JP6024558B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
保管環境耐性とは、輸送中や倉庫等に保管中に温湿度変化があってもトナー性能を維持する性能のことである。
省電力化のためには、低い温度で定着可能な低温定着用結着樹脂が必須であるが、低温定着用結着樹脂を用いた静電荷像現像用トナーは、現像装置内での撹拌等のストレスにより劣化し易く、保管中の温湿度変化でも劣化し易く、また、保管中の温湿度変化で離型剤成分が表面からブリードし易い。
そのため、保管環境耐性を維持し、トナーのライフ初期からライフエンドまで高画質を保つことは難しい。
保管環境耐性を向上させるために外添剤の添加量を増やすと、定着性が悪化する。従って、適当なトナー摩擦帯電性、粉体流動性を保つことも困難である。
少なくとも、シリコーンオイル系表面処理がされたシリカ、及び、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカが外添されたものであり、
静電荷像現像用トナーの示差熱量測定による吸熱開始点が60℃以下であり、150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも10000Pa以下であり、150℃における損失正接tanδが0.3以上3以下であり、
かつ、45℃85%RHの環境で60時間熱処理された静電荷像現像用トナーの移送度が、該熱処理がされていない静電荷像現像用トナーの移送度の2倍以内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
少なくとも、疎水化処理シリカが、静電荷像現像用トナー全体に対して、1.5〜2.0質量%外添されており、
静電荷像現像用トナーの粒度分布(Dv50/Dn50)が1.08以下であり、
静電荷像現像用トナーの示差熱量測定による吸熱開始点が55℃以下であり、120℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも3000Pa以上50000Pa以下であり、150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも300Pa以上5000Pa以下であり、150℃における損失正接tanδが0.3以上3以下であり、190℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも1000Pa以下であり、
かつ、45℃85%RHの環境で60時間熱処理された静電荷像現像用トナーの移送度が、該熱処理がされていない静電荷像現像用トナーの移送度の2倍以内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
更に、トナー使用の初期から終期までのトナーライフを通して常に高画質を維持できる静電荷像現像用トナーを提供することができる。すなわち、外添剤のトナー母粒子内部への埋没や遊離、離型剤のブリードアウト等による、トナーの摩擦帯電性や流動性の変化;選択現像による粒度分布の変化;現像し難いトナー粒子の比率の増加等に起因する「トナーライフにおける画質劣化」の少ない静電荷像現像用トナーを提供することができる。
以下、静電荷像現像用トナーを単に「トナー」と略記する。すなわち、外添されたものを「トナー」と略記し、外添前のものを「トナー母粒子」と略記する。
また、トナーの1粒を「トナー粒子」と略記する。
本発明のトナーに含有される結着樹脂、すなわち、トナー母粒子に含有される結着樹脂としては、特に限定はなく、トナーに用い得ることが知られているもの樹脂が使用可能である。具体的には、例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ケトン系樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
紙等の基板に定着を実現させるためには、熱定着機で融かして紙等の基板に定着させる温度域において、トナー粒子が、適正な粘弾性を有することが必要である。すなわち、低温定着性能を向上させるには、できるだけ低温域において、トナー粒子が、適正な粘弾性を有することが必要である。
また、上記要件を満たしつつ、「120℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率」が、何れも50000Pa以下ならば低温定着に特に好適であり、20000Pa以下ならば更に好適である。
また、上記150℃における要件を満たしつつ、「190℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率」が、何れも1000Pa以下ならば、低温定着性能の向上、更にはフルカラー画像において高い光沢を実現するために特に好適であり、700Pa以下ならば更に好適である。
更に、上記120℃、150℃、190℃での要件を全て同時に満たすトナーが最も好ましい。
また、「120℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率」が、何れも3000Pa以上であることが、トナー粒子の強度確保のために好ましく、4500Pa以上であることが特に好ましい。
「150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率」が、何れも10000Pa以下であることを必須条件としつつ、上記した下限についての「150℃における要件」及び/又は「120℃における要件」とが組み合わされていることが更に好ましい。
tanδは、上記理由から、より好ましくは、0.5以上2以下、特に好ましくは、0.7以上、1.5以下である。
特に、上限以下であると、紙へのトナーの浸み込みによるアンカー効果で定着が確保でき、下限以上であると、定着ローラへのトナーのオフセットが防げる。
また、上記した「貯蔵弾性率及び損失弾性率」と「tanδ」は、トナーについての必須の範囲、(特に)好ましい範囲等であるが、上記した範囲は、外添前のトナー母粒子にも当てはまる。
本発明に用いるトナーには、離型性付与のため離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、離型性を有するものであれば如何なるものも使用可能であり、特に限定はされない。
具体的には、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル;等が挙げられる。
離型剤の使用量は、トナー100質量部に対して、好ましくは4〜20質量部、より好ましくは6〜18質量部、特に好ましくは8〜15質量部である。
また、トナーの体積中位径(Dv50)が7μm以下の場合、即ち、トナーが小粒径である場合には、離型剤の使用量の増加に伴い離型剤のトナー粒子表面への露出が極端に激しくなり、トナーの保存安定性が悪くなる。
本発明のトナーは、上記範囲の上限のように、離型剤の使用量が多い場合(上限が大きい場合)であっても、従来のトナーと比較して、「前記したようなトナー特性」の悪化を招くことが少ない。
シードとして添加することにより、離型剤が内包された重合体1次粒子が得られるので、離型剤がトナー粒子の表面に多量に存在することがなく、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。
重合体1次粒子中の離型剤の存在量は、重合体1次粒子全体に対して、好ましくは4〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは7〜15質量%である。
本発明のトナーの示差熱量測定による吸熱開始点(以下、単に「吸熱開始点」と略記する場合がある)は、60℃以下であることが必須である。吸熱開始点が60℃以下であると、低温での定着が実現できる。より低温での定着を実現させるために、より好ましくは57℃以下、特に好ましくは54℃以下である。
「吸熱開始点」の下限は特に限定はないが、45℃以上が好ましく、50℃以上が特に好ましい。下限が、上記温度以上であると、保管環境耐性や現像器内での機械的ストレスに対する耐性が良好となる。
特に、前記した離型剤がトナー粒子中に含有されることで、吸熱開始点を60℃以下、特に好ましくは55℃以下にでき、更に、上記した好適な温度範囲に収めることが可能となる。
本発明においては、トナーの平均円形度が0.965以上0.975以下であることが、トナーライフを通しての性能維持、また転写残トナーの適正なクリーニングの点から好ましい。より好ましくは、0.966以上0.973以下であり、特に好ましくは、0.968以上0.971以下である。
トナー母粒子のトナーの平均円形度についても同様である。
低温で定着することに着目し、低温で定着可能な結着樹脂や離型剤を使用すると、トナーは一般に固まり易くなる。その防止のためには、外添剤を多量に外添すれば改善するが、定着性を悪くする。
また、一般的に使用される疎水化処理された外添剤の場合は、離型剤を吸い取ってしまうような副作用もあるため、定着時に高温オフセットも発生し易くなる。
従って、外添剤は、あまり多量に外添することはできない。勿論、より低温定着向きの樹脂設計と多めの外添剤量を選ぶ設計もあれば、やや樹脂の軟化点を上げても外添剤の外添量を少な目にして、同程度の定着性能を確保する設計もある。
外添剤は、粉体流動性はもちろん、摩擦帯電性能にも重要な働きをしている。熱履歴を受けて、外添剤のトナー表面への埋没程度が変化することは、トナー使用の初期から終期までのトナーライフを通して高画質を維持することにとって重要である。
電子写真の現像方式は、大きく分けて、キャリアを用いる2成分方式、磁気ローラを用いて磁性トナー搬送する磁性1成分方式、静電付着力でトナーを搬送、現像する非磁性1成分方式がある。非磁性1成分方式においては、外添剤の効果である粉体流動性と帯電性能の安定が特に重要である。
従って、本発明のトナーは、非磁性1成分方式用であることが、本発明の前記した効果を得易いために好ましい。
複写機やプリンタは、常温常湿環境だけでなく、低温低湿や高温高湿環境においても良好な性能を維持する必要がある。従来に比べれば、オフィスや家庭環境における冷暖房完備が整い、極端な高温高湿や低温はなくなったものの、加湿までは行わないことが多いため、低湿環境での性能維持は重要なことである。15℃程度の低温は多々ある環境であり、常温低湿(例えば、23℃20%)は、オフィス環境においては一般的にあり得る環境である。
発明者は、「エトワス社製振動移送式流動性測定装置」によって測定される粉体流動性の1種である移送度に着目することで本発明に至った。
振動移送式流動性測定装置の測定部は、ボウル状容器内の側面にらせん状のスロープを有しており、このボウル状容器に微小振動を与えることでボウル状容器底に置かれたトナー粉末がらせん状スロープを登っていく。トナーが単位時間当たりに登って排出される量が移送度である。流動性のよいサラサラしたトナーは、振動によりスロープ登っては少し下ると言う動作を繰り返し、単位時間当たりに移送される量が少ない。一方、流動性が悪いトナーは振動により登る距離に比べ、下る距離が少なく、移送量が多くなる。
すなわち、[移送度の比]=[該熱処理トナーの移送度]/[未処理トナーの移送度]で定義される「移送度の比」は、本発明においては、2以下が必須であり、1.9以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましく、1.3以下が更に好ましい。
着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料等を、単独又は混合して用いることができる。
フルカラートナーの場合には、イエローは、ベンジジンイエロー、モノアゾ系又は縮合アゾ系染顔料;マゼンタは、キナクリドン又はモノアゾ系染顔料;シアンは、フタロシアニンブルーをそれぞれ用いることが好ましい。
着色剤は、乳化重合凝集法による場合は、重合体1次粒子100質量部に対して3質量部以上20質量部以下となるように用いることが好ましい。
トナーには帯電制御剤を用いてもよく、帯電制御剤を用いる場合には、公知の任意のものを単独又は併用して用いることができる。
例えば、正帯電性帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩、塩基性・電子供与性の金属物質等が挙げられる。また、負帯電性帯電制御剤としては、金属キレート類;有機酸の金属塩;含金属染料;ニグロシン染料;アミド基含有化合物;フェノール化合物若しくはナフトール化合物、それらの金属塩;ウレタン結合含有化合物;酸性若しくは電子吸引性の有機物質等が挙げられる。
現像器内でのストレスにより、トナー物性がある程度変化してしまうことは必至であるが、外添剤として、シリコーンオイル系表面処理がされたシリカとシランカップリング剤系表面処理(特に好適には、ジメチルシランカップリング剤処理)がされたシリカを併用することで、トナーライフを通して適切な流動性や帯電性を維持し易く、ライフエンドでのカブリや回収トナーの上昇が発生し難いことが判り、熱履歴によるトナーの変化も最小限に留めることができることも判り、本発明に至った。
外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩;窒化チタン、窒化珪素等の窒化物;炭化チタン、炭化珪素等の炭化物;アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子;等が挙げられる。これらは、1種又は複数種を組み合わせることが可能である。
本発明においては、シリコーンオイル系表面処理がされたシリカとシランカップリング剤系表面処理がされたシリカを併用する。
ヒュームドシリカは、湿式シリカに比べ、トナーの流動性を向上させる効果が大きい。シリカのサイズとしては、シリカのBET比表面積で示すことが多く、50m2/g以上のものが、本発明においては、粉体流動性や帯電性確保の点から好ましく、100m2/g以上のものが特に好適である。
「シリコーンオイル系表面処理」に用いられるシリコーンオイル系処理剤としては、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル、シリコーンオイルの長鎖の端部や途中をシランカップリング基等で装飾し、シリカ表面と化学的に結合させるようにしたもの等が、好ましいものとして挙げられる。
また、ポリジメチルシロキサンに限らず、一部のメチル基をフェニル基等で置換したシリコーンオイル系処理剤は、帯電量等のバランスが良好なため好ましい。
また、アミノ基等の窒素含有基を含むシリコーンオイル系処理剤は、プラス帯電トナー用として特に好適である。
「シランカップリング剤系表面処理」に用いられるシランカップリング剤処理剤としては、ジメチルジクロロシラン等、シリカ表面との結合により表面がジメチルシランとなるもの(ジメチルシラン化されるもの)、ヘキサメチルジシラザン等、結合後、表面がトリメチルシランとなるものが好ましく使用される。
また、一部(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤を用いてもよい。アミノ基等の窒素含有基を含むものはプラス帯電トナー用として好適である。
また、「シランカップリング剤系表面処理がされたシリカ」は、ヒュームドシリカであることが、本発明の前記効果(特に、トナーの流動性を向上させる効果)を得るために好ましい。
本発明におけるシリカの合計の外添量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下が、前記本発明の効果を奏するために好ましく、1質量部以上3質量部以下がより好ましく、1.4質量部以上2.2質量部以下が特に好ましい。
小粒径チタニアの外添量は、全外添剤の外添量に対して、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、2〜15質量%が特に好ましい。
本発明のトナーの製造方法、すなわち、トナー母粒子の製造方法は、溶融混練、粉砕分級工程を有する乾式法であっても、液体の媒体中でトナー母粒子を製造する湿式法であってもよいが、湿式法を適用することが好ましい。
湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等が挙げられ、何れの方法で製造してもよく特に限定されないが、乳化重合凝集法により製造したものであることが特に好ましい。
懸濁重合法は、まず、結着樹脂の単量体中に、着色剤、重合開始剤、要すれば極性樹脂、帯電制御剤、架橋剤等を加え、均一に溶解又は分散させた単量体組成物を調製する。この単量体組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは、単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行いつつ重合を行う。次いで、これらを洗浄・ろ過により収集することによりトナー母粒子を得る。
溶解懸濁法は、結着樹脂を有機溶剤に溶解し、着色剤等を添加分散して得られる溶液相を、分散剤等を含有した水相において機械的な剪断力で分散し液滴を形成し、液滴から有機溶剤を除去することによりトナー母粒子を得る。
乳化重合凝集法は、乳化重合工程により得られた結着樹脂単量体の重合体1次粒子、着色剤分散液等を作製しておき、これらを水系媒体中に分散させ、加熱等を行うことにより凝集工程を行ない、更に熟成工程を行なう。
得られたものを、洗浄・ろ過により収集し、トナー母粒子を得る。次いで、トナー母粒子は、乾燥する工程を経る。更に、得られたトナー母粒子に外添剤を外添し、トナーを得る。
乳化重合工程は、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で結着樹脂となる重合性単量体を重合するが、この際、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加してもよい。また、単量体はそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤等と混合、調製した乳化液として添加することもできる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。
また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これら酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性単量体を用いることが好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を用いることが特に好ましい。
また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えば、グリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でも、ラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
これら重合開始剤は、モノマー添加前、添加と同時、添加後の何れの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いることが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径が、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下である。
重合体1次粒子を撹拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と撹拌による剪断力とのバランスにより粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか又は電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下、更に好ましくは55℃以下である。
凝集に要する時間は、装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温してもよいし、段階的に昇温することもできる。
界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等の湿式法によって得られたトナー母粒子は、湿式媒体中から得られたトナー母粒子を固液分離し、トナー母粒子を粒子凝集体として回収した後、必要に応じて洗浄を行うことが好ましい。
酸としては、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸や、クエン酸等の有機酸を用いることができる。
アルカリとしては、ソーダ塩(水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等)、ケイ酸塩(メタケイ酸ナトリウム等)、リン酸塩等を用いることができる。
洗浄は、常温又は30〜70℃程度に加熱して行うこともできる。
水分除去工程において使用する乾燥機としては、流動乾燥機、ジェット乾燥機、減圧乾燥機等を用いることができ、水分の蒸発潜熱を直接的にトナー母粒子に与えて、水分の除去速度を速めるために、気体を流入して乾燥する流動乾燥機を用いることが好ましい。例えば、後述する振動装置付き流動乾燥機を用いることもでき、振動装置がついていない流動乾燥機を用いることもできる。振動装置がついていない流動乾燥機を用いることがより好ましい。水分除去工程で使用する流動乾燥機に適用する気体、気体の温度、乾燥機の温度等は、後述する乾燥工程において用いる振動装置付き流動乾燥機に適用する気体、気体の温度、乾燥機の温度等と、同様の気体及び条件を適用することができる。
トナー母粒子を乾燥する工程において、流動乾燥機、ジェット乾燥機、減圧乾燥機等の乾燥機を用いることができる。中でも振動装置付き流動乾燥機で乾燥させることが好ましい。振動装置付き流動乾燥機は、乾燥機本体内に気体を流入させることによって、トナー母粒子に含まれている水分の蒸発潜熱も利用してトナー母粒子を迅速に乾燥させることができる。また、振動装置によってトナー母粒子に振動を付与することにより、気体の流量を少なくしても、トナー母粒子を流動化させることができ、下部に集まる凝集物を解砕して、迅速かつ効率的にトナー母粒子を乾燥させることができる。
次に、トナー母粒子に外添剤を外添して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させて、トナーを形成する。
外添剤としては、前記したものが挙げられる。
また、外添の際の温度としては、特に限定はないが、25℃〜55℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
また、本発明は、前記の静電荷像現像用トナーを備えることを特徴とするトナーカートリッジでもある。
本発明のトナーを備えるトナーカートリッジは、トナーカートリッジであれば特に限定はないが、好ましくは、トナーを担持する現像ローラと、該現像ローラの上側に配置された帯電ブレード(帯電部材)と、該現像ローラの下側に所要間隔を介して対向するように配置されたリテイニングブレードと、前記のトナーとを備えるトナーカートリッジである。
この作用・原理は明確には明らかではないが、以下のようにも考えられる。ただし、本発明は、以下の作用・原理の及ぶ範囲に限定されるものではない。
シリコーンオイル系表面処理がされたシリカを外添した非磁性1成分トナーは、ライフに伴い、現像ローラ表面に付着するトナー量が増加し、帯電量が低下し易い。一方、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカを外添した非磁性1成分トナーは、その点では比較的安定している。従って、併用したことによって、バランスがとれたトナーが得られたと考えられる。
上記に加え、熱履歴によるトナーの流動性の変化が併用系では減少することが判った。 それらにより、熱履歴を受けたトナーの画質安定性(特に低温低湿環境下の改善等)が、本発明において実現できたと考えている。
以下、静電荷像現像用トナー、すなわち外添されたものを「トナー」と略記し、外添前のものを「トナー母粒子」と略記するが、更に、45℃85%RHの環境で60時間熱処理された静電荷像現像用トナーを「熱処理トナー」と略記し、かかる熱処理がされていない静電荷像現像用トナーを「トナー」と略記する。
また、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を意味する。
乳化重合凝集法の以下の手順により、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーのトナー母粒子をそれぞれ2ロットずつ製造した。
得られた2ロットのイエロートナー母粒子を、それぞれ、「Ye−A」、「Ye−B」と略記し、得られた2ロットのシアントナー母粒子を、それぞれ、「Cy−A」、「Cy−B」と略記し、得られた2ロットのマゼンタトナー母粒子を、それぞれ、「Ma−A」、「Ma−B」と略記する。
パラフィンワックス(HNP9:日本精蝋製、融点77℃)20質量部を、アニオン性界面活性剤20質量%水溶液(ネオゲンS−20D:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液、第一工業製薬製、以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.44質量部と共に、イオン交換水50質量部に加えて、高圧剪断下で乳化することにより、パラフィンワックスのエマルジョン(以下、「離型剤エマルジョンA1」と略記する)を作製した。
離型剤の融点は、昇温速度10℃/分で測定を行い、DSCカーブにおいて最大の吸熱を示すピークの頂点の温度とした。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記離型剤エマルジョンA1を35.6質量部、イオン交換水283質量部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
攪拌翼先端部の周速2.78m/秒で攪拌しながら、以下の<組成−1>の[重合性モノマー類等]と[乳化剤水溶液]との混合物を5時間かけて添加した。
前記混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、「重合開始」の30分後から、前記の操作と併行して[開始剤水溶液−1]を4.5時間かけて添加した。
前記混合物と[開始剤水溶液−1]の添加が終了後、[開始剤水溶液−2]を2時間かけて添加した。
[開始剤水溶液−2]の添加が終了した後も更に攪拌を続け、内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.75質量部
アクリル酸ブチル 23.25質量部
アクリル酸 1.5質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7質量部
トリクロロブロモメタン 1.0質量部
20%DBS水溶液 1.0質量部
イオン交換水 67.1質量部
8質量%過酸化水素水溶液 15.52質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.52質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.21質量部
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、20%DBS水溶液を1.78質量部、イオン交換水を290部仕込み、窒素気流下で90℃に昇温した。攪拌翼先端部の周速2.78m/秒で攪拌しながら、以下の<組成−2>の[開始剤水溶液−3]を一括添加した。
また、前記混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、前記の操作と併行して[開始剤水溶液−4]を重合開始から6時間かけて添加した。[開始剤水溶液−4]の添加が終了した後も更に攪拌を続け、内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 100.0質量部
アクリル酸 0.5質量部
トリクロロブロモメタン 0.5質量部
20%DBS水溶液 1.0質量部
イオン交換水 66.0質量部
8質量%過酸化水素水溶液 3.2質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 3.2質量部
8質量%過酸化水素水溶液 18.9質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9質量部
<トナー母粒子分散液の製造>
以下の<組成−3>の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程を実施することにより、コアシェル型の構造を持ったイエロートナー母粒子の分散液を得た。
重合体1次粒子エマルジョンB1 固形分として 92.5質量部
重合体1次粒子エマルジョンB2 固形分として 7.5質量部
着色剤(ピグメントイエロー74)分散液 着色剤固形分として 6.7質量部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として 0.07質量部
円形化工程では、固形分として 3.0質量部
0.5質量%硫酸アルミ水溶液 固形分として 0.1質量部
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に、重合体1次粒子エマルジョンB1と20%DBS水溶液を仕込み、内温10℃で攪拌翼先端部の周速0.8m/秒で5分間攪拌した。続いて、攪拌翼先端部の周速を5.1m/秒まで上げ、着色剤分散液を15分かけて連続添加し、5分間保持した。
その後、周速を保持したまま内温を55℃まで0.6℃/分で昇温した。次いで、55℃のまま、マルチサイザーIII測定による体積中位径(Dv50)が6.95μm以上に成長するまで、保持した。
その後、重合体1次粒子エマルジョンB2を10分かけて連続添加して、そのまま40分保持した。
続いて、円形化工程用の20%DBS水溶液とイオン交換水3.5質量部とを計25分かけて添加した後、100℃に昇温し、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス社製)測定による平均円形度が0.968以上になるまで100℃のまま保持した。その後、2℃/分で30℃まで冷却し、イエロートナー母粒子分散液を得た。
<トナー母粒子分散液の製造>
以下の<組成−4>の各成分を用いたこと、及び、円形化工程の保持温度を99.5℃にしたこと以外は、イエロートナー母粒子と同様の方法で、コアシェル型の構造を持ったシアントナー母粒子の分散液を得た。
重合体1次粒子エマルジョンB1 固形分として 92.5質量部
重合体1次粒子エマルジョンB2 固形分として 7.5質量部
着色剤(ピグメントブルー15:3)分散液 着色剤固形分として 4.4質量部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として 0.07質量部
円形化工程では、固形分として 3.0質量部
0.5質量%硫酸アルミ水溶液 固形分として 0.05質量部
<トナー母粒子分散液の製造>
以下の<組成−5>の各成分を用いたこと以外は、イエロートナー母粒子と同様の方法でコアシェル型の構造を持ったマゼンタトナー母粒子の分散液を得た。
重合体1次粒子エマルジョンB1 固形分として 92.5質量部
重合体1次粒子エマルジョンB2 固形分として 7.5質量部
着色剤(ピグメントレッド269)分散液 着色剤固形分として 5.0質量部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として 0.0質量部
円形化工程では、固形分として 4.0質量部
0.5質量%硫酸アルミ水溶液 固形分として 0.1質量部
トナー母粒子分散液を上記の方法で製造した後、トナー母粒子分散液を遠心分離機(ピーラーセントリフュージHZ:三菱化工機製)を用い、トナー母粒子に対して63倍のイオン交換水を通水してろ過、洗浄した。
更に、洗浄したトナー母粒子は、40℃の雰囲気下で、水分量が0.2質量%になるまで乾燥させ、乾燥されたトナー母粒子を得た。
なお、それぞれ外添後のトナーの、体積中位径(Dv)、個数中位径(Dn))、粒度分布(体積中位径(Dv)/個数中位径(Dn))、平均円形度も外添前のトナー母粒子のそれらと同一であった。
それぞれのトナー母粒子を、三井鉱山製三井FMミキサを用いて、表3に示す外添剤を混合し、篩を通し粗大粒子を取り除き、表3に示すトナーを得た。
トナー母粒子の体積中位径(Dv50)、個数中位径(Dn50)は、ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定した。
測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とし、個数基準での統計値をもとに算出したものを個数中位径(Dn50)とした。Dv50/Dn50を算出して粒径分布とした。
<平均円形度の測定>
「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を、分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA−3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。
本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
トナーについて、示差走査熱量計(DSC)による測定は以下の通り行う。
トナー10±1mgをアルミニウム製パンに入れて0.1mgの桁まで精秤し、酸化アルミニウム7mgを充填したアルミニウム製パンをリファレンスとして、窒素気流中、10℃から120℃まで10℃/分で昇温する。120℃にて10分間保持した後、10℃/分で10℃まで降温し、5分間保持した後に10℃/分で再び120℃まで昇温する。2回目昇温時の吸熱ピーク前のベースラインと、吸熱開始後、最初の変曲点における接線の交点の温度を吸熱開始点とする(図2参照)。
トナーについて、動的粘弾性測定は、TA Instruments製レオメーターARESを用い、以下の通り行う。
サンプル約1.3gを25mm径用の治具に入れ、50℃に加熱したプレス機によって荷重30kgで10分間加圧し、ペレットに成型する。ペレットを直径25mmの円形パラレルプレートを装着した測定装置に入れ、120℃に昇温した状態で上部プレートを下げてペレットの厚さを3.0〜3.5mmに調整する。
降温し、測定周波数6.28rad/秒、初期温度40℃、測定前遅延時間3分、自動テンション調整(引っ張り方向、初期の力は0、自動テンション感度2.0g、自動テンション切り替え弾性率1.0E+08Pa)、最終温度205℃、昇温速度4℃/分、測定サイクル時間1分、初期歪み0.1%、自動歪み調整の条件で測定する。
表2には、該トナー母粒子の粘弾性であるが、そのトナー母粒子に対して外添したトナーでは、何れも同一の値を示す。
トナー母粒子、トナー、及び、熱処理トナーのBET比表面積(BET値)は、株式会社マウンテック社製、全自動BET比表面積測定装置マックソーブHM model−1201を用い測定した。
サンプル0.5±0.1gをセルに装填した。脱気温度は40℃、脱気時間は20分間とし測定した。結果は、サンプル質量当たりの比表面積(単位:m2/g)で得られる。
マイクロメリチックス・インスツルメント社製ジェミニ表面積アナライザー2360を用い、シリカ0.06〜0.16gを使用し、吸着質は窒素を用いて測定した。
柴田科学器械工業社製SA1000を用いて、試料の量は表面積約40m2を目安に吸着質は窒素を用いて測定した。
また、図2に、トナー1、2、8、9、15、16についての、吸熱開始点測定にも用いられた示差走査熱量計(DSC)の吸熱曲線を示す。
<<トナーの熱処理(熱処理トナーの調製>>
45℃、85%RHに設定した恒温恒湿機内に60時間トナーを保管し、熱処理トナーを調製した。
温度:23℃±1℃、湿度:50%±3%の環境において、トナー1.0gを振動盤上に置き、フリケンシー135Hz、ストローク(駆動源電圧)80Vの条件で振動移送を行う。振動移送により、300mgが排出された時から750mgが排出された時までに要した時間で、この間のトナー移送量450mgを割ることで、移送度(mg/秒)が得られる。
測定は2回以上実施し、平均値を用いる。
市販の非磁性1成分方式のフルカラープリンタを用いて、実写評価と定着評価を行った。
評価に用いたフルカラープリンタ、A4サイズ機、30枚/分は、電子写真感光体(OPC)現像器一体型カートリッジの一般的タイプである。
現像器内のトナーは、導電性スポンジローラにより導電性ゴム現像ローラへ供給され、現像ローラに当接された板バネ状ドクターブレードとの間を通ることで現像ローラ上に帯電した均一なトナー層が形成される。
レーザー光線で静電潜像が書き込まれた電子写真感光体(OPC)感光体円筒との押圧域で電位差に応じて、トナーは感光体へ現像される。感光体上のトナーは、普通紙等の転写材へ転写材背面に当接された転写器の電位差により転写される。
その後、転写材は熱ローラにより定着され印刷物が完成する。
なお、カートリッジのトナーエンドは、現像器内のトナー残量を光学センサーで検知し決定する構造のものである。
実施例1
マゼンタトナー母粒子Ma−Aを100質量部に対し、表3に示す通り、シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカ、キャボット社製TG−308F(ベースシリカBET値200m2/g)1.2質量部、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカとしてジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカ、日本アエロジル社製R974(ベースシリカBET値200m2/g、ベースシリカ粒径12nm、処理後のBET値170m2/g)0.6質量部、ハイドロタルサイト類化合物(協和化学工業社製アルカマイザーP93)0.05質量部、中粒径チタニア(テイカ社製JR−605)0.05部を、FMミキサで混合し、篩を通し粗大粒子を除去し、トナー1を調製した。
120℃における貯蔵弾性率は10300Pa、損失弾性率は15600Pa、150℃における貯蔵弾性率は3100Pa、損失弾性率は3200Pa、損失正接tanδは1.03であった。
190℃における貯蔵弾性率は638Pa、損失弾性率は555Paであった。
マゼンタトナー母粒子をMa−Bに代えた以外は、実施例1同様に外添を行い、トナー2を調製した。
本トナーの吸熱開始点は52.7℃であった。
190℃における貯蔵弾性率は538Pa、損失弾性率は498Paであった。
シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカを1.4質量部、ジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカを0.4質量部に変更し、小粒径チタニア(テイカ社製JMT150AO)0.05質量部を加えた以外は、実施例2と同様にトナー3を調製した。
シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカを1.8質量部、ジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカの外添を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にトナー4を調製した。
小粒径チタニアの添加量を0.1質量部にしたこと以外は実施例3同様にトナー5を調製した。
シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカを1.8質量部、ジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカを外添せず、小粒径チタニアを0.2質量部添加した以外は、実施例2同様にトナー6を調製した。
また、全実写試験を通し、時々、ベタ画像やハーフトーンの定着が不十分な場合が見られた。熱ローラの温度が低めの時にトナーが十分に溶けなかったためである。外添剤の合計添加量が多めであることが、やや悪い結果となった原因と考えられる。
トナー母粒子をMa−Bに代えた以外は、比較例3と同様にトナー7を調製した。
比較例3と異なり、定着不足は発生しなかった。トナー母粒子のロット差(トナー母粒子表面積がやや広いこと等)で、ギリギリ問題が発生しなかったためと考える。
実施例4
シアントナー母粒子Cy−Aを100質量部に対し、表3に示す通り、シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカ1.4質量部、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカとしてジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカ0.4質量部、ハイドロタルサイト類化合物0.05質量部、中粒径チタニア0.05部をFMミキサで混合し、篩を通し粗大粒子を除去し、トナー8を調製した。
190℃における貯蔵弾性率は60.1Pa、損失弾性率は71.9Paであった。
シアントナー母粒子をCy−Bに代えた以外は、実施例4同様に外添を行い、トナー9を調製した。
120℃における貯蔵弾性率は6400Pa、損失弾性率は10600Pa、150℃における貯蔵弾性率は853Pa、損失弾性率は1130Pa、損失正接tanδは1.32であった。
190℃における貯蔵弾性率は58.7Pa、損失弾性率は72.6Paであった。
シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカを1.8質量部、ジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカの添加を止めたこと以外は、実施例4と同様にトナー10を調製した。
シアントナー母粒子をCy−Bに代えた以外は、比較例5同様にトナー11を調製した。
小粒径チタニア0.2部を添加した以外は、実施例5同様にトナー12を調製した。
また、トナーの15℃20%の実写試験において、時々、ベタ画像やハーフトーンの定着が不十分な場合が見られた。
小粒径チタニア0.2部を添加した以外は、比較例5同様にトナー13を調製した。
シアントナー母粒子をCy−Bに代えた以外は、比較例8と同様にトナー14を調製した。
また、トナー及び熱処理トナーの15℃20%の実写試験において、時々、ベタ画像やハーフトーンの定着が不十分な場合が見られた。
実施例6
イエロートナー母粒子Ye−Aを100質量部に対し、表3に示す通り、シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカ1.2質量部、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカとしてジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカ0.4質量部、ハイドロタルサイト類化合物0.05質量部、中粒径チタニア0.02部をFMミキサで混合し、篩を通し粗大粒子を除去し、トナー15を調製した。
190℃における貯蔵弾性率は36.1Pa、損失弾性率は47.7Paであった。
イエロートナー母粒子をYe−Bに代えた以外は、実施例6と同様にトナー16を調製した。
190℃における貯蔵弾性率は49.2Pa、損失弾性率は61.6Paであった。
シランカップリング剤系表面処理がされたシリカとしてのジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカとして、エボニック社製R9200を用いた。これは、R974に比べ、粒度分布がブロードである。
それ以外は実施例7と同様にトナー17を調製した。
シリコーンオイル系表面処理がされたヒュームドシリカを1.8質量部、ジメチルジクロロシラン処理ヒュームドシリカを外添せず、小粒径チタニア0.05質量部を加えたこと以外は、実施例7と同様にトナー18を調製した。
ただし、イエロートナーは、目視でハーフトーンムラを判断することは難しく、実際には問題が発生していても見過ごしたと考えられる。
小粒径チタニアの添加量を0.1質量部に代えた以外は、比較例10と同様にトナー19を調製した。
ただし、イエロートナーは目視でハーフトーンムラを判断することは難しく、実際には問題が発生していても見過ごしたと考えられる。
小粒径チタニアの添加量を0.2質量部に代えた以外は、比較例10と同様にトナー20を調製した。
イエロートナー母粒子をYe−Aに代えた以外は、比較例12と同様にトナー21を調製した。
2 現像ローラ
3 ドクターブレード
4 スポンジローラ
5 撹拌羽根
6 トナー
7 トナーホッパー
8 クリーニングブレード
Claims (15)
- 静電荷像現像方法に用いる、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
少なくとも、シリコーンオイル系表面処理がされたシリカ、及び、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカが外添されたものであり、
静電荷像現像用トナーの示差熱量測定による吸熱開始点が60℃以下であり、150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも10000Pa以下であり、150℃における損失正接tanδが0.3以上3以下であり、
かつ、45℃85%RHの環境で60時間熱処理された静電荷像現像用トナーの移送度が、該熱処理がされていない静電荷像現像用トナーの移送度の2倍以内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 上記シリコーンオイル系表面処理がされたシリカがヒュームドシリカである請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 上記シランカップリング剤系表面処理がされたシリカがヒュームドシリカである請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 上記シランカップリング剤系表面処理は、該処理後のシリカの表面がジメチルシラン化されるものである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 上記シランカップリング剤系表面処理がされたシリカの外添量が、上記シリコーンオイル系表面処理がされたシリカの外添量の25質量%以上60質量%以下である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも300Pa以上5000Pa以下である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 120℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも3000Pa以上50000Pa以下である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 190℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも1000Pa以下である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 静電荷像現像用トナーの体積中位径(Dv50)を、静電荷像現像用トナーの個数中位径(Dn50)で割った値である粒度分布(Dv50/Dn50)が1.08以下である請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 静電荷像現像方法に用いる、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、
疎水化処理シリカとして、少なくとも、シリコーンオイル系表面処理がされたシリカ、及び、シランカップリング剤系表面処理がされたシリカが外添されたものであり、
前記疎水化処理シリカが、静電荷像現像用トナー全体に対して、1.5〜2.0質量%外添されており、
静電荷像現像用トナーの粒度分布(Dv50/Dn50)が1.08以下であり、
静電荷像現像用トナーの示差熱量測定による吸熱開始点が55℃以下であり、120℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも3000Pa以上50000Pa以下であり、150℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも300Pa以上5000Pa以下であり、150℃における損失正接tanδが0.3以上3以下であり、190℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率が何れも1000Pa以下であり、
かつ、45℃85%RHの環境で60時間熱処理された静電荷像現像用トナーの移送度が、該熱処理がされていない静電荷像現像用トナーの移送度の2倍以内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 静電荷像現像用トナーの平均円形度が0.965以上0.975以下である請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 更に、粒径100nm以下の小粒径チタニアが外添されたものである請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 非磁性1成分方式用である請求項1ないし請求項12の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合トナーである請求項1ないし請求項13の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1ないし請求項14の何れかの請求項に記載の静電荷像現像用トナーを備えることを特徴とするトナーカートリッジ。
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