JP3971228B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法における大きな課題の一つである低温定着性の改善策として、従来の非晶質ポリエステルと比較して大幅な改善効果のある結晶性ポリエステルを含有したトナー用結着樹脂が提案されている(特開2001−222138号公報)。
【0003】
しかしながら、結晶性ポリエステルを非晶質ポリエステルと併用する場合は、両者の樹脂の組成が近いために、溶融混練時に、エステル交換反応等が生じて、結晶性ポリエステルの高い結晶性を維持することができず、トナーの保存性が低下しやすい。
【0004】
一方、セバシン酸又はアジピン酸をカルボン酸成分とした結晶性ポリエステルをスチレン−アクリル樹脂と併用したトナー用結着樹脂も知られているが(特開平11−249339号公報)、低温度下の保存性及び低速での定着性が評価されており、さらなる性能向上が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結晶性ポリエステルを結着樹脂として含有し、低温定着性のみならず保存性にも優れた電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結晶性ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂とを主成分とする結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーであって、前記結晶性ポリエステルが、フマル酸を60モル%以上含有したカルボン酸成分と炭素数2〜6の脂肪族ジオールを60モル%以上含有したアルコール成分とを縮重合させて得られる、水酸基価が10〜50mgKOH/gの樹脂であり、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である電子写真用トナーに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、特定量のフマル酸を原料モノマーとして得られる結晶性ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂とを結着樹脂の主成分としている点に特徴を有する。
【0008】
本発明における結晶性ポリエステルは、カルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させ、原料モノマーの種類や、反応条件等を適宜選択して、ポリエステルの結晶性を高めることにより得られる。
【0009】
カルボン酸成分には、フマル酸が60モル%以上含有されている。フマル酸は対称性がよく、かつ二重結合を有しており、他のカルボン酸と比較して分子運動を抑制し、さらに結晶化を高める構造を有している。これにより、フマル酸を主成分とするカルボン酸成分を用いて得られた結晶性ポリエステルは、たとえ末端官能基量が多く軟化点が85〜150℃の樹脂であっても、トナーの保存性を向上させることができる。このような観点から、カルボン酸成分中のフマル酸の含有量は、60モル%以上であり、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
【0010】
フマル酸以外のカルボン酸成分としては、フマル酸以外の炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0011】
フマル酸を含む炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物は、カルボン酸成分中に、70モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましい。
【0012】
他のカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0013】
アルコール成分としては、炭素数2〜6の脂肪族ジオールが好ましい。炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、これらの中では、α,ω−直鎖アルカンジオール好ましく、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
【0014】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、アルコール成分中に、60モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましく、特にその中の1種の脂肪族ジオール、好ましくは1,4−ブタンジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85〜95モル%を占めているのが望ましい。
【0015】
他のアルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等の2価の芳香族アルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0016】
カルボン酸成分とアルコール成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で反応させることにより行うことができる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧、例えば10kPa以下にすることにより、反応を促進させることも、結晶性を高める手段として有効である。
【0017】
なお、本発明において、「結晶性」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3であることをいうが、さらに結晶性の高い樹脂、即ち、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比が、好ましくは0.8〜1.1、より好ましくは0.9〜1.0の樹脂は、本発明の効果がさらに有効に発揮されるため好ましい。
【0018】
本発明における結晶性ポリエステルの軟化点は、85〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましく、95〜130℃が特に好ましい。
【0019】
また、結晶性ポリエステルの酸価は、好ましくは5〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜40mgKOH/gである。
【0020】
結晶性ポリエステルの水酸基価は、低温定着性の観点から10mgKOH/g以上が、保存性の観点から50mgKOH/g以下が、それぞれ好ましい。従って、結晶性ポリエステルの水酸基価は、10〜50mgKOH/gが好ましく、15〜45mgKOH/gがより好ましい。
【0021】
なお、結晶性ポリエステルが2種以上の樹脂からなる場合は、その少なくとも1種、好ましくはそのいずれもが以上に説明した結晶性ポリエステルであるのが望ましい。
【0022】
本発明のトナーには、結晶性ポリエステルとともに、スチレン−アクリル樹脂が、結着樹脂の主成分として含有されている。スチレン−アクリル樹脂は、結晶性ポリエステルと樹脂組成が異なるため、溶融混練時にも結晶性ポリエステルの結晶性を維持でき、結晶性ポリエステルの物性を低下させることなく、それぞれの樹脂の長所を生かした併用が可能となる。
【0023】
本発明において、スチレン−アクリル樹脂は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを含むモノマー混合物を重合させて得られる樹脂が好ましい。
【0024】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン等が挙げられ、これらの中では、スチレンが好ましい。
【0025】
スチレン系モノマーの含有量は、モノマー混合物中、50〜90重量%が好ましく、70〜85重量%がより好ましい。
【0026】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビスグリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらの中では、ガラス転移点の低いモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数4〜20)エステル等のガラス転移点が−100〜0℃のモノマーが好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの含有量は、低温定着性の観点から、モノマー混合物中、15重量%以上、保存性の観点から50重量%以下であるのがそれぞれ好ましい。従って、スチレン−アクリル樹脂のモノマー混合物における(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの含有量は、15〜50重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。
【0028】
さらに、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0029】
なお、保存性の観点から、スチレン−アクリル樹脂のモノマー混合物においては、カルボキシル基及びその無水物基からなる群より選ばれた少なくとも1つの酸基を有するモノマーの含有量が、30重量%以下であるのが好ましく、10重量%以下であるのがより好ましく、かつこのようなモノマー混合物を用いて得られたスチレン−アクリル樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下が好ましく、0〜30mgKOH/gがより好ましい。ここで、無水物基とは、隣接した2個のカルボキシル基から1分子の水が脱水して得られた基をいう。
【0030】
スチレン−アクリル樹脂は、上記モノマーを用い、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の重合方法により製造することができる。
【0031】
スチレン−アクリル樹脂の軟化点は、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜150℃であり、ガラス転移点は、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜75℃である。
【0032】
結晶性ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/スチレン−アクリル樹脂)は、5/95〜50/50が好ましく、10/90〜40/60がより好ましい。
【0033】
また、結晶ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂の総含有量は、結着樹脂中、60〜100重量%が好ましく、90〜100重量%がより好ましい。
【0034】
結着樹脂には、前記結晶性ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂以外の樹脂、例えば、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質ポリエステル成分とスチレン−アクリル樹脂成分が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が含有されていてもよい。
【0035】
なお、ハイブリッド樹脂は、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーから得られたものであっても、さらに2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0036】
本発明のトナーには、さらに、着色剤、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0037】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれにも使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0038】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。
【0039】
本発明のトナーは、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよいが、本発明の効果がより顕著に発揮される観点から、結着樹脂を含む原料を溶融混練する工程を有する製造方法により得られた粉砕トナーが好ましい。
【0040】
本発明のトナーの具体的な製造方法としては、例えば、結晶性ポリエステル及びスチレン−アクリル樹脂を含む結着樹脂、着色剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造する方法が挙げられ、トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましく、トナー表面には、さらに、必要に応じて疎水性シリカ等の流動性向上剤等が外添されていてもよい。
【0041】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0042】
〔融解熱の最大ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を求める。また、非晶質樹脂特有のガラス転移点は、前記測定で最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分から、ピークの頂点まで、最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
【0043】
〔酸価及び水酸基価〕
JIS K0070に従って測定する。ただし、結晶性ポリエステルについては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを溶媒として用いるものとする。
【0044】
結晶性ポリエステル製造例1(樹脂a〜c)
表1に示す原料モノマー及びハイドロキノン2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル(樹脂a〜c)を得た。
【0045】
結晶性ポリエステル製造例2(樹脂d)
表1に示す、BPA−PO以外の原料モノマー及びハイドロキノン2gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに、8.3kPaにて1時間反応させた後、常圧に戻して、BPA−POを添加した。1時間かけて反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル(樹脂d)を得た。
【0046】
【表1】
Figure 0003971228
【0047】
スチレン−アクリル樹脂の製造例(樹脂A〜E)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコにキシレン1000gを入れ、窒素雰囲気下にて125℃で攪拌しつつ、表2に示す原料モノマー及びジクミルパーオキサイド40gの混合物を滴下ロートから、2時間かけて滴下した。さらに125℃で1時間保持後、150℃で1時間還流を行った。反応系内を、200℃、8.0kPaに保持し、2時間かけてキシレンを除去し、スチレン−アクリル樹脂(樹脂A〜E)を得た。
【0048】
【表2】
Figure 0003971228
【0049】
非晶質ポリエステル製造例(樹脂F)
表3に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間かけて反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステル(樹脂F)を得た。
【0050】
非晶質ハイブリッド樹脂製造例(樹脂G)
表3に示すポリエステルの原料モノマー及び酸化ジブチル錫1gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて160℃で攪拌しつつ、表3に示すビニル系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートから1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま2時間反応を熟成させた後、さらに230℃に昇温し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ハイブリッド樹脂(樹脂G)を得た。
【0051】
【表3】
Figure 0003971228
【0052】
実施例1、3〜9、比較例1〜3(実施例5は参考例である)
表4に示す結着樹脂100重量部、荷電制御剤「ボントロン N−04」(オリエント化学工業社製)1重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部及び離型剤「SPRAY 105」(サゾール社製、ポリエチレンワックス)1重量部をヘンシェルミキサーにより混合し、混練部分の全長が1560mm、スクリュー径が42mm、バレル内径が43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。なお、ロール回転速度は200回転/分、ロール内の加熱温度は100℃、混合物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を、冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにより粉砕し分級して、体積平均粒径8.0μmの粉体を得た。
【0053】
得られた粉体100重量部に対し、疎水性シリカ「アエロジルR−972」(アエロジル社製)1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。
【0054】
実施例2
「ボントロン N−04」の代わりに「ボントロン P−51」(オリエント化学工業社製)1重量部を、カーボンブラックの代わりにシアン顔料「ECB−301」(大日精化社製)4重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0055】
試験例1〔低温定着性の評価〕
トナー4重量部に対して、平均粒子径60μmのシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)96重量部を10分間ターブラーミキサーにて混合して現像剤を得た。
【0056】
得られた現像剤を、プリンター「LS−1550」(京セラ(株)製)を改造した装置に実装し、トナーの付着量0.5mg/cm2 になるように調整して、、未定着画像を得た。
【0057】
複写機「AR−505」(シャープ(株)製)の定着機を用い、「AR−505」の装置外部で、A4サイズ(210mm×297mm)にして50枚/分で定着ロールの温度を90℃から240℃へと順次上昇させながら、未定着画像を定着させた。
【0058】
500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、各温度における定着画像を5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。定着試験に用いた紙はシャープ社製の厚紙「CopyBond SF−70NA」(75g/m2 )である。結果を表4に示す。
【0059】
〔評価基準〕
◎:最低定着温度が150℃未満である。
○:最低定着温度が150℃以上、160℃未満である。
×:最低定着温度が160℃以上である。
【0060】
試験例2〔保存性の評価〕
トナー4gを温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置し、トナーの凝集の発生の程度を目視にて観察し、以下の評価基準より保存性を評価した。結果を表4に示す。
【0061】
〔評価基準〕
◎:72時間後も凝集は全く認められない。
○:72時間後も凝集はほとんど認められない。
△:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
×:48時間後で既に凝集が認められる。
【0062】
【表4】
Figure 0003971228
【0063】
以上の結果から、実施例のトナーでは、いずれも良好な低温定着性及び保存性が得られていることが分かる。これに対し、結晶性ポリエステルを含有していない比較例1のトナーは、保存性には優れているものの、低温定着性に欠けており、スチレン−アクリル樹脂を含有していない比較例2のトナー及び結晶性ポリエステルを含有していも、フマル酸の含有量が所望の量に達していない比較例3のトナーは、低温定着性には優れているものの、保存性に欠けている。
【0064】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステルを結着樹脂として含有していても、低温定着性のみならず保存性にも優れるという格別の効果を発揮している。

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステルとスチレン−アクリル樹脂とを主成分とする結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーであって、前記結晶性ポリエステルが、フマル酸を60モル%以上含有したカルボン酸成分と炭素数2〜6の脂肪族ジオールを60モル%以上含有したアルコール成分とを縮重合させて得られる、水酸基価が10〜50mgKOH/gの樹脂であり、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である電子写真用トナー。
  2. スチレン−アクリル樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを15〜50重量%含有したモノマー混合物を重合させて得られる樹脂である請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. スチレン−アクリル樹脂が、カルボキシル基及びその無水物基からなる群より選ばれた少なくとも1つの酸基を有するモノマーの含有量が30重量%以下であるモノマー混合物を重合させて得られる樹脂であり、スチレン−アクリル樹脂の酸価が40mgKOH/g以下である請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
  4. 結着樹脂を含む原料を溶融混練する工程を有する製造方法により得られた請求項1〜いずれか記載の電子写真用トナー。
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