JP7350524B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法や静電記録法に用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、様々な分野で利用されており、さらなる高画質化、高速化に加え、複写機やプリンターの小型化、省エネルギー化、長寿命化が求められている。
懸濁重合法によるトナーは粒径及びその分布のコントロールがしやすく、高画質化に有利であるため、その製法が検討されてきた。
特許文献1では金属化合物を水系媒体中に含有することで、サリチル酸系樹脂を含有するトナーにおいて粗大粒子の発生を抑制している。
特許文献2では金属元素としてアルミニウムを含有するリン酸金属塩を分散安定剤として用いることで、トナーの製造工程における合一を防ぎ、かつ洗浄工程では分散安定剤を容易に除去可能にしている。
特開2017-102236号公報 特開2017-126063号公報
上記従来の技術において、粗大粒子抑制による粒度分布特性の観点では改善が認められる。しかし、トナーの耐久性に関わるトナーの割れ欠けや現像時のクリーニング性、定着時の紙の分離性などについては未だ改善の余地が残されていることが分かってきた。
そこで、本発明の目的は、トナーの割れ欠けが少なく、現像時のクリーニング性、定着時の紙の分離性に優れたトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下のトナー粒子の製造方法により解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、重合性単量体、極性樹脂、離型剤および着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を、分散安定化剤を含有する水系媒体中で形成する造粒工程、および、
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を生成する重合工程、
を有するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、該重合工程において重合転化率75%以上になった以降に、または、該重合工程後に、該樹脂粒子が分散している該水系媒体中に、水溶性金属塩を添加する添加工程、および
該添加工程後に、該水系媒体中に酸またはアルカリを加えて、該樹脂粒子表面に存在する該分散安定化剤を除去する工程、
を有し、
該極性樹脂の酸価(Av)が、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
該水溶性金属塩が、3価の金属の塩である、
ことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、トナーの割れ欠けが少なく、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離性に優れたトナーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明によって得られるトナー(トナー粒子)は、トナーの割れ欠けが少なく、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離性に優れるため、トナーの現像性に対する高い要求を満たすことができる。
本発明より得られるトナー粒子に、このような効果が得られる詳細な理由は明確ではないが、本発明者らは次のように考えている。
本発明のトナーの製造方法は、重合性単量体、極性樹脂、離型剤、および着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する造粒工程、および
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を生成する重合工程、を有するトナーの製造方法であって、
重合工程において重合転化率75%以上になった以降、あるいは、重合工程後に、水溶性金属塩を添加する添加工程をさらに有しており、
該極性樹脂は、酸価(Av)が2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
該水溶性金属塩が2価以上の金属の塩であることを特徴とする。
水系媒体中で造粒する製法においては、水との親和性の高い極性樹脂が水との界面に配置し、極性基が最表面に配向しているものと考えられる。この極性基が配向している状態で2価以上の水溶性金属塩を添加すると、水系媒体中では溶解し、2価以上の金属イオンとなる。この2価以上の金属イオンは極性基に配位し、極性樹脂が架橋され、硬い表層が形成されるものと考えている。また、重合性単量体は重合が進み、重合体の収縮が起こる。重合転化率が75%未満の状態で2価以上の金属イオンによる架橋が起こると、硬い表層が重合による収縮に追従出来なくなり、表層と重合体間の密着性が低下する。これが割れ欠けに弱い原因の一つとなっていた。そこで、本発明では該重合転化率が75%以上の状態で2価以上の金属の塩を添加することによって、表層と重合体が密に接着したトナー粒子を形成し、割れ欠けに強いトナー粒子を製造することを可能とした。
また、極性樹脂と金属イオンが架橋するとトナー表面が凹凸化する。これは架橋する部位としない部位に表面エネルギーの差ができてトナー粒子が凹凸化するものと考えている。このトナー粒子の表面の凹凸化によって現像時のクリーニング性に優れたトナー粒子を製造することができる。また、表面が凹凸化すると、トナー粒子内部に存在する離型剤と表面との距離が近くなると考えられる。この離型剤の表面近接化によって定着時に離型剤がトナー表面に染み出しやすくなり、定着時の紙の分離に優れたトナー粒子を製造することができる。
該極性樹脂の酸価は2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが必須である。該極性樹脂の酸価が2mgKOH/g以上あることによって、2価以上の金属イオンによって強固に架橋される。この効果に硬く凹凸化した表層が形成され、割れ欠けに強く、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離が良好なトナーを製造できる。また該極性樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であることによって表層と重合体の極性が離れすぎず、表層と重合体の適度な密着性が得られるため、割れ欠けに強いトナー粒子を製造できる。
該水溶性金属塩は2価以上の金属の塩であることが必須である。該水溶性金属塩が2価以上の金属の塩は該極性樹脂とより強く架橋され、硬く凹凸化した表層が得られる。そのため割れ欠けにより強く、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離が良好なトナーを製造できる。
さらに、該水溶性金属塩が3価であることがより好ましい。該水溶性金属塩が3価であると、より極性樹脂と架橋しやすくなるため、より割れ欠けに強く、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離が良好なトナーを製造できる。
また、該添加工程において、該水系媒体中の2価以上の金属イオンが8mmol/L以上480mmol/L以下となるように該2価以上の金属の塩を添加することがより好ましい。2価以上の金属イオンが8mmol/L以上あることによって該極性樹脂と十分に架橋され、割れ欠けに強く、クリーニング性と紙の分離が良好なトナーを製造できる。また、480mmol/L以下であることによって極性樹脂と金属イオンが適度に架橋され、割れ欠けに強いトナーを製造することができる。
また、該極性樹脂がポリエステル樹脂であることがより好ましい。ポリエステル樹脂は表層に存在しやすく、電子を供与しやすいため、該極性樹脂と架橋反応しやすい。そのため、割れ欠けに強く、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離が良好なトナーを製造できる。
さらに、該ポリエステル樹脂がイソソルビドユニットを含有し、該イソソルビドユニットの含有量が、全モノマーユニットを基準として0.10mol%以上20.00mol%以下であることがより好ましい。イソソルビドモノマーは親水性が高く、より表層に存在しやすいため、金属イオンと架橋しやすいからである。該イソソルビドユニットの含有量が0.10mol%以上であると十分に架橋され、20.00mol%以下であることによって造粒工程での表層と重合体の極性が離れすぎず、適度な表層と重合体の密着性が得られ、割れ欠けに強いトナー粒子を製造することができる。
また、本発明では該水溶性金属塩の添加工程前の該水系媒体のpHが4.0以上6.5未満であることがより好ましい。該水溶性金属塩の添加前のpHが4.0以上であることによって、金属塩が水系媒体へ溶け込みやすくなるため、その後の該極性樹脂との架橋反応が起こりやすく、より強固な表層を形成できるため、割れ欠けにより強いトナー粒子を製造できる。また該水溶性金属塩の添加前のpHが6.5未満であることによって極性樹脂と重合体の密着性がより強固になり、割れ欠けにより強いトナー粒子を製造できる。
また、該水溶性金属塩の添加工程後に該水系媒体の温度を該極性樹脂のTg(ガラス転移温度)以上で、該水系媒体のpHを7.5以上10.0以下の条件下で保持するアルカリ処理工程を有することがより好ましい。該水系媒体の温度が該極性樹脂のTg以上であることによって、トナー表面の凹凸化が促進されるため、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離がより良好なトナーを製造できる。また該水系媒体のpHが7.5以上であることによって該極性樹脂と該金属イオンの架橋が強固になり、トナー表面の凹凸化を促進されるため、割れ欠けにより強く、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離がより良好なトナーを製造できる。また該水系媒体のpHが10.0以下であることによって、該極性樹脂と該金属イオンが適度に架橋され、表層と重合体のより良好な密着性が得られる。
また、該離型剤が1価以上3価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル、或いは、1価以上3価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステルであることがより好ましい。該離型剤が1価以上3価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル、或いは1価以上3価以下のカルボン酸との脂肪族もモノアルコールのエステルであると、該重合体の粘度を下げる効果があり、トナー表面をより凹凸化させることができる。そのため、現像時のクリーニング性と定着時の紙の分離性により優れたトナー粒子を製造することができる。
以下に、本発明のトナー粒子の製造方法について、詳しく説明する。
<トナー粒子の製造方法>
本発明の製造方法は、以下の製造工程を有する。
・難水溶性無機微粒子を含有する分散液を調製する調製工程。
・該分散液に、重合性単量体と、着色剤と、離型剤と、極性樹脂とを含有する重合性単量体組成物を加えて、前記重合性単量体組成物の粒子を前記分散液中で形成する造粒工程。
・前記重合性単量体組成物の粒子に含有される前記重合性単量体を重合させてトナー粒子を生成する重合工程(懸濁重合工程)。
・該水系媒体に水溶性金属塩を添加する工程。
・該水系媒体の温度を該極性樹脂のTg以上で、かつpHを7.5以上10.0以下にするアルカリ処理工程。
さらに、本発明の製造方法は、例えば、造粒工程の前に、下記組成物調製工程を有することができる。
・重合性単量体、着色剤、離型剤、極性樹脂を混合して重合性単量体組成物を調製する組成物調製工程。
しかしながら、本発明では、この組成物調製工程を別途設けなくても良い。造粒工程の際に、分散液中に、重合性単量体組成物を構成する成分(重合性単量体、着色剤及び極性樹脂等)を一度に添加しても良い(その際、一部の成分を予め別途混合していても良い)。また、例えば、これらの成分のうちの1つまたは複数の成分(その際、一部の成分を予め別途混合していても良い)を、温度条件や撹拌条件等を適宜変えて段階的に分散液中に添加しても良い。なお、重合性単量体組成物の一部(例えば、後述する重合開始剤)は、重合性単量体組成物粒子に含有されずに、分散液の分散媒中に溶解していても良い。このため、重合性単量体組成物のうち、重合開始剤等の分散媒中に溶解可能な成分は、造粒工程後(重合性単量体組成物の粒子が形成された後)かつ重合工程終了前(重合反応が完結してトナー粒子が形成される前)に、分散液中(または反応系中)に添加しても良い。即ち、本発明では、結果的に(トナー粒子が形成される前に)、分散液中(または反応系中)に、重合性単量体組成物の各成分が添加(含有)されていれば良い。
なお、組成物調製工程を別途設ける場合は、造粒工程は、調製した重合性単量体組成物を上記分散液中に分散させることにより、この重合性単量体組成物の粒子を造粒する工程であることができる。
また、本発明の製造方法は、上記重合工程より得られたトナー粒子(トナー粒子を含む重合反応液)に対し、以下の蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程とを行うことができる。さらに、これらの工程より得られたトナー粒子に対して、以下の外添工程を行うこともできる。即ち、本発明のトナー粒子の製造方法は、分散液調製工程と、組成物調製工程と、造粒工程と、重合工程(追加添加工程及び昇温工程)と、蒸留工程と、洗浄、濾過及び乾燥工程と、外添工程とを含むことができる。
・得られたトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行う蒸留工程。
・得られたトナー粒子(またはトナー粒子を含む分散液)に対して、洗浄、濾過及び乾燥を行う、洗浄、濾過及び乾燥工程。
・得られたトナー粒子に外添剤(例えば、無機微粉体)を添加する外添工程。
次に、各工程を詳しく説明する。
[分散液調製工程]
まず、分散剤として難水溶性無機微粒子を含む分散液を調製する。
(分散液)
難水溶性無機微粒子を含む分散液は、難水溶性無機微粒子と、水とを含む分散液(水分散液)であることができる。また、この分散液は、この他に、難水溶性無機微粒子を生成する際に生じる対イオンや、pH調整用に添加する酸(例えば、塩酸及び硫酸)やアルカリ(、例えば、塩酸、硫酸及び水酸化ナトリウム及び、炭酸ナトリウム)等を含むことができる。なお、分散液は難水溶性無機微粒子と水とからなることもできる。
・水
分散液の調製に用いる水(分散媒)は、例えば、イオン交換水を用いることができる。なお、分散液は、重合性単量体100質量部に対して、100質量部以上の水を用いて調製することが好ましい。水の使用量が100質量部以上であれば、油水反転を起こすことなく油滴(重合性単量体組成物粒子)を容易に形成できる。
・難水溶性無機微粒子
難水溶性無機微粒子は、造粒工程において、分散液中に存在する重合性単量体組成物の分散安定化剤としての役割を果たす。ここで難水溶性の微粒子とは、特定のpH領域(例えば4.0以上10.0以下)で水に対する溶解度(測定温度:60℃)が10以下であり、平均体積粒径が1.0μm以下のものであることができることをいう。なお、懸濁重合の分散安定化剤としては、無機系と有機系の分散安定化剤が公知であるが、本発明では特に無機系の分散安定化剤を、難水溶性無機微粒子として用いる。なお、有機系の分散安定化剤(例えば、界面活性剤)を、難水溶性無機微粒子と併用しても良い。
難水溶性無機微粒子としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等の無機系の分散安定化剤(難水溶性無機分散安定化剤)が挙げられる。この中でも、粒子径の制御の簡便さから、難水溶性無機微粒子としては、リン酸カルシウムを用いることが好ましい。これらの難水溶性無機微粒子は1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
・分散液の調製方法
難水溶性無機微粒子が分散された分散液を調製する場合には、難水溶性無機微粒子として、市販の分散安定化剤をそのまま用いて、水中に分散させても良い。しかし、細かい均一な粒度を有する難水溶性無機微粒子(分散安定化剤粒子)を得るために、水中にて高速撹拌下で、上記難水溶性無機微粒子を生成させて調製することが好ましい。
例えば、リン酸カルシウムを難水溶性無機微粒子として使用する場合、以下のように調製することができる。即ち、高速撹拌下かつ60℃以下の低温領域で、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を水中に形成することで難水溶性無機微粒子を得ることができる。
[造粒工程]
難水溶性無機微粒子を含む分散液中に、重合性単量体、着色剤、離型剤、極性樹脂を含む重合性単量体組成物を分散させて、重合性単量体組成物の粒子を造粒する。即ち、造粒工程により、分散安定化剤として働く難水溶性無機微粒子と、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液(分散液)を得ることができる。なお、上述したように、分散液中に添加された重合性単量体組成物全てが、重合性単量体組成物粒子を構成しなくても良く、添加された重合性単量体組成物の一部(例えば、重合開始剤)が、分散媒中に含まれていても良い。
このため、重合性単量体や重合性単量体組成物を基準とした、難水溶性無機微粒子や重合性単量体組成物の各成分の相対使用量は、仕込みの重合性単量体量や重合性単量体組成物量に基づくものである。
なお、上述したように、予め、重合性単量体、着色剤、離型剤および極性樹脂等を混合して重合性単量体組成物を調製して(組成物調製工程)、その調製した重合性単量体組成物を分散液に分散させ、重合性単量体組成物の粒子を作製しても良い。
重合性単量体組成物の粒子を造粒する際には、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)等の撹拌装置を用いることができる。
(重合性単量体組成物)
重合性単量体組成物は、重合性単量体、着色剤、離型剤および極性樹脂を含み、必要に応じて、その他に、重合開始剤、荷電制御剤、連鎖移動剤、重合禁止剤および架橋剤等の添加剤を含むことができる。重合性単量体組成物は、重合性単量体、着色剤、離型剤および極性樹脂と、これらの添加剤とを混合することにより得ることができる。
・重合性単量体
重合性単量体は、作製するトナー粒子に応じて適宜設定することができるが、例えば、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることができる。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することができる。
単官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン等のスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレート等のアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート等のメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン。
多官能性重合性単量体としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’-ビス(4-(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等。
なお、重合性単量体は、1種類を単独で用いても良いし、複数種類を併用しても良い。
重合性単量体の使用量は、定着の観点から、全重合性単量体組成物のうち50質量%以上を占めることが好ましい。
・極性樹脂
極性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、スチレンアクリル樹脂などを用いることができる。極性樹脂は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
また、極性樹脂として用いるポリエステル樹脂は、非晶性であることが好ましい。非晶性であれば、耐熱保存性を付与することができる。なお、非晶性であるか否かはDSC測定装置で融点をもつか否かにより特定することができる。
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸とを重縮合することにより得られたポリエステル樹脂であれば特に限定されない。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸またはその無水物:コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸または、その無水物が挙げられる。
・重合開始剤
重合性単量体の重合の際に、油溶性開始剤及び水溶性開始剤のいずれか一方または両方の重合開始剤を用いることができる。
油溶性開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等のニトリル系開始剤;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等のパーオキサイド系開始剤。
水溶性開始剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
上記重合開始剤の使用量(濃度)は、重合性単量体100質量部に対して、重合効率と安全性の観点から、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。上記重合性開始剤は、10時間半減温度を参考に、1種類を単独で、または、2種類以上を混合して使用することができる。
・架橋剤
更に、本発明においては、トナー粒子の耐ストレス性を高めると共に、トナー粒子の構成分子の分子量を制御するために、重合性単量体の重合時に架橋剤を用いることもできる。
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いることができる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上の混合物として用いても良い。
これらの架橋剤は、トナーの定着性、耐オフセット性の観点から、上記重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下の範囲、より好ましくは0.10質量部以上5質量部以下の範囲で用いることが良い。
・着色剤
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHT透明性、トナー中への分散性等の観点を考慮して、トナー分野で公知の着色剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、後述するブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの顔料、ならびに、必要に応じて染料等の着色剤を用いることができる。
また、着色剤は、1種を単独で用いても良いし、また、複数種を混合して用いても良い。さらに、着色剤は、固溶体の状態で用いることもできる。
着色剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。着色剤を1質量部以上添加することで着色力を容易に付与することができ、20質量部以下添加することで粒度分布をよりシャープにすることができる。なお、トナー粒子中に顔料等の着色剤を分散させるために、着色剤を溶剤に分散させた状態で用いることができ、重合性単量体(例えばスチレン)をこの溶剤として用いることもできる。
i)ブラック着色剤
ブラック着色剤としては、トナーの分野で、公知のブラック着色剤を用いることができる。ブラック着色剤としては、具体的には、カーボンブラックが挙げられ、さらに、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を混合させて、ブラックに調節したものも挙げることができる。
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えばサーマル法、アセチレン法、チャンネル法、ファーネス法、ランプブラック法等の製法により得られたカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは1種類を単独で用いても良く、また2種類以上を混合して用いても良い。カーボンブラックは粗製顔料であっても良く、顔料分散剤の効果を著しく阻害するものでなければ調製された顔料組成物であっても良い。
カーボンブラックの一次粒子の平均粒径は、特に制限はないが、14nm以上80nm以下であることが好ましく、より好ましくは25nm以上50nm以下である。平均粒径が14nm以上の場合には、トナーは赤味を呈さず、フルカラー画像形成用のブラックとして好ましい。カーボンブラックの平均粒径が80nm以下の場合には、良好に分散し易く、かつ、着色力が低くなり過ぎず適度な着色力を付与し易く好ましい。
なお、カーボンブラックの平均粒径の測定には、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した拡大写真を用いる。拡大写真上で、一次粒子として観察されるカーボンブラック粒子について、最も長い軸(長軸)と最も短い軸(短軸)とを測定し、長軸と短軸の平均値を算出し、これを測定した粒子の粒径とする。粒径の測定を百個のカーボンブラック粒子について行い、それらを平均したものを平均粒径とする。尚、走査型電子顕微鏡の倍率は、カーボンブラックの一次粒子を確認できる程度の倍率とすればよい。
ii)イエロー着色剤
イエロー着色剤としては、トナーの分野で、公知のイエロー着色剤を用いることができる。
顔料系のイエロー着色剤としては、例えば、縮合多環系顔料、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199が挙げられる。
染料系のイエロー着色剤としては、例えば、C.I.solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.disperse Yellow42、64、201、211が挙げられる。
iii)マゼンタ着色剤
マゼンタ着色剤としては、トナーの分野で、公知のマゼンタ着色剤を用いることができる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合多環系顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19が挙げられる。
iv)シアン着色剤
シアン着色剤としては、トナーの分野で、公知のシアン着色剤を用いることができる。シアン着色剤としては、例えば、フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物を用いることができる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
・離型剤
離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤は、離型性能と造粒安定性の観点から、総量で、重合性単量体100質量部に対して、2.5質量部以上25.0質量部以下用いられることが好ましい。離型剤が2.5質量部以上であることによって定着時の離型が容易となる、25.0質量部以下であることによって粒度分布が乱されることなく均一な表層を形成し易い。
・荷電制御剤
トナー粒子の帯電性を環境によらず安定に保つために、本発明では、重合性単量体組成物に荷電制御剤を含んでも良い。
帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない帯電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、負帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。正帯電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が良く、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムのものが良い。特に好ましい制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
荷電制御剤の好ましい配合量は、重合性単量体100.00質量部に対して0.01質量部以上20.00質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上10.00質量部以下である。
・連鎖移動剤、重合禁止剤
重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、及び、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
連鎖移動剤としては、(例えば、α-メチルスチレンダイマー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素などを用いることができる。
また、重合禁止剤としては、例えば、p-ペンゾキノン、クロルアニリル、アンスラキノン、フェナンスキノン、ジクロロベンゾキノン等のキノン化合物、フェノール、第3級ブチルカテコール、ハイドロキノン、カテコール、ハイドロキシモノメチルエーテル等のハイドロキシ有機化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロトルエン、ジニトロフェノール等のニトロ化合物、ニトロソベンゼン、ニトロソナフトール等のニトロソ化合物、メチルアニリン、p-フェニレンジアミン、N,N’-テトラエチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン等のアミノ化合物、テトラアルキルウラムジスルフィド、ジチオベンゾイルジスルフィド等の有機イオウ化合物などを用いることができる。
[重合工程]
難水溶性無機微粒子と、重合性単量体組成物粒子とを含む分散液中にて、重合性単量体組成物粒子中の重合性単量体を重合(懸濁重合)させて、トナー粒子を生成する。本発明では、割れ欠け抑制を目的としてこの重合過程後半において水溶性金属塩を添加する。添加タイミングは重合性単量体の転化率が75%以上ならば、蒸留工程時や蒸留工程終了後でもよい。また水溶性金属塩の添加後に該極性樹脂のTg以上の温度にする工程を行うことが好ましい。また異形化効果をより顕著に発揮するために該水溶性金属塩を添加する前のpHは6.5未満であることが望ましい。
[蒸留工程]
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られるトナー粒子を含む重合反応液に対して、蒸留操作を行い、一部分散液を留去してもよい。蒸留工程は、常圧(101325Pa(a))もしくは減圧下(0.5kPa(a)以上0.95MPa(a)以下)で行うことができる。
[アルカリ処理工程]
該水溶性金属塩の添加後トナー粒子の異形化を目的として、水系媒体の温度を該極性樹脂のTg以上かつ、pHを7.5以上にすることが好ましい。このアルカリ処理工程は重合後半で行ってもよいし、蒸留時や蒸留終了後に行ってもよい。
[洗浄、濾過及び乾燥工程]
重合体粒子表面に付着した分散安定化剤を除去する目的で、蒸留工程等から得られたトナー粒子等の重合体粒子を含む分散液を、酸またはアルカリで処理をすることもできる。その際、一般的な固液分離法によりトナー粒子等の重合体粒子は液相へと分離されるが、酸またはアルカリおよびそれに溶解した分散安定化剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体粒子を洗浄する。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥することができる。
[外添工程]
本発明の製造方法では、トナーへの各種特性付与を目的として、上述した工程より得られるトナー粒子の表面に、外添剤を付着させることができる。
外添剤はトナー粒子に添加した時の耐久性の観点から、外添剤を付与する前のトナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。外添剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;炭化物炭化ケイ素等の炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機金属塩;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;カーボンブラック、シリカ。
これら外添剤は付着させるトナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下用いることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下用いることがより好ましい。外添剤は1種類を単独で用いても良いし、また複数種類を併用しても良い。なお、これらの外添剤は、帯電安定性の観点から、表面を疎水化処理したものを用いることが好ましい。疎水化処理方法としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
・トナー粒子
本発明より得られるトナー粒子(トナー)は、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
本発明より得られるトナー粒子(トナー)は、いかなるシステムにも用いることができる。例えば、高速システム用トナー、オイルレス定着用トナー、クリーナーレスシステム用トナー、長期使用によって劣化した現像器内のキャリアを順次回収し、フレッシュなキャリアを補給していく現像方式用トナー等、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。
以下の各例において用いた測定方法について、説明する。なお、後述の実施例9は参考例である。
・極性樹脂の酸価の測定
極性樹脂の酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。極性樹脂の酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定することができるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
まず、0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製、電位差滴定測定装置AT-510(商品名))を用いて求めることができる。具体的には、0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(商品名、京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル(極性樹脂)0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、極性樹脂の酸価(Av)を算出する。
Av=[(C-B)×f×5.61]/S
(式中、Av:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(極性樹脂)(g)である。)。
・極性樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定
極性樹脂のTgは、示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて測定した。
示差走査熱量計は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(商品名、TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418-82に準じて以下のように測定した。測定サンプル(極性樹脂)は、3mgを精密に秤量した。それをアルミニウム製のパン中に入れ、対照用に空のアルミパンを用いた。20℃で5分間平衡を保った後、測定範囲20℃から180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行った。なお、ガラス転移温度は中点法で求めた。
・重合性単量体の重合転化率の測定
重合性単量体の重合転化率の測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
100mLのアセトンに2.55mgのDMF(ジメチルホルムアミド)を加えて内部標準品入り溶媒をつくる。次に重合スラリー0.2gを精秤し上記溶媒で10mLの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけた後、1時間放置する。次に0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液4μLをガスクロマトグラフィーで分析した。
あらかじめ検量線を作成し、重合性ビニル系単量体と内部標準品DMFの質量比/面積比を求めておく。得られたクロマトグラムから未反応の重合性単量体量を計算し、重合転化率を求めた。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:島津製作所社 GC-14A
カラム:J&W Scientific社 DB-WAX(249μm×0.25μm×30m)
キャリアーガス:N2オーブン:(1)70℃で2分ホールド、(2)5℃/分で220℃まで昇温
注入口:200℃
スプリット比:1:20
検出器:200℃(FID)
次に、各例に用いた極性樹脂の製造方法について説明する。
<極性樹脂の製造>
(ポリエステル樹脂1の製造例)
原材料モノマーを表1に示した仕込み比率で混合した混合物100質量部と、触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)錫0.55質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した6リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。更に210℃にて無水トリメリット酸を添加して、40kPaの減圧下にて反応を行い、重量平均分子量(Mw)が12000になるまで反応を続けた。得られたポリエステル樹脂をポリエステル樹脂1とする。
ポリエステル樹脂1の組成分析を行い、イソソルビドモノマーに由来するユニットの比率を求めた。ポリエステル樹脂1におけるイソソルビドユニットの比率、酸価を表1に示す。
ポリエステル樹脂1の組成分析は1H-NMRにより行った。具体的な測定方法は下記の通りである。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて測定試料を調製する。当該測定試料を用いて上記条件にて測定した。
<ポリエステル樹脂2~6の製造>
酸成分とアルコール成分の仕込み量を表1のように変更し、ポリエステル樹脂1の製造と同様の操作を行い、ポリエステル樹脂2~6を製造した。なおポリエステル樹脂の酸価の調整に関しては、適宜反応時間を調整して各ポリエステル樹脂の物性が達成されるようにした。
Figure 0007350524000001
TPA:テレフタル酸
TMA:トリメリット酸
BPA(PO2):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物
EG:エチレングリコール
(カルボキシル基含有スチレン系樹脂の製造例1)
加圧及び減圧可能なフラスコ内にキシレン(沸点144℃)300質量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
この還流下で、
・スチレン 88.50質量部
・メタクリル酸メチル 2.50質量部
・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 5.00質量部
・メタクリル酸 4.00質量部
・ジ-tert-ブチルパーオキサイド 2.00質量部
の混合液を添加した後、重合温度を175℃、反応時の圧力を0.100MPaにて重合を5時間行った。その後、減圧下にて脱溶剤工程を3時間行い、キシレンを除去して、粉砕することでカルボキシル基含有スチレン系樹脂1を得た。
(カルボキシル基含有スチレン系樹脂の製造例2~3)
カルボキシル基含有スチレン系樹脂の製造例1において、モノマー組成比を変更することによりカルボキシル基含有スチレン系樹脂2~3を得た。
Figure 0007350524000002
St:スチレン
MMA:メタクリル酸メチル
2HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MAA:メタクリル酸
〔実施例1〕
<トナー粒子1の製造>
(分散液の調製)
造粒タンクに、イオン交換水100.0質量部、リン酸ナトリウム2.0質量部、及び10質量%塩酸0.9質量部を添加し、リン酸ナトリウム水溶液を作製し、50℃に加温した。この造粒タンクに、イオン交換水8.2質量部に塩化カルシウム6水和物1.2質量部を溶解し作製した塩化カルシウム水溶液を添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌した。これにより、難水溶性無機微粒子として、リン酸カルシウム(の微粒子)を含有する分散液(水分散液)を得た(分散液調製工程)。
(顔料分散組成物の調製)
・重合性単量体:スチレン 39.0質量部
・着色剤:C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
・荷電制御剤(商品名:ボントロンE88、オリエント化学工業社製) 0.5質量部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
(着色剤含有組成物の調製)
下記材料を同一容器内に投入し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合および分散した。
・上記顔料分散組成物 46.0質量部
・重合性単量体:スチレン 33.0質量部
・重合性単量体:n-ブチルアクリレート 28.0質量部
・極性樹脂:ポリエステル樹脂1 2.0質量部
・荷電制御剤:ボントロンE88(商品名、オリエント化学工業社製) 1.0質量部
更に、60℃に加温した後、離型剤:ベヘン酸ベヘニル 10.0質量部を投入し、30分間分散および混合を行い、着色剤含有組成物を調製した。
(重合性単量体組成物粒子の作製)
リン酸カルシウム微粒子を含有する分散液中に、上記着色剤含有組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)にて周速30m/sで撹拌した。これに、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルPV」、分子量:174.2、10時間半減期温度:58℃)9.0質量部を添加し、重合性単量体組成物粒子を含む分散液を調製した(造粒工程)。
(トナー粒子1の作製)
上記重合性単量体組成物粒子の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、1時間反応させた。このときの重合性単量体の転化率は45.0%であった。更に3時間反応させ、塩化アルミニウムを200.0mmol/Lの濃度になるよう投入した。このとき重合性単量体の転化率は90.0%だった。その後さらに1時間、同条件で反応させた後、80℃に昇温して6時間反応させた(昇温工程)。これにより、トナー粒子1を含む重合反応液(重合スラリー)を得た(重合工程)。この時、該重合スラリーのpHは5.0だった。
重合工程終了後、重合スラリーに120℃の水蒸気(スチーム)を5kg/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った(蒸留工程)。
蒸留工程終了後、該重合スラリーのpHが8.5になるよう7.0%の炭酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で30分保持した(アルカリ処理工程)。
冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌し、トナー粒子表面の難水溶性無機微粒子を溶解した。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後、温度40℃にて48時間乾燥しトナー粒子1を得た(洗浄/濾過/乾燥工程)。
(無機微粉体を表面に有するトナー粒子1の作製)
上記トナー粒子1、100.0質量部に対して、無機微粉体1.5質量部を、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製)を用いて、3000rpm(min-1)で15分間混合して無機微粉体を表面に有するトナー粒子1を得た。なお、無機微粉体を付与する前のトナー粒子1と区別するため、上記無機微粉体を表面に有するトナー粒子1を、以降トナー1と称することがある。上記無機微粉体としては、流動性向上剤であるジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、無機微粉体を付与する前のトナー粒子1と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)を用いた。
ここで、トナー粒子1の製造に用いた極性樹脂、水溶性金属塩投入に関する諸条件を表3に示す。
得られたトナー粒子1及びトナー1に対して、以下に示す評価を行った。割れ欠け及び異形化度評価は、無機微粉体付与前のトナー粒子1に対する評価であり、クリーニング及び紙の分離性評価は、無機微粉体付与後のトナー1に対する評価である。
<割れ欠けの評価>
30mLのバイアル瓶に平均直径0.3mmのジルコニアビーズを10.0gとトナー粒子1を0.10g入れ、ヤヨイ式振とう機YS-8Dによって150rpmで2分間振とうさせた。振とう後、分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で10質量倍に希釈した希釈液を20.0ml加え、超音波式ホモジナイザー「VP-050」(TAITEC製)で80%の強度にて5分間分散させた。上記分散液をフロー式粒子増分析装置「FPIA3000」を用いて、円相当径で0.50μm以上2.0μm以下の粒子の濃度を測定した。ジルコニアビーズを入れないサンプルで同様の測定をすることで、円相当径が0.50μm以上2.0μm以下の粒子の濃度の増加分で割れ欠けの評価を行った。なお、FPIAの対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。評価ランクは以下のとおりである。E、D、C、B、Aの順に割れ欠けがよくなる。本発明の効果を得る上でランクC以上が望ましい。トナー粒子1に対する評価結果を表4に示す。
A:0.5μm以上1.5μm以下の粒子の増加分が2000個数/μL未満。
B:0.5μm以上1.5μm以下の粒子の増加分が2000個数/μL以上3500個数/μL未満。
C:0.5μm以上1.5μm以下の粒子の増加分が3500個数/μL以上5000個数/μL未満。
D:0.5μm以上1.5μm以下の粒子の増加分が5000個数/μL以上。
<クリーニング性評価>
キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP712Ci)を評価機として用いた。また、上記レーザービームプリンター用のクリーニングブレードを電子写真感光体の表面に対して、当接角が20°およびクリーニングブレードの侵入量が0.2mmになるように調整した。
上記トナーカートリッジにトナー1を170g充填した。そして、低温低湿(10℃/15%RH)の環境下で24時間放置後、1.0%印字比率の画像を20000枚出力した。初期と20000枚画像出力(画像形成)後にそれぞれ高印字5.0%の条件でベタ画像を出力した際の、クリーニングブレードからのトナーのすり抜けの発生により、クリーニング性の評価を行った。評価ランクは以下のとおりである。E、D、C、B、Aの順にクリーニング性が良くなっていく。本発明の効果を得る上でランクC以上が望ましい。トナー1に対する評価結果を表4に示す。
A:トナーのすり抜けなし。
B:画像には出現しないが、トナーのすり抜けあり。帯電部材汚染のおそれもなし。
C:画像には出現しないが、トナーのすり抜けあり。帯電部材汚染のおそれがあり。
D:画像に出現するトナーのすり抜けあり。
<異形化度評価>
異形化度をSEMにて確認し評価した。評価結果は表4に記載のとおりであった。なお、異形化の度合い(異形化度)の評価基準は以下のとおりである。本発明の効果を得る上でランク2以上が望ましい。トナー粒子1に対する評価結果を表4に示す。
ランク4:確認した100視野全ての粒子に対して80個数%以上が凹みを有する異形な形状
ランク3:確認した100視野全ての粒子に対して50個数%以上が凹みを有する異形な形状
ランク2:確認した100視野全ての粒子に対して20個数%以上が凹みを有する異形な形状
ランク1:確認した100視野全ての粒子に対して20個数%未満が凹みを有する異形な形状
<紙の分離性評価>
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP LaserJet Pro 400 Color M451dn(HP製))を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。記録媒体としては、CS520用紙(キヤノン製、52g/m2)を使用した。次いで、充填したトナーを用いて、トナー載り量0.90mg/cm2となるように縦5.0cm、横20.0cmの未定着画像を、上記記録媒体上に形成した。この際、通紙方向における上端部の余白部分の範囲を変更しつつ、画像形成を行った。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを230mm/s、定着線圧27.4kgf(242N)に設定し、設定温度を200℃として上記未定着画像の定着を行った。紙が定着ローラに巻きつかない最小の余白を以下の基準に沿って評価した。本発明の効果を得る上でランクC以上が望ましい。トナー1に対する評価結果を表4に示す。
A:上端部からの余白が、1mm未満。
B:上端部からの余白が、1mm以上3mm未満。
C:上端部からの余白が、3mm以上5mm未満。
D:上端部からの余白が、5mm以上。
〔実施例2〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、工程上の諸条件と極性樹脂を表3に示すように変更し、水溶性金属塩を200mmol/L投入していたところを8mmol/Lに変更し、離型剤としてベヘン酸ベヘニルを用いていたところを1,2,3-プロパントリオールトリステアラートに変更した以外は同様にしてトナー粒子2及びトナー2を作製した。また、トナー粒子2及びトナー2に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例3〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、工程上の諸条件(水溶性金属塩投入時の転化率100.0%は、重合工程後に当該金属塩を投入することを表す。)と極性樹脂を表3に示すように変更し、水溶性金属塩を200mmol/L投入していたところを480mmol/Lに変更し、離型剤としてベヘン酸ベヘニルを用いていたところをセバシン酸ジベヘニルに変更した以外は同様にしてトナー粒子3及びトナー3を作製した。また、トナー粒子3及びトナー3に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例4~6〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、着色剤として用いたC.I.ピグメントブルー15:3を、カーボンブラック、C.I.ピグメントイエロー93、およびC.I.ピグメントレッド269にそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー粒子4~6及びトナー4~6を作製した。また、トナー粒子4~6及びトナー4~6に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例7〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、塩化アルミニウムを200mmol/L投入していたところを5mmol/Lに変更した以外は同様にして、トナー粒子7及びトナー7を作製した。また、トナー粒子7及びトナー7に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例8〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、塩化アルミニウムを200mmol/L投入していたところを550mmol/Lに変更した以外は同様にして、トナー粒子8及びトナー8を作製した。また、トナー粒子8及びトナー8に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例9〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、塩化アルミニウムを塩化カルシウムに変更した以外は同様にして、トナー粒子9及びトナー9を作製した。また、トナー粒子9及びトナー9に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例10~13〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、極性樹脂を表3に示すように変更した以外は同様にして、トナー粒子10~13及びトナー10~13を作製した。また、トナー粒子10~13及びトナー10~13に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例14~15、17~18〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、工程上の諸条件を表3に示すように変更した以外は同様にして、トナー粒子14~15及びトナー17~18を作製した。
また、トナー粒子14~15及びトナー17~18に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例16〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、塩化アルミニウムの投入を蒸留終了後に行い、工程上の諸条件を表3に示すように変更した以外は同様にして、トナー粒子16及びトナー16を作製した。
また、トナー粒子16及びトナー16に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例19〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、ベヘン酸ベヘニルを炭化水素ワックス(商品名:HNP51、日本精蝋社製)に変更した以外は同様にして、トナー粒子19及びトナー19を作製した。また、トナー粒子19及びトナー19に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔実施例20〕
上記トナー粒子1及びトナー1の製造において、ベヘン酸ベヘニルをペンタエリスリトールに変更した以外は同様にして、トナー粒子20及びトナー20を作製した。また、トナー粒子20及びトナー20に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例1〕
上記トナー粒子1の製造において、重合転化率が70%の時点で塩化アルミニウムを投入する以外は同様にして、トナー粒子21及びトナー21を作製した。また、トナー粒子21及びトナー21に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例2〕
上記トナー粒子1の製造において、塩化アルミニウムを投入しない以外は同様にして、トナー粒子22及びトナー22を作製した。また、トナー粒子22及びトナー22に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例3~4〕
上記トナー粒子1の製造において、極性樹脂を表3に示すように変更した以外は同様にして、トナー粒子23~24及びトナー23~24を作製した。また、トナー粒子23~24及びトナー23~24に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例5〕
上記トナー粒子1の製造において、塩化アルミニウムを塩化ナトリウムに変更した以外は同様にして、トナー粒子25及びトナー25を作製した。また、トナー粒子25及びトナー25に対してそれぞれ、トナー粒子1及びトナー1と同様に、割れ欠けと現像時のクリーニング及び定着時の紙の分離性評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0007350524000003
Figure 0007350524000004

Claims (8)

  1. 重合性単量体、極性樹脂、離型剤および着色剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を、分散安定化剤を含有する水系媒体中で形成する造粒工程、および、
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させて樹脂粒子を生成する重合工程、
    を有するトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、該重合工程において重合転化率75%以上になった以降に、または、該重合工程後に、該樹脂粒子が分散している該水系媒体中に、水溶性金属塩を添加する添加工程、および
    該添加工程後に、該水系媒体中に酸またはアルカリを加えて、該樹脂粒子表面に存在する該分散安定化剤を除去する工程、
    を有し、
    該極性樹脂の酸価(Av)が、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
    該水溶性金属塩が、3価の金属の塩である、
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記添加工程において、前記水系媒体中の3価の金属イオンが8mmol/L以上480mmol/L以下となるように前記3価の金属の塩を添加する、請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記極性樹脂が、ポリエステル樹脂である、請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、イソソルビドユニットを含有する、請求項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記ポリエステル樹脂中の前記イソソルビドユニットの含有量が、前記ポリエステル樹脂の全モノマーユニットを基準として0.10mol%以上20.00mol%以下である、請求項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記添加工程前の前記水系媒体のpHが、4.0以上6.5未満であり、
    前記製造方法が、前記添加工程後に、
    前記水系媒体の温度が前記極性樹脂のTg(ガラス転移温度)以上、および、
    前記水系媒体のpHが7.5以上10.0以下、
    の条件下で保持するアルカリ処理工程を有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記離型剤が、
    1価以上3価以下のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、または、
    1価以上3価以下のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル、
    である、
    請求項1~のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記製造方法が、前記分散安定化剤が除去された樹脂粒子を洗浄する工程、及び洗浄された樹脂粒子を乾燥してトナー粒子を得る工程、を有する請求項1~7のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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