JP6975052B2 - トナーバインダー及びトナー - Google Patents
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Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、粉砕する際の粉砕性が低下する問題がある。さらにこれらは結晶性樹脂を合成する際に不純物として生成する環状エステル化合物量が多く、高温高湿時の耐熱保存性や帯電安定性が低下する問題がある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献7〜10)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
本発明のトナーバインダーは、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、カルボン酸成分(y)に、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有し、結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物を0.01重量%〜1重量%含有することを特徴とする。
なお、直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)の炭素数5〜15にはカルボニル基の炭素数を含めるものとする。
結晶性樹脂(A)としては、例えば結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)、結晶性ポリアミド(a14)、結晶性ポリビニル(a15)等が挙げられる。これらのうち、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有するものが好ましく、アルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)の導入の容易さから、結晶性ポリエステル(a11)がより好ましい。またこれらの結晶性樹脂は併用しても構わない。
必要によりジオール成分(x1)と併用される3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらの官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x1)と、官能基を有するジオール(x1’)と、カルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x1’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の1,12−ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性ポリウレア(a13)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア(a13)は、結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性ポリアミド(a14)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)と、前記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分(y)とを構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド(a14)は、結晶性ポリエステル(a11)と、上記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分とを反応させることにより得ることができる。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
例えば、以下の重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素(w11)と重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(w12)が挙げられる。
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素(w11):
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素(w111):炭素数2〜30のアルケン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
重合性二重結合を有する環状炭化水素(w112):炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)等が挙げられる。
なお、塩としては、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩(w2)として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等が挙げられる。
例えば、アミノ基と重合性二重結合を有する単量体(w61)、アミド基と重合性二重結合を有する単量体(w62)、ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体(w63)、ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体(w64)等が挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体(w61):
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体(w63):
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等が挙げられる。
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体(w64):
ニトロスチレン等が挙げられる。
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等が挙げられる。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等が挙げられる。
例えば、重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル(w91)、重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン(w92)、重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物(w93)等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル(w91):
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン(w92):
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物(w93):
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
一方、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)を構成原料に用いると、環状エステル化合物の副生成量が抑えられる。これは奇数炭素数の原料を用いると、生成する環状化合物が熱力学的に不安定となるためである。
具体的には、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸と炭素数2〜30のアルキレングリコールとの環状エステル化合物(アジピン酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モルモル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、アジピン酸とエチレングリコール(2:2モル比)との環状縮合物、コハク酸と1,2−プロピレングリコール(3:3モル比)との環状縮合物、アジピン酸と1,2−プロピレングリコール(5:5モル比)との環状縮合物、及びセバシン酸と1,2−プロピレングリコール(10:10モル比)との環状縮合物等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜30のアルキレングリコールとの環状エステル化合物(フタル酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、フタル酸と1,2−プロピレングリコール(1:1モル比)との環状縮合物、イソフタル酸と1,2−プロピレングリコール(2:2モル比)との環状縮合物、テレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(3:3モル比)との環状縮合物、テレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(5:5モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(1:1モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(2:2モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(3:3モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(4:4モル比)との環状縮合物、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオール(5:5モル比)との環状縮合物、及びテレフタル酸と1,2−プロピレングリコール(10:10モル比)との環状縮合物等)等が挙げられる。
LC:LC−30 Nexera
イオン源:ESI
MS:LCMS−8030
<LC測定条件>
移動相:A;10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20
B;メタノール
LCタイムプログラム:A/B=25/75→5/95(v/v%)
B液比率75%(0分)、B液比率95%(10分)、B液比率95%(31分)、B液比率100%(32分)、B液比率100%(35分)、B液比率75%(36分)、STOP(40分)、
流速:0.3mL/分
オートサンプラー:注入量1μL、サンプルクーラー25℃
カラム:InertSustainSwift(GLサイエンス社製、粒子径1.9μm、内径2.1mm、長さ50mm)
カラムオーブン:40℃
<MS測定条件>
イオン化モード:ESI(+)
分析モード:SCAN m/z100〜1500
インターフェイス温度:350℃
DL温度:250℃
ネブライザーガス流量:3L/分
ヒートブロック温度:400℃
ドライイングガス流量:15L/分
1)スクリュー瓶にトナーもしくはトナーバインダーを0.96g入れ、テトラヒドロフラン(以下THF)8.64gで溶解させる。
2)溶解後、スクリュー瓶にLC/MS用メタノール28gを追加して、不溶解分を析出させる。
3)遠心分離機を用いて、2000rpm×5分で不溶解分を沈降させる。
4)3)で得た上澄み液を、注射器とメンブランフィルターを用いて濾過し、専用バイアル瓶に取り試料溶液とする。
5)試料溶液の一部をLC/MS測定する。
6)5)の試料溶液のERと樹脂サンプル量からTHFメタ可溶分を算出する。
ER測定条件:150℃循風乾燥45分後、デシケータ内で除冷。
7)LC/MSの面積比から環状化合物の比率を算出する。
8)THFメタ可溶分に環状化合物の面積比を乗じてトナーもしくはトナーバインダー中の環状エステル化合物量とする。
また、アルコール成分(x)やカルボン酸成分(y)を2種類以上併用する場合については、考えられる組み合わせの環状化合物の分子量に対し、それぞれのピーク面積値を合計し、同様にトナーもしくはトナーバインダー全体の面積で除することにより求められる。
(S2/S1)×100≧35 (1)
本発明のトナーバインダーは、上記の条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS2とすると、昇温時の吸熱ピークの吸熱量S1とS2が上記の関係式(1)を満たすものである。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナーバインダーにさらに配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピークの吸熱量は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナーバインダーではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
Tp(℃)の範囲は好ましくは45〜100℃、更に好ましくは50〜95℃、特に好ましくは55〜90℃である。
なお、吸熱ピークトップ温度(Tp)とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
本発明のトナーバインダーは、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
本発明において樹脂(B)に対して相溶しないとは、樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物を混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていても良い。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
アルコール成分(X)は、好ましくはジオール等のポリオール成分である。
ポリエステル樹脂の変性樹脂として、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及びビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものが好ましい。
ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、例えば非晶性のポリエステル樹脂(B1)、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)等が挙げられる。このらのうち、ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、好ましくは非晶性のポリエステル樹脂(B1)である。
例えば、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)はそれぞれ、ビニル基、エポキシ基及びウレタン基でポリエステル樹脂を変性した樹脂として好ましい。
なお、本発明における「非晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化を示し、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジオール成分(x1)と同様のものを使用できる。また必要に応じて、ジオール成分(x1)と共に、3価以上のポリオール(x2)を使用することができる。3価以上のポリオールとして、結晶性ポリエステル(a11)で使用される3価以上のポリオールと同じものを使用することができる。
非晶性樹脂とするために、直鎖型ジオールの含有率は使用するジオール成分(x1)の70モル%以下が好ましく、更に好ましくは60モル%以下である。また、非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するアルコール成分(X)において、ジオール成分(x1)が90〜100モル%であることが好ましい。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
この非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は、スチレン系モノマー単独の重合体、又はスチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体をポリエステルと反応したものである。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン)等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びこれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価)アルコールエステル(炭素数8〜200、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、例えばメチル−4−ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等)、ジエン(炭素数4〜10、例えばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等)等が挙げられる。
非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物{水、ポリオール[ジオール及び3価以上のポリオール]、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン等}との重付加物等をポリエステルと反応したもの等が挙げられる。
非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)としては、前記のジイソシアネート(v2)、モノイソシアネート(v1)、3官能以上のポリイソシアネート(v3)と、ポリエステルとを反応したもの等が挙げられる。
本発明のトナーは、好ましくは、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)からなるトナーバインダー及び着色剤を含有する組成物である。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
なお、磁性粉を用いる場合は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
また、重合法によりトナーを得る場合、非結晶性樹脂(B)を溶解させた有機溶剤溶液中にあらかじめ有機溶剤中に結晶性樹脂(A)を微分散させた分散液を混合し、有機溶剤を除去することで製造してもよい。結晶性樹脂(A)を有機溶剤中に分散させる方法としては特に限定しないが、例えば有機溶剤中で晶析させた後、分散機(例えばビーズミル及びコロイドミル等)で微分散させてもよい。
また、特開2002−284881号公報に記載の有機微粒子を用いる方法や、特開2007−277511号公報に記載の超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)683重量部(100モル%)(エメリー社製、EMEROX1144)、1,6−ヘキサンジオール445重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで210℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−1)を得た。
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)674重量部(100モル%)、1,6−ヘキサンジオール430重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−2)を得た。
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)416重量部(50モル%)、セバシン酸443重量部(50モル%)、エチレングリコール543重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは268重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−3)を得た。
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,9−ノナンジカルボン酸(y1−2)617重量部(80モル%)、ドデカン二酸152重量部(19モル%)、ベヘン酸18重量部(2モル%)、1,4−ブタンジオール339重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−4)を得た。
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)557重量部(100モル%)、1,10−デカンジオール548重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−5)を得た。
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)509重量部(100モル%)、1,12−ドデカンジオール587重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−6)を得た。
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)572重量部(98モル%)、ベヘン酸21重量部(2モル%)、1,10−デカンジオール516重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−7)を得た。
〔結晶性樹脂(A−8)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)531重量部(100モル%)、1,12−ドデカンジオール551重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール18重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−8)を得た。
〔樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1.2−プロピレングリコール734重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1重量部、テレフタル酸670重量部、アジピン酸38重量部、安息香酸34重量部、無水トリメリット酸53重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。除去したプロピレングリコールは353重量部であった。
〔樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419重量部、テレフタル酸274重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42重量部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール315重量部、ビスフェノールAのPO2モル付加物404重量部、テレフタル酸459重量部、安息香酸61重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸27.3重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、樹脂(B−3)を得た。除去したプロピレングリコールは161重量部であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールAのEO2モル付加物681重量部、ビスフェノールAのPO2モル付加物81重量部、テレフタル酸275重量部、アジピン酸7重量部、無水トリメリット酸22重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、0.01〜0.03MPaの減圧下で5時間脱水反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた耐圧反応容器に、ポリエステル樹脂350重量部、イソホロンジイソシアネート50重量部、酢酸エチル600重量部、イオン交換水0.5重量部を投入し、密閉状態で90℃、5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有する前駆体(M−1)溶液を得た。(M−1)溶液のウレタン基濃度は5.2重量%、ウレア基濃度は0.3重量%であった。また固形分濃度は45重量%であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、水690重量部、ポリオキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステルのナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]9重量部、スチレン90重量部、メタクリル酸90重量部、アクリル酸ブチル110重量部及び過硫酸アンモニウム1重量部を投入し、350回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。次いで75℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。更に、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液30重量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の微粒子分散液を得た。微粒子分散液に分散されている粒子の体積平均粒径を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]を用いて測定したところ、0.1μmであった。微粒子分散液の一部を取り出し、Tg及びMwを測定したところ、Tgは65℃であり、Mwは150,000であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、プロピレングリコール557重量部、テレフタル酸ジメチルエステル569重量部、アジピン酸184重量部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を投入し、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール及び水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは175重量部であった。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸121重量部を加え、常圧密閉下で2時間反応後、220℃、常圧で軟化点が180℃になるまで反応させ、ポリエステル樹脂(Mn=8,500)を得た。
ビーカーに、銅フタロシアニン20重量部と着色剤分散剤「ソルスパーズ28000」[アビシア(株)製]4重量部、得られたポリエステル樹脂20重量部及び酢酸エチル56重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、着色剤分散液を得た。着色剤分散液の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、キシレン454重量部、低分子量ポリエチレン 「サンワックス LEL−400」[Tm:128℃、三洋化成工業(株)製]150重量部を投入し、窒素置換後撹拌下170℃に昇温し、同温度でスチレン595重量部、メタクリル酸メチル255重量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34重量部及びキシレン119重量部の混合溶液を3時間かけて滴下し、更に同温度で30分間保持した。次いで0.039MPaの減圧下でキシレンを留去し、変性ワックスを得た。変性ワックスのグラフト鎖のSP値は10.35(cal/cm3)1/2、Mnは1,900、Mwは5,200、Tgは56.9℃であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10重量部、製造例11で得られた変性ワックス1重量部及び酢酸エチル33重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。体積平均粒径は0.25μmであった。
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性樹脂(A−1)15重量部、樹脂(B−3)を85重量部、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液40重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して樹脂溶液(L−1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、イソホロンジアミン50重量部とメチルエチルケトン300重量部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤して硬化剤(β−1)を得た。(β−1)の全アミン価は415であった。
〔結晶性樹脂(A’−1)の合成〕
製造例1において、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)683重量部(100モル%)、1,6−ヘキサンジオール445重量部(100モル%)を、セバシン酸696重量部(100モル%)(豊国製油社製)、1,6−ヘキサンジオール427重量部(100モル%)に変更する以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性樹脂(A’−1)を得た。
〔結晶性樹脂(A’−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,7−ヘプタンジカルボン酸(y1−1)331重量部(40モル%)、セバシン酸529重量部(60モル%)、エチレングリコール540重量部(98モル%)、ベヘニルアルコール22重量部(2モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは267重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A’−2)を得た。
〔結晶性樹脂(A’−3)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、アジピン酸822重量部(100モル%)、エチレングリコール698重量部(100モル%)及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水およびエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。除去したエチレングリコールは319重量部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A’−3)を得た。
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性樹脂(A’−1)15重量部、樹脂(B−3)を85重量部、着色剤分散液30重量部、離型剤分散液40重量部及び酢酸エチル153重量部を投入し、撹拌して樹脂溶液(L’−1)を得た。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
結晶性樹脂(A)や樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)を用いて、表1の配合比(重量部)に従い、結晶性樹脂(A)及び必要により樹脂(B)を含有するトナーバインダー(N−1)〜(N−9)、(N’−1)〜(N’−3)を得て、更にトナーバインダーと添加剤とを含有するトナー原料を下記の方法でトナー化し、トナー(T−1)〜(T−9)、(T’−1)〜(T’−3)を得た。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル製のアエロジルR972]を使用した。
まず、着色剤、離型剤、荷電制御剤を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。次いで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカをサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
ビーカーに、イオン交換水170重量部、微粒子分散液0.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]36重量部及び酢酸エチル15重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで50℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、前駆体(M−1)溶液11重量部、硬化剤(β−1)5.5重量部及び樹脂溶液(L−1)63重量部投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に移し、50℃で濃度が0.5重量%以下となるまで酢酸エチルを留去し、トナー粒子の水性樹脂分散体を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下として、本発明のトナー(T−10)を得た。
樹脂溶液(L−1)を樹脂溶液(L’−1)にする以外は実施例10と同様に反応して、トナー(T’−4)を得た。
表1に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
20℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(20℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S2/S1)×100の値を表1に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1に示す。
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表1及び表2に、低温定着性(℃)として示した。
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
[判定基準]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
[判定基準]
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
Claims (10)
- アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、カルボン酸成分(y)に、炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)をカルボン酸成分(y)のモル数に基づいて50モル%以上含有し、トナーバインダーの重量に基づいて結晶性樹脂(A)由来の環状エステル化合物を0.01重量%〜1重量%含有し、結晶性樹脂(A)の酸価が5mgKOH/g以下であるトナーバインダー。
- 炭素数が炭素数5〜15の奇数である直鎖脂肪族ジカルボン酸(y1)が1,7−ヘプタンジカルボン酸である請求項1に記載のトナーバインダー。
- 昇温時の吸熱ピークの吸熱量が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温、冷却、0℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量をS2とする。 - 示差走査熱量計(DSC)によるチャートで第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークの吸熱量が、1〜30J/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 示差走査熱量計(DSC)によるチャートで第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップ温度を45℃〜100℃の範囲に少なくとも1個有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)の酸価が3mgKOH/g以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 更に、結晶性樹脂(A)を除く、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)とを構成原料とするポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
- 樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B/A)が50/50〜95/5である請求項7に記載のトナーバインダー。
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定したクロマトグラムにおいて、樹脂(B)の分子量1,000以下のピーク面積が全ピーク面積の10%以下である請求項7又は8に記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー。
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