JP2016190916A - 樹脂水性分散体、樹脂粒子、着色樹脂粒子及びトナー - Google Patents

樹脂水性分散体、樹脂粒子、着色樹脂粒子及びトナー Download PDF

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Abstract

【課題】 低温定着性と光沢性および耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性およびドキュメントオフセット性に優れたトナー、および該トナーを製造するのに用いる、コア/シェル型樹脂粒子と水性媒体を含有することを特徴とする樹脂水性分散体、コア/シェル型樹脂粒子を含有することを特徴とする樹脂粒子および着色樹脂粒子を提供する。
【解決手段】 コア(R)が結晶性樹脂(A)を含有し、シェル(S)がスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有する体積基準の平均メジアン径が20nm〜2μmであるコア/シェル型樹脂粒子(P)、および水性媒体(X)を含有することを特徴とする樹脂水性分散体(Q)を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂粒子、着色樹脂粒子、および電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられるトナーと、それらを製造するのに用いる、コア/シェル型樹脂粒子と水性媒体を含有することを特徴とする樹脂水性分散体、樹脂粒子、および着色樹脂粒子に関する。
現在、電子写真用トナーには省エネルギー化の観点から、耐熱保存性、耐湿熱保存性と低温定着性の両立が望まれている。この課題を解決するため、非晶質ポリエステルに結晶性ポリエステルを含有させることで定着温度の低下と耐熱保存性の両立を達成する方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、この方法では低温定着性と耐熱保存性については良好な結果が得られるものの、耐湿熱保存性が不十分であり、また、トナーの耐久性が低くなり、複写機・プリンターの設計に制限がある。さらにトナーとしてのコストが高いという問題があった。
これらの問題を解決すべく、ポリエステルよりも比較的安価なスチレン−アクリル系樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を含有させる技術が提案されている(特許文献2)。スチレン−アクリル系樹脂を用いることで、トナーの耐久性が向上し、耐湿熱保存性も良好な結果が得られる。しかしながら、結晶性ポリエステルとスチレン―アクリル樹脂は、相溶性が悪いため、十分な低温定着性が得られず、印刷画像の光沢、帯電安定性についても不十分なものであった。
特開2006‐091882号公報 特開2003‐302791号公報
本発明は、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性およびドキュメントオフセット性に優れたトナー、および該トナーを製造するのに用いる、コア/シェル型樹脂粒子と水性媒体を含有することを特徴とする樹脂水性分散体、コア/シェル型樹脂粒子を含有することを特徴とする樹脂粒子および着色樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、コア(R)が結晶性樹脂(A)を含有し、シェル(S)がスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有する体積基準の平均メジアン径が20nm〜2μmであるコア/シェル型樹脂粒子(P)を含有してなる樹脂水性分散体(Q)であって、スチレン−アクリル系樹脂(B)が、スチレン系モノマー(b1)、アクリル系モノマー(b2)、並びにカルボキシル基を含有するモノマー(b3)および/又はスルホン酸基を含有するモノマー(b4)とを構成単位として有し、かつ(A)と(B)が下記の関係式(1)を満たす樹脂水性分散体;
15≦X≦55 (1)
X=0.61×AV−0.64×(|SP−SP−0.5|)−0.35×(|E−E+20|)−0.50×Mw/10,000+18.0 (2)
[但し、関係式(2)中、AVは(B)の酸価(mgKOH/g)、SPは(B)の溶解度パラメータ(SP値)、SPは(A)の溶解度パラメータ、Eは(B)のエステル基濃度(重量%)、Eは(A)のエステル基濃度(重量%)、Mwは(B)の重量平均分子量を表す。]
該樹脂水性分散体を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去して得られる樹脂粒子;該樹脂水性分散体および着色剤の水性分散液とを混合した分散液を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去して得られる着色樹脂粒子;および該着色樹脂粒子を含有してなるトナーである。
本発明により、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性およびドキュメントオフセット性に優れたトナーを提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明を詳述する。
本発明の樹脂水性分散体(Q)は、体積基準の平均メジアン径が20nm〜2μmのコア/シェル型樹脂粒子(P)と水性媒体(X)を含有し、コア(R)は結晶性樹脂(A)を含有し、一方、シェル(S)は、重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)と、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(b2)と、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体(b3)および/又はスルホ基と重合性二重結合を有する単量体(b4)とを構成単位として有するスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有する。
さらに、結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)は後述する溶解度パラメータ(SP値)と(A)エステル基濃度と(B)の重量平均分子量を含む関係式(1)を満足する必要がある。
本発明に使用する結晶性樹脂(A)は、結晶性を示すものであれば特に限定されず、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)、結晶性ポリアミド樹脂(A4)、結晶性ビニル樹脂(A5)、結晶性エポキシ樹脂(A6)、結晶性ポリエーテル樹脂(A7)などが挙げられ、(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有することが好ましい。
なお、本発明における「結晶性」とは後述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを意味する。
結晶性樹脂(A)は、低温定着性の観点からエステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、およびビニル基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有することが好ましく、エステル基、ウレタン基およびウレア基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有することがより好ましく、エステル基を有することが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)としては、ジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)とから合成されるポリエステル樹脂が挙げられ、必要に応じて3価以上のアルコール成分や3価以上のポリカルボン酸成分を併用してもよい。
ジオール成分(x)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);ポリブタジエンジオールなど挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
これらのジオールの中で、結晶性の観点から脂肪族ジオールが好ましい。炭素数は2〜36個の範囲であり、2〜20個の範囲が好ましい。さらに、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール1,12−ドデカンジオールが好ましい。
結晶性の観点から直鎖型脂肪族ジオールの含有率が使用するジオール成分の80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
必要によりジオール成分(x)と併用される3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、およびポリグリセリン;糖類およびその誘導体、例えばショ糖、およびメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物など];などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)には、前記ジオール(x)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオールを構成単位としてもよい。
なお、本発明における「酸(塩)」の表記は、「酸又は酸塩」を意味する。
カルボン酸(塩)基を有するジオールとしては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオールとしては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオールとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオールとしては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
官能基を有するジオールのうち、トナーの帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(x’)である。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)を構成するジカルボン酸成分(y)のジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸など);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
これらジカルボン酸の中では、アルカンジカルボン酸とアルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸を用いるのが結晶性の観点から好ましく、直鎖型のジカルボン酸が特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、およびこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
なお、ジカルボン酸または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物、または炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
本発明の結晶性樹脂(A)として使用できる結晶性ポリウレタン(A2)としては、特にその化学構造は限定されない。
結晶性ポリウレタン(A2)としては、前記の結晶性ポリエステル(A1)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの、および前記の結晶性ポリエステル(A1)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの等が挙げられる。
ジイソシアネート(v)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−。キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
これらのジイソシアネート(v)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
結晶性ポリウレア(A3)としては、特にその化学構造は限定されない。
結晶性ポリウレア(A3)としては、前記の結晶性ポリエステル樹脂(A1)とジアミン(z)とジイソシアネート(v)を構成単位とするもの等が挙げられる。
ジアミン(z)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性ポリアミド(A4)としては、特にその化学構造は限定されない。
結晶性ポリアミド(A4)としては、前記の結晶性ポリエステル(A1)と前記ジアミン(z)とジカルボン酸(y)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ビニル樹脂(A5)としては、特にその化学構造は限定されない。
結晶性ビニル樹脂(A5)としては、ラジカル重合性単量体を、ラジカル重合開始剤を用いて単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。ラジカル重合性単量体としては、以下の単量体(w1)〜(w9)等が挙げられる。
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知の方法で行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、およびアゾビスシアノ吉草酸)、および有機過酸化物系重合開始剤〔例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン〕等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、および2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.1〜6重量%である。
(w1)重合性二重結合を有する炭化水素:
例えば、以下の(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
例えば、以下の(w111)と(w111)が挙げられる。
(w111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(w112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
(w3)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
(w4)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
(w5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
(w6)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
例えば、(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体などが挙げられる。
(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
(w7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(w8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
(w9)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
例えば、(w91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル、(w92)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(w93)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(w94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物などが挙げられる。
(w91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(w92)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(w93)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(w94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
結晶性エポキシ樹脂(A6)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物[水、前記ジオール(x)、ジカルボン酸(y)、ジアミン(z)等]との重付加物等が挙げられる。
ポリエポキシドとしては、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば特に限定されない。ポリエポキシドのうち好ましいのは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、更に好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造が密になり硬化物の耐水性、耐薬品性及び機械的強度等の物性が向上し、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
ポリエポキシドとしては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物及び脂肪族系ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
結晶性ポリエーテル樹脂(A7)としては、結晶性ポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、公知のいずれの方法でもよい。
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを、通常のポリオキシアルキレンポリオールの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(Journalof the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792に記載);安価なラセミ体のポリオキシアルキレンポリオールを、立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて開環重合させる方法が挙げられる。
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(特開平11−12353号公報に記載)やバイメタル−μ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(特表2001−521957号公報に記載)等が挙げられる。
また、非常にアイソタクティシティーの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(Journalof the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567に記載)等が挙げられる。
例えば、キラル体のポリオキシアルキレンポリオールを用い、その開環重合時に、開始
剤として、グリコール又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。
アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常ポリオキシアルキレンポリオールは結晶性を有する。
上記グリコールとしては、前記ジオール(x1)等が挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記ジカルボン酸(y2)等が挙げられる
結晶性樹脂(A)のうち、低温定着性の観点から好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)及び結晶性ポリアミド樹脂(A4)であり、更に好ましいのは、エステル基、ウレタン基、ウレア基及びアミド基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を有する結晶性樹脂であり、特に好ましいのは、エステル基を有する結晶性樹脂である。
本発明の結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、低温定着性の観点から3,000〜50,000であり、好ましくは3,500〜45,000、より好ましくは4,000〜40,000である。
本発明における分子量分布やMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
本発明に使用するスチレン−アクリル系樹脂(B)は、重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(b2)、並びにカルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体(b3)および/又はスルホ基と重合性二重結合を有する単量体(b4)とを構成単位として有する。
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)としては、前述の(w12)と同様のものが挙げられる。
炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(b2)としては、前述の(w91)の中に挙げたものと同様のものが挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体(b3)としては、前述の(w2)の中に挙げたものと同様のものが挙げられる。
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体(b4)としては、前述の(w3)の中に挙げたものと同様のものが挙げられる。
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、(b1)、(b2)、並びに(b3)および/又(b4)を含有するラジカル重合性単量体を、結晶性ポリビニル(a15)の場合と同様に、ラジカル重合開始剤を用いて単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知の方法で行うことができる。
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、構成成分として重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)を50〜95重量%含有することが好ましく、より好ましくは52〜92重量%、更に好ましくは55〜90重量%である。(b1)の含有量がこの範囲にあると 耐熱保存性と帯電安定性に優れる。
コア/シェル型樹脂粒子(P)は、コア(R)とシェル(S)を含有してなり、コア(R)を構成する結晶性樹脂(A)とシェル(S)を構成するスチレン−アクリル系樹脂(B)は下記の関係式(1)を満たす
15≦X≦55 (1)
X=0.61×AV−0.64×(|SP−SP−0.5|)−0.35×(|E−E+20|)−0.50×Mw/10,000+18.0 (2)
[但し、関係式(2)中、AVは(B)の酸価(mgKOH/g)、SPは(B)の溶解度パラメータ(SP値)、SPは(A)の溶解度パラメータ、Eは(B)のエステル基濃度(重量%)、Eは(A)のエステル基濃度(重量%)、Mwは(B)の重量平均分子量を表す。]
なお、本発明における溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
関係式(1)で示すように、関係式(1)の値は、15〜55の範囲にあり、好ましくは15.5〜52.5、より好ましくは16〜50である。下限未満では低温定着性と耐ホットオフセット性が悪化し、上限を超えると耐熱保存性が悪化する。
スチレン−アクリル系樹脂(B)の酸価は、低温定着性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性、およびドキュメントオフセット性の観点から、5〜40mgKOH/gが好ましく、より好ましくは6〜37mgKOH/gであり、更に好ましくは7〜35mgKOH/gである。
スチレン−アクリル系樹脂(B)のMwは、低温定着性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性、およびドキュメントオフセット性の観点から、5,000〜200,000であり、好ましくは、5,500〜185,000、より好ましくは6,000〜170,000である。
結晶性樹脂(A)及びスチレン−アクリル系樹脂(B)のエステル基濃度は、(A)または(B)中のエステル基[−C(=O)O−]の数から算出することができ、具体的には下記の式によって表される値である。
エステル基濃度(単位:%)=[(N×44)/数平均分子量]×100
ここで、Nは(A)または(B)の1分子当りのエステル基数の平均であり、44はエステル基[−C(=O)O−]の式量である。
実際のエステル基濃度を算出するにあたり、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等で(A)を構成するモノマー組成とエステル基数を求めて算出する方法や、(A)の製造に供した原料の量比からエステル基数を求めて算出する方法もある。
スチレン−アクリル系樹脂(B)は、GPCで得られる分子量分布において、1つまたは2つ以上の分子量ピークを有するが、その際に3,000〜60,000の領域に少なくとも1つのピークを有する。この範囲に1つもピークを有しない場合は、画像強度が悪化する。
スチレン−アクリル系樹脂(B)の120℃における貯蔵弾性率G’(120)は、低温定着性の観点から1×10〜1×10Paが好ましく、より好ましくは3×10〜5×10Pa、更に好ましくは5×10〜1×10Paである。
コア/シェル型樹脂粒子(P)の具体的な製造方法としては、例えば以下の[1]、[2]の方法が挙げられる。
[1]スチレン−アクリル系樹脂(B)の有機溶剤(f)溶液に、結晶性樹脂(A)および必要により界面活性剤(K)を含有する水性分散体(A0)を、撹拌下徐々に加えて、転相乳化する。次に、必要に応じ加熱しながら減圧することで、有機溶剤(f)を留去して、コア/シェル型樹脂粒子(P)および水性媒体(X)を含有する樹脂水性分散体(Q)を得る。
[2]結晶性樹脂(A)、スチレン−アクリル系樹脂(B)および有機溶剤(f)を相溶化させた後、水を加えて撹拌混合して乳化分散液とする。ここにおいて、界面活性剤(K)は、有機溶剤(f)に加えても、水に加えても、(f)と水の両方に加えてもよい。好ましいのは(K)を水に加える方法である。
次に、必要に応じ加熱しながら減圧することで、有機溶剤(f)を留去して、コア/シェル型樹脂粒子(P)および水性媒体(X)を含有する樹脂水性分散体(Q)を得る。
なお、[1]および[2]のいずれの方法においても、本発明の効果を阻害しない範囲で有機溶剤(f)は残存してもよい。なお、必要に応じて、さらに水性媒体(X)を留去してコア/シェル型樹脂粒子(P)を得ることもできる。
上記[1]および[2]のうち、樹脂水性分散体の安定性の観点から、好ましいのは[1]の方法であり、本発明のコア/シェル型樹脂粒子(P)は、(B)の有機溶剤溶液と(A)の水性分散体(A0)とを転相乳化して得られるものが好ましい。
本発明におけるコア/シェル型樹脂粒子(P)中の重量比(A)/(B)は、低温定着性の観点から、好ましくは0.1/99.9〜99/1、より好ましくは0.5/99.5〜90/10、更に好ましくは1/99〜85/15である。
本発明におけるコア/シェル型樹脂粒子(P)の、コアの被覆率(%)は、以下の方法[1]で評価できる。コアの被覆率は、樹脂水性分散体の安定性、トナーの耐熱保存性の観点から、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。
方法[1]TEMによるコアの被覆率(%)評価
作製したコア/シェル型樹脂粒子(P)において、コアがシェルに被覆されている割合は、以下に示す方法で試料を調整し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行う。ランダムに計50個のコア/シェル型樹脂粒子(P)を観察し、コアが露出している粒子とコアが全く露出していない粒子に分けて、コアが全く露出していない粒子数の割合(%)を算出する。
コア/シェル型樹脂粒子(P)を四酸化ルテニウムにて染色し、オートファインコーターを用いて白金蒸着した後、TEM観察を行う。使用するTEMは例えば、「サーマルFE−SEM JSM7000F」JEOL製や「コールドFE−TEM」日立製が挙げられる。
有機溶剤(f)は、結晶性樹脂(A)の水性分散体(A0)を作製する際に、(A)を溶解する目的で使用され、また、コア/シェル型樹脂粒子(P)を作製する際に、シェル成分であるスチレン−アクリル系樹脂(B)を溶解する目的でも使用される。
有機溶剤(f)は、水と相溶しない有機溶剤であれば使用することができる。ここで水と相溶しない有機溶剤とは、水/オクタノール分配係数(logPow)の値が0〜4であるものをいう。logPowは、JIS Z7260−107(2000)に記載のフラスコ振とう法により求めることができる。該係数は、対象とする物質が、オクタノール相と水相の接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度の常用対数で示され、該対象物質の疎水性の指標となるものである。該係数が大であるほど疎水性が大であることを示す。
さらに、コア/シェル型樹脂粒子(P)および水性媒体(X)を含有する樹脂水性分散体(Q)を作製する際に行う脱溶剤のしやすさの観点から、有機溶剤は、水よりも低い沸点であることが好ましい。
有機溶剤(f)としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステルまたはエステルエーテル溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン溶剤;n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらのうち、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。
スチレン−アクリル系樹脂(B)に対する有機溶剤(f)の配合量は、溶液中の(B)の濃度として好ましくは1〜70重量%、より好ましくは2〜65重量%、更に好ましくは3〜60重量%である。
本発明において水性媒体(X)は、水、および水と水溶性の有機溶剤(s)との混合物を意味する。水溶性の有機溶剤(s)としては、ケトン系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等、エステル系溶剤;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等、エーテル系溶剤;THF等、アミド系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等、アルコール系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及び芳香族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
(s)を使用した場合には、樹脂水性分散体の製造途中又は製造後に必要によりこれを留去してもよい。
結晶性樹脂(A)および必要により界面活性剤(K)を含有する水性分散体(A0)の具体的な製造方法としては、例えば以下の[1]、[2]の方法が挙げられる。
[1]結晶性樹脂(A)の有機溶剤(f)溶液に、必要により界面活性剤(K)を含有する水性媒体(X)を、撹拌下徐々に加えて、転相乳化する。次に、必要に応じ加熱しながら減圧することで、有機溶剤(f)を留去して、(A0)を得る。
[2]必要により界面活性剤(K)を含有する結晶性樹脂(A)の有機溶剤(f)溶液に、水性媒体(X)を、撹拌下徐々に加えて、転相乳化する。次に、必要に応じ加熱しながら減圧することで、有機溶剤(f)を留去して、(A0)を得る。
界面活性剤(K)としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤等が挙げられる。なお、界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、炭素数8〜24のアルキル基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩(ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等)、アシル化アミノ酸塩(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型及びアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、3級アミン類と4級化剤[ハロゲン化アルキル(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等)、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート及びエチレンオキサイド等]との反応で得られる化合物等が使用でき、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。アミン塩型カチオン界面活性剤としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。2級アミン塩型のものとしては、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(炭素数10〜18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウム型カルボキシベタイン(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)]、スルホベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシエチルスルホベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン等)、ジメチルアルキル(炭素数10〜18)ジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールエチレンオキサイド付加物(付加モル数1〜30)、高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)、脂肪酸(炭素数8〜18)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルエチレンオキシド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)の脂肪酸(炭素数1〜24)エステル等が挙げられる。
多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数1〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸(炭素数10〜18)アルカノールアミド等が挙げられる。
また、結晶性樹脂(A)および/またはスチレン−アクリル系樹脂(B)酸基を含有する場合、樹脂水性分散体を小粒径化および安定化する目的で、酸中和剤を添加することもできる。
酸中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミン等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、アンモニア、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、およびトリエチルアミンである。
樹脂水性分散体(Q)中のコア/シェル型樹脂粒子(P)の体積基準の平均メジアン径は、(P)の安定性、および後述する凝集を制御する観点から20nm〜2μmであり、好ましくは30nm〜1μm、より好ましくは40nm〜700nmである。
なお、体積基準の平均メジアン径は、光散乱理論を応用したレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置[商品名「LA−700」、(株)堀場製作所製]を用いて測定することができる。
本発明における樹脂粒子(M)は、樹脂水性分散体(Q)中のコア/シェル型樹脂粒子(P)を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去することにより得られる。
(P)を凝集させる方法としては、樹脂水性分散体(Q)に、凝集剤を添加する方法が挙げられる。
凝集剤としては、酸(塩酸、硫酸、硝酸、酢酸及びシュウ酸等)、無機酸の金属塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅及び炭酸ナトリウム等)、脂肪酸の金属塩(酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム及びサリチル酸カリウム等)、芳香族脂肪酸の金属塩(安息香酸ナトリウム等)、フェノール類の金属塩(ナトリウムフェノレート等)、アミン塩(アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩及びアニリン塩酸塩等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、無機酸の金属塩及び脂肪酸の金属塩であり、より好ましいのは無機酸の金属塩である。
凝集剤の添加量は、(P)の重量に基づいて好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.2〜15重量%である。
凝集させたものを熱融着する工程における加熱の温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜100℃である。
加熱の時間は、好ましくは1〜12時間、より好ましくは2〜10時間である。
本発明における着色樹脂粒子(N)は、樹脂水性分散体(Q)と着色剤の水性分散液とを混合して分散液(W)を得た後、分散液(W)中のコア/シェル型樹脂粒子(P)および着色剤を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去することにより得られる。
分散液(W)を得る方法は特に限定されないが、分散機を使用することもできる。
分散機としては、一般に乳化機や分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えばバッチ式乳化機{「ホモジナイザー」(IKA社製)、「ポリトロン」(キネマティカ社製)及び「TKオートホモミキサー」[プライミクス(株)製]等}、連続式乳化機{「エバラマイルダー」[(株)荏原製作所製]、「TKフィルミックス」、「TKパイプラインホモミキサー」[プライミクス(株)製]、「コロイドミル」[神鋼パンテック(株)製]、「スラッシャー」、「トリゴナル湿式微粉砕機」[サンテック(株)製]、「キャピトロン」(ユーロテック社製)及び「ファインフローミル」[太平洋機工(株)製]等}、高圧乳化機{「マイクロフルイダイザー」[みずほ工業(株)製]、「ナノマイザー」[エス・ジーエンジニアリング(株)製]及び「APVガウリン」(ガウリン社製)等}、膜乳化機{「膜乳化機」[冷化工業(株)製]等}、振動式乳化機{「バイブロミキサー」[冷化工業(株)製]等}、超音波乳化機{「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等}等が挙げられる。
本発明における着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、結晶性樹脂(A)と非結晶性樹脂(B)の合計を100重量部とした際に、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは3〜10重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは40〜120重量部である。
着色剤の水性分散液の製造において、分散液の安定性の観点から、界面活性剤、無機分散剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。また、分散の助剤として有機溶剤、可塑剤等を併用することができる。
界面活性剤および有機溶剤としては、前述のものが使用できる。
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、セルロース化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びこれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)重合体(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物及びアクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及び水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール及びポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);リン酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル及びリン酸トリクレジール等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
着色樹脂粒子(N)の製造における凝集および熱融着の方法は、前述の樹脂粒子(M)の場合と同様である。
本発明のトナー(Z)は、着色樹脂粒子(N)を含有してなる。トナー(Z)は、着色樹脂粒子(N)中に、離型剤及び/又は荷電制御剤を含有させることができる。それらは、分散液(W)を得る際に、予め含有させておくことで、(Z)に含有させることができる。
離型剤としては、天然ワックス(蜜ロウ、カルナバワックス及びモンタンワックス等)、石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等)、合成ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス及び酸化ポリプロピレンワックス等)、合成エステルワックス(炭素数10〜30の脂肪酸と炭素数10〜30のアルコールから合成される脂肪酸エステル等)等が挙げられる。
離型剤のTaは、低温定着性の観点から好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは45〜85℃、更に好ましくは50〜80℃である。
離型剤の100℃における動粘度は、低温定着性の観点から好ましくは3〜20[mm/s]であり、より好ましくは4〜19[mm/s]、更に好ましくは5〜18[mm/s]である。
荷電制御剤としては、ニグロシン化合物、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ化合物、銅フタロシアニン化合物、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
荷電制御剤は、トナー(Z)の内部に分散していてもよく、(Z)表面を被覆していてもよく、(Z)内部に分散しかつ(Z)表面を被覆していてもよい。
また、本発明のトナー(Z)には、流動性の観点から外添剤を添加することができる。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
樹脂粒子(M)、着色樹脂粒子(N)、トナー(Z)の体積平均粒径は、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜18μm、更に好ましくは3〜15μmである。
体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
トナー(Z)が、結晶性樹脂(A)とスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有していると、トナーは加熱定着時に融解して、(A)と(B)が相溶する。その結果、(B)が可塑化され、トナーのガラス転移温度が下がり、その溶融粘度も同温度のスチレン−アクリル系樹脂(B)単体に比べ低くなる。その結果、トナーとしての溶融粘度も低くなるため、より低温での定着が可能となる。
(A)と(B)が相溶することによる(B)の溶融粘度の低下は、(A)が(B)に相溶する量に依存しており、相溶する量が多い方が溶融粘度を低下させることができる。トナー中の(A)は、理想的には定着時に全量が(B)に相溶することが好ましい。そのため、低温定着性の観点からは(A)と(B)が相溶しやすい樹脂の組み合わせが好ましい。
一方、加熱定着前のトナーにおいては、(A)が(B)に相溶すると、(B)のガラス転移温度が下がるため、トナーの耐熱保存性が低下する。
そのため、トナー中の(A)と(B)は、加熱定着時なら相溶する樹脂の組み合わせであっても、加熱定着前では相溶せずに相分離した状態で存在することが好ましい。
本発明のトナーは、関係式(3)と関係式(4)を満足することにより、高いレベルでの耐熱保存性と低温定着性の相反する性能を両立し得る。
/(Q×q/100)≧0.8 (3)
/Q≦0.50 (4)
関係式(3)中、Qは結晶性樹脂(A)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
は、トナー(Z)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出される第1回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
qはトナーに対する結晶性樹脂(A)の含有量(重量%)を表す。
また、関係式(4)中、Qは、トナー(Z)の第1回目の昇温過程でQを測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで再び毎分10℃で昇温する第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。
すなわち、本発明のトナー(Z)を上記の条件で昇温、冷却、昇温と繰り返した際に、示差走査熱量計(DSC)により測定すると結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが示される。
そこで、第1回目の昇温過程の吸熱ピークに基づく吸熱量Q、第2回目の昇温過程の吸熱ピークに基づく吸熱量Qとする。
DSCにより測定する際の昇温・冷却条件としては、0℃から10℃/分の条件で150℃まで昇温する(第1回目の昇温過程)。次いで、10℃/分の条件で0℃まで冷却する(第1回目の冷却過程)。さらに、10℃/分の条件で150℃まで昇温する(第2回目の昇温過程)。
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、DSCチャートにおいてQ、Q共にそれらに相当する吸熱ピーク面積を合算した値で吸熱量を計算する。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピーク分を差し引いて求める。なお、トナーにさらに配合する原料のうち、離型剤などの結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。このような場合は、吸熱ピーク面積を合算した値から、結晶性樹脂(A)由来ではない結晶性物質単体の融解熱量(Qw0)と、トナー中の結晶性樹脂(A)由来ではない物質の含有量(q)から以下の式より算出される値(Q)を結晶性樹脂(A)由来ではない物質の融解熱量を差し引くことで算出できる。
=Qw0×q/100
結晶性樹脂(A)由来ではない物質単体の融解熱量(Qw0)と、トナー中の結晶性樹脂(A)由来ではない物質の含有量(q)は、例えば、製造されるトナーの原料の分析結果とその構成比から算出しても良いし、これが不明な場合は、トナーの溶剤抽出等で、この構成物質を分析し、単利分析する方法により、トナー構成比を明らかにした後に算出しても良い。
関係式(3)の左辺の値は、トナーの耐湿熱保存性および帯電安定性の観点から好ましくは0.8以上、より好ましくは0.82以上、更に好ましくは0.85以上である。
関係式(4)の左辺の値はトナーの低温定着性の観点から好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下、更に好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.30以下である。
本発明のトナー(Z)は、下記の式(5)を満たすことが好ましい。
10≦Tg−Tg≦30 (5)
関係式(5)中のTgは、トナー(Z)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。
また、Tgはトナー(Z)の第1回目の昇温過程でTgを測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで毎分10℃で再び昇温したときに検出される第2回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。
ここで、第1回目および第2回目の昇温過程において、ガラス転移温度が2つ以上検出される場合、検出されるガラス転移温度のうち最も低いものをそれぞれTgおよびTgとする。
Tg−Tgの値が10℃未満であると、トナーの低温定着性が不十分であり、また30℃より大きいと、トナーの耐熱保存性が悪化する。
本発明のトナー(Z)中の各成分の含有率は、以下の通りである。
結晶性樹脂(A)の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは2〜50重量%であり、より好ましくは3〜47重量%、更に好ましくは5〜45重量%である。
非結晶性樹脂(B)の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは30〜95重量%であり、より好ましくは32〜93重量%、更に好ましくは35〜90重量%である。
着色剤の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは0.1〜60重量%であり、より好ましくは0.2〜55重量%、更に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、より好ましくは0.5〜25重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。
荷電制御剤の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、より好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%である。
外添剤の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは0〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜7重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%である。
また、トナー(Z)中の着色樹脂粒子(N)の含有率は、(Z)の重量に基づき、好ましくは0.1〜100重量%であり、より好ましくは0.2〜97重量%、更に好ましくは0.5〜95重量%である。
本発明のトナー(Z)は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー(Z)は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を示す。
製造例1
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、エチレングリコール284重量部、アジピン酸650重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で180℃まで冷却し、無水トリメリット酸24重量部を反応槽に入れ、180℃で1時間反応させた後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−1)を得た。
(A−1)のSP値は11.0、エステル基濃度は50.6重量%、Mwは16,000である。
製造例2
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,6−ヘキサンジオール284部、セバシン酸459部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−2)を得た。
(A−2)のSP値は9.8、エステル基濃度は30.4重量%、Mwは24,000である。
製造例3
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,12−ドデカンジオール410重量部、ドデカン二酸432重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で100℃に冷却した。反応槽に、ヘキサメチレンジイソシアネート8部を仕込み、100℃で3時間反応させた後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−3)を得た。
(A−3)のSP値は9.6、エステル基濃度は20.9重量%、Mwは30,000である。
製造例4
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,4−ブタンジオール281部、ドデカン二酸541部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5重量部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で135℃に冷却した。反応槽に、イソホロンジイソシアネート27部を仕込み、135℃で3時間反応させた後、さらに、無水フタル酸25重量部を反応槽に入れ、135℃で3時間反応させた後取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性樹脂(A−4)を得た。
(A−4)のSP値は9.9、エステル基濃度は30.2重量%、Mwは13,000である。
比較製造例1
〔比較の樹脂(A’−1)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物688部、テレフタル酸275部、アジピン酸20部、安息香酸72部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが95℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸17部加え、1時間反応させた。冷却して取り出し、非結晶性ポリエステルである比較の樹脂(A’−1)を得た。
(A’−1)のSP値は11.1、エステル基濃度は17.5重量%、Mwは8,000である。
製造例5
〔スチレン−アクリル系樹脂(B−1)の合成〕
オートクレーブにキシレン800重量部を仕込み、窒素で置換した後、185℃まで昇温した。次いで、同温度でスチレン700重量部、n−ブチルメタアクリレート150重量部、メチルメタアクリレート130重量部、アクリル酸20重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.5重量部およびキシレン350重量部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し、更に同温度で1時間保持した後、キシレンを留去して、スチレン−アクリル系樹脂(B−1)を得た。
(B−1)のAVは16、SP値は10.4、エステル基濃度は10.9重量%、Mwは59,000、G’(120)は8.9×10である。
製造例6
〔スチレン−アクリル系樹脂(B−2)の合成〕
製造例5において、スチレン700重量部、n−ブチルメタアクリレート150重量部、メチルメタアクリレート149重量部、アクリル酸1重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド2.3重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−2)を得た。
(B−2)のAVは5、SP値は10.2、エステル基濃度は11.7重量%、Mwは11,000、G’(120)は6.1×10である。
製造例7
〔スチレン−アクリル系樹脂(B−3)の合成〕
製造例5において、スチレン700重量部、n−ブチルメタアクリレート150重量部、メチルメタアクリレート100重量部、アクリル酸45重量部、ビニルスルホン酸5重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド2.3重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、スチレン−アクリル系樹脂(B−3)を得た。
(B−3)のAVは38、SP値は10.6、エステル基濃度は9.6重量%、Mwは13,000、G’(120)は7.4×10である。
比較製造例2
〔比較のスチレン−アクリル系樹脂(B’−1)の合成〕
製造例5において、スチレン700重量部、n−ブチルメタアクリレート150重量部、メチルメタアクリレート150重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド2.3重量部に置き換えた以外は製造例5と同様にして、比較のスチレン−アクリル系樹脂(B’−1)を得た。
(B’−1)のAVは0、SP値は10.3、エステル基濃度は11.8重量%、Mwは15,000、G’(120)は1.1×10である。
製造例8
〔(A−1)の水性分散体(A0−1)の製造〕
容器に(A−1)10重量部とメチルエチルケトン90重量部を仕込み、これに界面活性剤としてポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル「イオネット DS−300」[三洋化成工業(株)製]0.5重量部を添加し、40℃で1時間撹拌した。その後、40℃で水190重量を2時間かけて滴下して転相乳化させたものを、50℃において30kPaの減圧下でメチルエチルケトンを留去して、固形分濃度を調整する目的で水を加え、固形分濃度が5重量%である(A−1)の水性分散体(A0−1)を得た。
製造例9〜11、および比較製造例3
〔水性分散体(A0)および(A’0)の製造〕
製造例8において、(A−1)を(A−2)〜(A−4)および(A’−1)に置き換えた以外は製造例8と同様にして、(A−2)の水性分散体(A0−2)、(A−3)の水性分散体(A0−3)、(A−4)の水性分散体(A0−4)、および比較の(A’−1)の水性分散体(A’0−1)をそれぞれ得た。
実施例1
〔コア/シェル型樹脂粒子(P−1)の水性分散体(Q−1)の製造〕
容器に(B−1)75重量部とメチルエチルケトン75重量部を仕込み、40℃で1時間撹拌した。その後、40℃で(A0−1)200重量部を2時間かけて滴下して転相乳化させたものを、50℃において30kPaの減圧下でメチルエチルケトンを留去して、固形分濃度を調整する目的で水を加え、固形分濃度が30重量%であるコア/シェル型樹脂粒子(P−1)の水性分散体(Q−1)を得た。
(P−1)の体積基準のメジアン径は90nmであった。
実施例2〜7
〔コア/シェル型樹脂粒子(P)の水性分散体(Q)の製造〕
実施例1において、表1の重量部に従って(B)と(A0)を仕込んだ以外は実施例1と同様にして、コア/シェル型樹脂粒子(P−2)〜(P−7)の水性分散体(Q−2)〜(Q−7)をそれぞれ得た。(P−2)〜(P−7)の体積基準のメジアン径を表1に示す。
Figure 2016190916
比較例1〜4
〔比較の樹脂粒子(P’)の水性分散体(Q’)の製造〕
実施例1において、表1の重量部に従って、(B)、(B’)、(A0)、(A’0)を仕込んだ以外は実施例1と同様にして、比較の樹脂粒子(P’−1)〜(P’−4)の水性分散体(Q’−1)〜(Q’−4)をそれぞれ得た。(P’−1)および(P’−2)は、コア/シェル型ではなく、(P’−1)は(A−1)のみ、(P’−2)は(B−1)のみからなる樹脂粒子であり、(P’−3)および(P’−4)は、コア/シェル型樹脂粒子である。
(P’−1)〜(P’−4)の体積基準のメジアン径を表1に示す。
製造例12〔着色剤分散液の製造〕
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、カーボンブラック「MA100」[三菱化学(株)製]10重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、イオン交換水40重量部を投入し、撹拌下30℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、更にウルトラビスコミルで湿式粉砕し、着色剤分散液を得た。得られた着色剤分散液の固形分濃度は20重量%であった。
製造例13〔離型剤分散液の製造〕
撹拌装置、加熱冷却装置、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス「HNP−9」[融解熱最大ピーク温度:73℃、日本精鑞(株)製]10重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、イオン交換水15重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してパラフィンワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル(アイメックス製)で湿式粉砕し、離型剤分散液を得た。得られた離型剤分散液の固形分濃度は50重量%であった。
実施例8〜14、比較例5〜8
〔トナー(Z)、樹脂粒子(M)および比較のトナー(Z’)の作製〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コア/シェル型樹脂粒子(P)の水性分散体(Q)、着色剤分散液、および離型剤分散液を固形分で表1となるように仕込み、イオン交換水300重量部を仕込み、液温を30℃に調整した後、撹拌しながら濃度25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、系の温度を45℃に調整し、コア/シェル型樹脂粒子(P)、着色剤、および離型剤の凝集を行うため、撹拌しながら濃度10重量%の塩化マグネシウム水溶液を加えていき、適宜にサンプリングを行い、粒度分布測定装置(コールターマルチサイザー3 ベックマンコールター社製)を用いて粒径5μmであることを確認した後、系の温度を60℃に調整し、撹拌しながら3時間保持することにより融着を行った。
その後、30℃まで冷却して着色樹脂粒子の水性分散液を得た。次いで洗浄、濾別し、40℃で18時間乾燥を行い、揮発分を0.5重量%以下とした。得られた着色樹脂粒子99重量部と外添剤「アエロジルR972」[日本アエロジル製]1重量部とを均一混合して、本発明のトナー(Z−1)〜(Z−6)、比較のトナー(Z’−1)〜(Z’−4)を得た。
着色剤分散液および離型剤分散液を仕込まない、および得られた樹脂粒子を外添剤と混合しないこと以外は同様にして、本発明の樹脂粒子(M−7)を得た。
本発明のトナー(Z−1)〜(Z−6)、および比較のトナー(Z’−1)〜(Z’−4)について、下記の方法により、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の評価を行った。本発明の樹脂粒子(M−7)については、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性のみ評価を行った。これらの性能結果および物性値を表1に示す。
[評価方法]
以下に低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の評価方法、判定基準を説明する。
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cmとなるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cmの条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
<画像強度>
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
<耐折り曲げ性>
低温定着性の評価で定着した画像を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦る。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
<ドキュメントオフセット性>
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm)をかけ、65℃で10分間静置する。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
[判定基準]
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
表1の評価結果から明らかなように、本発明のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。一方、コア(R)が結晶性樹脂(A)を含有し、シェル(S)がスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有し、かつ式(1)を満たすコア/シェル型樹脂粒子(P)を含有しない比較のトナーは、いくつかの性能項目が不良であった。
本発明のトナーは、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立しつつ、トナーの耐熱保存性、帯電安定性、画像強度、耐折り曲げ性およびドキュメントオフセット性に優れる、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーとして有用である。

Claims (14)

  1. コア(R)が結晶性樹脂(A)を含有し、シェル(S)がスチレン−アクリル系樹脂(B)を含有する体積基準の平均メジアン径が20nm〜2μmであるコア/シェル型樹脂粒子(P)、および水性媒体(X)を含有する樹脂水性分散体(Q)であって、スチレン−アクリル系樹脂(B)が、重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)と、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(b2)と、カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体(b3)および/又はスルホ基と重合性二重結合を有する単量体(b4)とを構成単位として有し、かつ(A)と(B)が下記の関係式(1)を満たす樹脂水性分散体(Q)。
    15≦X≦55 (1)
    X=0.61×AV−0.64×(|SP−SP−0.5|)−0.35×(|E−E+20|)−0.50×Mw/10,000+18.0 (2)
    [但し、関係式(2) 中、AVは(B)の酸価(mgKOH/g)、SPは(B)の溶解度パラメータ(SP値)、SPは(A)の溶解度パラメータ、Eは(B)のエステル基濃度(重量%)、Eは(A)のエステル基濃度(重量%)、Mwは(B)の重量平均分子量を表す。]
  2. スチレン−アクリル系樹脂(B)が構成単量体として重合性二重結合を有する芳香族炭化水素(b1)を50〜95重量%含有する請求項1に記載の樹脂水性分散体(Q)。
  3. スチレン−アクリル系樹脂(B)の酸価が5〜40mgKOH/gである請求項1または2のいずれかに記載の樹脂水性分散体(Q)。
  4. スチレン−アクリル系樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる分子量分布において、3,000〜60,000の領域に少なくとも1つのピークを有する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂水性分散体(Q)。
  5. スチレン−アクリル系樹脂(B)の120℃における貯蔵弾性率G’(120)が1×10〜1×10(Pa)である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂水性分散体(Q)。
  6. 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有する請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂水性分散体(Q)。
  7. 結晶性樹脂(A)の重量平均分子量が3,000〜50,000である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂水性分散体(Q)。
  8. スチレン−アクリル系樹脂(B)の有機溶剤溶液と結晶性樹脂(A)の水性分散体(A0)とを転相乳化して得られる請求項1〜7いずれか記載の樹脂水性分散体(Q)。
  9. 請求項1〜8いずれか記載の樹脂水性分散体(Q)中のコア/シェル型樹脂粒子(P)を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去して得られる樹脂粒子(M)。
  10. 請求項1〜8いずれか記載の樹脂水性分散体(Q)と着色剤の水性分散液とを混合して分散液(W)を得た後、分散液(W)中のコア/シェル型樹脂粒子(P)および着色剤を凝集させ熱融着させた後、水性媒体(X)を除去して得られる着色樹脂粒子(N)
  11. 請求項10に記載の着色樹脂粒子(N)を含有してなるトナー(Z)。
  12. 下記の関係式(3)および(4)を満たす請求項11に記載のトナー(Z)。
    /(Q×q/100)≧0.8 (3)
    [関係式中、Qは(A)を0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程における(A)の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。Qは、トナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに検出される第1回目の昇温過程における(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。qはトナーに対する(A)の含有量(重量%)を表す。]
    /Q≦0.50 (4)
    [式中、Qは、トナーの第1回目の昇温過程でQを測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで再び毎分10℃で昇温する第2回目の昇温過程における(A)に由来の吸熱ピークに基づく吸熱量[J/g]を表す。]
  13. 下記の関係式(5)を満たす請求項11または12に記載のトナー(Z)。
    10≦Tg−Tg≦30 (5)
    [関係式(5)中、Tgはトナーを0℃から150℃まで毎分10℃で昇温したときに示差走査熱量測定で検出される第1回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。また、Tgはトナーの第1回目の昇温過程でTgを測定した後に、150℃から0℃まで毎分10℃で冷却した後、0℃から150℃まで毎分10℃で再び昇温したときに検出される第2回目の昇温過程におけるガラス転移温度(℃)を表す。]
  14. トナー中の結晶性樹脂(A)の含有率が、2〜50重量%である請求項11〜13のいずれかに記載のトナー(Z)。
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