JP2018010125A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Shiro Kuroki
施老 黒木
健太郎 山脇
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健太郎 山脇
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Katsuyuki Nonaka
克之 野中
阿部 浩次
Koji Abe
浩次 阿部
中山 憲一
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Abstract

【課題】ケイ素化合物により表面を覆われたトナー粒子を生産するにあたり、カルボキシ基含有極性樹脂の酸解離が生じ易い条件下で製造を行う場合であっても、画質に関わるトナー性能へ影響を与えずに抑泡するトナー粒子の製造方法を提供する。【解決手段】以下の工程(A)、工程(B)、および工程(C)を有する、トナー粒子の製造方法。工程(A):特定の有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子形成用組成物の粒子を、水系媒体中において形成する造粒工程工程(B):前記水系媒体中に、6.0以上の金属の水和イオンの酸解離定数pKaを有する水溶性の1価または2価の金属化合物を添加する工程工程(C):前記水系媒体のpHをpH(M)としたとき、前記pH(M)が、6.0≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKaを満たすように、前記水系媒体のpHを調整し、上記の規定を満たすpHにて、水系媒体の温度を85.0℃以上105.0℃以下の温度範囲に30分間以上保つ工程【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などを利用した記録方法に用いられるトナー粒子の製造方法に関する。
トナーの性能を向上させる各種技術が多数提案されているが、本発明者らは、主にトナー耐久性向上の観点から、トナー粒子表面をケイ素化合物で覆う思想に注目している。
従来より、トナー粒子表面に微小なシリカ粒子を付着させて各種性能を向上させる手法が多数取られてきた。一方で、トナー粒子表面に反応させたケイ素化合物を付着させることで、微小なシリカ粒子を付着させるトナーとは違った特性を出せるといった提案が、いくつかなされている。
特許文献1においては、水系媒体中にてゾルゲル法を用いて、トナー粒子の表層に有機ケイ素化合物の加水分解重縮合体を形成する技術が開示されている。
この技術は、有機ケイ素重合体の表層をトナーの粒子表面に均一に設けることによって、トナー耐久性向上の観点で良好な結果が出ているが、製造過程において特定の条件を経る際に課題が発生することが分かってきた。具体的には、水系媒体中でpH=6.0以上かつ85.0℃以上の条件である。この条件下では極性樹脂の酸解離により発泡が起き易く、場合によっては泡が反応容器から溢れてしまうことがある。また、液面上に堆積した泡により放熱が妨げられ、得られた重合物の分子量が変動することや、撹拌せん断が行き届かず、凝集した粗大粒子が発生するなど、画質に関わるトナー性能に直結する弊害も招き易い。
消泡の技術については、シリコーン系を始めとする消泡剤や機械的手段により破泡する装置などが市販されている。その他特許文献2には反応溶媒に用いるアルコールの比率を上げて水の比率を下げる技術、特許文献3には特定の撹拌動力で重合反応を行うことにより発泡を抑制する技術が開示されている。
シリコーンオイルなど市販の消泡剤添加や特許文献2のように、化学的に気泡を抑制しようとする技術は、消泡の観点からは効果が見られた。一方、得られたトナーの評価を行ったところ画質に関わるトナー性能への影響が見られ、特に現像性への影響が大きい。これは、添加した剤がトナー表面や内部から除去しきれなかったため、帯電特性へ影響が出たことが原因と推測している。オイルなど有機系の添加剤は水で洗い流すことは困難であり、高画質化を図っている現在の電子写真プロセスにおいて、帯電量の意図せぬ変動を招くため好ましくない。
市販の機械的手段により破泡する技術や、特許文献3のように物理的に気泡を抑制しようとする技術は、一定の効果は見られた。しかし、泡立ちが激しくなる要因、例えば酸価の高いカルボキシ基含有極性樹脂を用いることや、反応中に気体が発生するなどが加わると抑制が困難であった。更に両者の組み合わせ技術も試みたが、画質に関わるトナー性能と抑泡を満足に両立する条件を見出すことは出来なかった。
以上のように、従来の技術では、画質に関わるトナー性能への影響を抑えつつ、抑泡することは困難であり、特に泡立ちが激しくなる要因が加わっても泡が堆積することを抑制することは困難であった。
特開2015−96949号公報 特許第4056738号公報 特許第3973976号公報
本発明の目的は、外添に頼らずにケイ素化合物により表面を覆われたトナー粒子を生産するにあたり、カルボキシ基含有極性樹脂の酸解離が生じ易いpH=6.0以上かつ85.0℃以上の条件下で製造を行う場合であっても、トナー性能へ影響を与えずに、抑泡することができる製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、以下のトナー粒子の製造方法を見出した。
すなわち、下記工程(A)〜(C)を有するトナー粒子の製造方法にて、前記課題を解決できる。
工程(A):
下記式(A1)で表される有機ケイ素化合物、下記式(A2)で表される有機ケイ素化合物および下記式(A3)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子形成用組成物の粒子を、水系媒体中において形成する造粒工程
工程(B):
工程(A)と同時、或いは工程(A)より後に行われる工程であって、前記水系媒体中に、6.0以上の金属の水和イオンの酸解離定数pKaを有する水溶性の1価または2価の金属化合物を添加する工程
工程(C):
工程(B)より後に行われる工程であって、前記水系媒体のpHをpH(M)としたとき、前記pH(M)が、
6.0≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKa
を満たすように、前記水系媒体のpHを調整し、前記の規定を満たすpHにて、水系媒体の温度を85.0℃以上105.0℃以下の温度範囲に30分間以上保つ工程
Figure 2018010125
(上記式中、Ra、Rb、Rcは、アルキル基、アルケニル基、アシル基又はアリール基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。)
本発明によれば、ケイ素化合物と極性樹脂を含有するトナー粒子を水系媒体中でpH=6.0以上85.0℃以上の条件下で製造を行う場合であっても、画質に関わるトナー性能へ影響を与えることなく、泡の発生を抑え、安定した製造が可能となる。その結果、高い収率でトナー粒子を得ることができ、安定した分子量や粗大粒子量のトナー粒子を得ることができる。
本発明が適用できる電子写真装置の一例である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、下記工程(A)〜(C)を有するトナー粒子の製造方法である。
工程(A):
下記式(A1)で表される有機ケイ素化合物、下記式(A2)で表される有機ケイ素化合物および下記式(A3)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子形成用組成物の粒子を、水系媒体中において形成する造粒工程
工程(B):
工程(A)と同時、或いは工程(A)より後に行われる工程であって、前記水系媒体中に、6.0以上の金属の水和イオンの酸解離定数pKaを有する水溶性の1価または2価の金属化合物を添加する工程
工程(C):
工程(B)より後に行われる工程であって、前記水系媒体のpHをpH(M)としたとき、前記pH(M)が、
6.0≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKa
を満たすように、前記水系媒体のpHを調整し、前記の規定を満たすpHにて、水系媒体の温度を85.0℃以上105.0℃以下の温度範囲に30分間以上保つ工程
Figure 2018010125
(上記式中、Ra、Rb、Rcは、アルキル基、アルケニル基、アシル基又はアリール基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。)
本発明で使用する式(A1)、式(A2)および式(A3)の有機ケイ素化合物は、加水分解反応および縮合反応において、pHの影響を受ける。トナーとして使われることを想定した有機ケイ素化合物重縮合体の構造強度、さらには縮合反応速度制御によるトナー粒子粗大化抑制の観点から、6.0以上のpH領域において縮合反応を進めることが好ましい。この理由を説明する。
一般的に、有機ケイ素化合物の加水分解およびそれに続く脱水縮合は、ゾルゲル反応と言われている。ゾルゲル反応では、水系媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、媒体が酸性である場合には、水素イオンが一つの反応基(例えばアルコキシ基−OR基)の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H+ひとつで反応基(例えばアルコキシ基−OR基)の酸素をひとつ攻撃するため、媒体中のH+の含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に重縮合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成し易い。
一方、媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えばアルコキシ基−OR基)が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び重縮合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。従って、有機ケイ素重合体を形成するには、アルカリ性の下でゾルゲル反応を進めることが好ましい。
また、有機ケイ素化合物の縮合速度を速めて生産性を高めること、残存シラノール基を極力減らして帯電性を向上させること、有機ケイ素化合物重縮合体の構造をより強化する観点から、水系媒体の温度を85.0℃以上にすることが好ましい。
一方で、トナーの長期放置安定性および耐ストレス性を高めるために、水系媒体におけるトナー粒子製造時にカルボキシ基含有極性樹脂を添加する方法が用いられている。前記樹脂の存在により、トナー粒子の表層近傍付近で適度な極性勾配を得ることができ、トナーの長期放置安定性が良好となる。また、連続多数枚出力によりトナーにストレスがかけ続けられても部材汚染をより抑制させる。
しかし、前記のような製造条件が組み合わさった場合、つまり水系媒体中においてpH6.0以上かつ85.0℃以上の条件下で、有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子を製造する場合、発泡の課題が顕在化することが明らかとなった。
そこで、このpHに着目して検討を行ったところ、多くのカルボン酸の酸解離定数pKaが5.0以下であり、課題が顕在化するpH6.0以上の領域では、前記カルボキシ基を有する極性樹脂の酸解離が進行していることがわかった。
このことから、発泡の機構として、以下の様に推測をした。pH6.0以上ではカルボキシ基含有極性樹脂のカルボキシ基部位の酸解離が進むため親水性が上昇する。一方、それ以外の部位は炭素鎖が主であるために疎水性を有する。即ち、カルボキシ基含有極性樹脂の中に親水性部位と疎水性部位が混在して両親媒性を有することとなる。両親媒性を有する物質は家庭用洗剤に代表される様に、泡を構成する液膜を安定化させるため、発泡の原因となり得る。
前記推測に依れば、課題を解決するためにはpH6.0以上であっても、カルボキシ基含有極性樹脂の両親媒性を低くすることで課題を解決し得ると考えた。即ち、疎水性部位の親水性を上昇させるか、親水性部位の疎水性を上昇させることで両親媒性を低減させることが可能である。疎水性部位の親水性を向上させるための手段としては、強い酸化剤を用いて炭素鎖を酸化させることが考えられる。しかし、元の構造に戻すことは困難であり、構造を戻さなくては得られるトナー粒子の高温高湿環境下での吸着水分が課題になることが懸念される。一方、親水性部位の疎水性を向上させるための手段としては金属イオンを配位させて金属石鹸の様な構造にすることが考えられる。酸解離したカルボキシ基は孤立電子対を有するため、適切な条件下で金属イオンを配位させることが可能であると考えた。更に、発泡が課題になる工程が終わった後にはpH5.0以下とすることで金属を手放して元のカルボキシ基構造に戻るため、比較的容易に元の構造に戻すことができると考えた。
次に、配位させるのに適当な金属イオンの種類を考える。一般に、カルボキシ基との錯体形成能は金属イオンの価数が大きいほど高い。一方で、本発明のような高温かつ高pHの条件下においては、金属イオンの凝集力についても考慮する必要がある。この条件下では、負に帯電したトナー粒子同士が、正に帯電した金属イオンを介してネットワークを形成し、破泡しづらくなる。金属イオンの凝集力は、Schulze−Hardy則により金属イオンの価数の6乗に比例して大きくなるため、3価以上の金属イオンを用いるのは適当ではないことがわかった。
本発明者は前記の考えに基づいて検討を行った結果、水系媒体と水溶性の1価もしくは2価の金属化合物とを混合して製造することで課題を解決し得ることを見出した。ただし、前記多価金属化合物を混合した水系媒体のpHは、前記金属化合物を構成する金属の水和イオンの酸解離定数pKa以下である必要がある。本発明者の検討では、水系媒体のpHが前記金属の水和イオンのpKaを超える場合には抑泡の効果が弱くなることを確認した。これは、水和金属イオンのpKa以上のpH領域では多数の金属が水酸化物を形成してカルボキシ基への配位が出来なくなるためと推測している。即ち、本発明においては1価もしくは2価の金属化合物を混合するだけでなく、前記金属化合物を混合した水系媒体のpHを6.0以上、かつ、前記金属化合物を構成する金属の水和イオンのpKa以下に調整する工程、とを含むことが必要である。前記条件下では、カルボキシ基も金属もイオン化した状態で存在するため配位が可能であると考えられる。代表的な金属の水和イオンのpKaとしては以下を挙げることができる。Na+:14.8、K+:16.0〜16.5、Ca2+:12.7、Mg2+:11.4、Mn2+:10.6、Fe2+:9.5、Zn2+:9.0、Cu2+:7.3。
前記工程(A)は、前記式(A1)、前記式(A2)および前記式(A3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種類の有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子形成用組成物の粒子を、水系媒体中において形成する造粒工程である。他に、最終的なトナー粒子に含まれる材料そのものや、反応して最終的なトナー粒子の構成材料となる元の原料が含まれていてもよい。
トナーとしての機能を果たすためにも、有機ケイ素化合物由来の重合体(すなわち、重縮合体)としてトナー表面に留まることが出来るものを選択する必要がある。従って、前記有機ケイ素化合物Aが選択される。
有機ケイ素化合物を水系媒体で縮合させるには、通常、加水分解性の官能基を持った有機ケイ素化合物を使用し、加水分解後に形成されるシラノール基による脱水縮合を利用する。式(A1)、式(A2)および式(A3)は、加水分解性の官能基を持っている。有機ケイ素化合物は、水系媒体に投入された瞬間から、確率論・速度論的に加水分解が始まる。加水分解すると、シラノール基が生じるが、一般的にシラノール基は反応性が高いため、シラノール基同士が接触すると脱水縮合を起こしやすい。また、加水分解前の有機ケイ素化合物は疎水性であるが、加水分解してシラノール基になると、親水性が一気に強まる。よって、水系媒体中のトナー粒子前駆体表面に有機ケイ素化合物の加水分解物が局在して、さらには脱水縮合もトナー粒子前駆体表面で進むことができる。
有機ケイ素化合物重縮合体の構造強度の観点から、有機ケイ素化合物Aは、式(A2)または式(A3)が好ましく、より良好な帯電性を示す式(A2)が最も好ましい。有機ケイ素化合物A重縮合体の構造強度、トナー粒子前駆体同士の縮合による粗大化抑制、さらには良好な帯電性を示すことから、式(A2)のRcが、フェニル基または炭素数1以上6以下のアルキル基であることが最も好ましい。
本発明における有機ケイ素化合物として、主に以下が挙げられる。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルメトキシジクロロシラン、ブチルエトキシジクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これら有機ケイ素化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本発明における有機ケイ素化合物の添加量は、1質量%から20質量%が好適な範囲である。
工程(B)では、工程(A)と同時、或いは工程(A)より後に行われる工程であって、前記水系媒体中に、6.0以上の水和金属イオンのpKaを有する水溶性の1価または2価の金属化合物を添加する。前記水溶性の金属化合物を混合する工程は、造粒工程における水系媒体および/または重合工程における水系媒体と混合することができるが、泡の堆積が進んで液面の流動状態に影響が発生するより前に行うことが好ましい。ここで、混合する多価金属化合物は水溶性であれば特に限定されるものではなく、「水溶性」とはPRTR法の規定に基づき、常温で中性の水に対し1質量%以上溶解することと定義する。
工程(C)は、工程(B)において金属化合物を添加した後に行われる工程であって、まず、前記pH(M)が、
6.0≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKa
を満たすように、前記水系媒体のpHを調整する。これにより、金属イオンが水酸化物を形成し沈殿するのを防ぎつつ、酸解離したカルボン酸部位に金属イオンが配位し、泡の発生を抑制する。また、有機ケイ素化合物の脱水縮合反応が速やかに進行する。前記pHは6.5以上であることが、脱水縮合反応の進行速度の観点からより好ましい。
また、前記の規定を満たすpHにて、水系媒体の温度を85.0℃以上105.0℃以下の温度範囲に加熱することにより、有機ケイ素化合物の縮合反応が速やかに進行し、トナー粒子の表面に均一な有機ケイ素重合体の層が形成される。より好ましい温度は90.0℃以上105.0℃以下である。
前記温度範囲に30分間以上保持することにより、残存シラノール基を極力減らして帯電性を向上させることができ、また有機ケイ素化合物重縮合体の構造をより強化して部材汚染を低減させることができる。前記加熱保持時間は、2.0時間以上であることがより好ましい。
また、下記式(2)の関係を満たすことで抑泡の効果は一層良く得られる。
C×S≦N×M (2)
ここで、
C:前記カルボキシ基を有する極性樹脂1g当たりに含有されるカルボキシ基部位のモル数(mol/g)
S:前記重合性単量体組成物に含有される前記カルボキシ基を有する極性樹脂の質量(g)
N:前記金属化合物の金属イオン価数
M:前記水系媒体と混合される前記金属化合物のモル数(mol)
である。
この式の左辺は酸解離し得るカルボン酸部位のモル数を現わしており、右辺は金属化合物が配位可能な数を現わしている。即ちこの式が現わしていることは、親水基の数よりもそこに配位し得る金属を多く存在させることである。この条件にすることで、カルボキシ基を有する極性樹脂の両親媒性を効果的に低下させることができる。カルボキシ基含有極性樹脂1g当たりに含有されるカルボキシ基部位のモル数の調節は原材料の仕込み比などで行うことができる。
本発明に用いることができる水溶性金属化合物としては、例えば金属塩を挙げることができる。例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄(2価)、タリウム(1価)、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀等のハロゲン化物、ヘキサフルオロシリル化物、硫酸塩、酢酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、塩素酸類塩、硝酸類塩等の無機金属塩が挙げられる。また、有機酸の金属塩も水溶性であれば用いることができる。
具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化ストロンチウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。
中でも、前記金属化合物を構成する金属が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛から選択される一種または二種以上であることでより一層の抑泡効果が見られ好ましい。これらの中でも、ナトリウム、カリウムは1価の金属イオンであるため凝集力が小さく、特に好ましい。
水溶性の多価金属化合物は粉体のまま混合しても良く、予め水溶液として混合しても良いが、溶解熱が大きい物質の場合には意図せぬ温度変動を招くため、予め水溶液の状態としてから混合する方法が好ましい。水系媒体の温度変動を防ぐためには、混合する物を予め温度調節しておいてから混合することが特に好ましい。
混合方法は任意の方法で行うことができ、反応容器内の水系媒体に容器の上部から添加する方法を採ることもできるし、予め反応容器内に水溶性の多価金属化合物もしくはその水溶液が待受けている状態で水系媒体を投入して混合する方法も挙げられる。水溶性の多価金属化合物を添加する際には反応容器上部から連続的に投入する方法や、高所からの投入により泡立つ場合には必要に応じて間欠投入、霧状散布、液中に浸漬したノズルを介して添加する方法などを採っても良い。
更に本発明は、前記水溶性の金属化合物を混合した水系媒体のpHを6.0以上、かつ、前記金属化合物を構成する金属の水和イオンの酸解離定数pKa以下に調整する工程を含む。必要に応じて金属化合物を2種以上混合する場合にはpKaが最も低い物の値以下とする。金属化合物を混合しても水系媒体のpHが前記範囲内である場合には抑泡の観点からは改めて水系媒体のpH調整を行う必要は無い。一方で、水系媒体のpHによって得られるトナー粒子の粒度分布や帯電性能などが変わる場合もあるため、必要に応じて水系媒体のpHは前記範囲内で任意に調整することができる。なお、混合する金属化合物によっては加水分解などによって徐々にpHが変動する場合もあるため注意が必要である。また、水系媒体のpHが大きく変動することを防ぐためには、金属化合物を水溶液の状態にしておいて、予め任意のpHに調整しておいてから水系媒体と混合する方法が好ましい。pHの測定は市販のpH計を用いることができ、例えば「グラスライニング製pH測定システム グラスセンサーpH」(株式会社神鋼環境ソリューション社製)などを用いることができる。
pH調整は酸や塩基を添加することによって行うことができるが、ルイス酸は金属と配位結合し得るため避けた方が良く、本発明において好ましく用いられる酸としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、次亜塩素酸などを挙げることができる。また、塩基としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを挙げることができる。
以上の手段により抑泡を行い、発泡が課題となる工程が終わった後は、配位した金属を外して元のカルボン酸構造に戻し、更にトナー粒子近傍から金属イオンを除去することが帯電性能の観点からは好ましい。そのための手段として、トナー粒子と水系媒体とを分離する濾過工程を設け、前記濾過工程の前に、前記水系媒体のpHを2.0以下に調整する手段を採ることが好ましい。水系媒体のpHをカルボン酸のpKa以下とすることで、配位した金属を外して元のカルボン酸構造に戻し、金属は水系媒体にイオンの状態で存在することとなる。その上で濾過を行うことにより、金属イオンは水系媒体と共にトナー粒子近傍から除去される。より好ましくはpH=1.5以下に調整することである。
以下、本発明のトナー粒子の具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。
第一製法としては、重合性単量体、着色剤、及び有機ケイ素化合物を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に懸濁、造粒し、重合性単量体を重合して本発明のトナー粒子を得る方法である(所謂、懸濁重合法)。このトナー粒子は、トナー表面近傍に有機ケイ素化合物がトナー表面に析出した状態で重合されるため、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を含む層を形成させることが出来る。また、有機ケイ素化合物が均一に析出し易い利点が挙げられる。このような懸濁重合法は、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体を含む層の均一性の観点から、最も好ましい製法である。
第二製法としては、トナー母体を得てから水系媒体中で有機ケイ素重合体の表層を形成する方法である。トナー母体は、結着樹脂、及び着色剤を溶融混練し、粉砕して得ても良く、結着樹脂粒子、及び着色剤粒子を、水系媒体中で凝集し、会合して得ても良い。あるいは、結着樹脂、シラン化合物及び着色剤を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去して得ても良い。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素化合物及び着色剤を、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る方法である(所謂、溶解懸濁法)。この方法においても、トナー粒子表面近傍に有機ケイ素化合物がトナー表面に析出した状態で重合される。
本発明において好ましい水系媒体とは、以下のものが挙げられる。水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、これらの混合溶媒が挙げられる。
前記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
また、懸濁重合に際して、用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
また、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.000質量%以下である。
一方、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、懸濁重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下である。
前記懸濁重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものを使用することができる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
本発明のトナーに用いられるカルボキシ含有極性樹脂としては、カルボキシ基を有するものであればその種類は特段限定されず、以下の;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸とスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物、アクリロニトリル等のニトリル系ビニル単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系ビニル単量体、ニトロスチレン等のニトロ系ビニル単量体などとの共重合体などのカルボキシ基含有ビニル系樹脂;カルボキシ基含有ポリエステル系樹脂;カルボキシ基含有ポリウレタン系樹脂;カルボキシ基含有ポリアミド系樹脂;などが例示できる。
カルボキシ含有極性樹脂を使用することにより高温使用時の耐久性、帯電安定性および高温保管時の保存安定性がさらに向上する。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することが出来る。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、前記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、更には固溶体の状態で用いることが出来る。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーには、トナー製造時に荷電制御剤を用いることができ、公知のものが使用できる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて、トナー粒子に各種有機又は無機微粉体を外添してもよい。前記有機又は無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機又は無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粉体は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電均一化のためにトナー粒子の表面を処理することもできる。有機又は無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いられても良い。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<極性樹脂の分子量>
極性樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、極性樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<極性樹脂の酸価>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。0.100モル/l塩酸100mlを250mlトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20ml
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1ml
本試験;
測定サンプル0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mlを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<カルボキシ基含有極性樹脂1g当たりに含有されるカルボキシ基部位のモル数>
上記のようにしてカルボキシ基含有極性樹脂の酸価を求め、カルボキシ基含有極性樹脂が有するカルボキシ基の量を算出する。そして、これを基にカルボキシ基含有極性樹脂中のカルボキシ基の含有量(mol/g)を算出する。
<泡の堆積高さ>
発泡の程度を評価するために、泡が堆積した高さを測定する。測定はまず、発泡していない状態での液面位置を測定する。測定には反応容器の点検口から金属棒を反応容器内に垂直に挿入して液面以下まで到達させる。この時、金属棒には点検口の高さ部分が分かる様にマーキングをしておく。金属棒には液面以下まで到達した部分が着色剤により着色するため、マーキング部分から着色部分までの長さを測定することにより、点検口から液面までの距離T0を求めることができる。
更に、発泡が課題となっている工程においては泡の位置を測定する。発泡が課題となっている工程において、前記液面位置の測定方法と同様の方法で金属棒を挿入すると、泡が堆積した高さに応じて金属棒が着色する。着色した部分とマーキング部分の長さを測定することにより、点検口から泡の位置T1を求めることができる。泡が堆積した高さはT0とT1の差から求めることができる。一方、反応容器の底面から、発泡していない状態での液面位置までの液面高さをTとし、以下の式により泡の堆積高さHを算出する。
H=(T0−T1)/T
なお、実施例における評価ランクは下記の通りである。
ランクA:泡の堆積高さHが0.0以上0.10未満
ランクB:泡の堆積高さHが0.10以上0.30未満
ランクC:泡の堆積高さHが0.30以上0.60未満
ランクD:泡の堆積高さHが0.60以上
ランクE:泡が製造釜から溢れる
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
<カルボキシ基含有極性樹脂1の製造例>
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、
・テレフタル酸 21質量部
・イソフタル酸 21質量部
・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 89.5質量部
・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド3モル付加物 23.0質量部
・シュウ酸チタン酸カリウム 0.030質量部
上記ポリエステルモノマーおよび触媒を仕込み、窒素雰囲気下、常圧下で220℃で20時間反応を行い、更に10乃至20mmHgの減圧下で1時間反応させた。その後、170℃に降温し、無水トリメリット酸を2.0質量部添加して、170℃で1.0時間反応させ、降温後、粉砕し、カルボキシ基含有極性樹脂1を得た。カルボキシ基含有極性樹脂1のTgは74.8℃、酸価は20.4、重量平均分子量は7,600であった。
<カルボキシ基含有極性樹脂2の製造例>
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中にキシレン(沸点144℃)300質量部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させた。
この還流下で、
・スチレン 91.50質量部
・アクリル酸ブチル 2.50質量部
・メタクリル酸メチル 2.50質量部
・メタクリル酸 3.50質量部
・開始剤 ジ−tert−ブチルパーオキサイド 2.00質量部
の混合液を添加した後、重合温度を160℃、反応時の圧力を0.150MPaにて重合を5時間行った。その後、減圧下にて脱溶剤工程を3時間行い、キシレンを除去して、粉砕することでカルボキシ基含有極性樹脂2を得た。カルボキシ基含有極性樹脂2のTgは91.9℃、酸価は20.8、重量平均分子量は21,500であった。
<実施例1>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた4つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0モル/リットルのHCl水溶液22.0質量部を添加した。高速撹拌装置T.K.ホモミクサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液90質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。その後、以下の原料を用いて、重合性単量体組成物を作製した。
・スチレンモノマー 72.0質量部
・n−ブチルアクリレート 28.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.1質量部
・有機ケイ素化合物(ジメチルジエトキシシラン) 15.0質量部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・カルボキシ基含有極性樹脂1 20.0質量部
・帯電制御剤 ボントロンE−88(オリエント化学社製) 0.7質量部
・パラフィンワックス(HNP−5:日本精鑞製 融点60℃) 9.0質量部
前記原料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)で3時間分散させ、重合性単量体組成物とした。次に、この重合性単量体組成物を別の容器に移し、撹拌しながら60℃で20分保持し、その後、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート16.0質量部(トルエン溶液50%)を添加し、撹拌しながら5分間保持した。次に、前記重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、高速撹拌装置で撹拌しながら、10分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら5時間反応させた。pHは5.0であった。
一方で、予め1.0モル/リットル−NaCl水溶液を調製しておき、そのうち1000.0質量部を抜き取り、pH=7.0、温度70℃に調整しておいた。これを前記水系媒体に添加して、前記水系媒体とNaCl水溶液を混合した。
ナトリウムの水和イオンの酸解離定数は約14.8である。前記、NaCl水溶液を混合した水系媒体のpHを水酸化ナトリウムを用いてpH=8.0に調整した。
次に、イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って残存単量体およびトルエンを取り除き、重合体スラリーを得た。次に、容器内を85℃まで冷却した後、温度を維持しながら1.0モル/リットル−NaOHを13.0質量部加えてpHを9.0にした。その後、85℃にてさらに4時間反応を行った。30℃に冷却後の重合体スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。更に、ろ別、洗浄、乾燥の後、風力分級によって微粗粉をカットし、トナー粒子1とした。トナー粒子1の処方及び製造条件を表1及び表2に示し、物性を表3に示した。
<実施例2乃至13>
表1に示した有機ケイ素化合物の種類、並びに、表2に示した製造条件に従い、それ以外は実施例1に従い、トナー粒子2乃至13を得た。得られた粒子の物性を表3に示す。
<比較例1乃至6>
表1に示した有機ケイ素化合物の種類、並びに、表2に示した製造条件に従い、それ以外は実施例1に従い、比較トナー粒子1乃至6を得た。得られた粒子の物性を表3に示す。
〔評価〕
図1のような構成を有するタンデム方式のキヤノン製レーザービームプリンタLBP9510Cを改造し、シアンステーションだけでプリント可能とした。また、バックコントラストを任意に設定できるように改造した。また、転写電流を任意に設定できるように改造した。このLBP9510C用トナーカートリッジを用い、上記トナー粒子を200g充填した。そして、そのトナーカートリッジを高温高湿H/H(32.5℃/85%RH)の環境下で24時間放置した。高温高湿環境下で24時間放置後にトナーカートリッジをLBP9510Cに取り付け、1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で15,000枚までプリントアウトして、初期と20,000枚出力時(耐久後)の転写ラチチュード、画像濃度の評価を行った。結果を表4に示す。
<転写ラチチュードの評価>
初期と20,000枚印字後において、転写電流を2〜20μAの間で2μA刻みで変化させ、それぞれにおいてベタ画像を出力し、ベタ画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープでテーピングして剥ぎ取った。その後、前記テープとテーピングしていないテープをLETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に貼り付けた。前記テープの反射率Ds(%)からテーピングせず貼り付けたテープの反射率Dr(%)を差し引いた数値により転写性を評価した。
この転写性の数値が2.0以下となる転写電流範囲を転写ラチチュードとした。
反射率の測定は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を用い、アンバーフィルターを装着して測定した。
ランクA:転写ラチチュード13A以上
ランクB:転写ラチチュード10A以上13A未満
ランクC:転写ラチチュード7A以上10A未満
ランクD:転写ラチチュード4A以上7A未満
ランクE:転写ラチチュード4A未満
<画像濃度>
初期と20,000枚出力時の画像濃度の評価を行った。用紙は、XEROX BUSINESS 4200(XEROX社製、75g/m2)を用いて、ベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより評価した。なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。本発明の評価においては、以下のように画像濃度のランク付けを行った。評価結果を表4に示す。
ランクA:画像濃度1.40以上
ランクB:画像濃度1.30以上1.40未満
ランクC:画像濃度1.25以上1.30未満
ランクD:画像濃度1.20以上1.25未満
ランクE:画像濃度1.20未満
Figure 2018010125
Figure 2018010125
Figure 2018010125
Figure 2018010125
1:感光体、2:現像ローラ、3:トナー供給ローラ、4:トナー、5:規制ブレード、6:現像装置、7:レーザー光、8:帯電装置、9:クリーニング装置、10:クリーニング用帯電装置、11:撹拌羽根、12:駆動ローラ、13:転写ローラ、14:バイアス電源、15:テンションローラー、16:転写搬送ベルト、17:従動ローラ、18:紙、19:給紙ローラ、20:吸着ローラ、21:定着装置

Claims (6)

  1. 以下の工程(A)、工程(B)、および工程(C)を有する、トナー粒子の製造方法。
    工程(A):
    下記式(A1)で表される有機ケイ素化合物、下記式(A2)で表される有機ケイ素化合物および下記式(A3)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびカルボキシ基を有する極性樹脂を含有するトナー粒子形成用組成物の粒子を、水系媒体中において形成する造粒工程
    工程(B):
    工程(A)と同時、或いは工程(A)より後に行われる工程であって、前記水系媒体中に、6.0以上の金属の水和イオンの酸解離定数pKaを有する水溶性の1価または2価の金属化合物を添加する工程
    工程(C):
    工程(B)より後に行われる工程であって、前記水系媒体のpHをpH(M)としたとき、前記pH(M)が、
    6.0≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKa
    を満たすように、前記水系媒体のpHを調整し、前記の規定を満たすpHにて、水系媒体の温度を85.0℃以上105.0℃以下の温度範囲に30分間以上保つ工程
    Figure 2018010125
    (上記式中、Ra、Rb、Rcは、アルキル基、アルケニル基、アシル基又はアリール基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。)
  2. 前記カルボキシ基含有極性樹脂1g当たりに含有するカルボキシ基のモル数をCmol/g、
    前記カルボキシ基含有極性樹脂の添加量をSg、
    前記金属化合物の金属イオンの価数をN、モル数をMmolとしたとき、以下の関係を満たす請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
    C×S≦N×M
  3. 前記水溶性の金属化合物が1価の金属化合物である請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記工程(C)における前記pH(M)が、
    6.5≦pH(M)≦前記水和金属イオンのpKa
    を満たす請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記有機ケイ素化合物が、下記式(A2)で示される請求項1から4のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
    Figure 2018010125
    (式中、Rcは、アルキル基、アルケニル基、アシル基又はアリール基であり、R3、R4、R5は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。)
  6. 前記式(A2)のRcが、フェニル基又は炭素数1以上6以下のアルキル基である請求項5に記載のトナー粒子の製造方法。
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