JP6738183B2 - トナー - Google Patents
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Description
省電力化を行う方法として、電子写真プロセスにおけるトナーの熱定着時の温度を下げることによって電力を削減する方法がある。そのためには、紙上トナーの載り量を低減することが有効であり、載り量低減のためには、トナーの着色力を上げることが必要である。
トナーの着色剤として染料を用いると、トナーを構成する樹脂全体に渡って着色されるため、着色力を向上させるための有効的な手段として利用されてきた。
特許文献1では染料を用いることによって、着色力を向上させることが開示されている。
しかしながら、一般的に、染料を使用した場合、プリント後の画像の耐光性が低下することが課題となっている。
該着色剤が、下記式(1)で表わされる化合物を含み、
該結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエステル部位と非晶性部位とを有する樹脂であり、
該非晶性部位が、ポリエステルまたはポリウレタンであり、
該結着樹脂が、ポリエステル樹脂であり、
該結着樹脂である該ポリエステル樹脂と、該結晶性ポリエステルと、が、下記式(2)を満たす
ΔSP=|SP1−SP2|≦0.43 (2)
(式(2)中、
SP1は、該結着樹脂である該ポリエステル樹脂の、Fedorsの式で求められる溶解度パラメータを示し、
SP2は、該結晶性ポリエステルの、Fedorsの式で求められる溶解度パラメータを示す。)
ことを特徴とするトナー。
本発明者らは、前述した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、結着樹脂の溶解度パラメータを示すSP1と結晶性ポリエステルの溶解度パラメータを示すSP2とのSP値差の絶対値(|SP1−SP2|=ΔSP)が本発明で示される範囲内であり、式(1)で示される化合物を含むトナーが、高い着色力と耐光性の効果を発現することを見出した。
本発明に用いられる着色剤は、式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする。式(1)で示される化合物を用いた場合、トナーを構成する樹脂全体に渡って着色されるため、高い水準での着色力を得ることができる。式(1)で示される化合物は後述する方法で合成された化合物を用いることができる他、公知の着色剤を用いることができる。
本発明の一態様では、結晶性ポリエステルは、結晶性ポリエステル部位と非晶性部位とを有する樹脂であることが好ましい。
非晶性部位としては、ポリスチレン、ポリエステル、またはポリウレタンであることが好ましい。さらに、非晶性部位がポリスチレン部位を有する樹脂であることが好ましい。ポリスチレン部位を有することにより、定着画像中において結晶性ポリエステルの過度の合一が防げ、分散性が向上するため、耐光性が向上しやすくなる。ポリスチレン部位を有する結晶性ポリエステルは公知の方法で製造するか、後述する方法で製造することができる。
HO−(CH2)n−OH 式(6)
(式(4)〜(6)中、mは4乃至10の整数であり、nは4乃至12の整数である。)
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン系ビニル樹脂、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂など公知の樹脂を用いることができる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類;が挙げられる。
シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。
<SP値の計算方法>
本発明におけるSP値(δi)は、式(7)に示すFedorsの式を用いて求める。ここでのΔei、及びΔviの値は「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3−9による「原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照にした。
δi=[Ev/V]1/2=[Δei/Δvi]1/2 式(7)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH2)×6から構成され、計算SP値(δi)は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi]1/2=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}]1/2
したがって、ヘキサンジオールのSP値(δi)は11.95となる。
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。
得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。
得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000未満のワックス由来の低分子量成分と、分子量2000以上の結着樹脂及び結晶性ポリエステル由来の高分子量成分とを分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
結着樹脂及び結晶性ポリエステル由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該結着樹脂及び結晶性ポリエステル成分が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
上記作業で得られた結着樹脂及び結晶性ポリエステル100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却して結晶性ポリエステルを再結晶させる。結晶性ポリエステルを吸引ろ過して、結晶性ポリエステルとろ液に分離する。
結着樹脂および結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)ならびに数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、室温で、結着樹脂または結晶性ポリエステルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
結晶性ポリエステルにおける、ポリエステル部位と非晶性部位の質量基準の比率の測定は、核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行う。また、結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂及び結晶性ポリエステル各々の核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)スペクトルを基にトナーの核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)スペクトルの積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値からポリエステル部位と非晶性部位の質量基準の比率を算出する。
結晶性ポリエステルなどの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、サンプル5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲0℃以上150℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度150℃まで昇温速度10℃/minで昇温させ、続いて0℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度0℃以上150℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とする。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。得られた反応生成物の同定は、MALDI MS(autoflex装置、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いた分析方法によって行った。尚、MALDI MSにおいて検出イオンはネガティブモードを採用した。
MALDI MSによる質量分析:m/z=618.612(M−H)−
アミン化合物(A1)であったところアミン化合物(A3)にし、ピリドン化合物(P1)であったところピリドン化合物(P3)にした以外は、着色剤1と同様にしてS3で表わされる構造を有する着色剤3を得た。
アミン化合物(A1)であったところアミン化合物(A4)にし、ピリドン化合物(P1)であったところピリドン化合物(P4)にした以外は、着色剤1と同様にしてS4で表わされる構造を有する着色剤4を得た。
アミン化合物(A1)であったところアミン化合物(A5)にし、ピリドン化合物(P1)であったところピリドン化合物(P5)にした以外は、着色剤1と同様にしてS5で表わされる構造を有する着色剤5を得た。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温140℃で還流させた。該溶液へスチレン100.0部、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6.0部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しポリスチレン(1)を得た。
表1に示すように原料を変更すること以外は結晶性ポリエステル1の製造と同様にして結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルの物性を表3に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸130.0部および、1,9−ノナンジオール113.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合した。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させて結晶性ポリエステル3を得た。得られた結晶性ポリエステル3の物性を表3に示す。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部および、1,12−ドデカンジオール93.5部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。チタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合した。アクリル酸15.0部、スチレン140.0部を1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間攪拌を続けた後、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂成分の単量体の除去を行った。その後210℃に昇温し、所望の分子量になるまで反応を行い、結晶性ポリエステル16を得た。得られた結晶性ポリエステル16の物性を表3に示す。
・非晶性ポリエステルAの製造
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器にビスフェノールA−エチレンオキサイド(BPA−EO)6部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド(BPA−PO)58部、テレフタル酸(TPA)36部、チタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、200℃で12時間から20時間反応させ、その後230℃で除々に減圧し、所望の分子量になるまで反応させ、非晶性ポリエステルAを合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,10−デカンジカルボン酸133.0部および、1,10−デカンジオール111.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し減圧させながら所望の分子量となるまで反応させ、結晶性ポリエステルBを合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、非晶性ポリエステルAを30部、結晶性ポリエステルBを70部を入れた後、チタン(IV)イソプロポキシド0.7部を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち、昇温した後、215℃で、5時間共縮重合反応させ、その後230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、結晶性ポリエステル18を合成した。得られた結晶性ポリエステル18の物性を表3に示す。
表2に示すような原料を変更すること以外は結晶性ポリエステル1の製造と同様にして結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルの物性を表3に示す。
・結晶性ポリエステルCの製造
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、1,10−デカンジカルボン酸100.0部および、1,10−デカンジオール120.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し減圧させながら所望の分子量となるまで反応させ、結晶性ポリエステルCを合成した。
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物235部、エチレングリコール10部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート254部、MEK(メチルエチルケトン)400部、を入れ、85℃で4時間反応させ、非晶性ポリウレタンDを合成した。
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリエステルCを105部、非晶性ポリウレタンDを72部、酢酸エチル400部を仕込み、常圧下、80℃で5時間反応させた後溶媒を除去して、結晶性ポリエステル19を得た。得られた結晶性ポリエステル19の物性を表3に示す。
[着色剤分散液1の調製工程]
・スチレンモノマー(ST) 270部
・アクリル酸n-ブチル(BA)モノマー 90部
・極性樹脂 20部
(スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体、Mw=14800、Tg=89℃、酸価AV=22mgKOH/g、水酸基価OHv=8mgKOH/g)
・着色剤1 20部
・ピグメントイエロー155(PY155) 16部
(Toner Yellow 4G:クラリアント社)
上記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液を調製した。
・着色剤分散液1 312部
・結晶性ポリエステル1 15部
・炭化水素系ワックス 21部
(フィッシャートロプシュワックス;HNP−9)
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 3部
〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕
上記材料を混合して65℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液1を得た。
高速撹拌装置TKホモミキサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水900部に0.5M−Na3PO4水溶液150部、10%−塩酸水溶液6.5部を投入後、TKホモミキサーを12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl2水溶液6.5部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
トナー粒子1の製造例で、トナー粒子1の組成物を表4−1、表4−2のように変更した以外は同様にして、トナー粒子2〜25、38,39を得た。なお、トナー粒子21において、着色剤2(式(1)で表わされる化合物)とPY155(イエロー顔料)との質量比率は、11/89であった。
[着色剤分散液2の調製工程]
・トルエン 350部
・着色剤3 44部
・ピグメントイエロー155 35部
(Toner Yellow 4G:クラリアント社)
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 10部
〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕
上記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液2を調製した。
・着色剤分散液2 250部
・極性樹脂 25部
(スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体、Mw=14800、Tg=89℃、酸価AV=22mgKOH/g、水酸基価OHv=8mgKOH/g)
・スチレンアクリル樹脂 450部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・結晶性ポリエステル1 25部
・炭化水素系ワックス 35部
(フィッシャートロプシュワックス;HNP−9)
上記材料を混合して65℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液2を得た。
高速撹拌装置TKホモミキサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水1200部に0.5M−Na3PO4水溶液300部を投入後、TKホモミキサーを12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl2水溶液25.7部を徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
トナー粒子26の製造例で、トナー粒子1の原料を表4−1、表4−2のように変更した以外は同様にして、トナー粒子29、34〜37を得た。
・スチレンアクリル樹脂 95.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・結晶性ポリエステル1 5.0部
・着色剤1 5.0部
・着色剤4 4.0部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物 1.0部
〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕
・炭化水素系ワックス 5.0部
(フィッシャートロプシュワックス;HNP−9)
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサーでよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、粗粉砕物を得た。
トナー粒子27の製造例で、トナー粒子27の組成物を表4−1、表4−2のように変更した以外は同様にして、トナー粒子28、30〜33を得た。
トナー粒子1の製造例で、トナー粒子1の組成物を表4−2のように変更した以外は同様にして、比較用トナー粒子1〜3を得た。
<評価画像の出力>
試験トナー粒子100部に、へキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体を1.5部(数平均一次粒子径:10nm)添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で300秒間混合工程を行い、試験トナー(イエロートナー)を得た。
市販のカラーレーザープリンタSatera LBP7700C(キヤノン(株)社製)用のカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、試験トナー(150g)を充填した。また、Satera LBP7700C(キヤノン(株)社製)を一部改造し、定着機を外して未定着画像を出力できるように変更し、コントローラーにより画像濃度を調節可能にした。さらに、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。上記カートリッジをプリンターに装着し、トナー載り量が0.30mg/cm2となるようにコントローラーを設定して、転写材中央に6.5cm×14.0cmの長方形のベタ画像の出力を行い評価画像とした。転写材は、レターサイズのHP LASERJET PAPER(ヒューレットパッカード社製、90.0g/m2)を用いた。
評価画像中の画像濃度を測定して着色力を評価した。尚、画像濃度の測定には「X−Riteカラー反射濃度計(color refledtion densitometerX−Rite404A)」を用いて測定した。原稿濃度が0.00の白下地部分とベタ画像部の相対濃度を測定し、ベタ画像部の右上、左上、中央、右下、左下の5点の濃度を測定し、平均値を画像濃度として評価した。評価基準は以下の通りである。
A:画像濃度が1.60以上で着色力に非常に優れる。
B:画像濃度が1.50以上1.60未満で着色力に優れる。
C:画像濃度が1.40以上1.50未満で着色力が良い。
D:画像濃度が1.40未満で着色力に劣る。
スーパー蛍光灯フェードメーター FL(スガ試験機社製)中にて強度80000(lux)の光を300時間照射し、光照射前後の画像濃度の残存率を求めた。その残存率の値から、以下の評価基準に基づき耐光性の評価を行った。なお、画像濃度は、上記着色力と同様にして測定した。
A:画像濃度残存率が90%以上であり、耐光性に非常に優れる。
B:画像濃度残存率が85%以上90%未満であり、耐光性に優れる。
C:画像濃度残存率が75%以上85%未満であり、耐光性が良い。
D:画像濃度残存率が75%未満であり、耐光性が劣る。
参考例1〜27、実施例28〜37、並びに参考例38および39についてトナーとしてトナー粒子1〜39(イエロートナー)を用いて着色力並びに耐光性の評価を行った。評価結果を表5に示す。
比較例について、比較用トナー粒子1〜3を用いて着色力並びに耐光性の評価を行った。評価結果を表5に示す。
Claims (11)
- 結着樹脂、結晶性ポリエステルおよび着色剤を含むトナー粒子を有するトナーであって、
該着色剤が、下記式(1)で表わされる化合物を含み、
該結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエステル部位と非晶性部位とを有する樹脂であり、
該非晶性部位が、ポリエステルまたはポリウレタンであり、
該結着樹脂が、ポリエステル樹脂であり、
該結着樹脂である該ポリエステル樹脂と、該結晶性ポリエステルと、が、下記式(2)を満たす
ΔSP=|SP1−SP2|≦0.43 式(2)
(式(2)中、
SP1は、該結着樹脂である該ポリエステル樹脂の、Fedorsの式で求められる溶解度パラメータを示し、
SP2は、該結晶性ポリエステルの、Fedorsの式で求められる溶解度パラメータを示す。)
ことを特徴とするトナー。 - 前記非晶性部位が、ポリエステルである請求項1または2に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルにおける前記結晶性ポリエステル部位と前記非晶性部位との質量基準の比率(結晶性ポリエステル部位/非晶性部位)が、50/50以上95/5以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルの含有量が、前記結着樹脂である前記ポリエステル樹脂と、前記結晶性ポリエステルと、の総量に対して、0.5質量%以上30質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が、10000以上50000以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルの融点が、50℃以上90℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記式(1)で表わされる化合物の含有量が、前記結着樹脂である前記ポリエステル樹脂と、前記結晶性ポリエステルと、の総量に対して、0.5質量%以上10.0質量%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記着色剤が、さらにイエロー顔料を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記式(1)で表わされる化合物と前記イエロー顔料との質量比率(前記式(1)で表わされる化合物/前記イエロー顔料)が、7/93以上65/35以下である請求項9に記載のトナー。
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