JP2018077333A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、非晶性ビニル樹脂とを含有し、
前記結晶性樹脂由来の融点(Tm℃)を基準として、Tm−10℃及びTm−20℃にて静電荷像現像用トナーを3時間放置後に測定した貯蔵弾性率(G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t))とが、前記放置前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)に対して、当該貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aにおいて、下記式(1a)、式(1b)及び式(2a)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1a):G′0(t)<G′Tm−10(t)
式(1b):G′0(t)<G′Tm−20(t)
式(2a):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.5
[上記式において、tは、上記測定温度領域A内における任意の測定温度(℃)を表す。xは、G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t)との差が最大となる測定温度(℃)を表す。]
前記貯蔵弾性率G′0(t)、G′Tm−10(t)及びG′Tm−20(t)が、下記式(3a)及び式(3b)を満たすことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(3a):1<G′Tm−10(t)/G′0(t)≦10
式(3b):1<G′Tm−20(t)/G′0(t)≦10
下記式(4a)及び式(4b)を満たすことを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(4a):|t0−t1|≦2℃
式(4b):|t0−t2|≦2℃
前記G′0(t)に対する、前記G′Tm−10(t)及びG′Tm−20(t)の差が各々最大となる温度における貯蔵弾性率が、いずれも、1.0×108〜3.0×108Paの範囲内にあることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
下記式(2b)を満たすことを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(2b):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.25
下記式(2c)を満たすことを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(2c):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.1
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
また、結晶性樹脂よりも、融点の高い離型剤を少量加えてもよい。離型剤は、結晶化の起点となりやすい核となりうるために結晶化を高めやすくなる。
結晶性樹脂を用いたトナーにおいて、トナーに含有される結晶性樹脂由来の融点(Tm℃)以下の温度でアニーリングすることで、結晶性樹脂の結晶化が進み貯蔵弾性率が向上することが分かっている。そこで本発明は、幅広い温度域で貯蔵弾性率の向上幅が同じになるよう規定した。例えば、本発明のトナーについて、Tm−10℃とTm−20℃で加熱処理、すなわち、高温で保管した際の貯蔵弾性率の変化について、図1Aに示す。図1Aでは、高温で保管しなかった場合に比べて、高温で保管されたトナーの貯蔵弾性率の値がほぼ変わらず、より低温で貯蔵弾性率の値が大きくなっている。図1Bは従来技術のトナーの例であり、Tm−10℃とTm−20℃で高温で保管した場合、高温で保管しなかった場合に比べて貯蔵弾性率の値が、温度が高くなるほど大きくなっている。本発明では図1Aの貯蔵弾性率の状態となる構成である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂を含有するトナー母体粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、非晶性ビニル樹脂とを含有し、
前記結晶性樹脂由来の融点(Tm℃)を基準として、Tm−10℃及びTm−20℃にて静電荷像現像用トナーを3時間放置後に測定した貯蔵弾性率(G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t))とが、前記放置前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)に対して、当該貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aにおいて、下記式(1a)、式(1b)及び式(2a)を満たすことを特徴とする。
式(1b):G′0(t)<G′Tm−20(t)
式(2a):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.5
[上記式において、tは、上記測定温度領域A内における任意の測定温度(℃)を表す。xは、G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t)との差が最大となる測定温度(℃)を表す。]
なお、本発明において、測定温度領域Aとは、Tm−10℃又はTm−20℃の環境下に放置する前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)が1.0×106Pa以上となる温度領域のことをいう。
また、G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t)の差が最大になるとはG′Tm−10(t)/G′Tm−20(t)が最大になることをいう。
式(3a):1<G′Tm−10(t)/G′0(t)≦10
式(3b):1<G′Tm−20(t)/G′0(t)≦10
なお、本発明において、結晶性材料とは離型剤及び結晶性樹脂をいう。
式(4a):|t0−t1|≦2℃
式(4b):|t0−t2|≦2℃
測定温度領域Aにおいてこのような貯蔵弾性率の範囲を規定することは、高温で保管前のトナーの貯蔵弾性率に対して、高温での保管により、1.0×108〜3.0×108Paの範囲内となる温度領域(この温度領域が、耐熱性に関係のある領域と考えられる。)で最も貯蔵弾性率が向上することを表している。高温での保管により、低温定着性を維持しつつ、耐熱保管性をより向上させることができる。
式(2b):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.25
式(2c):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.1
測定サンプルとして、トナー母体粒子に外添剤を添加したトナーを0.2g計量し、圧縮成形機で25MPaの圧力を印加して加圧成型を行い、上記トナーからなる直径10mmの円柱状ペレットを作製した。
レオメーター(TA instrument製:ARES G2)を使用し、上に直径8mmのパラレルプレートを下に直径20mmのパラレルプレートのセットで用いて、周波数1Hzの条件で降温測定を行った。サンプルセットを100℃にて行い、Gapを一度1.4mmにセットした後にプレート間からはみ出したサンプルのかきとりを行った後に1.2mmにGapをセットし、Axial forceをかけつつ任意の温度まで降温し3時間静置した。その後、測定開始温度の30℃まで降温しAxial forceを止め30℃から150℃まで昇温速度3℃/minにて貯蔵弾性率(G′)の昇温測定を行った。以下に詳細な測定条件を示す。
・Frequency:1Hz
・Ramp rate:3℃/min
・Axicial force:0g、sensitivity:10g
・Initial strain:3.0%、Strain adjust:30.0%、Minimum strain:0.01%、Maximum strain:10.0%
・Minimum torque:1g・cm、 Maximum torque:80g・cm
・Sampling interval:1.0℃/pt
外添剤が添加されたトナーの試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に5mg封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱する。1回目の加熱時に、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温した際の結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピークトップ温度をTmとする。
また、離型剤と結晶性樹脂とのピークが重なる、重ならないは、これらのピークトップの温度差が3℃以内の場合を重なる(結晶性樹脂由来のピークが不明確となる。)と定義し、ピークトップの温度差が3℃よりも大きければ、ピークは重なっていないものとする。
なお、図2A〜2Cは、DSCによって得られる吸熱曲線の模式図である。
(i−i)ピークトップが複数ある場合
ピークが重なり、さらに、ピークトップが複数ある場合、強度の大きい方のピークトップの温度を結晶性樹脂由来の融点(Tm)とする。
図2Aにその具体例を示す。図2Aでは、ピークトップが二つあり、それぞれのピークトップ温度PL及びPSの温度差が3℃以内である例である。図2Aの例の場合、強度の大きい方のピークトップ温度であるピークトップ温度PLが結晶性樹脂由来の融点(Tm)となる。
(i−ii)ピークトップが重なっている場合
当該ピークトップの温度を結晶性樹脂由来の融点(Tm)とする。
図2Bにその具体例を示す。図2Bは、結晶性樹脂と離型剤との吸熱ピークが重なっており、かつ、それぞれのピークトップも重なっている例である。このような場合、ピークトップ温度PCWが結晶性樹脂由来の融点(Tm)となる。
この場合、結晶性樹脂由来のピークは明確であると考えられるので、結晶性樹脂に由来するピークトップの温度を結晶性樹脂由来の融点(Tm)とする。
図2Cにその具体例を示す。図2Cに示す例は、ピークトップが二つあり、それぞれのピークトップ温度PC及びPWの温度差が3℃より大きい例である。このような場合、結晶性樹脂由来の吸熱ピークと、離型剤由来の吸熱ピークとは重なっておらず、区別することが可能と考えられる。ピークトップ温度PCが結晶性樹脂由来の融点(Tm)となる。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結着樹脂を含有するトナー母体粒子と外添剤とからなる。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂のほか、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤、界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上述のトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
本発明に係る結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、非晶性ビニル樹脂とを含有する。また、結晶性樹脂としては、本発明の効果発現を阻害しない限り、その他の公知の樹脂を使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂等も使用できる。
なお、特に区別の必要がない場合、非晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ビニル樹脂をまとめて単に「非晶性樹脂」ともいう。
また、本発明において「結着樹脂が結晶性樹脂を含有する」とは、結着樹脂が結晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。また本発明において、「結着樹脂が非晶性樹脂を含む」とは、結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂など非晶性樹脂そのものを含む態様であってもよいし、後述のハイブリッド結晶性樹脂における非晶性樹脂セグメントのように、他の樹脂中に含まれるセグメントとして含有されていてもよい。
上記結晶性樹脂は、トナーのDSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。このような結晶性樹脂の含有量としては、トナー母体粒子を構成する樹脂(すなわち、結着樹脂と離型剤。)に対して5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、結着樹脂のシャープメルト性を向上させて、トナーの低温定着性を向上させるという効果を得つつ、結晶性樹脂を含有させることによる耐熱保管性の低下を抑制することができる。
中でも、結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが、熱定着時に結晶性ポリエステル樹脂が融解して非晶性樹脂の可塑化剤として働くために低温定着性をより向上させることができるため好ましい。当該結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合反応による公知の合成法により得ることができる。上記結晶性ポリエステル樹脂は、1種でもそれ以上の種類を用いてもよい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーは、直鎖脂肪族モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することが好ましい。芳香族モノマーを用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いものとなることが多く、分岐型の脂肪族モノマーを用いた場合には結晶性が低くなることが多いことから直鎖脂肪族モノマーを用いることが好ましい。また、直鎖脂肪族モノマーが50%以上とすることで、トナー中において結晶性を維持することができる。80%以上にすることで十分な結晶性を維持することが可能になる。
なお、ここで、他種構造の樹脂とは、樹脂種が異なるものを異なる種類の樹脂と定義し、単量体組成比が異なるもの、後述のスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂などの変性の有無のみの違いは異なる種類の樹脂とは呼ばない。
また、上述のハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポエリステル樹脂に由来の構造を有する樹脂部分を「結晶性ポリエステル重合セグメント」といい、他種構造の樹脂に由来する構造を有する樹脂部分を「他種構造の重合」セグメントという。
他種構造の樹脂としては、例えば、スチレン・アクリル樹脂などのビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などがあげられる。他種構造の重合セグメントとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性樹脂との合計量に占める当該結晶性樹脂の割合が、40質量%より大きく60質量%以下であることが好ましい。
この範囲内であれば、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性樹脂とが相溶しやすく低温定着性に優れる。また、結晶性樹脂が40質量%より大きいと、完全に非晶性樹脂に相溶することを回避でき、アニーリングにより好適に結晶化させることができるため、ひいては良好な耐熱性をえることができる。また、60質量%以下であれば、十分に相溶できるため、良好な低温定着性をえることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)及びカラムTSKguardcolum+TSKgelSuperHZ−33連(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
本発明に係るトナー母体粒子は、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂又はその一部が変性された変性ポリエステル樹脂(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)と、非晶性ビニル樹脂とを含む。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点Tgを有するが、融点すなわち昇温時の前述の明確な吸熱ピークがない非結晶性を示す樹脂をいう。
上記非晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合した非晶性ビニル樹脂であれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すポリエステル樹脂である。コア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェルの材料として非晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
上記着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機又は有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料が含まれる。上記着色剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記離型剤(ワックス)の例には、炭化水素系ワックス及びエステルワックスが含まれる。当該炭化水素系ワックスの例には、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスが含まれる。また、上記エステルワックスの例には、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル及びクエン酸ベヘニルが含まれる。上記離型剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体及びサリチル酸金属塩又はその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系などのアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、1種でもそれ以上でもよい。
本発明に係るトナー母体粒子は、トナー粒子のみの単層構造であってもよいが、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子とは、コア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェルとを備える多層構造を有するトナー母体粒子をいう。シェルは、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
本発明に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。
なお、本発明においては、トナー粒子の粒径と、トナー母体粒子の粒径とは等しいものとして扱う。
本発明のトナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
式(y)円形度=L1/L2
本発明に係る外添剤は、1種でもそれ以上でもよい。当該外添剤としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子を使用できる。
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子及びキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%である。
式(b):MFe2O4
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、特に、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
(1)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
以下に、上記(3)の工程の一例について、具体的に記載する。
その後、熱処理工程(アニーリング)として、撹拌しつつ、例えば、30分ほどかけて50℃まで昇温し、3時間ほど前記温度を維持する。その後冷却し30℃以下まで液温を下げる。その後、工程(4)〜(6)を経ることで本発明のトナーを製造することができる。
なお、上述のような工程(3)がアニーリングを有することにより、式(1a)、式(1b)及び式(2a)を満たす本発明のトナーを好適に製造することができる。
両反応性モノマーを含む、付加重合系樹脂として下記の他種構造の重合セグメント(スチレン・アクリル重合セグメント、以下、「St−Ac重合セグメント」ともいう。)の原料モノマー及びラジカル重合開始剤を滴下ロートに入れた。
スチレン 43.5質量部
n−ブチルアクリレート 16.0質量部
アクリル酸 3.5質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 8.0質量部
テトラデカン二酸 440.0質量部
ブタンジオール 135.0質量部
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)4を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
次に200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にて1時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂1を得た。結晶性ポリエステル樹脂1は、その全量に対して他種構造の重合セグメント(St−Ac重合セグメント)を10質量%含み、また、St−Ac重合セグメントにCPEs重合セグメントがグラフト化した形態の樹脂であった。得られた結晶性ポリエステル樹脂1の数平均分子量(Mn)は9500、融点(Tm)は72℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂1の合成において、重縮合系セグメントとして結晶性ポリエステル重合セグメント(CPEs重合セグメント)の原料モノマーを
テトラデカン酸 440.0質量部
1,6−ヘキサンジオール 173.0質量部
に変更した点以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂2が得られた。結晶性ポリエステル樹脂2の数平均分子量(Mn)は8500、融点(Tm(CPEs))は75℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂1の合成において、重縮合系重合セグメントとして結晶性ポリエステル重合セグメント(CPEsセグメント)の原料モノマーを
セバシン酸 343.0質量部
1,6−ヘキサンジオール 173.0質量部
に変更した点以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂3が得られた。結晶性ポリエステル樹脂3の数平均分子量(Mn)は8000、融点(Tm(CPEs))は60℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂1の合成において、重縮合系セグメントとして下記の結晶性ポリエステル重合セグメント(CPEs重合セグメント)の原料モノマーを
ドデカン二酸 391.0質量部
1,9−ノナンジオール 240.0質量部
に変更した点以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂4が得られた。結晶性ポリエステル樹脂4の数平均分子量(Mn)は9000、融点(Tm)は66℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂3の合成において、付加重合系セグメントであるスチレン・アクリル重合セグメント(St−Ac重合セグメント)の原料モノマーを
スチレン 87.0質量部
n−ブチルアクリレート 32.0質量部
アクリル酸 7.0質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 16.0質量部
に変更した点以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂5が得られた。結晶性ポリエステル樹脂5の数平均分子量(Mn)は11000、融点(Tm)は58℃であった。
結晶性ポリエステル樹脂1の合成において、重縮合系セグメントである結晶性ポリエステル重合セグメント(CPEs重合セグメント)の原料モノマーを
ドデカン二酸 391.0質量部
エチレングリコール 100.0質量部
に変更した点以外は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂6が得られた。結晶性ポリエステル樹脂6の数平均分子量(Mn)は10000、融点(Tm)は80℃であった。
上記結晶性ポリエステル樹脂1 82質量部をメチルエチルケトン82質量部に、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液 2.5質量部(中和度50%相当)を添加した。この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水236質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化状の状態を得た。この乳化液の油滴の粒径をレーザー回折式粒度分布測定器「LA−750(HORIBA製)」にて測定した結果、体積平均粒径は123nmであった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、結晶性ポリエステル樹脂1の微粒子が分散された「結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1」(固形分25質量%)を作製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1中、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積平均粒径は75nmであった。
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製において、結晶性ポリエステル樹脂1の代わりに結晶性ポリエステル樹脂2〜6を用いたことの他は同様にして、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2〜6を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積平均粒径は200nmであった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック株式会社製、「クレアミックス」は同社の登録商標)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 100.0質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK) 10.0質量部
イオン交換水 400.0質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15%に調整して離型剤粒子分散液1を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750((株)堀場製作所製)にて測定したところ、220nmであった。
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 59.1質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 281.7質量部
テレフタル酸 63.9質量部
コハク酸 48.4質量部
次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が24000、酸価が16.2mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)が60℃であった。
次に、得られた非晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が98nmであった。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、イオン交換水1100質量部と上記第1段重合により調製したビニル樹脂粒子分散液を固形分換算で55質量部を仕込み、87℃に加熱した。その後、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を80℃にて溶解させた混合液を、循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)により、10分間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液を上記5Lの反応容器に追加し、過硫酸カリウム5.5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を87℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、ビニル樹脂粒子分散液を調製した。
スチレン 256.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 95.0質量部
メタクリル酸 30.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.9質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 136.8質量部
マイクロクリスタリン(離型剤、融点80℃) 7.2質量部
上記第2段重合により得られたビニル樹脂粒子分散液に更に過硫酸カリウム8質量部をイオン交換水140質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、84℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を90分かけて滴下した。
スチレン(St) 367.2質量部
nーブチルアクリレート(BA) 165.0質量部
メタクリル酸(MAA) 34.3質量部
メタクリル酸メチル(MMA) 52.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
ビニル樹脂粒子分散液1の調製において、第2段重合で溶解させる単量体、連鎖移動剤及び離型剤を下記のとおりとしたほかは同様にして、ビニル樹脂粒子分散液2を調製した。
(第2段重合)
スチレン 256.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 47.5質量部
n−ブチルアクリレート 47.5質量部
メタクリル酸 30.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.9質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 136.8質量部
マイクロクリスタリン(離型剤、融点80℃) 7.2質量部
ビニル樹脂粒子分散液1の調製において、第2段重合で溶解させる単量体、連鎖移動剤及び離型剤、第3段重合で滴下する混合液を下記単量体及び連鎖移動剤の混合液としたほかは同様にして、ビニル樹脂粒子分散液3を調製した。
スチレン(St) 256.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA) 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 30.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.9質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 136.8質量部
マイクロクリスタリン(離型剤、融点80℃) 7.2質量部
スチレン(St) 367.2質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA) 82.5質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 82.5質量部
メタクリル酸(MAA) 34.3質量部
メタクリル酸メチル(MMA) 52.5質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
ビニル樹脂粒子分散液1の調製において、第2段重合で溶解させる単量体、連鎖移動剤及び離型剤を下記のとおりとしたほかは同様にして、ビニル樹脂粒子分散液4を調製した。
(第2段重合)
スチレン(St) 256.0質量部
n−ブチルアクリレート 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 30.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 3.9質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 145.0質量部
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、ビニル樹脂粒子分散液1を298質量部(固形分換算)及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液7質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 36.8質量部(固形分換算)を20分かけて投入し、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
トナー2〜13並びに15及び16は表1に記載のように、結晶性ポリエステル樹脂(CPEs)粒子分散液の種類及び量、非晶性ポリエステル(APEs)樹脂粒子分散液の量、ビニル樹脂粒子分散液の種類及び量、アニーリングの有無を変化させたことの他は同様にして、トナー2〜13、15、16を製造した。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液189.7質量部(固形分換算)、離型剤分散液52.1質量部(固形分換算)及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤粒子分散液7質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 130.2質量部(固形分換算)を40分かけて投入し、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
トナー1〜16について、結晶性樹脂由来の融点(Tm℃)を基準として、Tm−10℃及びTm−20℃にて3時間放置した後に測定した貯蔵弾性率(G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t))と、上記放置前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)を測定した。なお、貯蔵弾性率の測定方法は、下記のとおりである。また、測定結果から、1.0×106Paを示す温度t0〜t3を求めた。また、貯蔵弾性率の測定結果から、G′Tm−10(t)/G′Tm−20(t)が最大になる温度を求め、G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t)との差が最大となる測定温度xとした。
各測定結果は表2、表3に示すとおりである。また、放置前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aについて、G′Tm−20(t)/G′及びG′Tm−10(t)/G′の最大値及び最小値を表3に記載した。
レオメーター(TA instrument製:ARES G2)を使用し、上に直径8mmのパラレルプレートを下に直径20mmのパラレルプレートのセットで用いて、周波数1Hzの条件で降温測定を行った。サンプルセットを100℃にて行い、Gapを一度1.4mmにセットした後にプレート間からはみ出したサンプルのかきとりを行った後に1.2mmにGapをセットし、Axial forceをかけつつ任意の温度まで降温し3時間静置した。その後、測定開始温度の30℃まで降温しAxial forceを止め30℃から150℃まで昇温速度3℃/minにて貯蔵弾性率の昇温測定を行った。以下に詳細な測定条件を示す。
Frequency:1Hz
Ramp rate:3℃/min
Axicial force:0g、sensitivity:10g
Initial strain:3.0%、Strain adjust:30.0%、Minimum strain:0.01%、Maximum strain: 10.0%
Minimum torque:1g・cm、 Maximum torque:80g・cm
Sampling interval:1.0℃/pt
外添剤が添加されたトナーの試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に5mg封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱した。1回目の加熱時に、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温した際の結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピークトップ温度をTmとした。なお、いずれのトナーにおいても、ピークトップは、図2Bに示す上述の(i−ii)のパターンで観察された。
また、結晶性樹脂由来の融点(Tm)は、表3に記載のTmと同等の値であった。
以下のようにして、トナー1〜16までを評価した。結果は表4に示す。
<トナーの耐熱保管性>
トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT−2000」(セイシン企業社製)を用い、室温で600回振とうした後、蓋を開けた状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下において2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながら全量をのせて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmとなる振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩を通過したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(A)によりトナー凝集率を算出した。得られた篩通過率に基づいてトナーの耐熱保管性の評価を行った。篩通過率が80%以下であるものを合格と判断した。
◎:90以上(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:85以上、90未満(トナーの耐熱保管性が良好)
△:80以上、85未満(トナーの耐熱保管性が良好)
×:80未満(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub C754」(コニカミノルタ社製)を、定着上ベルと及び定着下ローラの表面温度を変更可能に改造したものを用い、A4(坪量80g/m2)普通紙の上に、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を、ニップ幅11.2mm、定着時間34msec、定着圧力133kPa、定着温度100〜200℃にて出力する試験を、定着温度を5℃刻みで変更しながら、繰り返し行った。
定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されない最低の定着温度を最低定着温度とした。また現像剤を50℃、湿度40%の条件にて24時間曝露した後に上記と同様の評価を行い最低定着温度の変化幅を高温曝露変動幅とした。
◎:最低定着温度 135℃未満(トナーの低温定着性が極めて良好)
○:最低定着温度 135℃以上、145℃未満(トナーの低温定着性が良好)
△:最低定着温度 145℃以上、155℃未満(トナーの低温定着性が良好)
×:最低定着温度 155℃以上(トナーの低温定着性が悪く、使用不可)
◎:高温曝露変動幅 3℃未満(定着性能の環境安定性が極めて良好)
○:高温曝露変動幅 3℃以上、5℃未満(定着性能の環境安定性が良好)
△:高温曝露変動幅 5℃以上、7℃未満(定着性能の環境安定性が良好)
×:高温曝露変動幅 7℃以上(定着性能の環境安定性が悪く、使用不可)
現像剤を50℃、湿度40%の条件にて24時間曝露した後に透過型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子社製)により、
測定モード:SEモード、LEI
加速電圧:2kV
EmissionCurrent :20μA
WorkingDistance :8mm
倍率:×1000
Datasize:1280×1024
の条件にて測定・撮影を行った。曝露前の現像剤と比較し、トナー内部から表面に異物が出てきていないかを確認した。
◎:1視野内に異物なし(トナーの環境安定性が極めて良好)
○:1視野内に1〜2個異物が出ているトナーが存在(トナーの環境安定性が良好)
△:1視野内に3〜9個異物が出ているトナーが存在(トナーの環境安定性が良好)
×:1視野内に10個以上異物が出ているトナーが存在(トナーの環境安定性が悪く、使用不可)
以上の結果から、本発明によれば、結晶性樹脂を用いたトナーにおいて、低温定着性及び耐熱保管性に優れ、高温で長期間保管した場合の低温定着性の変動、結晶性材料のブリードアウトが少ない静電荷像現像用トナーを提供できることが分かる。
Claims (13)
- 少なくとも、結着樹脂を含有するトナー母体粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、非晶性ビニル樹脂とを含有し、
前記結晶性樹脂由来の融点(Tm℃)を基準として、Tm−10℃及びTm−20℃にて静電荷像現像用トナーを3時間放置後に測定した貯蔵弾性率(G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t))とが、前記放置前に測定した貯蔵弾性率G′0(t)に対して、当該貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aにおいて、下記式(1a)、式(1b)及び式(2a)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1a):G′0(t)<G′Tm−10(t)
式(1b):G′0(t)<G′Tm−20(t)
式(2a):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.5
[上記式において、tは、上記測定温度領域A内における任意の測定温度(℃)を表す。xは、G′Tm−10(t)とG′Tm−20(t)との差が最大となる測定温度(℃)を表す。] - 前記非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性樹脂との合計量に占める当該結晶性樹脂の割合が、40質量%より大きく60質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結着樹脂における前記非晶性ビニル樹脂の含有量が、50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aにおいて、
前記貯蔵弾性率G′0(t)、G′Tm−10(t)及びG′Tm−20(t)が、下記式(3a)及び式(3b)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(3a):1<G′Tm−10(t)/G′0(t)≦10
式(3b):1<G′Tm−20(t)/G′0(t)≦10 - 前記貯蔵弾性率G′0(t)、G′Tm−10(t)及びG′Tm−20(t)が、それぞれ、1.0×106Paとなる温度を、t0℃、t1℃及びt2℃としたとき、
下記式(4a)及び式(4b)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(4a):|t0−t1|≦2℃
式(4b):|t0−t2|≦2℃ - 前記貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上となる測定温度領域Aにおいて、
前記G′0(t)に対する、前記G′Tm−10(t)及びG′Tm−20(t)の差が各々最大となる温度における貯蔵弾性率が、いずれも、1.0×108〜3.0×108Paの範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記式(2a)における左辺の式:G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)が、
下記式(2b)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(2b):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.25 - 前記式(2a)における左辺の式:G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)が、
下記式(2c)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(2c):G′Tm−10(x)/G′Tm−20(x)≦1.1 - 前記トナー母体粒子が、コア・シェル構造を有すること特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記融点Tmが、55〜80℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性樹脂の含有量が、5〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル重合セグメントと、他種構造の重合セグメントとが化学結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項12に記載の静電荷像現像用トナー。
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