JP7034787B2 - トナーバインダー及びトナー - Google Patents
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Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることから、トナーの保存性が低下するのに加え、現像槽内で凝集が発生し、画像性が悪化する課題がある。そのため、ガラス転移点を下げる方法での低温定着化には限界がある。
結着樹脂に非晶性樹脂と結晶性樹脂を併用することで、結晶性樹脂の溶融特性から、トナーの低温定着性や光沢性が向上する。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、高温保存時の安定性である耐熱保存性が不充分であり、また帯電安定性や粉砕する際の粉砕性が低下する問題もある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献6~9)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
すなわち本発明は、下記2発明である。
(1)アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体である結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、アルコール成分(x)が炭素数2~12の直鎖又は分岐脂肪族ジオール(x1)を少なくとも2種類含有し、(x1)中で含有モル数が最も大きい成分(x1a)のモル質量と(x1a)以外の成分のうちいずれか1つの成分(x1b)のモル質量との組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでモル質量の差が15未満であり、(x1)中で(x1a)以外の成分(x1b)の合計含有量が末端封止剤(a2)を除くアルコール成分(x)の合計モル数に基づいて0.05~3モル%であり、30℃から10℃/分の条件で昇温したとき40℃~100℃の範囲に示差走査熱量計(DSC)によるチャートで吸熱ピークトップを少なくとも1個有するトナーバインダー。
(2)上記のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー。
本発明のトナーバインダーは、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体である結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、アルコール成分(x)が炭素数2~12の直鎖又は分岐脂肪族ジオール(x1)を少なくとも2種類含有し、(x1)中で含有モル数が最も大きい成分(x1a)のモル質量と(x1a)以外の成分のうちいずれか1つの成分(x1b)のモル質量との組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでモル質量の差が15未満であり、30℃から10℃/分の条件で昇温したとき40℃~100℃の範囲に示差走査熱量計(DSC)によるチャートで吸熱ピークトップを少なくとも1個有するトナーバインダーである。
なお、本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、DSC曲線に極大があり、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
なお、吸熱ピークトップを示す温度とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
結晶性樹脂(A)としては、例えば結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)、結晶性ポリアミド(a14)及び結晶性ポリビニル(a15)等が挙げられる。これらのうち、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するものが好ましく、アルコール成分(x)と、カルボン酸成分(y)の導入の容易さから、結晶性ポリエステル(a11)がより好ましい。またこれらの結晶性樹脂は2種以上を併用しても構わない。
直鎖脂肪族ジオール成分としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
分岐脂肪族ジオール成分としては、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等が挙げられる。
これらの内、(x1)としては結晶性及び非晶樹脂との相溶性の観点から、好ましくは炭素数2~12の直鎖脂肪族ジオール成分であり、更に好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールであり、特に好ましくは1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールである。これらの2種以上を併用しても良いが、低温定着性の観点から、1種であることが好ましい。
なお、(x1)としては、脂環式ジオールを含まない。
必要によりジオール成分(x1)と併用される3~8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3~36の3~8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール化合物(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2~30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2~30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3~8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
これらの官能基を有するジオール(x1’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x1)と、官能基を有するジオール(x1’)と、カルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x1’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N-メチルエタノールアミン塩、N-エチルエタノールアミン塩、N,N-ジメチルエタノールアミン塩、N,N-ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
(x1a)以外の成分(x1b)は、1種類でも2種類以上であってもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2~50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4~50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
また、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル)を共重合したものを用いる場合、芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
結晶性ポリウレタン(a12)としては、前記の結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)との重付加物、及び前記の結晶性ポリエステル(a11)と前記アルコール成分(x)とジイソシアネート(v2)との重付加物等が挙げられる。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)との重付加物とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)~(x3)とジイソシアネート(v2)との重付加物とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x1)~(x3)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2~18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性ポリウレア(a13)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)との重付加物等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア(a13)は、結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2~18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4~15の脂環式ジアミン{1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4~15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ジアミノエチルピペラジン、及び1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
結晶性ポリアミド(a14)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)と前記ジアミン(z)とジカルボン酸成分(y)との重縮合物等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド(a14)は、結晶性ポリエステル(a11)と、上記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分とを反応させることにより得ることができる。
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル-4-ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル-α-エトキシアクリレート、炭素数1~50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2~8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2~8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン化合物(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート[多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
例えば、以下の(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
(w111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2~30のアルケン(例えばイソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン及び1,7-オクタジエン等)。
(w112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6~30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5~30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1~30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
炭素数3~15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3~30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3~10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1~10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
炭素数2~14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2~24)誘導体(例えばα-メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5~18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル-(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5~18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3~18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2-エチルヘキシル-アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2~30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5~15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5~15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1~24)(例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル-2-アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1~24)(例えば2-アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール、2-ブテン-1,4-ジオール、プロパルギルアルコール、2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
例えば、(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3~10の単量体、(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8~12の単量体等が挙げられる。
(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N-ジメチルアミノスチレン、メチル-α-アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N-ビニルピロール、N-ビニルチオピロリドン、N-アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド及びN-ビニルピロリドン等。
(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3~10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8~12の単量体:
ニトロスチレン等。
グリシジル(メタ)アクリレート及びp-ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
例えば、(w91)重合性二重結合を有する炭素数3~16のエーテル、(w92)重合性二重結合を有する炭素数4~12のケトン、(w93)重合性二重結合を有する炭素数2~16の含硫黄化合物等が挙げられる。
(w91)重合性二重結合を有する炭素数3~16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル-2-エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル-2-メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル-2-ブトキシエチルエーテル、3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、2-ブトキシ-2’-ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(w92)重合性二重結合を有する炭素数4~12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(w93)重合性二重結合を有する炭素数2~16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p-ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
35≦(S2/S1)×100≦100 (1)
吸熱ピークの吸熱量(面積)は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、結晶性樹脂(A)ではなく、トナーバインダー又はトナーを試料に用いてDSCを測定しても差し支えない。
またトナーバインダー又はトナーを試料に用いた場合、結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの吸熱量を求める。なお、トナーバインダーに更に配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC-8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000
2890000)
非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合した混合物を、(Tg1+30)の温度(℃)が結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より同じ又は高い場合は(Tg1+30)の温度において、また(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。濁りがあると結晶性樹脂(A)が非晶性ポリエステル樹脂(B)に完全に相溶化していないことを意味し、冷却した際に結晶性樹脂(A)が再結晶し易くなることから好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をこの場合のTpとする。
本発明のトナーバインダーは、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
結晶性樹脂(A)は、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とが化学結合された樹脂であるものが好ましい。本明細書中、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)を、単にセグメント(a1)又は結晶性セグメント(a1)ともいう。非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)を、単にセグメント(a2)ともいう。
なお、本発明において、セグメント(a1)及びセグメント(a2)は、互いに反応する末端基を有する化合物である。
本発明において非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しないとは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と各セグメントを混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。混合する方法及び判断方法としては、非晶性ポリエステル樹脂(B)と各セグメントとを溶剤中で加熱しながら溶解させて混合し、その後に溶剤を除去することで得た混合物100mgをスライドガラス(76mm×26mm)上で130℃で10分加熱して溶融させた後室温まで空冷し、そのときの混合物の濁りを目視で観察した。
|SPa2-SPB|≧2.0(cal/cm3)1/2 (3)
上記式中、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を示す。
エステル結合を形成する縮合である場合、セグメント(a1)とセグメント(a2)の結合部分は脱水縮合してできたものと考えて、セグメント(a1)とセグメント(a2)のSP値をそれぞれ計算する。
アミド結合を形成する縮合である場合、セグメント(a1)とセグメント(a2)の結合部分は脱水縮合してできたものと考えて、セグメント(a1)とセグメント(a2)のSP値をそれぞれ計算する。
同様に、関係式(4)の左辺の値は、非晶性ポリエステル樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から好ましくは2.0以上であり、より好ましくは2.1以上である。関係式(3)の左辺の上限は、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
関係式(2)及び(3)を両方満たすことにより、結晶性樹脂(A)による加熱時の過疎化と冷却時の再結晶とが起こりやすくなり、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性が向上する。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。このようにセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されてなる結晶性樹脂(A)は、本発明における結晶性樹脂(A)として好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂(B)は変性していてもよく、その変性樹脂としては、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する変性樹脂であってもよい。
ポリエステル樹脂(B)として、例えば非晶性のポリエステル樹脂(B1)、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)、非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)及び非晶性のウレア樹脂のポリエステル変性樹脂(B5)が挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂(B)として、好ましくは非晶性のポリエステル樹脂(B1)である。
なお、本発明における「非晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、DSC曲線に極大がなく、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジオール成分(x1)~(x3)と同様のものを使用できる。また必要に応じて、ジオール成分(x1)~(x3)と共に、3価以上のポリオール(x4)及びモノオール(x5)も使用することができる。3価以上のポリオールとして、結晶性ポリエステル(a11)で使用される3価以上のポリオールと同じものを使用することができる。
モノオール(x5)としては炭素数1~30のアルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等)等が挙げられる。
非晶性樹脂とするために、直鎖型ジオールの含有率は使用するジオール成分(x1)~(x3)の70モル%以下が好ましく、更に好ましくは60モル%以下である。また、非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するアルコール成分(X)において、ジオール成分(x1)が90~100モル%であることが好ましい。
モノカルボン酸(y3)の内、脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸としては、炭素数1~30のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モニタン酸、メリシン酸等)、炭素数3~24のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸等)などが挙げられる。(x1)のうち芳香族モノカルボン酸としては、炭素数7~36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、フェニルプロピオン酸、及びナフトエ酸等)などが挙げられる。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、炭素数16~50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定される。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT-500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
この非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は、スチレンモノマー単独の重合体、又はスチレンモノマーと(メタ)アクリルモノマーの共重合体をポリエステルと反応したものである。
スチレンモノマーとしてはスチレン、アルキル基の炭素数が1~3のアルキルスチレン(例えばα-メチルスチレン、p-メチルスチレン)等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸;及びこれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4~15、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等)、不飽和カルボン酸多価(2~3価)アルコールエステル(炭素数8~200、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、芳香族ビニルエステル(炭素数9~15、例えばメチル-4-ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2~10、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等)、ジエン(炭素数4~10、例えばブタジエン、イソプレン、1,6-ヘキサジエン等)等が挙げられる。
非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物{水、ポリオール[ジオール及び3価以上のポリオール]、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン等}との重付加物等をポリエステルと反応したもの等が挙げられる。
非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)としては、前記のジイソシアネート(v2)、モノイソシアネート(v1)、3官能以上のポリイソシアネート(v3)と、ポリエステルとを反応したもの等が挙げられる。
例えば、本発明における結晶性ポリエステル(a11)は、ポリエステル樹脂公知のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とを、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150~280℃、更に好ましくは170~260℃、特に好ましくは180~240℃、最も好ましくは200~230℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、特に好ましくは2~40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド(テトラブトキシチタネート)、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006-243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕、及び特開2007-11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1~1/2、更に好ましくは1.5/1~1/1.3、特に好ましくは1.4/1~1/1.2である。
本発明のトナーは、好ましくは、非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)からなるトナーバインダー及び着色剤を含有する組成物である。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
本発明における着色剤の含有量は、トナー100重量部とした際に、好ましくは1~40重量部、更に好ましくは3~10重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、トナー100重量部に対して、好ましくは20~150重量部、更に好ましくは40~120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50~170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30~50の脂肪族アルコール、炭素数30~50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5~20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3~15μmが好ましい。
〔結晶性セグメント(a1-1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,10-デカンジオール(x1a-1、Mw;174)627重量部(99.6モル%)、1,9-ノナンジオール(x1b-1、Mw;160)2重量部(0.4モル%)、アジピン酸491重量部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.5~2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が2.0mgKOH/g以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステル(a1-1)を得た。結晶性ポリエステル(a1-1)のSPa1は9.9(cal/cm3)1/2、酸価は1.6mgKOH/g、水酸基価は26mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-2)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,6-ヘキサンジオール(x1a-2、Mw;118)435重量部(98.1モル%)、1,7-ヘプタンジオール(x1b-2、Mw;132)10重量部(1.9モル%)、アゼライン酸[Emerox1144、エメリーオレオケミカルズジャパン(株)製]684重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-2)を得た。結晶性ポリエステル(a1-2)のSPa2は10.0(cal/cm3)1/2、酸価は1.8mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-3)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,6-ヘキサンジオール(x1a-3、Mw;118))415重量部(99.4モル%)、1,7-ヘプタンジオール(x1b-3、Mw;132)3重量部(0.6モル%)、セバシン酸707重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-3)を得た。結晶性ポリエステル(a1-3)のSPa3は9.9(cal/cm3)1/2、酸価は1.6mgKOH/g、水酸基価は8mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-4)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,4-ブタンジオール(x1a-4、Mw;90)332重量部(99.1モル%)、2-メチル-1,4-ブタンジオール(x1b-4、Mw;104)3重量部(0.9モル%)、ドデカン二酸787重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-4)を得た。結晶性ポリエステル(a1-4)のSPa4は10.0(cal/cm3)1/2、酸価は1.4mgKOH/g、水酸基価は34mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-5)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,9-ノナンジオール(x1a-5、Mw;160)508重量部(99.4モル%)、2-メチル-1,8-オクタンジオール(x1b-5、Mw;160)3重量部(0.6モル%)、セバシン酸594重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-5)を得た。結晶性ポリエステル(a1-5)のSPa5は9.8(cal/cm3)1/2、酸価は1.7mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-6)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,12-ドデカンジオール(x1a-6、Mw;202)647重量部(97.0モル%)、2-メチル-1,11-ウンデカンジオール(x1b-6、Mw;202)20重量部(3.0モル%)、アジピン酸440重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-6)を得た。結晶性ポリエステル(a1-6)のSPa6は9.8(cal/cm3)1/2、酸価は1.8mgKOH/g、水酸基価は32mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-7)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,9-ノナンジオール(x1a-7、Mw;160)667重量部(99.1モル%)、1,10-デカンジオール(x1b-7、Mw;174)7重量部(0.9モル%)、コハク酸469重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-7)を得た。結晶性ポリエステル(a1-7)のSPa7は10.2(cal/cm3)1/2、酸価は1.4mgKOH/g、水酸基価は26mgKOH/gであった。
製造例8
〔結晶性セグメント(a1-8)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,6-ヘキサンジオール(x1a-8、Mw;118)423重量部(99.8モル%)、1,7-ヘプタンジオール(x1b-8、Mw;132)1重量部(0.2モル%)、セバシン酸701重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-8)を得た。結晶性ポリエステル(a1-8)のSPa8は10.0(cal/cm3)1/2、酸価は1.6mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a1-9)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,12-ドデカンジオール(x1a-9、Mw;202)492重量部(90.0モル%)、1,11-ウンデカンジオール(x1b-9、Mw;188)5重量部(0.9モル%)、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物(x2、Mw;348)86重量部(9.1モル%),セバシン酸507重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1-9)を得た。結晶性ポリエステル(a1-9)のSPa9は9.7(cal/cm3)1/2、酸価は1.5mgKOH/g、水酸基価は22mgKOH/gであった。
〔セグメント(a2-1)〕
(a2-1)としてはステアリルアルコールを用いた。SPa2は9.5(cal/cm3)1/2である。
〔セグメント(a2-2)〕
(a2-2)としてはベヘニルアルコールを用いた。SPa2は9.3(cal/cm3)1/2である。
〔結晶性セグメント(a’1-1)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,10-デカンジオール(x1a’-1、Mw;174)628重量部(100モル%)、アジピン酸492重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1-1)を得た。結晶性ポリエステル(a’1-1)のSPa’1-1は9.9(cal/cm3)1/2、酸価は1.4mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/gであった。
〔結晶性セグメント(a’1-2)の合成〕
製造例1において、使用する原料を1,6-ヘキサンジオール(x1a’-2、Mw;118)417重量部(99.1モル%)、2-メチル-1,8-オクタンジオール(x1b’-2、Mw;160)11重量部(0.9モル%)、セバシン酸695重量部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1-2)を得た。結晶性ポリエステル(a’1-2)のSPa’1-2は9.9(cal/cm3)1/2、酸価は1.8mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/gであった。
結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)は、示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定した。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
装置 : 東ソー(株)製 HLC-8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
結晶性樹脂(A)のSP値(SPA)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値(SPB)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
非晶性ポリエステル樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
〔結晶性樹脂(A-1)〕
結晶性セグメント(a1-1)を結晶性樹脂(A-1)として用いた。結晶性樹脂(A-1)のTpは60℃、Mwは16,000であった。
〔結晶性樹脂(A-2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1-1)960重量部とセグメント(a2-1)40重量部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、220℃、0.5~2.5kPaの減圧下で4時間反応させ、結晶性樹脂(A-2)を得た。結晶性樹脂(A-2)の酸価は1.5mgKOH/g、水酸基価は31mgKOH/g、Tpは61℃、Mwは16,500であった。
〔結晶性樹脂(A-3)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-2)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部に変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-3)を得た。結晶性樹脂(A-3)の酸価は1.7mgKOH/g、水酸基価は23mgKOH/g、Tpは62℃、Mwは22,000であった。
〔結晶性樹脂(A-4)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-3)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-4)を得た。結晶性樹脂(A-4)の酸価は1.5mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/g、Tpは68℃、Mwは45,000であった。
〔結晶性樹脂(A-5)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-4)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-5)を得た。結晶性樹脂(A-5)の酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は39mgKOH/g、Tpは67℃、Mwは13,000であった。
〔結晶性樹脂(A-6)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-5)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-6)を得た。結晶性樹脂(A-6)の酸価は1.6mgKOH/g、水酸基価は34mgKOH/g、Tpは71℃、Mwは14,000であった。
〔結晶性樹脂(A-7)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-6)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-7)を得た。結晶性樹脂(A-7)の酸価は1.7mgKOH/g、水酸基価は37mgKOH/g、Tpは77℃、Mwは13,000であった。
〔結晶性樹脂(A-8)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-7)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-8)を得た。結晶性樹脂(A-8)の酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は31mgKOH/g、Tpは40℃、Mwは16,000であった。
〔結晶性樹脂(A-9)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-8)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-9)を得た。結晶性樹脂(A-9)の酸価は1.5mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/g、Tpは68℃、Mwは31,000であった。
〔結晶性樹脂(A-10)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a1-9)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部とに変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A-10)を得た。結晶性樹脂(A-10)の酸価は1.4mgKOH/g、水酸基価は27mgKOH/g、Tpは84℃、Mwは19,000であった。
〔結晶性樹脂(A-11)の合成〕
撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1-9)959重量部とセグメント(a2-2)39重量部を仕込み、100℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート2重量部を仕込み、100℃で3時間反応させ、結晶性樹脂(A-11)を得た。結晶性樹脂(A-11)のTpは68℃、Mwは34000であった。結晶性樹脂(A-11)は結晶性ポリウレタン(a12)の結晶性セグメント(a12-1)とセグメント(a2-2)とが化学結合した結晶性樹脂である。結晶性セグメント(a12-1)のSPa10は9.7cal/cm3)1/2、酸価は1.4mgKOH/g、水酸基価は26mgKOH/g、イソシアネート含量は1400ppmであった。
〔結晶性樹脂(A’-1)〕
結晶性セグメント(a’1-1)を結晶性樹脂(A’-1)として用いた。結晶性樹脂(A’-1)のTpは61℃、Mwは18,000であった。
〔結晶性樹脂(A’-2)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a’1-1)960重量部とセグメント(a2-1)40重量部に変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’-2)を得た。結晶性樹脂(A’-2)の酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は31mgKOH/g、Tpは68℃、Mwは18,500であった。
〔結晶性樹脂(A’-3)の合成〕
製造例13において、使用するセグメントを結晶性セグメント(a’1-2)960重量部とセグメント(a2-2)40重量部に変更する以外は製造例13と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A’-3)を得た。結晶性樹脂(A’-3)の酸価は1.7mgKOH/g、水酸基価は22mgKOH/g、Tpは66℃、Mwは25,000であった。
〔樹脂(B-1)の合成〕
反応槽中に、1.2-プロピレングリコール655重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物17重量部、テレフタル酸675重量部、アジピン酸35重量部、安息香酸29重量部、無水トリメリット酸46重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5~2.5kPaの減圧下で反応を進めた。
フロー軟化点Tmが130℃になったところで樹脂(b-1)を取り出した。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、更に0.5~2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸9重量部を加え、1時間反応させた後、樹脂(b-2)を取り出した。
〔樹脂(B-2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物365重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物389重量部、テレフタル酸285重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、窒素気流化、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで、0.5~2.5kPaの減圧下で反応を進め、酸価が2mgKOH/g以下となるまで反応をさせた後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸を21重量部加え、1時間反応させた後、樹脂(b-3)を取り出した。
製造例で得られた結晶樹脂(A-1)~(A-11)、樹脂(B-1)及び(B-2)を、表2の配合比(重量部)に従い配合し、本発明の電子写真用トナーバインダー(TB-1)~(T-11)を得た。
比較製造例で得られた結晶樹脂(A’-1)~(A’-3)、樹脂樹脂(B-1)及び(B-2)を、表2の配合比(重量部)に従い配合し、比較の電子写真用トナーバインダー(TB’-1)~(TB’-3)を得た。
トナーバインダー約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
20℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(20℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S2/S1)×100の値を表1に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1に示す。
非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点(Tg1+30)(℃)が結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)と同じ又は高い場合は(Tg1+30)(℃)の温度において、(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:一部濁りあり
○:全体に濁りあり
×:透明
トナーバインダー(TB-1)100重量部、顔料のカーボンブラックMA-100[三菱化学(株)製]8重量部、荷電制御剤T-77[保土谷化学(製)]1重量部、離型剤カルナバワックス4重量部を、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM-30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS-I]で分級し、体積平均粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。
次いで、トナー粒子100重量部と流動化剤としてコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)1重量部とをサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T-1)を得た。
表3に記載の通り、原料を配合して実施例12と同様にトナーを製造し、トナー(T-2)~(T-11)を得た。
表3に記載の通り、原料を配合して実施例12と同様にトナーを製造し、トナー(T’-1)~(T’-3)を得た。
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG-330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホットオフセットが発生した温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
◎:36以上
○:32以上36未満
△:27以上32未満
×:27未満
トナーを45℃の雰囲気で24時間静置した後、42メッシュのふるいに移し、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターを用いて、振動強度5で10秒間振とうし、ふるいの上に残ったトナーの重量%を測定し、下記基準で判定し、耐熱保存性を評価した。
残存トナー重量%
◎ : 0重量%以上15重量%未満
○ : 15重量%以上25重量%未満
△ : 25重量%以上30重量%未満
× : 30重量%以上
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F-150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
トナーを二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス~30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター-TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
◎:10未満
○:10以上11未満
△:11以上12未満
×:12以上
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JIS K 5600-5-4:1999に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはH以上が必要とされる。
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦った。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
Claims (13)
- アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体である結晶性樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、アルコール成分(x)が炭素数2~12の直鎖又は分岐脂肪族ジオール(x1)を少なくとも2種類含有し、(x1)中で含有モル数が最も大きい成分(x1a)のモル質量と(x1a)以外の成分のうちいずれか1つの成分(x1b)のモル質量との組み合わせのうち少なくとも1つの組み合わせでモル質量の差が15未満であり、(x1)中で(x1a)以外の成分(x1b)の合計含有量が末端封止剤(a2)を除くアルコール成分(x)の合計モル数に基づいて0.05~3モル%であり、30℃から10℃/分の条件で昇温したとき40℃~100℃の範囲に示差走査熱量計(DSC)によるチャートで吸熱ピークトップを少なくとも1個有するトナーバインダー。
- (x1)中で含有モル数が最も大きい成分(x1a)の含有量が末端封止剤(a2)を除くアルコール成分(x)の合計モル数に基づいて90~99.95モル%であり、前記(x1)以外のジオール成分(x2)及び3価以上のアルコール成分(x3)の含有量の合計が末端封止剤(a2)を除くアルコール成分(x)の合計モル数に基づいて9.5モル%以下である請求項1記載のトナーバインダー。
- カルボン酸成分(y)が炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸を含有する請求項1又は2記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)が、下記の関係式(1)を満たす樹脂である請求項1~3いずれか記載のトナーバインダー。
35≦(S2/S1)×100≦100 (1)
[但し、示差走査熱量計(DSC)によるチャートで、トナーバインダーを30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の第1回目の昇温過程の吸熱ピークの吸熱量をS1(J/g)、10℃/分の条件で0℃まで冷却後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークの吸熱量をS2(J/g)とする。] - 第2回目の昇温過程における吸熱ピークの吸熱量が、1~30J/gである請求項4記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)が、ウレタン基及びウレア基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する請求項1~5いずれか記載のトナーバインダー。
- 更に、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)との重縮合体である非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1~6いずれか記載のトナーバインダー。
- 非晶性ポリエステル樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B/A)が50/50~97/3である請求項7記載のトナーバインダー。
- 非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30(℃)が結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)と同じ又は高い場合は(Tg1+30)の温度において、(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、トナーバインダーの全体又は一部分に濁りがある請求項7又は8記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)が、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、非晶性ポリエステル樹脂(B)に対して相溶しない末端封止剤(a2)とが化学結合された樹脂である請求項7~9いずれか記載のトナーバインダー。
- セグメント(a1)と末端封止剤(a2)が下記の関係式(2)と(3)の両方を満たす請求項10記載のトナーバインダー。
|SPa1-SPB|≦2.0(cal/cm3)1/2 (2)
|SPa2-SPB|≧2.0(cal/cm3)1/2 (3)
[但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2は末端封止剤(a2)のSP値、SPBは非晶性ポリエステル樹脂(B)のSP値を示す。] - 非晶性ポリエステル樹脂(B)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量を測定したクロマトグラムにおいて、分子量1,000以下のピーク面積が全ピーク面積の10%以下である樹脂である請求項7~11いずれか記載のトナーバインダー。
- 請求項1~12いずれか記載のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー。
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