JP6827862B2 - トナー - Google Patents
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Description
該結着樹脂は、ビニル系樹脂を含有し、
該非晶性ポリエステルは、炭素数のピーク値が25以上102以下である脂肪族モノカルボン酸に由来する構造、及び/又は、炭素数のピーク値が25以上102以下である脂肪族モノアルコールに由来する構造を、分子鎖の末端に有する非晶性ポリエステルであり、
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー粒子の断面において、
該ビニル系樹脂をマトリクスとし、該非晶性ポリエステルで構成される複数のドメインが該マトリクス中に分散した、マトリクス−ドメイン構造が確認され、
該トナー粒子断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の25%以内の領域に存在するドメインの割合が、該トナー粒子断面に存在する該ドメインの総面積を基準として、30面積%以上70面積%以下である、
ことを特徴とするトナーに関する。
*−O−C(=O)−R
であり、Rの部分が上記のアルキル部位である。
*−O−R’
であり、R’の部分が上記のアルキル部位である。尚、*は、非晶性ポリエステルの主鎖部分との結合部である。
結着樹脂として用いられるビニル系樹脂としては、以下のものが挙げられる。
スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸;
を用いることができ、これらは単独でまたは複数種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にスチレン系共重合体、さらにはスチレン−アクリル酸ブチル共重合体が、現像特性、定着性の制御のしやすさといった観点で好ましい。
非晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5.0〜30.0質量部であることが好ましい。上記の範囲内であれば、該ビニル系樹脂中でのドメイン状態を制御しやすく、またワックスの染み出しを抑制しやすい。
飛行時間型二次イオン質量分析では、トナー粒子表面から数nmの情報を得ることができるため、トナー粒子の最表層の構成材料を特定することができる。
次に、ワックスについて説明する。ワックスとしては、トナー用途として公知のワックスを用いることができる。
モンタンワックスおよびその誘導体;
フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体;
ポリエチレンなどのポリオレフィンワックスおよびその誘導体;
カルナバワックス、キャンデリラワックスなどの天然ワックスおよびその誘導体;などが挙げられる。誘導体には、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。また、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、酸アミドワックス、エステルワックス、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
次に、着色剤について説明する。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性を考慮して選択される。
トナーの製造方法は、特に限定されず、粉砕法、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法などで製造することができる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類;
などが挙げられる。その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなども挙げられる。これらは単独でまたは複数種を組み合わせて用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;
スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリメタクリレート−ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸、テルペン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらは単独でまたは複数種を組み合わせて用いることができる。また、これらポリマー中に、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基などの官能基を導入してもよい。
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;
ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;
3個以上のビニル基を有する化合物;
が単独で、または2種以上の混合物として用いられる。
外添剤としての無機微粒子としては、一次粒子の個数平均粒径が4〜80nmのものが好ましく、より好ましくは6〜40nmのものである。さらに、上記の無機微粒子に加えて、一次粒子の個数平均粒径が100〜200nmの無機微粒子を併用することがより好ましい。こうすることで、耐久を通してトナーの流動性が確保でき、均一且つ安定した摩擦帯電性能が得られ、濃度が良化しやすくなる。無機微粒子は、トナーの流動性改良およびトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、シリコーンオイルやシランカップリング剤などによる疎水化処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上などの機能を付与することも好ましい形態である。
フッ素樹脂粒子、ステアリン酸亜鉛粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子のような滑剤粒子;
酸化セリウム粒子、炭化ケイ素粒子、チタン酸ストロンチウム粒子などの研磨剤;
ケーキング防止剤;
トナー粒子と電気的に逆極性を有する有機微粒子および無機微粒子;
を用いることもできる。これらも表面を疎水化処理して用いることも可能である。
トナーおよび非晶性ポリエステルの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
トナーおよび非晶性ポリエステルのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中にトナーを十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。次いで、切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM−2800)(TEM−EDX)を用いて40000〜50000倍の倍率で拡大し、トナー粒子の断面を観察し、EDXを用いて元素マッピングを行う。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。非晶性ポリエステルの酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
(A)本試験
粉砕した非晶性ポリエステルの試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。非晶性ポリエステルの水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
(A)本試験
粉砕した非晶性ポリエステルの試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに該のアセチル化試薬5.0mLをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
非晶性ポリエステルの試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:非晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)である。
トナーのガラス転移温度Tg(℃)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
TOF−SIMSを用いたビニル樹脂に由来するピーク強度(S85)と非晶性ポリエステルに由来するピーク強度(S211)の強度比(S211/S85)の測定には、アルバック・ファイ社製、TRIFT−IVを使用する。
サンプル調製:トナー粒子をインジウムシートに付着させる。
サンプル前処理:なし
一次イオン:Auイオン
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Negative
ラスター:100μm
ビニル樹脂に由来するピーク強度(S85)の算出:
アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数84.5〜85.5の合計カウント数をピーク強度(S85)とする。
アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数210.5〜211.5の合計カウント数をピーク強度(S211)とする。
算出されたS85、S211を用い、強度比(S211/S85)を算出する。
(基体1の用意)
基体1として、SUS304製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布し、焼き付けしたものを用意した。
基体1を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)
100部
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)
15部
・耐熱性付与剤としてのシリカ粒子 0.2部
・白金触媒 0.1部
・イソシアネート基末端プレポリマーの合成
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネートT80;三井化学社製)17.7部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール(商品名:エクセノール4030;旭硝子社製)100.0部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8質量%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。
攪拌装置、温度計、還流管、滴下装置および温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながらエチレンジアミン100.0部(1.67mol)、純水100部を40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、プロピレンオキシド425.3部(7.35mol)を30分かけて少しずつ滴下した。さらに1時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物を減圧下加熱して水を留去し、アミノ化合物426部を得た。
表面層の材料として、
イソシアネート基末端プレポリマー 617.9部
アミノ化合物 34.2部
カーボンブラック(商品名、MA230;三菱化学社製) 117.4部
ウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)
130.4部
を混合し、攪拌した。
炭素数のピーク値が35の脂肪族炭化水素1200gをガラス製の円筒型反応容器に入れ、そこに、温度140℃で硼酸38.5gを添加した。直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20リットルの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。その後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、静置後上層の反応物を捕集した。反応物20部をn−ヘキサン100部に加え、未変性成分の除去を行い、脂肪族モノアルコールである長鎖モノマー1を得た。得られた長鎖モノマー1の諸物性を表1に示す。尚、表1中における“変性率”とは、長鎖アルキル成分の分子の数に対する、変性によって導入された官能基の割合のことであり、長鎖アルキル成分の分子の数と導入された官能基の数が同じであれば、100%となる。長鎖アルキル成分の分子数は、平均炭素数を用いて算出され、導入された官能基の数は、水酸基価や酸価を測定することにより求めることができる。
使用する脂肪族炭化水素の炭素数のピーク値と反応時間や温度を表1に示した通りに変更した以外は長鎖モノマー1の製造例と同様にして長鎖モノマー2〜8を製造した。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表2に示す量のモノマーを加え、さらに、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100部に対して1.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステル1を得た。非晶性ポリエステル1の物性を表2に示す。
原料モノマー及びその使用量を表2に記載のように変更した以外は、非晶性ポリエステル1の製造例と同様にして、非晶性ポリエステル2〜24を得た。尚、得られる非晶性ポリエステルのピーク分子量が表2の値となるように重合時間を調整した。これらの非晶性ポリエステルの物性を表2に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物189g、テレフタル酸51g、フマル酸61g、アジピン酸25g及びエステル化触媒(オクチル酸スズ)2gを入れ、230℃で重縮合反応させた。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00〜1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP2O5、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
イオン交換水720部に0.1モル/L−Na3PO4水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl2水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・非晶性ポリエステル1 10.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・上記処理磁性体 65.0部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこにエステルワックス(融点70℃)9.0部を添加混合し、溶解した。その後、重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート6.0部を溶解した。
トナー粒子1の製造において、非晶性ポリエステルおよびワックスの種類/添加量、製造条件を表3および表4に記載するように変更した。また、トナー粒子36〜38の製造においては、処理磁性体に変えて、カーボンブラック(商品名:MA−100、三菱化学社製)8.0部を用いた。
(各分散液の調製)
〔樹脂粒子分散液(1)〕
・スチレン 325部
・n−ブチルアクリレート 100部
・アクリル酸 13部
・1,10−デカンジオールジアクリレート 1.5部
・ドデカンチオール 3部
上記成分を予め混合して、混合液を調製した。アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックスA211)9部をイオン交換水580部に溶解した界面活性剤溶液をフラスコに収容し、そこに上記混合液のうち400部を投入して分散し、乳化して10分間ゆっくりと撹拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
〔樹脂粒子分散液(2)〕
・非晶性ポリエステル25 20部
・イオン交換水 79部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)
有効成分として1部
上記成分を混合した後、混合液のpHをアンモニアを用いて8.5に調整した。その後、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した装置を用いて、
・回転子の回転速度60Hz
・圧力5kg/cm2
・熱交換器により140℃に加熱
の条件で運転して、樹脂微粒子分散液(2)を得た。
・カーボンブラック: 20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR): 2部
・イオン交換水: 78部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3000rpmで2分間、顔料を水になじませた。さらに5000回転で10分間分散後、通常の撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させて着色剤分散液を得た。さらに分散液のpHを6.5に調整した。
・炭化水素系ワックス: 45部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピークのピーク温度が78℃、重量平均分子量が750)
・カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 5部
・イオン交換水: 200部
上記成分を混合後、95℃に加熱して、ホモジナイザー(同上)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、個数平均径190nm、固形分量25%の離型剤分散液を得た。
・イオン交換水 400部
・樹脂粒子分散液(1)620部(樹脂粒子濃度:42%)
・樹脂粒子分散液(2)279部(樹脂粒子濃度:20%)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、有効成分量:60%)
1.5部(有効成分として0.9部)
以上の成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。その後、着色剤分散液88部、離型剤分散液60部を投入し、5分間保持した。そのまま、1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。次いで、撹拌機、マントルヒーターをはずし、ホモジナイザー(同上)にて、3000rpmで分散しながら、ポリ塩化アルミニウム0.33部、0.1%硝酸水溶液37.5部の混合溶液の半分を添加した。その後、分散回転数を5000rpmにして、残りの半分を1分間かけて添加し、分散回転数を6500rpmにして、6分間分散した。
トナー粒子1を100部と、BET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微粒子1.2部(一次粒子の個数平均粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後、シリコーンオイルで処理したもの)を、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合し、トナー1を調製した。トナー1の物性を表5に示す。
トナー1の製造において、表5に示すようにトナー粒子を変更し、トナー2〜38、比較用トナー1〜4を得た。トナー2〜38、比較用トナー1〜4の物性を表5に示す。
トナー1〜38、比較用トナー1〜4を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[低温定着性(テープ剥離)]
上記装置から一旦定着器を取り外し、未定着画像を排出できるように改造した。その後、ベタ画像のトナー載り量が0.8mg/cm2となるように印加電圧を調整し、評価紙(坪量105g/m2のbusiness4200、ゼロックス社製)上に未定着画像を形成した。その後、常温常湿環境下(23℃、50%RH)で、取り外した定着器の定着ローラの設定温度を170℃から220℃までの温度域で5℃ずつ変化させながら、定着画像を形成した。
B:185℃、あるいは190℃
C:195℃、あるいは200℃
D:205℃以上
高温高湿環境下(32.5℃,85%RH)で画像形成を行い、初期及び多数枚画像形成後(5000枚後)にベタ画像(FFH)を印字した。濃度計エックスライト(エックスライト社製、500シリーズ、濃度測定モード)を用いて、得られた画像上の6点の画像濃度を測定し、それらの平均値をとって、該画像の画像濃度とした。初期の画像濃度、および初期の画像濃度と多数枚画像形成後の画像濃度の差を用いて、以下の基準で評価した。
・初期画像濃度
A:1.45以上
B:1.35以上1.45未満
C:1.25以上1.35未満
D:1.25未満
・初期と多数枚画像形成後の画像濃度の差
A:濃度の差分が0.05未満
B:濃度の差分が0.05以上0.10未満
C:濃度の差分が0.10以上0.15未満
D:濃度の差分が0.15以上
評価するトナーをヒートサイクル環境下に放置した。ヒートサイクルの条件を以下に示す。
(1)25℃で1時間保持する。
(2)11時間かけて45℃まで直線的に温度を上げる。
(3)45℃で1時間保持する。
(4)11時間かけて25℃まで直線的に温度を下げる。
・初期
A:1.45以上
B:1.35以上1.45未満
C:1.25以上1.35未満
D:1.25未満
・初期と1000枚出力後の画像濃度の差
A:濃度の差分が0.05未満
B:濃度の差分が0.05以上0.10未満
C:濃度の差分が0.10以上0.15未満
D:濃度の差分が0.15以上
トナーの載り量を0.65mg/cm2に設定したベタ画像を出力する際、感光体上のトナー量と評価紙上のトナー量との質量変化から転写効率を求めた(感光体上トナー量が全量評価紙上に転写された場合を転写効率100%とする)。
A:転写効率が90%以上
B:転写効率が80%以上90%未満
C:転写効率が70%以上80%未満
D:転写効率が70%未満
Claims (7)
- 結着樹脂、着色剤、ワックス、および、非晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂は、ビニル系樹脂を含有し、
該非晶性ポリエステルは、炭素数のピーク値が25〜102である脂肪族モノカルボン酸に由来する構造、及び/又は、炭素数のピーク値が25〜102である脂肪族モノアルコールに由来する構造を、分子鎖の末端に有する非晶性ポリエステルであり、
透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー粒子の断面において、
該ビニル系樹脂をマトリクスとし、該非晶性ポリエステルで構成される複数のドメインが該マトリクス中に分散した、マトリクス−ドメイン構造が確認され、
該トナー粒子断面の輪郭から、該輪郭と該断面の中心点間の距離の25%以内の領域に存在するドメインの割合が、該トナー粒子断面に存在する該ドメインの総面積を基準として、30〜70面積%である、
ことを特徴とするトナー。 - 該非晶性ポリエステルの含有量が、該結着樹脂100質量部に対して5.0〜30.0質量部である、請求項1に記載のトナー。
- 該非晶性ポリエステルのピーク分子量(Mp)が8000〜13000であり、
非晶性ポリエステルの軟化点が85〜105℃である、請求項1又は2に記載のトナー。 - 該非晶性ポリエステルは、炭素数のピーク値が27〜50の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数のピーク値が27〜50の脂肪族モノアルコールに由来する構造を末端に有する非晶性ポリエステルである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
- 該非晶性ポリエステルの酸価が、1.0〜10.0mgKOH/gである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
- 該非晶性ポリエステルが、炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸を全酸成分に対して10〜50mol%含有する酸成分と、ジオールとの重縮合物である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
- 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)で得られる該トナーの該ビニル樹脂に由来するピーク強度をS85、該非晶性ポリエステル樹脂に由来するピーク強度をS211としたとき、下記式(1)を満たす、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトナー。
0.30≦ S211/S85 ≦3.00 (1)
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