JP5230435B2 - 樹脂微粒子の水系分散体の製造方法、樹脂微粒子の水系分散体、トナーの製造方法及びトナー - Google Patents

樹脂微粒子の水系分散体の製造方法、樹脂微粒子の水系分散体、トナーの製造方法及びトナー Download PDF

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Description

本発明は電子写真用トナー及びインキ等の印刷材料、塗料、接着剤、粘着剤、繊維加工、製紙及び紙加工、並びに、土木用等の分野に用いられる樹脂微粒子の水系分散体の製造方法と、該製造方法によって得られうる樹脂微粒子の水系分散体、該樹脂微粒子の水系分散体を用いた電子写真用トナーの製造方法、及び該電子写真用トナーの製造方法によって得られうる電子写真用トナーに関する。
近年の全世界的な省エネルギー動向の中、産業界においてもいかに低エネルギー、低環境負荷な製造法及び商品を供給できるかが大きな社会的要求となっている。一方、現在のデジタル化技術の急速な普及により、一般家庭、オフィス、及び、パブリッシング領域のユーザーにおけるプリント及びコピーなどのアウトプットにおける高画質化の要求が日々高まっている。その高画質化の要求に答えるため、例えば電子写真に用いるトナーにおいては、そのトナーの粒子径を小さくし、解像度を向上させる事が技術的に重要なアプローチの一つである。現在ではトナーの体積平均粒子径は5μmの領域まで小さくすることが可能である。しかしながら、粒度分布が十分に制御された体積平均粒子径6μm以下のトナーを製造するためには、従来使用されてきた混練粉砕法では、製造エネルギー及びコストの観点で対応が難しい。したがって、現在では水系媒体中での懸濁重合法、溶解懸濁法、及び、乳化凝集法などいわゆる化学製法によるトナー製法に移行しつつある。そのような製造方法の中でも、乳化凝集法は、粒子の形状及び分散性を意図的に制御することが可能であり、注目されている。
上記乳化凝集法を用いて得られる電子写真用トナーは、樹脂、顔料、及び、ワックス等のトナーの構成材料を別々に水系媒体中で微粒子化し、得られたそれらの水系分散体を混合し、再合一させることにより製造される。このとき、上記体積平均粒子径が6μm以下の電子写真用トナーを得るためには、樹脂微粒子の水系分散体中における樹脂微粒子をさらに微粒化することが望ましい。
樹脂微粒子の水系分散体を製造する方法の1つとして、乳化重合法が挙げられる。この乳化重合法は、モノマーを水または貧溶媒に分散し、O/W型エマルジョンを形成し、分散したモノマー群粒子をラジカル重合することによって、樹脂微粒子の水系分散体を生成させる方法である。このため、乳化重合法は、ラジカル重合によって重合可能なモノマー(例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、又は、ビニル系モノマー等)に対してのみ適用可能な樹脂微粒子の水系分散体の製造方法であった。従って、上記乳化重合法による樹脂微粒子の水系分散体は、そのモノマーの種類が制限されてしまうために得られる樹脂の種類が限られていた。
他に樹脂微粒子の水系分散体を得る方法として、分散造粒法が挙げられる。例えば、転相乳化法はこのような分散造粒法のひとつである。分散造粒法の具体例としては、中和塩構造を有するポリエステル樹脂を水混和性有機溶剤中に溶解してなる樹脂溶液に水性媒体を加えて転相乳化し、次いで、有機溶剤の除去を行う方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、この分散造粒法では、樹脂微粒子の水系分散体から有機溶剤を完全に取り除くことは難しい。たとえ除去が可能であるとしても、製造プロセスが複雑になりコスト高の原因となるばかりでなく、樹脂微粒子のサイズの不均一化を招く場合がある。
有機溶剤を使用せずに樹脂微粒子の水系分散体を製造する方法も知られている。例えば、自己乳化性の熱可塑性樹脂をアルカリ性水溶液中で加圧し、樹脂の融点より高い温度に加熱することで乳化し、樹脂微粒子の水系分散体を得ている(例えば、特許文献3〜6参照)。しかし該方法では、使用可能な樹脂としてはスルホン基を含む特定のポリエステル樹脂のように自己乳化性の高い樹脂に制限される。また、このような自己乳化性の樹脂は解離性の末端基を多数有しているため、例えば、電子写真用トナーとした場合、疎水化度が低下し、帯電性及び水分吸着性等に影響を及ぼすおそれがある。
高温で溶融した樹脂を、高圧下で中和剤を含む水系媒体と混合し、剪断力を加えることにより、樹脂微粒子の水系分散体を製造する方法も知られている(例えば、特許文献7、8参照)。しかし該方法の場合、基本的には界面活性剤等の分散剤を有しておらず、形成された微粒子の保護力(例えば、立体的な遮蔽力等)が弱い。従って、加圧加熱下での乳化において、粒子間の合一が発生しやすく、所望の粒径が得られ難かったり、粒径分布がブロードになったりする問題が生じ易い。
樹脂を加熱して溶融させたところに中和剤を添加して中和し、溶融状態を保ちつつ水性媒体を接触添加させることにより水系分散体を得る提案もある(例えば、特許文献9参照)。
しかし、該方法では、軟化点の比較的高い樹脂では水系分散体を得ることは難しい。
乳化剤を使用した系で樹脂微粒子の水系分散体を製造する方法の提案もある(例えば、特許文献10参照)。しかしながら、該方法の場合、高温高圧で処理した後、急冷を行っており、やはり、粒子間の合一が発生しやすく、得られた樹脂微粒子の粒度分布が、ブロードになり、所望の粒径が得られ難かったり、粒径分布がブロードになったりする問題が生じ易い。
水系媒体中で、強制加圧、加熱下において樹脂微粒子の水系分散体を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照)。しかし、該方法では、酸基を有する樹脂の場合、水系媒体中で加水分解を起し、分子量の低下をまねくおそれがある。
特公昭61−58092号公報 特公昭64−10547号公報 特開平8−245769号公報 特開2001−305796号公報 特開2002−82485号公報 特開2004−287149号公報 特開2000−191892号公報 特開2002−256077号公報 特開2006−18227号公報 特開2004−189765号公報 特開2005−330350号公報
本発明は、乳化分散法において樹脂を分散させる為の有機溶剤を使用することなく、軟化温度(Tm)が比較的高い樹脂であっても、所望の粒径範囲及び狭い粒径分布を有する樹脂微粒子の水系分散体を製造することを目的とする。
本発明の課題は、下記構成をとることにより達成される。
(1) 水系媒体、酸基を有する樹脂、塩基性物質及び界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程、前記混合物を、前記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度に加温しながら剪断力を加えて乳化物を得る乳化工程、 前記乳化物を冷却して、樹脂微粒子の水系分散体を得る冷却工程を含み、前記冷却工程が、前記酸基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度まで、剪断力を加えながら、0.5℃/分以上10.0℃/分以下の冷却速度で冷却することを特徴とする樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(2) 前記酸基を有する樹脂の軟化温度が90.0℃以上150.0℃以下であることを特徴とする(1)に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(3) 前記乳化工程が、100.0℃以上、0.11MPa以上の条件下で実施されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(4) 前記酸基を有する樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(5) 前記樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.02μm以上1.00以下であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(6) 前記樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量3,500以上15,000以下の範囲にメインピークのピークトップが存在し、重量平均分子量が5,000以上50,000以下であり、分子量500以上2,000未満の成分が、全成分量の0.1%以上20.0%以下であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(7) 前記界面活性剤が、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる少なくともいずれか一方であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(8) 前記塩基性物質がアミンであることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
(9) (1)乃至(8)のいずれか一に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法によって得られうる樹脂微粒子の水系分散体。
(10) 樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを少なくとも混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させ凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体を加熱し融合する融合工程とを含むトナーの製造方法であって、前記樹脂微粒子の水系分散体が、(9)に記載の樹脂微粒子の水系分散体であることを特徴とするトナーの製造方法。
(11) (10)に記載のトナーの製造方法によって得られうるトナー。
本発明により、乳化分散法において樹脂を分散させる為の有機溶剤を使用すること無く、軟化温度(Tm)が比較的高い樹脂であっても、所望の粒径範囲及び狭い粒径分布を有する樹脂微粒子の水系分散体の製造が可能となる。
本発明の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法(以下、本発明の方法ともいう)は、水系媒体、酸基を有する樹脂、塩基性物質及び界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程、前記混合物を、前記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度に加温しながら剪断力を加えて乳化物を得る乳化工程、 前記乳化物を冷却して、樹脂微粒子の水系分散体を得る冷却工程を含み、前記冷却工程が、前記酸基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度まで、剪断力を加えながら、0.5℃/分以上10.0℃/分以下の冷却速度で冷却することを特徴とする。該方法を用いることで乳化凝集法を用いた電子写真用トナーの製造に適した分子量分布を有する、体積分布基準の50%粒径が0.02μm以上1.00μm以下である樹脂微粒子の水系分散体を得ることができる。
はじめに、本発明の方法に用いられる材料について説明する。
<本発明の方法に用いられる酸基を有する樹脂>
酸基を有する樹脂としては、下記特性を有するトナーに適した樹脂であれば特に限定されない。
上記酸基を有する樹脂とは、分子鎖の末端又は側鎖等に、カルボキシル基又は硫酸エステル基等を有する樹脂である。そのような樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂又はポリエステル系樹脂等が好適に例示できる。これらの樹脂のうち、軟化温度(Tm)とガラス転移温度(Tg)の差が小さくすることができるポリエステル樹脂が特に好ましい。
上記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)は、フローテスター(CFT−500D:島津製作所社製)を用いて測定する。具体的には、測定する試料(樹脂)1.5gを秤量し、高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用し、昇温速度4.0℃/min、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60.0〜200.0℃の条件で測定を行う。上記の試料が1/2流出したときの温度を軟化温度(Tm)とする。
上記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)は、90.0℃以上150.0℃以下であることが好ましい。すなわち、電子写真用トナーとして使用するためには定着性の観点から150.0℃以下が好ましく、耐熱保管性の観点からは90.0℃以上が好ましい。
上記酸基を有する樹脂は、トナーの耐熱保管性、定着性および耐オフセット性(高温オフセットおよび低温オフセットの抑制)ならびに非オフセット温度域の拡大の観点から以下の(1)〜(3)の物性を有することが好ましい。(1)ガラス転移温度(Tg)が50.0〜70.0℃。(2)数平均分子量(Mn)が1,000〜50,000、好ましくは3,000〜20,000。(3)数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が2〜60であることが好ましい。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して測定される物性値であり、該規格に記載されている中間点ガラス転移温度を意味するものである。
<本発明の方法に用いられる界面活性剤>
上記界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、及び、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、及び、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、及び、多価アルコール系等のノニオン界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤からなる群から選ばれるいずれか一方を少なくとも用いることが好ましい。ノニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤と併用してもよい。上記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記界面活性剤の水系媒体中における濃度は、0.5〜5質量%になるようにすることが好ましい。
<本発明の方法に用いられる塩基性物質>
酸基を有する樹脂をそのまま水系媒体中で微粒化させるとpHが3〜4となり、酸性側に偏りすぎてしまい、例えば、結晶性ポリエステル樹脂が存在する場合や酸基を有する樹脂がポリエステル樹脂である場合はそれらが加水分解されてしまう。しかし、本発明の方法では、塩基性物質を存在させることにより、乳化物を得る時の水系媒体中のpH6〜8の中性にし、水系媒体中で酸基を有する樹脂を微粒化させるので、該樹脂の加水分解を伴わずに水系分散体が得られる。
上記塩基性物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び、炭酸水素カリウム等の無機塩基類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、及び、トリエチルアミン等の有機塩基類が挙げられる。この中でも、加水分解を生じさせないという観点から、弱塩基である、ジメチルアミン、及び、トリエチルアミン等のアミンが好ましい。
上記塩基性物質の添加量は乳化物を得る時の水系媒体中のpH6〜8の中性付近に調整するように適宜調整することが好ましい。該塩基性物質は、その添加量が増加すると樹脂微粒子の粒子径を小さく傾向がある。また、水系媒体中のpHが塩基性になってしまう場合も樹脂の加水分解が生じてしまうことがあるため、塩基性物質として強塩基を使用する場合には、加水分解を生じさせないように添加量を制限する必要がある。
次に、樹脂微粒子の水系分散体の製造方法について説明する。
本発明の方法は、水系媒体、酸基を有する樹脂、塩基性物質及び界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程、前記混合物を、前記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度に加温しながら剪断力を加えて乳化物を得る乳化工程、前記乳化物を冷却して、樹脂微粒子の水系分散体を得る冷却工程を含む。具体的には、まず、密閉加圧可能な容器内に、界面活性剤と塩基性物質を有する水系媒体中に酸基を有する樹脂を投入混合する。次に、該樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度に加熱しながら、密閉加圧下で、剪断力を加え、樹脂を分散させて乳化物を得る。さらに、得られた乳化物を該樹脂のガラス転移温度以下の温度まで剪断力を加えながら、0.5℃/分以上10.0℃/分以下の冷却速度で冷却し、樹脂微粒子の水系分散体を得る。
上記乳化工程における加熱温度と樹脂の軟化温度(Tm)の差が10.0℃未満の場合は、樹脂の軟化が不十分であり、乳化物が得にくくなる。したがって、上記乳化工程における加熱温度は樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度とした。また、安定した乳化物を得るためには、上記乳化工程において、酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より15.0℃以上高い温度に加温しながら剪断力を加えることが好ましい。
また、上記乳化工程において、酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より10.0〜100.0℃(より好ましくは10.0〜50.0℃)高い温度に加温しながら剪断力を加えることが好ましい。
なお、本発明において軟化温度が90.0℃以上の酸基を有する樹脂を用いた場合、乳化工程における加熱温度は、100.0℃以上になる。このように、乳化工程において加熱温度が100.0℃以上になる場合は、乳化工程を密閉加圧できる容器内で、加圧条件下(好ましくは0.11MPa以上、より好ましくは0.11MPa以上4.00MPa以下、特に好ましくは0.11MPa以上1.60MPa以下)で行うことが好ましい。
上記加温加圧時間は、短すぎると各乳化物の大きさがまちまちとなってシャープな粒径分布が得られにくいため、10分以上であることが好ましく、より好ましくは、20分以上である。
本発明において、得られた乳化物を、酸基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度まで、剪断力を加えながら冷却する冷却工程での冷却速度は、0.5℃/分以上10.0℃/分以下であり、好ましくは1.0℃/分以上10.0℃/分以下、より好ましくは、1.0℃/分以上5.0℃/分以下である。10.0℃/分を越える冷却速度で冷却すると、粗大粒子が生成し、樹脂微粒子の粒度分布がブロード(不均一)になる。樹脂微粒子の粒度分布がブロード(不均一)であると、凝集法によってトナーを製造した場合、トナー粒子中の着色剤が不均一になり、印字したときの濃度が低下するなどの弊害を生じ易い。なお、上記ガラス転移温度(Tg)以下の温度から室温までの冷却速度は特に制限されない。
本発明の方法に用いられる装置としては、高温高圧に耐えうる容器中で、剪断力をかけることができる装置であれば特に限定はされない。剪断力をかける装置としては、クレアミックス、ホモミキサー、又は、ホモジナイザー等を挙げることができる。
<本発明の樹脂微粒子の水系分散体>
本発明の樹脂微粒子の水系分散体は、本発明の方法によって得られることを特徴とする。
本発明の方法によって得られうる樹脂微粒子の水系分散体に含まれる樹脂微粒子(以下単に本発明の樹脂微粒子ともいう)は、その体積分布基準の50%粒径が0.02μm以上1.00μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.02μm以上0.40μm以下である。
上記体積分布基準の50%粒径が、1.00μmを越える場合には、樹脂微粒子の保存安定に欠け、沈降分離を起こしやすい。また、乳化凝集法によって得られるトナーの材料として該樹脂微粒子を用いる場合には、トナーの粒径が、3〜7μmであるので、1.00μm以上の粒子が多量に存在することは、そのトナー組成の均一性を保つ上で難しい。したがって、トナーの製造を考慮した場合、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は、0.40μm以下であることが好ましい。
上記樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径を上記範囲に調整するためには、界面活性剤の量、塩基性物質の量、乳化工程時の加熱温度、及び、乳化工程及び冷却工程での剪断力の強さを適宜調整するとよい。
本発明の樹脂微粒子は、該樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量3,500以上15,000以下の範囲にメインピークのピークトップを存在させることが好ましい。メインピークのピークトップが3,500未満に存在する場合は、樹脂微粒子の熱安定性に乏しい。また、このような樹脂微粒子を有する水系分散体は、40.0℃以上で、凝集分離を起こしやすい。さらに、このような樹脂微粒子を凝集合一させトナーとした場合の熱安定性も悪くなり易い。一方、メインピークのピークトップが15,000を越える場合は、このような樹脂微粒子を用いて得られたトナーは低温定着性が得られにくい。
同様に、樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量Mwを、5,000以上50,000以下とすることが好ましく、より好ましくは、5,000以上30,000以下とすることである。上記重量平均分子量Mwが5,000未満の場合には、樹脂微粒子の熱安定性に乏しい。上記重量平均分子量Mwが50,000を越える場合には、トナーとした場合の低温定着性が得られにくい。
更に、樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量500以上2,000未満の成分を、全成分量の0.1%以上20.0%以下有することが好ましく、より好ましくは、全成分量の0.1%以上15.0%以下である。上記分子量500以上2,000未満の成分量が20.0%を越えて多くなると、このような樹脂微粒子を用いて得られたトナーは粉体特性、特に熱安定性が悪くなり易い。
<本発明のトナーの製造方法>
次に、本発明のトナーの製造方法に関して説明する。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを少なくとも混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させ凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体を加熱し融合する工程とを含むトナーの製造方法であって、前記樹脂微粒子の水系分散体が、本発明の樹脂微粒子の水系分散体であることを特徴とする。また、本発明のトナー製造方法においては、トナーの構成材料として上記の樹脂微粒子及び着色剤の他に、さらに荷電制御剤、離型剤等を用いることも可能である。
上記着色剤としては、以下の有機顔料または染料が好適に挙げられる。
シアン系の有機顔料または有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系の有機顔料または有機染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系の有機顔料または有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物等に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、あるいは上記イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及び、シアン着色剤を用い黒色に調色されたものを利用することができる。
これらの着色剤は、単独または混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。上記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー中での分散性の点から選択される。
上記着色剤は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いることが好ましい。
上記離型剤は、その融点が150.0℃以下のものが好ましく、40.0℃以上130.0℃以下のものがより好ましく、40.0℃以上110.0℃以下であるものが特に好ましい。
上記離型剤として、例えば、ポリエチレン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により融点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリル等のエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
上記離型剤は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部使用することが好ましい。
上記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロム、亜鉛、ジルコニウム等の錯体からなる化合物等が挙げられる。なお、上記帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水再利用の観点から、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
上記荷電制御剤は、帯電性のさらなる向上の観点から結着樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部使用することが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂微粒子の水系分散体と着色剤、必要により帯電制御剤、離型剤等を混合し、樹脂微粒子及び着色剤等を水系媒体中で、所望のトナー粒子径にまで凝集させ凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を加熱し融合する融合工程を含むことを特徴とする。本発明のトナーの製造方法を更に詳細に説明するが、本発明は下記方法に限定されない。
(凝集工程)
凝集工程では、本発明の樹脂微粒子の水系分散体と着色剤、その他離型剤等のトナーの構成材料を混合し混合液を調製する。次いで該混合液中に、凝集体を形成させ、凝集体分散液を調製する。前記凝集体は、例えばpH調整剤、凝集剤、又は、凝集体安定剤を上記混合液中に添加し混合し、温度、機械的動力等を適宜加えることにより該混合液中に形成することができる。
上記pH調整剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ、硝酸、及び、クエン酸等の酸が挙げられる。上記凝集剤としては、ナトリウム及びカリウム等の1価の金属塩;カルシウム及びマグネシウム等の2価の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等;メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類が挙げられる。上記凝集体安定剤としては、主に界面活性剤そのものまたはそれを含有する水系媒体などが挙げられる。
上記凝集剤等の添加・混合は、混合液中に含まれる樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、具体的にはホモジナイザー及びミキサー等を用いて行うことができる。
ここで形成される凝集体の平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとするトナーの平均粒径と同じ程度になるように制御するとよい。この制御は、例えば、温度と上記攪拌混合の条件とを適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。以上の凝集工程において、トナーの平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する凝集体が形成され、凝集体を分散させてなる凝集体分散液が調製される。
(融合工程)
融合工程は、上記凝集体を加熱して融合する工程である。融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、前記pH調整剤、前記界面活性剤等を適宜投入することができる。
加熱の温度としては、凝集体に含まれる樹脂のガラス転移点(Tg)の温度から樹脂の分解温度の間であればよい。
加熱時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、前記凝集体を融合させるための時間は、前記加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には30分〜10時間である。
本発明においては、融合工程の終了後に得られたトナーを、適切な条件で洗浄、ろ過、及び、乾燥等することにより、トナー粒子を得る。更に、得られたトナー粒子の表面に、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機粒体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して外添させてもよい。これらの無機粒体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。
以下に本発明における物性測定方法を説明する。
<樹脂又は樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)等の測定>
樹脂微粒子のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布及び重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)等は以下のように求められる。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、そこへ測定対象である樹脂又は樹脂微粒子が溶解したTHF溶液(測定試料)を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製或いは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
上記測定試料は以下のようにして作製する。
樹脂又は(風乾した)樹脂微粒子をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうし、THFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5:東ソー社製、エキクロディスク25CR:ゲルマン・サイエンス・ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、上記GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
また、作成された分子量分布から、メインピークのピークトップの存在する分子量(Mp)、及び全成分量に対する分子量500以上2,000未満の成分量を導くことが可能である。全成分量に対する分子量500以上2,000未満の成分量は、例えば、分子量2000までの頻度分布累積値から、分子量500までの頻度分布累積値を差し引くことにより算出することが可能である。
<樹脂微粒子の酸価の測定>
樹脂微粒子の酸価は以下のように求められる。尚、基本操作は、JIS−K0070に準ずる。酸価は測定試料である樹脂微粒子1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいう。
(1)試薬
(a)溶剤:エチルエーテル−エチルアルコール混液(1:1または2:1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1:1または2:1)を使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95体積%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作
樹脂微粒子(測定試料)1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式
次の式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:測定試料(g)
<樹脂微粒子等の微粒子の粒度分布の測定>
樹脂微粒子等の微粒子の粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定する。
具体的には、前記測定装置の試料導入部で、透過率が測定範囲内(70〜95%)になるように、測定試料を調整し、体積分布を測定した。
体積分布基準の50%粒径は、累積50%に相当する粒子径(メジアン径)であり、体積分布基準の95%粒径は、小さい方から累積95%に相当する粒子径である。
なお、変動係数は、下記式に従って算出した。
変動係数[%]=(算術標準偏差/算術平均径)×100
<トナーの個数平均粒径(D1)及び重量平均粒径(D4)の測定>
上記トナーの個数平均粒径(D1)及び重量平均粒径(D4)はコールター法による粒度分布解析にて測定する。測定装置として、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定する。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%塩化ナトリウム水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。具体的な測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1〜5ml加え、さらに測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行う。得られた分散処理液を、アパーチャーとして100μmアパーチャーを装着した前記測定装置により、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定してトナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナーの個数分布から求めた個数平均粒径(D1)と、トナーの体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
上記チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。
(実施例1)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:プライサーフAL)30質量部及びN,N−ジメチルアミノエタノール(塩基性物質)25質量部を、イオン交換水(水系媒体)845質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂A(種A)」((組成(モル比)/ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:テレフタル酸:フマル酸:トリメリット酸=25:25:26:20:4)、Mn;3,500、Mw;10,300、Mp;8,700、Mw/Mn;2.9、Tm;96.0℃、Tg;56.0℃、酸価11)の粉砕物(粒径1〜2mm)30gを投入し混合した。
次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、115.0℃、0.18MPaに加温加圧しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし30分間剪断分散した。その後、50.0℃になるまで、18,000r/minの回転を維持しながら、2.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.09μmである樹脂微粒子の水系分散体1を得た。上記条件及び得られた結果を表1に示す。尚、本発明において、上記容器内の圧力は上記容器に取り付けられた圧力ゲージに示される数値を示している。この圧力ゲージの数値は、大気圧の他に更に加えられている圧力の値を示すものであり、例えば、大気圧のみの場合は、0と表示される。
(実施例2)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:プライサーフAL)30質量部をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ノイゲンEA−137)20質量部、イオン交換水量を855質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.12μmである樹脂微粒子の水系分散体2を得た。上記条件及び得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
N,N−ジメチルアミノエタノール25質量部を5N水酸化カリウム水溶液70質量部、イオン交換水量を810質量部に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.12μmである樹脂微粒子の水系分散体3を得た。上記条件及び得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ノイゲンEA−137)20質量部及びトリエチルアミン(塩基性物質)35質量部をイオン交換水845質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂B(種B)」((組成(モル比)/ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:エチレングリコール:テレフタル酸:マレイン酸:トリメリット酸=35:15:33:15:2)、Mn;4,600、Mw;16,500、Mp;10,400、Mw/Mn;3.6、Tm;117.0℃、Tg;67.0℃、酸価13)の粉砕物(粒径1〜2mm)30gを投入し混合した。
次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、140.0℃、0.36MPaに加温加圧しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし30分間剪断分散した。その後、50.0℃になるまで、18,000r/minの回転を維持しながら、1.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.11μmである樹脂微粒子の水系分散体4を得た。上記条件及び得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
トリエチルアミン35質量部をN,N−ジメチルアミノエタノール20質量部、イオン交換水量を860質量部に、加温加圧を130.0℃、0.26MPaに、剪断時間を60分に、冷却速度を2.0℃/分に代えた以外は、実施例4と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.17μmである樹脂微粒子の水系分散体5を得た。上記条件及び得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ノイゲンEA−137)の添加量を15質量部、イオン交換水量を860質量部に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.30μmである樹脂微粒子の水系分散体6を得た。上記条件及び得られた結果を表2に示す。
(実施例7)
ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ノイゲンEA−137)の添加量を10質量部、イオン交換水量を865質量部に、更に冷却速度を4.0℃/分に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.63μmである樹脂微粒子の水系分散体7を得た。上記条件及び得られた結果を表2に示す。
(実施例8)
冷却速度を8.0℃/分に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.12μmである樹脂微粒子の水系分散体8を得た。樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)は、樹脂微粒子の水系分散体2と同じであった。しかしながら、樹脂微粒子に大きな粒子が含まれ、樹脂微粒子の体積分布基準の95%粒径(D95)は、0.26μmであり、変動係数が54%と大きな値を示した。上記条件及び得られた結果を表2に示す。
(実施例9)
「ポリエステル樹脂A」を「スチレン−アクリル酸-n-ブチル−アクリル酸共重合体樹脂(種C)」((、組成(モル比)/スチレン:アクリル酸-n-ブチル:アクリル酸(1)=72:27:1)、Mn;3,400、Mw;14,700、Mp;9,800、Mw/Mn;4.3、Tm;120.0℃、Tg;59.0℃、酸価13)に、更に加温加圧を145.0℃、0.41MPaに代えた以外は、実施例4と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.13μmの樹脂微粒子の水系分散体9を得た。上記条件及び得られた結果を表2に示す。
(実施例10)
冷却速度を0.5℃/分に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.14μmである樹脂微粒子の水系分散体10を得た。樹脂微粒子の水系分散体2に比べ、粒径が若干大きくなった。上記条件及び得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:プライサーフAL)30質量部及び(アンモニア含有率)28w/v%(100mlあたり28gの割合)アンモニア水(塩基性物質)35質量部をイオン交換水(水系媒体)835質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂A(種A)」30gを投入し混合した。次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、95.0℃に加温しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし90分間剪断分散した後、2.0℃/分の冷却速度で室温まで冷却し、取り出したが、乳化粒子は得られなかった。上記条件及び得られた結果を表3に示す。
(比較例2)
ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ノイゲンEA−137)20質量部とN, N−ジメチルアミノエタノール(塩基性物質)25質量部をイオン交換水(水系媒体)855質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂A(種A)」30gを投入し混合した。次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、105.0℃、0.13MPaに加温加圧しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし90分間剪断分散した後、2.0℃/分の冷却速度で室温まで冷却し、取り出したが、乳化粒子は得られなかった。上記条件及び得られた結果を表3に示す。
(比較例3)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)30質量部をイオン交換水(水系媒体)870質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂A(種A)」30gを投入し混合した。次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、130.0℃、0.26MPaに加温加圧しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし30分間剪断分散した。その後、50.0℃になるまで、18,000r/minの回転を維持しながら、2.0℃/分の冷却速度で冷却を行った。結果、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.73μm、変動係数69%である樹脂微粒子の水系分散体13を得た。上記条件及び得られた結果を表3に示す。
(比較例4)
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:プライサーフAL)30質量部及び5N水酸化カリウム水溶液(塩基性物質)100質量部をイオン交換水(水系媒体)770質量部に溶解して分散媒体液を調製した。この分散媒体液270gを350mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ、続いて「ポリエステル樹脂A(種A)」30gを投入し混合した。次に高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。容器内の混合物を、140.0℃、0.36MPaに加温加圧しながら、クレアミックスのローター回転数を18,000r/minとし30分間剪断した。その後、50.0℃になるまで、18,000r/minの回転を維持しながら、2.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.11μmの樹脂微粒子の水系分散体14を得た。上記条件及び得られた結果を表3に示す。
(比較例5)
冷却速度を20.0℃/分に代えた以外は、実施例2と同様にして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.24μm、変動係数が134%である樹脂微粒子の水系分散体15を得た。上記条件及び得られた結果を表3に示す。
なお、表1〜3の樹脂微粒子の分子量分布は、得られた樹脂微粒子の水系分散体を風乾した後に測定したものである。
Figure 0005230435

Figure 0005230435
Figure 0005230435
次に、上記の樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを少なくとも混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させ凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を加熱し融合する融合工程を含む製造方法及び該製造方法によって得られるトナーについて説明する。
[トナーの製造例1]
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋社製:HNP9,融点77.0℃)100質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 20質量部
・イオン交換水 880質量部
上記のものを95.0℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、ゴーリン高圧ホモジナイザー(エスエムテー社)で分散処理し、離型剤分散液を調整した。この離型剤分散液中での離型剤の体積分布基準の50%粒径は、0.22μm、離型剤分散液中の離型剤濃度は10質量%であった。
<着色剤分散液の調製>
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122) 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 15質量部
・イオン交換水 885質量部
上記のものを混合し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー((株)吉田機械興業社製)を用いて1時間分散して着色剤(マゼンタ顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。この着色剤分散液における着色剤(マゼンタ顔料)の体積分布基準の50%粒径は、0.15μm、着色剤分散液中における着色剤濃度は10質量%であった。
<帯電制御剤分散液の調製>
・ジアルキルサリチル酸の金属化合物 200質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−84、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 20質量部
(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)
・イオン交換水 780質量部
上記のものを混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散して、帯電制御剤を分散させてなる帯電制御剤分散液を調整した。この帯電制御剤分散液における帯電制御剤の体積分布基準の50%粒径は、0.20μm、帯電制御剤分散液中における帯電制御剤の濃度は20質量%であった。
<混合液調製>
・樹脂微粒子の水系分散体1 1000質量部
・上記着色剤粒子分散液 50質量部
・上記離型剤粒子分散液 70質量部
上記のものを、攪拌装置、冷却管、及び、温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し攪拌して、混合液を得た。
<凝集粒子形成工程>
この混合液に、凝集剤として10%塩化ナトリウム水溶液330質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50.0℃まで加熱した。温度が50.0℃になった時に、樹脂微粒子の水系分散体1を3質量部と上記帯電制御剤分散液10質量部をさらにフラスコ内に加えた。その後、57.0℃で1時間保持した後、形成された凝集粒子の体積平均粒径を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製:FPIA−3000)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定した。結果、体積平均粒径が5.1μmである凝集粒子1が形成されていることが確認された。
<融合工程>
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)3質量部を追加した後、攪拌を継続しながら75.0℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、トナー粒子1を得た。
トナー粒子1を上記コールターマルチサイザーII(コールター社製)で測定したところ、重量平均粒径D4が5.31μm、個数平均粒径D1が4.40μmであった。すなわち、D4/D1が1.21であり、該トナー粒子1はシャープな粒度分布を示す。
次に、このトナー粒子1に、BET比表面積200m/gの疎水性シリカ微粉体(一次平均粒径0.01μm)を1.7質量%混合して本発明のトナー1を調製した。
[トナーの製造例2〜10]
混合液調製工程において、樹脂微粒子の水系分散体1を樹脂微粒子の水系分散体2〜10に変更する以外は、トナーの製造例1と同様にして、トナー2〜10を調製した。
[比較用トナーの製造例1〜3]
上記混合液調製工程において、樹脂微粒子の水系分散体1を樹脂微粒子の水系分散体13〜15にそれぞれ変更する以外は、前記トナーの製造例1と同様にして、比較用トナー1〜3を調製した。
上記トナー1〜10及び比較用トナー1〜3の粒度分布等の評価結果を表4及び5に示す。
<実施例11〜20及び比較例6〜8>
上記トナー1〜10及び比較用トナー1〜3を用いて、下記の評価を実施した。結果は表4及び5に示す。
(ブロッキング性の評価)
上記各トナーを、50℃に温調された恒温槽中に24時間静置し、ブロッキングの程度を評価した。
○:ブロッキングが発生しない
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
×:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。
(画像濃度の評価)
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5500、キヤノン製)のプロセススピードを2倍に改造した改造機を用い、マゼンタカートリッジに上記各トナーを充填し、普通紙(カラーレーザーコピア紙、キヤノン製)を用いて、常温常湿下で画出しを行った。
得られた画像は、マクベスRD918型を用いて測定し、転写紙上のトナー量と画像濃度の関係を求めた後、特に転写紙上のトナー量が0.5mg/cm2の場合に対応するマクベス濃度値をもって相対的に画像濃度を評価した。
[マクベス濃度値]
1.3以上 ・・・・A
1.2以上1.3未満・・・・B
1.0以上1.2未満・・・・C
1.0未満 ・・・・D
(定着性の評価)
上記各トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン製)を使用し、受像紙(64g/m2)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm2)を形成した。市販のカラーレーザープリンター(LBP−5500、キヤノン製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿下、プロセススピードを100mm/秒に設定し、140℃〜220℃の範囲で設定温度を10℃おきに9点振り、前記未定着画像を定着させたときのオフセットの様子を目視にて評価した。
[オフセットの発生しない定着温度領域]
〈140〜220℃/全9点〉
5点以上 ・・・・A 良好
3〜4点 ・・・・B 若干劣る
2点以下 ・・・・C 悪い
Figure 0005230435
Figure 0005230435

Claims (11)

  1. 水系媒体、酸基を有する樹脂、塩基性物質及び界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程、
    前記混合物を、前記酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)より10.0℃以上高い温度に加温しながら剪断力を加えて乳化物を得る乳化工程、
    前記乳化物を冷却して、樹脂微粒子の水系分散体を得る冷却工程を含み、
    前記冷却工程が、前記酸基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)以下の温度まで、剪断力を加えながら、0.5℃/分以上10.0℃/分以下の冷却速度で冷却すること
    を特徴とする樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  2. 前記酸基を有する樹脂の軟化温度が90.0℃以上150.0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  3. 前記乳化工程が、100.0℃以上、0.11MPa以上の条件下で実施されることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  4. 前記酸基を有する樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  5. 前記樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.02μm以上1.00μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  6. 前記樹脂微粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、
    分子量3,500以上15,000以下の範囲にメインピークのピークトップが存在し、重量平均分子量が5,000以上50,000以下であり、
    分子量500以上2,000未満の成分が、全成分量の0.1%以上20.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  7. 前記界面活性剤が、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  8. 前記塩基性物質がアミンであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法によって得られうる樹脂微粒子の水系分散体。
  10. 樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを少なくとも混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させ凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体を加熱し融合する融合工程とを含むトナーの製造方法であって、
    前記樹脂微粒子の水系分散体が、請求項9に記載の樹脂微粒子の水系分散体であることを特徴とするトナーの製造方法。
  11. 請求項10に記載のトナーの製造方法によって得られうるトナー。
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