応を行った。その後トリメリット酸を2.1部及びテトラブトキシチタネートを0.120部追加し、220℃で3時間反応させ、更に10~20mmHgの減圧下で2時間反応して非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂1の物性は酸価=8.3mgKOH/g、水酸基価=33.3mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=10000、ガラス転移温度=72.5℃であった。
〔非晶性ポリエステル樹脂(APES)2~8の製造例〕
テレフタル酸やビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物といった原料の種類や量を表2に記載のように変更した以外は非晶性ポリエステル樹脂の製造例1と同様にして、非晶性ポリエステル樹脂2~8を得た。物性を表2に示す。
Figure 0007475907000008

表中、酸価及び水酸基価の単位は、mgKOH/gである。
〔スチレン-アクリル樹脂(StAc)1の製造例〕
プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させ、そこへ、下記材料を混合したものを3時間かけて滴下した。
スチレン:89.0部
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル:9.0部
メタクリル酸:6.0部
ジtert-ブチルパーオキサイド(日油(株)製、商品名「パーブチルD」):
1.00部
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温170℃まで昇温しながら常圧蒸留し、液温170℃到達後は1hPaで減圧下1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。該固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿、析出した固体を濾別することでスチレン-アクリル樹脂1を得た。得られたスチレン-アクリル樹脂1の物性は以下の通りであった。
Mw=18000、酸価=25mgKOH/g、水酸基価15mgKOH/g、Tg=92℃
〔スチレン-アクリル樹脂(StAc)2~6の製造例〕
原料の種類や量を表3に記載のように変更した以外はスチレン-アクリル樹脂(StAc)1の製造例1と同様にして、スチレン-アクリル樹脂(StAc)2~6を得た。物性を表3に示す。
Figure 0007475907000009

表中、組成の数値は、部数を示す。
略称は以下の通り。
Ac:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
St:スチレン
2-HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
Mac:メタクリル酸
BA:アクリル酸ブチル
[有機ケイ素重合体粒子1の製造例]
(第1工程)
温度計、攪拌機を備えた反応容器に、水:360.0部を入れ、濃度5.0質量%の塩酸:15.0部を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン136.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物またはその部分縮合物を含む透明な反応液を得た。
(第2工程)
温度計、攪拌機、滴下装置を備えた反応容器に、水:540.0部を入れ、濃度10.0質量%のアンモニア水:17.0部を添加して均一溶液とした。これを温度35℃で撹拌しながら第一工程で得られた反応液100部を0.50時間かけて滴下し、6時間撹拌し、有機ケイ素重合体粒子分散液を得た。
(第3工程)
得られた有機ケイ素重合体粒子分散液に、疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)5.0部を添加して、25℃で48時間攪拌すると液の上層部に疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子の粉体が浮遊する、粉体浮遊液が得られた。
5分静置して浮かび上がった粉体を吸引濾過で回収し、100℃で24時間減圧乾燥して白色の疎水化球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(有機ケイ素重合体粒子1)の乾燥粉末を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子1の物性を表4-1,4-2に示す。
[有機ケイ素重合体粒子20の製造例]
(第1工程)
温度計、攪拌機を備えた反応容器に、水:360.0部を入れ、濃度5.0質量%の塩酸:17.0部を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン136.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物またはその部分縮合物を含む透明な反応液を得た。
(第2工程)
温度計、攪拌機、滴下装置を備えた反応容器に、水:700.0部、メタノール:1500部を入れ、濃度10.0質量%のアンモニア水:19.0部を添加して均一溶液とし
た。これを温度30℃で撹拌しながら第一工程で得られた反応液100部を0.33時間かけて滴下し、6時間撹拌し、有機ケイ素重合体粒子分散液を得た。
得られた懸濁液を遠心分離器にかけて微粒子を沈降させ取り出し、温度200℃の乾燥機で24時間乾燥させて有機ケイ素重合体粒子20を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子20の物性を表4-1,4-2に示す。
[有機ケイ素重合体粒子2~19、21~37の製造例]
シラン化合物、反応開始温度、触媒添加量、滴下時間を表3に記載の様に変更した以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして、有機ケイ素重合体粒子2~19、21~37を得た。物性を表4-1,4-2に示す。
[有機ケイ素重合体粒子38の製造例]
反応容器に水672部及び酸触媒としてジノニルベンゼンスルホン酸6部を仕込み、攪拌しながら、メチルトリメトキシシラン90部を10分間かけて滴下し、加水分解反応及び縮合反応を同時に行った。滴下中、発熱による反応系の温度上昇を20~25℃に制御するため、反応液を適宜冷却した。
メチルトリメトキシシランの滴下終了後、さらに反応液の温度を20~25℃に制御しながら、攪拌を続けて、メチルトリメトキシシラン滴下開始から24時間後に、5%水酸化ナトリウム水溶液14.7部を投入して触媒を中和し、加水分解反応及び縮合反応を終了させて、水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をスプレードライヤーで乾燥処理して、有機ケイ素重合体粒子38を得た。
個数平均粒子径は89nm、SF-1は113、疎水化度は35体積%、シラノール比率は43.8%、吸着水分量は33mg/gであった。
[有機ケイ素重合体粒子39の製造例]
有機ケイ素重合体粒子39としてトスパール103(東芝シリコーン(株)製)を用いた。個数平均粒子径は300nm、T3単位構造比率=1.00、SF-1は114、疎水化度は75体積%、シラノール比率は0.0%、吸着水分量は0.8mg/gであった。
Figure 0007475907000010
Figure 0007475907000011

表中、疎水化度の単位は体積%である。シラノール比率(mol%)は、「有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合」を示す。
[疎水性シリカ1の製造例]
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)100部をヘキサメチルジシラザン10部で処理し、さらにジメチルシリコーンオイル20部で処理して疎水性シリカ1を得た。疎水性シリカ1の一次粒子の個数平均径は12nm、疎水化度は97体積%であった。
[実施例1]
(トナー1の製造例)
非晶性ポリエステル樹脂(APES)8 80.0部
結晶性ポリエステル樹脂(CPES)1 20.0部
カーボンブラック「Nipex35(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)
7.00部
フィッシャートロプシュワックス(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)5.00部
上記材料をヘンシェルミキサーで混合した後、125℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行い、混練物を室温まで徐々に冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、風力分級することで、トナー粒子1を作製した。
(外添方法)
<混合処理装置1>
図1に示した混合処理装置1を使用した。本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10-3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材33の形状を図2のものとした。そして、図2における攪拌部材33aと攪拌部材33bの重なり幅dを攪拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。ジャケット内に冷熱媒体を流して、温度を調整した。
<混合処理装置2>
FMミキサー(FM10C;日本コークス工業(株)製)を使用した。
<外添工程>
得られたトナー粒子1:100部、有機ケイ素重合体微粒子1:7.0部と、疎水性シリカ1を0.43部とを、混合処理装置2を用い、回転数3600rpmで3分間混合した。温度が30℃で安定してから混合を開始し、混合中は30℃±1℃を維持するように調整した。
<加温工程>
続いて、上記構成とした混合処理装置1の温度が55℃となるように、ジャケット内に温水を通水した。温度が55℃で安定してから混合を開始し、混合中は55℃±1℃を維持するように調整した。
混合処理装置1に、上記外添トナーを投入後、駆動部38の動力を1.5×10-2W/g(駆動部38の回転数:150rpm)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整しながら、10分間加温処理した。
加温処理終了後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー1の製造条件を表5-1,5-2及び表6に、トナー1の諸物性を表7-1,7-2に示す。
得られたトナー1の評価結果については表8-1,8-2に示す。
(トナー2~108、114~118の製造例)
表5-1,5-2及び表6に記載のように原料の種類や量、製造条件を変更した以外はトナー製造例1と同様にして、トナー2~108、114~118を得た。物性を表7-1,7-2に示す。
評価結果については表8-1,8-2に示す。
(トナー112、113の製造例)
風力分級の条件を適宜調整した以外はトナー製造例1と同様にして、トナー112と113を得た。物性を表7-1,7-2に示す。
評価結果については表8-1,8-2に示す。
(トナー109の製造例)
分散媒(水系媒体1)
反応容器中のイオン交換水1000部に、リン酸ナトリウム19.2部及び10%塩酸を6.2部投入し、Nパージしながら65℃で60分保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水13.8部に10.7部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体1を調製した。
重合性単量体組成物
・スチレン 60部
カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex35」) 7部
荷電制御剤(オリエント社製:ボントロンE-89) 0.25部
上記材料をアトライタ分散機(三井三池化工機株式会社)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、重合性単量体組成物を得た。
上記重合性単量体組成物に
・スチレン 20部
・n-ブチルアクリレート 20部
・結晶性ポリエステル樹脂1 25部
・非晶性ポリエステル樹脂8 4部
・フィッシャートロプシュワックス(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃) 9.00部
を加えた。
別容器中で上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤t-ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)10.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
造粒タンク中の上記水系媒体1中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃、Nパージ下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで5分間攪拌し、pH5.2で造粒した。その後、その後、重合タンクに移して、パドル攪拌翼で30回/分で攪拌しつつ70℃で6時間(転化率は90%であった)、さらに95℃に昇温し、2時間反応させた。
重合反応終了後、冷却工程を行った。95℃のトナー粒子前駆体分散液に5℃の水を混合し冷却速度を4.000℃/secとして30℃まで冷却した。
その後、1.00℃/minの昇温速度で55℃まで昇温し、55℃で180分温度を保持した後、5℃の水を混合し冷却速度5℃/secで30℃まで冷却した。
得られたトナー粒子分散液に塩酸を添加してpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行った。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットし、トナー粒子109を得た。
得られたトナー粒子に対して、トナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー109を得た。得られたトナー109の物性については表7-1,7-2に示す。
得られたトナー109の評価結果については表8-1,8-2に示す。
<樹脂粒子分散液1の調製>
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)の乳化タンクに、非晶性ポリエステル樹脂1を3,000部、イオン交換水10,000部、界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150部を投入した。その後、130℃に加熱溶融し、110℃で流量3L/mにて10,000回転で30分間分散させ、冷却タンクを通過させて非晶性ポリエステル樹脂分散液(高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット0.4mm、キャビトロン社製)を回収した。
得られた分散液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.
5質量%、体積基準のメジアン径が0.15μmの非晶性ポリエステル樹脂1の分散液である樹脂粒子分散液1を得た。
<樹脂粒子分散液2の調製>
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット:0.4mm)の乳化タンクに、結晶性ポリエステル樹脂1を3,000部、イオン交換水10,000部、界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150部を投入した。その後、130℃に加熱溶融し、110℃で流量3L/mにて10,000回転で30分間分散させ、冷却タンクを通過させて結晶性ポリエステル樹脂分散液(高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット0.4mm、キャビトロン社製)を回収した。
得られた分散液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、体積基準のメジアン径が0.15μmの結晶性ポリエステル樹脂1の分散液である樹脂粒子分散液2を得た。
<着色剤分散液1の調製>
着色剤としてカーボンブラック「Nipex35(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)」100部、ネオゲンRK15部をイオン交換水885部に混合させ、湿式ジェットミル JN100を用いて約1時間分散して着色剤分散液1を得た。
<ワックス分散液1の調製>
フィッシャートロプシュワックス(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)100部、ネオゲンRK15部をイオン交換水385部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散してワックス分散液1を得た。ワックス分散液の濃度は20質量%であった。
該ワックス微粒子の体積基準のメジアン径は動的光散乱式粒度分布径(ナノトラック:日機装製)を用いて測定し、0.20μmであった。
<トナー110の製造例>
樹脂粒子分散液1:195部、樹脂粒子分散液2:265部、ワックス分散液1:20部、着色剤分散液1:20部をホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた。撹拌しながら容器内の温度を30℃に調整して、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=8.0に調整した。凝集剤として、硫酸マグネシウム0.250部をイオン交換水10部に溶解した水溶液を、30℃攪拌下、10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、50℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。
50℃で30分保持した後、更に樹脂粒子分散液1を70.0部追加した。
その状態で、「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定する。重量平均粒径が4.5μmになった時点で、塩化ナトリウム3.0部とネオゲンRK8.0部を添加して粒子成長を停止させた。
その後、95℃まで昇温して会合粒子の融着と球形化を行った。平均円形度が0.980に到達した時点で冷却工程を行った。95℃のトナー粒子前駆体分散液に5℃の水を混合し冷却速度を4.000℃/secとして30℃まで冷却した。
その後、1.00℃/minの昇温速度で55℃まで昇温し、55℃で180分温度を保持した後、5℃の水を混合し冷却速度5℃/secで30℃まで冷却した。
得られたトナー粒子分散液に塩酸を添加してpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行った。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットし、トナー粒子110を得た。
得られたトナー粒子に対して、トナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー110を得た。得られたトナー110の物性については表7-1,7-2に示す。
得られたトナー110の評価結果については表8-1,8-2に示す。
(トナー111の製造例)
(トナーバインダー溶液の合成)
非晶性ポリエステル樹脂8:800部、結晶性ポリエステル樹脂1:200部を酢酸エチル溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル溶液を得た。
(トナーの作製)
ビーカー内に上記トナーバインダー(1)の酢酸エチル溶液240部、カーボンブラック(Orion Engineerred Carbons社製、商品名「Printex 35」)6.0部、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を1.0部、及び、フィッシャートロプシュワックス(シューマンサゾール社製、商品名「C80」:DSC吸熱ピーク83.0℃)を13部入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させ、トナー材料溶液を得た。ビーカー内に水系媒体1(1036.3部)、及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.27部を入れ、均一に溶解した。
ついで60℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入して3時間撹拌した。ついで、混合液を撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、98℃に昇温して溶剤を除去した。
溶媒除去終了後、冷却工程を行った。95℃のトナー粒子前駆体分散液に5℃の水を混合し冷却速度を4.000℃/secとして30℃まで冷却した。
その後、1.00℃/minの昇温速度で55℃まで昇温し、55℃で180分温度を保持した後、5℃の水を混合し冷却速度5℃/secで30℃まで冷却した。
得られたトナー粒子分散液に塩酸を添加してpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行った。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットし、トナー粒子111を得た。
得られたトナー粒子に対して、トナー製造例1と同様にして、外添剤を有するトナー111を得た。得られたトナー111の物性については表7-1,7-2に示す。
評価結果については表8-1,8-2に示す。
Figure 0007475907000012
Figure 0007475907000013

表中、疎水化度の単位は体積%である。SP値の単位は(cal/cm1/2である。シラノール比率(mol%)は、「有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合」を示す。T3構造比率は、「有機ケイ素重合体粒子に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合」を示す。被覆率は、トナー粒子表面の被覆率であり、粒径は一次粒子の個数平均粒径である。
Figure 0007475907000014
Figure 0007475907000015
Figure 0007475907000016

Dt:トナー粒子の個数平均粒径(D1)
Dsi:有機ケイ素重合体粒子の個数平均粒径
[実施例1~114]
トナー1~114を、それぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。評価結果は表8
-1,8-2に示す。
[比較例1~4]
トナー115~118を、それぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。評価結果は表8-1,8-2に示す。
<トナー評価>
キヤノン製レーザービームプリンタLBP652Cの定着温度、プロセススピードが調整できるように改造し、以下の評価を行った。
<カブリ>
カブリの測定において、画像形成装置として上記評価機を用い、下記の各環境下で印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久13000枚印字後に各環境下において6日間放置した。
常温常湿環境下(N/N):25.0℃60%RH
高温高湿環境下(H/H):32.5℃85%RH
低温低湿環境下(L/L):10℃10%RH
その後の1枚目の画像サンプルのカブリ量を東京電色社製のREFLECT METER MODELTC-6DSを使用して測定し、下記式より算出した。耐久試験に用いた記録材としてはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。
カブリ量(%)=(プリントアウト前の記録材の白色度)-(プリント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度)
<定着性>
過酷低温低湿環境下(SL/L:温度5℃、湿度10%RH)で、上記評価機を用い、マシン及びトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れた。
ウェイクアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10〔sec〕以下のボンド紙を用いた。
<トナー担持体及びトナー層規制部材へのトナーの融着や固着>
トナー担持体及びトナー層規制部材へのトナーの融着や固着は高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)、過酷高温高湿環境下(SH/H:温度35.0℃,湿度85%RH)で、上記評価機を用いて評価した。
印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久8000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
A:融着や固着が画像上に全く発生せず
B:融着や固着が画像上に軽微に発生(端部に1本以上3本以下の軽微なスジ)
C:融着や固着が画像上に発生(端部に4本以上のスジ)
<潜像担持体へのフィルミング>
潜像担持体へのフィルミングの評価では、低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)及び過酷低温低湿環境下(SL/L:温度0℃、湿度10%RH)において上記評価機を用い、印字率1%にて連続印字にて耐久試験を行った。
初期から耐久2000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
A:フィルミングが全く発生せず
B:フィルミングが軽微に発生(長さ2mm前後の縦線が少し記録材上に存在)
C:フィルミングが発生(長さ5mm前後の縦線が多量に記録材上に存在)
<画像濃度>
初期画像濃度の評価では、過酷高温高湿環境下(SH/H:温度35.0℃,湿度85%RH)で、上記評価機を用い、紙上のトナーの載り量が0.38(mg/cm)にした全面ベタチャートを1枚印字し、各画像の画像濃度を測定した。
画像サンプルの濃度は、東京電色社製のREFLECT METER MODELTC-6DSを使用して測定した。記録材としてはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。
<トナーの保存安定性>
トナーの保存安定性は、10gのトナーを100mlの樹脂製カップに量り取り、50℃又は55℃の恒温層の中へ3日間放置した後、200メッシュ(目開き)の篩を通した後の状態により評価した。
測定装置として、デジタル振動計(DEGITAL VIBLATIONMETERMODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。
測定法としては、セットした200メッシュふるい(目開き75μm)上に評価用のトナーのせ、デジタル振動計の変位の値を0.50mm(peak-to-peak)になるように調整し、30秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の状態から保存安定性を評価した。以下に評価基準を示す。
A:メッシュ上のトナー残量が1.0g未満で流動性に優れている
B:メッシュ上のトナー残量が1.0g以上2.5g未満で流動性に優れている
C:メッシュ上のトナー残量が2.5g以上であり、凝集塊があり容易にほぐすことが出来ない
<定着画像の光沢性低下>
定着画像の光沢性低下の評価は、低温低湿環境下(L/L:温度10℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用いて評価した。マシン及びトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(該環境下に24時間放置後)から電源を入れ、ウェイクアップ直後に全面ベタ画像を100枚プリントアウトした。その画像を常温常湿環境下(N/N:温度25℃、湿度50%RH)に7日間放置し、その画像サンプルについて評価を行った。
評価にはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF-C081A4)を用いた。
A:画像の全面が全く結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化のより光沢が低下していない
B:画像の一部が結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化のより光沢が低下し、僅かに白っぽくなっている
C:画像の全面が結晶性ポリエステル樹脂の再結晶化のより光沢が低下し、白っぽくなっている
Figure 0007475907000017
Figure 0007475907000018

Claims (14)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子、及び該トナー粒子表面の有機ケイ素重合体粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、
    該結着樹脂中の該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、2.0質量%以上55.0質量%以下であり、
    該有機ケイ素重合体粒子のSP値(SPsi)と該結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)の差の絶対値|SPcpes-SPsi|が、2.00(cal/cm1/2以下であり、
    該有機ケイ素重合体粒子の温度30℃、湿度80%RHにおける、吸着水分量が、20mg/g以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子表面における前記有機ケイ素重合体粒子の被覆率が、15面積%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記有機ケイ素重合体粒子のメタノール/水混合溶媒を用いた濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が、45体積%~80体積%である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記有機ケイ素重合体粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対し、0.3質量部~10.0質量部である請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径が、10nm以上500nm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記有機ケイ素重合体粒子が、下記式(1)で表されるT3単位構造を有し、
    -SiO3/2 ・・・(1)
    (式(1)中、Rは、炭素数が1~6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
    前記有機ケイ素重合体粒子の29Si-NMR測定において、前記有機ケイ素重合体粒子に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、該T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.50~1.00である請求項1~5の
    いずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、シラノール基由来の酸素原子の割合が40.0mol%以下である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記有機ケイ素重合体粒子中の酸素原子の内、前記シラノール基由来の酸素原子の割合が、2.0mol%以上40.0mol%以下である請求項7に記載のトナー。
  9. 前記結着樹脂中の前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、4.0質量%以上50.0質量%以下である請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPcpes)(cal/cm1/2が、9.25以上10.80以下である請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記構造(a)及び(b)の少なくとも一方又は両方を有する請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
    (a)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジオールからなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造
    (b)炭素数2以上3以下のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一のモノマーが縮重合した構造
  12. 下記式(I)で計算されるポリカーボネート膜に対する前記有機ケイ素重合体粒子の固着指数が、4.5以下である請求項1~11のいずれか一項に記載のトナー。
    固着指数=ポリカーボネート膜に移行した前記有機ケイ素重合体粒子の面積率A/前記トナー粒子表面における前記有機ケイ素重合体粒子の被覆率B×100 ・・(I)
  13. 前記有機ケイ素重合体粒子の前記トナー表面における分散度評価指数が、0.5以上2.0以下である請求項1~12のいずれか一項に記載のトナー。
  14. 前記有機ケイ素重合体粒子の温度30℃、湿度80%RHにおける、吸着水分量が、10mg/g以上20mg/g以下である、請求項1~13のいずれか一項に記載のトナー。
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