JP2004189765A - 超微粒子樹脂エマルジョン及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乳化凝集法をもちいた電子写真用トナーの製造に適した、超微粒かつ粒度分布の狭いポリマーエマルジョンおよび、有機溶剤を用いることなく製造する方法および装置を提供する。
【解決手段】加圧加熱用タンク10に樹脂と溶媒とを所定比率となるよう導入し、加圧加熱用タンク10の中の混合物を100℃以上の温度に加熱加圧する。次いで、加圧加熱用タンク10内の樹脂と溶媒との混合物を、ポンプ20により配管12を介して乳化機30に導入し、乳化機30において剪断力により分散乳化する。生成樹脂エマルジョンは、配管14、配管16を介して、加圧加熱用タンク10に流入し、この循環経路内を複数回循環させることによって、所望の粒径でかつ粒度分布の狭い樹脂エマルジョンを生成される、得られた樹脂エマルジョンは、粒度分布の狭い平均粒径1μ以下のエマルジョンとなる。
【選択図】 図1
【解決手段】加圧加熱用タンク10に樹脂と溶媒とを所定比率となるよう導入し、加圧加熱用タンク10の中の混合物を100℃以上の温度に加熱加圧する。次いで、加圧加熱用タンク10内の樹脂と溶媒との混合物を、ポンプ20により配管12を介して乳化機30に導入し、乳化機30において剪断力により分散乳化する。生成樹脂エマルジョンは、配管14、配管16を介して、加圧加熱用タンク10に流入し、この循環経路内を複数回循環させることによって、所望の粒径でかつ粒度分布の狭い樹脂エマルジョンを生成される、得られた樹脂エマルジョンは、粒度分布の狭い平均粒径1μ以下のエマルジョンとなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用トナー等の樹脂エマルジョンの製造方法である。特に、有機溶媒を用いることなく、粒度分布の狭い平均粒径1μm以下のエマルジョンを製造する。
【0002】
【従来の技術】
乳化凝集法を用いた電子写真用トナーは、樹脂や顔料、ワックス等のトナー機能物質を別々にエマルジョン化し、それらを均一に再合一させることにより製造される。一方、電子写真用トナーの体積平均粒径は、通常3〜10μmであることから、上記乳化凝集法に供する樹脂エマルジョンは、体積平均粒径が1μm以下であることが望ましい。
【0003】
一方、超微粒子樹脂エマルジョンを製造する方法の1つとして、乳化重合法が挙げられる。この方法は、モノマーを水または貧溶媒に分散し、O/W型エマルジョンを形成し、分散したモノマー群粒子をラジカル重合することによって、樹脂エマルジョンを生成させるものである。このため、乳化重合法は、ラジカル重合によって重合可能なモノマー、例えばスチレン系モノマー、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー等のモノマーに対してのみ適用可能な樹脂エマルジョン製造方法であった。従って、上記乳化重合法による樹脂エマルジョンは、その樹脂の種類が限られていた。
【0004】
また、懸濁重合法や分散重合法では、適用可能なモノマーの種の範囲が広がるため、生成した樹脂エマルジョンにおける樹脂の種類も多くなるが、その反面、上記縣濁重合法や分散重合法では多量の有機溶媒を必要とするために、製造コストおよび環境面を考慮すると、あまり好ましいとはいえない。さらに、生成した樹脂エマルジョンの中の有機溶媒は、完全に除去することは難しいため、若干有機溶媒が樹脂エマルジョン中に残留してしまう可能性が高いことも問題となる。
【0005】
そこで、機械力を用いた強制乳化法が考えられる。この強制乳化法を用いて乳化する場合であっても、通常は、樹脂を非水溶性有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液を強烈な剪断力を用いて水性分散液中に乳化分散させて、O/W型エマルジョンを形成している。しかし、上記強制乳化法であっても、上述懸濁重合法などと同様に、樹脂を溶解させるために多量の有機溶媒を用いれば、上述同様に好ましくない。また、上記強制乳化法において、樹脂の粘度が増加した場合には所望の剪断力によって樹脂を水性分散液中に乳化することができないために、乳化粒子径を制御することが難しく、目的粒径に対して生成した樹脂エマルジョン粒径が大きくなったり、粒度分布が広くなり10μm以上の粗大粒子が混在したりする傾向が高くなる。
【0006】
一方、強制乳化法において、樹脂に対し有機溶媒を用いないで、加熱のみにより強制乳化を行ったとしても、溶媒となる水の沸点の100℃以上に加熱すれば、溶媒である水が沸騰し蒸発してしまうことから、樹脂を乳化させるべき溶媒量が不足してしまうとともに、一般的に樹脂の融点またはガラス転移温度(Tg)は、水の沸点100℃近傍またはそれ以上であることから、水の沸点近傍の温度では樹脂自体が液化しにくく、または樹脂の粘度が高すぎて強制乳化することが難しかった。
【0007】
このように、電子写真用トナーに用いる樹脂のエマルジョンの製造において、現在、適用する樹脂種類が広くかつ有機溶媒を使用しない方法は見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真用トナーの樹脂エマルジョンの製造法において、多くの種類の樹脂に適用可能でかつ、樹脂を溶解あるいは分散させる有機溶剤を一切使用せず、粒度分布の狭い体積平均粒子径1μm以下のエマルジョンを製造することを目的とする。また、この樹脂エマルジョンは、特に電子写真用トナーに適した分子量を持つ樹脂を使用する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の超微粒子樹脂エマルジョン及びその製造方法並びに製造装置は、以下の特徴を有する。
【0010】
(1)樹脂を、100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱し、水を主成分とする溶媒中で、剪断力によって乳化させてなる体積平均粒径1μm以下である樹脂エマルジョン。
【0011】
(2)上記(1)に記載の樹脂エマルジョンにおいて、前記樹脂は、HLB(親水親油バランス:hydrophile−lipophile balance)値が4以上の樹脂、好ましくは8〜18である樹脂である。
【0012】
(3)水を主成分とする溶媒と樹脂とを含む混合物を加圧し、前記混合物を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加圧加熱工程と、前記混合物を剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、を有する樹脂エマルジョンの製造方法。
【0013】
(4)樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により加熱された樹脂と、水を主成分とする溶媒とを剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、を有する樹脂エマルジョンの製造方法。
【0014】
(5)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記乳化工程における剪断率は、100,000〜1,000,000回/sの範囲である樹脂エマルジョンの製造方法。
【0015】
(6)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記乳化工程において、前記樹脂のHLB値が8に近づくように乳化液のpHを調整するエマルジョンの製造方法。
【0016】
(7)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記樹脂自体のHLB値が8未満の場合には、乳化可能な量の界面活性剤を前記乳化工程において添加するエマルジョンの製造方法。
【0017】
(8)有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒と樹脂との混合物を貯留可能な加圧加熱用タンクと、前記混合物が導入され加熱加圧状態で乳化させる乳化機と、を有する樹脂エマルジョンの製造装置。
【0018】
(9)有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒を貯留する溶媒タンクと、樹脂を貯留し、樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱可能な樹脂タンクと、前記溶媒タンクから導入される溶媒と、前記樹脂タンクから導入される樹脂とを乳化させる乳化機と、を有する樹脂エマルジョンの製造装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者は、鋭意検討の結果、強制乳化法を用いて、装置を高圧あるいは樹脂と分散媒体(すなわち、有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒)とを別系統にすることにより、分散媒体の沸点より高い温度領域で樹脂粘度をコントロールすることが可能となり、その結果、有機溶媒を一切使用せずに、体積平均粒径1μm以下の粒度分布の狭い樹脂微粒子を製造できる方法を見出し、上記目的を達成できた。
【0020】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0021】
本発明の樹脂エマルジョンの製造方法において、使用可能な樹脂は、例えば、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられ、これらの単独またはそれぞれを混合あるいは共重合したものであってもよい。
【0022】
上記樹脂のHLB値は8以上、好ましくは8〜18である。樹脂のHLBが8未満の場合には、O/W型エマルジョンが不安定になりやすいため、かかる場合に、水のみの溶媒の場合には、所望の体積平均粒子径および狭い粒度分布の樹脂エマルジョンを得ることが難しい。従って、HLB値が8未満の樹脂を用いる場合には、後述するように、強制乳化の際に少量の界面活性剤を添加することが望ましい。ここで、HLBは、親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)の意であり、HLB値は乳化、分散の指標となる。そして、一般的にHLB値が大きいほど親水性が高くなる。
【0023】
また、本発明に用いる溶媒としては、有機溶媒が少ないことが必須であり、溶媒の10重量%以下の有機溶媒で残部が水の溶媒が使用できる。好ましくは1%以下が有機溶媒で残部が水の溶媒、さらには有機溶媒を含まない水が好ましく、特に純水を用いることが好ましい。また樹脂粒子同士の反発や安定を助けるために、後述する界面活性剤を添加したり、また乳化させる樹脂と溶媒との混合物のpHを調整したりすることが、好ましく、この両者を併用しても良い。
【0024】
界面活性剤の種類としては、樹脂と水との間の界面張力を低下させる機能を発現するものであればよく、好ましくは製品化する前に洗い流すことができる低分子量のものが望ましい。例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤を単独あるいは複数組み合わせて用いることができるが、特に規定するものではない。また、界面活性剤のほかに、分散安定剤や酸化防止剤、表面処理剤等を添加してもかまわない。
【0025】
乳化時の上記混合物のpHは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、水酸化カリウムなどを用いて調整することが望ましい。pHを調整することによって、樹脂のHLB値を8以上に保つことができ、乳化安定性を向上させることができる。
【0026】
また、樹脂と溶媒(特に、水)との比率は、樹脂が5〜50重量%、好ましくは樹脂が10〜30重量%である。なお、樹脂が50重量%を超える濃度ではO/Wエマルジョンではなく、転相してW/Oエマルジョンを生成してしまうこともある。
【0027】
樹脂エマルジョンの形成手段としては、高い剪断率で行なうことが好ましい。剪断率の大きさは、100,000〜1,000,000回/sであることが望ましい。なお、剪断率とは、1秒間に剪断部材が剪断する回数を示す。
【0028】
また、樹脂は、100℃以上の温度であって100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱され、溶媒に分散乳化される。ここで、樹脂の粘度が、100Pa・sを超える場合には、樹脂の粘度が高すぎるために、剪断力をかけても溶媒に均一分散乳化することが難しく、所望の粒子径で狭い粒度分布の樹脂粒子を得ることが難しい。
【0029】
なお、上記樹脂の粘度は、「ARES」(レオメトリクス社製)を用い、測定条件:10℃/minのもとでの昇温過程における粘度に基づいて測定を行った。
【0030】
次に、本発明の樹脂エマルジョン製造装置の一例を、図1,2を用いて以下に説明する。
【0031】
図1には、本発明の樹脂エマルジョン製造装置100の一例が示されている。樹脂エマルジョン製造装置100は、有機溶媒を含まず主成分が水からなる溶媒(以下「溶媒」と略す)と樹脂との混合物を貯留すると共に加圧加熱する加圧加熱用タンク10と、加圧加熱用タンク10から上記混合物が導入され加熱加圧状態で乳化させる乳化機30とを有する。そして、加圧加熱用タンク10の流出口と乳化機30流入口とは、ポンプ20を介して配管12により接続されている。また、乳化機30の流出口には、配管14が接続され、この配管14には、配管14内を流通するエマルジョンの流量を制御するための流量調整バルブ40が設けられている。更に、配管14と配管16,18は、三方コック50により接続されて、配管16の他端は、加圧加熱用タンク10の流入口に接続されている。
【0032】
上記樹脂エマルジョン製造装置100の動作について以下に説明する。
【0033】
まず、三方コック50を配管18側が閉になるように操作し、流量調整バルブ40を所定の流量となるように操作しておく。次いで、加圧加熱用タンク10の図示しない流入口から、樹脂と溶媒とを所定の比率となるように導入する。そして、加圧加熱用タンク10、配管12、乳化機30、配管14,16からなる循環経路は密閉系とする。そののち、加圧加熱用タンク10の中の混合物を100℃以上の温度に加熱する。これにより、加圧加熱用タンク10内の水が蒸発して、加圧加熱用タンク10内の圧力が上昇し、加圧された状態になるが、加圧加熱用タンク10内を積極的に加圧してもよい。なお、加圧することによって、水の蒸発を極力抑え、水と樹脂との乳化比率をほぼ一定に保つことができ、均一な樹脂粒子を製造することができる。加圧量は、適宜選択すればよいが、例えば、
0.1〜10kg/m2、0.5kg/m2程度がより好ましい。
【0034】
次いで、加圧加熱用タンク10内の樹脂と溶媒との混合物の一定量を、ポンプ20を用い配管12を介して乳化機30に導入して、乳化機30において剪断力により分散乳化を行う。更に、乳化機30に導入される混合物の量と、流量調整バルブ40の流量調整に応じて、乳化機30より所定量の生成エマルジョンは、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50、配管16を介して、加圧加熱用タンク10に流入される。このような加圧加熱用タンク10、配管12、乳化機30、配管14,16からなる循環経路に複数回、生成樹脂エマルジョンを循環させることによって、所望の粒径でかつ粒度分布の狭い樹脂エマルジョンを生成させることができる。そして、複数回循環させた後、三方コック50の配管16側を閉にし、配管18側を開にすることによって、乳化機30より流出した生成樹脂エマルジョンは、配管14を介して配管18に流入し、採取することができる。採取前には冷却装置(図示せず)をつけ、急冷することが好ましい。なお、冷却過程を経ないで自然放冷した場合、粒子同士が再合一するおそれがある。そして、採取された生成樹脂エマルジョンを、静置することによって、超微粒子の樹脂粒子と主成分が水からなる溶媒とを容易に分離することができる。
【0035】
なお、上記では、循環経路内において生成樹脂エマルジョンを複数回循環させたがこれに限るものではなく、加圧加熱用タンク10から乳化機30に混合物を導入し、樹脂が乳化限界以下の粘度ならば、1回のパスでも十分な乳化性能を示すため、分散乳化させて得られた生成樹脂エマルジョンの樹脂粒子が所望の粒子径であって粒度分布も狭いものである場合には、循環させることなく、配管18を介して樹脂エマルジョンを採取してもよい。また、配管12,14,16は、流通する樹脂エマルション内の樹脂粒子が固化せず、また溶融しない範囲の温度に加温させていてもよい。
【0036】
また、具体的に剪断力をかけるための乳化機30としては、例えば、ローターステーター型乳化機を用い、樹脂を、溶媒、特に100℃以上に加熱するために、図1に示す乳化機30では、高温耐圧タイプのものが好ましい。また、ローターステーター型乳化機とは、高速回転をするローターと、櫛状のスリットを持つステーター部から構成され、2つの間を試料が通過することによって強い剪断力を生み出すことができる。
【0037】
樹脂の乳化には、強い剪断力が必要とされることから、上述のローターステーター型乳化機におけるローターの回転数は、高速であるに越したことはないが、現実的には5,000rpm.〜20,000rpm.の範囲で適切な回転領域を選択することが望ましい。
【0038】
樹脂の温度は、樹脂の持つ粘度カーブや樹脂自身の持つ親水性度(例えば、HLB値)にもよるが、100Pa・s以下になる温度より高い温度、すなわち図1に示すような耐圧型の場合には、90〜150℃程度であることが望ましい。
【0039】
次に、本発明の他の樹脂エマルジョン製造装置200について、図2を用いて以下に説明する。
【0040】
樹脂エマルジョン製造装置200は、有機溶媒を含まず主成分が水からなる溶媒(以下「溶媒」と略す)が貯留されている溶媒タンク10Aと、樹脂を貯留すると共に樹脂を100℃以上の温度であって樹脂粘度が100Pa・s以下になる温度に加熱可能な樹脂タンク10Bと、溶媒タンク10Aから導入された溶媒と、樹脂タンク10Bから導入された加熱された樹脂とを分散乳化させる乳化機30とを有する。そして、溶媒タンク10Aは、ポンプ20Aおよび配管12Aを介して乳化機30に接続され、また樹脂タンク10Bは、ポンプ20Bおよび配管20Bを介して乳化機30に接続されている。そして、ポンプ20A,20Bは、乳化機30に送液させるそれぞれ溶媒、樹脂の流量を調整している。また、乳化機30の流出口には、配管14が接続され、この配管14には、配管14内を流通するエマルジョンの流量を制御するための流量調整バルブ40が設けられている。更に、配管14と配管16,18は、三方コック50により接続されて、配管16の他端は、溶媒タンク10Aの流入口に接続されている。
【0041】
上記樹脂エマルジョン製造装置200の動作について以下に説明する。
【0042】
まず、三方コック50を配管18側が閉になるように操作し、流量調整バルブ40を所定の流量となるように操作しておく。次いで、溶媒タンク10Aからのみポンプ20Aおよび配管12Aを介して、溶媒、好ましくは加温された溶媒を乳化機30、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50および配管16からなる循環経路を循環させ、後述する生成樹脂エマルジョンが配管内等で固化することを抑制させることが好ましいが、各配管12A,14,16を加温する手段を別途設けてもよい。次に、三方コック50は、配管18側を開にし、一方配管16側を閉にする。次いで、ポンプ20A,20Bにより流量を調整しながら、溶媒タンク10Aと樹脂タンク10Bから、溶媒と加熱され粘度が100Pa・s以下の樹脂とを配管12A,12Bを介して乳化機30に導入し、乳化機30において剪断力により分散乳化を行う。更に、乳化機30に導入される溶媒と樹脂の量と、流量調整バルブ40の流量調整に応じて、乳化機30より所定量の生成エマルジョンが、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50、配管18を介して、採取することができる。採取前には冷却装置(図示せず)をつけ、急冷することが好ましい。なお、冷却過程を経ないで自然放冷した場合、粒子同士が再合一するおそれがある。そして、採取された生成樹脂エマルジョンを、静置することによって、超微粒子の樹脂粒子と主成分が水からなる溶媒とを容易に分離することができる。
【0043】
また、乳化機30としては、上述同様、例えば、ローターステーター型乳化機を用い、また、ローターステーター型乳化機とは、高速回転をするローターと、櫛状のスリットを持つステーター部から構成され、2つの間を試料が通過することによって強い剪断力を生み出すことができる。
【0044】
また、樹脂の乳化には、強い剪断力が必要とされることから、上述のローターステーター型乳化機におけるローターの回転数は、高速であるに越したことはないが、現実的には5,000rpm.〜20,000rpm.の範囲で適切な回転領域を選択することが望ましい。
【0045】
また、樹脂の温度は、樹脂の持つ粘度カーブや樹脂自身の持つ親水性度(例えば、HLB値)にもよるが、100Pa・s以下になる温度より高い温度、すなわち図2の装置では、90〜200℃程度であることが望ましい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0047】
実施例1.
図2の樹脂エマルジョン製造装置200を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。溶媒タンク10Aおよび樹脂タンク10Bと乳化機30との間のポンプ20A,20Bには、ロータリーポンプを用い、それぞれの流量比をインバータで調節した。
【0048】
樹脂として、ポリエステル樹脂(酸価18、重量平均分子量(Mw)11,000、粘度:75℃で120Pa・s、130℃にて10Pa・s)1,000部を樹脂タンク10Bに入れ、130℃に加熱融解した。次に、溶媒タンク10Aにイオン交換水10,000部を入れ90℃に加熱した。この温純水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。このときの温度は、100℃を超えていた。
【0049】
樹脂および水を1:10の割合で、樹脂と水の混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口には、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0050】
なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、レオメトリクス社製「ARES」を用いて測定したところ、10Pa・sであった。
【0051】
得られた樹脂エマルジョンを島津製作所製「SALD−2000Aレーザー回折粒度測定器」を用いて樹脂粒子の分布を測定した。結果を図3に示すとともに、粒径および粒度分布の標準偏差について表1に示す。なお、標準偏差は、値が小さい程粒度分布が狭いことを表す。
【0052】
また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0053】
なお、上記ポリエステル樹脂の酸化の測定を以下に示す。
【0054】
酸価はJIS K 0070に準じて測定した。すなわち、樹脂粉体を精秤し、300(ml)ビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解した。これに0.1規定のKOHメタノール溶液を用いて電位差滴定を行った。また同時にブランクについても測定を実施し、以下の式により酸価を求めた。
【0055】
【数1】
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
【0056】
式中、Wは精秤した樹脂粉体の重さ(g)、SはKOHの使用量、Bはブランクでの測定におけるKOHの使用量(ml)、fはOHのファクターである。
【0057】
比較例1.
上記実施例1と同様な実験設備および樹脂を用いて、樹脂を100℃以下の温度(90℃)で加熱した以外、実施例1と同様にして、樹脂エマルジョンを生成させた。なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、115Pa・sであった。得られた樹脂粒子の分布の結果を図4に示すとともに、粒径および粒度分布の標準偏差を表1に示す。
【0058】
実施例2.
図1の樹脂エマルジョン製造装置100を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。加圧加熱用タンク10と乳化機30との間のポンプ20には、ロータリーポンプを用い、流量比をインバータで調節した。
【0059】
樹脂として、ポリエステル樹脂(酸価18、重量平均分子量(Mw)11,000、粘度:75℃で120Pa・s、130℃にて10Pa・s)1,000部とイオン交換水10,000部とを加圧加熱用タンク10に入れ、130℃に加熱した。なお、上記イオン交換水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。
【0060】
樹脂と水とが1:10の割合混合されている混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。上述の循環回路内を10回循環させた後、生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口より採取した。なお、採取前に、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0061】
上記加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、10Pa・sであった。
【0062】
得られた樹脂エマルジョンを実施例1同様に測定し、その粒子の分布の標準偏差を求めた。結果を表1に示す。また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0063】
比較例2.
上記実施例2と同様な実験設備および樹脂を用いて、加圧加熱タンク10内を100℃以下の温度(90℃)に加熱した以外は、実施例2と同様にして、樹脂エマルジョンを生成させた。なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、115Pa・sであった。 得られた樹脂粒子の粒径および粒度分布の標準偏差を表1に示す。
【0064】
実施例3.
図1の樹脂エマルジョン製造装置100を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。加圧加熱用タンク10と乳化機30との間のポンプ20には、ロータリーポンプを用い、流量比をインバータで調節した。
【0065】
樹脂として、非結晶のスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体樹脂(重量平均分子量(Mw)28,000、粘度:75℃で220Pa・s、150℃にて80Pa・s)1,000部とイオン交換水10,000部とを加圧加熱用タンク10に入れ、150℃に加熱した。なお、上記イオン交換水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。
【0066】
樹脂と水とが1:10の割合混合されている混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。上述の循環回路内を10回循環させた後、生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口より採取した。なお、採取前に、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0067】
得られた樹脂エマルジョンを実施例1同様に測定し、その粒子の分布の標準偏差を求めた。結果を表1に示す。また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0068】
実験結果一覧を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明によって、通常は強制乳化法で乳化できない粘度をもつ分子量の樹脂を、有機溶媒を使用することなく、平均粒径1μm以下のエマルジョンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂エマルジョン製造装置の一例の構造を示す概略図である。
【図2】本発明の樹脂エマルジョン製造装置の他の例の構造を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1における樹脂エマルジョンの樹脂粒子の粒度分布を示す図である。
【図4】本発明の比較例における樹脂エマルジョンの樹脂粒子の粒度分布を示す図である。
【符号の説明】
10 加圧加熱タンク、10A 溶媒タンク、10B 樹脂タンク、12,12A,12B,14,16,18 配管、20,20A,20B ポンプ、30乳化機、40 流量調整バルブ、50 三方コック、100,200 樹脂エマルジョン製造装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用トナー等の樹脂エマルジョンの製造方法である。特に、有機溶媒を用いることなく、粒度分布の狭い平均粒径1μm以下のエマルジョンを製造する。
【0002】
【従来の技術】
乳化凝集法を用いた電子写真用トナーは、樹脂や顔料、ワックス等のトナー機能物質を別々にエマルジョン化し、それらを均一に再合一させることにより製造される。一方、電子写真用トナーの体積平均粒径は、通常3〜10μmであることから、上記乳化凝集法に供する樹脂エマルジョンは、体積平均粒径が1μm以下であることが望ましい。
【0003】
一方、超微粒子樹脂エマルジョンを製造する方法の1つとして、乳化重合法が挙げられる。この方法は、モノマーを水または貧溶媒に分散し、O/W型エマルジョンを形成し、分散したモノマー群粒子をラジカル重合することによって、樹脂エマルジョンを生成させるものである。このため、乳化重合法は、ラジカル重合によって重合可能なモノマー、例えばスチレン系モノマー、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー等のモノマーに対してのみ適用可能な樹脂エマルジョン製造方法であった。従って、上記乳化重合法による樹脂エマルジョンは、その樹脂の種類が限られていた。
【0004】
また、懸濁重合法や分散重合法では、適用可能なモノマーの種の範囲が広がるため、生成した樹脂エマルジョンにおける樹脂の種類も多くなるが、その反面、上記縣濁重合法や分散重合法では多量の有機溶媒を必要とするために、製造コストおよび環境面を考慮すると、あまり好ましいとはいえない。さらに、生成した樹脂エマルジョンの中の有機溶媒は、完全に除去することは難しいため、若干有機溶媒が樹脂エマルジョン中に残留してしまう可能性が高いことも問題となる。
【0005】
そこで、機械力を用いた強制乳化法が考えられる。この強制乳化法を用いて乳化する場合であっても、通常は、樹脂を非水溶性有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液を強烈な剪断力を用いて水性分散液中に乳化分散させて、O/W型エマルジョンを形成している。しかし、上記強制乳化法であっても、上述懸濁重合法などと同様に、樹脂を溶解させるために多量の有機溶媒を用いれば、上述同様に好ましくない。また、上記強制乳化法において、樹脂の粘度が増加した場合には所望の剪断力によって樹脂を水性分散液中に乳化することができないために、乳化粒子径を制御することが難しく、目的粒径に対して生成した樹脂エマルジョン粒径が大きくなったり、粒度分布が広くなり10μm以上の粗大粒子が混在したりする傾向が高くなる。
【0006】
一方、強制乳化法において、樹脂に対し有機溶媒を用いないで、加熱のみにより強制乳化を行ったとしても、溶媒となる水の沸点の100℃以上に加熱すれば、溶媒である水が沸騰し蒸発してしまうことから、樹脂を乳化させるべき溶媒量が不足してしまうとともに、一般的に樹脂の融点またはガラス転移温度(Tg)は、水の沸点100℃近傍またはそれ以上であることから、水の沸点近傍の温度では樹脂自体が液化しにくく、または樹脂の粘度が高すぎて強制乳化することが難しかった。
【0007】
このように、電子写真用トナーに用いる樹脂のエマルジョンの製造において、現在、適用する樹脂種類が広くかつ有機溶媒を使用しない方法は見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真用トナーの樹脂エマルジョンの製造法において、多くの種類の樹脂に適用可能でかつ、樹脂を溶解あるいは分散させる有機溶剤を一切使用せず、粒度分布の狭い体積平均粒子径1μm以下のエマルジョンを製造することを目的とする。また、この樹脂エマルジョンは、特に電子写真用トナーに適した分子量を持つ樹脂を使用する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の超微粒子樹脂エマルジョン及びその製造方法並びに製造装置は、以下の特徴を有する。
【0010】
(1)樹脂を、100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱し、水を主成分とする溶媒中で、剪断力によって乳化させてなる体積平均粒径1μm以下である樹脂エマルジョン。
【0011】
(2)上記(1)に記載の樹脂エマルジョンにおいて、前記樹脂は、HLB(親水親油バランス:hydrophile−lipophile balance)値が4以上の樹脂、好ましくは8〜18である樹脂である。
【0012】
(3)水を主成分とする溶媒と樹脂とを含む混合物を加圧し、前記混合物を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加圧加熱工程と、前記混合物を剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、を有する樹脂エマルジョンの製造方法。
【0013】
(4)樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により加熱された樹脂と、水を主成分とする溶媒とを剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、を有する樹脂エマルジョンの製造方法。
【0014】
(5)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記乳化工程における剪断率は、100,000〜1,000,000回/sの範囲である樹脂エマルジョンの製造方法。
【0015】
(6)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記乳化工程において、前記樹脂のHLB値が8に近づくように乳化液のpHを調整するエマルジョンの製造方法。
【0016】
(7)上記(3)または(4)に記載の樹脂エマルジョンの製造方法において、前記樹脂自体のHLB値が8未満の場合には、乳化可能な量の界面活性剤を前記乳化工程において添加するエマルジョンの製造方法。
【0017】
(8)有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒と樹脂との混合物を貯留可能な加圧加熱用タンクと、前記混合物が導入され加熱加圧状態で乳化させる乳化機と、を有する樹脂エマルジョンの製造装置。
【0018】
(9)有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒を貯留する溶媒タンクと、樹脂を貯留し、樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱可能な樹脂タンクと、前記溶媒タンクから導入される溶媒と、前記樹脂タンクから導入される樹脂とを乳化させる乳化機と、を有する樹脂エマルジョンの製造装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者は、鋭意検討の結果、強制乳化法を用いて、装置を高圧あるいは樹脂と分散媒体(すなわち、有機溶媒を含まず水を主成分とする溶媒)とを別系統にすることにより、分散媒体の沸点より高い温度領域で樹脂粘度をコントロールすることが可能となり、その結果、有機溶媒を一切使用せずに、体積平均粒径1μm以下の粒度分布の狭い樹脂微粒子を製造できる方法を見出し、上記目的を達成できた。
【0020】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0021】
本発明の樹脂エマルジョンの製造方法において、使用可能な樹脂は、例えば、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂などが挙げられ、これらの単独またはそれぞれを混合あるいは共重合したものであってもよい。
【0022】
上記樹脂のHLB値は8以上、好ましくは8〜18である。樹脂のHLBが8未満の場合には、O/W型エマルジョンが不安定になりやすいため、かかる場合に、水のみの溶媒の場合には、所望の体積平均粒子径および狭い粒度分布の樹脂エマルジョンを得ることが難しい。従って、HLB値が8未満の樹脂を用いる場合には、後述するように、強制乳化の際に少量の界面活性剤を添加することが望ましい。ここで、HLBは、親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)の意であり、HLB値は乳化、分散の指標となる。そして、一般的にHLB値が大きいほど親水性が高くなる。
【0023】
また、本発明に用いる溶媒としては、有機溶媒が少ないことが必須であり、溶媒の10重量%以下の有機溶媒で残部が水の溶媒が使用できる。好ましくは1%以下が有機溶媒で残部が水の溶媒、さらには有機溶媒を含まない水が好ましく、特に純水を用いることが好ましい。また樹脂粒子同士の反発や安定を助けるために、後述する界面活性剤を添加したり、また乳化させる樹脂と溶媒との混合物のpHを調整したりすることが、好ましく、この両者を併用しても良い。
【0024】
界面活性剤の種類としては、樹脂と水との間の界面張力を低下させる機能を発現するものであればよく、好ましくは製品化する前に洗い流すことができる低分子量のものが望ましい。例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤を単独あるいは複数組み合わせて用いることができるが、特に規定するものではない。また、界面活性剤のほかに、分散安定剤や酸化防止剤、表面処理剤等を添加してもかまわない。
【0025】
乳化時の上記混合物のpHは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム(アンモニア水)、水酸化カリウムなどを用いて調整することが望ましい。pHを調整することによって、樹脂のHLB値を8以上に保つことができ、乳化安定性を向上させることができる。
【0026】
また、樹脂と溶媒(特に、水)との比率は、樹脂が5〜50重量%、好ましくは樹脂が10〜30重量%である。なお、樹脂が50重量%を超える濃度ではO/Wエマルジョンではなく、転相してW/Oエマルジョンを生成してしまうこともある。
【0027】
樹脂エマルジョンの形成手段としては、高い剪断率で行なうことが好ましい。剪断率の大きさは、100,000〜1,000,000回/sであることが望ましい。なお、剪断率とは、1秒間に剪断部材が剪断する回数を示す。
【0028】
また、樹脂は、100℃以上の温度であって100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱され、溶媒に分散乳化される。ここで、樹脂の粘度が、100Pa・sを超える場合には、樹脂の粘度が高すぎるために、剪断力をかけても溶媒に均一分散乳化することが難しく、所望の粒子径で狭い粒度分布の樹脂粒子を得ることが難しい。
【0029】
なお、上記樹脂の粘度は、「ARES」(レオメトリクス社製)を用い、測定条件:10℃/minのもとでの昇温過程における粘度に基づいて測定を行った。
【0030】
次に、本発明の樹脂エマルジョン製造装置の一例を、図1,2を用いて以下に説明する。
【0031】
図1には、本発明の樹脂エマルジョン製造装置100の一例が示されている。樹脂エマルジョン製造装置100は、有機溶媒を含まず主成分が水からなる溶媒(以下「溶媒」と略す)と樹脂との混合物を貯留すると共に加圧加熱する加圧加熱用タンク10と、加圧加熱用タンク10から上記混合物が導入され加熱加圧状態で乳化させる乳化機30とを有する。そして、加圧加熱用タンク10の流出口と乳化機30流入口とは、ポンプ20を介して配管12により接続されている。また、乳化機30の流出口には、配管14が接続され、この配管14には、配管14内を流通するエマルジョンの流量を制御するための流量調整バルブ40が設けられている。更に、配管14と配管16,18は、三方コック50により接続されて、配管16の他端は、加圧加熱用タンク10の流入口に接続されている。
【0032】
上記樹脂エマルジョン製造装置100の動作について以下に説明する。
【0033】
まず、三方コック50を配管18側が閉になるように操作し、流量調整バルブ40を所定の流量となるように操作しておく。次いで、加圧加熱用タンク10の図示しない流入口から、樹脂と溶媒とを所定の比率となるように導入する。そして、加圧加熱用タンク10、配管12、乳化機30、配管14,16からなる循環経路は密閉系とする。そののち、加圧加熱用タンク10の中の混合物を100℃以上の温度に加熱する。これにより、加圧加熱用タンク10内の水が蒸発して、加圧加熱用タンク10内の圧力が上昇し、加圧された状態になるが、加圧加熱用タンク10内を積極的に加圧してもよい。なお、加圧することによって、水の蒸発を極力抑え、水と樹脂との乳化比率をほぼ一定に保つことができ、均一な樹脂粒子を製造することができる。加圧量は、適宜選択すればよいが、例えば、
0.1〜10kg/m2、0.5kg/m2程度がより好ましい。
【0034】
次いで、加圧加熱用タンク10内の樹脂と溶媒との混合物の一定量を、ポンプ20を用い配管12を介して乳化機30に導入して、乳化機30において剪断力により分散乳化を行う。更に、乳化機30に導入される混合物の量と、流量調整バルブ40の流量調整に応じて、乳化機30より所定量の生成エマルジョンは、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50、配管16を介して、加圧加熱用タンク10に流入される。このような加圧加熱用タンク10、配管12、乳化機30、配管14,16からなる循環経路に複数回、生成樹脂エマルジョンを循環させることによって、所望の粒径でかつ粒度分布の狭い樹脂エマルジョンを生成させることができる。そして、複数回循環させた後、三方コック50の配管16側を閉にし、配管18側を開にすることによって、乳化機30より流出した生成樹脂エマルジョンは、配管14を介して配管18に流入し、採取することができる。採取前には冷却装置(図示せず)をつけ、急冷することが好ましい。なお、冷却過程を経ないで自然放冷した場合、粒子同士が再合一するおそれがある。そして、採取された生成樹脂エマルジョンを、静置することによって、超微粒子の樹脂粒子と主成分が水からなる溶媒とを容易に分離することができる。
【0035】
なお、上記では、循環経路内において生成樹脂エマルジョンを複数回循環させたがこれに限るものではなく、加圧加熱用タンク10から乳化機30に混合物を導入し、樹脂が乳化限界以下の粘度ならば、1回のパスでも十分な乳化性能を示すため、分散乳化させて得られた生成樹脂エマルジョンの樹脂粒子が所望の粒子径であって粒度分布も狭いものである場合には、循環させることなく、配管18を介して樹脂エマルジョンを採取してもよい。また、配管12,14,16は、流通する樹脂エマルション内の樹脂粒子が固化せず、また溶融しない範囲の温度に加温させていてもよい。
【0036】
また、具体的に剪断力をかけるための乳化機30としては、例えば、ローターステーター型乳化機を用い、樹脂を、溶媒、特に100℃以上に加熱するために、図1に示す乳化機30では、高温耐圧タイプのものが好ましい。また、ローターステーター型乳化機とは、高速回転をするローターと、櫛状のスリットを持つステーター部から構成され、2つの間を試料が通過することによって強い剪断力を生み出すことができる。
【0037】
樹脂の乳化には、強い剪断力が必要とされることから、上述のローターステーター型乳化機におけるローターの回転数は、高速であるに越したことはないが、現実的には5,000rpm.〜20,000rpm.の範囲で適切な回転領域を選択することが望ましい。
【0038】
樹脂の温度は、樹脂の持つ粘度カーブや樹脂自身の持つ親水性度(例えば、HLB値)にもよるが、100Pa・s以下になる温度より高い温度、すなわち図1に示すような耐圧型の場合には、90〜150℃程度であることが望ましい。
【0039】
次に、本発明の他の樹脂エマルジョン製造装置200について、図2を用いて以下に説明する。
【0040】
樹脂エマルジョン製造装置200は、有機溶媒を含まず主成分が水からなる溶媒(以下「溶媒」と略す)が貯留されている溶媒タンク10Aと、樹脂を貯留すると共に樹脂を100℃以上の温度であって樹脂粘度が100Pa・s以下になる温度に加熱可能な樹脂タンク10Bと、溶媒タンク10Aから導入された溶媒と、樹脂タンク10Bから導入された加熱された樹脂とを分散乳化させる乳化機30とを有する。そして、溶媒タンク10Aは、ポンプ20Aおよび配管12Aを介して乳化機30に接続され、また樹脂タンク10Bは、ポンプ20Bおよび配管20Bを介して乳化機30に接続されている。そして、ポンプ20A,20Bは、乳化機30に送液させるそれぞれ溶媒、樹脂の流量を調整している。また、乳化機30の流出口には、配管14が接続され、この配管14には、配管14内を流通するエマルジョンの流量を制御するための流量調整バルブ40が設けられている。更に、配管14と配管16,18は、三方コック50により接続されて、配管16の他端は、溶媒タンク10Aの流入口に接続されている。
【0041】
上記樹脂エマルジョン製造装置200の動作について以下に説明する。
【0042】
まず、三方コック50を配管18側が閉になるように操作し、流量調整バルブ40を所定の流量となるように操作しておく。次いで、溶媒タンク10Aからのみポンプ20Aおよび配管12Aを介して、溶媒、好ましくは加温された溶媒を乳化機30、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50および配管16からなる循環経路を循環させ、後述する生成樹脂エマルジョンが配管内等で固化することを抑制させることが好ましいが、各配管12A,14,16を加温する手段を別途設けてもよい。次に、三方コック50は、配管18側を開にし、一方配管16側を閉にする。次いで、ポンプ20A,20Bにより流量を調整しながら、溶媒タンク10Aと樹脂タンク10Bから、溶媒と加熱され粘度が100Pa・s以下の樹脂とを配管12A,12Bを介して乳化機30に導入し、乳化機30において剪断力により分散乳化を行う。更に、乳化機30に導入される溶媒と樹脂の量と、流量調整バルブ40の流量調整に応じて、乳化機30より所定量の生成エマルジョンが、配管14、流量調整バルブ40、三方コック50、配管18を介して、採取することができる。採取前には冷却装置(図示せず)をつけ、急冷することが好ましい。なお、冷却過程を経ないで自然放冷した場合、粒子同士が再合一するおそれがある。そして、採取された生成樹脂エマルジョンを、静置することによって、超微粒子の樹脂粒子と主成分が水からなる溶媒とを容易に分離することができる。
【0043】
また、乳化機30としては、上述同様、例えば、ローターステーター型乳化機を用い、また、ローターステーター型乳化機とは、高速回転をするローターと、櫛状のスリットを持つステーター部から構成され、2つの間を試料が通過することによって強い剪断力を生み出すことができる。
【0044】
また、樹脂の乳化には、強い剪断力が必要とされることから、上述のローターステーター型乳化機におけるローターの回転数は、高速であるに越したことはないが、現実的には5,000rpm.〜20,000rpm.の範囲で適切な回転領域を選択することが望ましい。
【0045】
また、樹脂の温度は、樹脂の持つ粘度カーブや樹脂自身の持つ親水性度(例えば、HLB値)にもよるが、100Pa・s以下になる温度より高い温度、すなわち図2の装置では、90〜200℃程度であることが望ましい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0047】
実施例1.
図2の樹脂エマルジョン製造装置200を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。溶媒タンク10Aおよび樹脂タンク10Bと乳化機30との間のポンプ20A,20Bには、ロータリーポンプを用い、それぞれの流量比をインバータで調節した。
【0048】
樹脂として、ポリエステル樹脂(酸価18、重量平均分子量(Mw)11,000、粘度:75℃で120Pa・s、130℃にて10Pa・s)1,000部を樹脂タンク10Bに入れ、130℃に加熱融解した。次に、溶媒タンク10Aにイオン交換水10,000部を入れ90℃に加熱した。この温純水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。このときの温度は、100℃を超えていた。
【0049】
樹脂および水を1:10の割合で、樹脂と水の混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口には、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0050】
なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、レオメトリクス社製「ARES」を用いて測定したところ、10Pa・sであった。
【0051】
得られた樹脂エマルジョンを島津製作所製「SALD−2000Aレーザー回折粒度測定器」を用いて樹脂粒子の分布を測定した。結果を図3に示すとともに、粒径および粒度分布の標準偏差について表1に示す。なお、標準偏差は、値が小さい程粒度分布が狭いことを表す。
【0052】
また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0053】
なお、上記ポリエステル樹脂の酸化の測定を以下に示す。
【0054】
酸価はJIS K 0070に準じて測定した。すなわち、樹脂粉体を精秤し、300(ml)ビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解した。これに0.1規定のKOHメタノール溶液を用いて電位差滴定を行った。また同時にブランクについても測定を実施し、以下の式により酸価を求めた。
【0055】
【数1】
酸価(mgKOH/g)=((S−B)×f×5.61)/W
【0056】
式中、Wは精秤した樹脂粉体の重さ(g)、SはKOHの使用量、Bはブランクでの測定におけるKOHの使用量(ml)、fはOHのファクターである。
【0057】
比較例1.
上記実施例1と同様な実験設備および樹脂を用いて、樹脂を100℃以下の温度(90℃)で加熱した以外、実施例1と同様にして、樹脂エマルジョンを生成させた。なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、115Pa・sであった。得られた樹脂粒子の分布の結果を図4に示すとともに、粒径および粒度分布の標準偏差を表1に示す。
【0058】
実施例2.
図1の樹脂エマルジョン製造装置100を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。加圧加熱用タンク10と乳化機30との間のポンプ20には、ロータリーポンプを用い、流量比をインバータで調節した。
【0059】
樹脂として、ポリエステル樹脂(酸価18、重量平均分子量(Mw)11,000、粘度:75℃で120Pa・s、130℃にて10Pa・s)1,000部とイオン交換水10,000部とを加圧加熱用タンク10に入れ、130℃に加熱した。なお、上記イオン交換水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。
【0060】
樹脂と水とが1:10の割合混合されている混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。上述の循環回路内を10回循環させた後、生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口より採取した。なお、採取前に、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0061】
上記加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、10Pa・sであった。
【0062】
得られた樹脂エマルジョンを実施例1同様に測定し、その粒子の分布の標準偏差を求めた。結果を表1に示す。また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0063】
比較例2.
上記実施例2と同様な実験設備および樹脂を用いて、加圧加熱タンク10内を100℃以下の温度(90℃)に加熱した以外は、実施例2と同様にして、樹脂エマルジョンを生成させた。なお、加熱溶融した樹脂の粘度は、実施例1と同様に測定したところ、115Pa・sであった。 得られた樹脂粒子の粒径および粒度分布の標準偏差を表1に示す。
【0064】
実施例3.
図1の樹脂エマルジョン製造装置100を用いて樹脂エマルジョンを生成させた。乳化機30として、キャビトロン(CD1010、スリット幅0.4mm、使用モーター5.5kW)を用いた。加圧加熱用タンク10と乳化機30との間のポンプ20には、ロータリーポンプを用い、流量比をインバータで調節した。
【0065】
樹脂として、非結晶のスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体樹脂(重量平均分子量(Mw)28,000、粘度:75℃で220Pa・s、150℃にて80Pa・s)1,000部とイオン交換水10,000部とを加圧加熱用タンク10に入れ、150℃に加熱した。なお、上記イオン交換水に界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30部を溶解させた。
【0066】
樹脂と水とが1:10の割合混合されている混合物全量の流量を3L/minとして、乳化機30において回転数11,200rpmで乳化を行った。上述の循環回路内を10回循環させた後、生成樹脂エマルジョンの試料の取出し口より採取した。なお、採取前に、特に冷却装置は設けなかった。剪断率は、748,000回/sであった。
【0067】
得られた樹脂エマルジョンを実施例1同様に測定し、その粒子の分布の標準偏差を求めた。結果を表1に示す。また、得られた樹脂粒子の形状は、限りなく真球に近い形状であった。
【0068】
実験結果一覧を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明によって、通常は強制乳化法で乳化できない粘度をもつ分子量の樹脂を、有機溶媒を使用することなく、平均粒径1μm以下のエマルジョンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂エマルジョン製造装置の一例の構造を示す概略図である。
【図2】本発明の樹脂エマルジョン製造装置の他の例の構造を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1における樹脂エマルジョンの樹脂粒子の粒度分布を示す図である。
【図4】本発明の比較例における樹脂エマルジョンの樹脂粒子の粒度分布を示す図である。
【符号の説明】
10 加圧加熱タンク、10A 溶媒タンク、10B 樹脂タンク、12,12A,12B,14,16,18 配管、20,20A,20B ポンプ、30乳化機、40 流量調整バルブ、50 三方コック、100,200 樹脂エマルジョン製造装置。
Claims (5)
- 樹脂を、100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱し、水を主成分とする溶媒中で、剪断力によって乳化させてなる体積平均粒径1μm以下であることを特徴とする樹脂エマルジョン。
- 水を主成分とする溶媒と樹脂とを含む混合物を加圧し、前記混合物を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加圧加熱工程と、
前記混合物を剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、
を有することを特徴とする樹脂エマルジョンの製造方法。 - 樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱された樹脂と、水を主成分とする溶媒とを剪断することによって、前記樹脂の溶融微粒子を生成させ、体積平均粒径1μm以下のエマルジョンを生成させる乳化工程と、
を有することを特徴とする樹脂エマルジョンの製造方法。 - 水を主成分とする溶媒と樹脂との混合物を貯留可能な加圧加熱用タンクと、
前記混合物が導入され加熱加圧状態で乳化させる乳化機と、
を有することを特徴とする樹脂エマルジョンの製造装置。 - 水を主成分とする溶媒を貯留する溶媒タンクと、
樹脂を貯留し、樹脂を100℃以上の温度であって前記樹脂の粘度が100Pa・s以下の乳化可能領域となる温度に加熱可能な樹脂タンクと、
前記溶媒タンクから導入される溶媒と、前記樹脂タンクから導入される樹脂とを乳化させる乳化機と、
を有することを特徴とする樹脂エマルジョンの製造装置。
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