JP6529385B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷潜像を顕在化するトナー及びトナーの製造方法に関する。
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、更なる高精細フルカラー画像を出力する手段が要望されている。このことから、市場で要求されている重要品質として安定して高画質が得られることが挙げられる。その中で、特にヘビーユーザーは高耐久性や保存安定性を重視し、時と場所、さらには使用期間に制限されることなく画像を出力できることを強く望む。また一般ユーザーにおいても、高画質、装置の小型化、定着温度の低温化、さらには着色力の向上といった多岐にわたる要望を有している。
一方、静電荷潜像をトナーによって顕在化する画像形成動作に伴う一連の動作は、いずれもトナーとトナー、又は、トナーと部材との接触を伴うものであり、このような接触の度にトナーは負荷を繰り返し受ける。このような負荷により、トナーの一部又は全部が損傷を受けて、トナーは現像剤として求められる流動性及び摩擦帯電性が次第に低下してくる。そして、このような状態のトナーは帯電量の低下や帯電分布の不均一、さらにはトナーの搬送性に代表されるトナー物性が現像機内でより低下し、画像上の不具合が発生することが分かってきている。
これらの課題に対して、例えば、特許文献1では、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含むコア粒子をシェル層で被覆したコアシェル型構造とし、さらには平均破壊強度をある一定範囲内に規定したトナーとすることにより、保存安定性を向上させた技術が開示されている。
さらには、例えば、特許文献2では、4価以上の多価アルコールとカルボン酸化合物との多官能エステル化合物と、1価アルコールとカルボン酸化合物との単官能エステル化合物とを特定割合で組み合わせて使用することにより、低温定着性、保存性、及び印字耐久性に優れた静電荷像現像用トナーを得る技術が開示されている。
特開2007−171272号公報 特開2009−133922号公報
確かに上記先行技術により、トナーとしての性能は向上している。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、いずれの先行技術も充分とはいえなかった。
中でも、保存安定性と、長期にわたる連続使用時における画像弊害の防止とを両立するなど、市場にて要求されている品質を満たす為には依然として改善の余地があるといわざるを得ないのが実状である。
したがって、本発明は、保存安定性に優れ、かつ、長期にわたる連続使用時における画像弊害、並びに、割れ及び欠けが防止されたトナーを提供するものである。
本発明は、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
該非晶性ポリエステル樹脂Aが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し
、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂を構成する重合性単量体、該着色剤、該ワックス及び該非晶性ポリエステル樹脂A含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、
該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程を含み、
該非晶性ポリエステル樹脂Aが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することを特徴とするトナーの製造方法である。
Figure 0006529385
本発明によれば、保存安定性に優れ、かつ、長期にわたる連続使用時における画像弊害、並びに、割れ及び欠けが防止されたトナーを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトナーは、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
該非晶性ポリエステル樹脂Aが上記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、上記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物
を含有することを特徴とする。
上記条件を満たすことにより本発明の効果が得られることについての詳細な理由は明確ではないが、本発明者らは次のように考えている。
トナーの保存安定性の観点からは、コアシェル構造のトナーにおけるシェルはワックスを遮蔽する能力が十分に高いことが好ましい。
その為、シェルを形成する樹脂はワックスと親和性が低い樹脂であることが好ましい。一方、そのようなシェルは相分離性が高いのでトナーの弾性が低くなりやすい。
そして、そのようなトナーは、連続使用時における繰り返しの負荷を受けることにより割れや欠けが発生し、トナーの現像剤として求められる流動性及び摩擦帯電性が次第に低下して画像弊害が発生する。
したがって、本発明において、非晶性ポリエステル樹脂Aは、上記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、該式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、2.00mol%以上19.00mol%以下であることが好ましい。
また、該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、2.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
該条件を満たすことで、ワックスの遮蔽能力が十分に高いトナーとすることが可能となり、トナーの保存安定性が向上する。
一方で、非晶性ポリエステル樹脂Aはイソソルビドユニットを含有しているが故に相分離性が高い。その結果、トナーの弾性が低くなり、該非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたトナーは、長期にわたる連続使用時において、トナーの割れや欠けが発生することも分かってきた。
そこで、本発明のトナーにおいて、ワックスは、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有する。
上記ワックスを使用した場合、トナー中でワックスと、結着樹脂を含む他のトナー材料との分子レベルでの絡み合いが増すことによりトナーの弾性が向上し、長期にわたる連続使用時におけるトナーの割れや欠けの発生を防止する。
また、該ワックスは、非晶性ポリエステル樹脂Aとの親和性も低いので、該非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルとワックスの相分離性が高くなり、ワックスの遮蔽性が十分なものとなる。その結果、保存時におけるワックスのトナー表面への染み出し現象に起因するトナーの保存安定性の低下を抑制することが可能となる。
一方、ワックスは、6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することが好ましい。
ワックスが該エステル化合物を含有する場合には、その分子鎖の分岐性が強いことにより、結着樹脂及びシェルを形成する樹脂と該ワックスとの分子的な絡み合いが増すことでトナーの弾性がより向上するものと考えられる。これにより、ワックスが該エステル化合物を含有する場合には、トナーの割れや欠けの発生防止能力がより向上する。
また、本発明において、6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物の中でも、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物が、より良好な効果を発現する。
本発明において、該ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0
質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
ワックスの含有量が、上記の範囲である場合には、長期にわたる連続使用時におけるトナーの割れや欠けの発生をより防止するだけでなく、トナーの保存安定性がより向上する。
これは、ワックスの含有量が1.0質量部以上の場合、ワックスのトナー弾性付与効果が十分発揮され、トナーの割れや欠けの発生防止能力が向上するからである。
また、ワックスの含有量が20.0質量部以下の場合、トナーに含有されるワックス量が適度な量となり、シェルによる十分な遮蔽効果がより発現され、トナーの保存安定性がより向上すると考えられる。
ここで、非晶性ポリエステル樹脂Aにおけるイソソルビドユニットの含有割合が0.10mol%以上20.00mol%以下の場合には、トナーの保存安定性が良化するだけではなく、長期にわたる連続使用時におけるトナーの割れや欠けの発生を防止する。
イソソルビドユニットの含有割合が0.10mol%以上の場合、ワックスと非晶性ポリエステル樹脂Aとの親和性が抑制されることによりトナーの保存安定性が向上する。
一方で、イソソルビドユニットの含有割合が20.00mol%以下の場合、シェルの相分離性とトナーの弾性が適度に保たれることで、トナーの割れや欠けの発生を防止するものと考えている。
該イソソルビドユニットの含有割合は、非晶性ポリエステル樹脂Aを製造する際のイソソルビドモノマーの含有量を調整することにより制御できる。ここで、モノマーユニットとは、重合体中のモノマー物質の反応した形態をいう。
上述のように非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下である。
本規定を満たすことにより、トナーの保存安定性が良化し、さらには長期にわたる連続使用時におけるトナーの割れや欠けの発生を防止する。
非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が1.0質量部以上の場合、シェルとして機能する非晶性ポリエステル樹脂Aが本発明の作用効果を発現する上で十分な量となる。
一方、非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が20.0質量部以下の場合、シェルの相分離性が過剰にならず、トナーの適度な弾性が保たれることでトナーの割れや欠けの発生を防止するものと考えている。
該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量は、トナー製造時の添加量を調整することにより制御できる。
本発明において、結着樹脂は、特に限定されることはなく、従来公知のスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、スチレンメタクリル系樹脂、エポキシ樹脂、スチレンブタジエン系樹脂、又は上記非晶性ポリエステル樹脂A以外のポリエステル樹脂などが挙げられる。
本発明において、結着樹脂は、スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方を含有することが本発明の効果を発現する上で好ましい。また、該スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方の含有量は、結着樹脂中に50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
結着樹脂中のスチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方の含有量が上記範囲である場合には、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルとの相分離性が良好となり、結着樹脂のトナー表面露出が抑制され、保存安定性がさらに良好なトナーとなる。
本発明のトナーの製造方法(以下単に、本発明の製造方法ともいう)は、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂を構成する重合性単量体、該着色剤、該ワックス及び該非晶性ポリエステル樹脂A含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、
該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程を含み、
該非晶性ポリエステル樹脂Aが上記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することを特徴とする。
本発明のトナーは、水系媒体中でトナー組成物の粒子を形成する工程を経ることにより、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルをより選択的にトナー表面に存在させることが可能となる。その結果、ワックスの遮蔽性がより強化される。
また、トナー組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合する工程において、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルは、非晶性ポリエステル樹脂Aの析出過程が連続的に進行することにより、非晶性ポリエステル樹脂Aをさらに選択的にトナー表面に偏在させることが可能となる。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂Aは、より親水性の高いイソソルビドユニットを含有するため、トナー表面への偏在化がより顕著になる。
一方で、ワックスは、重合性単量体の溶液状態から極性場における析出過程を経ることで適度にトナーの内側に配置されることになる。その結果、ワックスの内包化がより強化される。以上のことにより、トナーの保存安定性がより強化される。
本発明において、重合性単量体の溶解性パラメータ(SP値)をSPaとし、
非晶性ポリエステル樹脂Aの溶解性パラメータ(SP値)をSPbとしたとき、
下記式(2)を満たすことが好ましい。本発明のトナーの効果の発現をより向上させる上で好ましい形態である。
0.70≦SPb−SPa≦1.30 式(2)
ここで、上記式(2)を満たす場合には、トナーのコアとシェルの相分離性がより適度なものとなる。
すなわち、SPb−SPaが0.70以上の場合、コアとシェルの相分離性がより良好となることでトナーのシェル形成がより強固なものとなる。その結果、ワックス及び結着樹脂の遮蔽性が良化して、トナーの保存安定性がより良好なものとなる。
一方、SPb−SPaが1.30以下の場合には、コアシェルの過剰な相分離が抑制されることでトナーの脆性が抑制される。その結果、トナーの割れや欠けの発生防止能力が向上する。
なお、本発明において、0.75≦SPb−SPa≦1.00、を満たすことがより好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂Aの溶解性パラメータ(SP値)をSPbとし、
ワックスの溶解性パラメータ(SP値)をSPcとしたとき、
下記式(3)を満たすことが好ましい。本発明のトナーの効果の発現をより向上させる上で好ましい形態である。
1.40≦SPb−SPc≦2.10 式(3)
ここで、上記(3)式を満たす場合には、シェルとワックスの相分離性がより適度なものとなる。
すなわち、SPb−SPcが1.40以上の場合、シェルとワックスの相分離性がより良好となることでシェルによるワックスの遮蔽性が良化する。その結果、トナーの保存安定性がより良好なものとなる。
一方、SPb−SPcが2.10以下である場合には、ワックスが適度にトナー表層近傍にも存在することによりトナー全体の弾性が向上する。その結果、トナーの割れや欠けの発生防止能力が向上する。
なお、本発明において、1.45≦SPb−SPc≦2.00、を満たすことがより好ましい。
なお、各樹脂の溶解性パラメータ(SP値)は、該樹脂を構成する単量体の物性で制御することが可能である。また、SP値は、Fedorsの方法により算出することができる。具体的には、ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に詳しく記載されており、下記式によりSP値を算出することができる。
式:SP値[単位:(cal/cm1/2]=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子又は原子団のモル体積)
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂Aの製造方法としては、例えば、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、エステル交換反応で製造することができる。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば、酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
好ましい製造方法としては、原料の多様性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物を用いた脱水縮合反応である。
具体的には、ジカルボン酸又はその無水物(モノマー)と、下記式(4)で示されるイソソルビド及び二価のアルコール(モノマー)とを、窒素雰囲気中、180〜260℃の反応温度で脱水縮合する方法が挙げられる。また、本発明の効果を阻害しない限り、必要に応じて三価以上の多塩基酸又はその無水物、一塩基酸、三価以上のアルコール、一価のアルコールなどを用いることも可能である。
また、全モノマー成分中、43〜57mol%がアルコールモノマーであり、43〜57mol%が酸モノマーであることが好ましい。
Figure 0006529385
二価のアルコールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピ
レン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのような脂肪族系のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAのようなビスフェノールA類が挙げられる。
三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
二価以上のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸のような芳香族多価カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸のような炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸などの脂肪族多価カルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜8)エステルが挙げられる。
それらの中でも特に、ビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルを酸成分として、これらを縮重合して得られるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
また、本発明において、非晶性ポリエステル樹脂Aと共に、従来公知のポリエステル樹脂を、本発明の効果を阻害しない程度に併用してもよい。
該非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は、0.5mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価が上記範囲内であれば、良好な現像耐久性及び良好な帯電性が得られやすい。
非晶性ポリエステル樹脂Aによるワックスの内包化と、吸湿性による帯電性のバランスにより上記のような最適範囲が存在すると考えられる。
また、前述したトナーの製造方法を用いる場合、トナーとなるトナー組成物と水系媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した非晶性ポリエステル樹脂Aがトナー表面にシェルを形成する。非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価を上記範囲とすることにより本発明の作用効果がより発現し易くなり好ましい。
なお、非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は、重合時のモノマー組成比などによって制御可能である。
非晶性ポリエステル樹脂Aのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)は、5000以上30000以下であることが好ましい。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、良好な現像耐久性及び良好な低温定着性が得られやすい。
非晶性ポリエステル樹脂Aによるワックスの内包化と、低温定着性を阻害しない程度の適度な分子量により上記のような最適範囲が存在すると考えられる。
また、前述したトナーの製造方法を用いる場合、トナーとなるトナー組成物と水系媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した非晶性ポリエステル樹脂Aがトナー表面にシェルを形成する。非晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)を、低温定着性を
阻害しない範囲で適度に高くすることで、重合反応が進む過程で適度に速く析出させることができ、ワックスの内包化を促進するものと考えられる。
本発明において、ワックスは、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有する。
本発明において、アルコール又はカルボン酸の1分子中にOH基又はCOOH基が、n個存在する場合に、n価と表現する。
該脂肪族モノカルボン酸は、炭素数16以上25以下の脂肪族モノカルボン酸であることが好ましく、炭素数18以上22以下の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましい。
炭素数16以上25以下の脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸などが挙げられる。
該脂肪族モノアルコールは、炭素数16以上25以下の脂肪族モノアルコールであることが好ましく、炭素数18以上22以下の脂肪族モノアルコールであることがより好ましい。
炭素数16以上25以下の脂肪族モノアルコールの具体例としては、セタノール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールなどが挙げられる。
4価以上6価以下(すなわち、4価、5価及び6価)のアルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリンなどが挙げられる。
これらの組み合わせから得られるエステル化合物のうち、ペンタエリスリトールと炭素数16以上25以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、及び、ジペンタエリスリトールと炭素数16以上25以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物が好ましく、より好ましくはジペンタエリスリトールと炭素数16以上25以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物である。
本発明のトナーは、本発明の効果を阻害しない程度に、その他のエステルワックス、又はその他のワックスを含有させてもよい。具体的には以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムのような石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸;酸アミドワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックスなど。
該誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物又はグラフト変性物などが挙げられる。
本発明のトナーの製造方法について、さらに詳細に説明するが、以下の説明に限定されない。
本発明のトナーの製造方法の具体的手順は、以下の通りである。
まず、結着樹脂を構成する重合性単量体、着色剤、ワックス及び非晶性ポリエステル樹脂A、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤及びその他の添加剤を混合し、攪拌機などによって均一に溶解又は分散して、トナー組成物を作製する。
得られたトナー組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に添加し、高速撹拌機又は超音波分散機のような撹拌機を用いて分散し、水系媒体中でトナー組成物の粒子を形成する。
そして、該粒子に含まれる重合性単量体を光や熱により重合する。重合によって得られた粒子は、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤などを混合し表面に付着させることで、トナーとするとよい。
該製造方法において、重合開始剤は、上記のように重合性単量体中にその他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中でトナー組成物の粒子を形成する直前に混合してもよい。また、粒子の形成直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
該製造方法を用いた場合、個々のトナー形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布が均一となる。また、水系媒体中でトナー組成物を懸濁させて重合性単量体を重合させるため、各材料はその極性に応じてトナーの表層から極性の高い順に配置される。このことにより、極性の高い非晶性ポリエステル樹脂Aをトナーのより表層に選択的に存在させることが可能となる。その結果、非晶性ポリエステル樹脂Aはシェルとしてより効果的に作用させることができる。
上記重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が好ましい。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体又は多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明において、単官能性重合性単量体を単独若しくは2種以上組み合わせて、又は、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用するとよい。
また、多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
該重合性単量体は、スチレン又はスチレン誘導体のようなスチレン系重合性単量体、並びに、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また、重合性単量体中の、スチレン系重合性単量体、並びに、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体の少なくとも一方の含有量は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5〜30時間のものである。また、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
重合開始剤としては、以下の、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドのような過酸化物系重合開始剤などが例示できる。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤などをさらに添加し用いることも可能である。
上記着色剤としては、黒色着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤などが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214などが例示できる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48
:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。
該着色剤の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明において、磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。その場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。
該磁性材料としては、以下の、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物などが例示できる。
磁性材料は、好ましくは、表面改質されたものである。本発明の製造方法により磁性トナーを調製する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
該磁性材料は、個数平均粒径が2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。トナー中における該磁性材料の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
本発明において、トナーの帯電特性を安定化するために、トナー組成物又はトナーに帯電制御剤を配合してもよい。
帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。
さらに、本発明の製造方法を用いる場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない帯電制御剤が特に好ましい。
具体的な化合物としては、負帯電制御剤として、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸のような芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料若しくはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、正帯電制御剤として、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
帯電制御剤の添加量は、トナー組成物に配合する場合、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下である。
一方、トナーに外添する場合、トナー100質量部に対して、0.005質量部以上1.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上0.3質量部以下である。
上記水系媒体に添加される分散剤としては、公知の無機化合物及び有機化合物を用いる
ことができる。
無機化合物としては、以下のものが挙げられる。
リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
該分散剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて無機化合物を生成させて用いてもよい。
例えば、リン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
一方、有機化合物としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン。
分散剤の使用量は、トナー組成物100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明において、トナーの流動性を向上させる目的で、流動性向上剤をトナーに外部添加(外添)してもよい。
流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂微粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛のような脂肪酸金属塩;酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子のような金属酸化物微粒子又は上記金属酸化物微粒子を疎水化処理した微粒子;及び湿式製法のシリカ微粒子、乾式製法のシリカ微粒子のようなシリカ微粒子又はそれらシリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルのような処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粒子などが例示できる。
また、流動性向上剤の一次粒子の個数平均粒径は、4nm以上80nm以下であることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。
流動性向上剤の添加量は、トナー100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。添加量が上記範囲内であれば、定着性の低下を抑制しつつ、十分な流動性の向上効果が得られる。
上記外部添加(外添)の方法は公知であり、例えば、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
以下に、本発明に係る各物性値の測定方法について説明する。
<樹脂の酸価の測定>
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとした。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウム溶液の量から求める。0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した樹脂2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<非晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)の測定>
非晶性ポリエステル樹脂Aのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、非晶性ポリエステルAをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例などに制限されるものではない。なお、実施例中及び比較例中で記載されている「部」及び「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<非晶性ポリエステル樹脂Aの製造例1>
無水トリメリット酸以外の原材料を表1に示した仕込み量で混合した混合物100質量部と、触媒としてのジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52質量部とを、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した6リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて重縮合反応させた。
さらに、210℃にて無水トリメリット酸を添加して、40kPaの減圧下にて反応を行い、重量平均分子量(Mw)が14000になるまで反応を続けた。得られた非晶性ポリエステル樹脂Aを非晶性ポリエステル樹脂A−1とする。
得られた非晶性ポリエステル樹脂Aの組成は、表1に記載の仕込み量通りの組成であった。また、得られた非晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は表1のように
なった。
また、非晶性ポリエステル樹脂Aの構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)を用いて決定し、その組成比を算出した。具体的な測定方法は下記の通りである。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加した。該サンプルチューブを40℃の恒温槽にいれ、試料を溶解して測定試料を調製した。当該測定試料を用いて上記条件にて測定した。
さらに、求められた単量体組成に基づき、前述のFedorsの方法によりSP値を算出した。
<非晶性ポリエステル樹脂Aの製造例2〜7>
酸成分とアルコール成分の仕込み量を表1のように変更し、各々の所望の重量平均分子量(Mw)になるまで反応を続けることを除いて、非晶性ポリエステル樹脂Aの製造例1と同様に製造し、ポリエステル樹脂A−2〜7を製造した。ポリエステル樹脂A−2〜7の物性を表1に示す。
Figure 0006529385
<トナーの製造例1>
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム2.3質量部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を得た。また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
・スチレン 45.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂A−1 5.0質量部
また、下記の材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)で分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン 30.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.4質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学工業社製) 1.0質量部
・ワックス 9.0質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:DP18)
次に、該微粒状着色剤含有単量体と該樹脂含有単量体を均一に混合してトナー組成物を得た後、該トナー組成物を60℃に加温し、次いで、該トナー組成物を上記水系媒体中に投入して、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、、該トナー組成物の粒子を形成した。そして、これに重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート10.0質量部を加えて10分間、粒子の形成を継続した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、75℃で5時間反応させた後、85℃まで昇温し、さらに5時間反応を行い、重合反応を行った。
重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該スラリーに塩酸を加えてリン酸三カルシウムを溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。そして、該湿潤着色粒子を温度40℃にて72時間乾燥し、トナー粒子1を得た。
100質量部のトナー粒子1と、BET値が300m/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子1.6質量部とをヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合してトナー1を得た。トナー1の物性を表2に示す。
<トナーの製造例2〜3>
トナーの製造例1のC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントレッド269に変更した以外は同様の方法により、それぞれトナー2〜3を得た。各物性を表2に示す。
<トナーの製造例4>
トナーの製造例1のC.I.ピグメントブルー15:3をカーボンブラックに変更した。さらには、ワックスをジペンタエリスリトールヘキサパルミチレートに変更する以外は同様の方法によりトナー4を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例5>
トナーの製造例1において、非晶性ポリエステル樹脂A−1を非晶性ポリエステル樹脂A−2に変更し、その添加量を20.0質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー5を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例6>
トナーの製造例1において、非晶性ポリエステル樹脂A−1を非晶性ポリエステル樹脂A−3に変更し、その添加量を1.0質量部に変更した。さらには、ワックスをジペンタエリスリトールヘキサベヘネート変更し、その添加量を20.0質量部とした以外は同様の方法によりトナー6を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例7>
トナーの製造例1において、ワックスをペンタエリスリトールテトラステアレートに変更した以外は同様の方法によりトナー7を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例8>
トナーの製造例1において、ワックスをペンタエリスリトールテトラベヘネートに変更した以外は同様の方法によりトナー8を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例9>
トナーの製造例1において、ワックスの含有量を0.8質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー9を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例10>
トナーの製造例1において、ワックスの含有量を22.0質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー10を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例11>
トナーの製造例5において、非晶性ポリエステル樹脂A−2を非晶性ポリエステル樹脂A−4に変更し、さらに、ワックスの含有量を1.0質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー11を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例12>
トナーの製造例6において、非晶性ポリエステル樹脂A−3を非晶性ポリエステル樹脂A−5に変更した。また、ワックスをジペンタエリスリトールヘキサステアレートに変更した以外は同様の方法によりトナー12を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例13>
トナーの製造例4において、非晶性ポリエステル樹脂A−1を非晶性ポリエステル樹脂A−4に変更した以外は同様の方法によりトナー13を得た。物性を表2に示す。
<トナーの製造例14>
トナーの製造例6において、非晶性ポリエステル樹脂A−3を非晶性ポリエステル樹脂A−5に変更し、その含有量を5.0質量部とした。また、ワックスの添加量を9.0質量部に変更した。それ以外は同様の方法によりトナー14を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例1>
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 100.0質量部
(ピーク分子量(Mp);25000、重量平均分子量(Mw)=30000、ガラス転移温度(Tg);50℃)
・ポリエステル樹脂A−1 5.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.4質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学工業社製) 1.0質量部
・ワックス 9.0質量部
(ペンタエリスリトールテトラステアレート:PE18)
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、風力分級して粒径と粒度分布を調整し着色粒子を得た。
次いで該着色粒子を窒素雰囲気下、スプレードライヤーを用いて80℃で1時間加熱球形化処理を行い、その後、冷却してトナー粒子を得た。
100質量部のトナー粒子と、BET値が300m/gであり、一次粒子の個数平均粒径が8nmの疎水性シリカ微粒子1.6質量部とをヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合して比較トナー1を得た。比較トナー1の物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例2>
トナーの製造例6において、非晶性ポリエステル樹脂A−3を非晶性ポリエステル樹脂A−6に変更し、その含有量を5.0質量部とした。また、ワックスの含有量を9.0質量部に変更した。以外は同様の方法により比較トナー2を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例3>
トナーの製造例7において、非晶性ポリエステル樹脂A−1を非晶性ポリエステル樹脂A−7にした以外は同様の方法により比較トナー3を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例4>
トナーの製造例1において、非晶性ポリエステル樹脂A−1の含有量を0.5質量部に変更し、さらにはワックスをジペンタエリスリトールヘキサベヘネートに変更した以外は同様の方法により比較トナー4を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例5>
トナーの製造例7において、非晶性ポリエステル樹脂A−1の含有量を23.0質量部に変更した以外は同様の方法により比較トナー5を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例6>
トナーの製造例1において、ワックスをグリセリントリパルミチレートに変更した以外は同様の方法により比較トナー6を得た。物性を表2に示す。
<比較トナーの製造例7>
トナーの製造例1において、ワックスをトリペンタエリスリトールオクタベヘネートに変更した以外は同様の方法により比較トナー7を得た。物性を表2に示す。
Figure 0006529385
<実施例1>
トナー1を下記評価項目について評価した。評価結果を表3に示す。
<保存安定性の評価>
保存時の安定性を評価するために耐ブロッキング性の評価を実施した。約5gのトナーを100mlのプラスティックカップに入れ、温度55℃、湿度5%RH環境下で3日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm
(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、温度23℃、湿度60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように3日放置したトナーを、予め温度23℃、湿度60%RH環境下において24時間放置し、そのうちトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
(評価基準)
A:凝集度が20%未満
B:凝集度が20%以上、25%未満
C:凝集度が25%以上、30%未満
D:凝集度が30%以上、35%未満
E:凝集度が35%以上
評価上、Aが最もよくEが最も悪いことを意味する。
<長期にわたる連続使用時における評価>
トナー1を非磁性一成分系現像剤とし、画像形成装置としてHP LaserJet Pro 400 Color M451dn(HP製)の改造機を用い、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度50%)で画像評価を行った。
記録媒体には、A4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)を用いた。
なお、HP LaserJet Pro 400 Color M451dnは以下の点を改造した。
評価機本体のギア及びソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが150mm/secとなるようにした。
評価に用いるカートリッジはシアンカートリッジを用いた。すなわち、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を50g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、及びブラックカートリッジを挿入した。
定着ユニットを、手動で定着温度が設定できるようにした。
上記の条件で、0.1%の印字比率の画像を15000枚まで間歇モード(1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)で耐久試験を行った。
なお、下記評価項目については、初期(10枚目)と耐久試験後に行った。
〔評価実施項目〕
(1)画像濃度
トナーの現像性の指標として画像濃度の測定を行った。A4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)を転写材として用いて、ベタ画像を出力し、その濃度を測定(右上、右下、中心、左上、左下の5点平均)することにより評価した。なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
(評価基準)
A:画像濃度が1.50以上
B:画像濃度が1.35以上1.50未満
C:画像濃度が1.20以上1.35未満
D:画像濃度が1.05以上1.20未満
E:画像濃度が1.05未満
評価上、Aが最もよくEが最も悪いことを意味する。
(2)カブリ
トナーの帯電性の指標とし画像上カブリの測定をおこなった。カブリの測定では、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用した。標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定し、測定結果から下記式よりカブリを算出し、以下の基準で評価した。
なお、測定で用いられるフィルターには、シアントナーの場合にはアンバーフィルター、イエロートナーの場合はブルーフィルター、マゼンタトナー及びブラックトナーの場合はグリーンフィルターを用いた。
カブリ(反射率:%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
(評価基準)
A:カブリが0.30%未満
B:カブリが0.30%以上、0.50%未満
C:カブリが0.50%以上、1.00%未満
D:カブリが1.00%以上、3.00%未満
E:カブリが3.00%以上
評価上、Aが最もよくEが最も悪いことを意味する。
(3)トナーの割れ及び欠け
トナーの割れや欠けに対する耐久性評価として下記評価を行った。
すなわち、低温低湿環境下(温度15℃、相対湿度10%)、印字率0.0%で上記と同様の耐久試験を実施し、割れトナーや欠けトナーに起因して生じる現像不良に基づくスジ画像について、その発生枚数に応じて下記基準に従い評価した。
ここで、現像不良に基づくスジ画像とは、1000枚ごとにベタ画像を出力し、画像上スジが発生した時点のカートリッジ内のトナー及び現像ブレードを観察することで判定する。カートリッジ内に割れたトナー又は欠けたトナーが存在し、更にはその様なトナーが現像ブレードに融着していることが確認された場合が該当する。トナー及び現像ブレードの観察は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000倍で観察した。
なお、評価に用いるカートリッジはシアンカートリッジを用いた。すなわち、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を50g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、及びブラックカートリッジを挿入した。
(評価基準)
A:発生枚数が20000枚以上
B:発生枚数が15000枚以上20000枚未満
C:発生枚数が10000枚以上15000枚未満
D:発生枚数が5000枚以上10000枚未満
E:発生枚数が5000枚未満
評価上、Aが最もよくEが最も悪いことを意味する。
<実施例2〜14>
実施例1と同様にしてトナー2〜14を評価した。評価結果を表3に示す。
<比較例1〜7>
実施例1と同様にして比較トナー1〜7を評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 0006529385

Claims (7)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーであって、
    該非晶性ポリエステル樹脂Aが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
    該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
    該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することを特徴とするトナー。
    Figure 0006529385
  2. 前記ワックスの含有量が、前記結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックスが、6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂がスチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方を含有し、該スチレンアクリル系樹脂及びスチレンメタクリル系樹脂の少なくとも一方の含有量が、50質量%以上100質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコアと、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するシェルで形成されたコアシェル構造を有するトナーの製造方法であって、
    該結着樹脂を構成する重合性単量体、該着色剤、該ワックス及び該非晶性ポリエステル樹脂Aを含有するトナー組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該トナー組成物の粒子を形成する工程、及び、
    該トナー組成物の該粒子に含まれる該重量性単量体を重合する工程を含み、
    該非晶性ポリエステル樹脂Aが下記式(1)で示されるイソソルビドユニットを含有し、下記式(1)で示されるイソソルビドユニットの含有割合が、該ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上20.00mol%以下であり、
    該非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、該重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であり、
    該ワックスが、4価以上6価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、又は、4価以上6価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 0006529385
  6. 前記重合性単量体の溶解性パラメータをSPaとし、
    前記非晶性ポリエステル樹脂Aの溶解性パラメータをSPbとしたとき、
    下記式(2)を満たす、請求項5に記載のトナーの製造方法。
    0.70≦SPb−SPa≦1.30 式(2)
  7. 前記非晶性ポリエステル樹脂Aの溶解性パラメータをSPbとし、
    前記ワックスの溶解性パラメータをSPcとしたとき、
    下記式(3)を満たす、請求項5又は6に記載のトナーの製造方法。
    1.40≦SPb−SPc≦2.10 式(3)
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