JP2017076004A - トナーの製造方法 - Google Patents

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昇平 芝原
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Takeshi Kaburagi
武志 鏑木
宜良 梅田
Nobuyoshi Umeda
宜良 梅田
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Hiroaki Gunji
裕朗 郡司
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Shintaro NOJI
慎太郎 野地
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Masashi Kawamura
政志 河村
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Abstract

【課題】低温定着性及び保存安定性に優れ、かつ、従来にない高着色力を実現したトナーの製造方法を提供すること。【解決手段】重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合する工程を含むトナーの製造方法であって、重合性単量体がスチレンを含み、低分子量樹脂の重量平均分子量が2500以上8000以下であり、低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が70.0以上100.0以下であり、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が15000以上30000以下であり、結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上40.0以下であることを特徴とするトナーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷潜像を顕在化するトナーの製造方法に関する。
近年、更なる高精細フルカラー画像を出力する手段が要望されている中、特に使用エネルギーを削減する付加価値(以下、省エネルギー性能)を求める機運が高まっており、省エネルギー性能がトナーの重要品質の一つとして認識されている。
トナーの省エネルギー性能を達成させ得る一手段として、如何に低い温度で定着させるかということが挙げられ、これに対してトナーの材料から様々なアプローチがなされている。その中でも、トナー中に結晶性材料を含有させる技術は、トナーの低温定着化を達成させるための有効な手段の一つである。
例えば、特許文献1では、トナー粒子内部に低温定着性に有利なシャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂を有するトナーが提案されている。
また、特許文献2には、特定の分子量領域にピーク又はショルダーを有する低分子量樹脂と特定の分子量領域にピーク又はショルダーを有する高分子量樹脂を含有するトナーが開示されている。これにより、低温定着性に優れた高画質なトナー画像を形成し得ることが記載されている。
特開2002−182428号公報 特開2007−41503号公報
一方で、省エネルギー性能の観点で上記以外の達成手段で重要となるのが、トナー消費量の削減に直結する、トナーの高着色力化である。
ただし、結晶性ポリエステル樹脂のような高分子量樹脂を用いることによる低温定着性の達成と、該高分子量樹脂の存在下での高着色力の達成といった要求を両立させることは、非常に困難な技術課題が存在する。以上の理由から、低温定着性と着色力が充分に両立したトナーの製造方法が切望されている。
本発明は、低温定着性及び保存安定性に優れ、かつ、従来にない高着色力を実現したトナーの製造方法を提供するものである。
本発明は、重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を含むトナーの製造方法であって、
該重合性単量体がスチレンを含み、
該低分子量樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量が2500以上8000以下であり、
該低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が70.0以上100.0以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が15000以上30000以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上40.0以下
であることを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、低温定着性及び保存安定性に優れ、かつ、従来にない高着色力を実現したトナーの製造方法を提供することができる。
本発明では、懸濁重合法で製造され、低温定着性を付与することを目的に結晶性ポリエステル樹脂を添加するトナーにおいて、両立が困難な低温定着性と高着色力を充分に満足するトナーの製造方法について鋭意検討した。
その結果、結晶性ポリエステル樹脂及び低分子量樹脂において、以下詳細に説明する構造及び物性にすることで、前述の課題を解決するトナーが得られることを見出した。
すなわち、本発明のトナーの製造方法は、
重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を含むトナーの製造方法であって、
該重合性単量体がスチレンを含み、
該低分子量樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量が2500以上8000以下であり、
該低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が70.0以上100.0以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が15000以上30000以下であり、
該結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上40.0以下であることを特徴とする。
本発明において、低分子量樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw)は2500以上8000以下である。
また、低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数は、70.0以上100.0以下である。
また、結晶性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw)は15000以上30000以下である。
また、結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上40.0以下である。
この理由について筆者は以下のように考えている。
本発明において、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合させる工程とは、重合性単量体に溶媒和している溶質にとって、溶媒が枯渇していく過程といえる。この時、溶媒である重合性単量体に対して析出性の高い物質が含まれていると、顔料が枯渇凝集をおこし、トナーの着色力が下がる要因となる。
本発明で用いる結晶性ポリエステルは低温定着性を得る上で重要な役割を担う材料だが、分子量が大きく析出性の高い樹脂である。そのため、上記重合過程において顔料の枯渇凝集を引き起こしやすい。
特に、スチレン−ヘキサン溶解度指数が40.0以下の結晶性ポリエステルは析出性が高く、この傾向が顕著である。しかしながら、分子量が低く、析出性の低い低分子量樹脂が、系内に存在すると立体反発により顔料の分散性を維持し枯渇凝集を防ぐことができる。
このとき、低分子量樹脂が顔料の枯渇凝集を引き起こさない程度に充分に析出性が低い
こと、及び、低分子量樹脂が顔料間に入り込み、かつ充分に立体反発作用を及ぼすに足る適度な分子量をもつことが、高着色力かつ低温定着性に優れるトナーの製造を実現する上で重要である。
本発明において、上記低分子量樹脂としては、上記特定の重量平均分子量及び特定のスチレン−ヘキサン溶解度指数を有するものであれば特に限定されないが、以下のものが例示できる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。
なお、上記低分子量樹脂は単独又は混合して使用できる。
これらのうち、スチレン系重合体又はスチレン系共重合体であることが好ましい。
また、スチレン系共重合体の場合、スチレン由来のモノマーユニットの含有割合が、スチレン系共重合体を構成する全モノマーユニットに対して、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、モノマーユニットとは、(共)重合体中のモノマー物質の反応した形態をいう。
上述のように低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)は2500以上8000以下である。該低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)が2500以上であると、顔料の分散に必要な立体反発力が得られ、重量平均分子量(Mw)が8000以下であると、低分子量樹脂が顔料間に入り込みやすい。すなわち、低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記範囲を満たすことで、顔料の分散性が顕著に向上する。
なお、該低分子量樹脂の重量平均分子量(Mw)は3500以上7000以下であることが好ましい。
また、上述のように低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数は70.0以上100.0以下である。該スチレン−ヘキサン溶解度指数が70.0以上であると、低分子量樹脂の析出性が低く、顔料の分散性が顕著に向上する。
また、低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数は80.0以上100.0以下であることが好ましい。
なお、該低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数は、該低分子量樹脂の調製時に、低分子用樹脂を構成するモノマーユニットの組成及び組成比(例えば、スチレン由来のモノマーユニットの含有割合)を調整することによって、上記範囲にすることが可能である。
該低分子量樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の「結晶性」とは、後述する示差走査熱量(
DSC)装置を用いた測定において、明確な吸熱ピークを有する(すなわち、融点Tm(℃)を有する)ことを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(℃)は、55℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。該範囲を満たすことで、保存安定性及び低温定着性をより向上させることができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの縮重合樹脂から構成するとよい。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂は、下記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸と下記式(2)で示される脂肪族ジオールとの縮重合体樹脂であることが好ましい。また、下記式(3)を満足することが好ましい。
HOOC−(CH−COOH 式(1)
[式中、mは4以上14以下(より好ましくは6以上12以下)の整数を表す。]
HO−(CH−OH 式(2)
[式中、nは4以上16以下(より好ましくは6以上12以下)の整数を表す。]
16≦m+n≦22 式(3)
結晶性ポリエステル樹脂を構成する脂肪族ジオールの炭素数と脂肪族ジカルボン酸の炭素数の合計数(m+n)は、スチレン系樹脂への相溶性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が適度となる、16以上22以下とすることが好ましく、18以上20以下とすることがより好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂は、式(1)で示される直鎖型脂肪族ジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸をその構成成分として含有してもよい。
該脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステルなどが挙げられる。
また、本発明においては、本発明の効果を阻害しない程度に、上記の成分の他に三価以上の多価カルボン酸を用いてもよい。
三価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどが挙げられる。
これら成分は、1種単独、又は、2種以上併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、式(2)で示される直鎖型脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオールをその構成成分として含有してもよい。
該脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタジエングリコールが挙げられる。
また、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの二価のアルコール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの三価以上のアルコールなどを用いてもよい。
これら成分は、1種単独、又は、2種以上併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸由来の全モノマーユニットを基準として、式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸の含有割合が、80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
一方、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール由来の全モノマーユニットを基準として、式(2)で示される脂肪族ジオールの含有割合が、80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
また、直鎖型であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、結晶融点が適度であるため、トナーの保存安定性及び低温定着性に優れる。
式(1)中のm、及び式(2)中のnが4以上であると、融点(Tm)が適度であるため、保存安定性及び低温定着性に優れる。また、式(1)中のmが14以下、式(2)中のnが16以下であると、実用上の材料の入手が容易である。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整などの目的で、酢酸、安息香酸などの一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコールなどの一価のアルコールも用いられる。
本発明に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応した後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、テトラ(tert−ブトキシ)チタン(IV)、ジブチルスズオキサイド、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。
また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、テトラ(tert−ブトキシ)チタン(IV)、ジブチルスズオキサイド、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどの公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
また、触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であるとさらに望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。また、チタン触媒を用いて作製された結晶性ポリエステル樹脂の方が作製中にポリエステル内部に取り込まれたチタン又はチタン触媒がトナーの帯電性の点で優れるためである。
キレート型チタン触媒であるとそれらの効果が大きく、且つ触媒が反応中に加水分解されたものがポリエステル中に取り込まれることによって、例えば、過酸化物系重合開始剤からの水素引き抜き反応を適切に制御するため望ましい。さらに、トナーの耐久性も向上するためである。
また、ポリマー末端のカルボキシ基を封止することで結晶性ポリエステル樹脂の酸価を制御することもできる。末端封止にはモノカルボン酸、モノアルコールを用いることができる。モノカルボン酸としては、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。また、モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び、高級アルコールが使用可能である。
また、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂部位
に対して、他成分を60質量%以下の割合で共重合(変性)した結晶性ポリエステル樹脂(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂)を用いてもよい。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂において、スチレン系樹脂への相溶性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が適度となる、エステル基濃度に調整することが好ましい。
すなわち、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基濃度を大きくすることにより、スチレン系樹脂との相溶性を高めることができる。
一方、エステル基濃度を高めることにより、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(℃)が低くなり、保存安定性などが低下する傾向があるので、ガラス転移温度(Tg)を考慮し、エステル基濃度を調整するとよい。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、5.0mgKOH/g以下にすることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以下であることにより、ビニル系樹脂中での結晶性ポリエステル樹脂の分布状態に偏りが出にくくなり、結晶性ポリエステル樹脂の適度な分散状態が得られる。そのため、ビニル系樹脂に対する所望の可塑効果を得ることができ、優れた低温定着性を発揮することができる。また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化度を高めることができ、保存安定性がより向上する。
また、酸価を下げることにより、懸濁重合法によりトナーを製造する際、トナー同士の凝集が起こりにくくなる傾向にあり、帯電安定性及び耐ストレス性が向上するため望ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分の比率や、単量体の種類、結晶性ポリエステル樹脂の末端基処理によって制御可能である。
結晶性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw)は15000以上30000以下であり、20000以上25000以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が15000以上であると、保存時におけるトナー間の凝集が起こらない。
一方、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が30000以下であると、低温定着性に優れ、結晶性ポリエステル樹脂の析出性を適度にすることができ、低分子量樹脂を用いて顔料の枯渇凝集を防ぐことができる。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数は5.0以上40.0以下であり、10.0以上30.0以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上であると、結晶性ポリエステル樹脂の重合性単量体中での析出性を低く制御することが可能であり、低分子量樹脂を用いて顔料の枯渇凝集を防ぐことができる。
一方、スチレン−ヘキサン溶解度指数が40.0以下であると、保存時におけるトナー間の凝集を防ぐことができる。
なお、該結晶性ポリエステル樹脂のスチレン-ヘキサン溶解度指数は、結晶性ポリエス
テル樹脂を構成するモノマーユニットの組成、例えば、脂肪族ジオールの炭素数と脂肪族ジカルボン酸の炭素数の合計数(m+n)や、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量などによって上記範囲に調整することが可能である。
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
該範囲を満たすことで、着色力、保存安定性及び低温定着性をより向上させることがで
きる。
次に、トナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明は、重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を含むトナーの製造方法である。
以下、具体的な手順を説明するが、これに限定されるわけではない。
まず、重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂、並びに、必要に応じて、離型剤及びその他の添加剤を混合し、撹拌機などによって均一に溶解又は分散して、重合性単量体組成物を作製する。
得られた重合性単量体組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に添加し、高速撹拌機又は超音波分散機のような高速分散機を使用して分散し、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を形成する。
そして、該粒子に含まれる重合性単量体を光や熱により重合する。重合によって得られた粒子は、ろ過、洗浄、乾燥工程などを経てトナーとするとよい。
上記のような懸濁重合法で製造する場合には、重合開始剤を用いてもよく、重合性単量体中にその他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子を形成する直前に混合してもよい。また、粒子の形成直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
上記重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が好ましい。
該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンなどのビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリ
コールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明において、単官能性重合性単量体を単独若しくは2種以上組み合わせて、又は、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用するとよい。
また、本発明において、重合性単量体はスチレンを含む。また、結晶性ポリエステルのスチレン系(共)重合体への相溶性と耐熱保存性の観点より、重合性単量体中のスチレンの含有量は、60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤を用いるとよい。
油溶性開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキサイド系開始剤。
水溶性開始剤としては、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
また、重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤などをさらに添加し用いることも可能である。
上記重合開始剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。上記重合性開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減温度を参考に、単独又は混合して使用するとよい。
本発明において、トナーの耐ストレス性を高めると共に、分子量を制御するために、架橋剤を用いることもできる。
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。
具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニ
ル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独又は混合物として用いることができる。
これらの架橋剤の添加量は、トナーの定着性、耐オフセット性の点で、重合性単量体100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
重合性単量体や架橋剤は、単独、又は理論ガラス転移温度(Tg)が、40℃〜75℃の範囲を示すように重合性単量体を適宜混合して用いるとよい。理論ガラス転移温度が40℃以上の場合にはトナーの保存安定性や耐ストレス性の面から問題が生じにくく、一方75℃以下の場合はトナーのフルカラー画像形成の場合において透明性や低温定着性が低下しにくい。
上記水系媒体は、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
無機系の分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
有機系の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンなどが挙げられる。
また、ノニオン性、アニオン性、及びカチオン性の界面活性剤の利用も可能である。
例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。
上記分散剤のうち、酸に対して可溶性のある難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。また、難水溶性無機分散剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。重合性単量体組成物の水系媒体中での液滴安定性が向上するからである。
また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して、300質量部以上3000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。しかし、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水中にて高速撹拌下で、上記難水溶性無機分散剤を生成させて調製することが好ましい。例えば、リン酸カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散剤を得ることができる。
懸濁重合法においては、重合性単量体組成物に極性樹脂を添加して、トナーを製造することで、主にコアを形成する樹脂及び離型剤を、ポリエステル樹脂などの極性樹脂(シェル)で被覆したコア−シェル構造を有するトナーを得ることができる。
そのため、懸濁重合法を用いて製造されたトナーは、離型剤をトナー内に良好に内包化することが可能となり、比較的多量の離型剤を含有しても、トナー表面への露出は少なく、連続プリントにおけるトナー劣化を抑制することができる。
該極性樹脂の具体例として、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。好ましくは材料の多様性から非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
該極性樹脂の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10.0質量部以下である。
上述のように重合性単量体組成物は、着色剤として顔料を含有する。該顔料は、粗製顔料であってもよく、顔料の分散性の効果を著しく阻害するものでなければ、調製された顔料組成物であってもよい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び下記イエロー系、マゼンタ系、及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、サーマル法、アセチレン法、チャンネル法、ファーネス法、ランプブラック法などの製法により得られたカーボンブラックを用いることができる。
該カーボンブラックの一次粒子の個数平均粒径は、特に制限はないが、14nm以上80nm以下であることが好ましく、より好ましくは25nm以上50nm以下である。
一次粒子の個数平均粒径が14nm以上の場合には、トナーは赤味を呈さず、フルカラー画像形成用のブラックとして好ましい。カーボンブラックの一次粒子の個数平均粒径が80nm以下の場合には、良好に分散しかつ着色力が低くなり過ぎず好ましい。
なお、カーボンブラックの一次粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
上記カーボンブラックは単独で用いても良く、2種以上を混合してもよい。
イエロー系着色剤に用いられる顔料としては、縮合多環系顔料、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が挙げられる。
マゼンタ系着色剤に用いられる顔料としては、縮合多環系顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19が挙げられる。
シアン系着色剤に用いられる顔料としては、フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
顔料は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。
本発明において、顔料は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHT透明性、トナー中への分散性の点から選択される。
顔料の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明において、重合性単量体組成物は離型剤を含有してもよい。該離型剤としては、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪
酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
該離型剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、2.5質量部以上25質量部以下であることが好ましい。
本発明において、トナーの帯電特性を安定化するために、重合性単量体組成物又はトナーに荷電制御剤を配合してもよい。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物;アセチルアセトン金属化合物;芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物;芳香族オキシカルボン酸;芳香族モノ及びポリカルボン酸並びにその金属塩、無水物、及びエステル類;ビスフェノールなどのフェノール誘導体類;尿素誘導体;含金属サリチル酸系化合物;含金属ナフトエ酸系化合物;ホウ素化合物;4級アンモニウム塩;カリックスアレーン;樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系荷電制御剤が挙げられる。
これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系荷電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムのものがよい。より好ましい荷電制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
上記樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体が挙げられる。
荷電制御剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上10質量部以下である。
本発明のトナーは、トナーの流動性改良及び帯電均一化のために、トナーの表面に無機微粒子を添加してもよい。
この場合、添加された無機微粒子は、トナーの表面に均一に付着した状態で存在する。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は、4nm以上500nm以下であることが好ましい。
無機微粒子は、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、及びチタニア微粒子から選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物、並びにチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミナ複合酸化物、及びシリカチタニア複合酸化物などが挙げられる。これら無機微粒子は、表面を疎水化処理して用いることが好ましい。
さらに、トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内でさらに他の添加剤、例えば、テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末及びポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤粉末、酸化セリウム粉末及び炭化硅素粉末などの研磨剤、ケーキング防止剤、並びに逆極性の有機及び/又は無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上7.5μm以下である。
トナーの重量平均粒径が4.0μm以上である場合、チャージアップを引き起こしにくくなり、チャージアップによるカブリや飛散、画像濃度薄などの弊害を引き起こしにくくなる。また、長期画像出力において帯電付与部材を汚染しにくくなり安定した高画質画像を供し易くなる。さらには、感光体上に残る転写残トナーのクリーニングが容易となるばかりでなく、融着なども発生しにくくなる。
一方、トナーの重量平均粒径が9.0μm以下である場合、微小文字などの細線再現性の低下及び画像飛び散りの低下を引き起こしにくくなり、高画質画像を供し得る。
本発明のトナーは、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
本発明のトナーはいかなるシステムにも用いることができ、例えば、高速システム用トナー、オイルレス定着用トナー、クリ−ナーレスシステム用トナー、長期使用によって劣化した現像器内のキャリアを順次回収し、フレッシュなキャリアを補給していく現像方式用トナーなど、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
以下、本発明において用いた測定方法について説明する。
<スチレン−ヘキサン溶解度指数の測定>
本発明において、スチレン−ヘキサン溶解度指数とは、低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂を良溶媒であるスチレンに溶解させたものに貧溶媒であるヘキサンを添加していったときに低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂成分が析出し始めるヘキサンの添加量で規定されるものである。
本発明のトナーの製造方法においては、スチレンを含む重合性単量体中に低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂が溶解している状態から重合反応が進行し、重合反応の進行とともにスチレンを含む重合性単量体が減少していく。
低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂のスチレン溶液にヘキサンを添加していくことは、低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂のスチレン溶液におけるスチレンの割合が減少していくことを意味する。すなわち、該スチレン−ヘキサン溶解度指数の測定方法は、実際に重合反応が進行した場合に生じるスチレンを含む重合性単量体の減少を再現したものである。
従って、スチレン−ヘキサン溶解度指数が小さいほど、重合反応初期に低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂が析出してくることを表す。
(サンプル作製)
10.0質量部の低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂をスチレン100.0質量部に溶解させたスチレン溶液(液温25℃)を調製する。樹脂を溶解して12時間以上24時間未満放置したものをサンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)で濾過してスチレン不溶分を濾別し、濾液を測定用試料とする。
(測定方法)
測定装置としては、(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機(WET−101P)を用いる。
スチレン−ヘキサン溶解度指数は、作製した測定試料をトールビーカー容器中に入れ、滴下試薬としてはn−ヘキサンとし、得られたn−ヘキサン滴下透過率曲線から決定する。
なお、該トールビーカーは、直径5cmの円形で、厚さ1.75mmのガラス製のものを用い、スターラーとして、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありフッ素樹脂コーティングを施されたマグネティックスターラーを用いた。
具体的な測定操作は以下の通りである。
測定用試料を、280rpm以上300rpm以下の速度で撹拌しながら、n−ヘキサンを0.8ml/minの滴下速度で連続的に添加し、波長780nmの光で透過率を測定し、n−ヘキサン滴下透過率曲線を作成する。
得られたn−ヘキサン滴下曲線から光の透過率が50%の時点におけるn−ヘキサン濃度(体積%)を低分子量樹脂又は結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数とする。
<樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定>
低分子量樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算で算出する。
サンプルの調製は、測定対象をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、6時間放置した後、充分に振とうし(試料の合一体がなくなるまで)、さらに1日以上静置して行う。
そして、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm)を通過させてサンプル溶液を得る。
なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.1質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC−8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:10μL
測定サンプルの分子量の算出にあたっては、サンプルの有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料は、東ソー社製の商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」を用いる。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による
精密粒度分布測定装置「コールターカウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。
測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター
Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)を使用する。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下までに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波
分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)の測定>
結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量分析(DSC)装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジ
ウムの融解熱を用いる。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲20〜180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度180℃まで昇温させ、続いて20℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度20〜180℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークのピーク温度を、結晶性ポリエステルの融点(Tm:℃)とする。
以下、発明を実施例比較例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。実施例中及び比較例中の部及び%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<低分子量樹脂1の製造例>
滴下ロート、リービッヒ冷却管及び攪拌機を備えた反応容器にキシレン600質量部を入れて135℃まで昇温した。スチレン100.0質量部、n−ブチルアクリレート0.1質量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド10.0質量部の混合物を滴下ロートに仕込み、135℃のキシレンに2時間かけて滴下した。さらに、キシレン還流下(137℃〜145℃)で溶液重合を完了して、キシレンを除去し、低分子量樹脂1を得た。
得られた低分子量樹脂1の物性を表1に示す。
<低分子量樹脂2〜7の製造例>
低分子量樹脂1の製造例において、スチレン、n−ブチルアクリレート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドを表1の量に変更した以外は同様の方法により低分子量樹脂2〜7をそれぞれ製造した。得られた低分子量樹脂2〜7の物性を表1に示す。
Figure 2017076004

<結晶性ポリエステル樹脂1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、1,10−デカンジオール(アルコールモノマー)及びセバシン酸(カルボン酸モノマー)をそれぞれ等モル量投入した。そして、触媒として、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズをモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら8時間反応させた。
次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂2〜5、8〜9の製造例>
結晶性ポリエステル樹脂1の製造例において、表2に示すように、アルコールモノマー及びカルボン酸モノマーの種類を変更した以外は同様の方法により結晶性ポリエステル樹脂2〜5、8〜9を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂の物性を表2に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂6、11の製造例>
結晶性ポリエステル樹脂1の製造例において、反応時間を短くし、重量平均分子量を調整した以外は同様に行い、結晶性ポリエステル樹脂6、11を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂6、11の物性を表2に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂7、10の製造例>
結晶性ポリエステル樹脂1の製造方法において、反応時間を長くし、また触媒量を増やし、重量平均分子量を調整した以外は同様に行い、結晶性ポリエステル樹脂7、10を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂7、10の物性を表2に示す。
Figure 2017076004
<トナー1の製造例>
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム2.3質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を得た。また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100rpmで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
・スチレン 45.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 10.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂 4.0質量部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)−エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)(モル比が51:30:20);酸価が9mgKOH/g;ガラス転移温度が60℃、Mwが10000、Mw/Mnが3.20)
また、下記の材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)で分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン 30.0質量部
・カーボンブラック 7.4質量部
・荷電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0質量部
・ワックス HNP−51(日本精鑞社製) 9.0質量部
・低分子量樹脂1 5.0質量部
次に、該微粒状着色剤含有単量体と該樹脂含有単量体を均一に混合して重合性単量体組成物を得た後、該重合性単量体組成物を60℃に加温し、次いで、該重合性単量体組成物を上記水系媒体中に投入して、重合性単量体組成物を造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成した。
そして、これに重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート10.0質量部を加えて10分間造粒を継続させた。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100rpmで攪拌しつつ、75℃で5時間反応させた後、85℃まで昇温し、さらに5時間反応を行い、重合反応を行った。重合反応終了後、粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該スラリーに塩酸を加えてリン三カルシウムを溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。そして、該湿潤着色粒子を温度40℃にて72時間乾燥しトナー粒子1を得た。
100質量部のトナー粒子1と、BET値が300m/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子1.6質量部とを三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製))で混合してトナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。
<トナー2〜4の製造例>
トナー1の製造例のカーボンブラックをC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントレッド269、に変更する以外は同様の方法により、それぞれトナー2〜4を得た。各トナーの物性を表3に示す。
<トナー5〜6の製造例>
トナー1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂1を、それぞれ結晶性ポリエステル樹脂2〜3に変更する以外は同様の方法によりトナー5〜6を得た。物性を表3に示す。
<トナー7〜10の製造例>
トナー5の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂2の添加量を、それぞれ3.0質量部、20.0質量部、2.0質量部、22.0質量部とする以外は同様の方法によりトナー7〜10を得た。物性を表3に示す。
<トナー11〜14の製造例>
トナー1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂1を、それぞれ結晶性ポリエステル樹脂4〜7に変更する以外は同様の方法によりトナー11〜14を得た。物性を表3に示す。
<トナー15〜17の製造例>
トナー5の製造例において、低分子量樹脂1を、それぞれ低分子量樹脂2〜4に変更する以外は同様の方法によりトナー15〜17を得た。物性を表3に示す。
<比較トナー1〜4の製造例>
トナー1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂1を、それぞれ結晶性ポリエステル樹脂8〜11に変更する以外は同様の方法により比較トナー1〜4を得た。物性を表3に示す。
<比較トナー5〜7の製造例>
トナー5の製造例において、低分子量樹脂1を、それぞれ低分子量樹脂5〜7に変更する以外は同様の方法により比較トナー5〜7を得た。物性を表3に示す。
Figure 2017076004
<実施例1>
トナー1を下記評価項目について評価した。評価結果を表4に示す。
<着色力>
画像形成装置としてLBP−7700C(キヤノン製)を用い、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度50%)で画像評価を行った。トナーの着色力の指標として画像濃度の測定を行った。A4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)に単位面積あたりのトナー質量が0.30mg/cmになるように調整し、ベタ画像を出力した。
そして、該ベタ画像の濃度を測定(右上、右下、中心、左上、左下の5点平均)することにより評価した。なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
(評価基準)
A:画像濃度が1.45以上
B:画像濃度が1.35以上1.45未満
C:画像濃度が1.20以上1.35未満
D:画像濃度が1.05以上1.20未満
E:画像濃度が1.05未満
評価上、Aが最もよくトナーの現像性が高く、Eが最も悪く現像性に劣ることを意味す
る。なお、該画像濃度は、A〜Cならば実用上問題は無い。
<低温定着性>
低温定着性を評価するために定着こすり試験を実施した。
画像形成装置としてLBP−7700C(キヤノン製)の改造機を用い、A4の複写機用普通紙(105g/m)に単位面積あたりのトナー質量が0.6mg/cmになるように調整し、濃度測定用の10mm×10mmの3ドット3スペース(600dpi)画像を多数有する画像を出力した。
得られた定着画像を、50g/cmの加重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度の低下率を以下に基づいて評価した。
なお、画像を出力する際には、評価機本体のギア及びソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが330mm/secとなるようにし、定着温度の設定は160℃とした。
また、画像濃度の測定には、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定し、摺擦後の画像濃度の低下率を算出した。下記評価のうち、A〜Cならば実用上問題は無い。
(評価基準)
A:2.0%未満
B:2.0%以上、5.0%未満
C:5.0%以上、10.0%未満
D:10.0%以上、15.0%未満
E:15.0%以上
<保存安定性>
保存時の安定性を評価するために耐ブロッキング性の評価を実施した。
約5gのトナーを100mLのプラスティックカップに入れ、55℃、5%RH環境下で3日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように3日放置したトナーを、予め23℃、60%RH環境下において24時間放置し、そのうちトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
(評価基準)
A:凝集度が20%未満
B:凝集度が20%以上、25%未満
C:凝集度が25%以上、30%未満
D:凝集度が30%以上、35%未満
E:凝集度が35%以上
上記評価のうち、A〜Cであれば実用上問題はない。
<実施例2〜17>
実施例1と同様にしてトナー2〜17を評価した。評価結果を表4に示す。
<比較例1〜7>
実施例1と同様にして比較トナー1〜7を評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2017076004

Claims (3)

  1. 重合性単量体、顔料、結晶性ポリエステル樹脂、及び低分子量樹脂を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を含むトナーの製造方法であって、
    該重合性単量体がスチレンを含み、
    該低分子量樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が2500以上8000以下であり、
    該低分子量樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が70.0以上100.0以下であり、
    該結晶性ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が15000以上30000以下であり、
    該結晶性ポリエステル樹脂のスチレン−ヘキサン溶解度指数が5.0以上40.0以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、前記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、下記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸と下記式(2)で示される脂肪族ジオールとの縮重合体樹脂であり、
    下記式(3)を満足する、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
    HOOC−(CH−COOH 式(1)
    HO−(CH−OH 式(2)
    16≦m+n≦22 式(3)
    (但し、mは4以上14以下の整数を表し、nは4以上16以下の整数を表す。)
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