JP2016212387A - トナー、及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、且つ保存安定性、耐久性に優れたトナーを提供する。
【解決手段】 スチレンアクリル樹脂、ブロックポリマー及び有機ケイ素重合体を有するトナーであって、有機ケイ素重合体は、特定の部分構造を有し、ブロックポリマーはポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有し、融点が55℃以上90℃以下であり、ポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比率が、40/60〜80/20であり、ポリエステル部位は特定のユニットを有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナー、及びトナーの製造方法に関する。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する技術は、複写機、プリンターなど様々な分野で利用されている。近年、高画質、省エネルギーであり、且つ長寿命・保存性が安定であることがこれまで以上に要求されるようになっている。
高画質、省エネルギーという観点では、特許文献1において、トナー粒子中の結着樹脂に結晶性樹脂を含有させることで、トナーの軟化点を下げる方法が開示されている。これにより低温定着性とグロスが向上し、省エネルギー、高画質が改善されている。
一方、長寿命・保存の高安定という観点では、特許文献2において、トナー粒子の表面を無機微粒子で強く固着させる方法が開示されている。これにより高温保存性及び印刷時の常温常湿環境下や高温高湿環境下における印字耐久性が改善されている。
特許第5084482号公報 特開2006−146056号公報
上記の文献のとおり、個々の問題は解決され、安定した画像を得ることが可能となっている。
しかしながら、省エネルギーと長寿命・保存安定性の両立に関して、改善する必要があり、トナーとして低温定着性と保存安定性・耐久性の両立が求められている。特に、結晶性樹脂を含有するトナーにおいては、軟化点の低下に伴いトナー中の離型剤や結着樹脂成分が、トナーの内部から表面に染み出す現象(以下、ブリード(bleed)ともいう)が生じやすい。これにより、長寿命・保存安定性が低下し、省エネルギーと長寿命・保存安定性の両立に改善の余地があるものであった。
本発明の目的は、低温定着性に優れ、且つ保存安定性、及び耐久性に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂、及びブロックポリマーを含有し、
前記表層が有機ケイ素重合体を含有し、
前記有機ケイ素重合体が、下記式(1)又は(2)で表される部分構造を有し、
前記ブロックポリマーが、ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、
前記ブロックポリマーの融点(Tm)が、55℃以上90℃以下であり、
前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)が、40/60以上80/20以下であり、
前記ポリエステル部位Cが、下記式(3)で示される構造単位を有することを特徴とするトナーに関する。
Figure 2016212387

(式(2)中、Lはメチレン基、エチレン基またはフェニレン基を示す。)
Figure 2016212387

(式(3)中、m、nはそれぞれ独立に、4以上16以下の整数を示す。)
本発明によれば、低温定着性に優れ、且つ保存安定性、及び耐久性にも優れたトナーを提供することができる。
透過型電子顕微鏡(TEM)によって観測されたトナー粒子の断面画像の一例を示す図である。
以下に、本発明の実施様態を具体的に説明する。
本発明のトナーは、スチレンアクリル樹脂、ブロックポリマー及び有機ケイ素重合体を有するトナー粒子を有する。
有機ケイ素重合体は、下記式(1)又は(2)で表される部分構造を有する。ブロックポリマーは、ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、ポリエステル部位Cは下記式(3)で示される構造単位を有する。
Figure 2016212387

(式(2)中、Lはメチレン基、エチレン基またはフェニレン基を示す。)
Figure 2016212387

(式(3)中、m、nはそれぞれ独立に、4以上16以下の整数を示す。)
さらに、ブロックポリマーの融点(Tm)が55℃以上90℃以下であり、ポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)が、40/60以上80/20以下である。
本発明者らは、スチレンアクリル樹脂、特定のブロックポリマー及び特定の有機ケイ素重合体を用いることで、低温定着性に優れ、且つ保存安定性、及び耐久性にも優れるトナーが得られることを見出した。
本発明に使用するブロックポリマーは結晶性を有する樹脂(以下、結晶性樹脂と称する)であるため、シャープメルトで低温定着性に優れる一方で、弾性が低く機械的強度に劣る。そのため、結着樹脂として単独で結晶性樹脂を用いた場合、十分な耐久性が得られにくく、現像ローラなどの部材へのトナー融着を起因とした排紙方向への縦スジなどの画像弊害が発生しやすくなる。そこで、本発明では、スチレンアクリル樹脂と特定のブロックポリマーを結着樹脂として併用することで低温定着性および定着領域幅を維持しつつ、上記課題を解決することができることを見出した。本発明のブロックポリマーが、スチレンアクリル樹脂と親和性の高いビニルポリマー部位Aを有することにより、トナー中においてスチレンアクリル樹脂中にブロックポリマーが十分に分散した状態となる。これにより、トナー粒子の強靭性が保たれ高耐久性が得られると考えられる。
一方、定着プロセスにおいては、トナーに熱が供給されるとブロックポリマーがビニルポリマー部位Aを起点としてスチレンアクリル樹脂に瞬時に相溶し可塑効果を発揮すると考えられる。それにより、トナーの軟化点が下がり低温定着性が達成される。また、ブロックポリマーがビニルポリマー部位を有することで、溶融後、ブロックポリマーが定着に必要な適度な粘度を持つことで、結着樹脂として働き低温定着性が相乗的に達成されると考えられる。
本発明の有機ケイ素重合体は、上記式(1)又は(2)で表される部分構造を有する有機−無機のハイブリッド樹脂である。この有機ケイ素重合体自身の表面移行性により、有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面側に存在して、強固なトナー粒子表層を形成し、高耐久性と長期にわたって安定した現像性が得られる。
有機ケイ素重合体は、Si原子の4個の原子価について、1個は下記式(iii)又は(iv)と、残り3個はO原子と結合している。
Figure 2016212387

(※は、ケイ素原子との結合部である。式(iv)中のLは、メチレン基、エチレン基又はフェニレン基を表す。)
O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って本発明のトナーは、シリカを外添剤として表面に添加した場合と似た状況を作り出していると考えられる。それにより、トナー粒子の表面を強固にすることができると考えられる。
一方で、式(iii)又は(iv)の構造を含むことで、スチレンアクリル樹脂の原料であるビニル系重合性単量体をはじめとする各種重合性単量体と反応し、架橋構造を形成することができる。従って本発明のトナーは、トナー粒子の内部と表層との接着性を増すことができ、高い耐久性と安定した現像性を得ることができると考えられる。
一般的に、結晶性樹脂の低分子量成分(Mw:2000以下)は、結晶性樹脂全体の融点と比べて低く、結晶性樹脂の低融点成分である。そのため、結晶性樹脂を含有させたトナーを高温放置すると、結晶性樹脂の低融点成分がブリードしてブロッキングを起こしやすい傾向にある。本発明は、ブロックポリマーに加えて、無機架橋している本発明の有機ケイ素重合体を用いることによって、無機架橋の遮蔽効果により低融点成分のブリードを十分に抑制することが可能となった。これにより、高温放置においてもブロッキングを抑制した優れた保存性が得られていると考えられる。
〔有機ケイ素重合体〕
有機ケイ素重合体は、上記式(1)または式(2)で表される部分構造を有する。上記式(1)または上記式(2)で表わされる部分構造を有することで、結晶性樹脂の低融点成分のブリードを抑制して優れた保存性が得られる。
上記式(1)または(2)の部分構造を有する有機ケイ素重合体を得るための単量体(モノマー)としては、下記式(4)または(5)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2016212387

(式(4)および式(5)中、R、R、R、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。式(5)中、Lはメチレン基、エチレン基またはフェニレン基を示す。)
式(4)または(5)で表わされる化合物としては以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、などの三官能性のビニルシラン;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメトキシジクロロシラン、アリルエトキシジクロロシラン、アリルジメトキシクロロシラン、アリルメトキシエトキシクロロシラン、アリルジエトキシクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルジアセトキシメトキシシラン、アリルジアセトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジメトキシシラン、アリルアセトキシメトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジエトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、アリルメトキシジヒドロキシシラン、アリルエトキシジヒドロキシシラン、アリルジメトキシヒドロキシシラン、アリルエトキシメトキシヒドロキシシラン、アリルジエトキシヒドロキシシランなどの三官能性のアリルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
また、上記式(4)または(5)で表わされる化合物以外に、下記に示す有機ケイ素化合物を併用して有機ケイ素重合体を得てもよい。有機ケイ素化合物としては、
一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、
一分子中に3つ反応基を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、
一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は
1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)が挙げられる。具体例を以下に示す。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、などの三官能性のメチルシラン;
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシランなどの三官能性アルキルシラン;
ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、などの三官能性のヘキシルシラン;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランなどの三官能性のフェニルシランが挙げられる。
また、ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、が挙げられる。
トナー粒子の表面のX線光電子分光分析(ESCA)において、下記式(5)で求められるトナー粒子表面のケイ素原子の存在比率が、1.0atomic%以上であることが好ましい。
{dSi/(dC+dO+dSi+dS)}×100 ・・・(5)
式(5)中、dCは炭素原子の濃度を示す。dOは酸素原子の濃度を示す。dSiはケイ素原子の濃度を示す。dSは硫黄原子の濃度を示す。
通常考えられるトナー粒子の主要原子は、炭素(C)、酸素(O)、硫黄(S)である。本発明においては、トナー粒子表面にケイ素(Si)原子が存在した場合、式(1)又は(2)で表される部分構造に由来する−SiO3/2構造が存在する。上記ESCAは、トナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に数nmの厚さで存在する表面の元素分析を行うものである。前記ケイ素原子の濃度dSiが高いほど、トナー粒子表面に本発明の有機ケイ素重合体が多く存在することを意味する。
このトナー粒子の表面における式(5)で求められるケイ素原子の存在比率が2.5atomic%以上であることが好ましい。ケイ素元素の存在比率を2.5atomic%以上に調整することによって、表面の表面自由エネルギーを小さくすることができ、流動性の向上やカブリの発生の抑制が可能となり、耐久性や現像性が向上する。より好ましくは5.0atomic%以上であることが好ましい。一方、前記トナー粒子の表面のケイ素原子の濃度は、帯電性の観点より、33.3atomic%以下であることが好ましい。ESCAは、Electron Spectroscopy for Chemical Analysisの略である。
また、前記dSiは、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体のモノマー種や量によっても制御することができる。
なお、上記表面とはトナー粒子の表面から10.0nm以下程度の領域のことである。
有機ケイ素重合体は、前記トナー粒子中に含有される有機ケイ素原子のうち、−SiO3/2で表される構造を有する有機ケイ素原子の割合が5.0%以上であることが好ましい。5.0%以上であると保存性及び耐久性がより優れる。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面の観察によって測定される、有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.が5.0nm以上であることが好ましい。
平均厚みDav.は、トナー粒子断面の最大径である長軸Lと、長軸Lの中点を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を交差角が均等(交差角は11.25°)になるように16分割し、前記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1乃至32)としたときに、前記分割軸上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みを示す。
これにより、トナー粒子の表層よりも内部の離型剤や樹脂成分によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。保存安定性の観点から、トナー粒子の表層の平均厚みDav.は7.5nm以上、さら好ましい範囲は10.0nm以上である。また、優れた低温定着性を得る観点から、平均厚みDav.150.0nm以下にすることが好ましい。さらに好ましくは100.0nm以下であり、より好ましくは、50.0nm以下である。
有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.は、有機ケイ素重合体の親水性基と疎水性基の割合、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察において、前記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1乃至32)とし、32本の各分割軸の長さをRAn(n=1乃至32)、前記分割軸An上の前記表層の厚みをFRAn(n=1乃至32)としたとき、FRAnのうち、有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが、5.0nm以下である分割軸の数の割合が20.0%以下であることが好ましい(図1参照)。
FRAnのうち、表層の厚み5.0nm以下の分割軸の数の割合が20.0%以下であることで、広範な環境においてもカブリや画像濃度安定性に優れたトナーを得ることができる。
トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子の全質量に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましい。含有量が0.5質量%以上であれば、有機ケイ素重合体の遮蔽効果が十分に得られ耐熱性が向上する。また、含有量が2.0質量%以下であれば、有機ケイ素重合体による定着性阻害が最小限に抑えられ良好な定着性が得られる。
有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる方法が挙げられる。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットの合成に用いられる。この製造方法によれば、表層、繊維、バルク体、微粒子といった種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層は、具体的には、アルコキシシランに代表される有機ケイ素化合物の加水分解重縮合によって生成されることが好ましい。この表層をトナーの粒子の表面に設けることによって、従来のトナーで行なわれているような無機微粒子の固着や付着を行わなくても、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーが得られる。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子表面に存在させやすい。微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが一つの反応基(例えばアルコキシ基(−OR基))の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、Hひとつで反応基(例えばアルコキシ基−OR基)の酸素をひとつ攻撃するため、反応媒体中のHの含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に重縮合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成し易い。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由して反応が進む。そのため全ての反応基(例えばアルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び重縮合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90℃以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
有機ケイ素重合体を形成する際に、表層の帯電制御を行う観点から金属系カップリング剤を併用してもよい。金属種としてチタン、アルミニウム、ジルコニウムなどがあるが金属系カップリング剤としてチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いるのが好ましい。
チタン系カップリング剤としては、以下のものが挙げられる。チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
アルミ系カップリング剤としては、以下のものが挙げられる。アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらのカップリング剤は単独で用いても、複数種用いても良い。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
〔ブロックポリマー〕
本発明のブロックポリマーは、ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有する。ブロックポリマーは、融点(Tm)が55℃以上90℃以下である。融点が55℃より低い場合は、ブロッキングが発生しやすく保存性の観点から使用しにくい。融点が90℃より高い場合は、ブロックポリマーを溶融させるための必要温度が高くなるため低温定着性という観点で使用しにくい。より好ましいブロックポリマーの融点は、60℃以上85℃以下である。
ブロックポリマーの融点は、ポリエステル部位を生成するモノマーや、ポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比率により制御することができる。
ブロックポリマーのポリエステル部位Cは、上記式(3)で示される構造単位を有する。この構造単位を有するポリエステル部位Cを用いることで、トナー粒子中では、スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーが相分離構造を取る。さらに、トナーの溶融時にはスチレンアクリル樹脂とブロックポリマーが相溶状態となる。これにより、スチレンアクリル樹脂が可塑し定着性が優れる。
ブロックポリマーのポリエステル部位Cは、下記式(A)で示されるジカルボン酸またはそのアルキルエステル化物もしくは分子内酸無水化物と、下記式(B)で示されるジオールとから生成することができる。該ポリエステル部位はこれらが縮合重合することで生成される。
HOOC−(CH)m−COOH 式(A)
(式中、mは、4以上16以下(好ましくは6以上12以下)の整数を示す。)
HO−(CH)n−OH 式(B)
(式中、nは、4以上16以下(好ましくは6以上12以下)の整数を示す。)
式(3)で示される構造単位において、m、nの好ましい値は、6以上12以下である。
ジカルボン酸は、ポリエステル部位に同じ部分骨格を生成するものであれば、カルボキシル基が(好ましくは炭素数1〜4の)アルキルエステル化した化合物または分子内酸無水物化した化合物等を用いてもよい。
ジカルボン酸としては、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸などが好ましい。
ジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが好ましい。
ブロックポリマーのビニルポリマー部位Aの組成はスチレン、メチルメタクリレートまたはn−ブチルアクリレートのような公知のビニルモノマーを用いることができる。特に好ましくはスチレンであり、スチレンアクリル樹脂との相溶部位として有効に働き溶融時の可塑がより発揮される。ビニルポリマー部位Aは、スチレンに由来するユニットを有することがより好ましい。
ブロックポリマーのポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)は、40/60以上80/20以下である。40/60より小さい場合、ポリエステル部位の特性が小さくなるため、シャープメルト性が損なわれ低温定着性に劣る傾向にある。80/20より大きい場合は、逆にポリエステル部位の特性が強く出すぎて耐久性に劣る傾向にある。
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、15000以上45000以下であることが好ましく、20000以上45000以下であることがより好ましい。また、ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)とブロックポリマーの数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.5以上3.5以下が好ましい。重量平均分子量が15000以上(より好ましくは20000以上)であれば、ブロックポリマーの機械的強度が優れ、耐久性が高くなる。45000以下であれば、分子の動きが緩慢となりにくく、溶融時の可塑効果が得られやすくなる。より好ましくは、23000以上40000以下、さらに好ましくは25000以上37000以下である。
ブロックポリマーの含有量は、ブロックポリマーとスチレンアクリル樹脂との合計に対して2.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることが好ましく、6.0質量%以上50.0質量%以下の範囲であることがより好ましい。さらに好ましくは20.0質量%以上40.0質量%以下である。2.0質量%以上(より好ましくは6.0質量%以上)であれば、本発明の効果である溶融時の可塑効果およびブロックポリマーによる結着効果が得られやすくなり、低温定着性が向上する。50.0質量%以下であれば、結晶性のポリエステル部位からの帯電リークが起きにくく、帯電性が低下しにくく、カブリが発生しにくくなる。また、耐ストレス性も低下しにくいため、耐久性が低下しにくく、排紙方向への縦スジなどの画像弊害が発生しにくくなる。
なお、ブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
〔スチレンアクリル樹脂〕
スチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することができる。なお、単官能性重合性単量体とは、重合性不飽和基を1つ有する単量体であり、多官能性重合性単量体とは、重合性不飽和基を複数有する単量体である。
単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、および、ジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、または、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、または、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用する。重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、または、それらとほかの重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の観点から好ましい。
スチレンアクリル樹脂のSP値は、9.45以上9.90以下であることが好ましく、より好ましくは9.50以上9.85以下である。スチレンアクリル樹脂のSP値とブロックポリマーのSP値との差の絶対値(ΔSP値)が0.03以上0.25以下であることが好ましい。この範囲にあることで、トナー中では、スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーが相分離構造をとり、溶融時にはこれらの樹脂が相溶状態となりやすく、バランスがとりやすい。
本発明に係るトナー粒子を製造するための製造方法は、どのような製造方法であっても構わないが、懸濁重合法、乳化重合法および懸濁造粒法のような水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒するトナー粒子の製造方法によって得ることが好ましい。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナー粒子の製造方法を説明する。
上記したスチレンアクリル樹脂を形成し得る重合性単量体、特定のブロックポリマー、有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物および、必要に応じて、着色剤、ワックスなどその他の添加物を分散機に依って均一に溶解または分散する。これにラジカル重合開始剤(以下、重合開始剤とも称する)を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。次に、重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行う。次いで、ゾルゲル反応により有機ケイ素重合体を生成することによってトナー粒子が製造される。分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機などが挙げられる。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
本発明にはワックスとして、公知のワックス成分を用いてもよい。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの天然ワックスおよびそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸またはその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスまたは石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性の改善効果がさらに高くなる。なお、これらのワックス成分には、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、これらのワックス成分は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100質量部に対して1量部以上30質量部以下使用するのが好ましい。
本発明に用いられるワックス成分の融点は30℃以上120℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下の範囲であることが好ましい。
上記のような熱特性を呈するワックス成分を用いることにより、得られるトナーの良好な定着性はもとより、ワックス成分による離型効果が効率良く発現され、十分な定着領域が確保される。
本発明には着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料を用いてもよい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、および、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、および、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、および、C.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、および、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、および、194。
ブラック系色着色剤としては、カーボンブラック、および、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、および、シアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
着色剤は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100質量部に対して1質量部以上20質量部以下用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。染料を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめて着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
また、必要に応じて荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤としては、摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂が挙げられる。
一方、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、および、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤は、単独でまたは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
また、荷電制御樹脂は、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることが好ましい。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは5質量%以上含有することである。荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であるものが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
重合性単量体を重合させるためのラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物系開始剤としては、以下のものが挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、および、tert−ブチル−パーオキシピバレートなどである。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、および、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、および、アンモニウム塩)などの無機過酸化物、および、4価のセリウム塩などの酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、および、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、および、エチルアミンのような炭素数1〜6程度のアミン)、ヒドロキシルアミンなどのアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6)、アスコルビン酸またはその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、および、トリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能性化合物が挙げられる。
水系媒体を調製するときに使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、および、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、および、アルミナが挙げられる。一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、および、デンプンが挙げられる。これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。例えば、トナー粒子(トナー母粒子とも称する)に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および、水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られる、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じやすくなる。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、および、有機チタン化合物。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもまたは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子(トナー母粒子)100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上1質量部以下である。外添剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<SP値の計算方法>
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(3)を用いて求めた。ここでのΔei、および、Δviの値は「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)を参照にした。
δi=[Ev/V]1/2=[Δei/Δvi]1/2 式(3)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH)×6から構成され、計算SP値は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi]1/2=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}]1/2
SP値(δi)は11.95となる。
<分子量の測定方法>
ブロックポリマー及びトナーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。なお、トナーの重量平均分子量とは、トナーのTHF可溶分を測定して得られる重量平均分子量のことを意味する。
まず、室温で、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率の測定方法>
核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて、ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率を求めた。測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値からポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比(C/A比)を算出した。
<融点の測定方法>
ブロックポリマーの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ブロックポリマー5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度及び降温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のブロックポリマーのDSC測定における融点(Tm)とする。
<式(1)及び式(2)の部分構造の確認方法>
式(1)及び式(2)の部分構造の確認方法は、以下のとおりである。式(1)のケイ素原子に結合しているメチン基(>CH−)の有無、または、式(2)のケイ素原子に結合しているメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、フェニレン基(−Ph−)の有無を13C−NMRにより確認した。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCEIII 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
式(1)のケイ素原子に結合しているメチン基(>CH−)のシグナル(25ppm)により確認した。シグナルが確認できたら、式(1)で表される部分構造は“あり”と判定した。式(2)のケイ素原子に結合しているメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、フェニレン基(−Ph−)のシグナルにより確認した。シグナルが確認できたら、式(2)で表される部分構造は“あり”と判定した。
13C−NMR(固体)の測定条件)
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
(有機ケイ素重合体の含有量の測定)
有機ケイ素重合体の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
有機ケイ素重合体を含まないトナー粒子100質量部に対して、シリカ(SiO)微粉末を0.10質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を0.20質量部、0.50質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、ペレットを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中の有機ケイ素重合体含有量を求める。
なお、本発明において、トナーに上記有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法によって、該有機微粉体又は無機微粉体を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
(透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の表層の平均厚みDav.及び表層の厚みが5.0nm以下の割合の測定)
本発明のトナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(FEI社製電子顕微鏡Tecnai TF20XT)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる樹脂と有機ケイ素化合物の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが高くなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。本発明では真空電子染色装置(Filgen社製VSC4R1H)を用い、薄片状にしたサンプルをチャンバーに入れ、濃度5、染色時間15minで染色処理を行う。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求めた値が、後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとした。
上記のように、FEI社製電子顕微鏡Tecnai TF20XTを用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次にGatan社製EELS検出器GIF Tridiemを用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。
次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の最大径である長軸Lと、長軸Lの中点を通りかつ垂直な軸L90との交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図1参照)。すなわち、該長軸Lの中点を通り、且つ、前記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように前記断面を横断する直線を16本ひくことにより、前記中点から前記トナー粒子の表面まで32本の線分を形成する。次に、該中心からトナー粒子の表層へ向かう線分(分割軸)をそれぞれAn(n=1〜32)、各線分(分割軸)の長さをRAn、上記線分An上の表層の厚みをFRAn(n=1〜32)とする。
そして、該分割軸上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.を求める。さらに、32本存在する各分割軸上における有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが、5.0nm以下である分割軸の数の割合を求める。
本発明では、平均化するためトナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
(透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem))
TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
(トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)の測定)
トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)は以下方法で求める。まず、1つのトナー粒子の表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求める。
(n)=(分割軸上における表層の厚みの32箇所の合計)/32=(FRA1+FRA2+FRA3+FRA4+FRA5+FRA6+FRA7+FRA8+FRA9+FRA10+FRA11+FRA12+FRA13+FRA14+FRA15+FRA16+FRA17+FRA18+FRA19+FRA20+FRA21+FRA22+FRA23+FRA24+FRA25+FRA26+FRA27+FRA28+FRA29+FRA30+FRA31+FRA32)/32
平均化するためトナー粒子10個のトナー粒子の表層の平均厚みD(n)(n=1〜10)を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)とする。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
(表層の厚み5.0nm以下の割合の測定)
[表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合]=〔{表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である分割軸の数}/32〕×100
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られた10個の表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合の平均値を求め、トナー粒子の表層の厚み(FRAn)が5.0nm以下である割合とした。
(トナー粒子の表面のケイ素原子の存在比率(atomic%))
トナー粒子の表面に存在するケイ素原子の濃度[dSi](atomic%)、炭素原子の濃度[dC](atomic%)、酸素原子の濃度[dO](atomic%)、及び硫黄原子の濃度[dS](atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた表面組成分析を行い算出した。
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件: X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV
StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V
Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 10回、S 5回
測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子表面に存在する、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、酸素原子の濃度[dO]、及び硫黄原子の濃度[dS](いずれも、atomic%)を算出した。
(トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法)
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定方法は、特開2014−130238号公報に記載の方法と同様の方法で測定する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例および比較例の部数および%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
まず、実施例で用いるブロックポリマーについて述べる。
<ブロックポリマー1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部、および、1,12−ドデカンジオール105.0部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.3部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の重量平均分子量(Mw)は17000、融点(Tm)は83℃であった。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器にポリエステル(1)100.0部、脱水クロロホルム440.0部を添加して完全に溶解させた。その後、トリエチルアミン5.0部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル(2)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られたポリエステル(2)100.0部、スチレン120.0部、臭化銅(I)3.0部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン6.5部を添加した。これを撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥してポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有するブロックポリマー1を得た。得られたブロックポリマー1の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー2の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃で還流させた。該溶液へスチレン100.0部、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)9.0部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しビニルポリマー(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニルポリマー(1)100.0部、有機溶媒としてキシレン80.0部、1,12−ドデカンジオール145.5部、及びエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸125.3部を加えて150℃で3時間、180℃で4時間反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてブロックポリマー2を得た。得られたブロックポリマー2の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー3〜11及び14〜18の製造>
表1に示すような原料および製造条件に変更すること以外はブロックポリマー2の製造方法と同様にしてブロックポリマー3〜11及び14〜18を得た。得られたブロックポリマー3〜11及び14〜18の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー12及び13の製造>
表2に示すような原料に変更すること以外はブロックポリマー1の製造方法と同様にしてブロックポリマー12及び13を得た。得られたブロックポリマー12及び13の物性を表3に示す。
Figure 2016212387
Figure 2016212387
Figure 2016212387
表3中、「C/A比」は、ポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量比率を示す。「SP値」は、ブロックポリマーのSP値を示す。
<負荷電性制御樹脂1の製造>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置および減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール255.0部、2−ブタノン145.0部および2−プロパノール100.0部を添加し、重合性単量体としてスチレン88.0部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.0部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5.0部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0部を2−ブタノン20.0部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに5時間撹拌して重合を終了し、凝集物を得た。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた凝集物を150メッシュ(目開き104μm)のスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粉体を250メッシュ(目開き61μm)の篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に該粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加え溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、ろ過した粒子を温度35℃にて48時間真空乾燥した。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにMEKを加え再溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、ろ過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥して極性重合体を得た。こうして得られた極性重合体はガラス転移温度(Tg)が83℃であり、メインピーク分子量(Mp)が21,500、数平均分子量(Mn)が11,000、重量平均分子量(Mw)が33,000であり、酸価は14.5mgKOH/gであった。また、1H−NMR(日本電子社製EX−400:400MHz)で測定された組成はスチレン:アクリル酸2−エチルヘキシル:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸=88.0:6.0:5.0(質量比)であった。得られた極性重合体を負荷電性制御樹脂1とする。
<トナー1の製造>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0部に、リン酸三カルシウム9.0部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の結着樹脂材料をプロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 70.2部
・n−ブチルアクリレート 19.8部
・ブロックポリマー1 10.0部
・ビニルトリエトキシシラン 5.0部
次に上記混合液に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電制御剤(ボントロンE−84、オリエント化学社製) 0.5部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0部
・負荷電性制御樹脂1 0.7部
・極性樹脂 5.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にT.K.ホモミクサーにて、撹拌速度10,000rpmにて攪拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤としてパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))9.0部を加えた。温度72℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
プロペラ式攪拌装置に移して撹拌速度200rpmで攪拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合反応させた。次に、1.0N−NaOHを加えてpHを7.2に調整し、容器内を温度100.0℃に昇温して5時間、ゾルゲル反応により有機ケイ素重合体を形成させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー1を得た。トナー1の物性を表5に示す。
<トナー2〜23およびトナー25〜31の製造>
表4に示すように原材料および添加部数を変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜23およびトナー25〜31を得た。
<トナー24の製造>
・スチレン−アクリル樹脂 90.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=80:20(質量比)の共重合体)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ブロックポリマー2 10.0部
・メチルエチルケトン 100.0部
・酢酸エチル 100.0部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電性制御樹脂1 1.0部
・ビニルトリエトキシシラン 5.0部
上記材料を、アトライター(三井三池化工機株式会社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0部にリン酸カルシウム27.0部を添加し、T.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、T.K.ホモミクサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持し、内温を温度95℃に昇温して3時間保持して分散液から溶剤を除去し、トナー粒子の分散液を調製した。
得られたトナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。上記分散液を加圧ろ過器にて、ろ過・洗浄をしてトナー凝集物を得た。その後、トナー凝集物を破砕、乾燥してトナー24を得た。トナー24の物性については表5に示す。
Figure 2016212387
Figure 2016212387
<画像評価>
画像評価は、カラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn)を一部改造して評価を行った。改造点は一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改良した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した。その後、プロセスカートリッジに各トナー(300g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。各評価とも、ランクA、B、Cは、本発明の効果が得られているレベルとした。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
〔低温定着性〕
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を、定着温度を変えてプリントし、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラ表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m)を用いた。
(評価基準)
A:100℃でオフセット発生せず
B:100℃でオフセット発生
C:110℃でオフセット発生
D:120℃でオフセット発生
〔スジ〕
低温低湿環境下(温度15℃/湿度10%RH)、において、横線で1%の印字率の画像を30000枚画像形成した。30000枚の画像形成終了後、LETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm)の画像をプリントアウトした。そして、ハーフトーン画像における排紙方向の縦スジの有無について観察し、以下のように耐久性を評価した。なお、耐久性に優れるトナーは潰れたり割れたりしにくく、現像ローラに付着しにくいため、スジが生じにくい。
(評価基準)
A:未発生
B:ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジが1カ所以上3カ所以下発生
C:ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジが4カ所以上6カ所以下発生
D:ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上の縦スジが発生
〔カブリ〕
高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を30000枚画像形成した。30000枚の画像形成終了後、48時間放置してからさらにプリントアウトした画像の非画像部の反射率(%)を「REFLECTOMETERMODEL TC−6DS」(東京電色社製)で測定した。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることを示す。評価は、グロス紙モードで、普通紙(HP Brochure Paper 200g、Glossy、HP社製、200g/m)を用いて行った。
(評価基準)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
〔ブロッキング〕
各トナー5gを50mLの樹脂製のカップに取り、温度60℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
〔実施例1〜27〕
実施例1〜27では、トナーとして、トナー1〜27をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表6に示す。
〔比較例1〜4〕
比較例1〜4では、トナーとしてトナー28〜31をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表6に示す。
Figure 2016212387

Claims (8)

  1. 表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂、及びブロックポリマーを含有し、
    前記表層が有機ケイ素重合体を含有し、
    前記有機ケイ素重合体が、下記式(1)又は(2)で表される部分構造を有し、
    前記ブロックポリマーが、ポリエステル部位C及びビニルポリマー部位Aを有し、
    前記ブロックポリマーの融点(Tm)が、55℃以上90℃以下であり、
    前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量比率(C/A比)が、40/60以上80/20以下であり、
    前記ポリエステル部位Cが、下記式(3)で示される構造単位を有することを特徴とするトナー。
    Figure 2016212387

    (式(2)中、Lはメチレン基、エチレン基またはフェニレン基を示す。)
    Figure 2016212387

    (式(3)中、m、nはそれぞれ独立に、4以上16以下の整数を示す。)
  2. 前記ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が、15000以上45000以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ビニルポリマー部位Aが、スチレンに由来するユニットを有する請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記スチレンアクリル樹脂のSP値と前記ブロックポリマーのSP値との差の絶対値(ΔSP値)が、0.03以上0.25以下である請求項1から3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析(ESCA)において、下記式(5)で求められるトナー粒子表面のケイ素原子の存在比率が、1.0atomic%以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のトナー。
    {dSi/(dC+dO+dSi+dS)}×100 ・・・(5)
    (式(5)中、dCは炭素原子の濃度を示す。dOは酸素原子の濃度を示す。dSiはケイ素原子の濃度を示す。dSは硫黄原子の濃度を示す。)
  6. 前記有機ケイ素重合体の含有量が前記トナー粒子の全質量に対して、0.5質量%以上2.0質量%以下である請求項1から5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記式(3)中、m、nがそれぞれ独立に、6以上12以下の整数である請求項1から6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、該方法が、
    前記スチレンアクリル樹脂を生成し得る重合性単量体、前記ブロックポリマー、及び前記有機ケイ素重合体を生成し得るケイ素化合物を含む重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合する工程を有する、ことを特徴とするトナーの製造方法。
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