JP4776112B2 - 結晶性ポリエステル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される静電潜像の現像に用いられる電子写真用トナーの結着樹脂に用いられ得る結晶性ポリエステル、該結晶性ポリエステルを含有した樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有したトナー用結着樹脂、及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真の大きな課題の一つである低温定着性の向上を目的として、結晶性ポリエステルを結着樹脂としたトナーが検討されているが、耐高温オフセット性の改善が課題とされている。
【0003】
一方、耐高温オフセット性の改善手段として、軟化点の異なる非晶質樹脂の併用が報告されている(特開昭63−225246号公報、特開昭63−225245号公報等)。しかし、結晶性ポリエステルは非常にシャープな軟化点を有するために単に軟化点が高い結晶性ポリエステルを添加しても、耐オフセット性の改善はわずかで、かえって定着性が低下する。
【0004】
また、ゲル分を有する非晶質架橋樹脂の併用使用が耐オフセット性に有効であることも知られているが(特開昭57−208559号公報、特開昭58−11952号公報等)、低温定着性のみならず保存性の低下につながる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温定着性を確保し、かつ耐高温オフセット性、保存性にも優れたトナーに用いられ得る結晶性ポリエステル、該結晶性ポリエステルを含有した樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有したトナー用結着樹脂、及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール不溶分が1〜50重量%であり、軟化点が85〜160℃である結晶性ポリエステル、
(2) 炭素数2〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られる前記(1)記載の結晶性ポリエステル、
(3) 前記(1)又は(2)記載の結晶性ポリエステルを1〜40重量%含有してなる樹脂組成物、
(4) 前記(3)記載の樹脂組成物からなるトナー用結着樹脂、並びに
(5) 前記(4)記載のトナー用結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の結晶性ポリエステルは、極性溶媒である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(以下、HFIPという)に対して特定の不溶分を有している点に特徴を有する。従来より公知の結晶性ポリエステルのHFIP不溶分は、1重量%未満であり、テトラヒドロフラン(以下、THFという)不溶分やクロロホルム不溶分は80重量%以上である。これは従来の結晶性ポリエステルは明確な軟化点を有することが特徴となるため、反応液が高粘度化する以前に重合を停止して得られる低分子量品であることに起因するものと推定される。一般に、ゲル分を有する非晶質架橋樹脂を結着樹脂とする場合には、耐高温オフセット性が改善されるものの、低温定着性が悪化することが知られている。またこれらの樹脂を結晶性ポリエステルと併用しても十分な耐オフセット性を得難く、多量のゲル分を含んだ非晶質樹脂中に結晶性ポリエステルを分散させることも非常に困難であり、低温定着性、保存性が低下する。しかしながら、ゲル分を有する結晶性ポリエステルは、高温でも適度な溶融粘度を有し、かつシャープな軟化点を有することから、耐オフセット性と低温定着性の両立に極めて有効である。
【0008】
結晶性ポリエステルのHFIP不溶分は、耐オフセット性と保存性、定着性との両立の観点から、1〜50重量%であり、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
【0009】
結晶性ポリエステルのHFIP不溶分は、カルボン酸成分とアルコール成分の種類及びその比率、反応時間、減圧度、反応温度等の反応条件を調整して、高分子量体を増加させることにより、調整することができる。
【0010】
本発明の結晶性ポリエステルは、炭素数が2〜6、好ましくは4〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と炭素数が2〜8、好ましくは4〜6、より好ましくは4の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られた樹脂(以下、脂肪族系結晶性ポリエステルともいう)が好ましい。
【0011】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、特にα,ω−直鎖アルカンジオールが好ましい。
【0012】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、アルコール成分中に、80モル%以上、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%含有されているのが望ましく、特にその中の1種の脂肪族ジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85〜95モル%を占めているのが望ましい。
【0013】
アルコール成分には、炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分が含有されていてもよく、該多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等の2価の芳香族アルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0014】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではフマル酸が好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0015】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物は、カルボン酸成分中に、80モル%以上、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%含有されているのが望ましく、特にその中の1種の脂肪族ジカルボン酸化合物が、カルボン酸成分中の80モル%以上、好ましくは90〜100モル%以上を占めているのが望ましい。なかでも、結晶性ポリエステルの保存性の観点から、フマル酸が、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80〜100モル%含有されているのが望ましい。
【0016】
カルボン酸成分には、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸成分が含有されていてもよく、該多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0017】
アルコール成分とカルボン酸成分は、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で反応させること等により縮重合させることができる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。なお、本発明の結晶性ポリエステルを得るにはより高分子量化することが好ましく、反応液粘度が高くなるまで反応させるのが特に好ましい。高分子量化した結晶性ポリエステルを得るためには、アルコール成分とカルボン酸成分を、窒素雰囲気下、160〜230℃で1〜10時間反応させた後、さらに、5kPa以下、より好ましくは3kPa以下にて0.5〜5時間反応させることが好ましい。
【0018】
なお、本発明において、「結晶性」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.9以上1.1未満、好ましくは0.98〜1.05であることをいい、また「非晶質」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が1.1〜4.0、好ましくは1.5〜3.0であることをいう。
【0019】
結晶性ポリエステルの軟化点は、85〜160℃、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜130℃であり、融解熱の最大ピーク温度は、好ましくは77〜150℃、より好ましくは100〜150℃、特に好ましくは110〜130℃である。
【0020】
なお、結晶性ポリエステルが2種以上の樹脂からなる場合は、その少なくとも1種、好ましくはそのいずれもが以上に説明した結晶性ポリエステルであるのが望ましい。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、前記結晶性ポリエステルを、保存性及び低温定着性の観点から、1〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%含有する。
【0022】
本発明の樹脂組成物に含有される非晶質樹脂としては、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質スチレンアクリル樹脂等が挙げられ、これらの中では、定着性や結晶性ポリエステルとの相溶性の観点から、非晶質ポリエステルが好ましい。特に、樹脂組成物中、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含むポリエステル組成物が、50重量%以上、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%が含有されているのが好ましい。
【0023】
非晶質ポリエステルは、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
【0024】
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
【0025】
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
【0026】
非晶質ポリエステルも、結晶性ポリエステルと同様にして製造することができる。
【0027】
非晶質樹脂の軟化点は、好ましくは70〜180℃、より好ましくは100〜160℃、融解熱の最大ピーク温度は、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜75℃、ガラス転移点は、好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜75℃、THF不溶分は、好ましくは0〜50重量%である。なお、ガラス転移点は非晶質樹脂に特有の物性であり、融解熱の最大ピーク温度とは区別される。
【0028】
なお、非晶質樹脂が2種以上の樹脂からなる場合は、その少なくとも1種、好ましくはそのいずれもが以上に説明した物性を有する非晶質樹脂であるのが望ましい。
【0029】
結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、保存性及び低温定着性の観点から、1/99〜40/60が好ましく、10/90〜35/65がより好ましい。
【0030】
本発明の結晶性ポリエステル及び樹脂組成物は、それぞれトナー用結着樹脂として好適に用いられる。
【0031】
本発明のトナー用結着樹脂を含有した電子写真用トナーには、さらに着色剤、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0032】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれにも使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0033】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。
【0034】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよく、またこれらのなかでは、結着樹脂との相溶性の観点から、カルナウバワックス及びポリエチレンワックスが好ましい。
【0035】
ワックスの融点は、結晶性ポリエステルの軟化点(ただし、2種以上の結晶性ポリエステルが含有される場合は、最も低い軟化点を有する結晶性ポリエステルの軟化点)よりも10℃以上、好ましくは10〜50℃低いことが望ましく、その含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましい。
【0036】
本発明のトナーは、混練粉砕法等により得られる粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機、連続式二本ロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。さらに、トナーの表面には、必要に応じて流動性向上剤等を添加してもよい。このようにして得られるトナーの体積平均粒子径は、好ましくは3〜15μmである。
【0037】
本発明のトナーの軟化点は、保存性及び定着性の観点から、90〜150℃が好ましく、120〜145℃がより好ましい。
【0038】
本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用される。
【0039】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0040】
〔融解熱の最大ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を求める。また、ガラス転移点は、前記測定で最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分から、ピークの頂点まで、最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
【0041】
〔HFIP不溶分〕
樹脂試料を微粉砕し、42メッシュ(目開き:355μm)の篩を通過した試料粉体5.0g採取し、濾過助剤ラジオライト(#700)5.0gとともに150ml容の容器に入れ、この容器内にHFIP100gを注入し、ボールミル架台に載せて5時間以上にわたって回転させて充分に試料を溶解させる。
一方、加圧濾過器内に直径7cmの濾紙(No.2)を置き、その上にラジオライトを均一にプレコートし、少量のHFIPを加えて濾紙を濾過器に密着させた後、前記容器内の内容物を濾過器内に流し込む。さらに100mlのHFIPにより充分に洗浄して濾過器に流し込み、容器の器壁に付着物が残留しないようにする。
その後、濾過器の上蓋を閉じ、濾過を行う。濾過は4kg/cm3 以下の加圧下で行い、HFIP流出が止まった後、HFIP100mlで洗浄後、更に加圧濾過を行う。
以上の操作終了後、濾紙及びその上の残渣ならびにラジオライトの全てをアルミホイルに載せて真空乾燥器に入れ、温度85℃、圧力100mmHGで10時間乾燥させ得られた乾固物の重量を測定し、不溶分の重量比率を計算する。
【0042】
〔THF不溶分〕
前記HFIP不溶分の測定方法において、HFIPに代えてTHFを用いる以外は、HFIP不溶分と同様にして、THF不溶分を測定する。
【0043】
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及びハイドロキノン2gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに2.1kPaにて2時間反応させた。得られた樹脂を樹脂aとする。
【0044】
結晶性ポリエステルの製造例2
表1に示す原料モノマー及びハイドロキノン2gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させた。得られた樹脂を樹脂b、cとする。
【0045】
【表1】
【0046】
非晶質樹脂の製造例1
表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下、220℃で8時間かけて反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させた。得られた樹脂を樹脂A、Bとする。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例1〜3、比較例1〜4
表3に示す結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤をヘンシェルミキサーで十分に混合した後、同方向回転二軸押出機(混練部分の全長:1560mm、スクリュー径:42mm、バレル内径:43mm)を用い、ロール回転速度を200回転/分、ロール内の加熱温度を100℃、混合物の供給速度を10kg/時に調整して溶融混練した。混合物の平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を、冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにより粉砕し分級して、体積平均粒子径が8.0μmの粉体を得た。得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジル R−972」(日本アエロジル(株)製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
【0049】
【表3】
【0050】
試験例1〔保存性〕
トナー4gを温度45℃湿度60%の環境下で72時間放置し、トナーの凝集の程度を目視により判断し、以下の評価基準により、保存性を評価した。結果を表4に示す。
【0051】
〔評価基準〕
○:凝集が全く認められない。
△:凝集が殆ど認められない。
×:凝集が認められる。
【0052】
試験例2〔低温定着性〕
トナー4重量部とシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:90μm )96重量部とを10分間ターブラーミキサーにて混合して現像剤を得た。次いで、複写機「AR−505」(シャープ(株)製)を改造した装置に実装し、定着ロールの温度を90℃から240℃へと順次上昇させながら画像出しを行った。定着紙には、「CopyBond SF−70NA」(シャープ社製、75g/m2 )を用いた。
【0053】
各定着温度で得られた画像を、500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準により、低温定着性を評価した。結果を表4に示す。
【0054】
〔評価基準〕
○:最低定着温度が130℃未満
△:最低定着温度が130℃以上、150℃未満
×:最低定着温度が150℃以上
【0055】
試験例3〔耐高温オフセット性〕
試験例2において、定着ロールの温度を90℃から240℃へと順次上昇させた際に、最初にオフセットが確認される温度を目視により判断し、以下の評価基準により、耐高温オフセット性を評価した。結果を表4に示す。
【0056】
〔評価基準〕
○:高温オフセット発生温度が220℃以上
△:高温オフセット発生温度が180℃以上、220℃未満
×:高温オフセット発生温度が180℃未満
【0057】
【表4】
【0058】
以上の結果より、HFIP不溶分を有さない結晶性ポリエステルを用いた比較例1〜3のトナーと対比して、所望のHFIP不溶分を有する結晶性ポリエステルを用いた実施例1〜3のトナーは、耐高温オフセット性をはじめ、低温定着性及び保存性にも優れていることが分かる。また、結晶性ポリエステルを用いていない比較例4のトナーは、耐高温オフセット性、保存性には優れているものの、低温定着性に欠けている。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、低温定着性を確保し、かつ保存性、耐高温オフセット性にも優れたトナーに用いられ得る結晶性ポリエステル、該結晶性ポリエステルを含有した樹脂組成物、及び該結晶性ポリエステル又は樹脂組成物を含有したトナー用結着樹脂、及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナーを提供することができる。
Claims (4)
- 炭素数2〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分とフマル酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られる結晶性ポリエステルであって、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール不溶分が1〜50重量%であり、軟化点が100〜160℃であり、融解熱の最大ピーク温度が100〜150℃である結晶性ポリエステル。
- 請求項1記載の結晶性ポリエステルを1〜40重量%と非晶質ポリエステルとを含有してなるトナー用結着樹脂であって、前記の結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)が1/99〜40/60である、トナー用結着樹脂。
- 請求項2記載のトナー用結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
- 請求項1記載の結晶性ポリエステルの製造方法であって、アルコール成分とカルボン酸成分を窒素雰囲気下、160〜230℃で1〜10時間反応させた後、さらに、3kPa以下にて0.5〜5時間反応させる、結晶性ポリエステルの製造方法。
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