JP6537413B2 - トナー、トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナー、トナーの製造方法に関する。
近年、プリンターや複写機においては、使用環境に因らず長期にわたって画質を安定させることが求められている。この要求を満たすために、着色力および帯電性、耐久性に優れたトナーが求められている。
トナーの着色力を向上させるためには、顔料を微分散させることが効果的である。顔料分散性を向上させる手段として、顔料分散剤を用いることが行われており、多くの顔料分散剤が提案されている。特許文献1には、有機色素の部分骨格を含む化合物を用いた顔料分散剤が記載されている。
また、使用環境の多様化に伴い、トナーの帯電性の改良や耐久性の改良も行われている。特許文献2では、帯電特性向上のために新たな帯電制御剤が記載されている。
特開2003−238837号公報 特開2014−209191号公報
しかしながら、特許文献1に記載の顔料分散剤では、顔料分散性の向上は見られるものの、より改善する余地があるものであった。また、特許文献2に記載の部材を用いた場合でも、帯電性能は向上するが、十分な効果を得られるものではなかった。
本発明の目的は、着色力をさらに向上させ、帯電性、耐久性にも優れたトナー、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、
樹脂、顔料、および顔料分散剤を含むトナー粒子を含むトナーであって、
前記樹脂が、酸価が2.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である極性樹脂を含有し、
前記顔料分散剤が、
下記式(1)で示される構造又はその互変異性体と、
ポリマー部と
を有する
ことを特徴とするトナーに関する。
(式(1)中、
X、Y及びZは、それぞれ独立に、−O−、メチレン基、又は、−NRを示す。Rは、水素原子、は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す。Rは、置換若しくは無置換のフェニル基、多環芳香族基、は、複素環基を示す。Rは、水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、アラルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、は、炭素数1〜18のアルキル基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる1価の基を示す。
は、置換若しくは無置換のフェニレン基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、は、炭素数1〜18のアルキレン基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる2価の基を示す。
Wは、ポリマー部との連結基を示す。
前記置換フェニル基の置換基、及び、前記置換フェニレン基の置換基は、それぞれ独立に、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、クロロ基、カルボキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボン酸アミド基、又ウレイド基である。
前記多環芳香族基は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンはアントラキノンから水素原子1つ除いて導かれる基である。
前記複素環基は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリノンはフタルイミドから水素原子1つ除いて導かれる基である。)
本発明によれば、着色力がさらに向上し、帯電性、耐久性に優れたトナー、及びその製造方法を提供することができる。
本発明の帯電量測定に用いた装置の模式図
本発明は、トナー中の樹脂が、酸価が2.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である極性樹脂を含有し、トナー中の顔料分散剤が、式(1)で示される構造と、ポリマー(高分子鎖)とを有することを特徴とする。
上記特徴により、トナーの着色力がさらに向上し、帯電性、耐久性にも優れる理由について本発明者らは以下のように推測している。顔料吸着部位として作用する式(1)で示される構造は、トリケトン構造を含むため極性基を複数持ち、また構造の柔軟性が高いという特徴を有している。そのため、顔料に対して複数点で吸着でき、また顔料の官能基に合わせて吸着の向きを自在に変化できると考えられる。その一方で、分子内でケト−エノール異性を起こすことができ、異性化によって化合物のπ平面を伸ばすことが可能である。したがって、顔料表面に吸着後、顔料表面の官能基との相互作用により構造異性を起こし、吸着部位の平面性が向上するため強固に顔料に吸着できると考えられる。
顔料がトナー粒子表面に偏在すると、顔料のチャージアップにより帯電立上がり速度が遅い、帯電量が安定しない等、十分な帯電特性が得られにくい。本発明では、式(1)で示される構造を有する顔料分散剤の特徴により、顔料表面の官能基を顔料分散剤でしっかりと覆うことが可能と考えられる。そのため、トナー粒子中で顔料のチャージアップが抑制され、帯電特性が良化していると考えられる。
また、本発明で用いる顔料分散剤は、顔料吸着部位の顔料への吸着性能が高いために、顔料が極性樹脂と相互作用することを抑制することができる。そのため、この顔料分散剤を用いた場合には、極性樹脂によるトナー粒子の表層形成を阻害しないため、耐久性も向上したと考えられる。
以上のことから、本発明においては、顔料吸着部位が式(1)で示される構造を有することで、顔料に対して高い吸着性能を示すため、トナーの着色力がさらに向上し、帯電性、耐久性にも優れるという効果を奏すると考えられる。
本発明で用いる顔料分散剤は、下記式(1)で示される構造がポリマー部に結合した構造を有する。下記式(1)で示される構造は、顔料と親和性の高い顔料吸着部位として機能する。ポリマー部は、分散媒との親和性が高く顔料同士の凝集を抑制する分散部位として機能する部位である。
(式(1)中、
X、Y及びZは、それぞれ独立に、−O−、メチレン基、又は、−NRを示す。Rは、水素原子、は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す。Rは、置換若しくは無置換のフェニル基、多環芳香族基、は、複素環基を示す。Rは、水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、アラルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、は、炭素数1〜18のアルキル基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる1価の基を示す。
は、置換若しくは無置換のフェニレン基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、は、炭素数1〜18のアルキレン基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる2価の基を示す。
Wは、ポリマー部との連結基を示す。
前記置換フェニル基の置換基、及び、前記置換フェニレン基の置換基は、それぞれ独立に、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、クロロ基、カルボキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボン酸アミド基、又ウレイド基である。
前記多環芳香族基は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンはアントラキノンから水素原子1つ除いて導かれる基である。
前記複素環基は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリノンはフタルイミドから水素原子1つ除いて導かれる基である。)
式(1)中のRは、主に、顔料とのπ−π相互作用を担う部位である。そのため、Rは、π平面性を有する化合物が好ましい。その中でも、複素環化合物や極性基で置換された芳香族性化合物は、π平面性と水素結合性を併せ持つため好ましい。より好ましくは、Rは、多環芳香族基のうち、ベンズイミダゾリノン構造である。ベンズイミダゾリノン構造は、構造平面性が高く且つ強い水素結合性を併せ持つため、顔料へ高吸着性を示し、着色力がより向上する。
X、Y、Zは上記で挙げた基であれば良いが、X、Y、Zのうち、2ヶ所以上が−NH−であると化合物の構造安定性が向上するため好ましい。特に、XとZが−NH−であることが好ましい。その理由は、Xが−NH−の場合にはアミド結合を形成し、顔料への吸着がより向上しやすい。また、Zは製造上、−NH−であることが好ましい。なお、Yは、Rの構造を多様化する上で、−O−が好ましい。
Wはポリマー部への連結基であり、製造容易性の観点からアミド結合かエステル結合であることが好ましい。
式(1)で示される構造は、下記のような互変異性の構造を取り得る。これらの互変異性体についても本発明で用いる顔料分散剤の範囲内である。
本発明における顔料吸着部位の吸着作用は、ケトン、アミド、エステルのような極性基による水素結合作用と芳香族構造に由来するπ−π相互作用である。この顔料分散剤の顔料吸着部位は、式(1)で表わされるようにトリケトン構造を分子内に含むことが特徴である。トリケトン構造が化学的に安定して存在するには、3つのケトンは異なる方向を向く必要があり、吸着点を3点有する。また、トリケトンの状態では分子の共役性が低いため、顔料吸着部位は柔軟性が高く構造の自由度も高いと推測される。一方、本発明の顔料吸着部位は分子内ケト−エノール異性構造を取り得る。その場合、顔料吸着部位のπ平面性が大幅に向上する。したがって、吸着の対象となる顔料に合わせて、結合の向きを自在に調整でき、且つ吸着後は構造異性を起こすことによって安定的に吸着できるため、顔料に対する吸着性能が向上していると考えられる。
式(1)で示される構造は、下記式(2)で示される構造であることが好ましい。
(式(2)中、
は、−O−、メチレン基、又は、−NH−を示す。
は、水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、アラルキル基、又は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す。
は、置換は無置換のフェニル基、多環芳香族基、若しくは、複素環基を示す。Rは、炭素数1〜8の直鎖は分岐のアルキレン基、炭素数1〜8のアルキレン基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合はアミド結合に置き換えて導かれる2価の基、若しくは置換は無置換のフェニレン基を示す。
は、ポリマー部との連結基を示し、前記連結基は、エステル結合はアミド結合である。
前記置換フェニル基の置換基、前記置換フェニレン基の置換基は、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、クロロ基、カルボキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボン酸アミド基はウレイド基である。
前記多環芳香族基は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンはアントラキノンから水素原子1つ除いて導かれる基である。
前記複素環基は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリノンはフタルイミドから水素原子1つ除いて導かれる基である。)
顔料分散剤が式(2)示される構造を有する場合、化合物の安定性が向上するため、顔料への吸着性が向上する。その結果、良好な着色力、帯電性が得られやすくなる。
式(2)で示される構造は、下記のような互変異性の構造を取り得る。
式(2)で示される構造は、さらに、下記式(3)で示される構造であることが好ましい。
(式(3)中、
は、炭素数1〜12のアルキル基、は、ベンジル基を示す。
は、炭素数2〜4のアルキレン基を示す。
は、ポリマー部との連結基を示し、前記連結基は、エステル結合はアミド結合である。)
を炭素数2〜4のアルキレン基にすると、顔料吸着部位は良好な溶解性を示すため、顔料吸着部位の凝集を抑制し、着色力が向上しやすい。
は、炭素数1〜12のアルキル基またはベンジル基であることにより、嵩高くない基であるため、顔料への吸着を阻害しにくくなる。これにより、顔料への吸着率を維持できるため、良好な着色力が得られやすい。
式(3)で示される構造は、ベンズイミダゾリノン構造を有している(式(2)中のRに相当する部位)。上述の通り、ベンズイミダゾリノン構造によって、顔料へ高吸着性を示し、着色力がより向上する。
以上のことから、式(3)で示される構造を有することによって、顔料に対する水素結合作用とπ−π相互作用が強くなるため、より顔料に吸着しやすくなる。その結果、より優れた着色力、帯電性を有することができる。
式(3)で示される構造は、下記のような互変異性の構造を取り得る。
式(1)で示される構造例を以下に示す。ただし、本発明で用いられる顔料分散剤の顔料吸着部位はこれらに限定されるものではない。
(式(4)〜(6)中、*はポリマー部との結合部位を表わす。)
本発明で用いる顔料分散剤は、式(1)で示される構造(顔料吸着部位)のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、式(1)で示される構造のW(連結基)に結合するポリマー部について説明する。ポリマー部は、分散部位として作用する。このポリマー部は、分散媒に親和性を示すポリマーであり、汎用性が高いモノマーを使用して得られるものであることが好ましい。好ましくは、ポリマー部が、汎用性が高いモノマーを使用して得られるビニル系共重合体構造、あるいはポリエステル構造である。さまざまなモノマー種から自由に選択することによって、ポリマー部のSP値(溶解度パラメータ)を媒体のそれに近づけることが可能であり、分散効果を発現させやすい。また、ビニル系共重合体構造の場合には吸着部位を有する化合物が重合性官能基を有する場合に分散剤の製造が容易となるため好ましい。
本発明の顔料分散剤の分散部位がビニル系共重合体構造である場合は、芳香族ビニルモノマー、アクリル酸系モノマーおよびメタクリル酸系モノマーの少なくともいずれかを有するビニル系共重合体構造であることが好ましい。
芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどを挙げることができる。
アクリル酸系モノマーの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジルなどが挙げられ、メタクリル酸系モノマーの具体例としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられる。
これらの芳香族ビニルモノマー、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、使用する媒体によって適宜選択すればよい。
本発明で用いる顔料分散剤の分散部位がポリエステル構造である場合は、ポリエステル構造は、多価カルボン酸に由来するユニットと、ポリオールに由来するユニットを有する。多価カルボン酸としてはシュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸が挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。
前記のモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、分散媒に合わせてポリマーの構成は適宜選択すれば良い。
さらに分散部位としては、ポリエステル構造とビニル系共重合体構造とを有する複合ポリマーであってもよい。具体的には、ポリエステル主鎖にビニル系ポリマー構造がグラフト化する場合、あるいはポリエステル構造とビニル系ポリマー構造がブロックで結合した構造を有する複合ポリマーを挙げることができる。その際、吸着部位(式(1)で示される構造)はポリエステル構造部位、ビニル系ポリマー部位のどちらに結合していてもよい。続いて、本発明で用いる顔料分散剤を作製する方法について説明する。顔料分散剤は、式(1)で示される構造である顔料吸着部位に重合性官能基を導入した化合物と、高分子に由来するモノマーとを共重合するか、予め高分子に由来するモノマーを重合した高分子に顔料吸着部位を導入することにより得ることができる。どちらの方法においても、従来公知の合成方法、重合方法によって得ることが可能である。例えば、以下に示すスキームに従って合成することができる。
(上記スキーム中、「−co−」は共重合を意味し、m、nはそれぞれの構造単位の繰り返しを表わす。)
前記スキームの重合性官能基が導入された顔料吸着部位は、ラジカル重合、リビングラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの従来公知の方法によって、ポリマーに由来するモノマーと重合し、顔料分散剤とすることができる。顔料分散剤中に、顔料吸着部位とポリマーはランダム状態で存在していてもブロック状態で存在していても良い。
各工程の反応温度、反応時間、使用する溶媒や触媒等の種類、及び合成後の精製方法などは、目的物に合わせて適宜選択すれば良い。合成した吸着部位の分子構造や重合した分散剤の物性は、NMR(核磁気共鳴装置)、IR(赤外分光光度計)、MS(質量分析装置)、及びGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ)等を用いて同定することができる。
本発明で用いる顔料分散剤の重量平均分子量は、5,000以上200,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が5,000以上である場合、排除体積効果による顔料間の凝集を抑制できるため、着色力が向上しやすい。一方、重量平均分子量が200,000以下では、顔料分散剤を介した顔料同士の架橋が起こりにくいため、着色力が向上しやすい。より好ましくは、10,000以上50,000以下の範囲である。顔料分散剤の重量平均分子量は、重合時における温度や反応時間を変更することにより、制御できる。
顔料分散剤中の顔料吸着部位(式(1)で示される構造)の個数は、顔料分散剤1分子中に顔料吸着部位が2個以上10個以下あることが好ましい。顔料吸着部位が2個以上の場合に、顔料に対して十分に吸着できるため、着色力が向上しやすい。顔料吸着部位が10個以下である場合には、吸着基同士の相互作用を抑制できるため、着色力が向上しやすい。より好ましくは3個以上8個以下である。
本発明で用いられる顔料分散剤の含有量は、顔料に対して1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。1.0質量%以上である場合、顔料に対する吸着量が十分となるため、着色力、帯電立上がりが向上する。50.0質量%以下である場合、顔料分散剤と極性樹脂の相互作用が抑制されるため、良好な帯電性が得られる。より好ましい含有量は、顔料に対して5.0質量%以上40.0質量%以下である。
次に、本発明で用いる極性樹脂について説明する。
本発明で用いる極性樹脂の酸価は、2.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である。前記範囲を満たすことで、十分な帯電特性を得ることができる。さらには、極性樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲であることがより好ましい。この範囲の極性樹脂を用いることで、より安定した帯電特性が得られやすくなり、耐久性も向上しやすい。また顔料分散剤と極性樹脂の相互作用も抑制されるため、着色力も得られやすい。
上記の酸価を有する極性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエポキシ樹脂などが挙げられる。その中でも、汎用性のあるポリエステル樹脂またはスチレンアクリル樹脂であることが好ましい。
極性樹脂の酸価の制御方法は、構成する樹脂によって異なる。極性樹脂がポリエステル樹脂の場合、二価の酸モノマーとアルコールモノマーの比率や分子量、三価の酸モノマーまたはアルコールモノマーの量、末端封止剤としての一価の酸モノマーまたはアルコールモノマーの量を調整することで制御可能である。また、極性樹脂がスチレンアクリル樹脂である場合、カルボキシ基やスルホン酸基を有する重合性単量体の量を調整することで制御可能である。
上記ポリエステル樹脂は、二価の酸(ジカルボン酸)と二価のアルコール(ジオール)とを縮重合することにより得られる。必要に応じて三価の酸またはアルコール、一価の酸またはアルコールを併用してもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸などのアルカンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸などのアルケンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;などが挙げられる。これらは、酸無水物およびアルキルエステルの形で用いても良い。
三価の酸としては、トリメリット酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸などが挙げられる。これらは、酸無水物およびアルキルエステルの形で用いても良い。
二価のアルコールとしては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ルなどのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのアルキレンエーテルグリコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物などのビスフェノール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、イソソルビド、スピログリコールなどの脂環式ジオール;などが挙げられる。
これらのカルボン酸及びアルコール成分は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ポリエステル樹脂の酸価を制御するための末端封止剤として、一価の酸またはアルコールが挙げられる。一価の酸としては、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸およびそれらの酸無水物などが挙げられる。一価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂の縮重合反応には、必要に応じて公知の錫化合物やチタン化合物などのエステル化触媒を用いても良い。
極性樹脂がスチレンアクリル樹脂の場合には、カルボキシ基またはスルホン酸基を側鎖に含むモノマーと重合性単量体を共重合することによって、得ることができる。
カルボキシ基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸の他に、安息香酸およびその誘導体、フタル酸およびその誘導体、サリチル酸およびその誘導体を側鎖に含むモノマー等が挙げられる。具体的には、特開2014−98840号公報に記載のモノマー等、従来公知のものが使用できる。スルホン酸基を側鎖に含むモノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの従来公知のものが使用できる。
前記極性基を含むモノマーと共重合する重合性単量体としては、スチレンの他に顔料分散剤のポリマーに由来するモノマーで列挙したような、汎用性のあるアクリル酸、メタクリル酸系モノマーを併用できる。
極性樹脂の含有量は、トナーに含有される樹脂の全質量に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下の範囲であることが好ましい。含有量が前記の範囲内であれば、十分な帯電特性が得られる。この範囲の中でも、含有量が1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲であることが、より帯電特性が優れるため好ましい。さらに、酸価が10.0mgKOH/g以下の極性樹脂の場合には、4.0質量%以上20.0質量%以下の範囲であることが好ましい。また、酸価が10.0mgKOH/gを超える極性樹脂の場合には、1.0質量%以上7.0質量%以下の範囲であることが好ましい。この範囲を満たすことによって、帯電性と着色力が良化しやすくなり、同時に耐久性も得られやすくなる。なお、極性樹脂は1種を単独で又は2種以上を併用しても構わない。
極性樹脂の重量平均分子量は、5,000以上100,000以下であることが好ましい。前記範囲を満たすことで、安定した帯電特性が得られやすい。
本発明において、極性樹脂以外の樹脂成分としては、通常トナーに用いられる公知の樹脂を用いることができる。具体的には、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等であり、ビニル系樹脂が好ましい。ビニル系樹脂としては、例えば、スチレンアクリル樹脂が挙げられる。スチレンアクリル樹脂を生成するために用いられるモノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルなどのニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルなどの含ハロゲン系ビニル単量体;ニトロスチレンなどのニトロ系ビニル単量体。
また、ポリエステル樹脂を生成するために用いられるモノマーとしては、上記顔料分散剤の分散部位がポリエステル構造である場合において説明した多価カルボン酸とポリオールが用いられる。
顔料としては、以下に挙げるブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが用いられる。
ブラック顔料としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、縮合顔料、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物などが挙げられる。より具体的には、例えば、C.I.Pigment Yellow 3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、縮合顔料、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。より具体的には、例えば、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19などが挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、フタロシアニン化合物、フタロシアニン化合物の誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。より具体的には、C.I.Pigment Blue 1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
顔料に対する顔料分散剤との吸着率は、80.0%以上であることが好ましい。吸着率は、スチレンとn‐ブチルアクリレートを質量比4:1で混合した溶媒20質量部、顔料分散剤0.1質量部、及び顔料1.0質量部を混合したときの、顔料に対する顔料分散剤の吸着率を示す。吸着率の詳細な測定条件については後述する。吸着率が80.0%以上であれば、顔料分散性が向上し着色力が良化する。また顔料が分散剤でしっかりと覆われているため帯電立上がり特性が良化し、また顔料と極性樹脂の相互作用が低減され、耐久性も向上し易い。これらの顔料は1種を単独で又は2種以上を併用しても構わない。
本発明のトナーには、さらに、トナー粒子に離型剤を含有してもよい。例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどのエステル基を1つ有するエステルワックス;セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートなどのエステル基を2つ有するエステルワックス;グリセリントリベヘネートなどのエステル基を3つ有するエステルワックス;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどのエステル基を4つ有するエステルワックス;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどのエステル基を6つ有するエステルワックス;ポリグリセリンベヘネートの如き多官能エステルワックス;カルナバワックス、ライスワックスの如き天然エステルワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸;酸アミドワックスが挙げられる。
離型剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下であると、トナーの離型性が向上し、好ましい。
本発明のトナーには、さらにトナー粒子に荷電制御剤を含有してもよい。本発明のトナーに用いられる荷電制御剤としては、従来公知の荷電制御剤を用いることが可能である。負帯電制御剤として、例えば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。また、正帯電制御剤として、例えば、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。
スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体あるいはビニル系単量体と上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体を用いることが可能である。
荷電制御剤の含有量は、樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーには、トナーの流動性の改善の目的として、外添剤を有してもよい。外添剤としては、従来公知の外添剤を用いることが可能である。例えば、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き原体シリカ微粒子、またはそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理したシリカ微粒子;酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子の如き金属酸化物微粒子、または金属酸化物を疎水化処理した金属酸化物微粒子;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属錯体;ハイドロタルサイトの如き粘土鉱物の微粒子;フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子の如きフッ素系樹脂微粒子が挙げられる。中でも、流動性および摩擦帯電性に優れるという観点から、原体シリカ微粒子に上記処理剤によって表面処理したシリカ微粒子を用いることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子を製造するための製造方法は、どのような製造方法であっても構わない。例えば、樹脂を生成し得る重合性単量体、極性樹脂、顔料、顔料分散剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;樹脂、極性樹脂、顔料、顔料分散剤などの各種トナー構成材料を混練、粉砕、分級する混練粉砕法;樹脂、極性樹脂を乳化した分散液と、顔料、顔料分散剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、極性樹脂、顔料、顔料分散剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;樹脂、極性樹脂と、顔料、顔料分散剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が使用できる。
この中でも本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中で造粒して粒子を形成することによりトナー粒子を得る工程を有することが好ましい。さらには、懸濁重合法や溶解懸濁法が好ましい。水系媒体中で造粒して粒子を形成した場合、トナー粒子表層に極性樹脂を偏在させやすく、帯電性、耐久性が向上しやすい。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合の重合性単量体としては、上述した通り、スチレン系単量体、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、ニトリル系ビニル単量体、含ハロゲン系ビニル単量体、ニトロ系ビニル単量体が挙げられる。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることが可能である。例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに公知の連鎖移動剤、重合禁止剤を用いることが可能である。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に無機または有機の分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては、公知の分散安定剤を用いることが可能である。無機の分散安定剤としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などのリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;メタケイ酸カルシウム;ベントナイト;シリカ;アルミナが挙げられる。また、有機の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成して用いてもよい。例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムの如きリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
溶解懸濁法によってトナー粒子を得る場合の有機溶媒としては、水に混和せず、昇温による脱溶剤が容易な溶媒を用いることが好ましい。例えば、酢酸エチルが挙げられる。
溶解懸濁法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に無機または有機の分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては上記懸濁重合法の説明で述べた分散安定剤を用いることが可能である。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<顔料分散剤の顔料への吸着率の測定>
(1)50mlの耐圧瓶に、顔料1.0g、顔料分散剤0.10g、スチレン16.0g、n−ブチルアクリレート4.0g、ガラスビーズ(直径0.8mm)30.0gを精秤し、混合する。
(2)ペイントシェイカー(東洋精機株式会社製)にて3時間振とうする。
(3)振とう後の内容液を遠心分離器(eppendorf社製・mini spin plus:14.5krpm/30分)で分離し、上澄みを取る。
(4)上澄みをマイレクス LH0.45μm(日本ミリポア社製)でろ過し、ろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析する。GPCの分析条件は後述の重量平均分子量Mwの測定方法に準ずる。得られたチャートのピーク面積をB1(縦軸:濃度に依存した電気的強度、横軸:リテンションタイム)とする。
(5)同様に、顔料分散剤0.10g、スチレン16.0g、n−ブチルアクリレート4.0gを精秤し、混合した溶液をろ過し、ろ液をGPCで分析する。得られたチャートのピーク面積をB2とする。なお、以下でB1とB2との面積比と求めるため、ピーク面積S1およびS2を求めるチャートは、同じ縮尺度の縦軸及び横軸を用いたチャートを作成する。
(6)下記式に基づいて、顔料に対する顔料分散剤の吸着率を算出する。
吸着率(%)=(1−B1/B2)×100
<極性樹脂の酸価測定>
酸価はJIS K0070−1992の測定方法に準じて測定する。酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数である。
試料2.00gを精秤(S(g))し、トルエン/エタノール(2:1)の混合液100mlに溶解させる。フェノールフタレイン溶液を指示薬として1滴加え、0.1mol/LのKOH(エタノール)溶液を用いて滴定する。滴定に要した量をB(ml)とする。
トルエン/エタノール(2:1)の混合液のみを、同様の滴定を行い、滴定に要した量をC(ml)とする。
次式により酸価を計算する。なお、式中の“f”は、KOH(エタノール)溶液のファクターである。
酸価(mgKOH/g)=〔(B−C)×f×5.61〕/S
<顔料分散剤および極性樹脂の構造分析>
顔料分散剤および極性樹脂の構造決定は、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)により行う。
測定装置:JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
測定溶媒:CDCl3またはDMF−d7
<顔料分散剤、極性樹脂の重量平均分子量並びに数平均分子量の測定方法>
重量平均分子量(Mw)ならびに数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、室温で、顔料分散剤または極性樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020ml
サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー(株)社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中の「部」及び「%」は、特に断りのなり限り質量基準である。
<顔料分散剤の合成>
まず、下記表1に示す構造の顔料吸着部位(A1)〜(A10)、及び比較例に使用する顔料吸着部位(A11)を合成した。
(顔料吸着部位(A1)の合成)
以下に示す合成スキームに従って、顔料吸着部位(A1)を合成した。
(中間体(1)の合成)
特開平10−316643号公報の合成例1の記載を参考にして、中間体(1)を合成した。具体的には、マロン酸ジエチル20.6部(0.129モル)、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート(商品名「カレンズMOI」、昭和電工製)19.8部(0.128モル)、及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.284部(1.29ミリモル)をキシレン100部(0.942モル)に溶解し、60℃に加熱した。ナトリウムメトキサイド0.214部(3.96ミリモル)を投入して8時間反応させた後、水200部(11.1モル)を投入して反応を停止させた。有機層をトルエンで抽出及び濃縮し、得られた残渣をトルエンで晶析して上記中間体(1)を得た。
(顔料吸着部位(A1)の合成)
中間体(1)19.8部(62.8ミリモル)、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン11.4部(76.4ミリモル)、及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.138部(0.626ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド141部(1.93モル)に溶解し、80℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水300部(16.7モル)を投入した。析出物をろ過して、顔料吸着部位(A1)を得た。
(顔料吸着部位(A2)の合成)
以下のスキームに従い、顔料吸着部位(A2)を合成した。
顔料吸着部位(A1)の合成において、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンを3−アミノフェニルウレイドに変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で顔料吸着部位(A2)を合成した。
(顔料吸着部位(A3)の合成)
以下に示す合成スキームに従って、顔料吸着部位(A3)を合成した。
中間体(1)の合成において、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネートを2−メタクロイルアミノエチルイソシアネートに変更したこと以外は、中間体(1)の合成と同様の方法で中間体(2)を合成した。顔料吸着部位(A1)の合成での中間体(1)を中間体(2)に変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で顔料吸着部位(A3)を合成した。
(顔料吸着部位(A4)の合成)
以下に示す合成スキームに従って、顔料吸着部位(A4)を合成した。
顔料吸着部位(A1)20.0部(47.8ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド60.0部(0.821モル)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.105部(0.478ミリモル)、及びN−ブチルアミン17.5部(0.239モル)を混合し、80℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水300部(16.7モル)を投入した。析出物をろ過して、顔料吸着部位(A4)を得た。
(顔料吸着部位(A5)の合成)
以下のスキームに従って、顔料吸着部位(A5)を合成した。
顔料吸着部位(A1)の合成において、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンの添加量を2倍にし、反応時間を16時間に変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で顔料吸着部位(A5)を合成した。
(顔料吸着部位(A6)の合成)
以下のスキームに従って、顔料吸着部位(A6)を合成した。
中間体(1)の合成において、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネートを4−メタクロイルオキシブチルイソシアネートに変更したこと以外は、中間体(1)の合成と同様の方法で中間体(3)を合成した。顔料吸着部位(A1)の合成において、中間体(1)を中間体(3)に変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で顔料吸着部位(A6)を合成した。
(顔料吸着部位(A7)の合成)
以下のスキームに従って、顔料吸着部位(A7)を合成した。
顔料吸着部位(A1)の合成での5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンを5−ヒドロキシ−2−ベンズイミダゾリノンに変更したこと以外は、前述の顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で顔料吸着部位(A7)を合成した。
(顔料吸着部位(A8)の合成)
以下のスキームに従って、顔料吸着部位(A8)を合成した。
カルボキシマロン酸トリエチル14.5部(62.4ミリモル)、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン11.4部(76.4ミリモル)、及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.138部(0.626ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド141部(1.93モル)に溶解し、80℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水300部(16.7モル)を投入した。析出物をろ過して、中間体(4)を得た。
中間体(4)18.8部(56.1ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド50.0部(0.684モル)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.124部(0.563ミリモル)、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル21.9部(0.168モル)を混合し、80℃で10時間加熱撹拌して反応させた。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水300部(16.7モル)を投入した。析出物をろ過して、顔料吸着部位(A8)を得た。
(顔料吸着部位(A9)の合成)
以下のスキームに従って、顔料吸着部位(A9)を合成した。
顔料吸着部位(A1)の合成において、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンをアニリンに変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で中間体(5)を合成した。さらに顔料吸着部位(A4)の合成において、顔料吸着部位(1)を中間体(5)に変更したこと以外は、顔料吸着部位(A4)の合成と同様の方法で、中間体(6)を得た。
中間体(6)19.0部(48.8ミリモル)と炭酸カリウム67.4部(0.488モル)をN,N−ジメチルホルムアミド141部(1.93モル)に溶解し、氷冷下でヨードメタン41.6部(0.293モル)を滴下した。その後、反応液を60℃に昇温し、40℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水200部(11.1モル)及びクロロホルム200部(1.68モル)を投入して分液し、目的物を有機層に抽出した。有機層を水洗浄、硫酸マグネシウムによる乾燥後、濃縮し、顔料吸着部位(A9)を得た。
(顔料吸着部位(A10)の合成)
以下のスキームに従って顔料吸着部位(A10)を合成した。
顔料吸着部位(A1)の合成において、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンを2−アミノアントラキノンに変更したこと以外は、顔料吸着部位(A1)の合成と同様の方法で、顔料吸着部位(A10)を得た。
(顔料吸着部位(A11)の合成)
特許文献1(特開2003−238837号公報)の合成例1の記載を参考にして、以下のスキームに従い顔料吸着部位(A11)を合成した。
5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン11.4部(76.4ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド50.0部(0.684モル)に溶解し、5℃以下に冷却した。この反応液に、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート(商品名「カレンズMOI」、昭和電工製)11.9部(76.7ミリモル)を滴下し、滴下後、反応液を30分間室温撹拌した。反応後、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、得られた残渣に水100部(5.56モル)を投入した。析出物をろ過して、顔料吸着部位(A11)を得た。
次に、合成した顔料吸着部位(A1)〜(A11)を用いて、顔料分散剤S1〜S19及び比較例で用いる顔料分散剤S20を合成した。
(顔料分散剤S1の合成)
窒素置換したナス型フラスコに、スチレン58.6部(0.563モル)、顔料吸着部位(A1)10.5部(25.0ミリモル)、メタクリル酸ステアリル12.7部(37.5モル)、N,N−ジメチルホルムアミド150.0部(2.05モル)、及びアゾビスイソブチロニトリル1.37部(8.33ミリモル)を投入し、80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止して顔料分散剤S1を得た。
得られた顔料分散剤S1を貧溶媒であるメタノール中で固液分離して精製した後、NMR及びGPCを用いて顔料分散剤S1の分子量および分子組成を分析した。表2に分析した結果を示す。
(顔料分散剤S2〜S20の合成)
表2に示す組成に従って、使用するモノマーの種類及びそれぞれの量を適宜変更したこと以外は、前述の顔料分散剤S1と同様の方法で顔料分散剤S2〜S20を合成した。合成した各顔料分散剤の分子量および分子組成の分析結果を表2に示す。
表2中、「STMA」はメタクリル酸ステアリルを表わす。
<極性樹脂の合成>
(極性樹脂P1の合成)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込んだ。原材料モノマーを表3に示したmol比率で混合した混合物100部と重合開始剤であるジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)7.68部を混合し、反応容器に撹拌しながら滴下した。65℃で加熱撹拌し、所望の分子量に達したところで反応液を冷却して反応を停止させた。反応液をメタノール中で固液分離して精製した後、減圧下40℃で乾燥し極性樹脂P1を得た。前述の方法で分子量と酸価の分析を行った。得られた極性樹脂P1の物性を表3に示す。
(極性樹脂P2、P3の合成)
表3に記載の原材料モノマー種および仕込み量を変更したこと以外は、極性樹脂P1と同様の方法により、極性樹脂P2、P3を合成した。得られた極性樹脂P2、P3の分析結果を表3に示す。
表3中、カルボキシ基含有モノマーは下記式(7)で表わされるモノマーである。
(極性樹脂P4の合成)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、原材料モノマーを表4に示したmol比率で混合した混合物100部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52部を加え、温度200℃に昇温し所望の分子量になるまで縮重合し、極性樹脂P4を得た。前述の方法で分子量と酸価の分析を行った。得られた極性樹脂P4の物性を表4に示す。
(極性樹脂P5〜P8の合成)
表4に記載の原材料モノマー種および仕込み量を変更したこと以外は、極性樹脂P4と同様の方法により、極性樹脂P5〜P8を合成した。得られた極性樹脂P5〜P8の分析結果を表4に示す。
表4中、「TPA」はテレフタル酸、「TMA」はトリメリット酸、「CHDA」はシクロヘキサンジカルボン酸、「BPA−PO」はビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、「EG」はエチレングリコールを表わす。
<ブラックトナー粒子1の製造例>
(着色剤分散液1の調製工程)
・スチレン 100.0部
・カーボンブラック(CB) 20.0部
Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・顔料分散剤(S1) 2.0部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液1を調製した。
(トナー組成物溶解液の調製工程)
・着色剤分散液1 40.0部
・スチレン 33.5部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・極性樹脂(P1) 2.0部
・離型剤パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液1を得た。
(ブラックトナー粒子1の分散液の調整工程)
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水710質量部に0.1M−NaPO水溶液450質量部を投入し60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl水溶液67.7質量部を徐々に添加してリン酸カルシウムを含む水系媒体を得た。次に、トナー組成物溶解液へ重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液8重量部を溶解し、十分に混合したのち前記水系媒体へ投入した。これを、温度62℃、N2雰囲気下において、12,000rpmで10分間撹拌して重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度75℃に昇温し、7.5時間重合を行い、重合反応を終了した。次いで、減圧下で残存モノマーを留去し、水系媒体を冷却しブラックトナー粒子1の分散液を得た。得られたブラックトナー粒子1の重量平均粒径(D4)は、5.5μmであった。
ブラックトナー粒子1の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウムを溶解させた。これを加圧濾過器にて、固液分離を行い、トナーケーキを得た。イオン交換水を用いた洗浄操作を三度繰り返したのち乾燥し、ブラックトナー粒子1を得た。ブラックトナー粒子1の物性を表5に示す。
<ブラックトナー粒子2〜14、17〜40の製造例>
ブラックトナー粒子1の製造例で、ブラックトナー粒子1の組成を表5、6のように変更した以外は同様の方法により、ブラックトナー粒子2〜14,17〜40を得た。ブラックトナー粒子2〜14および17〜40の物性を表5、6に示す。
<ブラックトナー粒子15の製造例>
(着色剤分散液2の調整工程)
・トルエン 350.0部
・カーボンブラック(CB) 56.0部
Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・顔料分散剤(S1) 5.6部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液2を調製した。
(トナー組成物溶解液2の調製工程)
・着色剤分散液2 250.0部
・極性樹脂(P1) 10.0部
・スチレンアクリル樹脂 490.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・離型剤パラフィンワックス 50.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサーを用いて、5,000rpmにて60分間均一に分散し、トナー組成物溶解液2を得た。
(トナー粒子分散液2の調整工程)
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコ中に、イオン交換水1200部に0.5M−NaPO水溶液300部を投入した。その後、12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl水溶液25.7部を徐々に添加してリン酸カルシウムを含む水系媒体を得た。
次に、トナー組成物溶解液2を前記水系媒体へ投入した。これを、温度65℃、N2雰囲気下において、12,000rpmで30分間撹拌してトナー組成物溶解液2の粒子を造粒した。次いで、減圧下で溶媒を留去し、水系媒体を冷却しブラックトナー粒子分散液15を得た。得られたブラックトナー粒子15の重量平均粒径(D4)は、6.2μmであった。
トナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウムを溶解させた。これを加圧濾過器にて固液分離を行い、トナーケーキを得た。次に、イオン交換水を用いて洗浄操作を三度繰り返したのち乾燥し、ブラックトナー粒子15を得た。ブラックトナー粒子15の物性を表5に示す。
<ブラックトナー粒子16の製造例>
・スチレンアクリル樹脂 98.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=75:25(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・極性樹脂1(P1) 2.0部
・カーボンブラック(CB) 8.0部
(Nipex35(Orion Engineerred Carbons社製)
・離型剤パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
・顔料分散剤(S1) 0.8部
前記の処方の材料を、FMミキサ(日本コークス工業社製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、粗粉砕物を得た。
得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業社製;ターボミルT250−RS型)を用いて微粉砕した。その後、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、ブラックトナー粒子16を得た。ブラックトナー粒子16の物性を表5に示す。
<マゼンタトナー粒子1の製造例>
(着色剤分散液3の調製工程)
・スチレン 100.0部
・C.I.ピグメントレッド122(PR−122) 16.7部
(Toner Magenta E[クラリアント社製])
・顔料分散剤(S1) 1.67部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液3を調製した。
(トナー組成物溶解液3の調製工程)
・着色剤分散液3 53.9部
・スチレン 19.6部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・離型剤パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
・極性樹脂(P1) 2.0部
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサーを用いて、5,000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液3を得た。
以降、トナー組成物溶解液3を用い、ブラックトナー粒子1と同様にしてマゼンタトナー粒子1を得た。得られたマゼンタトナー粒子1の重量平均粒径(D4)は、6.1μmであった。マゼンタトナー粒子1の物性を表6に示す。
<マゼンタトナー粒子2〜7の製造例>
マゼンダトナー粒子1の製造例で、マゼンダトナー粒子1の組成を表7のように変更した以外は同様の方法により、マゼンダトナー2〜7を得た。マゼンダトナー粒子2〜7の物性を表7に示す。
<イエロートナー粒子1の製造例>
(着色剤分散液4の調製工程)
・スチレン 100.0部
・C.I.ピグメントイエロー155(PY−155) 16.7部
(Peliotol Yellow D1155[BASF社製])
・顔料分散剤(S1) 1.67部
前記材料をアトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(200部)を用いて200rpm、25℃で180分間撹拌を行い、着色剤分散液4を調製した。
(トナー組成物溶解液4の調製工程)
・着色剤分散液4 53.9部
・スチレン 19.6部
・n−ブチルアクリレート 24.5部
・離型剤パラフィンワックス 10.0部
(HNP−9:日本精蝋社製、融点75℃)
・極性樹脂(P1) 2.0部
前記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサーを用いて、5,000rpmにて60分間均一に分散し、トナー組成物溶解液4を得た。
以降、トナー組成物溶解液4を用いて、ブラックトナー粒子1と同様にしてイエロートナー粒子1を得た。得られたイエロートナー粒子の重量平均粒径(D4)は、6.2μmであった。なお、本実施例に用いた顔料分散剤のイエロー顔料への吸着率は63.9%であった。
<トナーの製造例>
ブラックトナー粒子1を100.0質量部と、疎水性シリカ微粉体1.5質量部を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)で300秒間混合工程し、ブラックトナー1を得た。なお、用いたシリカ微粉体はヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体であり、一次粒子の数平均粒径(D1)は10nmである。
同様にして、ブラックトナー粒子2〜40、マゼンダトナー粒子1〜7およびイエロートナー粒子1についても前記の疎水性シリカ微粉と混合し、ブラックトナー2〜40、マゼンダトナー1〜7、イエロートナー1を得た。
<実施例1〜45および比較例1、2>
ブラックトナー1について以下の評価を行った。
<着色力評価>
市販のカラーレーザープリンタSatera LBP7700C(キヤノン(株)製)用のカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、ブラックトナー1(150g)を充填した。また、Satera LBP7700Cを一部改造し、定着機を外して未定着画像を出力できるように変更し、さらに一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造した。前記カートリッジをプリンターに装着し、トナー載り量が0.30mg/cmとなるように設定して、転写材中央に6.5cm×14.0cmの長方形のベタ画像の出力を行い評価画像とした。転写材は、レターサイズのHP LASERJET PAPER(ヒューレットパッカード社製、90.0g/m)を用いた。
LBP7700Cの外部定着機を用いて、出力した評価画像をプロセススピード300mm/sec、160℃で定着し、画像濃度を測定して着色力を評価した。尚、画像濃度の測定には「X−Riteカラー反射濃度系(color refledtion densitometer X−Rite404A)」を用いて測定した。原稿濃度が0.00の白下地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、ベタ画像の右上、左上、中央、右下、左下の5点の濃度を測定し、平均値を画像濃度とした。評価基準は以下の通りであり、C以上を本発明の効果が得られているレベルとした。結果を表8に示す。
A:画像濃度が1.50以上
B:画像濃度が1.35以上1.50未満
C:画像濃度が1.20以上1.35未満
D:画像濃度が1.20未満
<帯電性評価>
トナー濃度6.0質量%になるようにフェライトキャリアF813−300(パウダーテック社製)とブラックトナー1を混合し、二成分現像剤とした。
(トナー帯電量の立上がり特性評価)
50ccのポリ容器に前記の二成分現像剤50gを分取し、常温常湿環境(23℃/60%RH)で4日間放置した。その後、15秒かけて30回振とう、1分30秒かけて180回振とうした。
図1に示す装置(吸引機1)において、底に635メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、振とう後の二成分現像剤を0.1g入れ、金属製のフタ4をした。容器全体の質量を量り、W1(g)とした。次に吸引機(測定容器2と接する部分は絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を1.0kPaにした。この状態で1分間吸引を行い、トナーを吸引除去した。このときの電位計9の電位をV(ボルト)、コンデンサー8の容量をC(mCF)とし、吸引後の測定容器全体の質量を量り、W2(g)とした。このトナーの帯電量(mC/kg)は下記式に従って算出した。
帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
評価は各振とう回数における摩擦帯電量の絶対値を測定し、C以上を本発明の効果が得られているレベルと判断した。結果を表8に示す。
180回振とうの摩擦帯電量の絶対値に対し、30回振とうの摩擦帯電量の絶対値が
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:70%未満
(トナー帯電の環境安定性)
50ccのポリ容器に前記二成分現像剤50gを分取し、常温常湿環境(23℃/60%RH)で4日間放置した。その後、15秒かけて30回振とう、1分30秒かけて180回振とうを行い、前記の方法で帯電量を測定した。同様にして、常温常湿環境(30℃/80%RH)においても帯電量を測定した。常温常湿環境での帯電量を帯電量N(mC/kg)、高温高湿環境での帯電量を帯電量H(mC/kg)とし、高温高湿環境における帯電保持率(%)を下記式から算出した。C以上を本発明の効果が得られているレベルと評価した。結果を表8に示す。
帯電保持率(%)=(帯電量H/帯電量N)×100
A:保持率が80%以上
B:保持率が65%以上80%未満
C:保持率が50%以上65%未満
D:保持率が50%未満
<耐久性評価>
市販のカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンタに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりにブラックトナー1(200g)を充填した。常温常湿下(23℃、60%RH)、受像紙として、キヤノン製オフィスプランナー(64g/m)を用い、印字率1%チャートを50,000枚連続して画出しした。画出し後、さらにハーフトーン画像を出力し、現像ローラ上およびハーフトーン画像における排紙方向の縦スジの有無について観察した。以下の基準で耐久性を評価し、B以上を本発明の効果が得られているレベルとした。結果を表8に示す。
A:現像ローラ上に、細いスジがない又は1本あるものの、ハーフトーン部の画像上に、排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラ上に、細いスジが2〜3本あるものの、ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジは見られない。
C:現像ローラ上に、細いスジが4〜5本あるものの、ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジは見られない。
D:現像ローラ上に、細いスジが6本以上あり、ハーフトーン部の画像上に排紙方向の縦スジが見られる。
ブラックトナー2〜40、マゼンダトナー1〜7およびイエロートナー1についても同様にして評価を行った。評価の結果を表8に示す。
表8から明らかなように、本発明の顔料分散剤と極性樹脂を併用したトナー粒子は、比較例のトナーと比べて、着色力、帯電性、耐久性が優れていることが分かる。
1 吸引機
2 測定容器
3 スクリーン
4 フタ
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサー
9 電位計

Claims (11)

  1. 樹脂、顔料、および顔料分散剤を含むトナー粒子を含むトナーであって、
    前記樹脂が、酸価が2.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である極性樹脂を含有し、
    前記顔料分散剤が、
    下記式(1)で示される構造又はその互変異性体と、
    ポリマー部と
    を有する
    ことを特徴とするトナー。

    (式(1)中、
    X、Y及びZは、それぞれ独立に、−O−、メチレン基、又は、−NRを示す。Rは、水素原子、は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す。Rは、置換若しくは無置換のフェニル基、多環芳香族基、は、複素環基を示す。Rは、水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、アラルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、は、炭素数1〜18のアルキル基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる1価の基を示す。
    は、置換若しくは無置換のフェニレン基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、は、炭素数1〜18のアルキレン基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合に置き換えて導かれる2価の基を示す。
    Wは、ポリマー部との連結基を示す。
    前記置換フェニル基の置換基、及び、前記置換フェニレン基の置換基は、それぞれ独立に、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、クロロ基、カルボキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボン酸アミド基、又ウレイド基である。
    前記多環芳香族基は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンはアントラキノンから水素原子1つ除いて導かれる基である。
    前記複素環基は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリノンはフタルイミドから水素原子1つ除いて導かれる基である。)
  2. 前記式(1)で示される構造が、下記式(2)で示される構造又はその互変異性体である請求項1に記載のトナー。

    (式(2)中、
    は、−O−、メチレン基、又は、−NH−を示す。
    は、水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、アラルキル基、又は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示す。
    は、置換は無置換のフェニル基、多環芳香族基、若しくは、複素環基を示す。Rは、炭素数1〜8の直鎖は分岐のアルキレン基、炭素数1〜8のアルキレン基の主鎖中のメチレン基がエーテル結合、エステル結合はアミド結合に置き換えて導かれる2価の基、若しくは置換は無置換のフェニレン基を示す。
    は、ポリマー部との連結基を示し、前記連結基は、エステル結合はアミド結合である。
    前記置換フェニル基の置換基、前記置換フェニレン基の置換基は、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、クロロ基、カルボキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボン酸アミド基はウレイド基である。
    前記多環芳香族基は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンはアントラキノンから水素原子1つ除いて導かれる基である。
    前記複素環基は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリノンはフタルイミドから水素原子1つ除いて導かれる基である。)
  3. 前記式(2)で示される構造が、下記式(3)で示される構造又はその互変異性体である請求項2に記載のトナー。

    (式(3)中、
    は、炭素数1〜12のアルキル基、は、ベンジル基を示す。
    は、炭素数2〜4のアルキレン基を示す。
    は、ポリマー部との連結基を示し、前記連結基は、エステル結合はアミド結合である。)
  4. 前記顔料に対する前記顔料分散剤の吸着率が、80.0%以上である請求項13のいずれか1項に記載のトナー。
    (前記吸着率は、スチレンとn‐ブチルアクリレートを質量比4:1で混合した溶媒20質量部、前記顔料分散剤0.1質量部、及び前記顔料1.0質量部を混合したときの、前記顔料に対する前記顔料分散剤の吸着率を示す。)
  5. 前記顔料分散剤の含有量が、前記顔料に対して、1.0質量%以上50.0質量%以下である請求項14のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記顔料分散剤の重量平均分子量が10,000以上50,000以下である請求項15のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記極性樹脂の酸価が、5.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下である請求項16のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記極性樹脂の含有量が、前記樹脂の全質量に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下である請求項17のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記極性樹脂が、ポリエステル樹脂はビニル系樹脂である請求項18のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 前記ポリマー部が、ビニル系共重合体構造又はポリエステル構造を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、水系媒体中で造粒して粒子を形成することにより前記トナー粒子を得る工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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