JP2021131410A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写材上に複数色のトナー層を形成した時に、離型性と低温定着性に優れ、かつ広い色域の画像形成方法を提供することにある。【解決手段】複数のトナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像を転写材に形成する工程と、前記転写材上の前記合成未定着トナー像に接触し、前記合成未定着トナー像の上部から熱を与える定着器によって、前記合成未定着トナー像を前記転写材上に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、前記トナー像を構成するトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子を有し、前記トナーは120℃における貯蔵弾性率G’が5,000≦G’≦30,000で、前記合成未定着トナー像を構成する最上層のトナーが150℃における貯蔵弾性率G’(TL)、最下層のトナーが110℃における貯蔵弾性率G’(BL)について、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000が成り立つことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法の如き画像形成方法に関するものである。
従来、電子写真法においては光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷像を形成し、次いで静電荷像を、トナーを用いて現像し、紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、画像を得る。
従来の電子写真法により、カラーの多色像を得る場合、一般にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用い、各色のトナー像を重ね合わせ、混色することにより実現していた。したがって、自然画などの印刷においては多色トナーが積層され、トナー層が3〜4層の場合が多く、厚くなる。また、文字等においては1〜2層のトナー層より構成されるため、トナー層が薄くなる。トナー層が薄い場合は熱を与える定着器からの熱エネルギーをトナー全域に供給することが容易であるが、トナー層が厚い場合は、トナー層表面では高温になるが、下層は表面温度に比べ低温になり下層トナーが十分に溶融しなくなるため、定着性が悪化する。これは、従来のカラー画像記録装置に用いるトナー4色の貯蔵弾性率が同等のものを用いているためである。また、特に、これは高速プリントにおいて顕著である。そこで、色によって貯蔵弾性率を変更して、定着性を良好にした画像形成方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
だが、本発明者らの検討によると、高速プリントにおいて、転写材上に複数色のトナー層を形成した時の離型性と低温定着性を満足すると同時に、色域を広げる画像形成方法があることが分かった。
特開平6−274002号公報 特開2014−194528号公報
本発明の目的は、転写材上に複数色のトナー層を形成した時に、離型性と低温定着性、色域に優れる画像形成方法を提供することにある。
本発明は、複数のトナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像を転写材に形成する工程と、前記転写材上の前記合成未定着トナー像に接触し、前記合成未定着トナー像の上部から熱を与える定着器によって、前記合成未定着トナー像を前記転写材上に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
前記トナー像を構成するトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子を有し、
前記トナーの120℃における貯蔵弾性率G’が5,000≦G’≦30,000であり、
前記合成未定着トナー像を構成する最上層のトナーの150℃における貯蔵弾性率G’(TL)と、最下層のトナーの110℃における貯蔵弾性率G’(BL)について、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000が成り立つことを特徴とする画像形成方法に関する。
本発明によれば、転写材上に複数色のトナー層を形成した時に、離型性と低温定着性、色域に優れる画像形成方法を得ることができる。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造を有するときと有しないとき(b)の二値化画像に基づく説明図である。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
以下に、本発明の画像形成方法について、さらに詳しく説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、結着樹脂、着色剤及びワックスを有するトナー粒子を有するトナーにおいて、トナーの粘弾性特性を制御することによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の画像形成方法は、複数のトナー像(カラートナー像)が重ね合わされた合成未定着トナー像を転写材に形成する工程と、前記転写材上の前記合成未定着トナー像に接触し、前記合成未定着トナー像の上部から熱を与える定着器によって、前記合成未定着トナー像を前記転写材上に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、前記トナー像を構成するトナー(カラートナー)は、結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子を有し、前記トナーの120℃における貯蔵弾性率G’が5,000≦G’≦30,000であり、前記合成未定着トナー像を構成する最上層のトナーの150℃における貯蔵弾性率G’(TL)と、最下層のトナーの110℃における貯蔵弾性率G’(BL)について、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000が成り立つことを特徴とする。
G’(TL)は、転写材に形成された複数のトナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像における最上層のトナーの150℃のときの貯蔵弾性率である。
G’(BL)は、転写材に形成された複数のトナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像における最下層のトナーの110℃のときの貯蔵弾性率である。
G’(BL)−G’(TL)はトナー像の上部から熱を与える定着器によって、合成未定着トナー像を定着するときの合成未定着トナー像における最下層と最上層のトナーの貯蔵弾性率の差を表している。差が0以上8,000以下のときに画像の色域が広がる。
低温定着性に優れた複数色の合成未定着トナー像の定着は、最下層が最上層に比べて低温で溶融するように設計することから、G’(BL)とG’(TL)の差を0以上8,000以下にすることは、困難である。特に、離型性と低温定着性を向上させるために120℃における貯蔵弾性率G’を5,000以上30,000以下とした場合に顕著となる。
本発明者らの検討により、上述のように低温定着性に優れた複数色の合成未定着トナー像の定着する場合、110℃以上150℃以下においてG’が極小値を有するようにトナーを設計することが好ましい。極小値を有することで、G’(BL)とG’(TL)の差を0以上8,000以下に設計することが容易になり、低温定着性に優れて広い色域を有する画像を得られることが分かった。
以下で、上述のトナーを得るための好適な手段について、一例として、トナー粒子が有機ケイ素重合体を含有する表面層を有し、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を用いる方法について説明する。以下は一例であり達成手段はこれに限定されるものではない。
トナーのG’は、結着樹脂のG’を制御することで制御できる。例えば、結着樹脂がスチレンアクリル樹脂の場合、各モノマーの比率や重合度、有機ケイ素重合体等を変更することでG’を制御できる。
110℃以上150℃以下において貯蔵弾性率G’が極小値を有するためには、例えば、トナー粒子の表面に有機ケイ素重合体を含有する表層を形成し、有機ケイ素重合体の量や強度を制御すればよい。有機ケイ素重合体の強度は、後述する有機ケイ素重合体の形成過程において、モノマーの種類や量、反応温度やpH等を変更することで制御できる。
また、110℃以上150℃以下における貯蔵弾性率G’の極小値が1,000以上20,000以下であることが好ましい。
以上を踏まえて、本発明の作用効果のメカニズムを以下のように考えている。
低温定着性が優れた複数色の合成未定着トナー像の定着をしたとき、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000であると、溶融した最上層のトナーと溶融した最下層のトナーは近しい貯蔵弾性率G’であり、貯蔵弾性率が近い溶融物は混ざりやすいことから色域が広がる。特にトナーが定着温度付近にて貯蔵弾性率の極小を有すると、より効果が得られやすい。
トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法について説明する。
<結着樹脂>
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂の含有量は、トナー粒子中の樹脂成分全量に対して、50質量%以上であることが好ましい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合樹脂や複合化樹脂などが挙げられる。安価、容易に入手可能で低温定着性に優れる点でスチレンアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。さらに現像耐久性に優れる点でスチレンアクリル樹脂を含むことがより好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸などの中から好適なものを選択して組み合わせ、例えば、エステル交換法又は重縮合法など、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であって、好ましく使用される。
例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、好ましく使用される。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2以上12以下のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2以上12以下のアルキレングリコールとの併用である。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンアクリル樹脂としては、下記重合性単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、さらにはそれらの混合物が挙げられる。
スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン及びp−フェニルスチレンのようなスチレン系モノマー;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジエチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジブチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート及び2−ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸のような(メタ)アクリル系モノマー;
ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系モノマー;
エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて多官能性の重合性単量体を用いることができる。多官能性の重合性単量体としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン及びジビニルエーテルなどが挙げられる。
また、重合度を制御するため、公知の連鎖移動剤及び重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
スチレンアクリル樹脂を得るための重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert−ブチル−パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。
酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩)の無機過酸化物並びに4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。
還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸又はその塩並びに低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は混合して利用される。重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
<ワックス>
本発明に関するトナーには、公知のワックスを用いることができる。
具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムに代表される石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。
また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
結着樹脂に対する相分離性、又は、結晶化温度の観点からは、ベヘン酸ベヘニル、セバシン酸ジベヘニルなどの高級脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。
また、ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
ワックスの融点は、30℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下である。
上記のような熱特性を呈するワックスを用いることにより、離型効果が効率良く発現され、より広い定着領域が確保される。
<着色剤>
トナー粒子は着色剤を含有する。着色剤として、公知の顔料、染料を用いることができる。耐候性に優れる点から着色剤としては、顔料が好ましい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62及びC.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221及びC.I.ピグメントレッド254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー191及びC.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック並びに上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独で、又は混合物で、さらにはこれらを固溶体の状態で用いることができる。
着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
<荷電制御剤及び荷電制御樹脂>
トナー粒子は、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を含有してもよい。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び荷電制御樹脂などが挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩並びにこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、及び、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウム又はジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を挙げることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマー又はスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有する重合体が好ましく、より好ましくは5質量%以上含有する重合体である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10000以上30000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25000以上50000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有している場合、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性及び摩擦帯電特性をより向上させることができる。
これら荷電制御剤又は荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
荷電制御剤又は荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<有機ケイ素重合体>
本発明において、トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することが好ましい。有機ケイ素重合体としては、下記式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の重合体が挙げられる。
Figure 2021131410
(式(1)中、Raは、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上3以下)の炭化水素基(好ましくはアルキル基)、又は、アリール基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、(好ましくは炭素数1以上4以下の)アルコキシ基を表す。)
上記式(1)として、具体的に以下が挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルメトキシジクロロシラン、ブチルエトキシジクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
有機ケイ素重合体は、下記式(2)で表される構造を有することがより好ましい。
R−SiO3/2 ・・・(2)
ここで、Rは炭素数1以上6以下(好ましくは1以上3以下)の炭化水素基(好ましくはアルキル基)又は、アリール基を示す。
有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる製造方法が挙げられる。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、媒体が酸性である場合には、水素イオンが一つの反応基(例えば、アルコキシ基;−OR基)の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H+ひとつで反応基(例えば、アルコキシ基;−OR基)の酸素をひとつ攻撃するため、媒体中のH+の含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に縮重合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成し易い。
一方、媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基;−OR基)が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
また、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に存在させやすい。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上、反応温度50℃以上、反応時間5時間以上で反応を進めることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。
トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、P1及びP2間の極小値Vを持ち、P2は、有機ケイ素重合体由来の極大値であり、P1の輝度が20以上70以下であり、P2の輝度が130以上230以下であり、反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、極小値Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1とする。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体は、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることが好ましい。そして、トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子(以下、粒子A1ともいう)について粒子解析をしたとき、粒子面積の個数平均値が2.00×103nm2以上1.00×104nm2以下であり、粒子フェレ径の個数平均値が60nm以上200nm以下であることが好ましい。より好ましくは、粒子面積の個数平均値が2.00×103nm2以上8.00×103nm2以下であり、粒子フェレ径の個数平均値が60nm以上150nm以下である。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造を有するとき、図1(a)のように、輝度(Vl−29)以上255以下のピクセル部分(白)が網を形成する。そして、有機ケイ素重合体の存在しない輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分(黒)から構成される粒子(粒子A1)部分はネットワーク構造の“網の目”を形成し、孤立した粒子のように検出される。詳細な手法は後述するが、粒子A1について粒子解析を行い、粒子面積及びフェレ径を算出することで、ネットワーク構造の“網の目”の大きさを表現することができる。定着時、結着樹脂の溶融やワックスのしみだしが起こるのは、トナー粒子の母体部分である粒子A1部分からである。
つまり、粒子A1について粒子解析をしたとき、その粒子面積及びフェレ径が一定の大きさを持つと、定着時にトナー粒子の母体からの結着樹脂の溶融やワックスのしみだしが適切に起こる。それにより、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。ここでのフェレ径とは、選択範囲の外周の境界線上にある任意の2点を結ぶ直線のうち、もっとも長いものの距離である。粒子面積が2.00×103nm2以上、あるいはフェレ径が60nm以上であると、結着樹脂の溶融やワックスのしみだしが十分になり、特にブリスターの観点から低温定着性に有利である。
一方、粒子面積が1.00×104nm2以下、あるいはフェレ径が200nm以下であると、結着樹脂の溶融やワックスのしみだしが適切になり、特にホットオフセットの観点から低温定着性に有利である。
前記粒子面積及びフェレ径は、有機ケイ素重合体のモノマー種や、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御が可能である。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体が、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることは、以下の方法で確認できる。前記反射電子像から、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分を黒とした二値化画像を得たとき、図1(a’)のような形状を有していれば、有機ケイ素重合体がネットワーク構造を形成していると判断する。
一方、図1(b)のように、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造を持たないとき、輝度(Vl−29)以上255以下のピクセル部分(白)が孤立した粒子のように検出される。そして、有機ケイ素重合体の存在しない輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分(黒)から構成される粒子A1が網を形成する。つまり、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造の網を形成しない場合、粒子A1について粒子解析をすると、粒子面積及びフェレ径は大きくなる傾向にある。
<トナーの製造方法>
トナー粒子の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。好ましくは懸濁重合法である。
懸濁重合法は、結着樹脂を生成する重合性単量体、及びワックス、並びに、必要に応じて着色剤、有機ケイ素化合物及びその他の添加剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合してトナー粒子を得る方法である。
ここで、有機ケイ素重合体の表層を形成するための第一製法として、上記重合性単量体組成物に有機ケイ素化合物を添加する方法が挙げられる。有機ケイ素化合物を添加した場合、トナー粒子の表面近傍に有機ケイ素化合物が析出した状態で重合されるため、トナー粒子に有機ケイ素重合体を含有する表層を形成させることができる。また、該製法を用いた場合、有機ケイ素重合体を均一に析出させやすい。
第二製法としては、トナー粒子の母体を得てから水系媒体中で有機ケイ素重合体の表層を形成する方法である。トナー粒子母体は、溶融混練粉砕法、乳化凝集法、溶解懸濁法などを用いて製造してもよい。
懸濁重合法に使用する、水系媒体としては、以下のものが挙げられる。
水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、これらの混合溶媒。
水系媒体を調製する時に使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、及び、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。
無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、及び、アルミナが挙げられる。
一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、及び、デンプンが挙げられる。 これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
得られたトナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及び、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。
その中でも、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、及び、流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、ケイ素化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、及び、有機チタン化合物が挙げられる。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもあるいは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.50質量部以上5.00質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.00質量部以上2.50質量部以下である。外添剤は、トナーの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下、本発明における各種物性の測定方法について説明する。
<トナーの動的粘弾性測定>
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。測定試料としては、25℃の環境下で、錠剤成型器を用いて、トナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。
試料をパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から粘弾性の測定開始温度(50℃)まで昇温し、下記の条件で測定を開始する。
測定条件としては、
(1)初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットする。
(2)直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
(3)周波数(Frequency)は1.0Hzとする。
(4)印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
(5)50〜160℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/min、サンプリング周波数1回/℃で測定を行う。なお、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(6)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(7)最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
(8)歪み調整(Strain Adjustment)を20.0% of Current Strain と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(9)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
(10)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
(11)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×103(Pa)以上である。
本測定により、貯蔵弾性率(G’)の極小値の有無及びG’(BL)とG’(TL)を求めることができる。
<トナー粒子の表面の反射電子像の取得方法>
トナー粒子の表面の反射電子像は、走査電子顕微鏡(SEM)により取得した。
SEMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:800V
観察倍率:50,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布(蒸着は行わない)
以下の手順に従って、コントラスト及びブライトネスを決定する。まず、輝度ヒストグラム上で二つの極大値P1、P2がそれぞれ可能な限り大きなピクセル数をもち、P1、P2の輝度ができるだけ離れるようにコントラストを設定する。次に、P1、P2を極大値とする二つのピークの裾が輝度ヒストグラム内に収まるように、ブライトネスを設定する。これらコントラストおよびブライトネスは、使用装置の状態に合わせ、前記手順に沿って適宜設定する。また、本発明の加速電圧及びEsB Gridは、トナー粒子の最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近を選択する。
<P2が有機ケイ素重合体由来であることの確認方法>
P2が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認した。
SEM/EDSの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置(SEM):カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
使用装置(EDS):サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 NORAN System 7、Ultra Dry EDS Detecter
加速電圧:5.0kV
WD:7.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子)
観察倍率:50,000倍
モード:Spectral Imaging
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布し、白金スパッタ
本手法で取得したケイ素元素のマッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせ、マッピング像のケイ素原子部と反射電子像の明部とが一致することを確認する。
<輝度ヒストグラムの取得方法>
輝度ヒストグラムは、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まずImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8−bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、AnalyzeメニューのHistgramを選択し、輝度ヒストグラムを新規ウインドウに表示させる。前記ウインドウのListから、輝度ヒストグラムの数値を取得する。必要に応じて、輝度ヒストグラムのフィッティングを行ってもよい。ここから、極大値P1、P2の輝度及びピクセル数、極小値Vの輝度Vl、並びにピクセル数A1、A2、及びAVを算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値を輝度ヒストグラムから得られるトナー粒子の物性値とした。
<粒子A1についての粒子解析方法>
粒子A1の粒子解析は、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得した。以下に手順を示す。
まずImageメニューのTypeから、反射電子像を8−bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ImageメニューのAdjustから、Thresholdを選択する。手動操作において、輝度0以上(Vl−30)以下に該当する全ピクセルを選び、Applyをクリックして二値化画像を得る。この操作によって、A1に該当するピクセルが黒で表示される。再度、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ツールバーの直線ツール(Straight Line)を用い、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部中のスケールバーを選択しておく。その状態でAnalyzeメニューのSet Scaleを選択すると、新規ウインドウが開き、Distance in Pixels欄に選択されている直線のピクセル距離が入力される。前記ウインドウのKnown Distance欄に前記スケールバーの値(例えば100)を入力し、Unit of Mesurement欄に前記スケールバーの単位(例えばnm)を入力し、OKをクリックするとスケール設定が完了する。続いて、AnalyzeメニューのSet Mesurementsを選択し、AreaとFeret’s diameterにチェックを入れる。AnalyzeメニューのAnalyze Particlesを選択し、Display Resultにチェックを入れてOKをクリックすると粒子解析が行われる。新規に開いたResultsウインドウから、A1に該当する各粒子についての粒子面積(Area)と粒子フェレ径(Feret)を取得し、個数平均値を算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値をA1についての粒子解析から得られるトナー粒子の物性値とした。
<有機ケイ素重合体のネットワーク構造の確認方法>
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体が、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることは、以下の方法で確認した。
粒子A1についての粒子解析方法と同様にして、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分を黒とした1.5μm四方の二値化画像を得る。そのとき、図1(a’)のような形状を有していれば、有機ケイ素重合体がネットワーク構造を形成していると判断する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行うことで算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<式(2)で表される構造の確認方法>
有機ケイ素重合体の前記式(2)で表される構造の確認は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行う。
NMR測定用試料は、以下のように調製する。
測定試料の調製:トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用試料とする。
式(2)で表される構造のうち、ケイ素原子に結合するRaについては、13C−NMR(固体)測定により確認する。以下に測定条件を示す。
13C−NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
式(2)において、Rが炭素数1以上6以下の炭化水素基で表される構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si−CH3)、エチル基(Si−C25)、プロピル基(Si−C37)、ブチル基(Si−C49)、ペンチル基(Si−C511)、ヘキシル基(Si−C613)、フェニル基(Si−C65−))などに起因するシグナルの有無により、Rの存在を確認する。
また、式(2)において、Rがメチン基、アルキレン基あるいはアリーレン基の場合、ケイ素原子に結合しているメチン基(>CH−Si)、メチレン基(Si−CH2−)、エチレン基(Si−C24−)、あるいはフェニレン基(Si−C64−)等に起因するシグナルの有無により、Rの存在を確認する。
式(2)で表される構造のうち、シロキサン結合部分については、29Si−NMR(固体)測定により確認した。以下に測定条件を示す。
29Si−NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000〜8000回
上記測定後に、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
式(3)で表されるX1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2
式(4)で表されるX2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/22
式(5)で表されるX3構造:RmSi(O1/23
式(6)で表されるX4構造:Si(O1/24
Figure 2021131410
(式(3)〜(6)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmは、上記のRと同一の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
なお、式(3)〜(6)において、四角形で囲まれる部分の構造がそれぞれX1構造〜X4構造である。
トナーのテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(2)の構造に帰属されるピーク面積の割合が、20%以上100%以下であることが好ましい。
なお、式(2)で表される構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C−NMR及び29Si−NMRの測定結果と共に1H−NMRの測定結果によって同定してもよい。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例中及び比較例中の部は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<ポリエステル樹脂の製造例>
・テレフタル酸 15.00部
・イソフタル酸 15.00部
・ビスフェノールA−プロピレンオキサイド2モル付加物 70.00部
・シュウ酸チタン酸カリウム 0.03部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、上記各成分を仕込み、窒素雰囲気下、220℃で17時間反応を行い、更に10乃至20mmHgの減圧下で0.5時間反応させた。その後、180℃に降温し、無水トリメリット酸を0.10部添加して、175℃で2.0時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9,500、ガラス転移温度(Tg)は73℃、酸価(Av)は8.0mgKOH/gであった。
<イエロートナー1の製造例>
スチレン60.0部に対して、C.I.ピグメントイエロー155を5.0部、荷電制御剤(ボントロンE88;オリエント化学工業社製)を1.0部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。その後、表層用有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
一方、別容器に60℃に加温したイオン交換水900部、リン酸三カルシウム2.5部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて10000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
また、下記材料をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5000rpmにて混合・分散した。
・顔料分散組成物 66.0部
・スチレン 15.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・ポリエステル樹脂 5.0部
・ジビニルベンゼン(架橋剤) 0.60部
更に、60℃に加温した後、ベヘン酸ベヘニル10.0部と炭化水素ワックス(HNP−9;日本精鑞社製)5.0部、パーブチルD(日本油脂製)2.00部を投入し、30分間分散・混合を行い、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温した。5時間反応させた後、更に85℃に昇温し、2時間反応させトナー母体1を得た。このとき水系媒体のpHは5.1であった。
次に、内温を55℃にして、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を20.0部添加してトナーの表層形成を開始した。そのまま30分保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持し、表層を形成させた。30℃に冷却後、10%塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌した。トナー粒子を濾別し、水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、イエロートナー粒子1を得た。得られたイエロートナー粒子1をイエロートナー1とする。イエロートナー1の重量平均粒径(D4)をコールター・カウンターMultisizer3(ベックマン・コールター社製)で測定したところ、6.2μmであった。その他の物性を表2に示す。
<マゼンタトナー1の製造例>
イエロートナー1の製造例において、添加する顔料をC.I.ピグメントレッド122を3.0部及びC.I.ピグメントレッド150を2.0部に変更することを除いて、イエロートナー1の製造例と同様にしてマゼンタトナー1を製造した。
<シアントナー1の製造例>
イエロートナー1の製造例において、添加する顔料をC.I.ピグメントブルー15:3を5.0部に変更することを除いて、イエロートナー1の製造例と同様にしてシアントナー1を製造した。
<イエロートナー2〜13、マゼンタトナー2〜5、シアントナー2〜12の製造例>
イエロートナー1、マゼンタトナー1、シアントナー1の製造例において、添加するワックスの種類や添加量、架橋剤量、有機ケイ素化合物の種類、調製条件、添加部数を表1に示す組成に変更することを除いて、イエロートナー1、マゼンタトナー1、シアントナー1の製造例と同様にしてイエロートナー2〜13、マゼンタトナー2〜5、シアントナー2〜12を製造した。
Figure 2021131410
Figure 2021131410
〔実施例1〕
評価機としてLBP9600C(キヤノン社製)を使用し、イエローカートリッジにイエロートナー1を、マゼンタカートリッジにマゼンタトナー2を詰め替えた。常温常湿環境下(25℃、50%RH)において耐ホットオフセット性、耐ブリスター性、色域の評価を行った。前記評価機では、転写材上にイエロー及びマゼンタの2色のトナーを重ねた時に、最も定着器側のトナーはイエロートナーになり、最も転写材側のトナーはマゼンタトナーになる。評価結果を表3に示す。なお、上記評価機のプリント速度はA4:30枚/分である。
(1)耐ブリスター性
評価紙にはXerox社製Business4200(坪量105g/m2)を用いた。トナーの載り量を0.80mg/cm2(イエロートナー1 0.40mg/cm2、マゼンタトナー2 0.40mg/cm2)で、5cm×5cm面積の画像を出力した。定着温調を変化させながら、各温度で出力した画像を目視によりブリスター発生の有無を確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:発生温度が160℃未満
B:発生温度が160℃以上170℃未満
C:発生温度が170℃以上180℃未満
D:発生温度が180℃以上
(2)耐ホットオフセット性
評価紙にはキヤノン社製Office70(坪量70g/m2)を用い、トナーの載り量0.80mg/cm2(イエロートナー1 0.40mg/cm2、マゼンタトナー2 0.40mg/cm2)で、2cm×2cm面積の画像を出力した。定着温調を変化させながら、定着器通過時の評価紙の通紙方向後端部に、ホットオフセットが生じた時点の定着温度を確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:発生温度が210℃以上
B:発生温度が200℃以上210℃未満
C:発生温度が190℃以上200℃未満
D:発生温度が190℃未満
(3)色域の評価
評価紙にはキヤノン社製GF−C081用紙(坪量81.4g/m2)を用い、10mm×10mm面積の四角画像を紙状に均等に9点配列された画像パターンをトナーの載り量0.20mg/cm2から0.80mg/cm2まで(イエロートナー1、マゼンタトナー2を等量ずつ)0.10mg/cm2刻みで、7枚の画像を出力し、定着温度150℃で定着した。
10mm×10mmの四角画像上の彩度(C*)測定を「Spectrolino」(マクベス社製)を用いて付属の取扱説明書に沿って行った。得られた9点の彩度を平均し、彩度の値とした。7枚の画像について彩度測定を行い、得られた最も高い彩度を以下の指標で評価した。
A:彩度が84以上
B:彩度が81以上84未満
C:彩度が78以上81未満
D:彩度が78未満
〔実施例2〜26、比較例1〜5〕
表3に示すトナー用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2021131410

Claims (7)

  1. 複数のトナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像を転写材に形成する工程と、前記転写材上の前記合成未定着トナー像に接触し、前記合成未定着トナー像の上部から熱を与える定着器によって、前記合成未定着トナー像を前記転写材上に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
    前記トナー像を構成するトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子を有し、
    前記トナーの120℃における貯蔵弾性率G’が5,000≦G’≦30,000であり、
    前記合成未定着トナー像を構成する最上層のトナーの150℃における貯蔵弾性率G’(TL)と、最下層のトナーの110℃における貯蔵弾性率G’(BL)について、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000が成り立つことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記トナーが110℃以上150℃以下の範囲で貯蔵弾性率G’が極小を持つ請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記トナーが110℃以上150℃以下の範囲で貯蔵弾性率G’として1,000≦G’≦20,000の極小値を有する請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記トナー粒子が有機ケイ素重合体を含有する表層を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記トナー粒子は、表面に有機ケイ素重合体のネットワークを有する請求項4に記載の画像形成方法。
  6. 前記トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、前記トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、P1及びP2間の極小値Vを持ち、P2は、有機ケイ素重合体由来の極大値であり、前記極小値Vの輝度をVlとし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数について粒子解析をしたとき、
    粒子面積の個数平均値が2.00×103nm2以上1.00×104nm2以下であり、粒子フェレ径の個数平均値が60nm以上200nm以下である請求項4または5に記載の画像形成方法。
  7. 複数のカラートナー像が重ね合わされた合成未定着トナー像を転写材に形成する工程と、前記転写材上の前記合成未定着トナー像に接触し、前記合成未定着トナー像の上部から熱を与える定着器によって、前記合成未定着トナー像を前記転写材上に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
    前記カラートナー像を構成するトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスを含有するトナー粒子を有し、
    前記トナーの120℃における貯蔵弾性率G’が5,000≦G’≦30,000であり、
    前記合成未定着トナー像を構成する最上層のカラートナーの150℃における貯蔵弾性率G’(TL)と、最下層のカラートナーの110℃における貯蔵弾性率G’(BL)について、0≦G’(BL)−G’(TL)≦8,000が成り立つことを特徴とする画像形成方法。
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