JP6975052B2 - トナーバインダー及びトナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像又は磁気潜像の現像に用いられるトナーバインダー及びトナーに関する。
近年、電子写真装置の小型化、高速化、高画質化の促進とともに、定着工程における消費エネルギーを低減するという省エネルギーの観点から、トナーの低温定着性の向上が強く求められている。
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
その中で、低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーを含有するトナー組成物が知られている(特許文献1及び2参照)。しかし、近年、保存安定性や、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅)の要望がますます高まっており、なお不充分である。
その他の方法として結着樹脂に非晶性樹脂と結晶性樹脂を併用することで、結晶性樹脂の溶融特性から、トナーの低温定着性や光沢性が向上することが知られている。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
これに対し、溶融混練工程後に加熱処理を行い結晶性樹脂の結晶性を再現させる方法や(特許文献3)、使用するモノマー成分を変える方法(特許文献4〜6)等が提案されている。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、粉砕する際の粉砕性が低下する問題がある。さらにこれらは結晶性樹脂を合成する際に不純物として生成する環状エステル化合物量が多く、高温高湿時の耐熱保存性や帯電安定性が低下する問題がある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献7〜10)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
特開2005−77930号公報 特開2012−98719号公報 特開2005−308995号公報 特開2012−8371号公報 特開2007−292816号公報 国際公開第2015/170705号 特開2011−197193号公報 特開2011−197192号公報 特開2011−186053号公報 特開2006−251564号公報
本発明は、低温定着性と光沢性及び耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度及びドキュメントオフセット性に優れたトナーバインダー及びトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、カルボン酸成分(y)が炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有し、結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物を0.01重量%〜1重量%含有するトナーバインダーである。
本発明により、低温定着性と光沢性及び耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度及びドキュメントオフセット性に優れたトナーバインダー及びトナーを提供することが可能になった。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、カルボン酸成分(y)に、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有し、結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物を0.01重量%〜1重量%含有することを特徴とする。
なお、直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)の炭素数5〜15にはカルボニル基の炭素数を含めるものとする。
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)を必須成分として含有する。本発明における「結晶性」とは後述するDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
結晶性樹脂(A)はアルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)とを構成原料として、カルボン酸成分(y)が炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)であれば、特にその化学構造は限定されない。
結晶性樹脂(A)としては、例えば結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)、結晶性ポリアミド(a14)、結晶性ポリビニル(a15)等が挙げられる。これらのうち、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有するものが好ましく、アルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)の導入の容易さから、結晶性ポリエステル(a11)がより好ましい。またこれらの結晶性樹脂は併用しても構わない。
より好ましい結晶性ポリエステル(a11)は、アルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)と反応して得られるポリエステル樹脂である。
アルコール成分(x)としてはジオール成分(x1)、3価以上のアルコール成分(x2)等が挙げられる。
ジオール成分(x1)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
これらのジオールの中で、結晶性の観点から脂肪族ジオールが好ましい。炭素数は好ましくは2〜36個であり、更に好ましくは2〜20個の範囲である。さらに、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等の炭素数2〜20のアルキレングリコールが挙げられる。これらのうち、低温定着性や耐熱保存性の観点から好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオールである。
結晶性の観点から直鎖型脂肪族ジオールの含有率が使用するジオール成分(x1)の80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
3価以上のアルコール成分(x2)として、3価以上のポリオール、具体的には、3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールが挙げられる。
必要によりジオール成分(x1)と併用される3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
結晶性ポリエステル(a11)は、前記ジオール成分(x1)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(x1’)を構成単位としてもよい。
これらの官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x1)と、官能基を有するジオール(x1’)と、カルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x1’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオール(x1’)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
官能基を有するジオール(x1’)のうち、トナーの帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール(x1’)及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(x1’)である。
カルボン酸成分(y)としては炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)及び(y1)以外のその他のポリカルボン酸(y2)が挙げられる。
炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)としては、1,3−プロパンジカルボン酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸が挙げられる。これらのうち、耐熱保存性や帯電特性の観点から好ましくは1,5−ペンタンジカルボン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、更に好ましくは1,7−ヘプタンジカルボン酸である。
その他のポリカルボン酸(y2)としては、(y1)と異なるジカルボン酸及び3価以上のカルボン酸成分等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の1,12−ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
3価以上のカルボン酸成分としては、3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸が挙げられる。3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸として、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(Mn):450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
これらカルボン酸の中では、アルカンジカルボン酸とアルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸を用いるのが結晶性の観点から好ましく、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸と炭素数4〜50アルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、直鎖型のジカルボン酸が特に好ましい。例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
カルボン酸成分(y)のモル数に対して炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は、カルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上である。また、耐熱保存性や帯電特性の観点から、好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。(y1)の含有量が50モル%未満であると環状エステル化合物の含有量が多くなるため、耐熱保存性や帯電特性が問題となる場合がある。
結晶性ポリウレタン(a12)としては、前記の結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの、及び前記の結晶性ポリエステル(a11)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
また、前記ジオール成分(x1)に加え、前記の官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
ジイソシアネート(v2)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び粗製ジアミノフェニルメタンジイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基からなる群より選ばれた1種以上を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
これらのジイソシアネート(v2)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリウレア(a13)
結晶性ポリウレア(a13)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア(a13)は、結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
ジアミン(z)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネート(v2)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジアミノフェニルメタンジイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基からなる群より選ばれた1種以上を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
これらのジイソシアネート(v2)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリアミド(a14)
結晶性ポリアミド(a14)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)と、前記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分(y)とを構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド(a14)は、結晶性ポリエステル(a11)と、上記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分とを反応させることにより得ることができる。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)は、重合性二重結合を有するエステルに加え、以下の単量体(w1)〜(w9)等の化合物を構成単量体とすることができる。
単量体(w1)重合性二重結合を有する炭化水素:
例えば、以下の重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素(w11)と重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(w12)が挙げられる。
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素(w11):
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素(w111):炭素数2〜30のアルケン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
重合性二重結合を有する環状炭化水素(w112):炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(w12):
スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩(w2):
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩(w3):
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩(w2)を構成する塩として例示したものが挙げられる。
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩(w4):
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)等が挙げられる。
なお、塩としては、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩(w2)として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体(w5):
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等が挙げられる。
重合性二重結合を有する含窒素単量体(w6):
例えば、アミノ基と重合性二重結合を有する単量体(w61)、アミド基と重合性二重結合を有する単量体(w62)、ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体(w63)、ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体(w64)等が挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体(w61):
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等が挙げられる。
アミド基と重合性二重結合を有する単量体(w62):
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体(w63):
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等が挙げられる。
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体(w64):
ニトロスチレン等が挙げられる。
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体(w7):
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等が挙げられる。
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体(w8):
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等が挙げられる。
重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物(w9):
例えば、重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル(w91)、重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン(w92)、重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物(w93)等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル(w91):
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン(w92):
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物(w93):
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物をトナーバインダーの重量に基づいて0.01重量%〜1重量%含有する。環状エステル化合物は耐熱保存性や帯電特性の観点で、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、更に好ましくは0.01重量%〜0.3重量%、特に好ましくは0.01重量%〜0.2重量%、最も好ましくは0.1重量%以下である。1重量%を超えると耐熱保存性や帯電特性が悪化する場合がある。
環状エステル化合物は結晶性樹脂(A)を合成する際に副生成物として生成するが、オリゴマー成分である環状エステル化合物がトナーバインダー中に多く存在すると、耐熱保存性や帯電特性に悪影響を及ぼす。
一方、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)を構成原料に用いると、環状エステル化合物の副生成量が抑えられる。これは奇数炭素数の原料を用いると、生成する環状化合物が熱力学的に不安定となるためである。
環状エステル化合物としては、前記のアルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)が1〜10モルの範囲で等モルずつ縮合して環状エステルを形成した化合物が挙げられる。
具体的には、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸と炭素数2〜30のアルキレングリコールとの環状エステル化合物(アジピン酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モルモル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、アジピン酸とエチレングリコール(2:2モル比)との環状縮合物、コハク酸と1,2−プロピレングリコール(3:3モル比)との環状縮合物、アジピン酸と1,2−プロピレングリコール(5:5モル比)との環状縮合物、及びセバシン酸と1,2−プロピレングリコール(10:10モル比)との環状縮合物等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜30のアルキレングリコールとの環状エステル化合物(フタル酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、フタル酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、イソフタル酸と1,2−プロピレングリコール(2:2モル比)との環状縮合物、テレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(3:3モル比)との環状縮合物、テレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(5:5モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(1:1モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(2:2モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(3:3モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(4:4モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(5:5モル比)との環状縮合物、及びテレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(10:10モル比)との環状縮合物等)等が挙げられる。
トナーバインダー中の環状エステル化合物の含有量は、液体クロマトグラフィー(以下LCと略記する)で測定することができ、下記の条件で測定した。
装置は下記(株)島津製作所製のものを用いた。
LC:LC−30 Nexera
イオン源:ESI
MS:LCMS−8030
<LC測定条件>
移動相:A;10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20
B;メタノール
LCタイムプログラム:A/B=25/75→5/95(v/v%)
B液比率75%(0分)、B液比率95%(10分)、B液比率95%(31分)、B液比率100%(32分)、B液比率100%(35分)、B液比率75%(36分)、STOP(40分)、
流速:0.3mL/分
オートサンプラー:注入量1μL、サンプルクーラー25℃
カラム:InertSustainSwift(GLサイエンス社製、粒子径1.9μm、内径2.1mm、長さ50mm)
カラムオーブン:40℃
<MS測定条件>
イオン化モード:ESI(+)
分析モード:SCAN m/z100〜1500
インターフェイス温度:350℃
DL温度:250℃
ネブライザーガス流量:3L/分
ヒートブロック温度:400℃
ドライイングガス流量:15L/分
<試料溶液調製方法>
1)スクリュー瓶にトナーもしくはトナーバインダーを0.96g入れ、テトラヒドロフラン(以下THF)8.64gで溶解させる。
2)溶解後、スクリュー瓶にLC/MS用メタノール28gを追加して、不溶解分を析出させる。
3)遠心分離機を用いて、2000rpm×5分で不溶解分を沈降させる。
4)3)で得た上澄み液を、注射器とメンブランフィルターを用いて濾過し、専用バイアル瓶に取り試料溶液とする。
5)試料溶液の一部をLC/MS測定する。
<環状エステル化合物量の計算方法>
6)5)の試料溶液のERと樹脂サンプル量からTHFメタ可溶分を算出する。
ER測定条件:150℃循風乾燥45分後、デシケータ内で除冷。
7)LC/MSの面積比から環状化合物の比率を算出する。
8)THFメタ可溶分に環状化合物の面積比を乗じてトナーもしくはトナーバインダー中の環状エステル化合物量とする。
環状エステル化合物の含有量は、例えばアルコール成分(x)が1,6−ヘキサンジオール、カルボン酸成分(y)がセバシン酸の場合、下記のように算出される。 セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(1:1モル比)との環状縮合物の分子量は302、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(2:2モル比)との環状縮合物の分子量は587、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(3:3モル比)との環状縮合物の分子量は871であり、LC−MSで検出された上記のような環状物由来の分子量のピーク面積の合計値を、トナーもしくはトナーバインダー全体の面積で除することにより求められる。
また、アルコール成分(x)やカルボン酸成分(y)を2種類以上併用する場合については、考えられる組み合わせの環状化合物の分子量に対し、それぞれのピーク面積値を合計し、同様にトナーもしくはトナーバインダー全体の面積で除することにより求められる。
本発明のトナーバインダーは、DSCにより測定される、昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をSとするとき、昇温時の吸熱ピークの吸熱量SとSが下記の関係式(1)を満たすことが好ましい。
(S/S)×100≧35 (1)
本発明において、DSCにより測定する際の昇温・冷却条件としては、30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温する(第1回目の昇温過程)。次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却する(第1回目の冷却過程)。次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温する(第2回目の昇温過程)。
本発明のトナーバインダーは、上記の条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をSとすると、昇温時の吸熱ピークの吸熱量SとSが上記の関係式(1)を満たすものである。
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、S、S共にそれらを合算した面積で計算する。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナーバインダーにさらに配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピークの吸熱量は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナーバインダーではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
関係式(1)の左辺の値はトナーの低温定着性、流動性、耐熱保存性、粉砕性及び定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは40〜99、更に好ましくは50〜98である。
第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量(J/g)は好ましくは1〜30J/g、より好ましくは2〜27J/g、更に好ましくは3〜15J/gである。低温定着性及び光沢性の観点から、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量は1J/g以上が好ましく、耐ホットメルト性の観点から30J/g以下が好ましい。昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量は、DSCにより測定される。
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップ温度(Tp)はトナーの耐熱保存性、定着後の画像強度及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは45℃以上であり、低温定着性及び光沢性の観点から、好ましくは100℃以下である。
Tp(℃)の範囲は好ましくは45〜100℃、更に好ましくは50〜95℃、特に好ましくは55〜90℃である。
なお、吸熱ピークトップ温度(Tp)とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
結晶性樹脂(A)の酸価(以下、AVと略することが有る)はトナーの耐熱保存性、帯電特性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以下、更に好ましくは7mgKOH/g以下、特に好ましくは5mgKOH/g以下、最も好ましくは3mgKOH/g以下である。
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)を除く、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とするポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)を含有することが耐ホットオフセット性、帯電性、定着画像の熱安定性の観点から好ましい。
樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合する方法は特に規定されず、例えば、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を溶融混練機で混合する方法、溶剤等で溶解させて混合しその後に溶剤を除去する方法、樹脂(B)の製造時に結晶性樹脂(A)を混合する方法等がある。混合する温度は樹脂粘度の観点から好ましくは100〜200℃であり、更に好ましくは110〜190℃である。
本発明のトナーバインダーは、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)はトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度及び低温定着性、光沢性の観点から好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは60/40〜92/8、更に好ましくは70/30〜90/10である。樹脂(B)と結晶性樹脂(A)とを上記割合で含む混合物は、本発明のトナーバインダーとして好ましい。つまり本発明のトナーバインダーにおける樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)は、上記範囲であることが好ましい。
結晶性樹脂(A)は、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であっても良く、例えば樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有するものがある。本明細書中、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)を、単にセグメント(a1)又は結晶性セグメント(a1)ともいう。樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)を、単にセグメント(a2)ともいう。
本発明において樹脂(B)に対して相溶しないとは、樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物を混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。
また、結晶性セグメント(a1)とは上記に説明した、結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)、結晶性ポリアミド(a14)、結晶性ポリビニル(a15)等のことである。
樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と共に結晶性樹脂(A)に含まれるセグメント(a2)としては、樹脂(B)に相溶しない化合物から構成される構造であれば特に限定しない。樹脂(B)に相溶しない化合物として、例えば、長鎖アルキルモノアルコール(好ましくは炭素数18〜42)、長鎖アルキルモノカルボン酸(好ましくは炭素数18〜42)、ブタジエンのアルコール変性体、ジメチルシロキサンのアルコール変性体等が挙げられ、好ましくは炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコール、炭素数18〜42の長鎖アルキルモノカルボン酸等である。セグメント(a2)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコールとして、例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等が好ましい。長鎖アルキルモノカルボン酸として、例えば、ベヘン酸、ステアリル酸等が好ましい。
本発明の結晶性樹脂(A)は、例えば同一分子内にセグメント(a1)とセグメント(a2)が化学結合されていても良い。また、結晶性樹脂(A)は、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有することが好ましい。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
従って、3種以上のセグメントを含む場合としては、例えば、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)と1種のセグメント(a3)の組み合わせ、2種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ、1種のセグメント(a1)と2種のセグメント(a2)の組み合わせ等が挙げられる。ここで、2種以上のセグメントの一例として、化学構造の種類(例えば、ポリエステル)が同じであっても分子量やその他の物性が異なる場合が挙げられる。
化学結合は、低温定着性の観点から好ましくはエステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基であることであり、更に好ましくはエステル基及びウレタン基であることである。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていても良い。
結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(以下、重量平均分子量をMwと略称することがある。)は、低温定着性及び光沢性の観点から、5,000〜100,000が好ましく、更に好ましくは8,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000、最も好ましくは12,000〜50,000である。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
本発明のトナー及びトナーバインダーに使用する樹脂(B)は、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂で結晶性樹脂(A)を除くものあればその樹脂の組成は特に限定されない。
アルコール成分(X)は、好ましくはジオール等のポリオール成分である。
ポリエステル樹脂の変性樹脂として、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものが好ましい。
ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、例えば非晶性のポリエステル樹脂(B1)、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)等が挙げられる。このらのうち、ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、好ましくは非晶性のポリエステル樹脂(B1)である。
例えば、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)はそれぞれ、ビニル基、エポキシ基及びウレタン基でポリエステル樹脂を変性した樹脂として好ましい。
なお、本発明における「非晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化を示し、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)は、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂である。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジオール成分(x1)と同様のものを使用できる。また必要に応じて、ジオール成分(x1)と共に、3価以上のポリオール(x2)を使用することができる。3価以上のポリオールとして、結晶性ポリエステル(a11)で使用される3価以上のポリオールと同じものを使用することができる。
そのうち、アルコール成分(X)として、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数2〜30)]、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール、及びノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30)]である。
更に好ましくは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
非晶性樹脂とするために、直鎖型ジオールの含有率は使用するジオール成分(x1)の70モル%以下が好ましく、更に好ましくは60モル%以下である。また、非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するアルコール成分(X)において、ジオール成分(x1)が90〜100モル%であることが好ましい。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するカルボン酸成分(Y)としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するポリカルボン酸成分(y2)と同様のものを使用できる。
これらのカルボン酸成分のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、安息香酸、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)が好ましい。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
樹脂(B)のガラス転移点(Tg)は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、40〜75℃が好ましく、更に好ましくは45〜72℃、特に好ましくは50〜70℃である。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)のMwは、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、2,000〜200,000が好ましく、更に好ましくは2,500〜180,000、特に好ましくは3,000〜150,000である。
樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
樹脂(B)の酸価は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以下であり、更に好ましくは15mgKOH/g以下である。特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
樹脂(B)の酸価を小さくする手法は特に限定されないが、例えば、分子量を上げる、ハーフエステル化するための無水トリメリット酸の仕込量を減らす、末端をモノアルコール等でキャップする、3官能以上の酸又はアルコール等で架橋反応を行う、ウレタン等の仕込みの酸及びアルコール比率を調整してアルコールを少し過剰量にして末端官能基をアルコールにする等が挙げられる。
樹脂(B)の水酸基価は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下であり、より好ましくは30mgKOH/g以下であり、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
樹脂(B)の水酸基価を少なくする手法は特に限定されないが、例えば、分子量を上げる、末端をモノカルボン酸等でキャップする、3官能以上の酸又はアルコール等で架橋反応を行う、ウレタン等の仕込みの酸及びアルコール比率を調整して酸を少し過剰量にして末端官能基を酸にする等が挙げられる。
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定した場合のピーク面積で表した場合に、好ましくは全ピーク面積の10%以下であり、より好ましくは8%以下であり、更に好ましくは6%以下であり、特に好ましくは4%以下であり、最も好ましくは2%以下である。樹脂(B)に含まれる分子量1,000以下の分子の含有量が上記範囲であると、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性が良好となる
本発明における前記樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は前述のGPCによる樹脂(B)の分子量測定結果を以下のようにデータ処理することにより求める。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量を小さくする手法は特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の分子量を上げる、末端をモノカルボン酸等でキャップする、3官能以上の酸等で架橋反応を行う等が挙げられる。
樹脂(B)のフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、80〜170℃が好ましく、更に好ましくは85〜165℃、特に好ましくは90〜160℃である。
軟化点(Tm)は以下の方法で測定される。
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
樹脂(B)はTmの異なるものを2種類以上併用してもよく、Tmが80〜110℃のものと110〜170℃のものとの組み合わせが好ましい。
本発明における樹脂(B)として、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)も使用できる。
この非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は、スチレン系モノマー単独の重合体、又はスチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体をポリエステルと反応したものである。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン)等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
併用できる(メタ)アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18のアルキルエステル類;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のアミノ基含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリロニトリルのメチル基が炭素数2〜18のアルキル基に置き換えられたニトリル基含有(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びこれらの2種以上の混合物である。
非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)には、必要により他のビニルエステルモノマーや脂肪族炭化水素系ビニルモノマーを併用してもよい。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価)アルコールエステル(炭素数8〜200、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、例えばメチル−4−ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等)、ジエン(炭素数4〜10、例えばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等)等が挙げられる。
本発明に使用される非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)のMwは、定着温度幅の観点から、Mw100,000〜300,000であり、好ましくは130,000〜280,000であり、更に好ましくは150,000〜250,000である。
また、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)のMwと数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnについては定着温度幅の観点から、例えば、通常10〜70であり、好ましくは15〜65であり、更に好ましくは20〜60である。
非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は定着温度幅の観点から分子量が異なるものを2種類以上併用することが好ましい。
本発明における樹脂(B)として、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)も使用できる。
非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物{水、ポリオール[ジオール及び3価以上のポリオール]、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン等}との重付加物等をポリエステルと反応したもの等が挙げられる。
また、本発明における樹脂(B)として、非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)も使用できる。
非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)としては、前記のジイソシアネート(v2)、モノイソシアネート(v1)、3官能以上のポリイソシアネート(v3)と、ポリエステルとを反応したもの等が挙げられる。
モノイソシアネート(v1)としては、フェニルイソシアネート、トリレンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンイソシアネート、ナフチレンイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデシルイソシネート、シクロブチルイソシネート、シクロヘキシルイソシネート、シクロオクチルイソシアネート、シクロデシルイソシネート、シクロドデシルイソシアネート、シクロテトラデシルイソシネート、イソホロンイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−イソシアネート、シクロヘキシレンイソシアネート、メチルシクロヘキシレンイソシアネート、ノルボルナンイソシアネート及びビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等が挙げられる。
また、3官能以上のポリイソシアネート(v3)としては、イソシアネート基を3個以上有する化合物であれば特に限定されないが、たとえばトリイソシアネート、テトライソシアネート、イソシアヌレート、ビウレットの化学構造を含む化合物等が挙げられる。
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)からなるものであってもよく、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含んでもよい。好ましくは、結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)からなるトナーバインダーである。
本発明のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナーも、本発明の一つである。
本発明のトナーは、好ましくは、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)からなるトナーバインダー及び着色剤を含有する組成物である。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計を100重量部とした際に、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
本発明のトナーは、結晶性樹脂(A)、樹脂(B)、着色剤以外に、必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体及びサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末及び炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されない。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
また、重合法によりトナーを得る場合、非結晶性樹脂(B)を溶解させた有機溶剤溶液中にあらかじめ有機溶剤中に結晶性樹脂(A)を微分散させた分散液を混合し、有機溶剤を除去することで製造してもよい。結晶性樹脂(A)を有機溶剤中に分散させる方法としては特に限定しないが、例えば有機溶剤中で晶析させた後、分散機(例えばビーズミル及びコロイドミル等)で微分散させてもよい。
また、特開2002−284881号公報に記載の有機微粒子を用いる方法や、特開2007−277511号公報に記載の超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
本発明のトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常トナー/キャリア粒子が1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、%は重量%を示す。なお実施例8は参考例1である。
製造例1
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)683重量部(100モル%)(エメリー社製、EMEROX1144)、1,6−ヘキサンジオール445重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで210℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−1)を得た。
製造例2
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)674重量部(100モル%)、1,6−ヘキサンジオール430重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−2)を得た。
製造例3
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)416重量部(50モル%)、セバシン酸443重量部(50モル%)、エチレングリコール543重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは268重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−3)を得た。
製造例4
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,9−ノナンジカルボン酸(y1−2)617重量部(80モル%)、ドデカン二酸152重量部(19モル%)、ベヘン酸18重量部(2モル%)、1,4−ブタンジオール339重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−4)を得た。
製造例5
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)557重量部(100モル%)、1,10−デカンジオール548重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−5)を得た。
製造例6
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)509重量部(100モル%)、1,12−ドデカンジオール587重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−6)を得た。
製造例7
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)572重量部(98モル%)、ベヘン酸21重量部(2モル%)、1,10−デカンジオール516重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−7)を得た。
製造例8
〔結晶性樹脂(A−8)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)531重量部(100モル%)、1,12−ドデカンジオール551重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール18重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−8)を得た。
製造例9
〔樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1.2−プロピレングリコール734重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1重量部、テレフタル酸670重量部、アジピン酸38重量部、安息香酸34重量部、無水トリメリット酸53重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。除去したプロピレングリコールは353重量部であった。
別の反応槽中に、1.2−プロピレングリコール581重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物49重量部、テレフタル酸625重量部、アジピン酸8重量部、安息香酸49重量部、無水トリメリット酸58重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが105℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸14部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−2)を取り出した。除去したプロピレングリコールは234重量部であった。
得られた樹脂(b−1)と樹脂(b−2)の重量比(b−1)/(b−2)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−1)を得た。
製造例10
〔樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419重量部、テレフタル酸274重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42重量部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
別の反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物167重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物128重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物468重量部、テレフタル酸184重量部、無水トリメリット酸53重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが110℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸52重量部加え、210℃まで昇温し、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが145℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−4)を得た。
得られた樹脂(b−3)と樹脂(b−4)の重量比(b−3)/(b−4)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−2)を得た。
<製造例11>[樹脂(B−3)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール315重量部、ビスフェノールAのPO2モル付加物404重量部、テレフタル酸459重量部、安息香酸61重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸27.3重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、樹脂(B−3)を得た。除去したプロピレングリコールは161重量部であった。
<製造例12>[前駆体(M−1)溶液の調製]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールAのEO2モル付加物681重量部、ビスフェノールAのPO2モル付加物81重量部、テレフタル酸275重量部、アジピン酸7重量部、無水トリメリット酸22重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、0.01〜0.03MPaの減圧下で5時間脱水反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に、ポリエステル樹脂350重量部、イソホロンジイソシアネート50重量部、酢酸エチル600重量部、イオン交換水0.5重量部を投入し、密閉状態で90℃、5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有する前駆体(M−1)溶液を得た。(M−1)溶液のウレタン基濃度は5.2重量%、ウレア基濃度は0.3重量%であった。また固形分濃度は45重量%であった。
<製造例13>[微粒子分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、水690重量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]9重量部、スチレン90重量部、メタクリル酸90重量部、アクリル酸ブチル110重量部及び過硫酸アンモニウム1重量部を投入し、350回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。次いで75℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。更に、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液30重量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の微粒子分散液を得た。微粒子分散液に分散されている粒子の体積平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]を用いて測定したところ、0.1μmであった。微粒子分散液の一部を取り出し、Tg及びMwを測定したところ、Tgは65℃であり、Mwは150,000であった。
<製造例14>[着色剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール557重量部、テレフタル酸ジメチルエステル569重量部、アジピン酸184重量部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール及び水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは175重量部であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸121重量部を加え、常圧密閉下で2時間反応後、220℃、常圧で軟化点が180℃になるまで反応させ、ポリエステル樹脂(Mn=8,500)を得た。
ビーカーに、銅フタロシアニン20重量部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4重量部、得られたポリエステル樹脂20重量部及び酢酸エチル56重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、着色剤分散液を得た。着色剤分散液の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例15>[変性ワックスの製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、低分子量ポリエチレン 「サンワックス LEL−400」[Tm:128℃、三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595重量部、メタクリル酸メチル255重量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、変性ワックスを得た。変性ワックスのグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm3)1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは56.9℃であった。
<製造例16>[離型剤分散液の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10重量部、製造例11で得られた変性ワックス1重量部及び酢酸エチル33重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。体積平均粒径は0.25μmであった。
<製造例17>[樹脂溶液(L−1)の製造]
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性樹脂(A−1)15重量部、樹脂(B−3)を85重量部、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液40重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して樹脂溶液(L−1)を得た。
<製造例18>[硬化剤(β−1)の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、イソホロンジアミン50重量部とメチルエチルケトン300重量部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤して硬化剤(β−1)を得た。(β−1)の全アミン価は415であった。
比較製造例1
〔結晶性樹脂(A’−1)の合成〕
製造例1において、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)683重量部(100モル%)、1,6−ヘキサンジオール445重量部(100モル%)を、セバシン酸696重量部(100モル%)(豊国製油社製)、1,6−ヘキサンジオール427重量部(100モル%)に変更する以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性樹脂(A’−1)を得た。
比較製造例2
〔結晶性樹脂(A’−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)331重量部(40モル%)、セバシン酸529重量部(60モル%)、エチレングリコール540重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは267重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A’−2)を得た。
比較製造例3
〔結晶性樹脂(A’−3)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、アジピン酸822重量部(100モル%)、エチレングリコール698重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは319重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A’−3)を得た。
<比較製造例4>[樹脂溶液(L’−1)の製造]
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性樹脂(A’−1)15重量部、樹脂(B−3)を85重量部、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液40重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して樹脂溶液(L’−1)を得た。
結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)は、示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定した。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
樹脂(B)のTg(Tg1)は、DSC(TA Instruments社製の型式Q Series Version 2.8.0.394)を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定した。
結晶性樹脂(A)や樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、上記のGPCによる各樹脂の測定結果を以下のようにデータ処理することにより求めた。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
Figure 0006975052
Figure 0006975052
実施例1〜9及び比較例1〜3
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により樹脂(B)を含有するトナーバインダー(N−1)〜(N−9)、(N’−1)〜(N’−3)を得て、更にトナーバインダーと添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−1)〜(T−9)、(T’−1)〜(T’−3)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
まず、着色剤、離型剤、荷電制御剤を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。次いで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカをサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
<実施例10>
ビーカーに、イオン交換水170重量部、微粒子分散液0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、前駆体(M−1)溶液11重量部、硬化剤(β−1)5.5重量部及び樹脂溶液(L−1)63重量部投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナー粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、本発明のトナー(T−10)を得た。
<比較例4>
樹脂溶液(L−1)を樹脂溶液(L’−1)にする以外は実施例10と同様に反応して、トナー(T’−4)を得た。
トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とし、S1及びS2(昇温時の吸熱ピーク面積)を以下のように測定した。
表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
20℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(20℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S2/S1)×100の値を表1に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1に示す。
[評価方法]
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表1及び表2に、低温定着性(℃)として示した。
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
[判定基準]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
<画像強度>
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
<ドキュメントオフセット性>
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
[判定基準]
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
上記の評価結果を、表3に示す。
Figure 0006975052
表3の評価結果から明らかなように、本発明の実施例1〜10のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。一方、(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有しない比較例1〜4は耐熱保存性、帯電特性等いくつかの性能項目が不良であった。
本発明のトナーは、低温定着性及び光沢性と耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度及びドキュメントオフセット性に優れる、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーとして有用である。

Claims (10)

  1. アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、カルボン酸成分(y)に、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有し、トナーバインダーの重量に基づいて結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物を0.01重量%〜1重量%含有し、結晶性樹脂(A)の酸価が5mgKOH/g以下であるトナーバインダー。
  2. 炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)が1,7−ヘプタンジカルボン酸である請求項1に記載のトナーバインダー。
  3. 昇温時の吸熱ピークの吸熱量が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナーバインダー。
    (S2/S1)×100≧35 (1)
    但し、トナーバインダーを30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、冷却、0℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS2とする。
  4. 示差走査熱量計(DSC)によるチャートで第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量が、1〜30J/gである請求項1〜3いずれか1項に記載のトナーバインダー。
  5. 示差走査熱量計(DSC)によるチャートで第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップ温度を45℃〜100℃の範囲に少なくとも1個有する請求項1〜4いずれか1項に記載のトナーバインダー。
  6. 結晶性樹脂(A)の酸価がmgKOH/g以下である請求項1〜5いずれか1項に記載のトナーバインダー。
  7. 更に、結晶性樹脂(A)を除く、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とするポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)を含有する請求項1〜6いずれか1項に記載のトナーバインダー。
  8. 樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B/A)が50/50〜95/5である請求項7に記載のトナーバインダー。
  9. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定したクロマトグラムにおいて、樹脂(B)の分子量1,000以下のピーク面積が全ピーク面積の10%以下である請求項7又は8に記載のトナーバインダー。
  10. 請求項1〜9いずれか1項に記載のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー。
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