JP2015043049A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、少量であっても十分な画像濃度が得られ、長期間の使用においても、高温高湿環境下におけるカブリなどの画像弊害のないトナーを提供する。【解決手段】結着樹脂、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂であり、前記顔料分散剤が、以下(i)〜(iv)を満たすトナー:(i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−0.90以上+1.00以下であり、(ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下であり、(iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と前記顔料への吸着率が30%以上である吸着成分とを有し、ポリマー成分が、ビニル系重合体で表される部分構造を有し、(iv)前記顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000〜20000である。【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法、静電記録法またはトナージェット法などに用いられるトナーに関する。
近年、複写機またはプリンターを、小型で省エネに優れたものにしたいという要望が高まっている。
上記のような要求に対し、より低温定着性に優れ、高着色力、高画質を実現できるトナーが求められている。
その要求に対して、特定のジアルコール成分をモノマーとし、特定の範囲の溶解性パラメーターを有するポリエステル樹脂をトナーに含有させることで、低温定着性に優れたトナーを得る方法が存在する。
しかしながら、着色力や高温高湿環境下または低温低湿環境下での長期間での使用におけるカブリに関して未だ若干の課題が存在している。
また、水系媒体中で重合性単量体および結晶性ポリエステル樹脂の存在下で特定の過酸化物系重合開始剤を用いて重合することで、トナーを得る方法が存在する(例えば、特許文献1)。このような方法で得られたトナーは、長期および高温高湿環境下での使用においてもカブリや濃度薄、画像ムラ、フィルミングおよびトナーや無機微粒子の潜像担持体および現像剤担持体の表面への融着など、部材汚染、クリーニング不良といった問題の発生がない。また、このようなトナーを用いることで、転写効率および低温定着性、耐オフセット性に優れた画像が得られる。
しかしながら、トナー中の顔料の分散状態が不十分なため、トナーの着色力が十分ではなく、高温高湿環境下または低温低湿環境下で長期間使用した場合のカブリに関して未だ若干の課題が存在している。
また、結着樹脂として少なくとも結晶性ポリエステルと非結晶性ポリエステルを含有し、所定の物性値を特定の範囲にすることで、良好な低温定着性、耐熱保存性、分離性能を兼ね備えたトナーを得る方法が存在する(例えば、特許文献2)。
しかしながら、トナー中の顔料の分散状態が不十分なため、トナーの着色力が十分ではなく、高温高湿環境下または低温低湿環境下で長期間使用した場合のカブリに関して未だ若干の課題が存在している。
特開2009−63969号公報 特開2012−108462号公報
Solubility Parameters:ALLAN F.M.BARTON Chemistry Department,Victoria University of Wellington,private Bag, Wellington,New Zealand Received June 7,1974(Revised Manuscript Received October 29,1974)
そこで、本発明の目的は、低温定着性に優れ、少量であっても十分な画像濃度が得られ、長期間の使用においても、また、高温高湿環境下または低温低湿環境下での使用においても、カブリなどの画像弊害のないトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂、顔料、顔料分散剤、結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂であり、前記顔料分散剤が、以下(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするトナーに関する。
(i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−0.90以上+1.00以下である。
(ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下である。
(iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と前記顔料への吸着率が30%以上である吸着成分とを有し、ポリマー成分が、ビニル系重合体で表される部分構造を有する。
(iv)前記顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000〜20000である。
本発明によれば、低温定着性に優れ、少量であっても十分な画像濃度が得られ、長期間の使用においても、また、高温高湿環境下または低温低湿環境下での使用においても、カブリなどの画像弊害のないトナーを得ることができる。
一般式(1)で示される顔料分散剤であるアゾ化合物が取り得る互変異性体を表す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーである。
結着樹脂が非晶性ポリエステル樹脂であり、顔料分散剤が以下の(i)〜(iv)を満たすことにより、上記の本発明の効果を奏する。
(i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−0.90以上+1.00以下であり、
(ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下であり、
(iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と前記顔料への吸着率が30%以上である吸着成分とを有し、ポリマー成分が、ビニル系重合体で表される部分構造を有し、
(iv)前記顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000〜20000である。
本発明の効果が発現する理由は必ずしも明確にはなっていないが、本発明者らは次のように考えている。
顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)は−2.00以上+2.00以下とする。−2.00以上+0.05以下であるとより好ましい。
顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下であると、上記顔料分散剤の分散基部位であるポリマー成分の分子が結着樹脂中で収縮せず、立体反発効果が小さくならず、顔料の分散状態が悪化しない。
また、顔料分散剤のSP値と結晶性ポリエステル樹脂のSP値との差が大きい場合、トナー製造中に、結晶性ポリエステル樹脂と接触した場合に、お互いの親和性が低いために、顔料分散剤の分散基にあたるポリマー成分の分子が収縮し、顔料分散効果が低減する。
顔料分散効果を低減させないために、顔料分散剤のSP値(A)と結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)は−0.90以上+1.00以下とする。−0.78以上+0.78以下であるとより好ましく、−0.78以上+0.60以下であるとより一層好ましい。
また、上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分の数平均分子量(Mn)が3000以上であると、立体反発効果が弱くならず、顔料の分散状態を良好に維持できる。
数平均分子量(Mn)が20000以下であると、顔料の粒子間を架橋したり、顔料粒子の動きを束縛したりせず、顔料粒子間距離が小さくなったり、顔料粒子の均一分散を阻害したりしない。また、顔料分散液の粘度も高くなり過ぎず、トナー粒子製造時の造粒工程において粒子径分布をシャープにする点において不利とならない。
したがって、上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分の数平均分子量(Mn)は3000以上20000以下とする。6000以上20000以下であるとより好ましく、9000以上20000以下であるとより一層好ましい。
顔料分散剤の顔料への吸着率が30%以上であると、トナー製造過程において、顔料分散剤が顔料粒子から脱離しにくく、顔料の分散状態を良好に維持できる。
したがって、顔料分散剤の顔料への吸着率は30%以上とする。50%以上であるとより好ましく、70%以上であるとより一層好ましく、85%以上であるとさらに一層好ましい。
顔料分散剤の構造としては、顔料の表面に吸着する吸着成分と立体反発効果を生む分散基であるポリマー成分とを有することが好ましい。吸着基と分散基を明確に有していない場合は、顔料分散剤としては顔料への吸着力が小さく、立体反発効果も弱いため好ましくない。また、分散基がポリマー成分でない場合、つまり低分子量成分であると立体反発効果が弱く、極性による反発効果も有機溶媒中では効果が小さいため好ましくない。
上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分は、結晶性ポリエステル樹脂、結着樹脂であるポリエステル樹脂との親和性を調整するために、ビニル系重合体で表される部分構造を有する。
上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分は下記一般式(1)で示される単量体単位を有することが特に好ましい。
Figure 2015043049
一般式(1)中、Rは、アルキル基、アラルキル基、水素原子を示し、Rは、炭素原子4〜22のアルキル基を示す。
これは、本発明のトナーにおいては結晶性ポリエステル樹脂を含有させているためである。結晶性ポリエステル樹脂は結晶性を有するため溶解性が低い。また、非晶性ポリエステル樹脂と比較して、疎水性が強い。特に有機溶剤中に溶解させた状態で造粒し、その後脱溶剤工程を経てトナーを製造する場合、造粒工程中に上記結晶性ポリエステル樹脂と上記顔料との親和性が低いため、上記顔料が凝集しやすい。
また、脱溶剤工程において、溶剤が系外に移動するのに伴い、上記結晶性ポリエステル樹脂が析出してくるが、その際、上記顔料が上記結晶性ポリエステル樹脂との親和性が低いためさらに上記顔料が凝集しやすい。上記顔料分散剤により、顔料の凝集を抑制しようとする場合、上記顔料分散剤により顔料の表面を覆い、上記顔料分散剤が上記結晶性ポリエステル樹脂との親和性が高いことが必要となる。
そこで、上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分が一般式(1)で示される構造を有することで分散基の疎水性が高まる。かつ、結晶性ポリエステルのモノマー組成との構造類似性を高め、かつ、立体反発効果が向上することで結晶性ポリエステル樹脂存在下においても顔料分散性を維持できる。
上記の効果を発現させるためには一般式(1)中、Rは、炭素原子4〜22のアルキル基であることが好ましい。Rのアルキル基の炭素数が4以上であると分散基の疎水性が十分で、かつ、立体反発効果も弱くないため好ましい。Rのアルキル基の炭素数が22以下であると上記顔料分散剤の吸着基の部位が顔料に吸着する上で立体障害をおよぼさず、吸着率が低下しないため好ましい。また、上記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を阻害しないため好ましい。
一般式(1)中、Rは、アルキル基、アラルキル基、または、水素原子であることが好ましい。Rが、アルキル基、アラルキル基、または、水素原子であれば、立体障害などが原因となって上記結晶性ポリエステル樹脂との親和性が低くなったりしないため好ましい。
上記顔料分散剤がポリエステル樹脂で表される部分構造を有するとより好ましい。
これは、本発明のトナーの結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂であるためである。上記結着樹脂がポリエステル樹脂であるため、上記顔料分散剤がポリエステル樹脂で表される部分構造を有すると上記顔料分散剤の結着樹脂との親和性が高くなる。そのため、上記顔料分散剤がトナー中に十分溶解し、分子鎖が広がった状態で分布するため、立体反発効果が大きく、顔料の分散安定性が向上するため好ましい。
上記顔料分散剤が、下記一般式(2)で示される部分構造を有することが好ましい。
これは下記一般式(2)で示される部分構造が顔料への吸着基として高い能力を発現するためである。
顔料分散剤の吸着基の顔料の表面への吸着力は、おおよそπ電子によるπ−π相互作用と水素結合と極性により決定される。例えば、顔料分散剤が芳香環を含む構造を有する場合、当該芳香環中のπ電子による相互作用が生じ、顔料分散剤の吸着基の顔料の表面への吸着力を強めると考えられる。
しかしながら、トナーは様々な材料の複合物であるため、顔料分散剤の芳香環中のπ電子によるπ−π相互作用以外にも吸着力に影響をおよぼす要素があると考えられる。一般的に、トナーを構成する結着樹脂はポリエステル、ポリウレタンまたはスチレン−アクリル系樹脂であることが多いが、いずれの結着樹脂も芳香環を有しているため、結着樹脂中の芳香環においてもπ−π相互作用が生じる。その結果、顔料分散剤が結着樹脂と干渉し合い、顔料分散剤の顔料に対するπ−π相互作用効果が弱まるため、顔料分散剤の吸着基の顔料の表面への吸着力が弱まると考えられる。
ここで、本発明で用いる上記一般式(2)で示される上記顔料分散剤には、下記に示されるように、下記一般式(T1)で示される互変異性体および下記一般式(T2)で示される互変異性体が存在する。そのため、上記一般式(2)で示されるアゾ化合物中のアリール基におけるπ−π相互作用以外にも、下記の共鳴構造により、より一層強固なπ−π相互作用が得られると考えられる。
アゾ骨格部分構造中のアリール基に直結するアゾ結合、および、上記アゾ結合に影響をおよぼし共鳴するように配置されたカルボニル基による共鳴構造。
また、上記アゾ骨格部分構造中のアミン構造や、水酸基およびカルボニル基の極性の作用により、上記一般式(2)で示される上記顔料分散剤の顔料への吸着力は強くなると考えられる。さらに、アゾ骨格部分構造の極性基と顔料の間には水素結合による作用も発現し、吸着力はさらに強くなると考えられる。
その上で、上記顔料分散剤のポリマー成分が分散基として作用し、立体障害などにより顔料粒子同士の凝集を抑制することで顔料の分散状態を良好に維持することが可能となる。
したがって、これらの互変異性体についても本発明の権利範囲内である。
上記顔料分散剤は、市販の顔料分散剤に見られるように、顔料への吸着基としてアミン構造やカルボキシル基といった極性基のみを用いた場合と比較して、トナーの帯電性に与える影響が小さい。これは、上記アゾ骨格部分構造が、以下に示されるように互変異性体をとるため、電子の分布に関して偏りが小さく、帯電性に関してポジ性やネガ性が強くないためである。
それに加え、上述したπ−π相互作用、極性および水素結合の3つの効果により、顔料への吸着力も極性基のみの場合に比して強いため、顔料の分散状態を良好に維持し、かつ、上記顔料分散剤の顔料からの遊離も抑制する。このため、トナーの着色力のみでなく、帯電性の点でも優れた効果を発揮する。
Figure 2015043049
[式(T1)および(T2)中のR、RおよびArは、それぞれ式(2)におけるR、RおよびArと同義である。]
(顔料分散剤)
下記一般式(2)で示される上記顔料分散剤について詳細に説明する。
Figure 2015043049
上記一般式(2)中、R、RおよびArのいずれかは、単結合または連結基を介してポリマー成分と結合し、
は、アルキル基、フェニル基、OR基またはNR基を示す。
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
がポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
は、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
は、アルキル基、フェニル基、OR10基またはNR1112基を示す。
10〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
がポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アルキレン基、フェニレン基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
は、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
Arは、アリール基を示し、Arがポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Arに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
上記単結合または連結基が、R、RまたはArに結合する場合は、R、RまたはArの水素原子と置換して結合する。
上記一般式(2)中のRおよびRは、互変異性体の共鳴構造を阻害しないものであれば特に限定されず、上記に列挙した置換基および水素原子から任意に選択できる。
上記一般式(2)中のRおよびRにおけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基およびフェネチル基などが挙げられる。
上記顔料への親和性の観点から、Rは、炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基、NH基、OCH基またはOCH基であることが好ましい。
また、Rがポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NH−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。なお、上記単結合または連結基がRに結合する場合は、Rの水素原子と置換して結合する。
さらに、上記一般式(2)中のRの置換基は、顔料への親和性を著しく阻害しない限りは、さらに置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基およびトリフルオロメチル基などが挙げられる。
また、本発明において、上記顔料への親和性の観点から、RがNR1112基であり、かつ、R11が水素原子、R12がフェニル基であることが好ましい。これは、アゾ骨格部分構造の極性による効果を阻害することなく、π電子によるπ−π相互作用(π電子相互作用)の効果が向上するためである。
具体的には、R11の水素原子と、Rに隣接するカルボニル基由来の酸素原子とによる分子内水素結合によりπ電子相互作用を引き起こすπ平面が形成され、さらに、Rのフェニル基由来のπ平面も存在する。このため、これら2つのπ平面により、π電子相互作用の効果が向上するからである。
また、RがNR1112基であり、かつ、R11が水素原子、R12がフェニル基であることが好ましい。NR11のアミンは分子内水素結合によりπ電子相互作用を引き起こすπ平面を形成するため、帯電性に与える影響が小さく、トナーの帯電性においてもポジ性を強めないためである。
一方、Rがポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アルキレン基、フェニレン基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基、−O−、−NH−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。
また、Rがポリマー成分と結合する場合において、RがNR1112基であり、かつ、R11が水素原子、R12がフェニル基であって、上記連結基が−NH−であることがより好ましい。
これは、特に上記一般式(1)中のArがポリマー成分と結合する場合と比較して、上記Arを含め、アゾ化合物のπ電子相互作用が強いためである。つまり、Arがポリマー成分と結合している場合は、ポリマー成分がArのπ電子の電子雲に干渉するため、上記一般式(2)中のアゾ骨格部分構造のπ電子、極性および上述した3つの共鳴構造による効果が最大にならないためである。
それに対して、RがNR1112基であり、かつ、R11が水素原子、R12がフェニル基であって、上記フェニル基が2価の連結基を介してポリマーと結合する場合、ポリマー成分が上記式(2)中のアゾ骨格部分構造の電子雲におよぼす影響が低減される。これは、R12のフェニル基のπ電子の作用による。その結果、上記一般式(2)中のアゾ骨格部分構造のπ電子、極性、ならびに、上記一般式(2)、(T1)および(T2)の3つの共鳴構造による効果がほとんど低減されず、本発明の効果が最大となる。
なお、上記単結合または連結基がRに結合する場合、Rの水素原子と置換して結合する。
本発明において、Arは、アリール基を示し、例えばフェニル基およびナフチル基などを示す。
一方、Arがポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Arに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。
また、Arは、上記共鳴構造を阻害せず、顔料への親和性を著しく阻害しない限りは、さらに置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基およびカルボン酸アミド基などが挙げられる。
上述のように、単結合または連結基がArに結合する場合は、Arの水素原子またはArの置換基の水素原子と置換して結合する。
本発明において、上記顔料への親和性の観点から、上記一般式(2)で示される上記顔料分散剤は、下記一般式(3)で示されるアゾ化合物であることが好ましい。
Figure 2015043049
上記一般式(3)中、R、R、R13〜R17のいずれかは、単結合または連結基を介してポリマー成分と結合する。
およびR、ならびに、RおよびRに結合する連結基は、それぞれ上記式(2)におけるRおよびRで示されたものと同義である。
13〜R17は其々独立して水素原子、COOR18基、CONR1920基を示す。R18〜R20はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
上記R18〜R20におけるアルキル基は、炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましい。中でも特にメチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基が、立体障害による顔料との親和性低下を防止する観点から好ましい。
上記R18〜R20におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基およびフェネチル基などが挙げられる。
なお、上記単結合または連結基が、R、R、R13〜R17に結合する場合は、R、R、R13〜R17の水素原子と置換して結合する。
上記一般式(3)中のR13〜R17は、水素原子、COOR18基およびCONR1920基より選択できるが、顔料への親和性の観点から、R13〜R17のうち少なくとも1つがCOOR18基またはCONR1920基であることが好ましい。
例えば、顔料がカーボンブラック、C.I.Pigment Yellow 74、93、139、155、180、185、C.I.Pigment Red 31、122、150、170、258、269、C.I.Pigment Violet 19、または、C.I.Pigment Blue 25、26の場合、R13〜R17のうち少なくとも1つがCOOR18基またはCONR1920基であることで、各顔料のカルボニル基または2級アミンの水素原子へ、本発明のアゾ骨格部分構造が水素結合するため、上記アゾ骨格部分構造と顔料が一層強く吸着する。さらに、顔料が、一次粒径が14nm以上80nm以下のカーボンブラック、P.Y.139、155、180、185、P.R.31、122、150、269、または、P.V.19の場合、本発明のアゾ骨格部分構造のR13〜R17のうち少なくとも1つがCONR1920基であることで、各顔料のアミド結合部位が相互作用を起こし、顔料へのアゾ骨格部分構造の吸着基の吸着力が一層強くなるため好ましい。
上記一般式(3)中のR18〜R20は、上記に列挙した置換基および水素原子から任意に選択できるが、顔料への親和性の観点から、R18がメチル基であり、R19およびR20が水素原子またはメチル基であることが好ましい。この場合、立体障害が生じないだけでなく、エステル結合またはアミド結合が存在することで、上記顔料への水素結合および極性による吸着力が高まるからである。
上記一般式(3)中の置換基の組み合わせについて、以下に例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。上記一般式(3)は、下記一般式(6−1)〜(9)のいずれかで示される場合、顔料への親和性がより向上する。
Figure 2015043049
Figure 2015043049
Figure 2015043049
Figure 2015043049
Figure 2015043049
Figure 2015043049
本発明で用いられる顔料に対しては、上記一般式(6−1)〜(8)で示すように、連結基を介してポリマーと結合しないフェニル基に結合されるアゾ結合部位に対し、アミド基もしくはスルホアミド基がm−位もしくはp−位にあることにより最も効果を発揮する。しかし、o−位であってもよい。
上記アミド基もしくは上記スルホアミド基がm−位もしくはp−位にある場合、上記顔料のカルボニル基または2級アミンの水素原子への水素結合を行う上で最適な位置関係になるため、本発明の効果を最も発揮する。これは、o−位は立体障害のせいで顔料に配位しにくいためであると考えられる。
また、上記一般式(9)において、連結基を介してポリマー成分と結合しないフェニル基に結合されるアゾ結合部位と二つのCOOCH基が、o−位およびm−位にあることにより本発明の効果を最も発揮する。しかし、二つのCOOCH基が任意の位置に存在していてもよい。
上記一般式(6−1)〜(9)において、「L」は、アゾ骨格部分構造とポリマー成分を連結する連結基を示す。当該連結基Lは、2価の連結基であれば特に限定されるものではないが、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NH−、−NHCH(CHOH)−、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、スルホン酸エステル基およびスルホン酸アミド基からなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。
また、上記一般式(6−1)〜(9)中の連結基の結合位置(フェニル基の水素原子との置換位置)は、アミド基に対してo−位、m−位またはp−位のいずれの位置でもよく、これらの置換位置の違いによる顔料への親和性に対する影響は同等である。
本発明で用いる顔料分散剤がトナー中で顔料の分散状態を良好に保つためには、トナーを構成する結着樹脂中で上記ポリマー成分が十分に分子鎖を広げた状態で維持されなければならない。そのためには、上記顔料分散剤のポリマー成分が、トナーを構成する結着樹脂との親和性が良くなければならない。ここでいう、「結着樹脂との親和性」とは、結着樹脂との相溶性を示すものである。もし、上記顔料分散剤と結着樹脂との相溶性が悪ければ、上記顔料分散剤同士が凝集し合い、かつ、ポリマー成分の分子鎖も収縮し、分子鎖が十分に広がらないため十分な立体反発効果が得られず、顔料の凝集を抑制できなくなる。
したがって、上記結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、上記顔料分散剤のポリマー成分は、上記結晶性ポリエステル樹脂や上記結着樹脂とSP値が近いポリエステル樹脂を含有することが好ましい。これは構造の類似性が高いもの同士の方がより親和性が高いためである。
また、溶解懸濁法(懸濁造粒法)によるトナーを製造する場合には、上記顔料分散剤のポリマー成分は、トナー製造時に用いられる有機溶媒との親和性のある構造のものを選択することが好ましい。ただし、このとき用いられる有機溶媒は、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂の双方を溶解させるものが用いられるため、双方に対する親和性が高い。そのため有機溶媒の影響は結着樹脂や結晶性ポリエステル樹脂と比較して小さい。
前記顔料分散剤のポリマー成分を構成するビニル系重合体は、トナーの結着樹脂や結晶性ポリエステル樹脂、との親和性を調整するために、一般式(1)を含め、下記一般式(10)で示される単量体単位を構成成分として含む重合体または共重合体が好ましい。
Figure 2015043049
[一般式(10)中、R21は水素原子または炭素原子数が1もしくは2のアルキル基を示す。R22はフェニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アラルキルエステル基またはカルボン酸アミド基を示す。]
上記一般式(10)中のR21は、単量体単位の重合性の観点から水素原子またはメチル基であること好ましい。
また、上記一般式(10)中のR22は、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、フェニル基またはカルボキシル基が好ましい。トナーを構成する結着樹脂中のアゾ化合物の分散性および相溶性の観点から、フェニル基、カルボン酸エステル基またはカルボン酸アミド基である場合が好ましい。
また、上記一般式(10)におけるR22の置換基は、さらに置換されていてもよく、単量体単位の重合性を阻害したり、上記顔料分散剤の溶解性を著しく低下させたりするものでなければ特に制限されない。この場合、置換基としては、アルコキシ基、アミノ基およびアシル基などが挙げられる。
以下に、上記一般式(10)で示される単量体単位を構成成分として含む共重合体をより具体的に例示するが、これらに限定されない。
本発明における上記顔料分散剤のポリマー成分としては、下記一般式(11−1)、(11−2)、(11−3)および(11−4)からなる群より選ばれる単量体単位を構成成分として含む共重合体が好適に挙げられる。
Figure 2015043049
[一般式(11−1)中、R23は水素原子または炭素原子数が1もしくは2のアルキル基を示し、R24は炭素原子数が1〜22のアルキル基または炭素原子数が7もしくは8のアラルキル基を示す。lは、0または正の整数値を示す。]
上記一般式(11−1)中、R23は、単量体単位の重合性の観点から、水素原子またはメチル基である場合が好ましい。
また、上記一般式(11−1)中、R24におけるアルキル基は、トナーを構成する結着樹脂への分散性および相溶性の観点から、炭素原子数が1〜22のアルキル基または炭素原子数が7もしくは8のアラルキル基であることが好ましい。特に、R24は炭素原子数が4〜22のアルキル基であると、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性の観点から好ましい。なお、上記アルキル基は、直鎖状構造、分岐状構造または環状構造のいずれの構造を有していてもよい。
また、R24におけるアラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基およびフェネチル基が挙げられる。
Figure 2015043049
[一般式(11−2)中、R25は、水素原子または炭素原子数が1もしくは2のアルキル基を示す。mは、0または正の整数値を示す。]
Figure 2015043049
[一般式(11−3)中、R26は、水素原子または炭素原子数が1もしくは2のアルキル基を示す。nは、0または正の整数値を示す。]
Figure 2015043049
[一般式(11−4)中、R27は、水素原子または炭素原子数が1もしくは2のアルキル基を示し、R28およびR29は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基またはフェニル基を示す。pは、0または正の整数値を示す。]
顔料分散剤のポリマー成分においては、上記一般式(10)または一般式(11−1)〜(11−4)で示される単量体単位の割合を変化させて、トナーを構成する結着樹脂や結晶性ポリエステル樹脂と上記顔料分散剤の相溶性を向上させることが可能である。
本発明のように、トナーを構成する主たる結着樹脂がポリエステル樹脂の場合には、上記ポリマー成分が結着樹脂との溶解性を調整したポリエステル樹脂を含むポリマーであると、結着樹脂と上記顔料分散剤の相溶性をより一層向上させることが可能である。
上述のように、上記顔料分散剤のポリマー成分とトナーを構成する結着樹脂の相溶性が高い場合、上記顔料分散剤におけるポリマー成分由来の高分子鎖が十分に広がった状態を維持できるため、立体反発効果が大きく、顔料の分散状態を良好に維持できる。
上記顔料分散剤におけるポリマー成分は、トナーを構成する結着樹脂への相溶性が適切な範囲である限りは、ビニル重合系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、または、それら複数を化学的に結合させたハイブリッド樹脂など、任意の高分子を用いることが可能である。
また、上記顔料分散剤におけるポリマー成分の重合形態としては、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体およびブロック共重合体などが挙げられる。なお、上記ポリマー成分は、直鎖状構造、分岐状構造または架橋構造のいずれの構造を有していてもよい。
本発明において、上記顔料分散剤におけるポリマー成分がポリエステル系骨格を有する場合について、以下詳細に説明する。
トナーを構成する結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、結着樹脂への相溶性の観点から、上記顔料分散剤におけるポリマー成分が、少なくとも下記一般式(12)および(13)で示される単量体単位を構成成分として含む縮重合ポリマーを含有することが好ましい。あるいは、下記一般式(14)で示される単量体単位を構成成分として含む縮重合ポリマーを含有することが好ましい。
Figure 2015043049
上記一般式(12)中、Lで示される2価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基であることが好ましい。
上記Lは、上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、分散媒体、特に非極性溶剤への親和性の観点から、炭素原子数6以上のアルキレン基またはフェニレン基であることが好ましく、それらの組み合わせであってもよい。
また、上記Lの置換基は、分散媒体への親和性を著しく阻害しない限りはさらに置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、メチル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、トリフルオロメチル基およびそれらの組み合わせが挙げられる。
上記一般式(13)中のLは2価の連結基を示すが、分散媒体への親和性の観点から、アルキレン基もしくはフェニレン基である場合、または、上記一般式(13)が、下記一般式(15)で示される場合であることが好ましい。
Figure 2015043049
[一般式(15)中、R30はエチレン基またはプロピレン基を示す。xおよびyは、それぞれ0以上の整数であり、x+yの平均値は2〜10である。]
上記Lは上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、分散媒体、特に非極性溶剤への親和性の観点から、炭素原子数が6以上のアルキレン基もしくはフェニレン基である場合が好ましい。または、上記一般式(13)が上記一般式(15)のビスフェノールA誘導体である場合が好ましく、それらの組み合わせであってもよい。
上記Lの置換基は、分散媒体への親和性を著しく阻害しない限りはさらに置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、メチル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子およびそれらの組み合わせが挙げられる。
上記一般式(14)中のLは2価の連結基を示すが、アルキレン基またはアルケニレン基であることが好ましい。
これらアルケニレン基は直鎖状構造、分岐状構造および環状構造のいずれの構造を有していてもよい。また、少なくとも一つ以上の二重結合を有していればよく、二重結合の位置はいずれの箇所にあってもよい。
また、上記Lの置換基は、分散媒体への親和性を著しく阻害しない限りはさらに置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子およびそれらの組み合わせが挙げられる。
上記Lは上記に列挙した置換基から任意に選択できるが、分散媒体、特に非極性溶剤への親和性の観点から、炭素原子数6以上のアルキレン基またはアルケニレン基である場合が好ましく、それらの組み合わせであってもよい。
上記顔料分散剤において、単結合または連結基を介してポリマー成分と結合する顔料に吸着する吸着成分が存在する位置は、ランダムに点在していても、一端に1つまたは複数のブロックを形成して偏在していてもよい。また、吸着成分の数は、多い方が上記顔料への親和性が高いが、多すぎるとトナーを構成する結着樹脂への親和性が低下する傾向にある。したがって、上記吸着成分の数は、ポリマー成分を形成する単量体数100に対して、0.5〜30であることが好ましく、0.5〜15であることがより好ましく、1.0〜6.0であると一層好ましく、1.0〜4.0であるとより一層好ましい。
上記顔料分散剤において、上記顔料分散剤1分子当たりの吸着基成分の個数が1.0以上6.0以下であると好ましく、1.0以上3.0以下であるとより好ましい。これは、上記顔料分散剤1分子当たりの吸着基成分の個数が1.0以上であると上記顔料分散剤の分子が顔料に吸着する分子が十分量存在するため好ましい。逆に上記顔料分散剤1分子当たりの吸着基成分の個数が6.0以下であると上記顔料分散剤の同じ分子内の吸着基同士が会合、凝集する確率が低く、顔料への吸着性が十分であるため好ましい。
本発明において、上記顔料分散剤の含有量は、トナー中に含有される顔料の総量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。4.0質量%以上15.0質量%以下であることがより一層好ましい。上記顔料分散剤の含有量が、顔料の総量に対して0.5質量%以上である場合には、本発明の効果が低下しない。一方、30質量%以下の場合には、顔料と吸着せず遊離した上記顔料分散剤が増加せず、トナーの帯電性が低下しない。
また、上記顔料分散剤の含有量は、トナー質量に対して0.01質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5.00質量%以下であることがより好ましい。上記顔料分散剤の含有量が、トナー質量に対して0.01質量%以上である場合には、本発明の効果が低下しない。一方、10.00質量%以下の場合には、トナーの帯電性が低下しない。
また、上記顔料分散剤のガラス転移温度(Tg)は50℃以上150℃以下であることが好ましく、55℃以上120℃以下であることがより好ましい。上記顔料分散剤のガラス転移温度(Tg)が50℃以上である場合には、トナーの保存性が低下しない。一方、150℃以下の場合には、トナーの定着性が低下しない。
また、上記顔料分散剤の顔料への吸着率は30%以上とする。50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、85%以上であると一層好ましい。上記顔料分散剤の顔料への吸着率が30%以上であると、トナーを構成する他の材料の、顔料に対する干渉に打ち勝って上記顔料分散剤が顔料に吸着し続けられ、顔料の分散状態を良好に維持できる。
また、上記顔料分散剤の酸価は30.0mgKOH/g以下であることが好ましく、10.0mgKOH/gであることがより好ましい。上記顔料分散剤の酸価が30.0mgKOH/g以下であると、吸湿性の観点から、高温高湿環境下での使用において帯電性がより向上する。なお、上記顔料分散剤の酸価は、0.0mgKOH/g以上であることが好ましい。
特に、懸濁造粒法(溶解懸濁法)のような水系媒体中でトナーを製造する場合、上記顔料分散剤の酸価が30.0mgKHO/g以下であり、かつ、トナーの結着樹脂の酸価より小さいと好ましい。その場合、トナー粒子の表面に上記顔料分散剤が存在する確率が低くなり、結果として顔料もトナー粒子の表面近傍に存在する確率が低下する傾向にある。そのため、トナー粒子の表面における顔料の露出を低減できる。つまり、トナー粒子の表面が均質になるため、通常のトナーにおいてトナー粒子の表面に付着させて用いるシリカなどの無機微粒子がトナーから遊離するのを低減できる。そのため、フィルミングなどの部材汚染を改善することが可能となる。
顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+0.05以下で、かつ、上記顔料分散剤の酸価が30.0mgKHO/g以下であり、かつ、トナーの結着樹脂の酸価より小さいとより顕著となる。本発明の結着樹脂として用いられる非晶性ポリエステル樹脂においてSP値が高い場合、樹脂の極性が高いということになる。これは本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂に関しても同様である。したがって、以下の2つの条件を満たすとトナー粒子の表面における顔料の露出をかなり低減できるためフィルミングなどの部材汚染の観点でより一層好ましい。
(1)顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+0.05以下、
(2)上記顔料分散剤の酸価が30.0mgKHO/g以下で、かつ、トナーの結着樹脂の酸価より小さい。
上記顔料分散剤は、アミン価を有していてもよく、上記顔料分散剤のアミン価は30.0mgKOH/g以下であることが好ましく、10.0mgKOH/g以下であることがより好ましく、5.0mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。上記顔料分散剤のアミン価が30.0mgKOH/g以下であると高温高湿環境下での使用において帯電性が向上する。特に、負帯電性トナーにおいては、上記顔料分散剤のアミン価が30.0mgKOH/gを超える場合には、帯電性が低下する傾向にある。なお、上記顔料分散剤のアミン価は、0.0mgKOH/g以上であることが好ましい。
本発明においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された上記顔料分散剤の数平均分子量(Mn)は、3000以上20000以下とする。6000以上20000以下であることがより好ましく、8000以上20000以下であることがさらに好ましい。
上記顔料分散剤の数平均分子量(Mn)が3000以上であると、上記顔料分散剤のポリマー部分による立体反発効果が大きい。そのため、顔料の分散性を向上させる効果が高く、保存安定性に優れる。一方、20000以下であると、トナーを構成する結着樹脂への親和性において問題がなく、かつ、定着性を阻害しない。また、上記顔料分散剤の数平均分子量(Mn)が20000以下であると、上記顔料分散剤が顔料粒子同士を架橋してしまう確率が低く、顔料が凝集してしまうことが抑制される。さらに、水系媒体中でトナーを製造する場合、トナー組成物または重合性単量体組成物の粘度が高くならず、シャープな粒度分布のトナーが得られる。
上記顔料分散剤が式(2)で示されるアゾ化合物の場合は、公知の方法に従って合成することができる。
上記アゾ化合物を合成する方法としては、例えば、下記(i)〜(iv)に示す方法などが挙げられる。
方法(i)について、スキームの一例を以下に示し、詳細に説明する。
Figure 2015043049
[一般式(17)および(18)中のRおよびRは、それぞれ上記一般式(2)中のRおよびRと同義である。一般式(16)および(18)中のArは、アリーレン基を示す。Pは、ポリマー成分であり、例えば、上記一般式(10)などで示される単量体単位を構成成分として含む共重合体などである。一般式(16)および(18)中のQは、Pと反応して単結合または2価の連結基を形成する置換基を示す。]
上記に例示した方法(i)のスキームでは、工程1、および、工程2によって、上記アゾ化合物を合成することができる。工程1では、一般式(16)で示されるアニリン誘導体と、一般式(17)で示される化合物をジアゾカップリングさせ、一般式(18)で示されるアゾ骨格部分構造(以下、「アゾ骨格部分構造(18)」ともいう)を合成する。工程2では、アゾ骨格部分構造(18)とポリマー成分Pを縮合反応などにより結合させる。
上記Pで示されるポリマー成分は、公知の方法を用いて、分子量分布や分子構造を制御することができる。例えば、付加開裂型の連鎖移動剤を用いる方法、NMP法(nitroxide mediated polymerization)、ATRP法(原子移動ラジカル重合法)、RAFT法(reversible addition fragmentation chain transfer)、その他、MADIX法(Macromolecular Design via Interchange of Xanthate)、DT法(Degenerative transfer)などを用いることで、分子量分布や分子構造を制御したポリマー成分を製造することができる。
次に、上記工程2について説明する。工程2では公知の方法を利用できる。例えば、カルボキシル基を有するポリマー成分Pと、Qがアミノ基を有する置換基であるアゾ骨格部分構造(18)を使用することで、PとQがカルボン酸アミド結合で結ばれた上記アゾ化合物を合成することができる。具体的には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤を使用してカルボン酸アミド結合を生成する方法、および、ショッテン−バウマン法などを利用できる。
次に、方法(ii)について、スキームの一例を以下に示し、詳細に説明する。
Figure 2015043049
[一般式(18)中のR、R、ArおよびQは、それぞれ上記方法(i)のスキームにおける一般式(18)中のR、R、ArおよびQと同義である。一般式(19)中のQは、一般式(18)中のQと反応して、式(20)中のQを形成する置換基を示す。一般式(19)および(20)中のR31は、水素原子またはアルキル基を示し、Qは一般式(18)中のQおよび一般式(19)中のQが反応して形成する2価の連結基を構成する置換基を示す。]
上記に例示した方法(ii)のスキームでは、工程3および工程4によって、上記アゾ化合物を合成することができる。工程3では、一般式(18)で示されるアゾ骨格部分構造と、一般式(19)で示されるビニル基含有化合物(以下、「ビニル基含有化合物(19)」ともいう)を反応させ、一般式(20)で示される重合性官能基を有するアゾ骨格部分構造を合成する。一般式(20)で示される重合性官能基を有するアゾ骨格部分構造は、以下、「アゾ骨格部分構造(20)」ともいう。工程4では、重合性官能基を有するアゾ骨格部分構造(20)を、上記一般式(10)などで示される単量体単位と共重合する。
例えば、イソシアネート基を有するビニル基含有化合物(19)(例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート[昭和電工(株)製、商品名「カレンズMOI」])と、Qがヒドロキシル基を有する置換基であるアゾ骨格部分構造(18)を使用する。このようにして、連結基がウレタン基である、重合性官能基を有するアゾ骨格部分構造(20)を合成することができる。
次に、方法(iii)について、スキームの一例を以下に示し、詳細に説明する。
Figure 2015043049
[一般式(18)中のR、R、ArおよびQは、それぞれ上記方法(i)のスキームにおける一般式(18)中のR、R、ArおよびQと同義である。一般式(21)中のQは、一般式(18)中のQと反応して、一般式(22)中のQを形成する置換基(例えば、カルボキシル基)を示す。Aは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。一般式(22)中のR、RおよびArは、一般式(18)中のR、RおよびArと同義であり、Qは一般式(18)中のQおよび一般式(21)中のQが反応して形成する連結基を示す。]
上記に例示した方法(iii)のスキームでは、工程5および工程6によって、上記アゾ化合物を合成することができる。工程5では、一般式(18)で示されるアゾ骨格部分構造と、一般式(21)で示されるハロゲン原子含有化合物を反応させ、一般式(22)で示されるハロゲン原子を有するアゾ骨格部分構造(22)を合成する。一般式(21)で示されるハロゲン原子含有化合物は、以下、「ハロゲン原子含有化合物(21)」ともいう。一般式(22)で示されるハロゲン原子を有するアゾ骨格部分構造(22)は、以下、「アゾ骨格部分構造(22)」ともいう。工程6では、ハロゲン原子を有するアゾ骨格部分構造(22)を重合開始剤として、上記一般式(10)などで示される単量体単位と共重合する。
上記カルボキシル基を有するハロゲン原子含有化合物(21)としては、その酸ハロゲン化物および酸無水物も同様に本発明において使用することができる。
また、工程6では、上記方法(i)中のATRP法を利用し、ハロゲン原子を有するアゾ骨格部分構造(22)を重合開始剤として、金属触媒および配位子の存在下、上記一般式(10)で示される単量体単位と重合して、上記アゾ化合物を合成することができる。
また、上記一般式(2)中のRがNR1112基であり、かつ、R11が水素原子、R12がフェニル基である場合、上記アゾ化合物は、例えば下記方法(iv)により合成することができる。
Figure 2015043049
[一般式(23)、(25)、(27)および(28)中のArは、アリーレン基を示す。式(24)、(25)、(27)および(28)中のRは上記一般式(2)中のRと同義である。一般式(24)中のQは、一般式(23)のアミノ基と反応して、式(25)中のアミド基を形成する際に離脱する置換基を示す。Pは、上記方法(i)のスキーム中のPと同義である。]
上記に例示した方法(iv)のスキームでは、工程7、工程8、工程9および工程10によって、上記アゾ化合物を得ることができる。工程7では、一般式(23)で示されるアニリン誘導体と一般式(24)で示される化合物をアミド化し、一般式(25)で示される化合物を得る。工程8では、一般式(25)で示される化合物と一般式(26)で示されるアニリン類縁体のジアゾ成分とをカップリングさせて、一般式(27)で示されるアゾ骨格部分構造を得る。工程9では、一般式(27)で示されるアゾ骨格部分構造のニトロ基を還元剤にてアミノ基に還元して、一般式(28)で示されるアゾ骨格部分構造を得る。工程10では、一般式(28)で示されるアゾ骨格部分構造のアミノ基と、別途合成したPで示されるポリマー成分のカルボキシル基をアミド化により結合する。
また、一般式(24)中のRがメチル基の場合は、一般式(24)で示される化合物に代わりジケテンを用いた方法によっても、上記アゾ化合物を合成することができる。
工程10では、上記方法(i)のスキーム中の工程2と同様の方法を利用して、一般式(28)で示されるアゾ骨格部分構造のアミノ基と、Pで示されるポリマー成分のカルボキシル基をアミド化するなどして結合する。このようにして、上記アゾ化合物を合成することができる。他には、Pで示されるポリマー成分がエポキシ基を有していても(例えば、2,3−エポキシプロピルメタクリレートの共重合体)、一般式(28)で示されるアゾ骨格部分構造中のアミノ基と反応させて結合させることが可能である。
上記に例示した合成方法の各工程で得られた化合物は、通常の有機化合物の単離・精製方法を用いて精製することができる。単離・精製方法としては、例えば、有機溶剤を用いた再結晶法や再沈殿法、および、シリカゲルなどを用いたカラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。これらの方法を単独または2つ以上組み合わせて精製を行うことにより、高純度の化合物を得ることが可能である。
本発明のトナーは、低温定着性を高めるために、結晶性ポリエステルを用いる。
本発明のトナーは、低温定着性を付与するために結晶性ポリエステルを添加する。
本実施形態において、『結晶性』とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピークを有することを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
本発明に用いる結晶性ポリエステルの融点Tm(C)は、55℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。55℃以上の場合は、トナーのブロッキング(トナー同士の融着)が生じにくく、保存性が低下しない。一方、融点が90℃以下の場合、定着性が悪化しない。
本発明の結晶性ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合樹脂から構成される。
Tm(C)は、使用する脂肪族ジカルボン酸や脂肪族ジオールの種類、重合度などによって調整することができる。
上記脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールは、下記式(4)で示される直鎖型脱脂肪族ジカルボン酸と下記式(5)で示される直鎖型脂肪族ジオールであることがより好ましい。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(4)
[式(4)中、mは、4〜16の整数を示す。]
HO−(CH2)n−OH 式(5)
[式(5)中、nは、4〜16の整数を示す。]
直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、および、低温定着性に優れる。また、炭素原子数が4以上であると、融点(Tm)が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、および、低温定着性に優れる。また、炭素原子数が16以下であると、実用上の材料の入手が容易である。前記炭素原子数としては14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、ポリカルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、ポリオール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましいく、100モル%であることがさらに好ましい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製などの目的で、酢酸、安息香酸などの1価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコールなどの1価のアルコールも用いられる。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、または、エステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
また、ポリマー末端のカルボキシル基を封止することで結晶性ポリエステルの酸価を制御することもできる。末端封止にはモノカルボン酸、モノアルコールを用いることができる。
また、本実施形態では、結晶性ポリエステル部位に対して、他成分を60重量%以下の割合で共重合(変性)した共重合体も結晶性ポリエステル(ハイブリッド結晶性ポリエステル)とする。
結晶性ポリエステルが他成分を重合した共重合体部位を有する場合、共重合体部位が、非晶性ビニル系共重合体であることが好ましい。
共重合体部位が、非晶性ビニル系共重合体であることにより、結晶性ポリエステルが結着樹脂であるポリエステル樹脂との相溶性が適度になるため、トナー中で結晶性ポリエステルを従来よりもさらに微分散させることが可能となる。それにより、優れた低温定着性と耐久性を得ることが可能となる。
結晶性ポリエステル中の非晶性ビニル部位の重量比が60重量%以下の場合は、結晶性ポリエステルの結晶化度が低下しすぎないため、定着工程における十分なシャープメルト性を発揮することができる。
また、本発明の結晶性ポリエステルにおいて、結着樹脂との相溶性を調整するため、結晶性ポリエステルのエステル基濃度を調整するのも好ましい。すなわち、結晶性ポリエステルのエステル基濃度を調整することにより、ポリエステル樹脂である結着樹脂との相溶性を調整することができ、非晶性ビニル部位の上記効果と同様の効果を得ることができる。
エステル基濃度を高めることにより、結晶性ポリエステルのTm(C)が低くなり、耐トナーブロッキング性、画像保存性が悪化する場合があるので、ガラス転移温度(Tg)を考慮し、エステル基濃度を調整する必要がある。
また、結晶性ポリエステルは重量平均分子量(Mw)が10000以上80000以下であることが好ましく、13000以上40000以下であることがさらに好ましい。Mwが10000以上80000以下であることで、トナーの製造工程においては結晶性ポリエステルの結晶化度を高く保持しつつ、定着工程においては速やかに結晶性ポリエステルによる可塑効果を得ることができる。そのため、優れた耐熱保存性と、低温条件や高速条件における優れた定着性を両立することが可能となる。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。なお、結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)の測定方法に関しては後述する。
また、結晶性ポリエステルが、非晶性ビニル部を有する場合、非晶性ビニル部の重量平均分子量(Mw)は2000以上12000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000以上12000以下であることで、非晶性ビニル部が結晶性ポリエステル中にさらに均一に分散した状態となる。その結果、結晶性ポリエステルと結着樹脂との相溶性が適度になり、結晶性ポリエステル樹脂の分散状態が良好であるため、低温定着性が良化する。非晶性ビニル部の重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステル製造時の両反応性モノマーの添加量などポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。なお、非晶性ビニル部の重量平均分子量(Mw)の測定方法に関しては後述する。
また、本発明に用いられる結晶性ポリエステルの酸価を5.0mgKOH/g以下にすることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は元々抵抗が低く、トナーの帯電性の点で不利になりやすい。その際、結晶性ポリエステル樹脂の酸価が高いと吸湿しやすく、帯電がリークしやすくなることから結晶性ポリエステル樹脂の5.0mgKOH/g以下とすることがトナーの帯電性の点で好ましい。
本発明に用いられる結晶性ポリエステルの酸価が5.0mgKOH/g以下であることにより、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、耐熱性が向上する。また、酸価を下げることにより、画像形成時におけるトナーと紙との接着性は向上する。特に水系媒体中でトナーを製造する場合、酸価が5.0mgKOH/g以下であると、結晶性ポリエステルがトナー粒子の表面付近に偏在する確率が低くなる。その結果、結晶性ポリエステルの露出が抑制され、摩擦帯電性の低下や耐熱性の悪化の発生を抑制できるため好ましい。
結晶性ポリエステルの酸価は、結晶性ポリエステルを構成するアルコール成分と酸成分の比率や、単量体の種類、結晶性ポリエステルの末端基処理によって制御可能である。なお、結晶性ポリエステルの酸価の測定方法に関しては後述する。
また、結晶性ポリエステルの含有量は結着樹脂である非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して3質量部以上50質量部以下であることが好ましく、8質量部以上40質量部以下であるとより好ましい。
結晶性ポリエステルの含有量が3質量部以上では、低温定着性がより良好であり好ましい。また、結晶性ポリエステルは抵抗が低く、吸湿しやすいため、その含有量が結着樹脂である非晶性ポリエステル樹脂に対して50質量部以下であるとトナーの帯電性が良好であり好ましい。また、過剰な結晶性ポリエステルの存在による前記結着樹脂への相溶による溶融粘度の低下が原因であるオフセットが発生しにくいため好ましい。さらに、水系媒体中で製造されたトナーでは、結晶性ポリエステルの含有量が過剰であるとトナー粒子の表面形状の平滑性が低下する。そのため、帯電特性の観点から結晶性ポリエステルの含有量は結着樹脂である非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。
また、トナー中の前記結晶性ポリエステル樹脂の分散状態は、前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価、分子量などの物性や、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点と重合温度の条件でも制御可能である。
前記ハイブリッド結晶性ポリエステルの製造方法としては非晶性ビニル系重合体ユニット部を作成する際に加圧環境下で重合反応を進行させる方法が挙げられる。具体的にはポリエステルに含有される水酸基と非晶性ビニル系重合体に含有される(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応、ポリエステルに含有される水酸基と非晶性ビニル系重合体に含有されるカルボキシル基とのエステル化反応、ポリエステルに含有されるカルボキシル基と非晶性ビニル系重合体に含有される水酸基とのエステル化反応、水素引き抜き反応によりポリエステル中にラジカルを発生させ、ビニル系単量体を添加し、加圧環境下において、重合させるなどの方法が挙げられる。その際、加圧の程度としては0.20MPa以上0.45MPa以下が好ましい。
前記ハイブリッド樹脂を製造する際に用いる前記ビニル系重合性単量体としては、公知の単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。単官能性重合性単量体としては、スチレン、アクリル系重合性単量体;前記アクリル系重合性単量体をメタクリレートに変えたメタクリル系重合性単量体が挙げられる。
前記ビニル系単量体としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有するもの、(メタ)アクリル酸エステル類が含有されるものが好ましい。これは、カルボキシル基といった強い極性を持った官能基が前記ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニット中に存在すると、ビニル系重合体ユニットが適当な極性を有することになり、水系媒体中でのトナー粒子製造時にトナー粒子を安定化させるため好ましい。
また、前記ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットがアクリル酸との共重合体であるとアクリル酸の持つカルボキシル基による水素結合により、トナー粒子の表面が強固になり耐久性に優れるため好ましい。アクリル酸の前記ハイブリッド樹脂中の含有量が3.0質量%以下であれば高温高湿環境下においても吸湿性が高まらずトナーの摩擦帯電性が低下しないため好ましい。
前記ハイブリッド樹脂を製造する際に上記した重合性単量体を重合するために用いられる重合開始剤としては、本発明で用いられるもの以外にも本発明の効果を阻害しない範囲であれば油溶性開始剤および/または水溶性開始剤が適宜用いることが可能である。例えば、油溶性開始剤としては、アゾ化合物や過酸化物が挙げられる。
特に、好ましくは、過酸化物であり、ポリエステル樹脂を水素引き抜き反応によりビニル変性させる場合は、10時間半減期温度が70℃以上170℃以下であることが好ましく、75℃以上130℃以下であるものを用いると、適度な反応性を持つためより好ましい。
<結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量、数平均分子量>
結晶性ポリエステル0.03gをo−ジクロロベンゼン10mLに分散して溶解後、135℃において24時間振盪機で振盪を行い、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用い、下記の条件にて分析を行う。
[分析条件]
分離カラム:Shodex (TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0mL/分
試料濃度 :約0.3%
注入量 :300μL
検出器 :示差屈折率検出器 Shodex RI−71
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー(株)製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
<結晶性ポリエステル中の非晶性ビニル部の重量平均分子量>
結晶性ポリエステル中の非晶性ビニル部の分子量の測定は、結晶性ポリエステルのポリエステル部位を過水分解させて測定を行う。具体的な方法は、結晶性ポリエステル30mgにジオキサン5mL、10wt%の水酸化カリウム水溶液1mLを加え、温度70℃で6時間振盪させてポリエステル部位を加水分解させる。その後、溶液を乾燥させて、ビニル部の分子量の測定用の試料を作成した。
測定用試料0.03gをo−ジクロロベンゼン10mLに分散して溶解後、135℃において24時間振盪機で振盪を行い、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用い、下記の条件にて分析を行う。
[分析条件]
分離カラム:Shodex (TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0mL/分
試料濃度 :約0.3%
注入量 :300μL
検出器 :示差屈折率検出器 Shodex RI−71
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー(株)製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
<結晶性ポリエステルの融点Tm(C)>
トナーのガラス転移温度Tgおよび結晶性ポリエステルの融点、吸熱量、結晶化度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー5mgまたは結晶性ポリエステル1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃の間で、下記の設定でモジュレーション測定を行う。
昇温速度1℃/分
振幅温度幅±0.318℃/分
この昇温過程で、温度20℃から140℃の範囲において比熱変化が得られる。トナーのガラス転移温度Tgは、可逆比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点とする。また、結晶性ポリエステルの融点Tm(C)は、比熱変化曲線における最大吸熱ピーク温度とする。
(ワックス)
本発明のトナーは、ワックスを含有してもよい。その場合、ワックスの少なくとも1つは、融点(温度20〜200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30℃以上120℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。また、室温で固体のワックスであることが好ましく、特に、融点が50℃以上100℃以下の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性および耐オフセット性の点から好ましい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびフィッシャートロプシュワックスなどのポリメチレンワックス、アミドワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、カルナバワックスおよびキャンデリラワックスなどの天然ワックスおよびそれらの誘導体、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックスおよびこれらのグラフト化合物、ブロック化合物などの誘導体など公知のワックスを用いることが可能である。これらは単独または併せて用いることができる。
本発明のトナー中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましく、4質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。ワックスの添加量が下限値以上であれば、オフセット防止効果が低くなりにくく、上限値以下であれば、耐ブロッキング効果が低下しにくく、トナーのドラム融着やトナーの現像スリーブ融着を起こしにくい。
なお、上記のような物性を求めるにあたって、ワックスをトナーから抽出することを必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法を用いることができる。例えば、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、DSCなどにより定量分析を行う。本発明ではTAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用いて測定を行う。
測定方法は、上記顔料分散剤のガラス転移温度(Tg)の算出と同様である。測定時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点とする。また、得られた昇温時のDSC曲線からワックス成分の最大吸熱ピーク温度を得る。
(荷電制御剤)
本発明のトナーにおいては、公知の荷電制御剤を使用することができる。
荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(顔料)
本発明のトナーは、着色剤として顔料を含有する。シアン系着色剤に用いられる顔料としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、ならびに、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4。
マゼンタ系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物およびペリレン化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド150およびC.I.ピグメントレッド269。
イエロー系着色剤に用いられる顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物およびアリルアミド化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180およびC.I.ピグメントイエロー185。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、ならびに、上記イエロー系、マゼンタ系およびシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
これら顔料の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のトナーにおいては、本発明の効果を阻害しない範囲で各種特性付与を目的として公知の様々な無機、有機の添加剤を用いることが可能である。用いる添加剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の重量平均粒径の3/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、走査型電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
これら添加剤の含有量は、トナー100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
これらの添加剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
また、これらの添加剤は疎水化処理されていてもよい。疎水化処理の方法としては、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤など各種カップリング剤を用いることが可能であるが、シリコーンオイルで疎水化度を高くすることが好ましい。高湿下での無機微粒子の水分吸着を抑制することができ、さらには、規制部材や帯電部材などの汚染が抑制することができるため、高品位の画像が得られるためである。
(トナーの製造方法)
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーを製造する方法としては、粉砕法、分散重合法、有機溶剤中に原材料を溶解・分散させたものを水系媒体中において造粒を行いトナー化する溶解懸濁法(懸濁造粒法)といったトナーを得る方法が挙げられる。
結着樹脂を含有するトナー組成物を、有機溶媒中に溶解または分散させた混合溶液を水系媒体中で造粒し、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去してトナーを製造する場合も、下記の方法でトナーを製造することが本発明の効果を発揮させるために好ましい。
1)顔料と上記顔料分散剤と結着樹脂を含有するトナー組成物を有機溶媒中に溶解または分散させた混合溶液をあらかじめ作製し、
2)顔料に上記顔料分散剤を吸着させた状態を形成した後、必要に応じてワックスを添加して、溶解させ、
3)上記混合溶液を水系媒体中にて造粒してトナーを製造する。
本発明のトナーの製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明のトナーの製造方法としては、有機溶媒中にトナーを構成する結着樹脂および顔料を溶解または分散させ、その混合溶液を水系媒体中で造粒し、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去してトナーを製造する溶解懸濁法(懸濁造粒法)が好ましい。
これは、有機溶剤を適宜選択することで、溶解性の点で、通常、懸濁重合法などで用いられるビニル系重合性単量体には溶解しにくいが、溶融粘度が低いポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂とすることができる方法だからである。さらに結晶性ポリエステル樹脂を多量に加えることが可能であるため、トナーの一層の低温定着性を達成できる方法だからである。
ただし、トナーの製造工程において、最終的には有機溶剤を除去してトナー粒子を得る製造方法であり、有機溶剤中に分散される顔料の分散状態は顔料の周囲の環境により変化することになる。
溶解懸濁法によりトナーを製造する場合、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂が溶解している有機溶剤中において上記顔料分散剤の分散基であるポリマー成分の分子鎖が十分に広がっていなければ立体反発効果により顔料の分散性を良好に維持できない。特に、良溶媒である有機溶剤を除去する工程においては、顔料分散剤のポリマー成分がトナーの結着樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の両方に対して良好な親和性を有していなければ、分子が収縮してしまい、顔料の分散性を良好に維持できない。粉砕法のような物理的な大きな力が加わるわけではないため、各材料の親和性の影響が顕著となる。
そのため本発明のように以下の2条件が必須となり、上記顔料分散剤のポリマー成分はそれに適合したモノマー組成が必要となる。
(i)顔料分散剤のSP値(A)と結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−0.90以上+1.00以下である。
(ii)顔料分散剤のSP値(A)と結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下である。
また、弊害なく十分な立体反発効果を得るためには以下の条件も必須となる。
(iv)顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000〜20000である。
その際、当然ながら、上記顔料分散剤の吸着基成分が強固に顔料に吸着していなければ、特に有機溶剤の除去工程中に上記顔料分散剤が上記顔料から外れてしまい、顔料分散剤としての効果が失われるため以下の条件も必須となる。
(iii)顔料分散剤が、ポリマー成分と顔料への吸着率が30%以上である吸着成分とを有し、ポリマー成分が、ビニル系重合体で表される部分構造を有する。
以下、本発明に用いた測定方法について説明する。
<上記顔料分散剤および非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度の測定方法>
本発明における上記顔料分散剤や非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量(DSC)測定により求めることが可能である。
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン製のDSC−2920が利用できる。本発明においては、TAインスツルメンツジャパン社製DSC−2920を用いて測定を行う。
測定は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定試料を10mg精秤し、アルミパン中に入れ、リファレンスとしてからのアルミパンを用いて、測定範囲30〜200℃で、昇温速度10℃/分で測定を行う。昇温過程で温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点の温度を、ガラス転移温度とする。
<上記顔料分散剤の顔料への吸着率の測定方法>
上記顔料分散剤の顔料への吸着率は、以下のように測定した。
[検量線の作成]
(A)スチレンに対して上記顔料分散剤を、スチレン/上記顔料分散剤=5.0/0.1の質量比で含有する「上記顔料分散剤のスチレン溶液」を5mL作製する(「溶液1」)。さらに、上記溶液1にスチレンを添加し、上記顔料分散剤の含有比率が1/2、1/4、1/5または1/10となるように希釈した溶液をそれぞれ作製する(以下、それぞれを、「溶液2」、「溶液3」、「溶液4」および「溶液5」という)。
(B)25℃で24時間静置した溶液1、2、3、4および5を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過したものをサンプル溶液とした。そして、以下の条件でGPCを用いて上記顔料分散剤を測定し、液体媒体中のアゾ化合物濃度(g/mL)の検量線を作成した。本発明で用いられる各上記顔料分散剤について同様の操作を行い、各上記顔料分散剤に対する検量線を各々作成した。
・高速GPC装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
・カラム :LF−804の2連
・溶離液 :THF
・流速:1.0mL/分
・オーブン温度:40℃
・試料注入量:0.025mL
[吸着率の測定]
(A)実際に製造するトナーと同じ顔料、スチレンと実際に製造するトナーと同じ上記顔料分散剤において顔料/スチレン/アゾ化合物=1.0/5.0/0.1の質量比率の分散液を作製後、25℃で24時間静置し、以下の条件で遠心分離した。
・コクサン(株)製:高速遠心機 H−9R
・遠沈チューブ:PPT−010
・サンプル:遠沈チューブの容積に対して、約8割に当たる組成物を投入
・遠心条件:10000rpmで3分(25℃)
(B)遠心分離された組成物の上澄みを採取し、フィルター(日本ミリポア社製・マイレクスLH、孔径0.45μm、直径13mm)にて濾過し、検量線と同じ条件で上記GPCを用いて上澄み液中のアゾ化合物の濃度を測定した。
(C)上記測定結果から、以下の式により吸着率(%)を算出した。
吸着率(%)={溶液1におけるアゾ化合物濃度(g/mL)−組成物の上澄み液の上記顔料分散剤濃度(g/mL)}/{溶液1におけるアゾ化合物濃度(g/mL)}×100
<顔料分散剤、結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂の酸価の測定方法>
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。すなわち、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸および樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価という。
本発明において酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定する。具体的には以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を添加しない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)酸価の算出
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
AV=[(B−A)×f×5.61]/S
ここで、AV:酸価(mgKOH/g)、A:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、B:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<顔料分散剤のアミン価の測定方法>
本発明におけるアミン価は、JIS K 7237−1995に準じて測定する。具体的には以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
クリスタルバイオレット0.1gを酢酸100mLに溶解しクリスタルバイオレット溶液を得る。過塩素酸8.5mLを、あらかじめ酢酸500mLと無水酢酸200mLとを混合した溶液中にゆっくりと加えて混合する。これに、酢酸を加え全量を1Lとしたのち、3日間放置して過塩素酸酢酸溶液を得る。上記過塩素酸酢酸溶液のファクターは、フタル酸水素カリウム0.1gを1mgまで量りとり、酢酸20mLに溶解したのち、o−ニトロトルエン90mLを加え、前記クリスタルバイオレット溶液を数滴加えたものを前記過塩素酸酢酸溶液で滴定する。中和に要した過塩素酸酢酸溶液の量から求める。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLのビーカーに精秤し、o−ニトロトルエン/酢酸(9:2)の混合溶液を100mL加え、3時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記クリスタルバイオレット溶液を数滴加え、前記過塩素酸酢酸溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の青が緑色に変色し緑色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を添加しない(すなわち、o−ニトロトルエン/酢酸(9:2)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の試験を行う。
(3)アミン価の算出
得られた結果を下記式に代入して、アミン価を算出する。
AmV=[(D−C)×f×5.61]/S
ここで、AmV:アミン価(mgKOH/g)、C:空試験の過塩素酸酢酸溶液の添加量(mL)、D:本試験の過塩素酸酢酸溶液の添加量(mL)、f:過塩素酸酢酸溶液のファクター、S:試料(g)である。
<顔料分散剤の組成分析>
本発明のポリマー部位、吸着ユニットを有する顔料分散剤の構造決定は、下記の装置を用いて行った。
H NMRおよび13C NMR
日本電子(株)製ECA−400(使用溶剤 重クロロホルム)
ブルカー社製FT−NMR AVANCE−600(使用溶剤 重クロロホルム)
<GPCによる上記顔料分散剤、非晶性ポリエステル樹脂の分子量の測定>
本発明における上記顔料分散剤の数平均分子量(Mn)や非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)や重量平均分子量(Mw)は、以下の手順に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過して試料溶液を得る。試料溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調製する。この試料溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、
807の7連(昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<結着樹脂、結晶性ポリエステル、顔料分散剤のSP値の測定>
結着樹脂、結晶性ポリエステル、顔料分散剤のSP値は、濁点滴定測定法により、以下のように行った。
50mLサンプル管瓶に、約10.00gの精秤したクロロホルムに約1.48gの精秤した結着樹脂、結晶性ポリエステルまたは顔料分散剤を溶解する。次に、メタノールをパスツールピペットにて一滴(約200mg)添加し、蓋を閉め、重量を測定し、マグネットスターラー用のマイクロ回転子(全長3mm×径Φ3mm)にて1分間撹拌する。撹拌後、溶液が白濁しているか目視にて撹拌する。白濁していない場合は、上記手順を白濁するまで繰り返す。
また、同様にメタノールではなく、ヘプタンを用いて行う。
白濁した時点でのクロロホルムとメタノールまたはヘプタンの各重量より、以下の式より、結着樹脂、結晶性ポリエステル、顔料分散剤のSP値を算出した。
結着樹脂、結晶性ポリエステル、顔料分散剤のSP値=(SPα+SPβ)/2
SPα=(Vm1/2×SPm+Vc・mL1/2×SPc)/(Vm1/2+Vc1/2
SPβ(Vc1/2×SPc+Vh1/2×SPh)/(Vc1/2+Vh1/2
Vm(cm):白濁した時点でのメタノールの体積(メタノールの比重:0.792)
Vc(cm):白濁した時点でのクロロホルムの体積(クロロホルムの比重:1.490)
Vh(cm):白濁した時点でのヘプタンの体積(ヘプタンの比重:0.684)
SPm:メタノールのSP値(14.5cal/cm
SPc:クロロホルムのSP値(9.3cal/cm
SPh:ヘプタンのSP値(7.4cal/cm
SPm、SPc、SPhは、非特許文献1より引用した。
なお、結着樹脂は、後述する各実施例、比較例のトナー粒子において、各処方におけるビニル系重合性単量体と開始剤のみで、トナー粒子と同じ反応条件(温度、時間)でバルク重合を行い作製した樹脂のSP値を結着樹脂のSPとした。
<トナーの平均粒径および粒度分布測定>
トナーの平均粒径および粒度分布はコールターカウンターTA−III型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)など種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターカウンターTA−III型(コールター社製)を用い、個数分布および重量分布を算出する。トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールターカウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波
分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10
mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。また、トナー粒子の造粒性を確認する際には、重合反応終了後のトナー粒子懸濁液を少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/重量統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
造粒工程における造粒性については、コールターカウンターで測定されたD50重量%/D50個数%により調べた。D50体積%/D50個数%とは、重量分布基準の50%粒径/個数分布基準の50%粒径である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、以下の実施例は本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例および比較例における「部」および「%」はいずれも質量基準である。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−1)の製造例>
プロピレングリコールモノメチルエーテル100部を窒素置換しながら加熱し液温120℃以上で還流させ、そこへ、下記材料を混合したものを3時間かけて滴下した。
Figure 2015043049
滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温170℃まで昇温しながら常圧蒸留し、液温170℃到達後は1hPaで減圧下1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。上記固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n−ヘキサンで再沈殿、析出した固体を濾別することでポリマー成分(A−1)を得た。得られたポリマー成分(A−1)の組成を表4に示す。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−2)〜(A−13)および(A−20)〜(A−22)の製造例>
ポリマー成分(A−2)〜(A−13)および(A−20)〜(A−22)は、表4に示すように重合性単量体の種類と組成比を変えた。種類と組成比を変えたこと以外はポリマー成分(A−1)と同様にしてアゾ化合物のポリマー成分(A−2)〜(A−13)および(A−20)〜(A−22)を製造した。重合性単量体の合計質量はポリマー成分(A−1)と同じとした。
得られたポリマー成分(A−2)〜(A−13)および(A−20)〜(A−22)の組成を表4に示す。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−14)の製造例>
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)[堺化学社製](β−メルカプトプロピオン酸類)0.15質量部を追加で重合性単量体とともに添加し、パーブチルZ1.25質量部をパーブチルD[日油(株)製]20.0質量部に変更した。このようにして表4に示すように重合性単量体の組成比を変えた以外はポリマー成分(A−1)と同様にしてアゾ化合物のポリマー成分(A−14)を製造した。得られたポリマー成分(A−14)の組成を表4に示す。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−15)の製造例>
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)[堺化学社製](β−メルカプトプロピオン酸類)をそれぞれ、0.10質量部に変更した以外はポリマー成分(A−14)と同様にして顔料分散剤のポリマー成分(A−15)を製造した。得られたポリマー成分(A−15)の組成を表4に示す。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−16)〜(A−19)の製造例>
パーブチルZをそれぞれ、2.00質量部、1.50質量部、0.90質量部、0.80質量部に変更した以外はポリマー成分(A−1)と同様にしてアゾ化合物のポリマー成分(A−16)〜(A−19)を製造した。得られたポリマー成分(A−16)〜(A−19)の組成を表4に示す。
<顔料分散剤のポリマー成分(A−23)の製造例>
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、下記材料を混合し、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で15時間反応を行った。さらに10〜20mmHgの減圧下で2.5時間反応させ、ポリエステル樹脂(a)を得た。
Figure 2015043049
ポリエステル樹脂(a)の物性は以下のとおりである。
Mw=12,000、Mw/Mn=2.49、Tg=74.9(℃)、酸価=12.1(mgKOH/g)
得られたポリエステル樹脂(a)、100質量部を脱水クロロホルム440.0質量部を添加して完全に溶解させた後、氷冷させながら、2−イソシアナトエチルメタクリレート[昭和電工(株)製、商品名「カレンズMOI」を4質量部添加した。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0質量部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル樹脂(b)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に下記材料を添加して撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。
Figure 2015043049
ビニル変性ポリエステル樹脂(ポリマー成分(A−23))を得た。分子量Mnは18000であった。
Figure 2015043049
St:スチレン、AA:アクリル酸、AAm:アクリルアミド、
MA:メチルアクリレート、BA:n−ブチルアクリレート、
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、StMA:ステアリルメタクリレート
DdMA:ドデシルアクリレート、BeA:ベヘニルアクリレート
<トナー結着樹脂用ポリエステル樹脂の製造例>
(非晶性ポリエステル樹脂1の製造例)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、下記材料を混合し、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行った。
Figure 2015043049
さらに10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂1の物性を以下に示す。
Mw=9750、Mw/Mn=2.55、Tg=71.2(℃)、酸価=6.1(mgKOH/g)、SP値=10.37(cal/cm
(非晶性ポリエステル樹脂2の製造例)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、下記材料を混合し、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行った。
Figure 2015043049
さらに10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂2を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂2の物性を以下に示す。
Mw=15750、Mw/Mn=2.55、Tg=67.2(℃)、酸価=3.1(mgKOH/g)、SP値=10.29(cal/cm
(非晶性ポリエステル樹脂3の製造例)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、下記材料を混合し、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行った。
Figure 2015043049
さらに10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂3を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂3の物性を以下に示す。
Mw=12750、Mw/Mn=2.85、Tg=64.2(℃)、酸価=8.1(mgKOH/g)、SP値=10.77(cal/cm
(非晶性ポリエステル樹脂4の製造例)
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、下記材料を混合し、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で22時間反応を行った。
Figure 2015043049
さらに10〜20mmHgの減圧下で1.5時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂4を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂4の物性を以下に示す。
Mw=15750、Mw/Mn=2.95、Tg=61.2(℃)、酸価=8.1(mgKOH/g)、SP値=11.07(cal/cm
(結晶性ポリエステル1の製造例)
攪拌機、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置にセバシン酸175.0質量部と、1,9−ノナンジオール166.5質量部、テトラブチルチタネート0.3部を入れ、180℃で6時間反応を行った。その後、200℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、減圧下にて5時間反応し、結晶性ポリエステル1を得た。得られた結晶性ポリエステル1の物性を表11に示す。
(結晶性ポリエステル2の製造例)
攪拌機、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置にセバシン酸175.0質量部と、1,12−ドデカンジオール210.1質量部、テトラブチルチタネート0.2部を入れ、180℃で6時間反応を行った。その後、200℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、減圧下にて5時間反応し、結晶性ポリエステル2を得た。得られた結晶性ポリエステル2の物性を表11に示す。
(結晶性ポリエステル3の製造例)
窒素雰囲気下で、滴下ロート、リービッヒ冷却管および撹拌機を備えた耐圧反応機にキシレン50部とセバシン酸175.0質量部、および、1,12−ドデカンジオール210.1部を加えて210℃まで昇温した。このときの圧力は0.32MPaであった。これに下記材料をキシレン10部に溶解した混合物を滴下ロートに仕込んだものを2時間かけて加圧下(0.31MPa)で滴下した。
Figure 2015043049
滴下後、さらに210℃で3時間反応を行い、溶液重合を完了した。その後、テトラブトキシチタネート0.80部を混合し、窒素雰囲気下、常圧下210℃で3時間縮重合反応を行った。その後テトラブトキシチタネートを0.010部追加し、210℃で2時間反応させた。その後、常圧に戻し、安息香酸37.0部とトリメリット酸4.00部を添加し、さらに220℃で5時間反応させて結晶性ポリエステル3を得た。得られた結晶性ポリエステル3の物性を表11に示す。
(結晶性ポリエステル4の製造例)
スチレン29.7部であったのをスチレン60.0質量部に変更した以外は、結晶性ポリエステル3と同様にして、結晶性ポリエステル4を得た。得られた結晶性ポリエステル4の物性を表11に示す。
(結晶性ポリエステル5の製造例)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0質量部および、1,10−デカンジオール93.5質量部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7質量部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合した。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル(A)を得た。ポリエステル(A)の重量平均分子量(Mw)は19000、融点(Tm)は83℃であった。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器にポリエステル(A)100.0質量部、脱水クロロホルム440.0質量部を添加して完全に溶解させた。その後、トリエチルアミン5.0質量部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0質量部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0質量部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル(B)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に下記材料を添加して撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。
Figure 2015043049
所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0質量部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥してポリエステル部位とビニルポリマー部位を有する結晶性ポリエステル5を得た。得られた結晶性ポリエステル5の物性を表11に示す。
(結晶性ポリエステル6、7の製造例)
結晶性ポリエステル5の製造例において、1,10−デカンジオール93.5質量部を1,9−ノナンジオール83質量部に変更し、スチレンの添加量をそれぞれ400.0質量部、450質量部に変更した以外は同様に行い、結晶性ポリエステル6、7を得た。得られた結晶性ポリエステル6、7の物性を表11に示す。
Figure 2015043049
本発明で用いる上記顔料分散剤の製造例について述べる。
<顔料分散剤1[化合物(35)]の製造例>
下記構造で示されるアゾ骨格部分構造である化合物(34)を下記スキームに従い製造した。
Figure 2015043049
まず、クロロホルム30部に4−ニトロアニリン(東京化成工業(株)製)3.11部を加え、10℃以下に氷冷し、ジケテン(東京化成工業(株)製)1.89部を加えた。その後、65℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルムで抽出し、濃縮して化合物(32)を得た。
次に、2−アミノテレフタル酸ジメチル(メルク(株)製)4.25部に、メタノール40.0部、濃塩酸5.29部を加えて10℃以下に氷冷した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム2.10部を水6.00部に溶解させたもの加えて同温度で1時間反応させた。次いで、スルファミン酸0.990部を加えてさらに20分間撹拌した(得られた溶液を、「ジアゾニウム塩溶液」という)。メタノール70.0部に、化合物(32)4.51部を加えて、10℃以下に氷冷し、前記ジアゾニウム塩溶液を加えた。
その後、酢酸ナトリウム5.83部を水7.00部に溶解させたものを加えて、10℃以下で2時間反応させた。反応終了後、水300部を加えて30分間撹拌した後、固体を濾別し、N,N−ジメチルホルムアミドからの再結晶法により精製することで化合物(33)を得た。
次に、N,N−ジメチルホルムアミド150部に化合物(33)8.58部、および、パラジウム−活性炭素(パラジウム5%)0.4部を加えて、水素ガス雰囲気下(反応圧力0.1〜0.4MPa)、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を濾別し、濃縮して化合物(34)を得た。
次に、アゾ骨格部分構造である化合物(34)のアミノ基をポリマー成分(A−1)のカルボキシル基をアミド化により結合して、下記スキームに従いアゾ化合物8[化合物(35)]を製造した。
Figure 2015043049
[上記構造式中で、「co」とは、共重合体を構成する各単量体単位の配列が無秩序であることを示す記号である。]
まず、テトラヒドロフラン500部に化合物(34)を3.20部加えて、80℃まで加熱し溶解した。溶解後50℃に温度を下げ、ポリマー成分(A−1)15部を加えて溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(EDC・HCl)1.96部を加えて50℃で5時間撹拌した。その後、液温を徐々に室温に戻し、一晩撹拌することにより反応を完結させた。反応終了後、溶液を濾過して濃縮し、メタノールで再沈殿させることにより精製することで化合物(35)である顔料分散剤1を製造した。
<顔料分散剤2〜31の製造例>
表12のようにアゾ骨格部分構造およびポリマー成分を変更した以外は顔料分散剤1と同様にして顔料分散剤2〜31を製造した。得られた顔料分散剤2〜31の物性を表13に示す。
<顔料分散剤32の製造例>
下記スキームに従い顔料分散剤[化合物(37)]を製造した。
Figure 2015043049
化合物(34)1.98部を4−フェニルアゾ−1−ナフチルアミン(東京化成工業(株)製)1.98部に変えた以外は顔料分散剤1の製造例のポリマー結合工程と同様にして、顔料分散剤32[化合物(37)]を得た。得られた顔料分散剤32[化合物(37)]の物性は表13に示す。
Figure 2015043049
Figure 2015043049
上記表12に示すアゾ骨格部分構造を以下に説明する。
Figure 2015043049
[一般式(W1)および(W2)中、R、RおよびR〜Rはそれぞれ表12中に示される置換基を示す。表12中の(R−1)および(R−2)はそれぞれ下記構造を示す。]
Figure 2015043049
Figure 2015043049
[上記(R−1)および(R−2)中の「*」はポリマー成分中に化学結合により組み込まれ、ポリマーと結合していることを示す。また、「***」は下記一般式(W2−2)の「***」と結合していることを示す。]
Figure 2015043049
[一般式(W2−2)中、R、RおよびR〜Rはそれぞれ表12中に示される置換基を表す。「***」は、それぞれ上記(R−1)および(R−2)の「***」と結合していることを示す。]
〔疎水性シリカ1の製造〕
シリカ(AEROSIL 200CF、日本アエロジル製)100部をヘキサメチルジシラザン10部で処理し、さらにクロロフェニルシリコーンオイル20部で処理して疎水性シリカ1を得た。疎水性シリカ1の一次粒子径は12nm、疎水化度は97であった。
〔疎水性酸化チタン1の製造〕
酸化チタン(P25、日本アエロジル製)100部をトルエン中でγ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン20部で処理し、濾過、乾燥して疎水性酸化チタン1を得た。疎水性酸化チタン1の一次粒子径は25nm、疎水化度は60であった。
[実施例1]
(トナーバインダー溶液の合成)
結晶性ポリエステル樹脂1 130質量部と非晶質ポリエステル樹脂1 870質量部とを酢酸エチル溶剤2,000質量部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル溶液を得た。
(トナーの作成)
ビーカー内に下記材料を入れ、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させ、トナー材料溶液を得た。
Figure 2015043049
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液〔スーパタイト10(日本化学工業(株)製)〕294部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.17部を入れ、均一に溶解した。ついで、55℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入して3時間攪拌した。
ついで、混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃に昇温して溶剤を除去した。水系媒体を冷却し、イオン交換水で洗浄した。その後、乾燥および風力分級してブラック着色粒子を得た。
得られたブラック着色粒子100質量部に疎水性酸化チタン1を0.3質量部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合し、疎水性シリカ1を1.5質量部加えてさらに前記ヘンシェルミキサーで混合して、外添剤を有するトナー1を作製した。得られたトナー1の物性などを表16に示す。
[実施例2〜58]
表15に記載されるとおりに顔料分散剤の種類および添加量、ならびに、顔料の種類を変更した以外は実施例1と同様にして、外添剤を有するトナー2〜58を作製した。得られたトナー2〜58の物性などを表16に示す。
[比較例1〜6]
表15に記載されるとおりに顔料分散剤の種類および添加量、ならびに、顔料の種類を変更した以外は実施例1と同様にして、外添剤を有するトナー59〜64を作製した。得られたトナー59〜64の物性などを表16に示す。
[実施例1〜58]
上記トナー1〜58について、それぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。
各種画像評価の結果を表17に示す。
[比較例1〜6]
上記トナー59〜64について、それぞれ評価機を用いて各種画像評価を行った。
各種画像評価の結果を表17に示す。
Figure 2015043049
Figure 2015043049
(*)アゾ化合物ではないが、アゾ化合物と同様に測定
D4:重量平均粒径、D1:数平均粒径
Figure 2015043049
※1:現像剤担持体やトナー層規制部材へのトナーの融着や固着
各種画像評価は以下のようにして評価を行った。
<カブリ>
カブリの測定は、画像形成装置として後述の評価機を用い、下記の環境下で印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久13000枚印字後に各環境下において6日間放置した。
Figure 2015043049
その後の1枚目の画像サンプルのカブリ量を東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して測定し、下記式より算出した。耐久試験に用いた記録材としてはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF−C081A4)を用いた。
カブリ量(%)=(プリントアウト前の記録材の白色度)−(プリント後の記録材の非画像形成部(白地部)の白色度)
<画像濃度>
初期画像濃度は、常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)で、後述の評価機を用い、紙上のトナーの載り量が0.38(mg/cm)にした全面ベタチャートを1枚印字し、各画像の画像濃度を測定した。画像サンプルの濃度については東京電色社製のREFLECT METER MODELTC−6DSを使用して濃度を測定した。記録材としてはA4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン社製、GF−C081A4)を用いた。
<定着性>
低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用い、マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(上記環境下に24時間放置後)から電源を入れた。ウェイトアップ直後に200μm幅の横線パターン(横幅200μm、間隔200μm)をプリントアウトし、50枚目のプリント画像を定着性の評価に用いた。定着性の評価は画像をシルボン紙で5往復100g荷重でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)の平均で評価した。
評価には表面平滑度10〔秒〕以下のボンド紙を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 2015043049
<耐オフセット性>
耐オフセット性は、常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)で、後述の評価機を用いて評価した。マシンおよびトナーを充填したカートリッジが環境になじんだ状態(上記環境下に24時間放置後)から電源を入れ、ウェイトアップ直後に全面ベタ画像を100枚プリントアウトし、その画像サンプルについて評価を行った。
評価にはOHPフィルム(CG3700、住友スリーエム(株)製)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 2015043049
<トナー層規制部材へのトナーの融着や固着>
トナー層規制部材へのトナーの融着や固着は常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、高温高湿環境下(H/H:温度32.5℃,湿度80%RH)で、後述の評価機を用いて評価した。印字率1%にて2枚印刷する度に1分休止する方式で耐久試験を行い、初期から耐久8000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン(株)製、GF−C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 2015043049
<潜像担持体へのフィルミング>
潜像担持体へのフィルミングは常温常湿環境下(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(L/L:温度15℃、湿度10%RH)で、後述の評価機を用い、印字率1%にて連続印字にて耐久試験を行った。初期から耐久2000枚目の画像サンプルについて目視にて評価した。記録材として、A4サイズの普通紙(キヤノンマーケティングジャパン(株)製、GF−C081A4)を用いた。以下に評価基準を示す。
Figure 2015043049
<トナーの保存安定性評価>
トナーの保存安定性評価は、10gのトナーを100mLのポリカップに量り取り、50℃の恒温層の中へ3日間放置した後、200メッシュ(目開き)の篩性により評価した。測定装置として、デジタル振動計(DEGITAL VIBLATIONMETERMODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)を用いた。
測定法としては、セットした200メッシュふるい(目開き75μm)上に評価用のトナーのせ、デジタル振動計の変位の値を0.50mm(peak−to−peak)になるように調整し、30秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の状態から保存安定性を評価した。以下に評価基準を示す。
Figure 2015043049
(評価機)
市販のLBP−2710(キヤノン(株)製)のプロセススピードを220mm/sに改造し、市販のマゼンタカートリッジからトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した。その後、本発明のトナーを260g充填し、その他のシアン、イエローおよびブラックのカートリッジをトナーを抜いて各ステーションに挿入したものを用いた。

Claims (10)

  1. 結着樹脂、顔料、顔料分散剤および結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂であり、
    前記顔料分散剤が、以下(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするトナー:
    (i)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結晶性ポリエステル樹脂のSP値(B)との差(A−B)が、−0.90以上+1.00以下であり、
    (ii)前記顔料分散剤のSP値(A)と前記結着樹脂のSP値(C)との差(A−C)が、−2.00以上+2.00以下であり、
    (iii)前記顔料分散剤が、ポリマー成分と前記顔料への吸着率が30%以上である吸着成分とを有し、ポリマー成分がビニル系重合体で表される部分構造を有し、
    (iv)前記顔料分散剤のポリマー成分の数平均分子量(Mn)が、3000〜20000である。
  2. 前記顔料分散剤のポリマー成分が、下記一般式(1)で示される単量体単位を有する請求項1に記載のトナー。
    Figure 2015043049
    [一般式(1)中、Rは、アルキル基、アラルキル基、または、水素原子を示し、Rは、炭素原子数が4〜22のアルキル基を示す。]
  3. 前記顔料分散剤のポリマー成分が、ビニル系重合体とポリエステル樹脂とで表される部分構造を有する請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記顔料分散剤が、下記一般式(2)で示される部分構造を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
    Figure 2015043049
    [上記一般式(2)中、R、RおよびArのいずれかは、単結合または連結基を介してポリマー成分と結合し、
    は、アルキル基、フェニル基、OR基またはNR基を示す。
    〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
    がポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
    は、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
    は、アルキル基、フェニル基、OR10基またはNR1112基を示す。
    10〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
    がポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Rに結合する連結基は、アルキレン基、フェニレン基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
    は、水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。
    Arは、アリール基を示し、Arがポリマー成分と結合する場合、単結合または連結基を介して結合し、Arに結合する連結基は、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR−および−NHCH(CHOH)−からなる群より選ばれる2価の連結基である。
    上記単結合または連結基が、R、RまたはArに結合する場合は、R、RまたはArの水素原子と置換して結合する。]
  5. 前記一般式(2)で示される部分構造が、下記一般式(3)で示される部分構造である請求項4に記載のトナー。
    Figure 2015043049
    [上記一般式(3)中、R、R、R13〜R17のいずれかは、単結合または連結基を介してポリマー成分と結合する。
    13〜R17は其々独立して水素原子、COOR18基、CONR1920基を示す。R18〜R20はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基またはアラルキル基を示す。]
  6. 前記顔料分散剤の1分子当たりの吸着成分の個数が1.0以上6.0以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記結晶性ポリエステルが、下記一般式(4)で示されるジカルボン酸と、下記一般式(5)で示されるジオールとから構成される成分とを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
    HOOC−(CH)m−COOH 式(4)
    [式(4)中、mは、4〜16の整数を示す。]
    HO−(CH)n−OH 式(5)
    [式(5)中、nは、4〜16の整数を示す。]
  8. 前記顔料分散剤の酸価が、10.0mgKOH/g以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記顔料分散剤のアミン価が、5.0mgKOH/g以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 前記トナーが、
    結着樹脂を含有するトナー組成物を有機溶媒中に溶解または分散させて混合溶液を得る工程、
    前記混合溶液を水系媒体中に加えて前記混合溶液の粒子を形成する工程、および、
    前記混合溶液の粒子中に含有される有機溶媒を除去してトナーを製造する工程
    を有する製造方法で製造されたトナーである請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー。
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