JP6276608B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
現在、電子写真用トナーには省エネルギー化の観点から、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性の両立が望まれている。この課題を解決するため、非晶質ポリエステルに結晶性ポリエステルを含有させることで定着温度の低下と耐熱保存性の両立を達成する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では低温定着性と耐熱保存性については良好な結果が得られるものの、トナー製造工程において結晶性ポリエステルが非晶ポリエステルに相溶してしまい、トナーの耐湿熱保存性及び耐久性が低くなり、複写機・プリンターの設計に制限がある。さらにトナーとしてのコストが高いという問題があった。
これらの問題を解決すべく、ポリエステルよりも比較的安価なスチレン−アクリル系樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を含有させる技術が提案されている(特許文献2)。スチレン−アクリル系樹脂を用いることで、結晶性樹脂と相溶せず明確に境界を有する構造に制御することで耐久性は向上している。しかしながら、結晶性ポリエステルとスチレン‐アクリル樹脂は相溶性が悪いため、十分な低温定着性が得られず、印刷画像の光沢についても不十分なものであった。
特開2006‐091882号公報 特開2013‐080112号公報
本発明は、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性の両立ができ、かつトナー耐久性、光沢に優れた安価なトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性を両立したトナーの製造方法を開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、着色剤と結着樹脂を含有するトナーの製造法であって、前記結着樹脂が、結晶性樹脂(A)とエステル基を有するビニル樹脂(B)を含有するトナーの製造方法である。
本発明のトナー製造方法は、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性を両立し、トナー耐久性、光沢に優れかつ低価格なトナーを製造可能である。
本発明における結晶性樹脂とは、融解熱の吸熱ピーク温度(以下Taと略記する)が、示差走査熱量測定(DSC)において明確な吸熱ピークを有する樹脂を意味する。なお、Taは以下の方法で測定することができる。
<Taの測定方法>
示差走査熱量計{例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]}を用いて測定する。
Taの測定に供する試料は、前処理として、150℃で溶融した後、150℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される吸熱ピーク温度をTa’とする。複数ある場合は最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。最後に試料を(Ta’−15)℃で6時間保管した後、(Ta’−10)℃で6時間保管する。
次いで、前記試料を、DSCにより降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速
度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して同様のグラフを描き、吸熱ピークの最大温度をTaとする。
本発明における結晶性樹脂(A)としては、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)、結晶性ポリアミド樹脂(A4)、結晶性ビニル樹脂(A5)、結晶性エポキシ樹脂(A6)及び結晶性ポリエーテル樹脂(A7)等が挙げられる。
(A)は単独でも二種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)としては、ジオール(1)とジカルボン酸(2)を構成単位とするものが挙げられる。
ジオール(1)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);数平均分子量(以下Mnと略記する)=106〜10,000のアルキレンエーテルグリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);Mn=100〜10,000の前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物(付加モル数2〜100)[例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)10モル付加物等];炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等]付加物(付加モル数2〜100)(例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);重量平均分子量(以下Mwと略記する)=100〜5,000のポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);Mw=1,000〜20,000のポリブタジエンジオール等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物であり、更に好ましいのはビスフェノール類のAO付加物、及びビスフェノール類のAO付加物とアルキレングリコールとの混合物である。
ジカルボン酸(2)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えばダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えばアルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、アルケンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましいのは芳香族ジカルボン酸である。
(A1)は、耐熱保存安定性の観点から、ジオール(1)及びジカルボン酸(2)の構成単位としての合計炭素数が10以上のものが好ましく、更に好ましくは12以上、特に好ましくは14以上であり、トナーの低温定着性の観点から、前記合計炭素数が52以下のものが好ましく、更に好ましくは45以下、特に好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)としては、前記ジオール(1)及び/又はジアミン(3)とジイソシアネート(4)を構成単位とするもの(A2−1)、並びに前記結晶性ポリエステル樹脂(A1)と、前記ジオール(1)及び/又はジアミン(3)と、ジイソシアネート(4)を構成単位とするもの(A2−2)等が挙げられる。
ジアミン(3)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−、2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネート(4)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
ジイソシアネート(4)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)は、前記ジオール(1)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(1’)を構成単位としてもよい。(A2)がジオール(1’)を構成単位とすることにより、樹脂粒子の帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
カルボン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオール(1’)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
ジオール(1’)のうち、樹脂粒子の帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール(1’)及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(1’)である。
結晶性ポリウレア樹脂(A3)としては、前記ジアミン(3)とジイソシアネート(4)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリアミド樹脂(A4)としては、前記ジカルボン酸(2)とジアミン(3)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂(A5)としては、重合性二重結合を有する単量体を単独重合又は共重合した重合体である。重合性二重結合を有する単量体としては、以下の(5)〜(13)が挙げられる。
(5)重合性二重結合を有する炭化水素:
(5−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
(5−1−1)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);炭素数4〜30のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(5−1−2)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
(5−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
(7)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(1)〜(3)で表される化合物;及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
O−(RO)SO3

CH2=CHCH2OCH2CHCH2O−Ar−R (1)



CH=CH−CH3

−Ar−O−(RO)SO3H (2)



CH2COOR

HOSO2CHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (3)

式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、ROが複数ある場合、1種でも2種以上でもよく、2種以上を併用した場合は、結合形式はランダムでもブロックでもよい;R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基;m及びnは、それぞれ独立に1〜50の数;Arはベンゼン環;Rは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を表す。
(8)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
(9)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
(10)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
(10−1)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(10−2)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(10−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(10−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
(11)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(12)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
(13)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
(13−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(13−2)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(13−3)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(13−4)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
結晶性エポキシ樹脂(A6)としては、ポリエポキシド(14)の開環重合物、ポリエポキシド(14)と活性水素含有化合物[水、前記ジオール(1)、ジカルボン酸(2)、ジアミン(3)等]との重付加物等が挙げられる。
ポリエポキシド(14)としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば特に限定されない。ポリエポキシド(14)のうち好ましいのは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(14)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、更に好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造が密になり硬化物の耐水性、耐薬品性及び機械的強度等の物性が向上し、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
ポリエポキシド(14)としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物及び脂肪族系ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン並びにアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。更に、前記芳香族系として、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
ポリエポキシド(14)のうち好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。ポリエポキシドは、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエーテル樹脂(A7)としては、結晶性ポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、公知のいずれの方法でもよい。
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを、通常のポリオキシアルキレンポリオールの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792 に記載)や、安価なラセミ体のポリオキシアルキレンポリオールを、立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法が挙げられる。
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(特開平11−12353号公報に記載)やバイメタル−μ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(特表2001−521957号公報に記載)等が挙げられる。
また、非常にアイソタクティシティーの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567 に記載)等が挙げられる。
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを用い、その開環重合時に、開始
剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常ポリオキシアルキレンポリオールは結晶性を有する。
上記グリコールとしては、前記ジオール(1)等が挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸(2)等が挙げられる
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造に用いる原料としては、PO、1−クロ
ロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、BO、メチルグリシジルエーテル、1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド、3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、1,2−へプチレンオキサイド、スチレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの原料は、単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、PO、BO、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドである。
結晶性樹脂(A)のうち、低温定着性の観点から好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)及び結晶性ポリアミド樹脂(A4)であり、更に好ましいのは、エステル基、ウレタン基、ウレア基及びアミド基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する結晶性樹脂であり、特に好ましいのは、エステル基を有する結晶性樹脂である。
結晶性樹脂(A)がエステル基を有する場合の、(A)の重量に基づく(A)のエステル基濃度は、耐熱保存安定性及び耐湿熱保存安定性の観点から、好ましくは5〜75重量%であり、更に好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは15〜65重量%、最も好ましくは20〜60重量%である。
なお、結晶性樹脂(A)の(A)の重量に基づくエステル基濃度は、(A)中のエステル基[−C(=O)O−]の数から算出することができる。
結晶性樹脂(A)のTaは、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは50〜100℃であり、更に好ましくは55〜95℃、特に好ましくは60〜90℃である。
なお、(A)としては、Taの異なる2種以上の(A)を含有していてもよい。
結晶性樹脂(A)の酸価は、耐熱保存性及び耐湿熱保存性の観点から好ましくは30KOHmg/g以下であり、更に好ましくは25mg/g、特に好ましくは20mg/g以下である。
結晶性樹脂(A)のMwは、トナーの低温定着性と耐熱保存性及び耐湿熱保存性との両立の観点から、好ましくは3,000〜50,000であり、更に好ましくは3,500〜35,000、特に好ましくは4,000〜25,000である。
結晶性樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布は、トナーの低温定着性と耐熱保存性及び耐湿熱保存性の両立の観点から、分子量3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましく、分子量3,500〜35,000の領域に少なくとも1つのピークを有することが更に好ましく、分子量4,000〜2,5000の領域に少なくとも1つのピークを有することが特に好ましい。
本発明における樹脂のMn、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、
18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、
1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
結晶性樹脂(A)は、低温定着性の観点から、[条件2]、[条件3]を同時に満たすことが好ましく、[条件2−1]、[条件3−1]を同時に満たすことが更に好ましい。
[条件2]
G’(Ta+10)≦1,000[Pa・s]
[条件3]
1×10≦G’(Ta−10)≦1×10[Pa・s]
[条件2−1]
G’(Ta+10)≦800[Pa・s]
[条件3−1]
1×10≦G’(Ta−10)≦1×10[Pa・s]
{G’(Ta+10):(Ta+10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]、G’(Ta−10):(Ta−10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]}
本発明における貯蔵弾性率G’は以下の条件で測定することができる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :8mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :1%
昇温速度:3℃/min
結晶性樹脂(A)の溶解性パラメーター(以下SP値と略記する)は、ビニル樹脂との相溶性の観点から好ましくは9.0〜12.0(cal/cm1/2、であり、更に好ましくは9.5〜11.5(cal/cm1/2、特に好ましくは9.5〜11.0(cal/cm1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
結晶性樹脂(A)は、低温定着性及び光沢の観点から、[条件4]を満たすことが好ましく、[条件4−1]を満たすことが更に好ましい。
[条件4]
3≦Log(G’(Ta−10))−Log(G’(Ta+10))≦8
[条件4−1]
3≦Log(G’(Ta−10))−Log(G’(Ta+10))≦7
[条件2]、[条件2−1]、[条件3]、[条件3−1]、[条件4]、[条件4−1]を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)中の結晶性成分のSP値を調整することや重量平均分子量を調整すること等により得ることができる。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、低分子量領域にピークを有する結晶性部の比率を増加させると、G’(Ta+10)の値は小さくなる。また、(A)のSP値を低下させることでG’(Ta+10)の値は小さくなる。
本発明におけるエステル基を有するビニル樹脂(B)としては、(B)の前駆体(B0)を構成単位とするビニル樹脂が挙げられる。
(B0)としては、前記の結晶性ビニル樹脂(A5)の構成単量体として例示した 「(13−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル」を構成単量体とするビニル樹脂が挙げられる。
「(13−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル」のうち、低温定着性の観点から好ましいのは、(メタ)アクリル酸エステルである。
エステル基を有するビニル樹脂の前駆体(B0)として、「(13−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜16のエステル」に加え、前記の結晶性ビニル樹脂(A5)の構成単量体として例示した(5)〜(13)から任意に選ばれる単量体を使用してもよい。
これらのうち、結晶性樹脂(A)との相溶性の観点から好ましいのは、「(6)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」、「(5−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素」、及びこれらの併用であり、更に好ましいのは、炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸、スチレン、スチレンのハイドロカルビル置換体、及びこれらの併用である。
(B)は単独でも二種以上を併用してもよい。
エステル基を有するビニル樹脂(B)のMwは、低温定着性、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び耐久性の観点から、好ましくは3,000〜200万であり、更に好ましくは3,500〜160万、特に好ましくは4,000〜120万である。
本発明におけるエステル基を有するビニル樹脂(B)はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、トナーの低温定着性の観点から分子量が3,000〜60,000の領域のみに少なくとも1つのピークを有していてもよい。
また、エステル基を有するビニル樹脂(B)は単独でも二種以上を併用してもよく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、低温定着性と耐熱保存性、耐湿熱保存性、耐ホットオフセット性及び耐久性の両立の観点から、分子量が3,000〜60,000の領域と、分子量が10万〜200万の領域に、それぞれ少なくとも1つのピークを有するものであることが好ましい。
更に好ましいのは3,500〜40,000の領域と、12万〜160万の領域に、それぞれ少なくとも1つのピークを有するものであり、特に好ましいのは、4,000〜20,000の領域と、14万〜120万の領域に、それぞれ少なくとも1つのピークを有するものである。
エステル基を有するビニル樹脂(B)を構成する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、分子量が3,000〜60,000の領域で少なくとも1つのピークを有するビニル樹脂(LB)と、分子量が10万〜200万の領域で少なくとも1つのピークを有するビニル樹脂(HB)の混合物であってもよい。
(B)が(LB)と(HB)の混合物である場合、(LB)と(HB)を一括で合成してもよいし、(LB)と(HB)をそれぞれ合成して混合してもよい。
また、(LB)と(HB)を混合する方法としては、油性液(C)に溶解させる方法、粉体混合、溶融混練及び溶解混合等が挙げられる。
(LB)のMwは、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは3,000〜60,000であり、更に好ましくは3,500〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
(HB)のMwは、トナーの耐熱保存性、耐湿熱保存性、耐ホットオフセット性及び耐久性向上の観点から、好ましくは10万〜200万であり、更に好ましくは12万〜160万、特に好ましくは14万〜120万である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)の酸価は、トナーの耐熱保存性、耐湿熱保存性の観点から好ましくは30KOHmg/g以下であり、更に好ましくは25mg/g、特に好ましくは20mg/gである。
エステル基を有するビニル樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)はトナーの低温定着性の観点から好ましくは40〜110℃であり、更に好ましくは40〜100℃、特に好ましくは40〜90℃である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)の、(B)の重量に基づくエステル基濃度は、低温定着性の観点から、好ましくは5〜60重量%であり、更に好ましくは10〜55重量%、特に好ましくは15〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。
なお、(B)の(B)の重量に基づくエステル基濃度は、(B)中のエステル基[−C(=O)O−]の数から算出することができる。
結晶性樹脂(A)の(A)の重量に基づくエステル基濃度と、エステル基を有するビニル樹脂(B)の(B)の重量に基づくエステル基濃度との差の絶対値は、低温定着性の観点から好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは35重量%以下である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)のSP値は、低温定着性の観点から好ましくは9.5〜11.5(cal/cm1/2、であり、更に好ましくは9.5〜11.0(cal/cm1/2、特に好ましくは10.0〜11.0(cal/cm1/2である。
結晶性樹脂(A)とエステル基を有するビニル樹脂(B)のSP値の差の絶対値は、低温定着性の観点から好ましくは1.8(cal/cm1/2以下であり、更に好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.4以下である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)の120℃での貯蔵弾性率G’(120)は、低温定着性の観点から好ましくは1,000〜1×10[Pa・s]であり、更に好ましくは3,000〜5×10[Pa・s]、特に好ましくは5,000〜1×10[Pa・s]である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)は、Tg又はMwが異なる2種以上の(B)を含有していてもよい。
本発明における油性液(C)は、結晶性樹脂(A)とエステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)とを含む。
(C)には、(A)、(B0)以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動化剤、有機溶剤、樹脂等を含有させることができる。
本発明における着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができるが、耐久性の観点から、黒色着色剤、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有しているのが好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、磁性粉(酸化鉄亜鉛及び酸化鉄ニッケル等)等が挙げられる。
青色着色剤としては、銅フタロシアニン顔料及びアントラキノン顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1及び60等が挙げられる。
黄色着色剤としては、モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、及び縮合多環顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
赤色着色剤としては、モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、及び縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
離型剤としては、天然ワックス(蜜ろう、カルナバワックス及びモンタンワックス等)、石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等)、合成ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及び酸化ポリプロピレンワックス等)、合成エステルワックス(炭素数10〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールから合成される脂肪酸エステル等)等が挙げられる。
離型剤のTaは、低温定着性及び光沢の観点から好ましくは40〜90℃であり、更に好ましくは45〜85℃、特に好ましくは50〜80℃である。
離型剤の100℃における動粘度は、低温定着性及び光沢の観点から好ましくは3〜20[mm/s]であり、更に好ましくは4〜19[mm/s]、特に好ましくは5〜18[mm/s]である。
荷電制御剤としては、ニグロシン化合物、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ化合物、銅フタロシアニン化合物、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
荷電制御剤は、トナー内部に分散していてもよく、トナー表面を被覆していてもよく、トナー内部に分散しかつトナー表面を被覆していてもよい。
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂等が挙げられ、これらの流動化剤からなる群より選ばれた少なくとも2種類を含有しているのが好ましい。
流動化剤は球形、不定形いずれでもよいが、トナーの流動性の観点から球形が好ましい。流動化剤の一次粒子の体積平均粒径は、好ましくは5〜300nmであり、粒径の異なる2種類以上を併用してもよい。具体的には、一次粒子の体積平均粒径が10〜100nmの流動化剤1と、一次粒子の体積平均粒径が70〜200nmの流動化剤2とを併用したものであるのが好ましい。
有機溶剤としては、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)及びこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
有機溶剤のうち好ましいのは、脂肪族炭化水素溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、及びケトン溶剤とアルコール溶剤、更に好ましいのは、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン及びメチルエチルケトンである、特に好ましいのは酢酸エチルである。
樹脂としては、例えば、エステル基を有するビニル樹脂(B)、非晶質ポリエステル、非晶質ポリアミド、非晶質ポリエステルアミド、非晶質ポリウレタン、非晶質ポリエステルウレタン、結晶性樹脂(A)とエステル基を有するビニル樹脂(B)が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂、非晶質ポリエステルとエステル基を有するビニル樹脂(B)が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が挙げられる。
油性液(C)中の結晶性樹脂(A)の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは5〜30重量%であり、更に好ましくは5〜25重量%である。
(C)中の、エステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは30〜95重量%であり、更に好ましくは40〜90重量%である。
(C)中の着色剤の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは0.1〜60重量%であり、更に好ましくは0.2〜55重量%である。
(C)中の離型剤の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
(C)中の荷電制御剤の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
(C)中の流動化剤の含有率は、(C)中の溶剤を除いた重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0.2〜5.0重量%である。
(C)中の有機溶剤の含有率は、(C)の重量に基づいて、好ましくは0〜80重量%であり、更に好ましくは0〜70重量%である。
(C)中の、(B)を含む樹脂の含有率は、(C)の重量に基づいて、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0〜25重量%である。
本発明における、油性液(C)を水系媒体(W)中に分散させる方法としては特に制限はなく、例えば、分散機や超音波照射で分散する方法が挙げられる。
分散機としては、一般に乳化機や分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えばバッチ式乳化機{「ホモジナイザー」(IKA社製)、「ポリトロン」(キネマティカ社製)及び「TKオートホモミキサー」[プライミクス(株)製]等}、連続式乳化機{「エバラマイルダー」[(株)荏原製作所製]、「TKフィルミックス」、「TKパイプラインホモミキサー」[特殊機化工業(株)製]、「コロイドミル」[神鋼パンテック(株)製]、「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」[サンテック(株)製]、「キャピトロン」(ユーロテック社製)及び「ファインフローミル」[太平洋機工(株)製]等}、高圧乳化機{「マイクロフルイダイザー」[みずほ工業(株)製]、「ナノマイザー」[エス・ジーエンジニアリング(株)製]及び「APVガウリン」(ガウリン社製)等}、膜乳化機{「膜乳化機」[冷化工業(株)製]等}、振動式乳化機{「バイブロミキサー」[冷化工業(株)製]等}、超音波乳化機{「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等}等が挙げられる。
油性液(C)を水系媒体(W)中に分散させた後、エステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)から(B)を生成させてトナーを得る。
本発明における水系媒体(W)としては、水を必須構成成分とする液体であれば制限なく使用でき、水、溶剤の水溶液、界面活性剤の水溶液、合成高分子分散剤の水溶液及びこれらの混合物等が用いることができる。
溶剤としては、例えば、上記の有機溶剤のうちエステル又はエステルエーテル溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、スルホキシド溶剤、複素環式化合物溶剤及びこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。溶剤を含有する場合、溶剤の含有率は、水性媒体の重量に基づいて、0.1〜80重量%が好ましい。更に好ましく1〜70重量%、特に好ましくは5〜30重量%である
エステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)から(B)を生成させる方法としては、前記の(B0)を、重合開始剤(E)の存在下に重合する方法が挙げられる。
(E)は、油性液(C)を調整する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体(W)中に分散させる直前に油性液(C)に混合してもよい。また、分散中や分散完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて(B0)や有機溶剤等に溶解した状態で加えることもできる。
本発明における、重合開始剤(E)としては、熱重合開始剤(E1)、光重合開始剤(E2)、レドックス開始剤(E3)等が挙げられる。
(E)は2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤(E1)としては、アゾ系重合開始剤(E1−1)及び有機過酸化物系重合開始剤(E1−2)等が挙げられる。
アゾ系重合開始剤(E1−1)としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル及びアゾビスシアノ吉草酸等が挙げられる。
有機過酸化物系重合開始剤(E1−2)としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〕、アセチルアセトンパーオキサイド、α−クミルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及びメチルエチルケトンパーオキサイドである。
光重合開始剤(E2)としては、アセトフェノン誘導体(E2−1)、アシルフォスフィンオキサイド誘導体(E2−2)及びチタノセン誘導体(E2−3)等が挙げられる。
アセトフェノン誘導体(E2−1)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ジメチルベンジルケタール、メチルベンゾイルフォーメート、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン]等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド誘導体(E2−2)としては、例えば、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
チタノセン誘導体(E2−3)としては、例えば、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
(E2−1)〜(E2−3)のうち、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンがよく用いられ、反応性の観点から2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノンが好ましい。
レドックス開始剤(E3)としては、酸化剤(過硫酸塩、過酸化水素及びヒドロペルオキシド等の過酸化物)、無機還元剤(Fe2+及びNaHSO等)及び有機還元剤(アルコール及びポリアミン等)を任意に組み合わたものが挙げられる。
これらのうち、反応性の観点から好ましいのは、臭素酸カリウム及び亜硫酸水素ナトリウムである。
エステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)から(B)を生成させる工程の温度は、好ましくは0〜50℃であり、更に好ましくは0〜40℃である。
油性液(C)中に有機溶剤が含まれている場合、エステル基を有するビニル樹脂(B)の前駆体(B0)から(B)を生成させる工程の後、有機溶剤を除去することが好ましい。
有機溶剤を除去する方法としては、減圧により除去する方法が挙げられる。
本発明の製造方法で得られたトナー中の揮発性有機化合物(以下VOCと略記する)の含有率は、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び耐久性の観点から、トナーの重量に基づいて好ましくは5,000ppm以下であり、更に好ましくは3,000ppm以下、特に好ましくは1,000ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。
トナー中のVOCとしては、前記の有機溶剤等が挙げられる。
なお、トナー中のVOCの含有率は、ガスクロマトグラフフィーで測定することができる。
130℃で一定量のトナーを一定時間加熱し、発生した混合VOCのガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーでトナー中のVOCの含有率を測定する。
測定する条件の一例を以下に示す。
機種:「GC2010」[(株)島津製作所製]
カラム:「DB−5」(5重量%フェニルメチルポリシロキサン、内径0.25mm、
長さ30m)[(株)島津製作所製]
流速:40.5ml/min
検出器温度:250℃
注入量:1μl
本発明の製造方法で得られたトナー中のモノマー含有率は、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び耐久性の観点から、トナーの重量に基づいて、好ましくは5,000ppm以下であり、更に好ましくは3,000ppm以下、特に好ましくは1,000ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。
なお、トナー中のモノマー含有率は、ガスクロマトグラフィーで測定することができ る。
本発明の製造方法で得られたトナー中のスチレンモノマー含有率は、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び耐久性の観点から、トナーの重量に基づいて、好ましくは500ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下、特に好ましくは25ppm以下、最も好ましくは5ppm以下である。
ガスクロマトグラフィーでトナー中のモノマー含有率を測定する際の、測定条件の一例を以下に示す。
機種:「 GC2010」[(株)島津製作所製]
カラム:「DB−5」(5重量%フェニルメチルポリシロキサン、内径0.25mm、
長さ30m)[(株)島津製作所製]
溶離液:ジメチルホルムアミド
流速:40.5ml/min
検出器温度:250℃
注入量:1μl
本発明の製造方法で得られたトナー中のモノマー含有率は、使用するモノマーの種類により変化する。例えば、ビニルモノマーの残存率を低く抑えたい場合、ビニルモノマーの反応性の観点からメタクリル酸メチル、ブチルメタクリレートを使用することができる。
また(B)の重合反応後の熟成工程において、工程温度を反応工程よりも10℃高い温度にすることにより、反応系中の残存モノマーを重合させることでトナー中のモノマー含有率を抑制することができる。
本発明の製造方法で得られたトナーを構成する各成分の含有率は、以下の通りである。
結晶性樹脂(A)の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは5〜30重量%であり、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
エステル基を有するビニル樹脂(B)の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは50〜95重量%であり、更に好ましくは55〜95重量%、特に好ましくは60〜95重量%である。
着色剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0.1〜60重量%であり、更に好ましくは0.2〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜7.5重量%である。
流動化剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0.2〜5.0重量%、特に好ましくは0.3〜4重量%である。
本発明の製造方法で得られたトナーは、耐熱保存性、耐湿熱保存性及び低温定着性の観点から、以下の[条件1]を満たすものであることが好ましく、[条件1−1]を満たすものであることが更に好ましい。
[条件1]
1.1≦(Tg1)/(Tg2)≦3.5
[条件1−1]
1.5≦(Tg1)/(Tg2)≦3.0
(Tg1);トナーの示差走査熱量測定で測定開始温度20℃から測定終了 温度150℃まで毎分10℃、昇温したときに検出されるガラ ス転移温度[℃]
(Tg2);トナーの示差走査熱量測定でTg1測定後、150℃から− 20℃まで毎分10℃で冷却し、−20℃から測定終了温度 150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出されるガラス転 移温度[℃]
本発明におけるガラス転移温度(Tg)は、以下の方法で測定することができる。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(DSC){例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]}を用いて測定する。
ガラス転移温度は、樹脂中の非結晶部に特有の物性であり、融解熱の最大ピーク温度とは区別される。また、前記融解熱の最大ピーク温度(Ta)の測定において、「吸発熱量」と「温度」とのグラフの最大ピーク温度以下でのベースラインの延長線と、最大ピークの立ち上がり部分から最大ピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点に対応する温度をガラス転移温度とする。
測定手順としては、試料4〜6mgを精秤しアルミニウム製パンに封入し、サンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定開始温度20℃から測定終了温度150℃まで毎分10℃、昇温したときに検出されるガラス転移温度を(Tg1)とする。更にTg1測定後、150℃から−20℃まで毎分10℃で冷却し、−20℃から測定終了温度150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出されるガラス転移温度を(Tg2)とする。
本発明の製造方法で得られたトナーの体積平均粒径は、好ましくは1〜15μmであり、更に好ましくは2〜10μm、特に好ましくは3〜8μmである。
なお、トナーの体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
本発明の製造方法で得られたトナーは、必要に応じて、キャリアー粒子[鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等]と混合して、電気的潜像の現像剤として用いることができる。また、キャリアー粒子の替わりに、帯電ブレード等と摩擦させて、電気的潜像を形成させることもでき、電気的潜像は、公知の熱ロール定着方法、熱ベルト定着方法及びフラッシュ定着方法等によって、支持体(紙及びポリエステルフィルム等)に定着される。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[結晶性樹脂(A−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノール 284重量部、アジピン酸650重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで220℃まで昇温した後、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応した。更に同温度で0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら、酸価が0.5以下になるまで反応させた。その後、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸24.6重量部を反応容器に入れ、180℃にて1時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。
<製造例2>[結晶性樹脂(A−2)の合成]
製造例1においてエチレングリコール 284重量部、アジピン酸650重量部を、1、4ブタンジオール254重量部、ドデカン二酸617重量部に置き換えた以外は製造例1と同様にして結晶性樹脂(A−2)を得た。
<製造例3>[結晶性樹脂(A−3)の合成]
製造例1において1、4ブタンジオール254重量部、ドデカン二酸617重量部を、1,12ドデカンジオール408重量部、ドデカン2酸434重量部に置き換えた以外は製造例1と同様にして結晶性樹脂(A−3)を得た。
<比較製造例1>[非晶性樹脂(RA−1)の合成]
製造例1において1、4ブタンジオール254重量部、ドデカン二酸617重量部を、ビスフェノールA・PO2モル付加物 452重量部、テレフタル酸116重量部、イソフタル酸116重両部に置き換えた以外は製造例1と同様にして、非晶性樹脂(RA−1)を得た。(RA−1)は明確なTaを持たないので非晶性樹脂である。
結晶性樹脂(A−1)〜(A−3)、非晶性樹脂(RA−1)の物性値を表1に示す。
Figure 0006276608
<製造例4>[エステル基を有するビニル樹脂(LB−1)の合成]
オートクレーブにキシレン80重量部を仕込み、窒素で置換した後、185℃まで昇温した。次いで、同温度でn−ブチルメタクリレート28重量部、メチルメタアクリレート70重量部、アクリル酸2重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド15重量部およびキシレン35重量部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し、更に同温度で1時間保持して、エステル基を有するビニル樹脂(LB−1)のキシレン溶液を得た。
<製造例5>[エステル基を有するビニル樹脂(HB−1)の合成]
オートクレーブを窒素で置換した後、n−ブチルアクリレート28重量部、メチルメタアクリレート70重量部、アクリル酸2重量部を仕込み、1時間かけて95℃まで昇温した。次に2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン4重量部を仕込み、95℃で4時間塊状重合を行った。キシレン120重量部を1時間かけて滴下した。その後、110℃まで1時間かけて昇温し、同温度で2時間保持した。さらに2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン1.5重量部を仕込み、4時間重合した。その後150℃まで1時間で昇温し、同温度で1時間保持した後、キシレン105.5重量部を加えて希釈し、エステル基を有するビニル樹脂(HB−1)のキシレン溶液を得た。
エステル基を有するビニル樹脂(LB−1)、(HB−1)の物性値を表2に示す。
Figure 0006276608
<実施例1〜5、比較実施例1〜3>[トナー(T−1)〜(T−5)、(RT−1)〜(RT−3)の作製]
結晶性樹脂(A−1)〜(A−3)、スチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸メチルを表3、4に記載の部数秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製 MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌、均一化を行い油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部を添加して水系媒体を調整し、70℃に温調した。油性液に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート4.0重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して8.0時間重合した。
重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル(株)製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−1)〜(T−5)、(RT−1)〜(RT−3)を得た。
<実施例6>[トナー(T−6)の作製]
結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、樹脂(LB−1)を固形分で表3に記載の重量部数になるよう秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製 MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌、均一化を行い油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部を添加して水系媒体を調整し、70℃に温調した。油性液に重合開始剤である2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン4.0重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して8.0時間重合した。
重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、溶剤を除去し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−6)を得た。
<実施例7>[トナー(T−7)の作製]
結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、樹脂(B−1)を固形分で表3に記載の重量部数になるよう秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製 MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌、均一化を行い油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部を添加して水系媒体を調整し、70℃に温調した。油性液に重合開始剤である、t−ブチルパーオキシピバレート4.0重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して8.0時間重合した。
重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、溶剤を除去し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−7)を得た。
<実施例8>[トナー(T−8)の作製]
結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、固形分で表3に記載の重量部数の7割になるよう秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌により均一化を行い、油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部を添加して水系媒体を調整し、70℃に温調した。油性液に重合開始剤である、t−ブチルパーオキシピバレート2.8重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して4.0時間重合した。
さらに、結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、固形分で表3に記載の重量部数の3割になるよう秤量し撹拌により均一化を行い、油性液を得た。油性液に重合開始剤である、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン2.8重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら70℃を保持して4.0時間重合した。
重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、溶剤を除去し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル(株)製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−8)を得た。
<実施例9〜16>[トナー(T−9)〜(T−16)の作製]
実施例1〜8において重合温度70℃を30℃とした以外は同様に行い、本発明のトナー(T−9)〜(T−16)を得た。
<実施例17>[トナー(T−17)の作製]
結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸を表4に記載の重量部数秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製 MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌、均一化を行い油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部添加し水系媒体を調整し、30℃に温調した。油性液に光重合開始剤である2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン5.0重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。撹拌機をプロペラ撹拌羽根に替えて、200rpmで撹拌しながら30℃を保持し、超高圧水銀灯の光を100mJ/cm照射し(i線換算で照度37mW/cm)、8.0時間重合した。重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル(株)製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T17)を得た。
<実施例18>[トナー(T−18)の作製]
実施例17において、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン5.0重量部を、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(-アセチルオキシム)5.0重量部に変更した以外は実施例17と同様に行い、体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T18)を得た。
<実施例19>[トナー(T−19)の作製]
結晶性樹脂(A−2)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸を表4に記載の重量部数秤量し、カーボンブラック[三菱化学(株)製 MA100]6重量部、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]6重量部を添加し撹拌、均一化を行い油性液を得た。また、イオン交換水800重量部にリン酸三カルシウム10.0重量部添加し水系媒体を調整し、30℃に温調した。油性液にレドックス重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(40質量%エチルベンゼン溶液)0.77重量部、メタ重亜硫酸ナトリウム(1重量%水溶液)0.16重量部、硫酸鉄(II)七水和物(1重量%水溶液)0.05重量部を添加し、これを水系媒体に投入、TKオートホモミキサーで10,000rpmにて5分間撹拌し、油性液を水系媒体中に分散させた。その後、プロペラ撹拌羽根に撹拌機を買え、200rpmで撹拌しながら30℃を保持し、8.0時間重合した。重合反応終了後、撹拌を続けながら分散液の温度を20℃まで冷却し、塩酸を投入して分散液のpHを3.5にした。そのまま2.0時間撹拌し、イオン交換水による洗浄を行い、排水の電導度が10μs以下になるまで洗浄を行った。40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られたトナー粒子99重量部とコロイダルシリカ1(日本アエロジル(株)製アエロジルR972)0.5重量部とコロイダルシリカ2(日本アエロジル(株)製アエロジルRY50)0.5重量部とを均一混合して体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−19)を得た。
<実施例20>[トナー(T−20)の作製]
実施例19において、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(40質量%エチルベンゼン溶液)0.77重量部、メタ重亜硫酸ナトリウム(1重質量%水溶液)0.16重量部、硫酸鉄(II)七水和物(1重質量%水溶液)0.05重量部を、0.05M臭素酸カリウム5重量部、0.15M亜硫酸水素ナトリウム5重量部に変更した以外は実施例19と同様に行い、体積平均粒径5μmの本発明のトナー(T−20)を得た。
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)について、上記方法でモノマー含有率、溶剤含有率を測定した。また、以下の方法で低温定着性、光沢、耐熱保存安定性、耐湿熱保存安定性、耐久性を評価、その結果を表3、4に示す。
[1]低温定着性
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)を紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)1MPaの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度を測定した。コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
[2]耐ホットオフセット性
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)を紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる(このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい)。この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)1MPaの条件で通した時のホットオフセットの発生温度を測定した。ホットオフセットの発生温度が低いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。
[3]光沢
140℃で定着した画像を光沢度計(VG−1D)(日本電色社製)を用い、投光角度、受光角度をそれぞれ60°にあわせ、S、S/10の切り替えSWはSにあわせ、0調整及び標準板を用い、標準設定の後試料台に前記画像を置き、光沢を測定した。
光沢の数値が高いほど、光沢に優れることを意味する。
[4]耐熱保存安定性
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)を50℃の雰囲気で1日間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記の基準で耐熱保存安定性を評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生していない
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
×:ブロッキングが発生している
[5]耐湿熱保存安定性
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)を、40℃、相対湿度80%の雰囲気で20時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、以下の基準で耐湿熱保存安定性を評価した。
[評価基準]
○:ブロッキングが発生しない。
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
×:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。
[6]耐久性
トナー(T−1)〜(T−20)、(RT−1)〜(RT−3)を二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
[評価基準]
◎:1万枚コピー後も画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚コピー後でカブリが発生している。
△:6千枚コピー後でカブリが発生している。
×:2千枚コピー後でカブリが発生している。
Figure 0006276608
Figure 0006276608
本発明の製造方法で得られたトナーは、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性の両立ができ、かつトナー耐久性、光沢に優れることから、電子写真トナー、静電記録トナー及び静電印刷トナー等として有用である。

Claims (20)

  1. 着色剤、結晶性樹脂(A)及びエステル基を有するビニル樹脂(B)を含有するトナーの製造方法であって、結晶性樹脂(A)と(B)の前駆体(B0)とを含む油性液(C)を水系媒体(W)中に分散させ、(B0)から(B)を生成させてトナーを得る工程を含むトナーの製造方法であって、(B0)から(B)を生成させる工程の温度が0〜50℃であるトナーの製造方法
  2. エステル基を有するビニル樹脂(B)のエステル基濃度が、(B)の重量に基づいて5〜60重量%である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基及びアミド基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する結晶性樹脂である請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 結晶性樹脂(A)がエステル基を有する結晶性樹脂である請求項3に記載のトナーの製造方法。
  5. 結晶性樹脂(A)の(A)の重量に基づくエステル基濃度(重量%)と、エステル基を有するビニル樹脂(B)の(B)の重量に基づくエステル基濃度(重量%)との差の絶対値が45重量%以下である請求項4に記載のトナーの製造方法。
  6. 結晶性樹脂(A)とエステル基を有するビニル樹脂(B)の溶解度パラメータの差の絶対値が1.8(cal/cm1/2以下である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  7. トナーが、条件1を満たす請求項1〜6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
    [条件1]
    1.1≦(Tg1)/(Tg2)≦3.5
    (Tg1);トナーの示差走査熱量測定で測定開始温度20℃から測定終了温度150℃まで毎分10℃、昇温したときに検出されるガラス転移温度[℃]
    (Tg2);トナーの示差走査熱量測定でTg1測定後、150℃から−20℃まで毎分10℃で冷却し、−20℃から測定終了温度150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出されるガラス転移温度[℃]
  8. エステル基を有するビニル樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、分子量3,000〜30,000の領域と、分子量10万〜50万の領域に、それぞれ少なくとも1つのピークを有する請求項1〜のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  9. エステル基を有するビニル樹脂(B)が、(メタ)アクリル酸エステルを構成単位とするエステル基を有するビニル樹脂である請求項1〜のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  10. エステル基を有するビニル樹脂(B)がスチレン系モノマー及び/又はカルボキシル基含有ビニルモノマーを構成単位とするエステル基を有するビニル樹脂である請求項1〜のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  11. トナー中のモノマー含有率が、トナーの重量に基づいて5,000ppm以下である請求項1〜10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  12. トナー中のスチレンモノマー含有率が、トナーの重量に基づいて500ppm以下である請求項1〜11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  13. トナー中の揮発性有機化合物の含有率が、トナーの重量に基づいて5,000ppm以下である請求項1〜12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  14. エステル基を有するビニル樹脂(B)の120℃での貯蔵弾性率G’(120)が1000〜1×10[Pa・s]である請求項1〜13のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  15. 結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの最大温度(Ta)が50〜100℃である請求項1〜14のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  16. 結晶性樹脂(A)の重量平均分子量が3,000〜50,000である請求項1〜15のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  17. 結晶性樹脂(A)が、以下の条件2及び3を満たす請求項1〜16のいずれかに記載のトナーの製造方法。
    [条件2]
    G’(Ta+10)≦1,000[Pa・s]
    [条件3]
    1×10≦G’(Ta−10)≦1×10[Pa・s]
    {G’(Ta+10):(Ta+10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]、G’(Ta−10):(Ta−10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]、Ta:結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの最大温度
  18. 結晶性樹脂(A)が、条件4を満たす請求項1〜17のいずれかに記載のトナーの製造方法。
    [条件4]
    3≦Log(G’(Ta−10))−Log(G’(Ta+10))≦8
    {G’(Ta+10):(Ta+10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]、G’(Ta−10):(Ta−10)[℃]における(A)の貯蔵弾性率[Pa・s]Ta:結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの最大温度}
  19. 結晶性樹脂(A)の含有率が、トナーの重量に基づいて5〜30重量%である請求項1〜18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  20. 着色剤が、黒色着色剤、青色着色剤、赤色着色剤及び黄色着色剤からなる群より選ばれる1種類以上を含有する着色剤である請求項1〜19のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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