JP2004309517A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3であるポリエステル結晶性樹脂100重量部と粒径が20nm〜3μmの無機微粒子0.1〜10重量部とを溶融混練するトナーの製造方法。無機粒子がタルク、マイカ、酸化マグネシウム、シリカから選ばれた少なくとも1種を用い、ポリエステル樹脂と無機粒子物を溶融混練工程により得られた混練物を、圧延ロールで冷却する工程により製造する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
装置の高速化、小型化における電子写真法の大きな課題である低温定着性の改善のため、いわゆる結晶性樹脂、特には結晶性ポリエステルと非晶質樹脂を溶融混練し、結着樹脂として含有したトナーが知られている(特許文献1〜4参照)。この技術により、ある程度の低温定着性は満足されるようになったものの、溶融混練後に結晶性樹脂を十分に結晶化させる必要があり、冷却工程に時間を要するため生産性の向上が望まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−222138号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開2002−284866号公報(請求項1、4)
【特許文献3】
特開2002−287426号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開2002−328490号公報(請求項1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温定着性に優れた結晶性樹脂を結着樹脂として含有するトナーを、効率よく製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である結晶性樹脂と粒径が20nm〜3μmの無機微粒子とを溶融混練する工程を有するトナーの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、結晶性樹脂を特定の粒径を有する無機微粒子とともに溶融混練することにより、低温定着性に優れたトナーを効率よく製造することができる。これは、結晶性樹脂の融点と凝固点の差が小さくなり、より容易に結晶化するため、より短時間で、そして小さい冷却力で、混練物を圧延、粉砕可能にでき、結晶性樹脂の分散径も溶融混練時の状態が保持されるためと推定される。
【0007】
本発明において、結着樹脂として用いられる結晶性樹脂としては、ポリエステル、ポリエステルポリアミド、ポリアミド等の縮重合系樹脂、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル、立体規則性を有するポリプロピレンやポリスチレン等の付加重合系樹脂及びこれらのウレタン、エポキシ等による変性樹脂等が挙げられ、本発明の効果がより顕著に発揮される点から、縮重合系樹脂が好ましく、ポリエステル及び変性ポリエステルがより好ましく、ポリエステルが特に好ましい。なお、変性樹脂における変性構成成分の含有量、即ち変性率は、本発明の効果がより顕著に発揮される点から、50重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、未変性樹脂であるのが特に好ましい。
【0008】
なお、本発明において、「結晶性」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0.95〜1.1以下であることをいい、また「非晶質」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が1.3より大きく4以下、好ましくは1.5〜3であることをいう。
【0009】
本発明において、結晶性ポリエステルは、炭素数が2〜6、好ましくは4〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と炭素数が2〜8、好ましくは4〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られた樹脂が好ましい。
【0010】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、特にα,ω−直鎖アルカンジオールが好ましい。
【0011】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、アルコール成分中に、80モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましい。特に、その中の1種の脂肪族ジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80〜95モル%を占めているのが望ましい。なかでも、1,4−ブタンジオールが、アルコール成分中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%含有されているのが望ましい。
【0012】
アルコール成分には、炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分が含有されていてもよく、該多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等の芳香族ジオールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0013】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではフマル酸及びアジピン酸が好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0014】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物は、カルボン酸成分中に、80モル%以上、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましい。特に、その中の1種の脂肪族ジカルボン酸化合物が、カルボン酸成分中の60モル%以上、好ましくは70〜100モル%を占めているのが望ましい。なかでも、フマル酸が、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは60〜90モル%、特に好ましくは60〜80モル%含有されているのが望ましい。
【0015】
カルボン酸成分には、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸成分が含有されていてもよく、該多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0016】
アルコール成分とカルボン酸成分は、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で反応させること等により縮重合させることができる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。
【0017】
なお、結晶性ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.7〜1.5が好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステルの軟化点は、80〜150℃が好ましく、85〜130℃がより好ましく、85〜110℃が特に好ましい。また、融解熱の最大ピーク温度は、75〜150℃が好ましく、85〜130℃がより好ましく、85〜110℃が特に好ましい。
【0019】
さらに、本発明では、耐オフセット性及び溶融混練時の溶解粘度保持の観点から、結晶性樹脂及び無機微粒子とともに、さらに非晶質樹脂を結着樹脂として溶融混練することが好ましい。非晶質樹脂としては、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質スチレン−アクリル樹脂等が挙げられるが、これらの中では、定着性及び結晶性ポリエステルとの相溶性の観点から、非晶質ポリエステルが好ましい。
【0020】
非晶質ポリエステルも、結晶性ポリエステルと同様にして、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて製造することができる。ただし、非晶質ポリエステルとするためには、
▲1▼ 炭素数2〜6の脂肪族ジオール、炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸化合物等の樹脂の結晶化を促進するモノマーを用いる場合は、これらのモノマーを2種以上併用して結晶化を抑制すること、即ちアルコール成分及びカルボン酸成分のいずれにおいても、これらのモノマーの1種が各成分中10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%を占め、かつこれらのモノマーが2種以上、好ましくは2〜4種用いられていること、又は
▲2▼ 樹脂の非晶質化を促進するモノマー、好ましくはアルコール成分ではビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、またはカルボン酸成分ではアルキル基もしくはアルケニル基で置換されたコハク酸が、アルコール成分中又はカルボン酸成分中、好ましくは両成分のそれぞれにおいて30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%用いられていること
が好ましい。
【0021】
非晶質ポリエステルの軟化点は、好ましくは70〜180℃、より好ましくは100〜160℃、ガラス転移点は、好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜75℃である。なお、ガラス転移点は非晶質樹脂に特有の物性であり、融解熱の最大ピーク温度とは区別される。
【0022】
なお、非晶質ポリエステルは、軟化点が10℃以上異なる2種類の非晶質ポリエステルからなることが好ましい。特に、低温定着性と耐高温オフセット性の観点から、軟化点が70℃以上、120℃未満の低軟化点ポリエステルと軟化点が120℃以上、180℃以下の高軟化点ポリエステルとが、好ましくは20/80〜95/5、より好ましくは50/50〜90/10の重量比(低軟化点ポリエステル/高軟化点ポリエステル)で併用されているのが好ましい。
【0023】
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、帯電性、保存性、低温定着性及び耐久性の観点から、1/99〜50/50が好ましく、5/95〜40/60がより好ましく、10/90〜30/70が特に好ましい。
【0024】
本発明に用いられる無機微粒子としては、トナーに内部添加されて、トナーの色彩等に影響を与えない、白色又は無色のものが好適に用いられる。
【0025】
具体的には、シリカ、カオリンクレー、ろう石クレー、タルク、セリサイト、焼成クレー、マイカ、ベントナイト、アスベスト、ケイ酸カルシウム、軽石粉、スレート粉、けいそう土、けい砂、二酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化ジルコニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等も用いることができる。また、分散性を高めるべく、結着樹脂の種類等に応じてその表面に疎水化処理等を行ってもよい。本発明における無機微粒子としては、タルク、マイカ、酸化マグネシウム及びシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、タルクがより好ましい。
【0026】
無機微粒子の粒径は、20nm〜3μmであり、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは1〜2μmである。無機微粒子の粒径は、生産性の観点から、20nm以上であり、分散性の観点から、3μm未満である。
【0027】
無機微粒子の配合量は、生産性及び経済性の観点から、結晶性樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0028】
なお、結晶性樹脂と無機微粒子は、溶融混練工程において、共存していればよく、混練工程前に粉体混合する、溶融混練中の樹脂に無機微粒子を添加する、結晶性樹脂を製造する際に、原料モノマー又は製造後の溶解樹脂に無機微粒子を添加するなど、いずれの段階で無機微粒子を配合してもよいが、結晶性樹脂と無機微粒子の接触効率の観点から、溶融混練工程に供する樹脂は、無機微粒子を含有した結晶性樹脂であるのが好ましく、結晶性樹脂を製造する際に、無機微粒子を添加した原料モノマーを重合して得られた結晶性樹脂であるのがより好ましい。
【0029】
本発明においては、さらに、着色剤、荷電制御剤、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を原料として配合してもよい。
【0030】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明により製造するトナーは、黒トナー、モノカラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0031】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤と、含金属アゾ染料、芳香族ヒドロキシカルボン酸金属錯体、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸ホウ素化合物等の負帯電性荷電制御剤が挙げられ、これらはトナーの帯電性に応じてそれぞれ単独で用いられていても、混合して用いられていてもよい。
【0032】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよい。
【0033】
本発明において、結晶性樹脂と無機微粒子又は無機微粒子を含有した結晶性樹脂、さらに非晶質樹脂、着色剤等の原料は、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で均一に予備混合して、溶融混練に供するのが好ましく、原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機の公知の混練機を用いて行うことができる。
【0034】
次いで、溶融混練工程により得られた混練物を、粉砕可能な硬度に達するまで冷却した後、粉砕し、必要に応じて、分級することにより、トナーを得ることができるが、本発明では、混練物の冷却工程として、圧延ロールにより冷却する工程を設けることが好ましい。混練物を圧延ロールにより冷却することにより、効率よく冷却することができ、本発明の効果を有効に利用して生産性の向上を図ることができる。
【0035】
本発明において、冷却工程に用いられる圧延ロールは特に限定されないが、例えば、図1に示すような圧延装置付き冷却機を好適に用いることができる。図1に示す装置では、圧延ロール1で混練物2を圧延した後、冷却ベルト3上で冷却、またはさらに冷風を送ることにより冷却することができる。かかる装置では、圧延ロールの間隔を調整することにより、圧延後の厚みを調整することができる。
【0036】
圧延ロールにより冷却した混練物の厚みは、結晶性樹脂の分散粒径を維持する観点から、0.5〜10mm程度が好ましい。
【0037】
本発明により得られるトナーの体積平均粒子径は、3〜15μmが好ましい。さらに、トナーの表面には、疎水性シリカ等の流動性向上剤等を外添剤として添加してもよい。
【0038】
本発明により得られるトナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として、特に限定されることなく、いずれの現像方法にも用いることができる。
【0039】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0040】
〔融解熱の最大ピーク温度、ガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を求める。また、ガラス転移点は、非晶質樹脂における前記測定で最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
【0041】
結晶性ポリエステルの製造例
表1、2に示す無機微粒子を添加した原料モノマー、酸化ジブチル錫4g及びハイドロキノン2gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.3kPaにて所望の軟化点の樹脂が得られるまで反応させて、樹脂a〜jを得た。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
なお、実施例及び比較例で用いた無機微粒子は以下のとおりである。
タルクA:「SG−2000」(日本タルク社製、粒径:1μm)
タルクB:「タルク」(和光純薬製、粒径:3μm)
マイカ:「S2MK」(コープケミカル社製、粒径:1μm)
酸化マグネシウム:「パイロキマス5301」(協和化学社製、粒径:1μm)
疎水性シリカ:「アエロジル50」(日本アエロジル社製、粒径:40nm)
【0045】
非晶質ポリエステルの製造例
表3に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下、220℃で8時間かけて反応させた。さらに8.3kPaで1時間反応させた後、210℃で表3に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A、Bを得た。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例1、3〜10、比較例1、2
表4に示す結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル、離型剤「カルナバワックスC1」(加藤洋行社製)1重量部、荷電制御剤「T−77」(保土谷化学工業社製)0.5重量部、及びカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)3.5重量部をヘンシェルミキサーで十分に混合した後、同方向回転二軸押出機(混練部分の全長:1560mm、スクリュー径:42mm、バレル内径:43mm)を用い、ロール回転速度を200回転/分、ロール内の加熱温度を100℃、混合物の供給速度を10kg/時に調整して溶融混練した。混練物の出口温度は約150℃、混合物の平均滞留時間は約18秒であった。
【0048】
得られた溶融混練物を、図1に示す圧延ロールを用いて、5mm厚に圧延、冷却し、粗粉砕した後、ジェットミルにより粉砕し分級して、体積平均粒子径が8.0μmの粉体を得た。
【0049】
得られた粉体100重量部に、外添剤として疎水性シリカ「アエロジル R−972」(日本アエロジル(株)製)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た
【0050】
実施例2
荷電制御剤として「T−77」の代わりに「LR−147」(日本カーリット社製)0.5重量部を使用し、カーボンブラックの代わりに青色着色剤「ECB−301」(大日精化社製)3.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0051】
実施例11
結晶性ポリエステル等の原料に、無機微粒子としてタルクA「SG−2000」(日本タルク社製、粒径:1μm)1重量部をさらに配合した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0052】
試験例1
トナーの製造において、溶融混練工程により得られた混練物を圧延する際の、混練物の状態より、以下の評価基準に従って、生産性を評価した。結果を表4に示す。
【0053】
〔評価基準〕
◎:圧延ロールに水を通さなくても圧延できる。
○:圧延ロールに20℃程度の水を通すことにより圧延できる。
△:20℃程度の水を通した圧延ロールに一部の混練物が張り付くくものの、特に問題なくトナーを製造できる。
×:20℃程度の水を通した圧延ロールでは混練物が張り付き、トナーの製造が困難である。
【0054】
試験例2
示差走査熱量計(Pyris1、パーキンエルマー社製)を用いて、トナー1.5mgを昇温速度10℃/minで0℃から200℃まで昇温した際の、吸熱ピークの最大ピーク温度を融点として求めた。
次いで、降温速度10℃/minで200℃から0℃までの発熱ピークを測定し、その最大ピーク温度を凝固点として求めた。
融点と凝固点の差を算出し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表4に示す。
【0055】
〔評価基準〕
◎: 25℃未満
○: 25℃以上28℃未満
△: 28℃以上33℃未満
×: 33℃以上
【0056】
試験例3
トナー4重量部とシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:90μm)96重量部とを10分間ターブラーミキサーにて混合して現像剤を得た。
次いで、複写機「AR−505」(シャープ(株)製、定着速度:100mm/sec)を装置外での定着が可能なように改造した装置に、現像剤を実装し、トナー付着量を0.5mg/cm2 に調整して、2cm×12cmの未定着画像を得た。定着ロールの温度を90℃から240℃へと5℃づつ順次上昇させながら未定着画像を定着させ、定着試験を行った。定着紙には、「CopyBond
SF−70NA」(シャープ社製、75g/m2 )を用いた。
【0057】
各定着温度で得られた画像を、500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表4に示す。
【0058】
〔評価基準〕
◎ : 最低定着温度が140℃未満
○ : 最低定着温度が140℃以上、150℃未満
× : 最低定着温度が150℃以上
【0059】
【表4】
【0060】
以上の結果より、生産性の向上は結晶性樹脂の融点と凝固点の差と密接に係わっており、実施例のトナーは、低温定着性に優れ、かつ生産性にも問題はないことが分かる。これに対し、結晶性樹脂を用いていても無機微粒子を配合していない比較例1では、低温定着性は良好であるものの、生産性に欠けており、結晶性樹脂を配合していない比較例2のトナーは、生産性は良好であるものの、低温定着性に欠ける結果となっている。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、低温定着性に優れた結晶性樹脂を結着樹脂として含有するトナーを、効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に用いられる圧延装置付き冷却機の一実施態様を示す概略構造図である。
【符号の説明】
1 圧延ロール
2 混練物
3 冷却ベルト
Claims (7)
- 軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.6〜1.3である結晶性樹脂と粒径が20nm〜3μmの無機微粒子とを溶融混練する工程を有するトナーの製造方法。
- 無機微粒子を含有した結晶性樹脂を溶融混練する請求項1記載の製造方法。
- 結晶性樹脂が結晶性ポリエステルである請求項1又は2記載の製造方法。
- 結晶性樹脂及び無機微粒子とともに、さらに非晶質樹脂を溶融混練する請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
- 無機微粒子の配合量が結晶性樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部である請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
- 無機微粒子がタルク、マイカ、酸化マグネシウム及びシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
- さらに、溶融混練工程により得られた混練物を、圧延ロールにより冷却する工程を有する請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
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