JP6245785B2 - トナー粒子の製造方法 - Google Patents
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これらの要求を満たすためには、トナーを軟化させつつ、高速現像に対応するために高い流動性や強度を得る必要があるが、一般的にこれらの特性はトレードオフの関係にあると考えられている。これを解決するために、熱に対する応答速度に優れる結晶性樹脂を添加するトナーが検討されているが、単純に添加しただけではその特性を充分に活かしきれず、特にトナーの流動性の如き現像性に関わる特性を損ねてしまう場合がある。そのため、該結晶性樹脂の特性を活用するために、種々の工夫がなされたトナーが提案されている。具体的には、結晶性樹脂を、該結晶性樹脂の融点未満の温度に長時間置く事で、該結晶性樹脂の結晶が成長し、結晶化度が向上する現象を利用している。
例えば、特許文献1では、結晶性樹脂を含有したトナーを45℃以上65℃以下の温度で保管する工程を含むトナーの製造方法が提案されている。
しかしながら、上記したトナーの製造方法では、該温度で保管する工程により、一部のトナーが凝集する場合がある。また、乾式で該工程を行うことで、トナー表面近傍に存在していた結晶性樹脂が、結晶成長に伴いトナー表面に移行する現象が生じ、トナーの流動性が著しく低下する恐れがあった。
また、特許文献2では、非晶性ポリエステルに結晶性ポリエステルを添加したトナーにおいて、該結晶性ポリエステルの融点未満の特定の温度で加熱処理した後、さらに前記温度以上融点未満の特定の温度で加熱処理を行うトナーが提案されている。
上記したトナーでは、結晶性ポリエステルの融点未満の温度で2段階に加熱処理を行うことで、結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させている。しかしながら、結着樹脂に非晶性ポリエステルを用いているため、トナーの製造工程において結晶性ポリエステルが結着樹脂に相溶し、結着樹脂と結晶性ポリエステルの明確な構造制御が出来ない。よって、結晶化度を充分に上げた場合でも、トナーの高流動性や低温定着性を得られるような構造制御との両立が非常に困難であり、結晶性ポリエステルの効果を最大限に発揮しているとは言えない。
一方、特許文献3では、結晶性樹脂を含有した乳化凝集トナーにおいて、合一工程における温度を結晶性樹脂の融点未満の特定の温度に設定し、結晶化度を上げるトナーが提案されている。
上記した方法では、結着樹脂と結晶性樹脂の構造制御が容易である。しかし、結着樹脂と結晶性樹脂を乳化粒子として完全に分離しながらトナー化を行うため、結着樹脂と結晶性樹脂の馴染みが低く、結晶性樹脂の効果が充分に発揮できない場合がある。
以上、結晶性樹脂を添加して低温定着性能を向上させたトナーにおいて、充分な低温定着性能を有し、かつ流動性に優れ、現像工程の高速化にも対応可能であるトナー特性を有するトナーが待望されている。
すなわち、結晶性樹脂を添加して低温定着性能を向上させたトナーにおいて、充分な低温定着性能を有し、かつ現像工程の高速化に対応するために、流動性に優れたトナー粒子の製造方法を提供するものである。
該結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が6500以上50000以下であり、
以下のi)またはii)の方法によって樹脂粒子を製造した後に、該樹脂粒子を水系媒体中において、
該結着樹脂の中間点ガラス転移温度をTg(℃)、該結晶性ポリエステルの融解開始温度をTms(℃)としたとき、
Tg(℃)以上Tms(℃)以下
の条件を満たす温度で2.0時間以上加熱保持することにより、下記式により求められる吸熱量維持率が85%以上であるトナー粒子を得ることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
吸熱量維持率(%)=100×(Q2/Q1)×(100/Cw)
[Q1(J/g):結晶性ポリエステル単体の吸熱量
Q2(J/g):トナー粒子中の結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピークの吸熱量
Cw(重量%):トナー粒子製造時の結晶性ポリエステルの内添量から換算されるトナー中の結晶性ポリエステル量]
i)重合性単量体、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合して樹脂粒子を製造する。
ii)有機溶媒に、結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを溶解又は分散して樹脂溶液を調製し、該樹脂溶液を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去して樹脂粒子を製造する。
i)重合性単量体、着色剤及び結晶性樹脂を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合して樹脂粒子を製造する。
ii)有機溶媒に、結着樹脂、着色剤及び結晶性樹脂を溶解又は分散して樹脂溶液を調製し、該樹脂溶液を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去して樹脂粒子を製造する。
結晶性樹脂は非晶性樹脂に比べて熱応答性に優れており、融点未満の温度においては充分な強度を保持しながら、特定の温度において融解し、急激に粘度が低下する(以下、シャープメルト性ともいう。)。この特徴をトナーに応用すると、トナーの流動性や強度を下げることなく、さらなる低温定着化が可能となる。
結晶性樹脂のシャープメルト性は、分子が規則的に配列して結晶状態を形成することに由来する。しかしながら、トナー中に単純に結晶性樹脂を添加すると、トナーの製造工程中に熱や溶剤の影響を受け、結晶性樹脂の結晶状態が崩れて、一部が非晶化してしまう場合が多い。この、非晶化している分子が少なく、結晶状態を形成している分子が多い(すなわち、結晶化度が高い)ほど、上述したシャープメルト性が発揮される。
また、結晶性樹脂のガラス転移温度は、一般的に融点よりも低い。よって、非晶化した
部分は単なるガラス転移温度の低い非晶性樹脂となるため、その割合が増えるほど、結晶性樹脂が耐久性や耐熱性に与える弊害が大きくなる。
以上の観点から、本発明者らは、トナーに結晶性樹脂を導入する際には、結晶性樹脂の結晶化度を充分に高めることが重要であると考えた。
また、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、トナーに結晶性樹脂を導入した際に、トナー中における結晶性樹脂の存在状態によって、より結晶性樹脂の特徴を活かすことが可能となることを見出した。例えば、意図的に結晶性樹脂をトナーの内部に配置したり、トナー表面近傍に配置したりすることで、より優れた定着性や現像性を得ることが可能となる。
以上の観点から、トナーに結晶性樹脂を導入する際には、結晶性樹脂の結晶化度を充分高い状態で維持したまま、結晶性樹脂と結着樹脂とが相溶せず明確に境界を有する構造に制御することで、結晶性樹脂の特徴を最大限発揮したトナーが得られると考え、本発明に至った。
本発明は、スチレンアクリル系樹脂を主成分とする結着樹脂、着色剤及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子の製造方法である。結着樹脂の主成分がスチレンアクリル系樹脂であり、かつ懸濁重合法または溶解懸濁法によりトナー粒子の元となる樹脂粒子を製造することで、本発明における、結着樹脂と結晶性樹脂とが相溶せず明確に境界を有する構造に制御することが可能となる。懸濁重合法と溶解懸濁法による樹脂粒子の製造方法については後述する。結着樹脂の主成分をスチレンアクリル系樹脂とすることで、結着樹脂と結晶性樹脂との相分離を明確に行うことが可能となる。これは、結着樹脂と結晶性樹脂を混合した際に、結着樹脂と結晶性樹脂が共に溶融する温度条件においても、相分離状態を維持するためだと考えられる。結着樹脂がポリエステル系樹脂である場合には、結晶性樹脂が溶融した際に相溶状態になるため、明確な相分離状態を維持できない。
また、上記した相分離状態を維持したまま懸濁重合法または溶解懸濁法によって樹脂粒子を製造した場合には、結晶性樹脂の物性によってトナー粒子の構造制御が可能となる。例えば、結晶性樹脂の極性やSP値を所望の値にすることで、結晶性樹脂をトナー粒子に内包したり、トナー粒子の表層に出したりすることが出来る。ここで、結着樹脂の主成分がスチレンアクリル系樹脂であることで、上記した結晶性樹脂の物性が構造制御に与える影響が大きくなる。これは、スチレンアクリル系樹脂が大きな極性を持たないことから得られる効果だと考えられる。
さらに、樹脂粒子の製造に懸濁重合法または溶解懸濁法を用いた場合は、重合性単量体または有機溶媒中で、結着樹脂と結晶性樹脂が一度、均一に溶解される。このような状態から、重合または脱溶剤が進行することで、樹脂粒子において結晶性樹脂を微分散させることが可能となり、結晶性樹脂による低温定着効果を最大限に発揮できる。一方で、結晶性樹脂の非晶化部分による耐熱性や耐久性への影響は大きくなるため、後述する加熱保持による結晶化度の向上が重要となる。
また、乳化凝集法の如き、各材料が分離した状態を保持しながら樹脂粒子を製造する場合には、結着樹脂と結晶性樹脂の馴染みが低く、上記したような最大限の効果は得られない場合がある。
結着樹脂の中間点ガラス温度[以下、単に「Tg」とも表記することがある]以上の温度において、結着樹脂の分子運動が生じるため、結着樹脂に固定されていた結晶性樹脂の非晶化部分が移動して結晶を形成することによって結晶化度が向上する。さらに、温度が結晶性樹脂の融解開始温度[以下、単に「Tms」とも表記することがある]に近付くにつれて結晶性樹脂の分子運動が活発になるため、より早く結晶が整うことになる。しかし、結晶性樹脂の融解開始温度以上の温度領域においては、結晶性樹脂が溶融するため、結
晶化度は向上しない。尚、本発明において、懸濁重合法を用いた場合の結着樹脂の中間点ガラス転移温度(℃)は、懸濁重合法で製造した樹脂粒子の中間点ガラス転移温度(℃)の測定値とした。
上記した温度範囲において、0.5時間以上加熱保持することで、結晶性樹脂の結晶化度を充分に上げることが出来る。加熱保持時間が0.5時間未満であると、結晶性樹脂の分子の移動が充分に行われず、結晶化度が所望の状態まで向上しない。結晶性樹脂の種類や、処理温度によって結晶状態が、一定の状態で安定するまでの時間は異なるが、0.5時間以上であれば、結晶性樹脂の結晶化度を充分に上げることが可能である。さらに付言すれば、一定時間以上の加熱保持処理を行っても、結晶化度の変化は起こらない。これは、用いた結晶性樹脂の結晶状態が、一定の状態で安定するからである。
本発明において、上記加熱保持時間は、0.5時間以上24.0時間以下であることが好ましく、0.5時間以上12.0時間以下であることがより好ましい。
また、本発明においては、特定の方法で製造された樹脂粒子が保持する、結晶性樹脂と結着樹脂とが相溶せず明確に境界を有する構造を崩さずに結晶化度を上げることが重要である。これにより、低温定着性に優れ、且つ、流動性に優れたトナー粒子を得ることが可能となる。これを達成するためには、上記した温度範囲で保持する加熱保持工程は、水系媒体中で行う。水系媒体中で加熱保持を行うことで、樹脂粒子内部に存在する結晶性樹脂が、樹脂粒子表面に出ることを防いだり、樹脂粒子そのものの形状を維持したりすることが可能となる。水系媒体中ではなく、乾式で加熱保持を行うと、特に樹脂粒子内部に存在する結晶性樹脂の一部が、樹脂粒子表面に出る場合が多い。
本発明において、該結晶性樹脂の酸価は0.1mgKOH/g以上、50.0mgKOH/g以下であることが好ましい。また、酸価が0.1mgKOH/g以上、15.0mgKOH/g未満であることで、トナー粒子の内部に存在する結晶性樹脂の割合がより多くなる。その結果、結晶性樹脂による低温定着効果を発揮しながら、さらに、流動性や帯電性に優れたトナーを得ることが出来る。該効果をさらに高めるには、酸価が0.1mgKOH/g以上、10.0mgKOH/g以下とすることが挙げられる。
一方、酸価が15.0mgKOH/g以上、50.0mgKOH/g以下であることで、トナー粒子の表面近傍に存在する結晶性樹脂の割合が多くなる。その結果、特に定着工程において定着圧力を下げた場合においても、優れた低温定着性を示すトナーを得ることが出来る。該効果をさらに高めるためには、酸価が25.0mgKOH/g以上、50.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が50.0mgKOH/gより高い場合には、樹脂粒子の造粒性が低下する傾向にあり、特に高湿環境下におけるトナー粒子の流動性が低下したりする場合がある。結晶性樹脂の酸価は、結晶性樹脂を構成する単量体の種類や比率によって制御することが可能である。尚、トナー粒子中の結晶性樹脂の観察方法及び結晶性樹脂の酸価の測定方法については後述する。
かに行われる。一方で、結着樹脂の中間点ガラス転移温度[Tg(℃)]よりも大幅に高い温度で加熱保持すると、樹脂粒子の製造工程で行われた構造制御が崩れてしまう場合もある。結晶性樹脂の融解開始温度[Tms(℃)]が上記範囲にあることで、低温定着が可能な中間点ガラス転移温度[Tg(℃)]を有する結着樹脂を用いた場合にも、構造制御を維持しながら、結晶性樹脂をより高い結晶化度にすることが可能となる。尚、結晶性樹脂の融解開始温度[Tms(℃)]は、結晶性樹脂を構成する単量体の種類によって制御が可能である。また、結着樹脂の中間点ガラス転移温度[Tg(℃)]は、結着樹脂の主成分であるスチレンアクリル樹脂を構成する単量体の種類や比率によって制御するのが簡便であり好ましい。Tms(℃)及びTg(℃)の測定方法については後述する。
また、スチレンアクリル樹脂を主成分とする結着樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の分子量分布において、5000以上、40000以下に極大値[以下、ピーク分子量(Mp)ともいう]を有する事が好ましい。上記範囲に[Mp]を有する事で、結着樹脂と結晶性樹脂の相分離状態を保持しながら構造制御がより容易となる。また、トナーの低温定着性と現像性がより優れたものとなる。該[Mp]は6000以上、30000以下である事がより好ましい。
該[Mp]は、主に結着樹脂の公知の製造条件で容易に調整することが可能である。具体的には結着樹脂に用いる重合性単量体、架橋剤、連鎖移動剤、開始剤、また結着樹脂製造時の重合温度によって制御可能である。尚、結晶性樹脂の[Mw]及び結着樹脂の[Mp]の測定方法については後述する。
本発明において、該結晶性樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5.0質量部以上、40.0質量部以下であり、より好ましくは10.0質量部以上、30.0質量部以下である。
尚、結晶性樹脂のSP値は構成する単量体や分子量の如き物性で制御することが可能である。SP値は、Fedorの方法により算出することができる。具体的には例えば、ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147乃至154頁に詳しく記載されており、下記式によりSP値を算出することができる。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、
Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子又は原子団のモル体積)
トナー中の結晶性樹脂の吸熱量維持率は、結晶性樹脂の酸価、分子量、及びトナー粒子の製造条件によって制御可能であるが、種々の性能への影響を考慮すると、トナー粒子の製造条件によって制御する事が好ましく、また容易である。尚、トナー粒子中における結晶性樹脂の吸熱量維持率の測定方法に関しては後述する。
該[D4]は5.5μm以上、8.0μm以下であることがより好ましい。また、[D4/D1]が1.30を超える場合には、トナー粒子に内包されなかった結晶性樹脂が単独で粒子を形成している可能性もあり、トナー粒子全体として耐久性が低下する場合がある。
尚、該[D4/D1]は粒子径の分布の程度を示す指標であり、完全に単分散である場合には1.00を示す。該[D4/D1]が1.00よりも大きいほど、粒子径の分布が広い事を示す。
上述したトナー粒子の[D4]、[D4/D1]は、トナー粒子に用いる重合性単量体の種類と量の如き材料や、トナー粒子を製造する際の温度や分散安定剤の量の如き公知の製造条件によって制御可能である。さらに本発明においては、上記したように結晶性樹脂の一部の物性や添加量が影響を与える場合もある。尚、トナー粒子の[D4]及び[D4/D1]の測定方法については後述する。
本発明のトナー粒子は、懸濁重合法または溶解懸濁法を用いて樹脂粒子を製造した後に、該樹脂粒子を水系媒体中において特定の温度範囲で特定時間加熱保持することで製造される。
まず、懸濁重合法を用いた樹脂粒子の具体的な製造方法を説明する。
トナー粒子の結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤及び結晶性樹脂を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する。このとき、上記重合性単量体組成物中には、必要に応じて離型剤や多官能性単量体、連鎖移動剤、荷電制御剤、可塑剤、さらに他の添加剤(例えば、顔料分散剤や離型剤分散剤)を適宜加えることが出来る。
次いで、上記重合性単量体組成物を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌機もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、造粒を行う。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく
、水系媒体中に懸濁させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることも出来る。
造粒後の懸濁液を加熱し、懸濁液中の重合性単量体組成物の粒子が粒子状態を維持し、且つ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら重合反応を行い、完結させる事で樹脂粒子の水分散液が形成される。このとき、造粒後の懸濁液の温度は、重合終了時まで結晶性樹脂の融点以上の温度を保持する事で、低温定着性が向上する場合がある。
次に、溶解懸濁法を用いた樹脂粒子の具体的な製造方法を説明する。
有機溶媒中にトナー粒子の主構成材料となる結着樹脂、着色剤及び結晶性樹脂を加え、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた樹脂溶液を調製する。このとき、前記樹脂溶液中には、必要に応じて離型剤としてのワックスや荷電制御剤、さらに分散剤の如き添加剤を適宜加えることができる。
次いで、上記樹脂溶液を、予め用意しておいた分散安定剤を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機もしくは超音波分散機の如き高速分散機を用いて懸濁させ、溶解樹脂液滴の形成を行う。回転羽根を有する撹拌装置としては、特に制約はなく、乳化機、分散機として汎用のものであれば使用可能である。
このようにして得られた溶解樹脂液滴から有機溶媒を除去するために、系全体を徐々に昇温し、溶解樹脂液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。上記のようにして溶解樹脂液滴から有機溶媒を除去し樹脂粒子の水分散液を形成する。
上記した方法において形成された樹脂粒子の水分散液を、該水系媒体中で、該結着樹脂の中間点ガラス転移温度以上、該結晶性樹脂の融解開始温度以下の温度で0.5時間以上加熱保持する。この時、必要に応じて界面活性剤や無機微粒子の如き分散安定剤を添加しても良い。その後、必要に応じて洗浄を行い、種々の方法によって乾燥、分級を行うことでトナー粒子を得ることが出来る。
該スチレンアクリル系樹脂は、公知のラジカル重合性単量体を重合したものを用いる事ができる。また、以下に示すラジカル重合性単量体であれば、一部が変性されていても良い。ラジカル重合性単量体として具体的には、以下のものを挙げることができる。
スチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;酢酸ビニルの如きビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルの如き(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテルの如きビニルエーテル類;マレイン酸の如き不飽和二塩基酸またはその無水物。
また、該スチレンアクリル樹脂においては、耐高温オフセット性の改善を目的として、少量の多官能性単量体を併用することができる。尚、高温オフセットとは、定着時において溶融したトナーの一部が定着用の熱ローラや定着フィルムの表面に付着し、これが後続の被定着材を汚染する現象をいう。多官能性単量体としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、の如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物。
これらの多官能性単量体は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合の好ましい添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.01質量部以上1.00質量部以下であ
る。
結晶性樹脂が結晶性ポリエステルである場合、2価以上の多価カルボン酸とジオールの反応により得ることができる。その中でも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とするポリエステルが、結晶化度が高く好ましい。
このような結晶性ポリエステルを得るためのアルコール単量体としては公知のアルコール単量体が使用できる。具体的には、例えば以下のものが使用できる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールの如きアルコール単量体;ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、の如き2価のアルコール;1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトールの如き3価のアルコール。
一方、結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸単量体としては公知のカルボン酸単量体が使用できる。具体的には、例えば以下のものが使用できる。シュウ酸、セバシン酸の如きジカルボン酸及びこれらの酸の無水物または低級アルキルエステル;トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンの如き3価以上の多価カルボン酸成分及びこれらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体。
該結晶性ポリエステルは、公知のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させて結晶性ポリエステルを得る。
エステル化またはエステル交換反応の時には必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、テトラブチルチタネートの如き通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、2硫化スズ、3酸化アンチモン、2酸化ゲルマニウムの如き公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
また、ポリマー末端のカルボキシル基を封止することで結晶性ポリエステルの酸価を制御することも出来る。
末端封止にはモノカルボン酸、モノアルコールを用いる事が出来る。モノカルボン酸としては例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。また、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び、高級アルコールが使用可能である。
の;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、或いは、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂は好ましく用いることができる。
上記荷電制御剤は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部当り、0.01質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下となる様に含有させるのが、トナーの低温定着性の点で良い。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は単独または混合し、更には固溶体の状態で用いることができる。黒色着色剤として磁性体を用いる場合、その添加量は結着樹脂100質量部に対して40質量部以上150質量部以下であることが好ましい。黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。また、カラートナーの場合、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択され、その好ましい添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である。
られる。
<結晶性樹脂の酸価の測定方法>
結晶性樹脂の酸価はJIS K1557−1970に準じて測定される。具体的な測定方法を以下に示す。試料の粉砕品2gを精秤する(W(g))。200mlの三角フラスコに試料を入れ、トルエン及びエタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間溶解する。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。0.1規定のKOHのアルコール溶液を用いて上記溶液を、ビュレットを用いて滴定する。この時のKOHのアルコール溶液の量をS(ml)とする。一方、ブランクテストをし、この時のKOHのアルコール溶液の量をB(ml)とする。
次式により酸価を計算する。
酸価=〔(S−B)×f×5.61〕/W
(f:KOHのアルコール溶液のファクター)
トナー粒子中の結晶性樹脂の観察方法としては、まず、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物を、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて切断し、薄片状のサンプルを作製する。必要により四三酸化ルテニウムを用い染色を施した後、透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を観察する。上記した観察方法において、四三酸化ルテニウムによりトナー粒子の非晶部が強く染色される。その結果、トナー粒子の結着樹脂の如き非晶部が染色され、染色されていない結晶性樹脂部分がコントラストとして観察可能となる。尚、観察倍率は20000倍とした。
結着樹脂の中間点ガラス転移温度[Tg]、結晶性樹脂の融解開始温度[Tms]、融解ピーク温度[Tm]、及びトナー粒子中の結晶性樹脂の吸熱量維持率(%)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM
D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂粒子またはトナー粒子5mgまたは結晶性樹脂1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測
定範囲20℃から140℃の間で、昇温速度1℃/min、振幅温度幅±0.318℃/minの設定でモジュレーション測定を行う。この昇温過程で、温度20℃から140℃の範囲において比熱変化が得られる。
結着樹脂の中間点ガラス転移温度[Tg]は、可逆比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度とする。
結晶性樹脂の融解開始温度[Tms]は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。
融解ピーク温度[Tm]は、吸熱曲線の融解ピークの頂点の温度とする。
また、吸熱ピークにおける吸熱量をQ(J/g)とする。
尚、本発明において、懸濁重合法を用いた場合の結着樹脂の中間点ガラス転移温度[Tg]は、懸濁重合法で製造した樹脂粒子の中間点ガラス転移温度の測定値とした。
また、本発明におけるトナー粒子中の結晶性樹脂の吸熱量維持率(%)は、下記式から求める事が出来る。
吸熱量維持率[Cp](%)=100×(Q2/Q1)×(100/Cw)
Q1(J/g):結晶性樹脂単体の吸熱量
Q2(J/g):トナー粒子中の結晶性樹脂に由来する吸熱ピークの吸熱量
Cw(重量%):トナー粒子製造時の結晶性樹脂の内添量から換算されるトナー中の結晶性樹脂量
また、結晶性樹脂と離型剤の吸熱ピークが重なってしまう場合には、離型剤がトナー粒子中で100%結晶化しているものとして、離型剤の吸熱量を差し引いて上記計算から求めることが出来る。
結晶性樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10wt/vol%となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンに結晶性樹脂と上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、150℃に設定したホットプレート上で加熱し、結晶性樹脂を溶解する。結晶性樹脂が溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。尚、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置: HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器: 高温用RI
カラム: TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度: 135.0℃
溶媒: ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン
(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速: 1.0ml/min
注入量: 0.4ml
結晶性樹脂の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明における結着樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。尚、懸濁重合法を用いて樹脂粒子が製造された場合には、該樹脂粒子の分子量分布を結着樹脂の分子量分布とした。
まず、室温で24時間かけて、結着樹脂または樹脂粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内における電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナーの凝集度は、以下のようにして測定した。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)予め23℃、60%RH環境下において24時間放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
攪拌機、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置にセバシン酸90.0部(31.8モル%)と、1,9−ノナンジオール210.0部(68.2モル%)、テトラブチルチタネート0.2部を入れ、160℃で5時間反応を行った。その後、200℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、減圧下にて5時間反応を行った。その後、常圧条件に戻してから表1に示す酸調整成分を添加し(合成例1では添加無し)、200℃で2時間反応を行い、結晶性樹脂1を得た。
<合成例2乃至13:結晶性樹脂2乃至13の製造>
合成例1において、単量体の仕込み量及び、減圧下での反応時間を表1に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして反応を行い、結晶性樹脂2乃至13を得た。
得られた結晶性樹脂1乃至13の物性をまとめて表2に示した。
還流冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を入れ
た。
・トルエン 100.0部
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・メチルメタクリレート 3.5部
・メタクリル酸 2.0部
・アクリル酸 1.5部
・t−ブチルパーオキシピバレート 3.0部
前記容器内を毎分200回転で撹拌し、70℃に加熱して10時間撹拌した。さらに、100℃に加熱して6時間重合した。溶媒を留去させて結着樹脂1を得た。該結着樹脂1は、ピーク分子量(Mp)が18000、ガラス転移温度が53℃、酸価が22.3mgKOH/gであった。
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、下記原料を入れ、常圧下、260℃で8時間反応させた後、240℃に冷却し、1時間かけて1mmHgに減圧した。さらに3時間反応させて結着樹脂2(非晶性ポリエステル)を得た。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA−PO) 40.0部
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPA−EO) 340.0部
・テレフタル酸 140.0部
・トリメリット酸 10.0部
・テトラブチルチタネート 1.0部
上記結着樹脂2は、ピーク分子量Mp8000、ガラス転移温度が53℃、酸価が20.6mgKOH/gであった。
(トナー粒子1の作製)
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・ピグメントブルー15:3 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン 0.02部
・離型剤 パラフィンワックス 9.0部
(HNP−5:日本精鑞製 融点60℃)
・結晶性樹脂1 10.0部
からなる単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライター(三井三池化工機製)を用いて2時間分散して、重合性単量体組成物を得た。
高速撹拌装置TK−ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた容器に、イオン交換水800部とリン酸三カルシウム15.5部を添加し、回転数を15000回転/分に調整し、70℃に加温して分散媒系とした。
該重合性単量体組成物に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート4.0部を添加し、これを上記分散媒系に投入した。前記高速撹拌装置にて15000回転/分を維持しつつ3分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で攪拌しながら70℃を保持して8.0時間重合を行った。
重合反応終了後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、分散液を一部抜き取った。抜き取った分散液を洗浄・乾燥し、得られた樹脂粒子の中間点ガラス転移温度を測定したところ、53℃であった。
上記分散液を、結晶性樹脂1の融解開始温度よりも5℃低い温度である65℃に再加熱し、2.0時間保持した。その後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥して、トナー粒子1を得た。
実施例1において、用いた結晶性樹脂、重合終了後の加熱保持条件を表3に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして加熱保持前の樹脂粒子の中間点ガラス転移温度[Tg(℃)]を測定し、その後加熱保持を行って、トナー粒子3乃至9、11乃至16、20乃至21を得た。
<比較例3>
実施例1において、用いた結晶性樹脂を結晶性樹脂13に変更した。また、重合反応終了後、温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥し樹脂粒子を得た。その後、樹脂粒子を結晶性樹脂13の融解開始温度よりも15℃低い温度である53℃に加熱して1.0時間保持し、冷却してトナー粒子19を得た。
・結着樹脂1 100.0部
・結晶性樹脂1 10.0部
・離型剤 パラフィンワックス 9.0部
(HNP−5:日本精鑞製 融点60℃)
・ピグメントブルー15:3 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・酢酸エチル 200.0部
上記成分をボールミルにて10時間混合分散させ、得られた分散液を、リン酸三カルシウム3.5質量%を含むイオン交換水2000部に投入し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーにて回転数を15000回転/分で10分間造粒を行った。その後、スリーワンモーターにて150回転/分で撹拌しながらウォーターバス中において75℃に4時間保持し、脱溶剤を行った。
その後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却した。
上記分散液を、結晶性樹脂1の融解開始温度よりも5℃低い温度である65℃に再加熱し、2.0時間保持した。その後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥して、トナー粒子2を得た。
実施例2において、用いた結着樹脂、結晶性樹脂、脱溶剤終了後の加熱保持条件を表3に示すように変更した。それ以外は、実施例2と同様にして、加熱保持を行い、トナー粒子10および17を得た。
・結着樹脂1 100.0部
・結晶性樹脂13 10.0部
・離型剤 パラフィンワックス 9.0部
(HNP−51:日本精鑞製 融点74℃)
・ピグメントブルー15:3 6.0部
・サリチル酸アルミニウム化合物 1.0部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、90℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕して粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、ジェットミルで微粉砕した後、得られた粉砕物を風力分級し、樹脂粒子を得た。
上記樹脂粒子を、ドデシル硫酸ナトリウム0.1質量%とリン酸三カルシウム3.5質量%を含むイオン交換水2000部に投入し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーにて回転数を3000回転/分で5分間撹拌を行い、樹脂粒子の分散液を得た。上記分散液を撹拌しながら、結晶性樹脂13の融解開始温度[Tms(℃)]よりも5℃低い温度である63℃に再加熱し、2.0時間保持した。その後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間攪拌し、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した後にろ過により固形分を回収し、これを40℃の減圧乾燥機で1日間乾燥して、トナー粒子18を得た。
(結着樹脂分散液の作製)
・スチレン 285.0部
・アクリル酸ブチル 95.0部
・アクリル酸 8.0部
・ドデシルメルカプタン 4.0部
前記成分を予め混合して溶解し溶液(a)を調製した。一方、非イオン性界面活性剤(商品名:ノボニール、三洋化成社製)7部及びアニオン性界面活性剤(商品名:ネオゲンR、第1工業製薬社製)10部をイオン交換水520部に溶解し溶液(b)を調製した。
溶液(a)及び(b)をフラスコに投入し、分散させることにより乳化させ10分間ゆっくりと混合した。更に、これに過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を添加し、窒素置換を行った。その後、フラスコを撹拌しながらオイルバスで内容物が90℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却して、結着樹脂分散液を得た。
該結着樹脂分散液の一部を抜き取り、洗浄・乾燥し、得られた結着樹脂の中点ガラス転移温度Tg(℃)を測定したところ、55℃であった。
(着色剤分散液の作製)
・ピグメントブルー15:3 70.0部
・アニオン界面活性剤(商品名:ネオゲン、第1工業社製) 3.0部
・イオン交換水 400.0部
前記成分を混合して溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散させ、着色剤分散液を得た。
(離型剤分散液の作製)
・パラフィンワックス(HNP−51:日本精鑞製 融点74℃) 100.0部・アニオン界面活性剤(商品名:パイオニンA−45−D、竹本油脂社製) 2.0部・イオン交換水 500.0部
前記成分を混合して溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)を用いて分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子(パラフィンワックス)を分散させてなる離型剤分散液を得た。
(結晶性樹脂13分散液の作製)
前記結晶性ポリエステル13: 200部を蒸留水800部中に入れ、70℃に加熱後、アンモニアにてpH9.0に調整し、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK)0.4部(有効成分として)を加え、70℃に加熱しながら、ホモジナイザー(IKAジャパン社製、ウルトラタラクスT50)にて8000rpmで7分間分散
し、結晶性樹脂13分散液を得た。
(樹脂粒子の製造例)
・結着樹脂分散液 300.0部
・着色剤分散液 50.0部
・離型剤分散液 60.0部
・結晶性樹脂13分散液 60.0部
・カチオン性界面活性剤(商品名:サニゾールB50、花王社製) 3.0部
・イオン交換水 500.0部
前記成分を丸底ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(商品名:ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合分散し、混合液を調製した後、加熱用オイルバスで50℃まで撹拌しながら加熱し、50℃で30分保持して凝集粒子を形成した。次に、該凝集粒子分散液にアニオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ネオゲンSC、第1工業社製)6部を追加して55℃まで加熱した。さらに水酸化ナトリウムを適宜添加することにより、系内のpHを4.0以下に保ち、3時間そのまま保持して凝集粒子を融合させた。その後該凝集粒子分散液を20℃まで冷却した。
その後、上記分散液を撹拌しながら、結晶性樹脂13の融解開始温度[Tms(℃)]よりも5℃低い温度である63℃に再加熱し、2.0時間保持した。その後、攪拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、濾過した後にイオン交換水で充分洗浄し、これを真空乾燥機で乾燥させトナー粒子22を得た。
シリカ微粉体100部を、10部のヘキサメチルジシラザンで処理し、さらに10部のシリコーンオイルで処理して、一次粒子の平均粒径12nm、BET比表面積が120m2/gの疎水性シリカ微粉体を調製した。次いで、上記トナー粒子1乃至22を分級した後、各100.0部を量り取り、該疎水性シリカ微粉体を各1.0部加え、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)を用いて混合し、トナー1乃至22を得た。
実施例1乃至16及び比較例1乃至6で得られた各トナー粒子の製造工程をまとめて表3に示した。また、各トナー粒子について、前述の方法を用いてトナー粒子の物性測定を行った結果をまとめて表4に示した。
って性能評価を行った。
<定着性の評価>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400、キヤノン(株)製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これにトナーを充填し、該カートリッジをシアンステーションに装着した。次いで、受像紙(キヤノン(株)製オフィスプランナー 64g/m2)上に、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナー載り量:0.6mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400、キヤノン(株)製)から取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードが調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿下、プロセススピードを200mm/s、定着線圧28.0kgfに設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行う。
本発明において、低温定着性は、低温オフセットが観察されず、且つ、得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦したときに、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる温度を低温側定着開始点とした。低温定着性能の評価基準は以下の通りである。
A:低温側定着開始点が120℃ (低温定着性能が特に優れている)
B:低温側定着開始点が125℃ (低温定着性能が良好である)
C:低温側定着開始点が130℃ (低温定着性能が問題ないレベルである)
D:低温側定着開始点が135℃ (低温定着性能がやや劣る)
E:低温側定着開始点が140℃ (低温定着性能が劣る)
A:定着可能な定着線圧が12.0kgf以下(低圧時の定着性能が特に優れている)
B:定着可能な定着線圧が16.0kgf(低圧時の定着性能が良好である)
C:定着可能な定着線圧が20.0kgf(低圧時の定着性能が問題ないレベルである)D:定着可能な定着線圧が24.0kgf(低圧時の定着性能がやや劣る)
E:定着可能な定着線圧が28.0kgf(低圧時の定着性能が劣る)
各トナーを50℃環境下で30日間静置した。その後、各トナーに関して、前述の方法に従って、トナーの凝集度及びトナー中の結晶性樹脂の吸熱量維持率(%)を測定した。また、市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400、キヤノン(株)製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これに上記した50℃環境下で30日間静置したトナーを50g充填した。該カートリッジをプリンターのシアンステーションに装着し、常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙(キヤノン(株)製オフィスプランナー 64g/m2)を用いて、印字率2%チャートを5000枚連続して画出しし、得られた画質について、トナーの流動性低下に伴う融着及び画像スジの起こりにくさをトナーの耐久性能として評価した。
A:現像ローラ上にも、ハーフトーン部の画像上にも現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。実用上全く問題のないレベル。 (耐久性が特に優れている)
B:現像ローラの両端に周方向の細いスジが1乃至5本あるものの、ハーフトーン部の画
像上に現像スジと見られる排紙方向の縦スジは見られない。実用上全く問題のないレベル。 (耐久性が優れている)
C:現像ローラの両端に周方向の細いスジが数本あり、ハーフトーン部の画像上にも細かい現像スジが数本見られる。しかし、画像処理で消せるレベルでの実用上問題のないレベル。 (耐久性が良好である)
D:現像ローラの両端に周方向の細いスジが5本以上あり、ハーフトーン部の画像上にも、画像処理で消しても僅かに確認できる細かい現像スジが5本以上見られる。(耐久性がCよりも劣る)
E:現像ローラ上とハーフトーン部の画像上に多数本の現像スジが見られ、画像処理でも消せない。(耐久性がDよりも劣る)
トナー1乃至8、17乃至22について、高湿環境下における現像性能を評価した。
上記トナーを高湿下(温度30℃、湿度80%)環境で1日間静置した。その後、各トナーに関して、上記した現像性評価を高湿下(温度30℃、湿度80%)で行うことで、高湿環境下における画質の評価を行った。結果を表5に示した。
なお、実施例3〜6、実施例13及び実施例14をそれぞれ、参考例3〜6、参考例13及び参考例14とする。
一方、比較例において、結晶性樹脂の結晶化度の向上と、結着樹脂と結晶性樹脂の構造
制御が充分でない場合には、著しく現像性能に劣ってしまったり、保存環境によってはさらなる結晶化度の低下や流動性の低下が生じてしまったりした。
Claims (4)
- スチレンアクリル系樹脂を主成分とする結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子の製造方法であって、
該結晶性ポリエステルは、重量平均分子量が6500以上50000以下であり、
以下のi)またはii)の方法によって樹脂粒子を製造した後に、該樹脂粒子を水系媒体中において、
該結着樹脂の中間点ガラス転移温度をTg(℃)、該結晶性ポリエステルの融解開始温度をTms(℃)としたとき、
Tg(℃)以上Tms(℃)以下
の条件を満たす温度で2.0時間以上加熱保持することにより、下記式により求められる吸熱量維持率が85%以上であるトナー粒子を得ることを特徴とするトナー粒子の製造方法。
吸熱量維持率(%)=100×(Q2/Q1)×(100/Cw)
[Q1(J/g):結晶性ポリエステル単体の吸熱量
Q2(J/g):トナー粒子中の結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピークの吸熱量
Cw(重量%):トナー粒子製造時の結晶性ポリエステルの内添量から換算されるトナー中の結晶性ポリエステル量]
i)重合性単量体、着色剤及び結晶性ポリエステルを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合して樹脂粒子を製造する。
ii)有機溶媒に、結着樹脂、着色剤及び結晶性ポリエステルを溶解又は分散して樹脂溶液を調製し、該樹脂溶液を水系媒体中に分散させ、造粒し、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去して樹脂粒子を製造する。 - 該結晶性ポリエステルが、脂肪族ジオールと脂肪族カルボン酸とを主とする成分の縮合物であることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
- 該結晶性ポリエステルの酸価が、0.1mgKOH/g以上、50.0mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
- 該結晶性ポリエステルの融解開始温度が、50℃以上、72℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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