JP2016224139A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低エネルギーで定着が可能であり、かつ、面内のグロスが均一なトナーを提供することである。【解決手段】スチレンアクリル樹脂および変性ポリエステルを含有する結着樹脂と、前記変性ポリエステルを分散させるための分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記変性ポリエステルがポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する結晶性ポリエステルであり、前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A比)が40/60〜95/5であり、前記分散剤が、上記と同様のポリエステル部位、または炭素数が12以上の脂肪族炭化水素となる部位aと、前記スチレンアクリル樹脂のソルビリティパラメータ(SP)値との差の絶対値(ΔSP値)が0.10以下となる部位dを有する樹脂であり、前記部位aと前記部位dの質量基準の比率(a/d比)が、2/98〜30/70であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーに関する。
静電潜像を現像する画像形成方法が、複写機、複合機、プリンターに適用されている。
近年、画像形成装置の省エネルギー化が強く要求されるようになってきている。
画像形成装置の省エネルギー化の有効な手段の一つとして、熱ローラーやフィルムといった定着部材の設定温度を低くすることが挙げられる。しかし、そのためには、トナーの低温定着性をさらに向上させなければならない。トナーにおいて低温定着性を良くするための一つの方法としては、結晶性の樹脂を用いてトナーの軟化点をより低く設定することが提案されている(特許文献1および2参照)。これらの対策により、結晶性樹脂によるシャープメルト性を利用し、トナーの軟化温度をより低く設定することが可能となり低温定着性を良化させることができるようになった。
特開2012−255957号公報 特開昭63−27855号公報
複合機やプリンターのカラー化が進んだ今日においては、低温定着性のみではなく、定着画像の高グロス化が求められるようになった。特に、低温定着領域における面内のグロス均一という点においては、上記トナーを用いても十分な性能が得られておらずさらなる改善がトナーに求められている。
本発明の目的は、低温定着性に優れ、またいずれの温度領域においても面内均一なグロスを得ることが可能なトナーを提供することである。
本発明は、スチレンアクリル樹脂および変性ポリエステルを含有する結着樹脂、及び前記変性ポリエステルを分散させるための分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記変性ポリエステルがポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する結晶性ポリエステルであり、
前記ポリエステル部位Cが下記式(1)で示されるユニットを有し、
前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)が40/60〜95/5であり、
前記分散剤が、下記部位aおよび下記部位dを有する樹脂であり:
(前記部位aは、下記式(2)で示されるユニットを有するポリエステル部位、または炭素数が12以上の脂肪族炭化水素部位である。
前記部位dは、前記スチレンアクリル樹脂のSP値との差の絶対値(ΔSP値)が0.10以下となる部位である。)
前記部位aと前記部位dの質量比率(a/d比)が、2/98〜30/70であることを特徴とするトナーに関する。
Figure 2016224139
[式(1)中、mは、6以上14以下の整数を示す。nは、6以上16以下の整数を示す。
式(2)中、oは、6以上14以下の整数を示す。pは、6以上16以下の整数を示す。]
本発明により、低温定着性に優れ、またいずれの温度領域においても面内均一なグロスを得ることが可能なトナーを提供することができる。
以下に、本発明の実施様態を具体的に説明する。
本発明は、スチレンアクリル樹脂および変性ポリエステルを含有する結着樹脂、及び前記変性ポリエステルを分散させるための分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記変性ポリエステルがポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aをする結晶性樹脂であり、
前記ポリエステル部位Cが下記式(1)で示されるユニットを有し、
前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A比)が40/60〜95/5であり、
前記分散剤が、下記式(2)で示されるユニットを有するポリエステル部位、または炭素数が12以上の脂肪族炭化水素となる部位aと、前記スチレンアクリル樹脂のソルビリティパラメータ(SP)値との差の絶対値(ΔSP値)が0.10以下となる部位dを有する樹脂であり、
前記部位aと前記部位dの質量基準の比率(a/d比)が、2/98〜30/70であることを特徴とする。
Figure 2016224139
[式(1)中、mは、6以上14以下の整数を示す。nは、6以上16以下の整数を示す。
式(2)中、oは、6以上14以下の整数を示す。pは、6以上16以下の整数を示す。]
本発明者らは、スチレンアクリル樹脂及び変性ポリエステルを含有する結着樹脂に、変性ポリエステルを分散させるための特定の分散剤を用いることで、低温定着性に優れ、またいずれの温度領域においても面内均一なグロスを得ることが可能なトナーが得られることを見出した。
具体的には、本発明に使用する変性ポリエステルは、結晶性を示すポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する結晶性ポリエステルである。バインダーとして用いるスチレンアクリル樹脂と定着プロセスにおいてビニルポリマー部位Aを起点にして相溶することによりトナーの軟化点を下げ低温定着が達成される。一方、常温ではスチレンアクリル樹脂と変性ポリエステルは相分離構造を取ることで軟化点を維持し高い耐熱性が得られる。
さらに本発明によれば、上記規定の分散剤を用いることで、スチレンアクリル樹脂と親和性の高い部位dにより分散剤はスチレンアクリル樹脂中に均一に相溶する。スチレンアクリル樹脂中に均一に相溶した分散剤は変性ポリエステルと親和性の高い部位aにより変性ポリエステルのポリエステル部位Cと相互作用を起こしポリエステル部位Cの結晶化を促す。これにより変性ポリエステルがスチレンアクリル樹脂中に高分散化することが可能となる。トナー中における結晶性材料の偏りが抑制されたことにより、定着時にトナーが均一に溶融し定着ムラを抑制され面内均一で高いグロスが得ることが可能になったと推察する。
変性ポリエステルがポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する結晶性ポリエステルである。ここで、結晶性ポリエステルの「結晶性」とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
変性ポリエステルのポリエステル部位Cは、上記式(1)で示されるユニットを有するものであり、例えば、下記式(A)で示されるジカルボン酸またはそのアルキルエステル化物もしくは酸無水化物と、下記式(B)で示されるジオールとから生成することができる。該ポリエステル部位はこれらが縮合重合することで生成される。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(A)
[式中、mは、6以上14以下(好ましくは6以上10以下)の整数を示す。]
HO−(CH2)n−OH 式(B)
[式中、nは、6以上16以下(好ましくは6以上12以下)の整数を示す。]
ジカルボン酸は、ポリエステル部位Cに同じ部分骨格を生成するものであれば、カルボキシル基が(好ましくは炭素数1〜4の)アルキルエステル化した化合物または酸無水物化した化合物等を用いてもよい。
ジカルボン酸としては、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸などが好ましい。
ジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが好ましい。
変性ポリエステルのビニルポリマー部位Aの組成はスチレン、メチルメタクリレートまたはn−ブチルアクリレートのような公知のビニルモノマーを用いることができる。特に好ましくはスチレンであり、スチレンアクリル樹脂との相溶部位として有効に働き溶融時の可塑がより発揮される。
変性ポリエステルのポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)は、40/60〜95/5の範囲であることが必要である。40/60より小さい場合、ポリエステル部位の特性が失われるためシャープメルト性が不十分となり低温定着性に劣る。また、場合によってはポリエステルが結晶性を維持することが出来なくなり耐熱性が低下する場合もある。95/5より大きい場合はビニルポリマー部位による相溶の起点が減るため低温定着性が劣る。好ましくは45/55〜90/10の範囲である。
変性ポリエステルの融点(Tm)は50℃以上90℃以下であることが好ましい。融点(Tm)が50℃以上90℃以下であると、ブロッキングが発生しにくく保存性に優れ、且つ低温定着性という観点でも優れる。より好ましくは60℃以上85℃以下である。
ブロックポリマーの融点は、ポリエステル部位を生成するモノマーやポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの比率により制御することができる。
変性ポリエステルはブロックポリマーであることが好ましい。なお、ブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。変性ポリエステルがブロックポリマーである場合、線状ポリマーであるため定着時のグロスが得られやすくなる。
変性ポリエステルのビニルポリマー部位Aの重量平均分子量(Mw)は3000以上14000以下であることが好ましい。3000以上14000以下であるとビニルポリマー部位の性質とポリエステル部位の性質を兼ね備えることが出来きるため、スチレンアクリル樹脂との相溶起点として働きやすくなり低温定着性に優れる。さらにビニルポリマー部位の性能が発揮され耐久性にも優れる。3500以上12500以下が好ましく、4000以上10000以下がより好ましい。
変性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、15000以上45000以下であることが好ましく、20000以上45000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が15000以上(より好ましくは20000以上)であれば、変性ポリエステルの機械的強度が優れ、耐久性が高くなる。45000以下であれば、分子の動きが緩慢となりにくく、溶融時の可塑効果が得られやすくなる。より好ましくは23000以上40000以下、さらに好ましくは25000以上37000以下である。
変性ポリエステルの含有量は、結着樹脂中に2.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることが好ましく、6.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることがより好ましい。2.0質量%以上(より好ましくは6.0質量%以上)であれば、溶融時の可塑効果およびブロックポリマーによる結着効果が得られやすくなり、低温定着性が向上する。50.0質量%以下であれば、結晶性のポリエステル部位からの帯電リークが起きにくく、帯電性が低下しにくく、カブリが発生しにくくなる。また、耐ストレス性も低下しにくいため、耐久性が低下しにくく、現像スジなどの画像弊害が発生しにくくなる。変性ポリエステルの含有量は、より好ましくは10.0質量%以上45.0質量%以下、さらに好ましくは20.0質量%以上40.0質量%以下である。
分散剤は上記変性ポリエステルと親和性の高い部位aと結着樹脂のスチレンアクリル樹脂と親和性の高い部位dを有する樹脂であることが必要である。部位aは、変性ポリエステルのポリエステル部位Cと親和性を持たせるためポリエステル部位Cと同様の構造である結晶性のポリエステル、或いは、炭素数が12以上の脂肪族炭化水素部位を有することが必要である。
結晶性のポリエステルは、上記式(2)で示されるユニットを有し、すでに上述したポリエステル部位Cと同様のものが用いられる。
炭素数が12以上の脂肪族炭化水素としては例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ラウリルメタリレート、ステアリルメタリレート、ベヘニルメタリレートの如き側鎖に炭素数が12以上の脂肪族炭化水素を有する重合性単量体として重合して生成する樹脂などが挙げられる。好ましくは炭素数20以上の脂肪族炭化水素である。
スチレンアクリル樹脂と親和性の高い部位dとしては、スチレンアクリル樹脂のソルビリティパラメータ(SP)値との差の絶対値(ΔSP値)が、0.10以下となる樹脂であることが必要である。部位dとしては、スチレンユニットを含むビニル系樹脂であることが好ましい。スチレンユニットを含むビニル系樹脂は、以下の重合性単量体を重合させることによって得られる。
部位dとして用いられる樹脂を生成する重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。スチレンアクリル樹脂のソルビリティパラメータ(SP)値との差の絶対値(ΔSP値)が、0.10以下となるように上記モノマーを2種類以上併用してもかまわない。
分散剤の部位aと部位dの質量基準の比率(a/d比)は、2/98〜30/70の範囲であることが必要である。2/98より小さい場合、ポリエステル部位との親和性が得られなくなるため分散性が低下し面内均一なグロスが得られにくくなる。30/70より大きい場合はビニルポリマー部位との親和性が低下するため、同様に分散性が低下し面内均一なグロスが得られにくくなる。好ましくは4/96〜25/75の範囲である。
トナー中の変性ポリエステルと分散剤の量基準の含有比は1.0:1.0〜10.0:1.0の範囲であることが好ましい。含有比を1.0:1.0〜10.0:1.0の範囲することで変性ポリエステルの分散が制御され、本発明の効果である面内均一なグロスが得られやすくなる。
スチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することができる。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、および、ジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、または、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、または、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用する。重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、または、それらとほかの重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の観点から好ましい。
本発明に係るトナー粒子を製造するための製造方法は、どのような製造方法であっても構わないが、懸濁重合法、乳化重合法および懸濁造粒法のような水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒するトナー粒子の製造方法によって得ることが好ましい。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナー粒子の製造方法を説明する。
上述したスチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体、特定のブロックポリマー、および、必要に応じて、着色剤、ワックスなどその他の添加物を、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機に依って均一に溶解または分散させ、これに重合開始剤を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行なうことによってトナー粒子は製造される。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
懸濁重合法のよう水系媒体を用いる重合法の場合には、上記混合液に極性樹脂を添加することが好ましい。極性樹脂を添加することにより、変性ポリエステルやワックスの内包化の促進を図ることができる。
水系媒体に懸濁した着色剤分散液中に極性樹脂が存在する場合、水に対する親和性の違いから、極性樹脂が水系媒体と着色剤分散液との界面付近に移行しやすいため、トナー粒子の表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果、トナー粒子はコア−シェル構造を有する。
また、シェルに用いる極性樹脂に、溶融温度の高いものを選択すれば、低温定着を目的として結着樹脂をより低温で溶融するような設計とした場合でも、トナーの保存中におけるブロッキングの発生を抑制することができる。
極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
ポリエステル系樹脂としては、下記に挙げる酸成分単量体とアルコール成分単量体とを縮合重合した樹脂を用いることができる。酸成分単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、および、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのアルキレングリコール類およびポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、および、ペンタエリスリトールが挙げられる。
カルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましく、特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御しやすく好ましい。また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
極性樹脂の含有量は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂(またはスチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体)およびブロックポリマー)100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以上10.0質量部以下がより好ましい。
本発明にはワックスとして、公知のワックス成分を用いてもよい。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの天然ワックスおよびそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸またはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスまたは石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性の改善効果がさらに高くなる。なお、これらのワックス成分には、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、これらのワックス成分は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上30.0質量部以下使用するのが好ましい。
本発明に用いられるワックス成分の融点は30℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下の範囲であることが好ましい。
上記のような熱特性を呈するワックス成分を用いることにより、得られるトナーの良好な定着性はもとより、ワックス成分による離型効果が効率良く発現され、十分な定着領域が確保される。
本発明には着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料を用いてもよい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、および、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、および、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、1923、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、および、254。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、および、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、および、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、および、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、および、シアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。染料を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめて着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
また、必要に応じて荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂が挙げられる。
一方、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、および、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤は、単独でまたは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
また、荷電制御樹脂は、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることが好ましい。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは5質量%以上含有することである。荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mn)が25,000以上50,000以下であるものが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
重合性単量体を重合させるために、重合開始剤を用いてもよい。本発明に用いることができる重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物系開始剤としては、以下のものが挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、および、tert−ブチル−パーオキシピバレートなどである。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、および、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、および、アンモニウム塩)の無機過酸化物、および、4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、および、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、および、エチルアミンのような炭素数1〜6程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6)、アスコルビン酸またはその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加し用いることも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、および、トリメチロールプロパンとりメタクリレートのような多官能性化合物が挙げられる。
水系媒体を調製するときに使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、および、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、および、アルミナが挙げられる。一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、および、デンプンが挙げられる。これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。例えば、トナー粒子に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および、水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じやすくなる。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、および、有機チタン化合物が挙げられる。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもまたは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量部以上2.5質量部以下である。外添剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下に、本発明で規定する各物性値の計算方法および測定方法を記載する。
<溶解度パラメータ(SP値)の計算方法>
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(1)を用いて求めた。ここでのΔei、および、Δviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参考にした。
δi=[Ev/V]1/2=[Δei/Δvi]1/2 式(1)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
<分子量の測定方法>
ワックス分散剤のピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、ブロックポリマー、及びトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<重量平均粒子径(D4)、個数平均粒子径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒子径(D4)および個数平均粒子径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径(D4)および個数平均粒子径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒子径(D4)である。また、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒子径(D1)である。
<変性ポリエステルのC/A比、分散剤のd/a比の測定方法>
変性ポリエステルのポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A比)及び分散剤の部位aと部位dの質量基準の比率(a/d比)は核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行った。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から変性ポリエステルのポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A比)および分散剤の部位aと部位dの質量基準の比率(a/d比)を算出した。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<変性ポリエステル1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管および減圧装置を備えた反応容器に、キシレン100.0質量部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。前記キシレン溶媒にスチレン100.0質量部、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)15.9質量部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しビニルポリマー(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管および減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニルポリマー(1)100.0質量部、有機溶媒としてキシレン80.0質量部、1,10−デカンジオール85,5質量部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.43質量部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸90.5質量部を加えて150℃で3時間、180℃で4時間反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する変性ポリエステル1を得た。得られた変性ポリエステル1の物性を表1に示す。得られた変性ポリエステル1は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが認められた。
<変性ポリエステル2、4〜5および9〜15の製造>
変性ポリエステル1の製造方法を用いてモノマー種、反応条件を変更して変性ポリエステル2、4〜5および9〜15を得た。得られた変性ポリエステル2、4〜5および9〜15の物性を表1に示す。得られた変性ポリエステル2、4〜5および9〜15は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが認められた。
<変性ポリエステル3の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0質量部、および、1,10−デカンジオール93.5質量部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。チタン(IV)イソプロポキシド0.7質量部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。アクリル酸5.0質量部、スチレン30.0質量部を1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間撹拌を続けた後、8.3kPaにて1時間スチレン樹脂成分の単量体の除去を行った。その後210℃に昇温し、所望の分子量になるまで反応を行い、変性ポリエステル3を得た。得られた変性ポリエスエステル3の物性を表1に示す。得られた変性ポリエステル3は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが認められた。
<変性ポリエステル6〜8および16の製造>
変性ポリエステル3の製造方法を用いてモノマー種、反応条件を変更して変性ポリエステル6〜8および16を得た。得られた変性ポリエステル6〜8および16の物性を表1示す。得られた変性ポリエステル6〜8および16は、示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピーク(融点)を有することが認められた。
Figure 2016224139
<分散剤1の製造>
撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に、脱水クロロホルム440.0質量部、及び末端水酸基含有ポリエチレン(Mw:3000)100.0質量部を添加して完全に溶解させた後、トリエチルアミン5.0質量部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0質量部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0質量部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させて前駆体1を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られた前駆体1を100.0質量部、スチレン300.0質量部、臭化銅(I)3.5質量部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン8.5質量部を添加して撹拌しながら、温度98℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥して分散剤1を得た。得られた分散剤1の物性を表2に示す。
<分散剤2、4〜6、8〜10の製造>
分散剤1の製造方法を用いて原料および反応条件に変更して分散剤2〜10を得た。得られた分散剤2〜10の物性を表2に示す。
<分散剤3の製造>
撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に、キシレン100.0質量部、エチル2−ブロモイソブチレート2.0質量部、及びベヘニルアクリレートモノマー70.0質量部を添加して50℃で完全に溶解させた後、臭化銅(I)0.5質量部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン1.0質量部を添加して撹拌しながら、温度80℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のベヘニルアクリレートモノマーおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機させて前駆体2を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られた前駆体2を100.0質量部、スチレン600.0質量部、臭化銅(I)5.5質量部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン11.0質量部を添加して撹拌しながら、温度98℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥して分散剤3を得た。得られた分散剤3の物性を表2に示す。
<分散剤7の製造>
分散剤3の製造方法を用いて原料を変更して分散剤7を得た。得られた分散剤7の物性を表2に示す。
Figure 2016224139
<トナー1の製造>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0質量部に、リン酸三カルシウム9.0質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の結着樹脂材料をプロペラ式撹拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して溶解液を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 20.0質量部
次に上記溶解液を温度65℃に加温した後に、
・変性ポリエステル1 10.0質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学社製) 0.5質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・分散剤1 2.0質量部
・極性樹脂 5.0質量部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)にて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤として
・パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))6.0質量部
を加え、温度70℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間撹拌し、造粒した。
プロペラ式撹拌装置に移して撹拌速度200rpmで撹拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
トナー粒子中には、スチレン−アクリル樹脂が90.0質量部、変性ポリエステルが10.0質量部、シアン着色剤が6.5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電性制御剤が0.5質量部、分散剤1が2.0質量部、極性樹脂が5.0質量部含まれていた。
上記トナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で撹拌速度3000rpmで15分間混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。
<トナー2〜35の製造>
原材料および添加部数を変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜35を得た。トナー2〜35の物性を表3に示す。
<トナー36の製造>
・スチレン−アクリル樹脂 90.0質量部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=80:20(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・変性ポリエステル1 10.0質量部
・分散剤1 2.0質量部
・メチルエチルケトン 100.0質量部
・酢酸エチル 100.0質量部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0質量部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88、オリエント化学社製) 0.5質量部
上記材料を、アトライター(三井三池化工機株式会社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0質量部にリン酸カルシウム27.0質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N2雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、T.K.ホモミクサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して分散液から溶剤を除去し、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー粒子を得た。
トナー粒子には、スチレン−アクリル樹脂が90.0質量部、変性ポリエステルが10.0質量部、シアン着色剤が6.5質量部、ワックスが9.0質量部、負荷電制御が0.5質量部含まれていた。
得られたトナー粒子100.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粒子(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.5質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で、撹拌速度3000rpmで15分間混合してトナー36を得た。トナー36の物性については表3に示す。
Figure 2016224139
<実施例1〜31、比較例1〜5>
得られた各トナーについて、以下の方法に従って性能評価を行った。各評価とも、基準Cまでが本発明の効果が得られているレベルである。結果を表4に示す。
[変性ポリエステルの分散性]
トナー中の変性ポリエステル分散性は、トナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、変性ポリエステルのドメインサイズと個数で評価した。
詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行った。その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行った。(観察するトナーは、重量平均粒径から±2.0μm以内のものを100個選択。)変性ポリエステルのドメインサイズは断面積の円相当径の平均値をドメインサイズとした。
A:ドメインの円相当径が200nm未満
B:ドメインの円相当径が200nm以上500nm未満
C:ドメインの円相当径が500nm以上1000nm未満、またはドメインの数が5個以上10個未満
D:ドメインの円相当径が1000nm以上1500nm未満、またはドメインの数が2個以上5個未満
E:ドメインの円相当径が1500nm以上、またはドメインの数が1個
〔ブロッキング〕
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet 3525dn]を一部改造して評価を行った。改造は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改良した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに各トナー(300g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
〔低温定着性〕
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、定着温度を変えてプリントし、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
(評価基準)
A:100℃でオフセットせず
B:100℃でオフセット発生
C:110℃でオフセット発生
D:120℃でオフセット発生
〔グロス〕
定着温度130℃でベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)をプリントし、PG−3D(日本電色工業製)を用いて上段3点、中段3点、下段3点の合計9点でグロス値の測定を行いその平均値をとった。転写材としては、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
(評価基準)
A:グロス値が30以上
B:グロス値が20以上30未満
C:グロス値が15以上20未満
D:グロス値が15未満
〔グロス面内均一性〕
定着温度130℃でベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)をプリントし、PG−3D(日本電色工業製)を用いて上段3点、中段3点、下段3点でグロス値の測定を行い最も高い部分と最も低い部分の差分で評価した。転写材としては、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200用紙、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
A:グロス値の差分が1.0未満
B:グロス値の差分が1.0以上2.0未満
C:グロス値の差分が2.0以上3.0未満
D:グロス値の差分が3.0以上
Figure 2016224139

Claims (9)

  1. スチレンアクリル樹脂および変性ポリエステルを含有する結着樹脂、及び前記変性ポリエステルを分散させるための分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記変性ポリエステルがポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有する結晶性ポリエステルであり、
    前記ポリエステル部位Cが下記式(1)で示されるユニットを有し、
    前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)が40/60〜95/5であり、
    前記分散剤が、下記部位aおよび下記部位dを有する樹脂であり:
    (前記部位aは、下記式(2)で示されるユニットを有するポリエステル部位、または炭素数が12以上の脂肪族炭化水素部位である。
    前記部位dは、前記スチレンアクリル樹脂のSP値との差の絶対値(ΔSP値)が0.10以下となる部位である。)
    前記部位aと前記部位dの質量比率(a/d比)が、2/98〜30/70であることを特徴とするトナー。
    Figure 2016224139
    [式(1)中、mは、6以上14以下の整数を示す。nは、6以上16以下の整数を示す。
    式(2)中、oは、6以上14以下の整数を示す。pは、6以上16以下の整数を示す。]
  2. 前記トナー中における前記変性ポリエステルと前記分散剤の質量基準の含有比が1.0:1.0〜10.0:1.0であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記変性ポリエステルがポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有するブロックポリマーである請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記変性ポリエステルにおける前記ビニルポリマー部位Aの重量平均分子量(Mw)が、3000以上14000以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記変性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が、15000以上45000以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記変性ポリエステルの含有量が結着樹脂に対して2.0質量%以上50.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記分散剤の部位dがスチレンユニットを含むビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記分散剤の部位aが炭素数20以上の脂肪族炭化水素であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記変性ポリエステルの融点(Tm)が、50℃以上90℃以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトナー。
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